1: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/06/08 19:54:53 ID:Xihzt2urO
恵美「こんな方法で私の動きを縛るなんて……目的の為なら手段を選ばないのね!」

恵美「だけど私は屈しないわ! なぜなら私は勇者。何時如何なる時もその真実だけは変わらない!」

恵美「後でたっぷりお返ししてやるんだから! 覚悟してなさい、魔王!!」




真奥「分かった、分かった。にしてもお前、肩凝ってたんだな。ガチガチだぞ?」モミモミ

恵美「仕方ないじゃない、仕事でずっと座っているんだから……あ~そこそこ。本当、魔王の魔手は恐ろしいわ~」ゴマンエツ

005

5: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/06/08 20:00:49 ID:Xihzt2urO
…………
真奥「おい」

恵美「何よ」

真奥「なぜ箸で自分のコロッケを掴んで俺の前に出しているんだ? 俺の分のコロッケはちゃんとあるんだが?」

恵美「毒見よ。姑息な魔王が私のコロッケに何か混ぜている可能性は十分にあるわ。だからまずあなたが食べなさい」

真奥「俺の記憶が正しければこのコロッケ作ったのはお前だよな?」

7: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/06/08 20:04:34 ID:Xihzt2urO
恵美「良いから早くあ~んしなさいよ。ずっとお箸で持ち上げているのも結構疲れるんだから」オテテプルプル

真奥「分かった、分かった。あ~ん」パクッ

恵美「……どう?」

真奥「うん、何時も通り美味しい」モグモグ

恵美「そう、それは良かったわ。あ、勿論良かったっていうのは毒が入ってなくて良かったって意味だからね。それ以上でもそれ以下でもないんだからね」モキュモキュ

真奥(俺が口を付けた所から嬉しそうに食いついている)

8: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/06/08 20:07:29 ID:Xihzt2urO
…………
恵美「さて、明日はお互いに仕事はお休みね。魔王、あなたはこの休日に何処に行き、そこでどんな悪巧みを企てようとしているのかしら?」

真奥「え?」

恵美「私には勇者としてあなたを監視する義務があるの! さあ、何処に行くのか吐きなさい! あなたの野望を阻止する為なら、私は地の果てだってついていくわよ!!」ビシッ

真奥「あ、言ってなかったっけ? 俺、明日もバイト行く事になったんだよ」

恵美「……え?」ガーン

9: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/06/08 20:12:10 ID:Xihzt2urO
恵美「あれ? えっと、先週もその前も休日出勤してなかったかしら?(汗」

真奥「最近少し忙しくてな。という訳で明日に備えて今日はもう寝るよ」

恵美「ちょっと待ちなさい、何1人で寝ようとしているのよ! 今日は金曜日よ! 嬉し恥ずかし聖(性)戦の日でしょ? 英語で言えばジハードなのよ!?」

真奥「それはアラビア語じゃなかったか? 悪いが明日早いから今日は無しの方向で」ノシ

10: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/06/08 20:16:17 ID:Xihzt2urO
恵美「なっ、勇者との宿命の戦いから尻尾を巻いて逃げるというの! あなた、仮にも魔族を統べる王なんでしょう!?」

恵美「落ちたわね、魔王……だけど例えその気は無くてもあなたは咎人! 勇者として大いなる罪(主に自分の心を奪った罪)を犯したあなたを逃がす事は出来ないわ!!」

恵美「臆せず私と戦いなさい、魔王! 今夜こそ決着をつけてあげるから!!」ビシッ

真奥「お前も明日休みだからってあんまり夜更かしするなよ。おやすみ~」ドアガチャン

恵美「(´・ω・`)」

13: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/06/08 20:20:16 ID:Xihzt2urO
翌朝……

恵美「Zzz……」

恵美「ハッ!」オメメパチクリ

恵美「!」キョロキョロ

恵美(魔王の姿・気配・匂い・味その他諸共が……消えた?)

15: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/06/08 20:23:44 ID:Xihzt2urO
恵美(リビングかしら?)トコトコ

恵美「いない……あ、置手紙がある」

『気持ち良そうに寝ていたので起こしませんでした。せっかくの休日なのでゆっくり休んで下さい。
帰りは何時もと同じぐらいになると思います。 貞夫』

恵美「…………」

恵美「……私に呪縛を掛けずに出て行くなんて余裕ね、魔王」

※呪縛=朝のチュー

16: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/06/08 20:27:56 ID:Xihzt2urO
…………

エメラダ『久々に連絡をくれたと思ったら~彼氏の愚痴を聞かされる羽目になるとは思いませんでした~。まあこういうのは好きですから良いですけど~」

恵美「エメ、真面目に聞いて。最近のあいつは私との戦いを避けている節があるの。これは由々しき事態だわ。
後あいつは彼氏じゃないから。宿敵だから」

エメラダ『宿敵と書いてダーリンと読むんですね~。分かります~』

恵美「三週連続で逃げるなんて……何かよからぬ事を企てているに決まっているわ」ムゥー

19: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/06/08 20:32:49 ID:Xihzt2urO
エメラダ『つまりエミリアは~もっとダーリンに構って貰いたい訳ですね~』

恵美「ちょっと、人をさびしんぼうみたいに言わないで。ただ魔王のくせに最近勇者と戦う意思を見せないあいつがちょっと気になるだけよ
後私はダーリンより旦那様の方が響きは好きだわ。あくまで好みの問題で別にそう呼んで欲しい訳ではないけれど」

エメラダ『……旦那様とのスキンシップの回数が減ったのなら~素直にもっと構って欲しいと言えば良いのでは~?
もっとも~エミリアは素直じゃないですから難しいかもしれませんけど~』

恵美「失敬ね、私は素直よ。私ほど自分の気持ちに正直な人間は他にいないと思うわ」

エメラダ『私は何時でもエミリアの味方ですけど~それだけは全力で首を横に振らして貰います~』

23: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/06/08 20:37:08 ID:Xihzt2urO
※ラブラブ同棲中の設定。細かいとこは気にしないで下さい。


恵美「このままじゃ私は勇者としての責務を果たす事が出来ないわ! ねえ、エメ。どうしたらあいつを戦いの舞台に引きずり出す事が出来るかしら?」

エメラダ『素直に言えないのなら~言葉以外の方法で誘ってみたらどうでしょうか~?』

恵美「なるほど、罠に嵌めるのね。今はむしろハメて欲しいけど」

エメラダ『(スルー)出来るだけインパクトの大きいものが良いと思いますよ~。そうですね~例えばこういうのはどうでしょうか~?』

24: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/06/08 20:40:15 ID:Xihzt2urO
その日の夜……

真奥(今日も疲れたな。だけどこれで……)

真奥「ただいま~」ゲンカンガチャ

シ~ン

真奥(あれ、返事が無い。だけど明かりはついているし、台所からは鍋を煮る音とカレーの匂いがするし……)

真奥「恵美、いるんだろう~。何かあった……」リビングノドアガチャ

25: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/06/08 20:41:42 ID:Xihzt2urO
恵美「…………」←裸エプロンでカレー作っている。

真奥「」

26: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/06/08 20:43:54 ID:Xihzt2urO
真奥(あ、ありのまま今起こった事を話すぜ! 『魔王が仕事で疲れて家に帰って来たら勇者がお尻丸出しでカレーを作っていた』。
な、何を言っているか分からないと思うが俺も何が起こっているのか分からなかった……
頭がどうにかなりそうだった……。
ソニンだとか一色先輩だとかそんなチャチなもんじゃあ断じてない。もっと恐ろしいものの片鱗を味わったぜ……)

恵美「……勘違いしないでよ、魔王」

真奥「え?」

27: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/06/08 20:46:14 ID:Xihzt2urO
恵美「私だって好き好んでこんな恰好をしている訳じゃないわ」

恵美「これは全てあなたに勝つ為よ。いわばこの格好は戦う為の正装」

恵美「防御力より、動きやすさを重視した結果なのよ!!」バァン!!

29: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/06/08 20:50:06 ID:Xihzt2urO
恵美(エメ曰く、この格好で戦闘態勢を取らない男はいないそうだわ)

恵美(そして魔王も男……この姿を見て、すぐにその研ぎ澄ました刃を抜くはず)

恵美(正直恥ずかしいけど、これも全て魔王を倒す為!)

恵美(さあ、掛かってきなさい! 全力でし合おうじゃないの!!)

30: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/06/08 20:53:45 ID:Xihzt2urO
真奥「……なあ、恵美」

恵美「何よ!」wktk

真奥「お前……頭大丈夫か?」

恵美「」

31: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/06/08 20:57:01 ID:Xihzt2urO
真奥「もしかして何処かで頭でも打ったのか?」

恵美「…………」

真奥「その、まだ夏だがさすがに何時までもそのままじゃ風邪引くと思うんだ」

恵美「…………」

真奥「なぜそんな恰好をしたのか知らないが、さっさと服を……って、ちょっと待て! そんな恰好で玄関に向かって走り出すな!?(汗」

33: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/06/08 21:00:04 ID:Xihzt2urO
恵美「離しなさいよ! 離せ、馬鹿ぁ!!」ジタバタ

真奥「離したら外に出るだろうが! そんな事をしたら別の意味で勇者になるぞ!?」

恵美「うぅ……えぐっ……ふえぇぇぇん(号泣」

真奥「こ、今度は泣き出した!? もう、何なんだよ、今日のお前は!!」オロオロ

34: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/06/08 21:04:24 ID:Xihzt2urO
恵美「せっかく恥ずかしいのを我慢して……うっ、えぐぅ……こんな恰好したのに……」

恵美「ぜ、全然何の反応もしなくて……ひくっ……しかも言うに事欠いて……『頭、大丈夫か』って……いくらなんでも……それはないでしょう……?」エグエグ

真奥「えっと、言い方が悪かったのは謝る……その、実のところ驚き過ぎてどう反応すれば良いのか分からなくて」アセアセ

恵美「それにさ……ひっく……最近仕事だからって帰りが遅い日も多いし……早く帰ってもさっさと1人で寝ちゃうし……えぐっ……そりゃ仕事が大事なのは分かるけどさ……」

恵美「魔王なら……ちゃんと勇者を見てよ……私のサイン……キャッチしてよぉ……」ポロポロ

真奥「……あー」ホオポリポリ

36: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/06/08 21:09:04 ID:Xihzt2urO
真奥「別にお前を蔑ろにしていたつもりは無かったんだが……寂しい思いをさせたのは悪かった。スマン」ダキッ

恵美「……何でも抱きしめれば済むと思わないでよね」グスン

真奥「仕方ないだろう、お前はこういう時はこれが一番効果あるんだから……それと前々から思っていた事があるんだけどさ」

真奥「お前ってやたら勇者と魔王の関係を重視するよな?」

37: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/06/08 21:12:48 ID:Xihzt2urO
恵美「当り前でしょう。だって私とあなたは……」

真奥「確かに最初はそうだった。お前は俺にとってはただの『勇者』で、俺はお前にとってはただの『魔王』だった。その繋がりは確かに続いてはいるけど……」

真奥「今の俺達の繋がりはそれだけじゃないだろう?」

真奥「だから無理に引き合いに出さなくても良いんだぞ? そして甘えたい時は素直に甘えて来てくれると助かる……俺も出来るだけお前のサインをキャッチする様にするからさ」ナデナデ

38: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/06/08 21:15:47 ID:Xihzt2urO
恵美「…………」

恵美(……魔王、やっぱりあなたは卑怯だわ)

恵美(抱きしめながら、そんな優しい言葉を掛けられたら……さっきまでのイライラやウルウルが全部吹き飛んじゃうじゃない)

恵美(素直に、頷くしかないじゃない)

39: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/06/08 21:20:17 ID:Xihzt2urO
…………

恵美「え? 本当!?」←服着た

真奥「ああ、これまでずっとマグロナルドのバイトとして頑張ってきた訳だが」

真奥「今度ようやく正社員になる事が決まった」

恵美「やった! やった! ばんざーい!!」ピョンピョン

恵美「…………」ピタッ

恵美「まあ、魔王にしては頑張った方じゃない? むしろ遅過ぎるくらいよ」キリッ

真奥(結局元通りか。この方がこいつらしいけど)

41: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/06/08 21:23:54 ID:Xihzt2urO
恵美「もしかして最近仕事が多かったのはそのせい?」

真奥「まあそれもあるんだが……」

恵美「何よ、その奥歯に物が挟まった言い方は……やはり何か企んでいるのね!? 悪い事は許さないわよ、魔王!!」

真奥「ん~まあいいや。せっかくだしまとめて報告するか」ガサゴソ

恵美「?」

44: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/06/08 21:26:36 ID:Xihzt2urO
真奥「はい、これ」

恵美「何これ?」キョトン

真奥「それ買うのにちょっと予算が欲しくてな。とりあえず開けてくれ……それでだな」



真奥「できればそれ、左手の薬指にはめてくれると嬉しいんだが?」

恵美「え?」

おわり


恵美「卑怯よ、魔王!」
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