1: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/07/02 23:16:20 ID:vbbepsYlO
ミーンミンミーン

真奥(あーくそ。たまの休みだからって真夏の真っ昼間に外出するもんじゃないな)

真奥(もう喉がカラカラだ。財布の残金は……300円とちょっとか)

真奥「う~ん……」

真奥(無理だ、もうすぐ魔王城だがとても我慢できん。そこの公園の自販機で何か買おう)

007

2: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/07/02 23:19:55 ID:vbbepsYlO
…………

真奥「ごくごく……ぷはー!」

真奥「やっぱり暑い日はギンギンに冷えた炭酸だな! ソーダの味って男の子だよな!」

真奥「しかしなんだよ、この暑さ。この世界はこの時期になると毎年こうなのか……ん?」

真奥「あそこのベンチに座ってるのは……恵美か?」

5: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/07/02 23:28:08 ID:vbbepsYlO
恵美「Zzz……」

真奥(涎垂らしながら熟睡してる……何こんな暑い中で寝てんだ、こいつ?)

恵美「むにゃ……魔王……」

真奥(ん、寝言? 夢の中に俺でも出てるのか?)

恵美「ふふふ、今日があなたの命日よ……その皮、綺麗に半分削ぎ落としてリアル人体模型にしてあげるわ……むにゃむにゃ……」

真奥「……正義の味方とは思えない物騒な夢見てんな、おい」

8: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/07/02 23:36:26 ID:vbbepsYlO
真奥(なんかムカつくから涎垂れてる寝顔、ケータイで写しとこう)カシャ

真奥(しかし一応日陰にはなっているが何時までも居たら熱中症になるぞ……仕方ない、起こすか)

真奥「お~い、恵美~。起きろ~」

恵美「Zzz……」

真奥「何時までもここにいたらバーベキューになるぞ~」

恵美「Zzz……」

真奥「返事がない。ただの屍の様だ……って訳じゃないよな」

10: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/07/02 23:42:17 ID:vbbepsYlO
真奥(よし、頬っぺたを突いてみよう)ツンツン

恵美「Zzz……んっ」ビクッ

真奥(お、反応あり。にしても柔らかい頬っぺたしてるな)ムニムニ

恵美「んっ……んんっ……」ビクッ

真奥(おーなんか楽しい……って何やってんだ、俺)ツンツン

真奥(こんな悪戯心を抱くのは、多分この暑さのせいだな)ツンツン

11: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/07/02 23:46:24 ID:vbbepsYlO
真奥(やめた、やめた。普通に身体揺さぶって起こそう)

真奥(そもそもこのタイミングで起きたらいらん誤解をされそうだし……ん?)

恵美「…………」パチクリ

真奥「…………」

恵美「…………」

真奥「……おはよう」

バチーン!!

13: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/07/02 23:56:26 ID:vbbepsYlO
…………
恵美「ケダモノ。人の寝込みを襲うなんてやっぱりあんたはクズね、この外道魔王が」

真奥「襲ってねーよ! 起こそうとしてやっただけだよ!!」ヒリヒリ

恵美「じゃあ何であんなに顔近づけてたのよ」

恵美「もしかして寝ている私にその、キ、キ、キスしようとしてたんじゃないの!?///」

真奥「何でお前にキスなんかすんだよ……つか涎まみれの口なんかにキスしたくねーし」

恵美「え? あ!?///」ゴシゴシ

14: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/07/03 00:05:49 ID:39sGQwfBO
真奥「まあ驚かせたのは悪かったがいきなりビンタはないだろ」

真奥「衝撃で首が180°曲がるかと思ったぞ」

恵美「ふん、ならもう180°曲がっていればよかったのよ」

真奥「それ一回転してんじゃねーか! いくら魔王でもこの身体でそんな芸、できねーよ!」

真奥「つか……なんでお前こんなとこで寝てたんだ? 変質者にでも襲われたらどうすんだよ?」

恵美「くっ、まあ事実変質者に近い奴には襲われちゃったけど」

真奥「魔王と変質者を同じ扱いにするな。後さっきから襲ってねーって言ってんだろ」

15: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/07/03 00:13:09 ID:39sGQwfBO
恵美「……あんた達のせいよ」

真奥「は?」

恵美「あんた達が全員魔王城を留守にしてるからこうなったのよ!」バン!

真奥「……悪い。話が見えないからもっとわかりやすく言ってくれ」

恵美「私は勇者よ。あんた達がこの世界で悪事を働かないか、監視する義務があるわ」

恵美「だから今日もこの暑い中、せっかくの休日も返上して魔王城の様子を見に来たのよ!」

恵美「なのにいざ来てみたら魔王城はもぬけの殻! 全員居ないってどういう事よ! 喧嘩売ってんの、あんた!!」ゲキオコ

真奥「え? それは俺が悪いのか?」

16: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/07/03 00:27:00 ID:39sGQwfBO
恵美「魔王なら大人しく玉座にでも座ってジッとしてなさいよ! 普通の魔物みたいに出歩く魔王なんて聞いた事ないわよ!!」

真奥「いや、なんかのゲームとごっちゃになってないか、お前? そもそも魔王城に玉座なんてねーから。ちゃぶ台しかねーから」

恵美「万年ニートのルシフェルも居なかったから勝手に何処かに引っ越したか、エンテ・イスラに戻ったかと思ったわよ」

真奥「引っ越す金なんかないし、魔力もまだ戻ってないから帰れねーよ。漆原は芦屋と一緒にスーパーの特売にでも行ってんだろ。俺が出掛けてたからその代わりにな」

恵美「知ってるわよ。隣のベルに聞いたら家から出たくないって駄々をこねてたルシフェルをアルシエルが無理矢理連れ出してたって」

17: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/07/03 00:35:04 ID:39sGQwfBO
恵美「それでもすぐ戻るかと思ったら全然帰って来ないし……結局この暑い中、長い時間待つ事になったのよ。この暑い中をね!」ギロリ

真奥「その割には熟睡してたような……鈴乃の部屋で待つという選択肢はなかったのか?」

恵美「ベルも話を聞いた後、すぐ出掛けたのよ」

真奥「じゃあ何処かの喫茶店に入るとか」

恵美「この辺り喫茶店ないじゃない。それにあんまり離れすぎると何時あんた達が戻るか分からないし」

真奥「……今日は諦めて帰ったら良かったんじゃないのか?」

恵美「ここまで待って帰るなんてなんか悔しいでしょ!!」バン!

真奥(めんどくせー)

19: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/07/03 00:41:56 ID:39sGQwfBO
恵美「あーもうなんか叫び過ぎて喉渇いちゃたわよ……自販機何処だっけ?」キョロキョロ

真奥「もしかして何も飲んでなかったのか? それはまずいだろ?」

真奥「ああ、このサイダー飲むか?」

恵美「あら、珍しく気がきくわね。魔王から施しを貰うなんて不本意だけど今は受け取ってあげるわ」

真奥(本気で喉渇いてたんだろうな)

恵美「ごくごく……ふぅ。やっぱり夏は炭酸よねー♪」

恵美「…………」

真奥「どうした?」

20: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/07/03 00:48:57 ID:39sGQwfBO
恵美「頭がぼーとしてたからつい受け取ったけど……これあんたが買ったのよね?」

真奥「そうだけど?」

恵美「キャップも開いてて、中身も減ってるから……あんたも飲んだのよね?」

真奥「ああ」

恵美「つまり……このジュースのペットボトルに口をつけたのよね?」

真奥「当たり前だろ。ストローなんかないんだし」

恵美「…………」

真奥「?」

恵美「……きゃああああああああ!!!///」ブオーン!!

真奥「あ! お前中身残ってるのに何砲丸投げみたいにジュースぶん投げてんだよ!?」

22: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/07/03 00:57:15 ID:39sGQwfBO
恵美「あ、あ、あ、あんた! そ、そ、そこの魔王! な、な、な、な、なんて物を飲ませるのよぉ!!///」オロオロ

真奥「ただのサイダーだろ!? つーか俺の金で買ったジュースを飲むなら未だしも投げ捨てるとは……俺とサイダーに謝れ!!」

恵美「うっさい! あーもう思いっきり口付けちゃったじゃない!!」

恵美「そのせいで私は、あ、あんたとか、間接、間接キ、キ、キ……///」

真奥「ん? ああ、言われてみれば間接キスか」

恵美「言うな、ボケ!」ゴス!!

真奥「ごふっ!?」ミゾオチー

23: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/07/03 01:03:26 ID:39sGQwfBO
真奥「げふっ……い、息が……お前、鳩尾は、鳩尾はないだろ……確実に今のは快進の一撃だぞ……」ヨロヨロ

恵美「うるさい! あーもう今日は最悪! これはもう全部、全部あんたが悪いのよー!!」

恵美「信じられない……本当……これだから魔王は……」

真奥(ん、なんかこいつさっきから様子がおかしいような……)

恵美「……きゅー」バタン

真奥「あ、おい!?」

25: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/07/03 01:09:44 ID:39sGQwfBO
真奥「おい、大丈夫か!?」

恵美「回る~……世界が回ってる~……」

真奥「お前、顔真っ赤だぞ? 熱中症になってんじゃないのか!?」

真奥(何時もより騒ぐし、間接キスくらいで狼狽し過ぎと思ったが……こんな暑い中、水も飲まずにジッとしてたらこうもなるわな)

真奥「たくっ、世話の焼ける勇者だな……はぁ」

恵美「はらへろ~……」

26: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/07/03 01:13:44 ID:39sGQwfBO
…………
恵美(…………)

恵美(なんか頭に冷たいものが……気持ちいい)

恵美「……んっ」

恵美(ここは……魔王城?)

真奥「お、気がついたか」

恵美「……魔王?」

27: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/07/03 01:20:56 ID:39sGQwfBO
恵美「えっと、私……」

真奥「倒れたんだよ、公園で。あんな暑い中、ジッとしてるからだ」

恵美「……なんかぼーとしててあんまり覚えてない。今少しもぼーとしてるけど」

真奥「ここまで運ぶの大変だったんだぞ。氷枕はまだ大丈夫か」

恵美「うん……」

真奥「なら水飲めよ。動き難いなら飲ましてやるけど」

恵美「自分で飲めるわよ……」

28: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/07/03 01:29:09 ID:39sGQwfBO
真奥「少しは落ち着いたか?」

恵美「落ち着いた……けど同時に凄く情けなくなった」

恵美「よりにもよって魔王なんかに助けられるなんて……くっ」グググ

真奥「フフ、とりあえずこれは貸しにしといてやるよ」

恵美「あんたもあんたよ。なんで魔王のくせに勇者助けてるのよ?」

真奥「悪いか?」

恵美「悪いわよ。そんなんだから私は……」

真奥「ん?」

恵美「……なんでもないわ。今更だし」

29: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/07/03 01:36:49 ID:39sGQwfBO
恵美「とりあえず世話になったわね。一応お礼は言っておくわ」

恵美「その……ありがとう///」

真奥「どういたしまして。例え勇者からでも礼を言われるの気分がいいもんだな」

恵美「ふん、一言多いわよ」

真奥「早く元気になれよ。そんなんじゃ打倒魔王は無理だぜ?」

恵美「うっさいわね。もう大丈夫よ」ムクッ

真奥「おい、まだ起き上がらない方が……」

恵美「だから大丈夫……あっ」ヨロッ

真奥「あ、おい!」

ドサッ

31: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/07/03 01:43:04 ID:39sGQwfBO
恵美「…………」

恵美(……ど、どうしよう?)

真奥「お前な、だから無理すんなって言っただろ?」

恵美(魔王の胸に飛び込んでしまった……私、魔王に受け止められてる?)

真奥「大丈夫か? 恵美?」

恵美(あ、あれ? なんで動けないんだろう?)

恵美(魔王なんかの胸の中なのに……なんか心臓がやけに鼓動してるような……)

真奥「おい、恵美? なんかまた顔が赤くなってるぞ?」

33: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/07/03 01:51:49 ID:39sGQwfBO
真奥「やっぱりまだ治ってないんじゃないか? 横になってろよ」

恵美「あ、いや、その……///」

真奥「おい、どうかしたのか?」

恵美(やばい……顔を上げたら目があって……)

恵美(その目が……離せない……)

恵美「……ま、魔王///」

真奥「……恵美?」

35: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/07/03 01:56:51 ID:39sGQwfBO
ガチャ

芦屋「魔王さま、今戻りました」

漆原「あー暑かった。もう僕二度とこんな暑い日に外にはでないからね」

千穂「こんにちはー。すぐそこで芦屋さん達と会ったので遊びに来ちゃいました♪」

真奥&恵美「あ」

三人「え?」

36: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/07/03 02:05:30 ID:39sGQwfBO
芦屋「ままままままま魔王さま! これはどーいう事ですか!?」

真奥「え、何が?」

恵美「ち、違う! これは違うの! って何時までも抱きしめてんのよ、変態!!///」ドン!

芦屋「勇者エミリア! 貴様、こんな真っ昼間から魔王さまの純潔を奪おうとは……!?」ゲキオコ

真奥「何言ってんだ、お前?」

漆原「あれ、もしかして僕達凄いタイミング悪く帰ったのかな?」

千穂「」チーン

漆原「あ、大変だ。佐々木千穂が息してない」

38: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/07/03 02:14:57 ID:39sGQwfBO
恵美「だから違うって言ってるでしょ!///」

芦屋「ならどうして胸元のボタンを外しているんだ! その貧相な身体で色仕掛けした証拠ではないのか!?」

恵美「誰が貧相……ってきゃ! な、なんでボタンが……魔王、まさかあんた!?」ギロリ

真奥「え? あ、いや、前に読んだ本に熱中症で倒れたらまず身体を絞めるボタンやベルトは外しておけって書いてあったから……」

恵美「やっぱり私の寝込みを襲おうとしていたのね……この外道! さっきのドキドキを返せ!!」プンスカ

真奥「話聞けよ! つかドキドキって何……おい! 聖剣はやめろ、洒落にならんから!?」

41: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/07/03 02:20:55 ID:39sGQwfBO
…………

鈴乃「今日は良いうどんがたくさん買えた。これで当分うどんには困らないぞ」ホクホク

鈴乃「早速部屋に戻って冷やしうどんを……ん」

<ヤメロエミリアー

<ニゲルナマオウー

鈴乃(魔王とエミリアの声だ。騒がしいな、また魔王が何かやったのか?)

鈴乃「……まああれは平和な証拠だな。それよりも今はうどんだ」

鈴乃「~♪」

おわり


真奥「暑い…」
(http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1372774580/)