1: ◆jZl6E5/9IU 2013/05/19(日) 00:45:08.19 ID:ca4FGLMH0
EDF拠点

イズル「特別強化プログラム…ですか?」

リン「ええ。これから先、あらゆる状況での戦闘が予測されるわ。
   少しでも勝率を上げるためにも、この一週間は各自訓練に充ててもらうから」

アサギ「勝、率…」ズーン

リン「言っておくけれど最近の戦果を見て言っているわけじゃないわ。そんなに気にしないで」ニコリ

ケイ「あの、各自ということは…」オズオズ

リン「あぁ。そうね、それも説明しましょう」

リン「これが各自のスケジュールよ。皆別れて進めてもらうから、何度も確認しておくように」テワタシ

スルガ「…うげ。ハードォ」ウツムキ

タマキ「きゅーけーがぜんっぜんないのらー」ダラーン

ケイ「タマキ、ダラけないの」

アサギ「新しい訓練…緊張する」イガー

003

2: ◆jZl6E5/9IU 2013/05/19(日) 00:45:56.62 ID:ca4FGLMH0
イズル「…あれ?」パラパラ

アサギ「? どうかしたか?」

イズル「あの、僕だけこれ…」

リン「ええ。あなたはここを離れての訓練よ」コクリ

スルガ「へ?」

ケイ「え」バサッ

タマキ「うにゅー?」ダラン

アサギ「…それは」

イズル「えっと。どうしてですか?」ホオカキ

リン「あなたの場合必要なのはリーダーとしての判断力よ。それにはやはり経験がいる。
   そこで、とっさの判断力に定評のあるチームに頼んで訓練してもらうことにしたの」

イズル「もしかして、それって…」

「よう。また会ったな」

チームザンネン「!!」

3: ◆jZl6E5/9IU 2013/05/19(日) 00:46:31.39 ID:ca4FGLMH0
アサギ「先輩方!」

イズル「あ、やっぱり」

ランディ「おう。俺たちが経験談と実践を交えてお前に生き残る術を伝授してやる」

ラケシュ「ま、ランディだけに任せてもよかったんだがな」

パトリック「まぁまぁ。先輩に任せると話が脱線しちゃいますし」

ランディ「パトリックー? そんなこと言うのはテメェのこの口かコノヤロー」ガッシ

パトリック「いたたっ! せ、先輩! ギブ、ギブですって!!」ギリギリ

ラケシュ「よさんか、ガッカリリーダー」

ランディ「お前もガッカリだろうが!」ガターン

ラケシュ「お前のようなボケと一緒にするな」

ランディ「何を!」

ザンネンズ「」クスクス

リン「――と!に!か!く!」パシーン

ザンネンアンドガッカリ「!」ビシッ

リン「…そういうことだからあなたは一週間別の拠点に滞在してもらうから。
   すぐに必要な荷物を纏めてきて」

イズル「は、はい!」

4: ◆jZl6E5/9IU 2013/05/19(日) 00:47:02.13 ID:ca4FGLMH0






イズルの部屋

イズル「強化プログラムかぁ…」ゴソゴソ

スルガ「お前よくそんな笑顔でいられるな」

イズル「だって、強化プログラムだよ! これはヒー…」キラキラ

アサギ「はいはい、ヒーローには必須だもんな、特訓」

タマキ「ヒーローばかもたいがいなのらー」アキレ

ケイ「準備は大丈夫? 忘れ物はない?」

スルガ「お母さんかよー。…まぁ母親なんて知らねーけど」

イズル「うん、大丈夫」

アサギ「一週間、か」ボソッ

イズル「…ちょっと寂しいかもしれないけど大丈夫! すぐに帰ってくるよ」

スルガ「誰も寂しいなんて言ってねーけどな」ケラケラ

タマキ「そうだそうだー」

アサギ「少しはリーダーらしくなってこいよ」

ケイ「気を付けてね、イズル」

イズル「ありがとう、皆」ニッコリ

イズル「――じゃあ、行ってくるよ!!」

6: ◆jZl6E5/9IU 2013/05/19(日) 00:52:22.79 ID:ca4FGLMH0
一日目

タマキ「うーんー」シュッ!ギューン!

スルガ「ほい、ほい、ほいっと」パンッパンッドシュッ!

ケイ「………」カタカタカタカタカタ

シュッ!ガキーン!パラララ…

演習用ホログラム「」カキーンッ!ヒュッ!

アサギ「ぐっ早…」キンッ!キンッ!

チュドーン!

リン『――ブルー1、今日はもう上がって』

アサギ「…はい」

7: ◆jZl6E5/9IU 2013/05/19(日) 00:53:55.61 ID:ca4FGLMH0





アサギの部屋

スルガ「よう」テヲアゲ

アサギ「…おう」イグスリゴクッ

スルガ「どうだよ調子は」

アサギ「まぁまぁだ」

スルガ「あっそ。…あー疲れた」ガタ

タマキ「うあー今日はもー歩きたくなーい」ピシャ

ケイ「ふぅ。ホント、なかなかハードね」ピシャ


9: ◆jZl6E5/9IU 2013/05/19(日) 00:54:14.50 ID:ca4FGLMH0
アサギ「…つーか、だから何でお前ら俺の部屋をたまり場にすんだよ」

スルガ「何となく」

タマキ「近い」

ケイ「タマキを放っておけないでしょ?」

アサギ「……おいリーダー、こいつらに――」

ケイ「…いないんだったわね。イズル」

スルガ「そういやそうだったなー」

タマキ「いつもなら何か的外れなこと言うのにー」ダラーン

アサギ「…ま、別にいいけどよ」

ケイ「一人でどうしてるかしらね」

スルガ「案外寂しくて泣いてたりしてな」クククッ

アサギ「まさか。先輩たちと無駄に熱入れて訓練してるだろうよ」

タマキ「ヒーローばかだもんね」

10: ◆jZl6E5/9IU 2013/05/19(日) 00:55:35.26 ID:ca4FGLMH0





EDF拠点の一つ

ランディ「それで? 結局どういう娘が好みなんだ?」サケアオリ

イズル「あ、あの先輩。特訓は…」オズオズ

ランディ「一日目はゆっくりしろよ。心配しなくても明日からはみっちりとシゴいてやるから」サケツグ

イズル「は、はぁ…」グラスハナス

ランディ「で、どうなんだ? この間のエロビデオ以来何かあったりしないのか?」

イズル「ええと、ケイにビンタされたぐらいで特には」

ランディ「何だつまらん。もったいないヤツめ」

イズル「そんなこと言われても…」

ランディ「ったく、お前はじいさんじゃないんだぞ? もっと甘酸っぱいものをだな…」クドクド

イズル「はい……」

イズル(……何か、想像してたのと違うなぁ)

18: ◆jZl6E5/9IU 2013/05/19(日) 14:16:00.73 ID:eyM1NJr10
二日目

休憩室

アサギ「…」フー

スルガ「よ」

アサギ「…おう」

スルガ「何だよ珍しくダラけてんじゃねーか」

アサギ「別に。疲れてんだよ」

スルガ「ふーん…」ハッ

スルガ「あ、そこのお姉さーん!!」タタタ

アサギ「…見境ねーな」

スルガ「」ペチャクチャ

美人のおねーさん「」ドンビキアンドテッタイ

スルガ「」トボトボ

19: ◆jZl6E5/9IU 2013/05/19(日) 14:16:41.44 ID:eyM1NJr10
アサギ「お前、女なら何でもいいのか?」

スルガ「んなわけねーだろ。美人限定だ」

アサギ「そのわりにはケイとかタマキにはいかないんだな」

スルガ「いやアイツらは何か違うっつーか…こう」

アサギ「こう?」

スルガ「………あー! 思いつかねー!」

アサギ「何だそりゃ」アキレ

スルガ「とにかく! 違うんだよ何かさ」

アサギ「ふーん…」

スルガ「…そ、そうだ、そういうお前はどーなんだよ!」

アサギ「…別に、特に誰も」

スルガ「人に聞いといてそれかよ!」

アサギ「そう言われてもな」

20: ◆jZl6E5/9IU 2013/05/19(日) 14:17:16.70 ID:eyM1NJr10
タマキ「疲れたー」

ケイ「何してるの?」

スルガ「おう。アサギの好きな人聞いてんだ」

アサギ「まぁいないけどな」

タマキ「ふぇー」モグモグ

ケイ「喋りながら食べないの」

アサギ「そうだ、タマキも」

タマキ「ん?」クビカシゲ

スルガ「タマキは言わずもがなだろー」

アサギ「そりゃそうだ」

21: ◆jZl6E5/9IU 2013/05/19(日) 14:18:27.61 ID:eyM1NJr10
スルガ「じゃケイはどうなんだ?」

ケイ「え?」キョトン

スルガ「だからケイだよ。誰かいんのか?」

ケイ「…私は特に」メソラシ

スルガ「ちぇっ。どいつもつまんねーの」

ケイ「つまらなくて結構よ」

アサギ「まったくだ」

スルガ「イズル…はいないか」

アサギ「アイツがそんなこと考えると思うか?」

スルガ「そうか? でもアイツのあのマンガとか基本かわいい娘とヒーローばっか出てるじゃん」

アサギ「アイツの好みの反映ってことか?」

タマキ「ありふぉー」モグモグ

ケイ(かわいい…)ムゥ

タマキ「んー」ダラー

ケイ「こらダッコ禁止」

タマキ「ちぇー」

リン『チームラビッツ。訓練再開の時間です。至急各位置につきなさい』

アサギ「ほらいくぞ」

スルガ「はいよー」

ケイ「ほらタマキ」

タマキ「うー。終わったら塩辛大盛り食べてやるもん」

22: ◆jZl6E5/9IU 2013/05/19(日) 14:20:36.81 ID:eyM1NJr10





EDF拠点の一つ

イズル「…ふー」アセカキ

ランディ「ようし、今日はここまでだ」

パトリック「お疲れさま」

ラケシュ「今日やったことはしっかりと確認しておけよ」

イズル「はい、ありがとうございました」ペコリ

ランディ「おう。…後でメシに行こうぜ?」ヒラヒラ

イズル「はい、ぜひ。それじゃお先に失礼します」ペコリ

マンザイスリー「」テヲフル

23: ◆jZl6E5/9IU 2013/05/19(日) 14:21:27.66 ID:eyM1NJr10





イズルの部屋

イズル「ふー」ドサッ

イズル「何か疲れたなぁ」ゴロゴロ

イズル「皆はどう…いないんだったな」

イズル「……」

イズル(うーん。退屈だなー。いつもは皆と話とかするけど…)

イズル(……復習して、マンガ描こう)ゴソゴソ

イズル「」カキカキ

イズル「」ウーン

イズル「」ピーン!

イズル「」スラスラ

イズル「」スラ…スラ…

イズル「」フー

イズル「……何か、ペンが進まないや」

イズル「……やめとこう」

44: ◆jZl6E5/9IU 2013/05/22(水) 00:41:03.22 ID:Us5o2p+v0
三日目

執務室

リン「……」カタカタ

シュ

リン「司令!」ガタッ

シモン「彼らはどうだ」

リン「今のところ訓練に支障はないようです。ただ…」

シモン「どうかしたのか」

リン「……いえ、問題ありません」

シモン「そうか」

リン「……」

45: ◆jZl6E5/9IU 2013/05/22(水) 00:42:37.92 ID:Us5o2p+v0





食堂

ケイ「……」カチャカチャ

スルガ「……」

タマキ「……」モグモグ

アサギ「……何か言えよスルガ」

スルガ「俺かよ。…特に何も言えねーよ」

アサギ「何だよ。いつもはペラペラ喋るくせに」

スルガ「何か気分じゃねーんだよ」

ケイ「別に無理に話す必要なんてないんじゃない?」

タマキ「ふぉーだよー」モグモグ

ケイ「タマキ零れてる」フキフキ

タマキ「んー」

46: ◆jZl6E5/9IU 2013/05/22(水) 00:43:23.29 ID:Us5o2p+v0
スルガ「なーんか、最近物足りない気がすんだよなー」

アサギ「訓練は良い調子なんだろ?」

スルガ「そうなんだけどさ」ウーン

ケイ「気のせいなんじゃない?」

スルガ「そうなのかねぇ」

タマキ「何となく分かる気がするー」

スルガ「えー、タマキがか?」

タマキ「何そのバカにした目!」

アサギ「まったく…どうせ撃沈しすぎて疲れてるだけだろ」

スルガ・タマキ「」チーン

ケイ(固まっちゃったわ…)

47: ◆jZl6E5/9IU 2013/05/22(水) 00:45:44.94 ID:Us5o2p+v0





格納庫

レイカ「それじゃ、皆お疲れー」

ピットクルー達「はい、おやっさん!!」

レイカ(さーて、今日は軽く大吟醸でも…♪)スタスタ

レイカ「…お、リンリーン!」フリフリ

リン「あ。…レイカ。それ、止めてって言ったでしょ? まぁいいわ、ちょっといい?」

レイカ「ん? いいけどどうかした?」

リン「ええ、ちょっとあの子たちのことで」

レイカ「ふーん」

48: ◆jZl6E5/9IU 2013/05/22(水) 00:47:28.96 ID:Us5o2p+v0





リンの部屋

レイカ「…で。どうしたの? 今日もあの子たち絶好調で訓練してたと思うけど」グビッ

リン「それはいいんだけど…」

レイカ「何か不安でも?」

リン「…実は、この三日でチーム全員の精神面の調子がどうもいつもと違うみたいで」

レイカ「へー。どう違うの?」ポリポリ

リン「柿の種は止めてよ。…何というか、不安のようなモノが検出されてきているって」

レイカ「不安?」

リン「ええ。何か噛み合わないモノでもあるみたいで。……まぁ訓練に影響するほどではないみたいだけど」

レイカ「なるほどねぇ。そういえば、確かに最近皆ちょっと気が浮かない感じしてたわ」

49: ◆jZl6E5/9IU 2013/05/22(水) 00:50:22.48 ID:Us5o2p+v0
リン「何かあったのかしら…」

レイカ「んー…」

レイカ「……」ピーン!

レイカ「たぶんだけど、五人一緒じゃないからじゃない?」

リン「え?」

レイカ「ほら、あの子たちお互いの仲は深いじゃない? 正直私たち相手でも少し遠慮がちなトコあるし」

レイカ「案外、仲間がいなくて寂しいんじゃない?」

リン「……それは」

レイカ「ま、推測だけどさ。…でも。だとしたら、良いことじゃない?」

リン「そう、ね」

リン(あのチームラビッツに『仲間意識』が生まれたなら)

リン(あの子たちも少しは未来に希望を持てる、のかしら)

レイカ「ほらー、そろそろ飲みましょ? これかなりの上物だからねー♪」サケツグ

リン「ちょ、ちょっと!? …もう、少しだけよ」

50: ◆jZl6E5/9IU 2013/05/22(水) 00:51:25.19 ID:Us5o2p+v0





EDF拠点の一つ

食堂

イズル「ふぅ…」カチャ

ランディ「何だ、元気がないな」

イズル「え、そうですか?」

ラケシュ「うむ、どこか悪いってわけでもなさそうだが」

パトリック「この後の訓練、出れるかい?」

イズル「い、いえ。大丈夫ですから」スクッ

ランディ「どこに行くんだ?」

イズル「ちょっと食後の散歩に」

51: ◆jZl6E5/9IU 2013/05/22(水) 00:51:51.50 ID:Us5o2p+v0
スタスタスタスタ…

パトリック「どうしたんでしょう、彼?」

ラケシュ「…仲間が恋しいのかもしれんな」

パトリック「あぁ…。そうか、もう三日もずっと一緒だった仲間に会っていないんですもんね」

ランディ「みたいだな。分かりやすいヤツだ」

ラケシュ「どうするんだリーダー。あれじゃ残りの数日が不安だぞ」

ランディ「さてな」ガタッ

パトリック「行ってらっしゃい、リーダー」

ラケシュ「しっかりフォローしろよ」

ランディ「さて、何のことやら」ニッ

52: ◆jZl6E5/9IU 2013/05/22(水) 00:52:28.58 ID:Us5o2p+v0





休憩所

イズル「」カキカキ

イズル「…うーん」

イズル(昨日からそうだけど、ペンが進まないなぁ)

イズル「…何でだろうなぁ」

ランディ「どうしたんだ」

イズル「あ、先輩…」

ランディ「よう。ずいぶん調子悪そうだな」

イズル「うーん…元気なはずなんですけど」

53: ◆jZl6E5/9IU 2013/05/22(水) 00:53:05.47 ID:Us5o2p+v0
ランディ「仲間が恋しくなったか?」フッ

イズル「え?」

ランディ「記憶を消されて以来、ずっと共にいたヤツらなんだろ?」

ランディ「お前にとって、いつの間にか必要になってるんじゃないか」

イズル「そう、なんでしょうか…」ウツムキ

ランディ「さぁな? それは俺には分からん」

ランディ「――お前だけだよ、お前を知っているのは」

イズル「……」

ランディ「さ、そろそろ訓練再開だ」

イズル「はい…」

54: ◆jZl6E5/9IU 2013/05/22(水) 00:53:34.81 ID:Us5o2p+v0





EDF拠点

アサギの部屋

アサギ「…」フー

アサギ「……」ゴロゴロ

アサギ(…退屈なもんだな)

アサギ(昨日は部屋を皆に独占されたみたいで嫌だったのにな)

アサギ(今度は皆がいないのが、何か、違和感がある)

アサギ(訳分かんねぇな…)ゴロゴロ

アサギ(…そもそも。俺は本当に嫌だったのか?)

アサギ(スルガのしょうもない話の相手して、タマキのヤツにケイと呆れて)

アサギ(……まさか。本当は、あの時。俺は――)

アサギ(――ホッとしてたんじゃないか?)

アサギ(…どうなんだ、俺)

アサギ「……………」

アサギ「……ホント、訳分かんねぇな」フー

55: ◆jZl6E5/9IU 2013/05/22(水) 01:03:38.89 ID:Us5o2p+v0
アサギ(何かが変わった、ってのは確かなんだろうな)

アサギ(どこから、かは…)

アサギ(やっぱり、あの拠点防衛戦から、か?)

アサギ(初めてアッシュに乗って、あろうことか、初めて活躍して――)

アサギ(……アイツがリーダーになってから、全てが変わってきてるのかもな)

アサギ(最初は、下手なマンガ描いては俺たちにツッコまれて)

アサギ(ヒーローになるとか何とか言って、呆れさせて)

アサギ(最初は、何でリーダーになったのかも理解できなかったし、納得いかなかった)

アサギ(…なのに、いつの間にか、アイツがリーダーじゃないとしっくりこなくなってきてる)

アサギ「……ホントに。変なヤツだよ、お前はさ。…イズル」

112: ◆jZl6E5/9IU 2013/05/28(火) 00:57:29.08 ID:6B6grtP60
四日目

EDF拠点

スルガ「あ、そこのお姉さーん!!」

スルガ「」ペチャクチャペチャクチャ…

スルガ「………」

スルガ「…ふー、また失敗かぁ」

スルガ「…なーんか、ナンパする気分になんねーな」

スルガ「――カレーでも食うか」フー

スルガ「ん?」

タマキ「」グデー

スルガ「何してんだお前?」

タマキ「ぐでーってしてる」

スルガ「変なの」

タマキ「最近動く気になれないのらー」

スルガ「ふーん」

タマキ「何してんの?」グデー

スルガ「俺もグデーってすることにした」グデー

タマキ「あははー、変なのー」

スルガ「お前もな」

113: ◆jZl6E5/9IU 2013/05/28(火) 00:58:16.13 ID:6B6grtP60





個人用キッチン

ケイ「…」カチャカチャ

イリーナ「うーすお嬢」

ケイ「…どうも」ペコリ

ジェーン「何ー反応薄いわねー」

ケイ「すいません…」

イリーナ「それ、愛しの彼にあげるの?」

ケイ「あいにくですけどそういう人はいないですから」

ロナ「ふーん」ニヤニヤ

ケイ「…何ですか」

イリーナ「別に、ねぇ? …あ、そうそう、レッド5の彼、予定が早まって今日帰ってくるらしいよ」

ケイ「そう、ですか」クチユルム

114: ◆jZl6E5/9IU 2013/05/28(火) 01:00:16.57 ID:6B6grtP60
クルーたち「………」

クルーたち「」ピーン!

イリーナ「あらー? お嬢、クリーム付っちゃってるわよー」

ロナ「…あ、あの子、例の彼じゃない?」ニヤニヤ

ケイ「…ッ!?」フキフキ!

ロナ「なーんちゃって」

ケイ「?」

ジェーン「帰ってこないわよ、彼」クスクス

ケイ「……ウソをつくのは止めてください」

マリー「ふふっ、そんなに慌てなくてもいいんじゃなーい?」

ケイ「…別に。人にみっともない姿をいつまでも晒す趣味はないですから」

イリーナ「そ。ま、そういうことにしてあげる」

ケイ「何ですかその言い方」

イリーナ「さーね。お嬢はかわいいってことよー」ナデナデ

ケイ「それも止めてください」ムッ

イリーナ「ふふっ。バーイ、お嬢」

スタスタスタスタ…

ケイ「…バカに、して」ボソッ

ケイ(イズル…)カチャカチャ

イズル『マンガも描きたいし、ケイのあの無駄に甘いケーキを食べさせてもらうんだ!』

ケイ(…そういえば、まだあの時の礼にあげてない……)

ケイ「…材料、まだあったかな」

115: ◆jZl6E5/9IU 2013/05/28(火) 01:00:52.75 ID:6B6grtP60





EDF拠点の一つ

ランディ「よし。分かっていると思うが、最後の訓練である今日はアッシュを使っての訓練だ」

イズル「? でも僕のアッシュは…」

マユ「ちゃんと持ってきたよー、イズルっち」

イズル「あ、み、皆さん!」

デガワ「おう、元気してたか?」

ダン「久しぶりだね」

ランディ「ま、そういうわけだ」

ラケシュ「遠慮なく鍛えてやろう」

ランディ「俺のシメを取んなよ!」

ラケシュ「知るか」

パトリック「えっと、始めようか?」

イズル「…はい」

116: ◆jZl6E5/9IU 2013/05/28(火) 01:01:38.10 ID:6B6grtP60





食堂

イズル「」フー

マユ「おーいイズルっちー!」ブンブン

デガワ「こっち来いよー」

イズル「あ、皆さん」タタタ

ダン「お疲れ」

マユ「お昼まだ? 今日のおススメは日替わり定食だね」

イズル「あ、じゃあそれで」

マユ「うん、待ってて」

デガワ「いやはや、相変わらずっぽくって安心したよ」

ダン「調子悪そうって聞いてたけど、訓練もいい感じじゃないか」

イズル「あ、ええと、どうも…」

117: ◆jZl6E5/9IU 2013/05/28(火) 01:02:25.74 ID:6B6grtP60
マユ「お待たせ―。…何か浮かない顔だね、イズルっち」

イズル「…あ、あの」

ダン「ん?」

イズル「他の皆は、その、元気ですか?」オソルオソル

マユ「……ははーん」

イズル「な、何ですか…?」

ダン「イズル。寂しかったんなら電話でもすればよかったのに」

イズル「あ、いえ、その僕は…」

デガワ「無理するな お前の大事な 仲間だろ?」ニッ

イズル「……え、と」

ダン「微妙に字余りですよデガワさん」

マユ「ま、心配しなくても大丈夫大丈夫。明日には帰るんだし」

イズル「…え?」

ダン「聞いてないの? 明日は移動日だよ」

デガワ「そんでもって明後日は訓練の成果を見るための任務だ」

マユ「それでこの一週間の訓練はおしまいってわけ」

イズル「…そうですか」

マユ「あれ? 浮かない顔だね?」

イズル「いえ、そんなことないですよ」

デガワ「本当かぁ?」

イズル「あ、あの、いただきます」

クルーたち(あ、ごまかした)

118: ◆jZl6E5/9IU 2013/05/28(火) 01:03:15.06 ID:6B6grtP60





五日目

EDF拠点

アサギの部屋

アサギ「今日はまるまる移動か」

スルガ「休むのも訓練って言われたけどよ」

ケイ「…暇を持て余すわね」

タマキ「うー、つまんなーい」ゴロゴロ

ケイ「タマキ、床で寝ない」

スルガ「何かおもしろいことでもねーかなー」

アサギ「少しは緊張とかねーのかお前には」

スルガ「お前の胃とは違うんだよ俺は」ケラケラ

アサギ「何だと…」

ケイ「止めなさいよ、まったく」

119: ◆jZl6E5/9IU 2013/05/28(火) 01:03:54.13 ID:6B6grtP60
タマキ「つまんなーい」

スルガ「ま、久しぶりにイズルのヤツにツッコミできるのはいいけどな」

アサギ「…何だかんだ言って、すげー違和感あったな、この数日」

ケイ「そう、ね……」

スルガ「…アイツもリーダーっぽい感じになってるってことか」

タマキ「…」ピーン!

タマキ「そーだ! ねー、みんなー」

ケイ「急に大声出さないでよ」メヒソメ

アサギ「何だ、どうかしたか?」

タマキ「うーんとねー」

120: ◆jZl6E5/9IU 2013/05/28(火) 01:04:32.15 ID:6B6grtP60
ヒソヒソゴニョゴニョ

スルガ「ふーん…」

タマキ「いい具合に時間つぶしになるのらー!」

アサギ「正直どうかと思うが…ま、たまにはいいか」

スルガ「へぇ、意外にのんのな」

アサギ「別に。気まぐれだよ、気まぐれ」

スルガ「そうかよ。ケイは?」

ケイ「…まぁ、いいんじゃない?」

タマキ「ふふー、じゃやろー」

スルガ「おう。準備しねーとな」

ケイ「私がりょ…」

アサギ「俺が食堂から貰ってくる。言えば何か用意してくれるだろ」ガタッ

スルガ「任せた―」

ケイ「……」

121: ◆jZl6E5/9IU 2013/05/28(火) 01:05:16.95 ID:6B6grtP60





EDF拠点の一つ

輸送艦内部

イズル「…」ンー

イズル(僕は、皆をどう思っているんだろう?)

イズル(養成所以来の『仲間』で、ずっと一緒に戦ってきたけど…)

イズル(『家族』…っていうのは全然違うし)

イズル(ヒーローには『仲間』が付き物だと思うけど…)

イズル(僕には、そもそも『仲間』っていうのがよく分かってないのかなぁ?)

イズル(…そういうマンガ、あったけかな?)

イズル「…分からないなぁ」

イズル(皆に会えば、この気持ちも分かるのかな…)

イズル「今日はもう休もう…」

122: ◆jZl6E5/9IU 2013/05/28(火) 01:05:54.98 ID:6B6grtP60
六日目

スターローズ

作戦室

タマキ「」ソワソワ

スルガ「……」

アサギ「……」

ケイ「……」

シュッ

ラビッツ「イズル!」ガタッ

イズル「あ、皆…」

タマキ「おそーい!」

スルガ「久しぶりだな。…って何だその暗いツラ」

イズル「え、そう?」

アサギ「ったく、自分のことぐらいちゃんと見ておけよ」

ケイ「そうよ、リーダーなんだから」

イズル「あ、あはは…」

イズル以外のラビッツ「?」

リン「」ピシッ

チームザンネン「」ビクッ

リン「…全員、揃ったわね?」

リン「任務を開始するわよ」

123: ◆jZl6E5/9IU 2013/05/28(火) 01:07:33.08 ID:6B6grtP60





翌日…七日目

EDF拠点

廊下

イズル「」フー

イズル(結局、任務はうまくいったし、新しい連携もこなせたけど…)

イズル(結論、出なかったなぁ)

イズル(報告書出し終わって皆はどこか行っちゃったし…)

イズル「…はぁ」テクテク

イズル(…あ、着いた)

イズルの部屋の前

イズル「」ピピッ

124: ◆jZl6E5/9IU 2013/05/28(火) 01:08:12.55 ID:6B6grtP60
シュッ

タマキ「おかえりー!!」

スルガ「遅かったじゃねーか!」

アサギ「ま、タイミングはよかったけどな」

ケイ「そうね」クスッ

イズル「み、皆! どうしてここに…」

スルガ「一週間もいなかったお前のためにうまいメシ用意してもらってやったんだよ」

アサギ「『一応』、お前がリーダーだしな」

ケイ「昨日もお疲れ様、イズル。これからも頑張ってね」

タマキ「がんばれー」

イズル「皆…」

スルガ「お前…もしかして泣いてる?」

イズル「」ハッ

イズル「お、おかしいな…あはは」ゴシゴシ

アサギ「しょうがねぇヤツだな」

ケイ「ホント、しょうがないんだから」

タマキ「私たちがいないとダメなんだからー」ムフフ

イズル「…うん、そうみたい」

イズル「――ありがとう、皆!」ニコリ

125: ◆jZl6E5/9IU 2013/05/28(火) 01:10:19.92 ID:6B6grtP60







イズル(その後、食堂からの差し入れのおいしいゴハンを皆で食べて)

イズル(先輩に渡されたビデオをアサギと見る約束したり)

イズル(皆がいない間に顔を赤くしたケイに甘ったるいケーキをこっそりと食べさせられたりして)

イズル(とにかく、皆で騒いだ)

イズル(あの時、何で僕は泣いたのか分からず仕舞いだったし、結局僕が皆をどう思っているのか分からなかったけれど)

イズル(でも、いいや。だって――)

イズル(――僕は皆が好きだから!)



イズル「乾杯!」

ラビッツ「乾杯!」

カンッ!

179: ◆jZl6E5/9IU 2013/06/11(火) 03:14:02.34 ID:fuiY7LCl0
こまったおねえさん

戦艦ゴディニオン内部

リン「まったく…どうして私が室内調査なんて……」

レイカ「しょうがないんじゃなーい? リンリンが一応観察役なんだからさ」ケラケラ

リン「関係ない人はいいわね、気楽なこと言って」

レイカ「ふふ、じゃね、リンリン」

ツカツカツカツカ……

リン「」フー

リン「まずは、女子からかしらね」

180: ◆jZl6E5/9IU 2013/06/11(火) 03:15:05.77 ID:fuiY7LCl0





リン「まったく…」

リン(ケイやアサギはよしとして、スルガやタマキは後で厳重注意でもしておこうかしら)

リン(特にタマキ。部屋の清潔度に気を配るように言っておかなければ…)ソウジキカタテ

リン(…さ、次でおしまいね)

イズルの部屋前

リン(といっても、問題ないでしょうけれど)

シュッ

リン(相変わらずマンガと描く道具しかないわね)

リン(これなら特に注意が必要ってことも……ん?)

181: ◆jZl6E5/9IU 2013/06/11(火) 03:15:57.28 ID:fuiY7LCl0
リン「」ツカツカ

リン(これは、映像記録のためのディスク?)

リン(デッキと大型テレビも……)チラ

リン(……珍しいわね。何を見ていたのかしら)カチャ

リン「……」ウィィィン……

パッ!

アンッアアッソコゥッンン! ゲヘヘイイノカァ? パンッパンッ! グチョグチョ

リン「」

リン「」バッ カチッ

リン「い、今のは…」ソー

パッ!

アンッイイッソコウッ! ウッイイゾッイクッ! アァァンッ!

リン「」

リン「」

182: ◆jZl6E5/9IU 2013/06/11(火) 03:16:43.96 ID:fuiY7LCl0
リン「……っ!?」カァッ

リン「」カチッ

アン…ブツンッ!

リン(…落ち着きなさい、私)

リン(年頃の子供にはあること、よ。ええ、そう)

リン(単純に、人畜無害そうなあの子がこんな内容のモノを見てるのに驚いているだけ)

リン「」フー

183: ◆jZl6E5/9IU 2013/06/11(火) 03:17:32.82 ID:fuiY7LCl0
リン(というか…)

アンッアアアンッ!

リン(さっきの人、何か私に…)

リン「」ハッ

リン(何をバカなこと考えてるの私は)ブンブンブンブン

リン(じょ、冗談じゃないわ。生徒に、そんな……)





イズル『教官…僕、ずっと前から』ジリジリ

リン『ちょ、ちょっと、冗談は止しなさい』アトズサリ

イズル『僕、真剣です……っ!』ガバッ

リン『ま、待って! あ、そんな……』






リン「…」

リン「っ!」カァッ

リン「」ポカポカポカポカ

リン(…み、見なかったことにしましょう)

リン(そうすれば、全て解決するんだから)

リン「」ハァ

リン「…今度、レイカと飲みに行こう」

その後、しばらくの間イズルと目を合わせずらくなったり、その影響でチームラビッツとも上手く接することができなくなったり、
そのことについてレイカに酒の席で泣きながらいろいろとぶちまけるリンであったが、それは別の話。



【マジェプリ】もしもイズルが一週間いなかったら
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1368891908/)
 ※短編も更新予定