562: ◆IWJezsAOw6 2013/08/29(木) 12:59:11.08 ID:Su1Q6nnC0
今日は4月1日。 エイプリルフール。

去年に引き続き、あたしは京介を騙そうと少し前から計画していた。

今は朝、京介はまだ寝ている。

黒猫にも沙織にも、話は事前にしてあるし、完璧完璧!

で、あたしは京介の上に跨り、いつもの様に起こす。

ぱちん、という軽快な音が鳴り響き、京介は驚いて目を開ける。

関連作品
京介「なあ、桐乃」 桐乃「なによ」 その1
京介「なあ、桐乃」 桐乃「なに? 京介」
京介「ただいま」 桐乃「おかえり」 その1
京介「おかえり」 桐乃「ただいま」 その1

003
563: ◆IWJezsAOw6 2013/08/29(木) 12:59:37.90 ID:Su1Q6nnC0
桐乃「京介、人生相談」

京介「……この流れは久し振りだな」

あたしは京介の隣に座り、京介は眠そうにしながらも起き上がる。

よし、ここからが本番。

桐乃「……あのさ」

桐乃「あたし、喜べばいいのか分からないんだケドね」

564: ◆IWJezsAOw6 2013/08/29(木) 13:00:03.76 ID:Su1Q6nnC0
京介「ちょ、ちょっと待て桐乃。 なんでそんな神妙な空気を出してるんだよ? 今回の人生相談って、そんなヤバイ物なのか……?」

桐乃「……うん。 大事なこと」

京介は唾を飲み込み、あたしの言葉を待つ。

……良い感じじゃん。 京介すっかり空気に飲まれてるっぽいし。

桐乃「……子供が出来たの」

565: ◆IWJezsAOw6 2013/08/29(木) 13:00:31.04 ID:Su1Q6nnC0
京介「は、はぁ!? 子供って……お前、子猫……のこと?」

桐乃「ち、違うって!」

京介「じゃあ……子犬、とか?」

桐乃「そうじゃないっての! ほんとのほんとに子供。 その……京介とあたしの」

京介「だってそういうことはしてねえじゃんか!? そりゃ……それに近いのはあったかもしれないけどさ」

桐乃「ゆうなッ!! で……どうすればいいのか分からなくて」

566: ◆IWJezsAOw6 2013/08/29(木) 13:00:57.63 ID:Su1Q6nnC0
京介「……マジかよ」

京介は頭を抱え、困惑した表情。

桐乃「嬉しくないの?」

京介「嬉しいけどな! 嬉しいけど……」

京介「正直言って、俺もどうすりゃ良いのか……って感じだよ」

桐乃「……そか」

567: ◆IWJezsAOw6 2013/08/29(木) 13:01:25.22 ID:Su1Q6nnC0
桐乃「……く、ふひっ」

京介「ど、どした? 急に笑い出して」

ダメダメ。 さすがに可哀想に思えてしまう。 そろそろネタバラシしておこう。

桐乃「二年連続ー! エイプリルフールでしたぁ!」

桐乃「ふひひ。 きりりん大勝利ー!!」

京介「お、お前ッ!! 嘘だったのか!?」

568: ◆IWJezsAOw6 2013/08/29(木) 13:01:52.61 ID:Su1Q6nnC0
桐乃「だってしてないのに出来るワケ無いじゃん。 マジ顔で心配してくれてありがとね~。 ひひ」

京介「て……てめえ……」

あれ。 京介の目が怖い。

京介「覚悟しろ桐乃ぉ!!」

京介は言うと、あたしに飛び掛る。

当然あたしは後ろに倒れて、京介はその上に馬乗り。 で、両手は頭の上で京介の左手に抑えられてる。

桐乃「あ、あんたなにしてんの!? ま、まさか本当に子供を……」

569: ◆IWJezsAOw6 2013/08/29(木) 13:02:24.16 ID:Su1Q6nnC0
京介「作らねーよ!!」

桐乃「……作らないの?」

京介「いや、そうじゃなくて……今はまだ」

京介は言うと、若干恥ずかしそうにあたしから顔を逸らす。

いやいや、あたしもかなり恥ずかしいんですケド。

京介「じゃねえ! 今はそういう話じゃねえっての!」

570: ◆IWJezsAOw6 2013/08/29(木) 13:02:52.90 ID:Su1Q6nnC0
桐乃「じゃ、じゃあなによ? 妹の上に馬乗りで乗って、両手拘束して、何する気?」

京介「へへへ。 お前、脇腹弱点だったよな」

……それはマズイから! てか、京介に触られると本当にヤバイんだって!

だけど言えない! あんたに触られると、とか恥ずかしすぎだっての!

京介「……お前なんか嬉しそうだな」

桐乃「は、はぁ!? あたしのどこが嬉しそうに見えるワケ!? チョーキモイんですケドぉ!」

571: ◆IWJezsAOw6 2013/08/29(木) 13:03:19.83 ID:Su1Q6nnC0
京介「顔にやにやしてんぞ。 自分で分かってないの?」

ま、マジ? そりゃ当然京介にべたべたされるのは嬉しい……もう本当にめちゃくちゃ嬉しいけどね。 だけどそんな顔をあたしがしてるって?

無い無い無い無い! 絶対無い!

桐乃「ほ、本当に?」

京介「いやエイプリルフールだけどな」

572: ◆IWJezsAOw6 2013/08/29(木) 13:03:46.94 ID:Su1Q6nnC0
桐乃「~~ッ! このバカ! サイアク!」

京介「言っとくけど、最初に仕掛けてきたのはお前だからな。 って訳で覚悟しやがれ」

そう言うと、京介はあたしのお腹を片手で弄る。

……てか、直接服の中に手入れてきてない!? 死ぬって! それは死ぬって京介!

573: ◆IWJezsAOw6 2013/08/29(木) 13:04:12.43 ID:Su1Q6nnC0
桐乃「……ひい……ひい」

京介「楽しそうだな、桐乃さんよー」

桐乃「ぜ……全然楽しくない……」

京介「そうか」

京介は言い、あたしのお腹に指で触れる。

桐乃「ふ、ふひひ……」

574: ◆IWJezsAOw6 2013/08/29(木) 13:04:38.73 ID:Su1Q6nnC0
京介「……楽しそうだな?」

桐乃「……ちょ、ちょっとだけね」

京介「はは、そうかよ」

言いながらあたしの顔を撫でる。 そんなことをしながら、あたしの顔を京介はじーっと見つめてくる。

……超恥ずかしいんですケド。

桐乃「な、なんだっての」

575: ◆IWJezsAOw6 2013/08/29(木) 13:05:19.22 ID:Su1Q6nnC0
京介「……一応、騙された俺の負けだしさ。 お前にプレゼントあげようかなって思ってたんだ」

桐乃「マジで!? なにくれるの!?」

京介「そ、そこまで期待の眼差しを向けられる様な物でも無いぞ……? 先に言っておくが」

桐乃「大丈夫だって! 京介がくれる物ならなんでも嬉しいから!」

京介「……そっか。 ありがとよ」

い、勢いに任せてヘンなことを言ってしまった気がする。

576: ◆IWJezsAOw6 2013/08/29(木) 13:05:47.64 ID:Su1Q6nnC0
……落ち着け! 落ち着けあたし! そ、そうだ。 いいこと思いついた。

今日ってエイプリルフールじゃん? だから、あたしがこうやって考えていることも全部嘘。 そういうことにしちゃおう。

ついでに、さっき言った「京介がくれる物ならなんでも嬉しい」ってのも嘘ってことにしよう。 うん。

桐乃「で、なにくれんの!?」

京介「……実はさ、今日アキバでメルルのイベントがあるんだよ。 知らなかったろ?」

桐乃「メルルのイベント? うーん……確かに知らなかったかも」

577: ◆IWJezsAOw6 2013/08/29(木) 13:06:15.03 ID:Su1Q6nnC0
京介「ふっふっふ。 俺の極秘ルートで入手した情報だからな。 お前が知らないのも無理はねえか。 ははは」

桐乃「沙織から?」

京介「……まあ、そんなとこ」

かっこわる! うーん、でもあたしの為に調べてくれたのは格好良い!

うんうん。 京介チョー格好良い! チョー惚れるって!

勿論、全部嘘ね。 嘘嘘。

578: ◆IWJezsAOw6 2013/08/29(木) 13:06:42.58 ID:Su1Q6nnC0
桐乃「で、連れて行ってくれるの?」

京介「当たり前だろ。 俺はお前の何だよ?」

桐乃「う~ん。 奴隷?」

京介「……へいへい」

よし! 京介とデートきたぁああああああ!!

メルルもそりゃ嬉しいよ。 だけど京介と二人っきりで出掛けられるだけでもう充分すぎなんですケド!

ふひひ。 そうと決まれば準備しないと。 メルルのイベント終わっても色々回りたいしね!

579: ◆IWJezsAOw6 2013/08/29(木) 13:07:12.63 ID:Su1Q6nnC0
そして、京介とそれから布団の上でお喋りをして、あたしたちは秋葉原へ。 まずはお昼~。

京介「お前、なんか食いたい物とかあるか?」

……優しいなぁ。 些細なことでもあたしのことを優先してくれるとか、チョー嬉しい。

桐乃「特に無いかな。 どこでもいいよ、どこでも」

言いながら、あたしは京介の腕に絡みつく。

……ふひひ。

580: ◆IWJezsAOw6 2013/08/29(木) 13:07:39.22 ID:Su1Q6nnC0
京介「な、なんだよ急に」

桐乃「なに? デートでしょ? 文句あんの?」

京介「ねえって……ちょっと驚いただけだ」

出来ることなら抱き締めて欲しいけど、場所が場所だしね。

家に帰ってからやってもらおっと。

そうして、そのまま少し歩いて近くの喫茶店へ。

メイド喫茶とかじゃなくて、普通の喫茶店。

581: ◆IWJezsAOw6 2013/08/29(木) 13:08:09.70 ID:Su1Q6nnC0
京介「あーそだ……桐乃、後でちょっと大事な話あるから、聞いてくれ」

桐乃「今じゃダメなの?」

京介「で、出来れば飯を食い終わった後が良い」

桐乃「ふうん? ベツに良いケド」

京介「おう、サンキュー」

そんな会話をしている内にご飯が運ばれてくる。

582: ◆IWJezsAOw6 2013/08/29(木) 13:08:35.16 ID:Su1Q6nnC0
桐乃「……」

京介「いただきます……って、どうした? 桐乃」

桐乃「へ? な、なんでも無い! いただきます!」

あたしが京介に「あーん」ってしようと思ってたなんて言えないっつーの! バカップルみたいじゃん!

京介「そうか」

と、京介は言うとフォークでスパゲッティをくるくると巻く。 それは少し控えめな量で、京介ってそんなちまちまと食べるんだっけ? なんてあたしは思っていた。

583: ◆IWJezsAOw6 2013/08/29(木) 13:09:02.92 ID:Su1Q6nnC0
京介「ほら、あーん」

桐乃「な、なななななな!? は、はぁ!? なに!?」

京介「なにって……そうしたそうな顔をしてたからだけど。 口開けろって」

桐乃「そんな顔はしてない!! ヘンな勘違いすんなッ!」

桐乃「……あーん」

京介「……お前なんか面白いな」

584: ◆IWJezsAOw6 2013/08/29(木) 13:09:33.83 ID:Su1Q6nnC0
ニヤニヤしながら見ないでよ! むっかつくむっかつく!!

そりゃあ、だって京介が折角やってくれたんだし……断るのはあれじゃん。 だからこれはあたしの優しさだっての。 ふん。

……あ、今日はエイプリルフールなんだ。

京介優しいって! あたしが思ってることちゃんと汲み取ってくれるし……もう毎日惚れ直しちゃうんだケド! マジで!

桐乃「……うっさい。 言っとくケド、あたしもあんたに今のやるから」

585: ◆IWJezsAOw6 2013/08/29(木) 13:10:07.28 ID:Su1Q6nnC0
京介「へいへい」

京介は言い、あたしの顔をじっと見つめる。

……なんか、今日は先手を取られてばかりな気がするよね。

桐乃「……あーん」

京介「あ、あーん」

桐乃「おいし?」

京介「……まあ」

586: ◆IWJezsAOw6 2013/08/29(木) 13:10:40.77 ID:Su1Q6nnC0
桐乃「あたしが食べさせてあげたのに「まあ」ってなに?」

京介「……超美味い。 死んでも良いかもしれない」

桐乃「……ふひひ~」

あー恥ずかしい。 でも、外だしこの辺にしておかないとマズイよね。

……家に帰ったら甘えちゃおうかな。

そんなムズムズとした感情を抱きながら、昼食を終える。

587: ◆IWJezsAOw6 2013/08/29(木) 13:11:07.89 ID:Su1Q6nnC0
桐乃「あ、そーだ。 さっき言ってた話ってなに?」

ご飯を食べ終わり、一息。

紅茶を飲みながら、京介に先ほどのことを聞く。 やっぱり気になっちゃうし。

京介「ん、あー。 あれか」

京介「……実はだな、桐乃」

京介はゆっくり、続けた。

588: ◆IWJezsAOw6 2013/08/29(木) 13:11:38.28 ID:Su1Q6nnC0
京介「今日のイベント、女性はコスプレしないといけないんだよ。 会場に入るには……な」

……。

桐乃「あたし、男で通るかな?」

京介「いや絶対無理だと思う」

桐乃「く……」

桐乃「で、でもそんな衣装持ってきて無いし! 無理だって!」

589: ◆IWJezsAOw6 2013/08/29(木) 13:12:04.67 ID:Su1Q6nnC0
京介「それは心配いらないぜ。 そんなこともあろうかと、俺はお前のネコ耳ネコ尻尾メイド服を持ってきているからなぁ!」

そう言うと、京介はカバンからそれを取り出す。

桐乃「あ、あたしの引き出し漁ったっての!? 何してんの!?」

京介「……お前って、結構エロい下着履いてるんだな」

桐乃「へ、変態!! さすがに変態すぎ!!」

京介「ば、馬鹿。 声がでけーよ。 冗談に決まってんだろ……出来る限り見ないようにはしておいたから」

590: ◆IWJezsAOw6 2013/08/29(木) 13:12:36.90 ID:Su1Q6nnC0
……ヤバイ。 恥ずかしい。 顔が熱い。

京介「で、どうすんの?」

桐乃「……ここまで来て、引くワケにはいかないっしょ」

もう、決意を無理やり固めるしかなかった。

591: ◆IWJezsAOw6 2013/08/29(木) 13:14:00.30 ID:Su1Q6nnC0
京介「……やっぱ、お前超可愛い」

桐乃「う、うっさい! てか、ちゃんとあたしの服持っててよ。 無くしたらこのままの格好で地元とか……死ねる」

京介「任せとけって。 つうか、さっきからお前が超寄り添ってくる所為で歩き辛いんだけど」

桐乃「仕方ないでしょ! こんな格好で……いくらアキバって言っても、恥ずかしいんだっての」

いちお、メイド服を着た人は結構居るには居るけど。

こんなネコ耳とか尻尾とか、マジで死にたくなってきた。

592: ◆IWJezsAOw6 2013/08/29(木) 13:14:26.19 ID:Su1Q6nnC0
京介「……もうちょっとだから、な?」

京介は言いながら、あたしを隠すように腕を回す。

……はぁ、全身の力抜けちゃいそうなんだけど。 もし本当にそうなったらどうしてくれるっての。

もう、なんでこんなずっと心臓ばっくばくなってるワケ? 明らかに寿命縮んでるでしょ、これ。

桐乃「……うん」

あたしは京介の服を掴み、顔を隠すように埋めて、一緒に目的地まで歩いて行った。

593: ◆IWJezsAOw6 2013/08/29(木) 13:15:29.48 ID:Su1Q6nnC0
京介「よし、着いたぜ」

桐乃「着いたって……レンタルルーム?」

京介「おう。 ここの一室で、やってるらしい」

桐乃「……ヘンなイベントじゃないよね? その、エッチな」

京介「ちげえよ! もしそうだったら俺が守ってやるっての」

桐乃「……ありがと」

今日、もう何回ドキってしたか数え切れないほどなんだけど。

594: ◆IWJezsAOw6 2013/08/29(木) 13:15:56.85 ID:Su1Q6nnC0
京介「ほら、行くぞ桐乃。 楽しもうぜ」

桐乃「ひひ……うん!」

そして、ひとつの部屋の中へと入る。

中は真っ暗で、部屋の壁に掛けてあるスクリーンからの光りだけが照らしていた。

京介「ここ、椅子あるから座ろうぜ」

桐乃「う、うん」

595: ◆IWJezsAOw6 2013/08/29(木) 13:17:28.54 ID:Su1Q6nnC0
京介「……怖いか?」

桐乃「……ちょっと」

京介「んじゃ、ほら」

京介はそう言い、あたしの両手を両手で掴む。 しっかりと、離さない様に。

ヤベー! このシチュやばくない!?

ここでキスされたら、あたし多分、気を失う自信がある。

暗くて良かった。 今の顔、相当だらしないことになってそうだし……ね。

596: ◆IWJezsAOw6 2013/08/29(木) 13:18:05.94 ID:Su1Q6nnC0
京介「……桐乃」

京介が突然、優しい声であたしに囁く。 耳元で、息が当たるくらいの近くで。

桐乃「ど、どしたの?」

京介「……好きだ」

桐乃「……うはぁ」

思わずヘンな声が出ちゃった。 いやもうそんなのすらどうでも良い。 もう無理無理! 我慢できない! 京介大好き! 超好き!!

は、早くキスしてよ!! これ以上焦らされたら、泣きそうなんだけど!!

597: ◆IWJezsAOw6 2013/08/29(木) 13:19:19.61 ID:Su1Q6nnC0
そう思ったとき、部屋が明るくなる。

桐乃「へ、へ?」

部屋の中には人影が1……2……。

あたしと京介を合わせて、4人。

メルルのコスプレをした黒猫と、あるちゃんの格好をした沙織。

桐乃「な、え? ……ん?」

598: ◆IWJezsAOw6 2013/08/29(木) 13:20:54.24 ID:Su1Q6nnC0
あたしが何が起きているのか分からずにヘンな声を出している間にも、事は進む。

まず、スクリーンにビデオカメラで撮ったような映像が流れ始める。 多分、メルルのPVをパロった物。

メルルの格好をした黒猫と、あるちゃんの格好をした沙織と、何故か漆黒の格好をした京介。

あるちゃん巨人すぎでしょ。 いやいや、そうじゃなくて、あれ?

あたしが状況を飲み込めずにいても、映像はどんどんと進む。

599: ◆IWJezsAOw6 2013/08/29(木) 13:22:40.25 ID:Su1Q6nnC0
やがて本人たち的には激しい戦いを繰り広げた後、メルルが泣きながら漆黒を杖で突き刺した。 いやいやなにコレ。

ていうか、黒猫マジ泣きじゃん! そんな漆黒を倒すの嫌だったらなんであんたその役やってんの!?

京介「つうわけで桐乃、今日はエイプリルフールだ」

桐乃「……は、ははははははは」

黒猫「……壊れた?」

沙織「壊れましたな……」

600: ◆IWJezsAOw6 2013/08/29(木) 13:23:07.02 ID:Su1Q6nnC0
京介「これに懲りたら、俺を騙すのはやめるんだな! はっはっは!」

だ、騙されたぁああ!? て、ってことはだよ、今あたしがしてるこの恥ずかしい格好も。

桐乃「こ、この服って」

京介「そりゃ、そっちの方がお前の可愛い顔が見れるしな」

桐乃「……メルルのイベントって」

京介「このことだよ。 一応、イベントだろ?」

601: ◆IWJezsAOw6 2013/08/29(木) 13:23:34.87 ID:Su1Q6nnC0
桐乃「あ、あんたら……!!」

あ、ありえない!! あたしが超嬉しそうにしてたのも、京介は内心ニヤニヤしながら見てたっての!?

……このなんとも言えない感情。 今すぐ時間を巻き戻したい。 てゆうか、今日のあたし恥ずかしすぎる。

黒猫「それより桐乃。 とりあえずその垂れているよだれを拭いた方がいいわよ」

桐乃「な、な……」

なんでそうなってるの? と言おうとしたけど、うまく言葉に出ない。

沙織「それはきりりん氏が大好きな方に、耳元で愛を囁かれてしまっては……仕方ありませぬ」

602: ◆IWJezsAOw6 2013/08/29(木) 13:24:01.49 ID:Su1Q6nnC0
……くおおおお!! 顔から火が出そうってこんなことを言うの!?

桐乃「あ、ああああああ……」

顔を隠すあたし、そんなあたしを京介はゆっくり抱き寄せた。

京介「……わり、そこまでするつもりじゃなかったんだけど……お前のこと見てたら、つい言いたくなってさ」

そんなことを言い、あたしの頭を撫でる。

……うへへ。

これはこれでありかもしれない……。

603: ◆IWJezsAOw6 2013/08/29(木) 13:24:41.96 ID:Su1Q6nnC0
京介「沙織、黒猫。 ちょっと席外すな、悪い」

黒猫「構わないわ。 その間に、わたしたちは着替えておくから」

沙織「ええ。 問題無いでござる」

京介「ほら、桐乃。 行くぞ」

言うと、京介はあたしを引っ張り部屋の外へと連れ出す。

桐乃「い、行くって?」

京介「お前、ちょっと落ち着いた方が良いだろ。 それに……ちゃんと謝りたいし、こんなことしておいてあれだけど」

桐乃「……分かった」

604: ◆IWJezsAOw6 2013/08/29(木) 13:25:38.78 ID:Su1Q6nnC0
桐乃「そ、それで。 どうしてくれんの!?」

部屋の外へ行き、少し人気が無い場所へ移動。 それから会話。

京介「言っとくが、お前の嘘だってひっでえからな!? 妊娠したとか俺ぶっ倒れててもおかしくねえぞ!?」

桐乃「ふ、ふん……」

京介「でもまあ、俺もちょっとやり過ぎたかもな……だけど、恥ずかしがるお前すっげえ可愛かったぞ」

605: ◆IWJezsAOw6 2013/08/29(木) 13:26:05.89 ID:Su1Q6nnC0
桐乃「そ、そんなことは聞いて無いッ!!」

ありがと! ありがと京介大好き! 出来ればもっと言って欲しい!!

京介「ごめんごめん。 ああ、そうだ」

京介「桐乃」

京介は言い、一歩二歩、あたしに近づく。

桐乃「な、なに?」

606: ◆IWJezsAOw6 2013/08/29(木) 13:26:44.54 ID:Su1Q6nnC0
京介「ここなら人目ねえし、黒猫にも沙織にもばれないから」

言うと、京介はあたしを抱き寄せ、あたしの唇を奪った。

……悔い無し。

桐乃「ふ、ふひひひひひ。 きょ、京介ぇ」

京介「お、おい? お前どうしたの……?」

積み重なりすぎて、我慢できない! もうさすがに無理だって!

607: ◆IWJezsAOw6 2013/08/29(木) 13:27:11.45 ID:Su1Q6nnC0
桐乃「もっかい、もっかいチューして。 えへへ」

京介「わ、分かったよ……」

桐乃「ふひひ」

京介は再度あたしに近づいて、キス。

あたしはそんな京介の首へと腕を回し、絶対に離さないようにしっかりとホールド。

ああ、頭おかしくなっちゃいそう。

608: ◆IWJezsAOw6 2013/08/29(木) 13:27:38.60 ID:Su1Q6nnC0
京介「……んー!?」

あたしがいつまでも離さないので、京介は少し慌てた様子。 いやもうこのまま一生過ごそう。 ね、京介。

ずっと、ずーっと京介とキスをしたまま、あたしは京介を抱き締める。

こうして一緒に居るだけで、頭はどんどんふわふわとして、ぼーっとしてきてしまう。

5分ほどそうした後、ようやくあたしは唇を離す。

京介「ぷはっ! お、お前さすがなげえよ!!」

609: ◆IWJezsAOw6 2013/08/29(木) 13:28:07.09 ID:Su1Q6nnC0
桐乃「あたしまだ満足して無い。 じゅーでんして」

京介「ま、またか……?」

桐乃「うん。 早く。 んー」

京介の顔が段々と赤くなっているのに気付いた。 ひひ。 それでもしっかりあたしのこと、抱き寄せてるじゃん。

610: ◆IWJezsAOw6 2013/08/29(木) 13:29:03.69 ID:Su1Q6nnC0
こうして、今年のエイプリルフールは終わる。

去年よりも多分、幸せな一日だっただろう。

いや、でも京介と一緒ってだけで幸せ度数的には最高値だから、比べられないかもしれないけどね。

ちなみに、この後キスを何回も何回もして、あたしと京介が正気に戻ったのは三十分後。 探しに来た黒猫と沙織に見つかるまでだった。


全部嘘だかんね 終

625: ◆IWJezsAOw6 2013/08/30(金) 13:05:11.46 ID:OI587oHz0
桐乃にぺちんと頬を叩かれて起床。

……そうか、きやがったなこいつ。 黒猫の読み通りってわけだ。 分かり易い奴。

桐乃「京介、人生相談」

さてさて、どんな嘘を吐くのかね、こいつ。

俺的にはどんな物でもうまく返せると思うぞ。 つうか、そうしないと本末転倒だからな。

あいつは去年、黒猫を仲間に引き入れて俺を騙してきた。

なら俺は今年どうするか。 そんなのは決まってる!

626: ◆IWJezsAOw6 2013/08/30(金) 13:07:44.76 ID:OI587oHz0
俺は沙織と黒猫を引き込んだのだ! 数には数だぜ、桐乃さん。

そして、何も知らない桐乃は言う。

桐乃「……子供が出来たの」

な、何言ってんだこいつ!? よりにもよってそのチョイスかよ!?

……ここで俺が「ならもう問題ねえよな?」とか言って桐乃に覆い被さったら、こいつはどんな反応をするのだろうか。

うう、気になるぜ……。 気になるけども、それで桐乃が「……うん。 良いよ、京介」とか言ったらぶっちゃけ我慢できる自信が無いしやめておこう。

627: ◆IWJezsAOw6 2013/08/30(金) 13:09:05.04 ID:OI587oHz0
とにかく、これは桐乃の嘘だ! そうと分かれば、なんかこの演技は面白く見えてくるな。

健気に俺を騙そうと頑張る桐乃を見ていたら、抱き締めたい衝動に駆られるぜ。

よし、ここは兄貴として……桐乃の彼氏として、器を広く持とう。

つまり、桐乃の嘘に騙されてやろう。 桐乃の為だしな! へへ。

そこから何度か会話を重ね、やがて桐乃は今回のことは嘘だと白状する。

俺は桐乃に飛び掛り、くすぐり開始。

628: ◆IWJezsAOw6 2013/08/30(金) 13:09:35.27 ID:OI587oHz0
桐乃「ちょ、やめて! ふひっ! ひひひひ!」

京介「やめてって、エロゲーだと「もっとして」って意味だよな。 つまりそういうことか」

桐乃「ち、ちがッ! 今のは……あはははは!」

……涙ぐみながら体を捩じらせる桐乃。

なんつうか、あれだ。

正直に言うと興奮してきた。 可愛すぎだろこいつ。

629: ◆IWJezsAOw6 2013/08/30(金) 13:10:04.04 ID:OI587oHz0
京介「違うってのもエロゲーだと「そう」って意味だよな? なんだよもっとして欲しいのか?」

桐乃「一緒に……すんあ! うひひひひ!」

必死に言葉を紡ぐ桐乃。 お前、暴れすぎてパンツ若干見えてるぞ。

京介「仕方ねえな……今日はこの辺で許してやるよ。 感謝しろよ?」

桐乃「か……感謝なんて……ぜったい、しないっての……はあ……はあ」

京介「ああそうだ。 今日エイプリルフールじゃん。 今の嘘な。 まだ許さない」

言うと、俺は再度桐乃の体を掴む。

630: ◆IWJezsAOw6 2013/08/30(金) 13:10:30.49 ID:OI587oHz0
桐乃「う、うそ! あたしのがウソだから! 感謝してる!!」

京介「え~? 聞こえないんですケドぉ~?」

桐乃「真似すんな! このバカ!」

京介「今のは聞こえたぜ」

言うと、俺は桐乃を再度くすぐる。

桐乃「や、やめっ! あ、あははははははは!!」

……桐乃をいじめるのちょっと楽しいかもしれん!

631: ◆IWJezsAOw6 2013/08/30(金) 13:10:58.26 ID:OI587oHz0
それから昼頃までは桐乃と布団の上で遊び、そんなこんなで秋葉原へと到着。

黒猫からは先ほどメールがあった。 なんでももう少し準備に時間が掛かるから、引き伸ばして来いとのことだ。

……折角だし、どっかで軽くお茶でもするか。 丁度昼飯時だしな。

京介「お前、なんか食いたい物とかあるか?」

桐乃「特に無いかな。 どこでもいいよ、どこでも」

桐乃は言うと、ニコニコ笑いながら俺の腕に絡みつく

632: ◆IWJezsAOw6 2013/08/30(金) 13:13:00.66 ID:OI587oHz0
……ううむ。 可愛い!

抱き締めてえ! 超抱き締めてえ! ああもう黒猫と沙織置いて家に帰ろうかな……。

いやさすがにそれは無い! 俺最悪すぎるだろそれは!

桐乃の奴め……可愛いのも程々にして欲しいぜ。

で、近くにあった喫茶店へと俺と桐乃は入る。

桐乃は軽食を頼み、俺はスパゲッティを頼む。

これからの予定を軽く話していたところ、料理が運ばれてきて。

633: ◆IWJezsAOw6 2013/08/30(金) 13:14:32.07 ID:OI587oHz0
京介「いただきます」

俺はそう言い、フォークを手に取る。

桐乃「……」

京介「って、どうした? 桐乃」

何やら無言で俺と料理を見比べているぞ。 何だ?

桐乃「へ? な、なんでも無い! いただきます!」

すげえ動揺してるな。

634: ◆IWJezsAOw6 2013/08/30(金) 13:15:26.34 ID:OI587oHz0
……ううむ。 なるほど。

こいつ、あれがやりたいのか。

京介「ほら、あーん」

俺はスパゲッティを桐乃が食べやすい様に少なめの量で巻き取り、桐乃の前へ。

桐乃「な、なななななな!? は、はぁ!? なに!?」

……焦りすぎだろ。 しかも、俺が何をやろうとしているのか分かってるはずなのに、白々しく「なにやってるの?」って目で俺のこと見てるし。

635: ◆IWJezsAOw6 2013/08/30(金) 13:16:35.82 ID:OI587oHz0
京介「なにって……そうしたそうな顔をしてたからだけど。 口開けろって」

桐乃「そんな顔はしてない!! ヘンな勘違いすんなッ!」

桐乃「……あーん」

開けるのかよ! 視線はどっかその辺行っちゃってるし、顔真っ赤だし、でもすげえ嬉しそうな顔だ。 なんていうか、あれだな。

京介「……お前なんか面白いな」

俺が言うと、桐乃はキッと俺のことを睨む。 で、その後すぐにデレっとした顔をする。 何を考えているのだろうか、すげえ気になるぞ!?

636: ◆IWJezsAOw6 2013/08/30(金) 13:17:08.55 ID:OI587oHz0
その後はそれを何度か繰り返し、昼飯を終える。

俺は用意していたメイド服を桐乃に手渡し、着てもらうよう頼んだ。

桐乃は当然のことながら超恥ずかしそうにしていたが……まあ、メルルのイベントということもあり、承諾。

……後でどうなることやら。 今更ながらに恐ろしくなってきたぜ。

で、そんなメイド服を着た桐乃は俺の方へ体を寄せて、顔を隠しながら歩いている。

尻尾がぷるぷるしてるぜ。 さ、さわりてえ……。

未だに恥ずかしそうにしている桐乃を見て、なんだか俺はそれを守ってやりたくなり、桐乃の体を隠すように腕を回す。

桐乃の方から何やらじゅるりという音が聞こえてきた気がするが、気にしないでおこう。

637: ◆IWJezsAOw6 2013/08/30(金) 13:17:43.24 ID:OI587oHz0
そして、それから桐乃をレンタルルームへと連れて行き、ネタばらし。

てか、電気を付けた瞬間、こいつマジですっげえ顔してたけど……。

だらけていたというか、どこか遠い場所を見ているような顔。

そんな桐乃をなんとか宥め、俺は桐乃を部屋の外へと連れ出した。

その時のことは……まあ、良いか。 大したことなんてなかったしな。 うむ。

638: ◆IWJezsAOw6 2013/08/30(金) 13:18:21.05 ID:OI587oHz0
それからは元の服装に着替えた桐乃と沙織と黒猫と、アキバの町をぶらぶらと回る。

色々吹っ切れたのか、桐乃も随分楽しんでいる様子で、それを見て少し安心したぜ。

だってさ、こいつの仕返しマジでこえーんだもん。 このまま忘れてくれると助かるからな。

そんな一日を終えて、俺と桐乃は家へと到着。 やはりここは、疲れが取れる。

639: ◆IWJezsAOw6 2013/08/30(金) 13:19:08.10 ID:OI587oHz0
玄関扉の前に着き、鍵を開けて、中へ。

桐乃は俺のすぐ後ろに居るのだが、何故か玄関で靴を脱ぐと、立ち止まった。

京介「おい、どうした?」

桐乃「……」

俯いて、必死に何かに耐えようとしているように見えるが。

京介「……桐乃?」

そう言い、俺は桐乃の顔をしゃがんで覗き込む。

640: ◆IWJezsAOw6 2013/08/30(金) 13:19:35.78 ID:OI587oHz0
桐乃と目があった瞬間……こいつは、一気にくだけた表情をした。

桐乃「へへ……えへへ」

……すげえ嫌な予感がする。

京介「……桐乃さん?」

桐乃「京介! 言っておくケド、あんたの所為だからね! あんたがあたしにチョー優しくしたり、抱き締めたり、ヘンなことばっかするからなんだから!」

桐乃は言うと、顔をがばっとあげる。 で、俺に抱き着いてきた。

641: ◆IWJezsAOw6 2013/08/30(金) 13:20:15.78 ID:OI587oHz0
京介「っと、危ねえって!」

桐乃「うっさい! あんたの所為なんだから、責任取れっての!」

京介「な、何がだよ? 俺、そこまでなんかしたか?」

聞くと、桐乃はこう答えた。

桐乃「した。 あたしを我慢できなくさせた。 言っとくケド、さっきのキスだけじゃ全然だかんね」

桐乃「ずっとずっと二人っきりになりたかったの! ずっと我慢してたんだから!」

642: ◆IWJezsAOw6 2013/08/30(金) 13:21:43.79 ID:OI587oHz0
マジか。 これあれだ。 絶対やり過ぎた。 こうなると……収まるまですげー大変なんだよな。

仕返しって問題じゃなかった。 違う方向で大変なことになっていたらしい。

前のあれだってそうだし。 なんだっけ、ポッキーゲームだよ言わせるな。

あの日、徹夜明けだってのに俺は全く寝れなくなってしまったからな。 桐乃は隣で気持ち良さそうな顔をして寝ていてるのに。

俺は結局二日連続徹夜で大学へ行く羽目になって、その日の内に桐乃に「ああいうのは休み前だけにしてくれ、お願いします」と土下座をして頼んだ。

渋々だが桐乃は納得してくれて、俺も超ハッピー。

643: ◆IWJezsAOw6 2013/08/30(金) 13:22:41.00 ID:OI587oHz0
だったんだが。

だったんだがな。

こいつの今の目。

……あの時と一緒だ。

桐乃「ふひひ、京介♪」

声色がちょっとキモイ! いつもの桐乃の声じゃねえ!

桐乃は俺にしがみつく。 足まで俺の腰に絡ませ、予想していなかった俺は慌てて桐乃を支える。

644: ◆IWJezsAOw6 2013/08/30(金) 13:23:07.16 ID:OI587oHz0
京介「お前なぁ……」

桐乃「なに。 軽いっしょ?」

いやそういう問題じゃない。 お前の体がべったりくっついて恥ずかしいんだよ!

京介「あ、あー。 俺あれだ、風呂入ろうと思ってたんだ」

桐乃「おっけ。 いこいこ」

京介「……へいへい」

言うと思ったが、俺としてはそのまま諦めて欲しかったぞ! 気が気じゃねえっての今の状況は!

645: ◆IWJezsAOw6 2013/08/30(金) 13:23:36.17 ID:OI587oHz0
で、風呂。

何も無かった。 何も無かった。 俺と桐乃の間には何も起きなかった。

なので、一緒に入った風呂については省略させてもらおう。

京介「……はぁ」

桐乃「どしたの? なんか疲れてるっぽいケド」

京介「何でもねえよ……」

俺が疲れているのは絶対にお前の所為だ! お前が風呂でもべったべったくっついてくるからだ!

646: ◆IWJezsAOw6 2013/08/30(金) 13:24:05.62 ID:OI587oHz0
京介「つうか、風呂上りで暑いんだけど……」

現在の状況。

俺は壁を背に座っていて、桐乃は俺の膝の上。

無論、こっちを向いて。

桐乃「あ、そだよね。 ごめん」

俺の言葉に桐乃は素直にそう言い、離れる。

なんだ。 てっきり「汗掻いたらまたお風呂はいろ」みたいなことを言うと思ったんだけど。

647: ◆IWJezsAOw6 2013/08/30(金) 13:25:40.18 ID:OI587oHz0
……ふうむ。

なんて思っている間にも、桐乃は俺の膝の上から立ち上がり、台所へ行く。

桐乃「京介、何か飲む?」

おお! 桐乃が超優しい!

京介「じゃあ、冷たい麦茶貰えるか?」

桐乃「うん。 おっけー。 ちょっと待っててね」

いいなこれ。 桐乃がこんな風にしてくれるのなら、真夏でも四六時中べたべたしてて良いくらいだぜ。

648: ◆IWJezsAOw6 2013/08/30(金) 13:26:14.47 ID:OI587oHz0
そう思ってた俺は多分、大馬鹿者だろう。

何故かって? 桐乃の奴、コップをひとつだけ持ってきたんだよ。

京介「お前、自分のは良いのか?」

桐乃「え? あたしも飲むよ? 一緒に飲も」

……そういうオチか!

桐乃「はい、どーぞ」

ちなみに桐乃、現在の場所は俺の膝の上。

649: ◆IWJezsAOw6 2013/08/30(金) 13:27:31.98 ID:OI587oHz0
京介「さ、さんきゅ」

俺はそう言い、氷が数個入ったコップを受け取る。 中には麦茶。 よく冷えていそうだし……まあ別に良いか。

そのままコップに口を付け、ひと含み。

桐乃「ふひひ」

瞬間、桐乃がデレっと笑う。

……なんだこの嫌な予感は。

650: ◆IWJezsAOw6 2013/08/30(金) 13:28:00.22 ID:OI587oHz0
桐乃「……」

俺のその予感は見事的中。 桐乃はそのまま俺にキスをしてきた。

で、俺の口を無理やり舌でこじ開けて。

当然、口の中には麦茶がまだ残っていて。

桐乃は俺の顔をしっかりと押さえ、その麦茶を自分の口の中へ。

俺は突然のことに驚き、されるがままだった。

651: ◆IWJezsAOw6 2013/08/30(金) 13:28:29.31 ID:OI587oHz0
桐乃「……ん。 ひひ、どう?」

……どうって何が!? 俺は今、どっちのことについての「どう?」という質問を受けているんだ!?

京介「う、美味かったぞ」

桐乃「ふひひ~。 妹とキスしてその感想はチョーキモイんですケドぉ」

ああ、どうやら先ほどの「どう?」は桐乃とのキスの感想だったらしい。 分かるかよ!

京介「そ、そういうお前はどうなんだ……?」

桐乃「あたし? あたしはね……美味しかったかな」

652: ◆IWJezsAOw6 2013/08/30(金) 13:29:06.14 ID:OI587oHz0
京介「……お前も一緒じゃねえか」

桐乃「あたしは麦茶が美味しかったって言ってんの。 だからキモイのは京介だけだから」

京介「へいへい……」

せこい奴だ。 全く。

桐乃「ねね、まだ暑い?」

京介「お前が俺の上に座ってるからな」

桐乃「そかそか。 なら仕方ない」

653: ◆IWJezsAOw6 2013/08/30(金) 13:29:36.66 ID:OI587oHz0
京介「ここをどくっていう選択肢はねえの?」

桐乃「あると思ってんの?」

京介「……無いですよね」

桐乃の場合、俺が選べる選択肢は無いのだ。 一直線の桐乃END直行と行ったところだろう。

……悪くないゲームかもしれない。

桐乃「そんじゃ、次」

京介「次……って、またやんのかよ!?」

654: ◆IWJezsAOw6 2013/08/30(金) 13:30:03.38 ID:OI587oHz0
桐乃「うん。 当たり前じゃん。 でもちょっとやり方変えるから」

このシーンを映像に取って、数年前の桐乃に見せてやりたいぜ。

多分、顔真っ赤にして「変態死ね!! このシスコン!!」とか言ってくるんだろうなぁ……。

しみじみそう思いながら、結論。

今とあんま変わらないな。

京介「……何してるんだ?」

桐乃はというと、先ほどのコップから麦茶を口に入れて……るのか?

ってことは、さっきは俺の口から桐乃に行ったわけだから、今度はその逆ということだろうか。

655: ◆IWJezsAOw6 2013/08/30(金) 13:30:30.17 ID:OI587oHz0
なんか、こんな冷静に状況を判断している俺ってすごくないか。

しかし、そんな俺の判断能力は鈍っていたようで、てんで的外れ。

桐乃「んー」

と言いながら、俺の方に少し顔を寄せる桐乃。

どうやら、今度はあんたからしなさいよということらしい。

俺はほんの少しの間だけ悩み、すぐに桐乃と唇を重ねる。 選択肢は無いんだ。

桐乃はちょっとだけ口を開け、俺の口の中へとそれを移す。

656: ◆IWJezsAOw6 2013/08/30(金) 13:31:02.92 ID:OI587oHz0
冷たくて、ツルツルとした感じ。

これって……氷かよ!

桐乃「……んー。 涼しい?」

桐乃は俺から唇を離し、そう聞いてくる。

京介「……」

なんか良い様にされていて腹が立ってきたぞ! いつものことかもしれんが……。

満足気にへらへらと笑っている桐乃に、再度俺はキスをした。

で、そのまま桐乃の唇をこじ開け、今の今まで俺の口の中にあった氷を桐乃の口の中へ。

657: ◆IWJezsAOw6 2013/08/30(金) 13:31:33.06 ID:OI587oHz0
へへ、俺だってやられてばかりじゃねえんだよ!

これに勝ち負けがあるのかは分からないけども。

そんな風に仕返しをした後、俺は桐乃から口を離す。

で、こう聞いてやった。

京介「どうだ? 涼しくなったか?」

桐乃「……」

桐乃は硬直。 数秒そうした後、表情が緩む。

658: ◆IWJezsAOw6 2013/08/30(金) 13:32:01.84 ID:OI587oHz0
桐乃「ぎ、ぎぶ」

そう言いながら、桐乃は俺にもたれ掛かった。

京介「お、お前……自分から散々やっときながらそれかよ」

桐乃「……あたしからなら平気なんだっての。 でも京介からとかマジ無理」

台詞だけ聞くと、すっげえ嫌われてるみたいに聞こえるな。

659: ◆IWJezsAOw6 2013/08/30(金) 13:32:53.37 ID:OI587oHz0
京介「そうかよ。 ま、今回は俺の勝ちでいいよな? 桐乃」

桐乃「……リベンジあるから、覚悟しといてね」

こいつ、基本的に倍返しだからな……。

うう、恐ろしい。

とは思いつつも、心のどこかで楽しみにする俺なのだった。


ごく一般的なエイプリルフールの過ごし方 終

676: ◆IWJezsAOw6 2013/08/31(土) 12:50:42.43 ID:/Kl/cfxA0
桐乃「どう? もう付き合った?」

桐乃はそう言いながら、布団にうつ伏せで寝そべり携帯ゲームをやる俺の後ろから覗き込む。

京介「さっき丁度告白されて、付き合い始めたとこだな」

桐乃「あんたも中々慣れてきたじゃん? デートイベント、ちゃんとこなしなさいよね」

京介「へいへい」

桐乃「あたし的には、遊園地とか……後は映画館とかがオススメ。 でもやっぱり一番のお気に入りは自宅デートなんだよねぇ~」

677: ◆IWJezsAOw6 2013/08/31(土) 12:51:16.76 ID:/Kl/cfxA0
楽しそうにそう語る桐乃。

俺は数日前、こいつからひとつのゲームを押し付けられ、それをこなしているところである。

タイトルは『彼(あなた)と彼女。 二人のLoveStory』。

要はギャルゲー。 昔、桐乃に借りていた『ラブタッチ』のような物である。

最初は乗り気じゃなかった俺なのだが、あの時と同様にやはりはまってしまったということだ。

とは言っても、俺は同じ轍を踏まない。 あれに比べたら全然はまっていないんだけどな。 むしろ先ほどの台詞は取り消そう。 俺はこんなゲームなんかには断じてはまっていない。

俺が同じ轍を踏むわけがない。 ということだ。

678: ◆IWJezsAOw6 2013/08/31(土) 12:52:25.83 ID:/Kl/cfxA0
桐乃「で、で、で! ヒロインは誰にしたワケ!? さっき付き合い始めたって言ってたけどさ!」

……とりあえず、俺の上に乗るのを止めて貰いたい。 重いから。

間違えても「ちょっと桐乃、重いからどいてくれないか」とは言えんがな。 言ったら間違いなく殺される。

それは多分、桐乃では無くても……だろう。

京介「あー。 ヒロインね。 このキャラにした」

679: ◆IWJezsAOw6 2013/08/31(土) 12:52:52.41 ID:/Kl/cfxA0
Kirino『やっほー。 お待たせ! 今日はどこに行くの? あんたがエスコートしてくれるんでしょ?』

桐乃「なんであたしそっくりなのにしてんのよ!! 調子乗んなッ!」

桐乃は言いながら、俺の上で跳ねる。 肺の空気が押し出され若干死にそう。

京介「だ、だって俺が他のを選ぼうとしたら「は?」みたいな顔をお前がするからじゃねえかよ! 説明書で見てただけなのに!!」

桐乃「だからってゲームでまであたしとデートしたいワケ!? キモっ!」

お前はこのキャラじゃねえだろうが! やっぱりお前二次元と一緒にしてるだろ!

あくまでも限り無く似ているだけだ。 口調とか名前とかがな。

680: ◆IWJezsAOw6 2013/08/31(土) 12:53:32.93 ID:/Kl/cfxA0
京介「とにかくもう付き合っちゃったんだから、仕方ねえだろ!?」

桐乃「付き合うところまで行ったのに仕方ない、って言ったの? あんたこのKirinoちゃんに申し訳ないと思わないの? そーゆうこと言って」

名前まで一緒だとややこしいな……。

京介「わ、悪かった。 俺が間違ってた」

桐乃「ふん。 分かれば良し。 それじゃほら、早くデートしなさいよ」

京介「……りょーかい」

桐乃は納得したのか、居間に戻り雑誌を読み始める。

681: ◆IWJezsAOw6 2013/08/31(土) 12:53:58.33 ID:/Kl/cfxA0
結局許してくれるのかよ。 何だったんだ今のやり取り。

Kirino『へえ、お兄ちゃんそんなコース考えてたんだ? たまにはやるじゃん。 ひひ』

ちなみにこれ、妹系ゲーム。 妹が五人居て、その中から相手を選ぶ感じ。

実際この主人公はすげえよ。 妹が五人とか……考えるだけで眩暈がするぜ。

京介「……うへへ、そんなこと言っても何もでねえぞこの野郎」

……そして俺は断じてはまっていない。

682: ◆IWJezsAOw6 2013/08/31(土) 12:54:33.15 ID:/Kl/cfxA0
桐乃「京介ー。 ご飯できたよー」

居間の方からそう聞こえてくる。 もうそんな時間だったのか。

京介「はいよ。 もうすぐデート終わるから、したら行くわ」

Kirino『今日はありがと。 あんたにしてはまぁまぁ良かったよ』

京介「へいへい。 そりゃどうも」

Kirino『あの……それでさ。 お礼、あるんだけど』

ふむ。 さっき桐乃が言っていたデートコースにしたのは正解だったか。 イベントがあるってことね。

683: ◆IWJezsAOw6 2013/08/31(土) 12:55:10.09 ID:/Kl/cfxA0
京介「つか、お礼ってなんだ?」

Kirino『……ちゅ。 いつもありがと、お兄ちゃん。 大好き』

京介「うぉおおおおおおおおおおおお!!」

桐乃「ちょっとうっさいんだケド!!」

お、おう。 思わず叫んでしまったじゃないか。

でも仕方ないじゃん。 桐乃そっくりのキャラが「お兄ちゃん」って言ってくるだけでも充分やべえのに「大好き」なんて言われたら叫ばずにはいられないっての!

684: ◆IWJezsAOw6 2013/08/31(土) 12:55:39.91 ID:/Kl/cfxA0
Kirino『ふひひ。 また遊ぼうね、ばいばい』

その言葉を聞き、ゲーム終了。

俺は桐乃に借りているゲーム機を置くと、居間へと向かって行った。

桐乃「……なんか良いイベントあったの?」

京介「へ? ま、まあ……無かったと言えば嘘になる」

桐乃は少しむすっとした顔付き。

だけど、ちゃんと飯は食わないで待っててくれるんだな。

685: ◆IWJezsAOw6 2013/08/31(土) 12:56:12.04 ID:/Kl/cfxA0
桐乃「へえ、どんな?」

京介「え、ええっと……キス的なアレ」

桐乃「もうそこまで行ったの? やるじゃん」

京介「結構やってたしな。 つうか軽くやり過ぎたかもしれん」

桐乃「良いじゃん良いじゃん。 で、感想は?」

京介「……なんていうか、あいつ最初の頃は「あたしの半径十メートルに入らないで」とか言ってたのに、今じゃ「ちょっと、なんで若干距離開けて歩いてんの?」って態度になって、可愛いというかなんと言うか」

京介「少し、デジャヴだった」

686: ◆IWJezsAOw6 2013/08/31(土) 12:56:39.51 ID:/Kl/cfxA0
桐乃「……ふうん」

京介「ま、どっかの誰かとは違って「お兄ちゃん」とか言ってくれるけどな~?」

桐乃「あたしに言ってるでしょそれ! あたしがそんなことゆうと思ってんの?」

……言わないだろうな。 絶対。

京介「逆に言ったらびびるっての。 てか、お前なんか機嫌悪いか?」

桐乃「……はぁ? なんで?」

687: ◆IWJezsAOw6 2013/08/31(土) 12:57:05.62 ID:/Kl/cfxA0
京介「なんとなくそう見えたって話だよ。 俺がゲームやりすぎたからか?」

桐乃「そうじゃないってーの。 てか、ベツに機嫌悪く無いし」

桐乃「……ま、良いや。 ご飯食べよ、ご飯」

京介「おう。 そうだな」

ここ数日、そんな感じで過ごしている俺たちだったのだが。

次の日の午後。 俺が部屋の扉を開けると異常事態が起きていた。

688: ◆IWJezsAOw6 2013/08/31(土) 12:57:38.09 ID:/Kl/cfxA0
京介「ただいまー」

いつもの様に、言いながら扉を開く。

目の前に映し出された光景。

まず、桐乃。 にこにこと笑いながら玄関で待っていた。

格好は……これは後で説明しよう。 それよりもまず、こいつが最初に言った台詞だ。

桐乃「お、おかえり。 お兄ちゃん」

689: ◆IWJezsAOw6 2013/08/31(土) 12:58:13.43 ID:/Kl/cfxA0
京介「……へ?」

桐乃「な、なあにぃ? そんな顔しちゃって。 あ、あはは」

……何だ? 何が起きた? こいつもしかして、頭でも打ったのか?

京介「びょ、病院行った方が良いか……?」

桐乃「は、はぁ!? ……ど、どしたのお兄ちゃん。 いきなりヘンなこと言っちゃって~」

一瞬すっげえ怖い顔してたぞ。 ていうか、今だって笑顔が引き攣っているし。

690: ◆IWJezsAOw6 2013/08/31(土) 12:58:46.72 ID:/Kl/cfxA0
京介「……頭大丈夫か? 桐乃」

桐乃「もぉ~。 お兄ちゃん酷いってー。 あたしはいつも通りだよぉ?」

そういうノリなのか!? 俺もそういうノリにならないといけねえのか!?

京介「わ、分かった。 今この状況については何一つ分からないが……とりあえず分かったって自分に言い聞かせる」

京介「それで……桐乃」

桐乃「んふふ。 なぁに?」

691: ◆IWJezsAOw6 2013/08/31(土) 12:59:29.78 ID:/Kl/cfxA0
き、気持ち悪っ!! そりゃあこんな妹が居たらそいつはすげえ幸せ者なんだろうけど、桐乃の場合はマジで気持ち悪い!!

京介「いやな。 今の今までツッコミ入れるのをすっげえ我慢してたんだけどさ」

京介「……その格好、どうしたの?」

桐乃「え? あ、あー。 これね」

言うと、桐乃はエプロンの裾を両手で軽く持ち上げる。

カーテシーとか言うんだっけ? この挨拶。 いやそんなのはどうでも良い。

692: ◆IWJezsAOw6 2013/08/31(土) 13:00:16.85 ID:/Kl/cfxA0
京介「え、エプロンは分かるけどな……? お前、なんで裸なんだよ!?」

桐乃「は、裸ッ!? 裸なワケ無いでしょ!! 下は水着だし!!」

桐乃「……あ。 も、もぉ。 お兄ちゃんのエッチぃ。 あたしがそんなことするワケ無いじゃん」

……所々で素に戻っている辺り、今のこの状況は治る見込みがあるということだ。 良かった。

京介「だ、だって俺から見るとそう見えるんだから……仕方無いだろ」

京介「ま、まあ良いか……とりあえず、中入る」

桐乃「うんっ。 ほら、カバンあたしが持つよ?」

……うう。 気持ち悪い。

693: ◆IWJezsAOw6 2013/08/31(土) 13:01:06.61 ID:/Kl/cfxA0
そして居間へ。 俺はそのままゲーム。

桐乃「お兄ちゃん、何か飲む? 喉乾いてるでしょ?」

とりあえず、その呼び方から治して欲しいぜ。 言われる度に鳥肌が立っているんだが。

京介「あー。 は、はは。 じゃあ、お茶でも貰おうかな」

桐乃「分かった! すぐ持ってくるね」

……あれ? なんだこれ、ちょっと良いかもしれない。

694: ◆IWJezsAOw6 2013/08/31(土) 13:01:46.47 ID:/Kl/cfxA0
桐乃は小走り気味に台所へ行き、お茶を取って来る。

今回はしっかりコップが二つ。 片方はお茶でもう片方の手には水。

前みたいに口移しで……みたいな展開にはならないようで安心。 てか、片方は水?

京介「ん? 桐乃は水飲むのか?」

少し疑問に思い、俺は戻ってきた桐乃にそう聞いた。

桐乃「うん。 あたしは水で、お兄ちゃんはお茶ね。 はい」

にっこにっこ笑ってやがる。 薄気味悪いぞ。

695: ◆IWJezsAOw6 2013/08/31(土) 13:02:13.18 ID:/Kl/cfxA0
少し変か……?

京介「おう、さんきゅー」

そうは思いつつも、俺は言い、桐乃からお茶を受け取る。

桐乃「どういたしまして。 あっ!」

桐乃は小さく悲鳴をあげ、バランスを崩し、持っていた水はそのまま俺に……。

ってちょっと待て。 お前今、明らかにバランス崩してなかったし思いっきりコップの水を俺目掛けて掛けただろ。

696: ◆IWJezsAOw6 2013/08/31(土) 13:02:49.03 ID:/Kl/cfxA0
桐乃「あああー。 ごめんね、お兄ちゃん」

京介「……は、はは」

もう笑うことしか出来ない。 お兄ちゃん怖いよ。

桐乃「冷たかったよね。 風邪引いちゃうからほら脱いで」

京介「ちょ、ちょっと待て! 確かに着替えないといけないが、なんでお前は脱がそうとしてくるんだよ!?」

桐乃「だ、だってぇ。 あたしの所為でお兄ちゃんが風邪引いちゃったらイヤだし……そうなったのはあたしの所為だし。 責任取る」

697: ◆IWJezsAOw6 2013/08/31(土) 13:03:23.57 ID:/Kl/cfxA0
京介「良い! 自分でやるから良い! マジで大丈夫!」

それから数分の間、ズボンを脱がされまいとする俺と、脱がそうとしてくる桐乃。 そんな攻防が繰り広げられるのだった。

……なんだこの図。

結果、俺はなんとか守り切り、風呂場へと向かう。

桐乃「あ、あたしも入ろうかなぁ~?」

京介「良い! 今日は良い!」

698: ◆IWJezsAOw6 2013/08/31(土) 13:03:51.90 ID:/Kl/cfxA0
桐乃「……どうしてもぉ?」

京介「ど、どうしてもだ!」

こんな小動物みたいな奴と一緒に風呂なんか入ったら、正直言ってヤバイ。 今日の桐乃はいつもよりスキンシップを取って来るし、どうなるか俺でも分からないっての。

で、着替えを取る為引き出しを開ける。

京介「な、なんでお前の下着が俺のところに入ってんだよ!?」

び、びびった! 一瞬間違えたかと思ったが、明らかに俺がいつも仕舞っている場所で合っている。 桐乃の奴、間違えたのか!?

699: ◆IWJezsAOw6 2013/08/31(土) 13:04:28.56 ID:/Kl/cfxA0
桐乃「あー。 えへへ。 お兄ちゃんと一緒のところが良かったの。 ダメ?」

京介「だ、駄目では無いけど……」

桐乃「ほんとに!? やったぁ!」

嬉しそうにぴょこぴょこ跳ねる桐乃。 こいつ、本当に大丈夫か。

京介「……まぁ、風呂入ってくる」

所々に仕掛けてあるトラップにびくびくしつつ、俺は風呂場へ。

700: ◆IWJezsAOw6 2013/08/31(土) 13:05:35.93 ID:/Kl/cfxA0
桐乃「うん!」

そんな背中に掛けられる桐乃の元気良い声を聞き、俺は苦笑いをするしかなかった。

少し早めの風呂となってしまったが、まあ良いか。

湯船に浸かりながら、俺は考える。

……いやそうは言っても、考える必要もねえかもしれない。

あいつ、ゲームのキャラの真似をしてやがるな。

何故……かは、なんとなくだが分かる。 俺がゲームにはま……はまってないけど、ちょっとだけやり過ぎてしまった所為かもしれない。

701: ◆IWJezsAOw6 2013/08/31(土) 13:06:11.97 ID:/Kl/cfxA0
ふうむ。

……いつも酷い扱いされてるし、ちょっとだけ、ほんのちょっとだけ仕返ししても良いんじゃね?

つっても、酷いことをするつもりは無いけどな。

少し、桐乃をからかってみるとしよう。

京介「……うへへ」

702: ◆IWJezsAOw6 2013/08/31(土) 13:07:41.79 ID:/Kl/cfxA0
京介「……おお。 お前、そこで待ってたのかよ?」

風呂場から出て、着替え、洗面所を出る。 するとすぐそこで桐乃は待っていた。

桐乃「うん。 お兄ちゃんに早く会いたかったの」

京介「そうかそうか。 お前はほんっとに可愛いなぁ」

言いながら、ちょこんと座っている桐乃の頭を撫でる。

703: ◆IWJezsAOw6 2013/08/31(土) 13:08:15.72 ID:/Kl/cfxA0
桐乃「な……!」

桐乃「……も、もう……い、いいいきなり撫でないでよぉ」

やべえ、普通に可愛いぞこいつ。

時々出てくる素の桐乃が、またなんとも。

京介「はは、悪い悪い。 行こうぜ、あっちで話そう」

桐乃「げ、ゲームは良いの?」

京介「なに言ってるんだよ。 こーんな可愛い妹が居たら、ゲームなんてしてる暇無いって」

704: ◆IWJezsAOw6 2013/08/31(土) 13:08:52.45 ID:/Kl/cfxA0
俺は桐乃に笑顔を向けながら言う。 桐乃は顔を真っ赤にし、俯いてしまった。

京介「どした? 話さないのか?」

桐乃「……す、するケド」

京介「なら行こうぜ。 あ、なんなら抱っこしてやろうか?」

桐乃「だ……っこ!? ごほっ!」

京介「ほら」

言い、俺は桐乃に両手を差し出す。

705: ◆IWJezsAOw6 2013/08/31(土) 13:09:22.38 ID:/Kl/cfxA0
桐乃は少し考え、やがて俺の体にしがみ付く。 見ると耳まで真っ赤になり、両手で俺の服をぎゅっと掴んでいる。

……超可愛いかもしれん。

俺はそんな桐乃の腰と背中に手を回し、持ち上げ、移動。

直接肌に手が触れている所為か、桐乃の体は少しだけ熱い。

俺も桐乃も移動の間は無言で、座らせたところでようやく桐乃は口を開く。

桐乃「お、お兄ちゃん……ありがと」

京介「気にするなって」

706: ◆IWJezsAOw6 2013/08/31(土) 13:10:09.94 ID:/Kl/cfxA0
……こいつ、まだこれを続ける気だな。

良いぜ、俺にも考えがあるってんだ。

京介「ふう。 あー、なんか肩が疲れたな……誰かマッサージしてくれねえかな~?」

言い、桐乃の方をちらちらと見る。

桐乃「それってあたしを抱っこした所為だよね!? なら……あ、あたしマッサージするよ!」

……嬉しそうだな。 逆効果だったのだろうか。

京介「お、おう……じゃあ、頼む」

707: ◆IWJezsAOw6 2013/08/31(土) 13:10:35.84 ID:/Kl/cfxA0
桐乃は俺の言葉を聞くと、すぐに俺の背中に回る。

で、俺の肩を掴み、マッサージ。

京介「な、なんか近くね……?」

桐乃「そんなことないってぇ。 いつもと一緒だよ?」

密着してるじゃねえかよ! ていうか、ていうかだな。

……胸が、俺の背中に当たっている。

708: ◆IWJezsAOw6 2013/08/31(土) 13:11:01.27 ID:/Kl/cfxA0
それに、こいつやたら俺の耳元で喋る所為で、くすぐったい。

京介「お、お前……」

桐乃「どうしたの? お兄ぃちゃん♪」

声が甘ったるい! 囁くように言うんじゃねえよこいつ!

京介「……マッサージはもういい! 大丈夫!」

桐乃「そう? えへへ」

桐乃「じゃあ、次は何して欲しい?」

709: ◆IWJezsAOw6 2013/08/31(土) 13:11:32.68 ID:/Kl/cfxA0
桐乃は言い、俺の正面へと回る。

桐乃「お兄ちゃんは、あたしに何をして欲しいの?」

桐乃は顔を近づけてきて、上目遣いで俺を見る。

こいつは止まる気が無いのか、もうすぐ目の前に桐乃の顔。

……この空気はマズイ! つうか、こいつ良くこんな台詞を言えるな!?

710: ◆IWJezsAOw6 2013/08/31(土) 13:11:58.34 ID:/Kl/cfxA0
京介「あ、あー! 喉渇いた!」

桐乃「チッ……」

……すっげえ笑顔のまま舌打ちされた気がする。

桐乃「うん。 分かった! 持ってくるね」

まさか、また水を俺に掛けるなんてことはしないと思うが、一旦距離を置かないとヤバイ。

さて、どうしたらあいつは元に戻ってくれるのだろうか。

あいつが絶対にやらないようなことを頼めば、キレて戻ってくれそうではあるけど……。

711: ◆IWJezsAOw6 2013/08/31(土) 13:12:26.14 ID:/Kl/cfxA0
桐乃が聞かないことって、何だろう?

ううむ。

桐乃「お兄ちゃん、お待たせ!」

声が聞こえ、そちらに視線を向けると桐乃。

相変わらずあの格好のままだが、このキャラのおかげで俺はなんとか正気を保てているのかもしれんな。

普段のツンツンした桐乃でこの格好をやられたら、俺なんて一発でやられているだろう。

でもまあ、恥ずかしい物は恥ずかしいが。

712: ◆IWJezsAOw6 2013/08/31(土) 13:12:56.35 ID:/Kl/cfxA0
京介「ん、サンキュー」

桐乃「……ふひひ」

笑いながら、俺の顔をじーっと見てくる桐乃。

……調子乗りやがって!

京介「桐乃、頼みがあるんだけど」

桐乃「頼み? 良いよ、お兄ちゃん」

713: ◆IWJezsAOw6 2013/08/31(土) 13:13:23.39 ID:/Kl/cfxA0
京介「……語尾に「にゃ」って付けて喋ってみてくれ」

桐乃「はぁ!?」

京介「ああ、嫌なら良いぞ? 桐乃がそうだってんなら、俺は諦めるさ」

俺の言葉を聞くと、桐乃は数秒考える。

考えた後、ゆっくりと頷いた。

……マジかよ!? 今のでさすがにキレるかと思ったのに!

く、くそ。 こうなったらヤケだ。 俺もとことんやってやる。

714: ◆IWJezsAOw6 2013/08/31(土) 13:13:49.27 ID:/Kl/cfxA0
京介「おいおい。 ちゃんと言葉で言ってくれなきゃ分からないぜ?」

桐乃「わ、分かった……にゃ」

京介「……」

し、死んだかもしれない。 今一瞬、俺死んだかも。

桐乃「……ど、どうしたにゃ?」

ヤッベー! もう桐乃さん可愛すぎるだろ!? 一生こんな感じになってくれねえかな!?

いや、でもたまにこういうのが来るから堪らないんだよな。 うむ。

715: ◆IWJezsAOw6 2013/08/31(土) 13:14:25.53 ID:/Kl/cfxA0
って納得してる場合じゃねえ! 桐乃、マジでどうやったら戻るんだ!?

京介「へへ……ちょっと頭撫でていいか?」

桐乃「……」

俺が言うと、桐乃は黙って頷く。 で、胡坐を掻いて座っている俺の上で丸くなる。

京介「……よしよし」

桐乃「……にゃあ」

襲ってもいいか、襲ってもいいのかこれ。 こいつノリノリじゃねえか。

716: ◆IWJezsAOw6 2013/08/31(土) 13:14:54.11 ID:/Kl/cfxA0
桐乃「どうかした……にゃ?」

俺がとてつもない物と心の中で戦っているのを不審がり、桐乃はそう尋ねてきた。

俺、慌てて即答。

京介「な、なんでもねえ! てか、お前顔真っ赤だぞ? 本当に大丈夫かよ?」

桐乃「あ、あたしは大丈夫! ……にゃ」

そして、桐乃は続ける。

桐乃「でも……ちょっと頭痛いかもしれないにゃ」

717: ◆IWJezsAOw6 2013/08/31(土) 13:15:20.69 ID:/Kl/cfxA0
京介「……そうだったのか? 悪い、全然気付かなかった」

桐乃「ち、ちがっ! ……そうじゃなくて」

京介「んだよ? まぁ……あーくそ。 とりあえず寝とけ、そのまま体調崩されたら、つまんないしさ」

桐乃「……ごめん」

京介「何謝ってるんだっての。 良いからほら」

桐乃「……」

黙ったまま、俯く桐乃。

718: ◆IWJezsAOw6 2013/08/31(土) 13:15:48.75 ID:/Kl/cfxA0
……なるほど。 全部分かった。 そういうことか。

俺はそんな桐乃を殆ど無理矢理抱き抱え、布団まで運んで行く。

京介「何か食べるか? つってももうすぐ夜飯だけど……」

桐乃「だいじょぶ」

京介「そか。 今日は俺が飯作るからさ、お前は休んどけよ」

桐乃「そ、そのくらい平気だって!」

京介「良いから。 素直に言うこと聞けっての」

719: ◆IWJezsAOw6 2013/08/31(土) 13:16:17.14 ID:/Kl/cfxA0
桐乃「……」

桐乃は返事をせずに、頷きもしない。

そんな桐乃の頭を撫で、俺は言う。

京介「一緒に寝てやろうか? へへ」

桐乃「……うん」

……ったく。 そこだけ素直になるんじゃねえっての。

720: ◆IWJezsAOw6 2013/08/31(土) 13:16:52.59 ID:/Kl/cfxA0
京介「つうか、さっきまで「お兄ちゃんお兄ちゃん」言ってたのにどうしたんだ? 桐乃」

桐乃「あ、あれは……何でも無い」

京介「そうかい。 まぁ、別に良いけどさ」

そういう流れで、俺と桐乃は一緒に寝る。

俺は眠くは無かったので、桐乃が寝るまでの間だけだが。

しかし、こいつは一向に寝る気配が無い。

721: ◆IWJezsAOw6 2013/08/31(土) 13:17:59.94 ID:/Kl/cfxA0
桐乃「……ごめん」

京介「何が?」

桐乃「色々、だよ。 ねえ、京介」

京介「んー?」

桐乃「……あたし、ヘンだった? 今日」

京介「そりゃ、まあな。 最初なんて本気で病院連れて行こうか悩んだっての」

722: ◆IWJezsAOw6 2013/08/31(土) 13:18:27.38 ID:/Kl/cfxA0
桐乃「それはちょっと酷すぎ。 でも……酷いのは、あたしかも」

京介「なんで?」

桐乃「あのね、あたし……ウソ吐いた」

京介「……そうか。 どんな嘘を吐いたって?」

桐乃「具合が悪いって。 ウソなの」

桐乃「……全然平気だし、なんとも無いの」

723: ◆IWJezsAOw6 2013/08/31(土) 13:18:56.47 ID:/Kl/cfxA0
そうかいそうかい。

知ってたさ、そんなことは。

京介「で?」

桐乃「……ごめん」

京介「馬鹿かよ?」

桐乃「怒ってるよね。 やっぱり」

京介「……」

俺は黙って桐乃の頭を撫でる。

724: ◆IWJezsAOw6 2013/08/31(土) 13:19:29.95 ID:/Kl/cfxA0
桐乃「……何で。 あたしが悪いのに」

京介「確かに、お前が悪いのかもな」

桐乃「だったら!」

京介「でも、前に言っただろ。 お前がどれだけ悪かったとしても、俺はお前の味方だ」

京介「だから、俺は別に怒らない。 今回なんか、俺も悪いところあったかもしれねえし」

桐乃と遊んでいる時間は、確実に減っていたわけだしな。

725: ◆IWJezsAOw6 2013/08/31(土) 13:19:55.44 ID:/Kl/cfxA0
……俺も大概、人のことを言えないよなぁ。 ゲームをやりすぎて、桐乃にこんなことをさせてしまうなんて。

桐乃「……」

京介「それに、妹の為に何か出来るなんて、兄貴にとっちゃ名誉みてーな物だっての。 それが嘘でも本当でも」

桐乃「……ごめん」

京介「だから謝るなって。 な?」

桐乃「ひひ。 うん……ありがと」

726: ◆IWJezsAOw6 2013/08/31(土) 13:20:22.86 ID:/Kl/cfxA0
京介「おっし。 じゃあ桐乃、一緒に飯作ろうぜ」

桐乃「おっけ。 良いよ」

京介「ちなみに、語尾に「にゃ」って付けるの忘れてねえか? 約束したけど」

桐乃「あれは忘れろッ!! あぁああああっ! 思い出しただけで気分悪くなってきたっての!!」

京介「やだよ~。 録音しちゃったもんね」

桐乃「じょ、冗談でしょ?」

727: ◆IWJezsAOw6 2013/08/31(土) 13:20:50.38 ID:/Kl/cfxA0
京介「へっへっへ。 だと思うだろ? 今回はマジだ」

桐乃「け、消して! 今すぐに!!」

京介「断る! 寝る前に毎回聞くからなぁ!」

桐乃「消せっての!!」

京介「いーやーだーね。 だって、超可愛かったし」

桐乃「……ほ、ほんと?」

京介「……おう」

728: ◆IWJezsAOw6 2013/08/31(土) 13:21:17.54 ID:/Kl/cfxA0
桐乃「……」

桐乃はそれを聞くと、一度顔を伏せ、数秒後、顔をあげて言った。

桐乃「お兄ちゃん、消して欲しいにゃ♪」

今度は手の仕草付き。 グーにしてポーズを取っている。

こいつ、もしかして気に入ったのか。

しかしあれだ。 俺としては。

729: ◆IWJezsAOw6 2013/08/31(土) 13:21:48.17 ID:/Kl/cfxA0
京介「やべえお前それ超ヤバイ!」

言って、桐乃を抱き締める。

桐乃「こ、この変態っ! 妹の声に欲情するとかマジキモイ!!」

声『に』じゃねえよ。 声『にも』だ。 正しく言うと。

それにしても、やっぱ桐乃はこうでなきゃな。

京介「お前なぁ、俺に変態変態言ってるけどさ、自分の格好見てから同じ台詞言えるのか?」

桐乃は言われ、俺の腕の中で自分の格好を確認。

着替えていないので、勿論エプロンに水着姿。

730: ◆IWJezsAOw6 2013/08/31(土) 13:24:15.78 ID:/Kl/cfxA0
桐乃「……死ねぇええええええぇえええええええええええ!!!!」

直後突き飛ばされ、俺が桐乃の肘打ちを顔面に食らったのは言うまでも無いことだろう。

そしてその後、やり過ぎたと必死に謝ってきた桐乃のことも、言うまでも無いことだろう。

……もうひとつ。

そんな桐乃を見て、俺が思ったことなんてのもまた、言うまでも無いことだ。


お兄ちゃん 終

740: ◆IWJezsAOw6 2013/09/01(日) 13:08:26.26 ID:xyeEAHJt0
月曜日。 一週間の始まり。 私にとっては多分、幸せな日。

学校に行けば桐乃が居て、加奈子もまぁ居て。

三人で楽しくお喋りしたり、お弁当を食べたり、勉強したり、仕事の話とかもしたりして。

そんな、楽しい毎日が始まる日だからこそ、私は月曜日が楽しみなのだろう。

そうは言っても、つまらない日だって当然ある。 それは桐乃が学校に来ない日だったり。

……帰り道で、お兄さんに会った日だったり。

先週の金曜日は最悪だった。 少し、そんな最悪な日を思い出してみよう。

741: ◆IWJezsAOw6 2013/09/01(日) 13:10:00.30 ID:xyeEAHJt0
京介「おうあやせ、偶然だな」

あやせ「そんなこと言って、また私に付き纏っているんじゃ無いんですか?」

京介「ちげーって……あれか、もしかしたら俺とお前ってそういう風に偶然出会いまくる運命なんじゃ」

あやせ「今の録音しましたから。 今度の月曜日、桐乃に聞かせます」

京介「すいませんでしたぁ!!」

勢い良くそう言いながら土下座するお兄さん。 道端で何をやっているんだろう、この人は。

742: ◆IWJezsAOw6 2013/09/01(日) 13:10:57.73 ID:xyeEAHJt0
あやせ「分かりましたよ……仕方ないですね」

京介「お、おお! さすがはあやせ!」

……あくまでも、私が分かったと言ったのはお兄さんの謝罪について。 桐乃に聞かせることには変わり無いってところは言わない方が良さそう。

だって、桐乃が嫉妬して「くうう」って顔をするのはすごく可愛いし!

あやせ「もう、褒めても何も出ませんよ? それよりこんなところで私と話していて良いんですか?」

京介「……ん、ああ。 そうだった。 桐乃の奴からお使い頼まれてるんだった」

743: ◆IWJezsAOw6 2013/09/01(日) 13:12:01.44 ID:xyeEAHJt0
あやせ「でしたら道草を食っている場合じゃないじゃないですか。 ぶち殺しますよ」

京介「それで殺されてたら命がいくつあっても足らないっての……まあ、またな。 あやせ」

あやせ「さようなら」

京介「……またね?」

あやせ「さ、よ、う、な、ら」

京介「……さようなら」

744: ◆IWJezsAOw6 2013/09/01(日) 13:13:40.04 ID:xyeEAHJt0
良かった。 うまくやっているみたいで。

正直に言うと、最初の頃は心配で心配で堪らなかった。 桐乃のことも、お兄さんのことも。

これからどうするつもりなんだろうとか、私には全く関係無いのに悩んでしまって。

それからお兄さんと話す機会があって、すっきりして。

この人なら大丈夫だと、思えた。

745: ◆IWJezsAOw6 2013/09/01(日) 13:14:54.09 ID:xyeEAHJt0
あやせ「って違う! それじゃあやっぱり良い日だったみたいに思えちゃう!」

桐乃「きゅ、急にどしたの? あやせ」

あやせ「へ、へ? あ、あはは。 何でも無いよー? あはは」

桐乃「そ、そう? なら良いケド」

でもやっぱり、先週の金曜日に比べたら今日はとっても良い日。

だって、登校中に桐乃に会えたから。

加奈子「おーっす。 お前ら何仲良く登校してんの? もしかしてデキた?」

……ランクダウン。

746: ◆IWJezsAOw6 2013/09/01(日) 13:15:19.66 ID:xyeEAHJt0
加奈子「……さすがの加奈子でもそこまで露骨に嫌そうな顔されると傷付くんだけど、あやせ」

あやせ「え、えー? そんなことないってばぁー。 どうしてくれようかなんて、思って無いよ?」

加奈子「……桐乃、あたし消えた方が良い様な気がしてきたんだけど。 命の危険を感じる」

桐乃「えぇー? 加奈子も一緒に行った方があたしは楽しいのに」

あやせ「だ、だよね? 私も丁度そう思ったところだったんだぁ~」

加奈子「……うそくせー」

747: ◆IWJezsAOw6 2013/09/01(日) 13:16:00.34 ID:xyeEAHJt0
あやせ「何か言った?」

加奈子「……あ、何でも無いッス」

やっぱ桐乃は優しいなぁ。 こんな加奈子相手でも、楽しいって言えるんだから。

加奈子はもっと桐乃に感謝するべきだよね。 全くもう。

でも、なんかこうしてやり取りをしているのにも、幸せを感じる私だった。

748: ◆IWJezsAOw6 2013/09/01(日) 13:16:33.31 ID:xyeEAHJt0
そして、お昼の時間。

あやせ「きーりの! 一緒にご飯食べよ」

桐乃「うん。 良いよ。 あはは」

机を合わせ、桐乃と向かい合う。

加奈子「なんかさ、あたしの存在忘れてね?」

あやせ「や、やだなぁ。 忘れてるわけ無いでしょ? 加奈子ったらー」

加奈子「……」

いつもの感じ。 この空気が、私はとても好き。

皆で机をくっ付けて。 お弁当を広げて。

749: ◆IWJezsAOw6 2013/09/01(日) 13:17:23.46 ID:xyeEAHJt0
広げて。

桐乃「そーいえばさ、ちょっと聞いてよ二人とも」

……始まった、と思った。

それは多分、加奈子も一緒。

だって、桐乃がこう言った瞬間に私も加奈子も顔を見合わせたから。 お互いに思っていることは一緒のはず。

この時間、私と加奈子は毎日桐乃の話を聞かされる。 その時の桐乃の顔はモデルをやっている時のしっかりした顔付きとは違って、普段の優しそうな顔付きとも違う。

私や加奈子にもあまり見せない、砕けた表情。 へらへら笑っているという感じ。

でも、幸せそうだなとは思う。

750: ◆IWJezsAOw6 2013/09/01(日) 13:19:46.98 ID:xyeEAHJt0
桐乃「昨日さぁ。 肉じゃが作ってあげたんだ、あいつに」

桐乃「あ、いちお毎日あたしがご飯作ってるのね。 土下座して頼まれちゃって仕方なくなんだケドぉ」

桐乃「それで! あいつなんて言ったと思う? あたしの手料理食べて」

あいつが誰かなんて、聞く必要は無い。 もうこの様な話は週に五回はされているから。

つまり、学校がある日は毎日ということ。

で、何々。 お兄さんが桐乃の手料理を食べて何て言ったか……かぁ。

ううーん。 お兄さんだったら、そうだなぁ。

751: ◆IWJezsAOw6 2013/09/01(日) 13:21:11.55 ID:xyeEAHJt0
あやせ「桐乃、お前の手料理を食べられるなんて俺はなんて幸せ者なんだ。 とか?」

加奈子「ちっげーよ。 京介だったらこう言う。 桐乃、そんなことより早く布団行こうぜ。 だろぉ?」

桐乃「ち、が、う!! あやせも加奈子もあいつのこと分かってないッ!」

机をバンッと音がする勢いで叩く桐乃。 あ、加奈子のお弁当落ちそうになっちゃってる。

それにしても怖いよ、桐乃。 当てられないとこうやってちょっと怒って、当てたら当てたで「……ふうん」って不機嫌になるんだよね、いっつも。

面倒臭いよ!  正直に言って面倒臭いよ桐乃! でもそこがまた、可愛いんだけどね。

752: ◆IWJezsAOw6 2013/09/01(日) 13:21:53.38 ID:xyeEAHJt0
桐乃「あいつ、こう言ったの」

桐乃「また肉じゃがか? って」

桐乃「ありえなくない!? あたしが折角作ってあげたのに「また」とかチョー意味が分からないんですケドぉ!」

あやせ「き、桐乃落ち着いて。 声が大きいよ」

桐乃「あ、あ……ごめん」

桐乃「で、でも酷くない? 普通、そうゆうこと言う?」

加奈子「まあ頻度に寄るんじゃね? それで連続何日目なんだよ?」

753: ◆IWJezsAOw6 2013/09/01(日) 13:22:20.50 ID:xyeEAHJt0
桐乃「二日目」

あやせ「桐乃、加奈子。 お兄さんを殺しに行こう」

加奈子「よっしゃ行くか!」

たった二日で!? たった二日で「また」だなんて、どの口が言っているのだろう!?

お兄さんには一度、躾が必要かも。

桐乃「あ、あはは。 そこまであたしも怒って無いって」

あやせ「で、でも酷いって! 桐乃が折角作ってあげたのに……」

754: ◆IWJezsAOw6 2013/09/01(日) 13:23:20.74 ID:xyeEAHJt0
桐乃「でしょ~? 飽きない様に、味付け変えてるのに……」

桐乃「だから、あたしは言ったの。 京介に「なに、文句あるワケ?」って」

あやせ「もっと言って良いよ。 私が許すから」

加奈子「加奈子もさんせー。 で、京介はなんて言ったの?」

桐乃「ふ、ふひひ……それがね、あいつ「ある訳無いだろ? お前の作ったのなら同じ物でも毎日超美味しく食えるぜ」って言ったの!」

……そういうことですか。 桐乃。

755: ◆IWJezsAOw6 2013/09/01(日) 13:23:49.40 ID:xyeEAHJt0
桐乃「チョーキモくない!? 同じ物でも毎日食べられるって~。 ふひひ。 どんだけあたしのこと大好きなのぉ!?」

桐乃「しかもあたしの頭撫でながらゆうんだよ!? ぺたぺた触ってさぁ! ふひひひ」

あやせ「……良かったね、桐乃」

桐乃「何にも良く無いってぇ! あたしチョー大変なんだってばぁ! 家に帰ったら毎日あいつ居るしぃ!」

この表情を見たら、百人中百人は「幸せそう」と表現するんだろうなぁ……。

なんて、飛びっきりの笑顔であたしと加奈子に話す桐乃を見てそう思う。

756: ◆IWJezsAOw6 2013/09/01(日) 13:24:45.28 ID:xyeEAHJt0
加奈子「……」

ふと、加奈子の方に視線を向けると、既に加奈子は食事モード。

こう話し出すと、桐乃はしばらく止まらない。 私も加奈子に習い、食事モードへと入ることにした。

桐乃「でさ、でさ。 その後は「桐乃、あーん」とか言ってやってくんの! マジ、どんだけシスコンなワケ!?」

桐乃「そんでぇ、あたしがお返しに「あーん」ってやってあげたら、あいつ超嬉しそうに笑うんだよ? き、キモすぎ! ふひひ~」

嬉しそうだね、桐乃。

757: ◆IWJezsAOw6 2013/09/01(日) 13:25:33.01 ID:xyeEAHJt0
火曜日。

今日は桐乃とも加奈子とも会えず、一人で登校。

何でも今日は寄って行く場所があるらしく、いつもの時間より少しだけ遅れるとのこと。

別に待ち合わせをしている訳でも、一緒に行こうと約束している訳でも無いのに、桐乃はそういう時にしっかりと連絡してくれる。

私はそれが、少しだけ嬉しかったり。

加奈子は……寝坊でもしているのかな。 多分。

あやせ「……今日は一人かぁ」

758: ◆IWJezsAOw6 2013/09/01(日) 13:26:00.32 ID:xyeEAHJt0
学校に行けば会えるけど、それでも寂しい。

そういえば、この前もそうだったかな。 桐乃が進路のことで呼び出されて、学校に残って、私が一人で帰って居た時。

……あの時はお兄さんと会った。 あれからたまに桐乃の写真が送られてくる。

桐乃も笑ってピースとかしているから、送ることに承諾しているのだろう。

そんなことを思っている中、私は見慣れた人影を見つけた。 それも二人。

あやせ「お兄さんに……桐乃?」

仲が良さそうに手を繋いで歩いている。 桐乃、凄く楽しそうだなぁ。

759: ◆IWJezsAOw6 2013/09/01(日) 13:27:05.46 ID:xyeEAHJt0
でも、お兄さんって結構大人っぽいし、見ようによっては女子高生に手を出している変態に見えなくも無い……かな?

ううん。 お兄さんは紛れも無い変態だけど。

……普段はしない。 普段の私だったら。

でも今日は、なんだか違った気分。 少し、いたずら心を突付かれた様な気分。

あやせ「……つ、付いて行って見ようかな」

お兄さんが変な所に桐乃を連れ込もうとしたら助けないと行けないし!

そう。 だからこれはストーカーとか、そういうのじゃない。

760: ◆IWJezsAOw6 2013/09/01(日) 13:27:31.51 ID:xyeEAHJt0
桐乃「でさ~」

京介「はは、マジかよ」

途切れ途切れに聞こえて来る会話からは、仲の良さが窺える。

桐乃から話されることって言うのは、大体が惚気話で、こういう日常的な話ってあまり聞かないんだよね。

……いや、でもその惚気話が日常的な話だとしたら?

お兄さん、今度お話しましょうね。

私がそう思いながら二人の姿を見ていると、お兄さんが突然振り向く。

慌てて物陰に隠れ、見つからない様に。

761: ◆IWJezsAOw6 2013/09/01(日) 13:28:06.85 ID:xyeEAHJt0
桐乃「……どしたの?」

京介「いや……なんか殺気を感じた」

殺気!? わ、私が殺気を出していたって言うんですか!? ぶち殺しますよ!?

……全くもう。 お兄さんは失礼です。 私が送っていたのは暖かい眼差しだというのに。

京介「ううむ。 ま、良いか。 行こうぜ」

桐乃「うんっ」

そして、また手を繋いで歩き出す二人。

762: ◆IWJezsAOw6 2013/09/01(日) 13:28:37.33 ID:xyeEAHJt0
なんか、近寄りがたいオーラを出している様な気がする。

だって、手なんて恋人繋ぎだし……桐乃ったら、お兄さんの体にぴったりくっ付いているし。

これで桐乃は良く「あいつマジキモイ」とか言えるよね……。

二人っきりの時は、これだけ桐乃も素直なのに。

あやせ「……私、何しているんだろ」

このままだと二人の邪魔をしてしまいそうで、私は来た道を引き返す。

学校、行かないと。

763: ◆IWJezsAOw6 2013/09/01(日) 13:29:15.26 ID:xyeEAHJt0
水曜日。

今日は学校帰りに仕事。 桐乃も一緒。

私と一緒に仕事の時は、二人で一緒に行って、二人で一緒に帰っている。

桐乃だけが仕事の時は、お兄さんが送り迎えをしているみたい。 最近車の免許を取ったようで、たまに学校の近くに止まったりしている。

……前に警察の人に職務質問をされていたのを見かけた時は、さすがに可哀想になって声を掛けたけど。

まぁ、高校の目の前に車を止めていたら怪しいよね。 最近、そういうので事件になるパターンもあるみたいだし。

私は当然「止めるならもう少し離れた場所にしましょうよ」と言った。 お兄さんはその時、こう返してきたけど。

764: ◆IWJezsAOw6 2013/09/01(日) 13:29:42.40 ID:xyeEAHJt0
京介「だって、そうしたら出てくる桐乃が見れないじゃん……。 あいつ、俺を見つけたときにすっげー笑顔になるから、それが楽しみなんだよ……」

あやせ「とんだ変態ですね……今日も放っておけば良かったです」

京介「じゃあ、逆の立場になってみろよ。 あやせが桐乃を送り迎えするとして、お前はどうする?」

わ、私が桐乃を送り迎え……?

そ、そんなのはもう。

あやせ「……教室まで迎えに行きますね」

京介「だろ!? だったら俺がここで待ってるのは、自制してのことなんだよ。 納得してくれたか?」

765: ◆IWJezsAOw6 2013/09/01(日) 13:30:08.89 ID:xyeEAHJt0
あやせ「でも、今日みたいに警察の方に見られたらどうするんですか……。 桐乃に悪い評判でも付いたら、ぶち殺しますよ?」

京介「笑顔のままそういう台詞を言わないでくれ! 警察も俺みたいな奴より、お前を取り締まるべきだっての……」

あやせ「……それはどういう意味ですか。 お、に、い、さ、ん」

京介「や、やめてぇえええええええええ!!」

そのお兄さんの叫び声で、また警察の方が来るのでした。

お兄さん、制服を着ている私、車。

勘違いさせるのには十分だった様で、私もお兄さんも顔を真っ赤にして否定。

これはお兄さんと私のお話。 桐乃には内緒の。

766: ◆IWJezsAOw6 2013/09/01(日) 13:30:41.10 ID:xyeEAHJt0
木曜日。

今日は雨。 朝からしとしとと降り続ける雨は、止む気配が無い。

桐乃「雨、止まないね」

教室の窓から外を見ながら、桐乃は言う。

あやせ「予報だと、帰る頃には止むはずだったのにね」

授業が終わって帰る頃になっても、依然雨は降り続けている。

桐乃「うーん。 折り畳み傘も持ってないし。 サイアク」

767: ◆IWJezsAOw6 2013/09/01(日) 13:31:14.23 ID:xyeEAHJt0
あやせ「濡れるのは嫌だよね、やっぱり」

あやせ「でも、桐乃は大丈夫だって。 お兄さんに持ってきて貰えば」

桐乃「あいつ、今ちょっと風邪気味っぽいんだって。 だから無理言って持ってきて貰うのも悪いし」

あやせ「心配なんだね。 お兄さんのことが」

桐乃「そ、そんなんじゃないっての! あたしの所為で悪くなったら、あたしの気分が悪くなるだけで……だから……」

あやせ「はいはい。 あはは」

桐乃「も、もう。 あやせのばか」

768: ◆IWJezsAOw6 2013/09/01(日) 13:31:41.62 ID:xyeEAHJt0
あやせ「へえ~? あ~あ。 折角私の傘に入れてあげようと思ったのに、そんなこと桐乃は言うんだぁ?」

からかうように、私は言う。

桐乃「か、傘持ってるの!? あやせぇ~。 一緒に帰ろうよぉ~。 お願ぁい?」

か、可愛い。 この「お願ぁい」で、お兄さんは一体何回落とされたのだろう。

私だったら多分、言われる度に落とされていると思う。

あやせ「わ、分かったよ。 桐乃、一緒にかえろ?」

桐乃「マジ!? ありがと、あやせ! 大好き!」

言いながら、私に飛びついてくる桐乃。

……お兄さんが桐乃にデッレデレな理由が、少し分かった気がする。

769: ◆IWJezsAOw6 2013/09/01(日) 13:33:11.80 ID:xyeEAHJt0
桐乃「あやせ、本当にありがとね」

あやせ「良いって良いって。 気にしないで」

桐乃「だけど、途中までで良いよ? 雨もちょっと弱くなってきたし」

あやせ「もう。 そんなの考えなくて良いんだって。 私が桐乃を家まで送って行きたいから、じゃあ駄目?」

桐乃「……えへへ。 ありがと」

あやせ「あはは。 それじゃあ今度、一緒に喫茶店いこ?」

この前は確か、私が出したんだっけかな? 手錠の一件での埋め合わせで。

桐乃もその意味が分かったのか、笑いながら言う。

770: ◆IWJezsAOw6 2013/09/01(日) 13:34:07.92 ID:xyeEAHJt0
桐乃「おっけ! じゃあさ、週末に一緒に行く? 遊んでから」

あやせ「良いの? 桐乃が良いなら、私はそれで良いよ」

桐乃「たまにはね。 ひひ」

そんな風に楽しそうに話している時、後ろから声が掛かった。

「お前、学校に居るんじゃなかったのかよ。 つか、それなら俺が持ってくる必要無かったな」

その声を聞いて、私は安心した。

あやせ「駄目じゃないですか。 お兄さん、風邪気味って聞きましたよ」

771: ◆IWJezsAOw6 2013/09/01(日) 13:34:58.23 ID:xyeEAHJt0
京介「あー。 もう治った……ってことで良いか?」

あやせ「それは、私ではなくて桐乃に聞いてください」

桐乃「……ばーか」

桐乃はお兄さんの方を見ながら、そう言った。

その言葉は多分、飛びっきりの嬉しさを表しているのだろう。

あやせ「それじゃ、私は帰りますね。 桐乃の彼氏さんも来た様ですし」

桐乃「……なんか悪いし、家寄ってく? お茶くらいなら出すよ?」

あやせ「良いって良いって。 今度遊ぶ時の為に取って置くよ。 あはは」

772: ◆IWJezsAOw6 2013/09/01(日) 13:36:13.06 ID:xyeEAHJt0
桐乃「でも……」

申し訳無さそうな顔をする桐乃を見て、私はひとつ思い出す。

あやせ「……あ、そうだ」

あやせ「私が急に家に帰りたくなったから、じゃあ駄目かな? 桐乃」

私が言うと、桐乃は笑って言った。

桐乃「ううん。 大丈夫。 あやせ」

桐乃「ありがとね」

私は笑顔で返事をして、お兄さんに頭を一度下げ、帰る。

こんな些細なことでも、毎日が楽しかった。

773: ◆IWJezsAOw6 2013/09/01(日) 13:38:23.30 ID:xyeEAHJt0
金曜日。

桐乃「あ、あやせ! ちょっとこれ見てくんない!?」

桐乃がお昼になった瞬間、わたしの席まで飛んできて、開口一番そう言った。

あやせ「な、なに? どうしたの? そんなに慌てて」

桐乃「さっき見たんだけど、これ!」

桐乃は言いながら、私に携帯を見せる。

そこに写っているのは、加奈子?

桐乃「アイドルの卵大特集! だって!」

774: ◆IWJezsAOw6 2013/09/01(日) 13:40:24.47 ID:xyeEAHJt0
桐乃「特集サイトが出来ててさ、そこに加奈子が出てるの! 凄くない!?」

あやせ「ほんとだ。 加奈子、頑張ってるんだね」

桐乃「このまま加奈子が頑張れば……あたしもその友達としてメルルのイベントに招待とか……」

桐乃、本音が出てるよ!

加奈子「ったくよー。 そんくらいで騒ぐなっての。 ちっさいサイトの記事だろぉ?」

あやせ「かーなーこー。 折角取り上げてくれているんだから、素直に感謝しないと駄目だよ?」

加奈子「へーへー」

桐乃「でも……すごいよね。 加奈子」

775: ◆IWJezsAOw6 2013/09/01(日) 13:41:36.82 ID:xyeEAHJt0
加奈子「な、なんだっての。 桐乃なんか変じゃね?」

桐乃「そんなことないって! 加奈子のこと、応援してるから」

加奈子「お、おう……サンキュー」

桐乃は最後に、こう付け加えた。

桐乃「だから、加奈子が出てるイベントも応援に行くからね。 チケットお願い」

……桐乃、目がちょっと怖いよー。

だけど加奈子もしっかり、自分の道を歩いているんだね。

776: ◆IWJezsAOw6 2013/09/01(日) 13:43:22.51 ID:xyeEAHJt0
私は、私は……どうだろう。

こんな感じで、私の一週間は終わる。

明日は休み、明後日も。

だけど、また月曜日になれば皆に会える。 桐乃が居て、加奈子が居て。

お昼には桐乃の惚気話を聞かされて。

朝はたまに一人の時もあるけれど。

学校から出たら、警察に話を聞かれている不審者さんが居たりして。

雨が降ったら、仲良く一緒に帰って。

そして、将来の話なんかもしたりして。

777: ◆IWJezsAOw6 2013/09/01(日) 13:44:53.93 ID:xyeEAHJt0
楽しそうに話す私の友人たち。

……うん。 大丈夫だ。 私もしっかり、歩けている。

あやせ「ね、二人とも」

桐乃「んー? どしたの、あやせ」

加奈子「今、加奈子の話してたところじゃねーかよぉ。 なに?」

あやせ「帰りにどこか寄って行かない? たまには、ちょっと寄り道したいな」

私の言葉に、桐乃と加奈子は顔を見合わせ、私の方を向いて、頷いた。

これが私の、私だけの、一週間。


歩く道 終

792: ◆IWJezsAOw6 2013/09/04(水) 01:07:16.64 ID:KLqoseZ90
4月のある日。

桐乃は学校、俺は家。

昼過ぎではあるのだが、桐乃が帰って来るのにはまだ時間がある。

……とは言っても、することなんて無いけど。

京介「パソコンでもやっかなぁー」

エロゲーは禁止されているので出来ない。

で、俺が調べた履歴は定期的に桐乃がチェックしている。 故に履歴は絶対に消すなと言われている。

不自然に消した場合、桐乃はどうやら何かしらの細工をしており、俺のパソコンで検索した物が全て分かる様で、下手な真似は絶対に出来ないが。

793: ◆IWJezsAOw6 2013/09/04(水) 01:07:45.85 ID:KLqoseZ90
まあ、別にそんな変な物を見ようという訳でも無いし、この退屈すぎる時間を潰す物として活用させてもらおう。

そう思い、パソコンを起動。

京介「さーて、何するかな」

一人呟きながら、ブラウザを立ち上げようとした時だった。

右下にポップアップが表示され、俺はアイコンをクリックしようとしていた手の動作を止める。

京介「チャットの招待か……黒猫から?」

何用かと思いつつ、承諾。

794: ◆IWJezsAOw6 2013/09/04(水) 01:08:27.85 ID:KLqoseZ90
†千葉の堕天聖黒猫† さんの発言:ようこそ。 我が世界へ。

京介@妹大好き さんの発言:お前は相変わらずだな。 つか、学校は?

†千葉の堕天聖黒猫† さんの発言:今日は休みよ。 私は先輩とは違って、単位は余裕なのよ。

京介@妹大好き さんの発言:俺は別に単位ギリギリじゃねえよ。 そういやお前ももう大学生か……。 で、用事か?

†千葉の堕天聖黒猫† さんの発言:そうしようと思っていたのだけれど……。 その前にあなた、その不愉快なハンドルネームは何?

京介@妹大好き さんの発言:ああ、これか。 桐乃に設定してもらったんだけど、なんかこれになってた。

京介@妹大好き さんの発言:直すのも面倒だったから、このまま使ってるってわけだよ。

795: ◆IWJezsAOw6 2013/09/04(水) 01:08:54.61 ID:KLqoseZ90
†千葉の堕天聖黒猫† さんの発言:ご愁傷様。 あの女がやりそうなことね。

京介@妹大好き さんの発言:だな。 で、用事は?

†千葉の堕天聖黒猫† さんの発言:ああ、そうだったわ。 あなた……本当に知りたいかしら?

京介@妹大好き さんの発言:知りたい……ってのは? お前の秘密だったりすんの?

†千葉の堕天聖黒猫† さんの発言:わたしの秘密をあなたに話す訳が無いでしょう。 考えなさいな。

京介@妹大好き さんの発言:へいへい。

796: ◆IWJezsAOw6 2013/09/04(水) 01:09:23.41 ID:KLqoseZ90
†千葉の堕天聖黒猫† さんの発言:私が言っているのは、あなたの妹の秘密よ……ふふふ。

京介「桐乃の秘密……? あいつがオタクだってこと以外に、そんなのあんのか?」

京介@妹大好き さんの発言:そんな大層な秘密なんてねえだろ? あの趣味があいつ最大の秘密だったんだろうし。

†千葉の堕天聖黒猫† さんの発言:どうかしら? ふふふふ。

……そんな言い方をされてしまっては、気になって仕方ないじゃねえかよ。

京介@妹大好き さんの発言:分かった。 知りたい。 桐乃の秘密とやらを。

†千葉の堕天聖黒猫† さんの発言:そう……。 聞いてしまうのね。 まぁ良いわ。 まず、これをご覧なさい。

797: ◆IWJezsAOw6 2013/09/04(水) 01:09:53.75 ID:KLqoseZ90
その言葉と共に貼られたのはURL。

京介「これを見ろってことね。 えーっと」

未だに慣れない動作でURLをクリック。 ブラウザが立ち上がり、そのページへと移動する。

数秒後、映し出されるページ。

京介「……なんだこれ?」

トップ画面。 でかでかとこう書いてある。

798: ◆IWJezsAOw6 2013/09/04(水) 01:10:22.79 ID:KLqoseZ90
『きりりんブログ♪ 妹道(マイウェイ)』

京介「きりりんって……あれだよな。 桐乃が使ってるハンドルネーム」

俺はそのページを一旦最小化し、再度チャットを打つ。

京介@妹大好き:おい、これって。

†千葉の堕天聖黒猫† さんの発言:そうよ。 あなたの思っている通りの物で間違い無いわ。

京介@妹大好き さんの発言:……勝手に見たらマズイだろ?

†千葉の堕天聖黒猫† さんの発言:何を言っているの。 ネット上で書いているのよ? それも、わたしがネットサーフィンをしている時にたまたま見つけた物だしね。

†千葉の堕天聖黒猫† さんの発言:そんなのは隠していないも同然よ。

799: ◆IWJezsAOw6 2013/09/04(水) 01:10:53.62 ID:KLqoseZ90
ふうむ。 まあ、確かに言われてみればそうなのかもしれない。

机の中にあっただとか、隠してあった、とかでは無く……ネットで書いている物、ということだ。 いわば、オープンで書いている物。

京介@妹大好き さんの発言:一理あるな……。 で、どんなことが書いてあったんだよ?

†千葉の堕天聖黒猫† さんの発言:そんなの、自分の目で確かめれば良いじゃない。 あなた程度の人間でも問題無く見れるはずだわ。

京介@妹大好き さんの発言:りょーかい

……さて。

行くか。

800: ◆IWJezsAOw6 2013/09/04(水) 01:11:23.45 ID:KLqoseZ90
俺は決意し、先程最小化したページを最大化。

トップにはでかでかと変わらない文字がある。

京介「これは……プロフィール欄か」

まずはそれを確認。

ええっと、何々。

現役高校生♪ 今は兄貴と二人暮し中! 趣味はエロゲー。 好きなアニメはメルル!

俺と二人暮しとか書いてるんじゃねえっての! まあ、さすがに特定されるようなことなんて無いだろうけどさ。

俺や黒猫、沙織以外には、だけど。

801: ◆IWJezsAOw6 2013/09/04(水) 01:11:59.58 ID:KLqoseZ90
京介「……記事、見てみるか」

ぶっちゃけここからが本番だ。 プロフィールに書いてあったことからして、別の人物だということはほぼありえないだろう。

……あいつ、一体どんな日記を書いているんだ?

京介「書き始めたのは結構最近か……。 二月のが、最初の記事だな」

量はそこまででは無いだろうから、最初から見てみるか。

そう思い、日付をクリック。

『この記事はロックされています。 閲覧するにはパスワードを入力してください』

京介「……ふむ」

802: ◆IWJezsAOw6 2013/09/04(水) 01:12:28.28 ID:KLqoseZ90
思いっきり隠してるじゃねえか! 何が「隠していないも同然」だ黒猫の野郎!!

……ここまで来たら気になって仕方ないじゃねえかよ!

†千葉の堕天聖黒猫† さんの発言:ふふふふ。 どうしたの? 面白い内容でしょう?

京介@妹大好き さんの発言:パスワード掛かってるじゃねえか。 見れねーよ。

†千葉の堕天聖黒猫† さんの発言:あらあら。 そういえばそうだったわ。 まぁ、わたしは知っているけれどね。

京介@妹大好き さんの発言:なんだ。 桐乃から聞いたのか?

†千葉の堕天聖黒猫† さんの発言:いえ、違うわ。 あの女が設定しそうなワードをいれたら見れてしまったのよ。

803: ◆IWJezsAOw6 2013/09/04(水) 01:13:02.39 ID:KLqoseZ90
駄目じゃん! それ駄目じゃん!

……さ、さすがにそれはマズイだろ?

†千葉の堕天聖黒猫† さんの発言:あなたがどうしても教えて欲しいと言うならば、教えるのも厭じゃないわ。

京介@妹大好き さんの発言:……最初からこれが狙いだろ、お前。

†千葉の堕天聖黒猫† さんの発言:ふふ。 なんのことかしら。 それで、どうするの? 教えて欲しいの?

京介@妹大好き さんの発言:知りたくないと言えば、嘘になる。

†千葉の堕天聖黒猫† さんの発言:まぁ良いわ。 特別に教えてあげる。 パスワードは----------

……おいおいマジかよ。

804: ◆IWJezsAOw6 2013/09/04(水) 01:13:30.58 ID:KLqoseZ90
これで開いて黒猫の罠とかだったら、本当に怒るぞ。

いや、この場合だとそっちの方が良いのか? それで何事も無く終わるのが一番な気がしてならないぜ。

でも、先程から気になっているこの記事。 日付的に桐乃っぽいんだよなぁ。 ていうか、ページ全体の雰囲気から桐乃っぽいし。

京介「……えーっと」

京介「……kyousuke。 こうか」

805: ◆IWJezsAOw6 2013/09/04(水) 01:13:58.84 ID:KLqoseZ90
まさか俺の名前をパスワードにしてるなんてね。 あいつもほんっとブラコン妹だぜ。 へへへ。

自然とにやけているのに気付き、急いで顔を元に戻す。

そして認証ボタンを押す俺。

呆気なく、ブロックされることもなく、その記事は画面に広がっていった。

806: ◆IWJezsAOw6 2013/09/04(水) 01:14:24.18 ID:KLqoseZ90
2/14 初記事!

今日からブログ書いてみよっかな。 誰にも教えないケド。

後で見返したら後悔するんだろうな~。 これ、絶対黒歴史確定。

ま、今はそんなのどーでもいいんだけどね。 だって、今日はチョー良いことあったし♪

思い出すだけでヤバイ! あの兄貴があたしのことあそこまで好きだったなんて、泣きそうかも。

あー、なんか思い出したら恥ずかしくなってきた。 てか、これほんとに誰も見れないんだよね?

パスワードを掛け忘れだけ、注意しとかなきゃ。

でも、もうちょっと兄貴はあたしに対してベタベタして欲しいよねぇ。 全然物足りないっての。

こういう風に、言えたらいいんだけどなぁ。

807: ◆IWJezsAOw6 2013/09/04(水) 01:14:52.94 ID:KLqoseZ90
2/20 ちょっとテスト

色々見てたら、画像も貼れるみたい。 ってワケで、お気に入りの貼っていこうかなwww

いっぱいあるんだケド、どれから貼ろうかなぁ。

そだそだ。 あれにしよっと。

↓あいつがあーんってされてるところwww幸せそうな顔しててキモいwwww

808: ◆IWJezsAOw6 2013/09/04(水) 01:15:18.38 ID:KLqoseZ90
京介「……これ、絶対見ちゃいけない選択肢だっただろ」

俺、激しく後悔。

こんな赤裸々に書かれているブログを見た後、俺は一体どんな顔をしてあいつに会えば良いんだよ!?

……知ってしまった分、すっげー恥ずかしい。

†千葉の堕天聖黒猫† さんの発言:どう? 中々の内容でしょう?

京介@妹大好き:こりゃ、さすがにマズイだろ……?

809: ◆IWJezsAOw6 2013/09/04(水) 01:15:53.37 ID:KLqoseZ90
†千葉の堕天聖黒猫† さんの発言:そうね。 でも、使い方を考えれば良い方に転ぶわ。

使い方? この桐乃の黒歴史ブログを一体どんな風に使えというんだ?

京介@妹大好き:うーんっと。 これで桐乃を脅すとか?

†千葉の堕天聖黒猫† さんの発言:あなた、割と性格が悪いのね。

京介@妹大好き さんの発言:さすがに冗談だっての! チャットだとうまく伝わらないな。 くそ。

810: ◆IWJezsAOw6 2013/09/04(水) 01:17:38.53 ID:KLqoseZ90
†千葉の堕天聖黒猫† さんの発言:そうね。 でも、使い方を考えれば良い方に転ぶわ。

使い方? この桐乃の黒歴史ブログを一体どんな風に使えというんだ?

京介@妹大好き さんの発言:うーんっと。 これで桐乃を脅すとか?

†千葉の堕天聖黒猫† さんの発言:あなた、割と性格が悪いのね。

京介@妹大好き さんの発言:さすがに冗談だっての! チャットだとうまく伝わらないな。 くそ。

811: ◆IWJezsAOw6 2013/09/04(水) 01:18:08.77 ID:KLqoseZ90
†千葉の堕天聖黒猫† さんの発言:それなら良かったわ。 で、使い方は……そうね。

†千葉の堕天聖黒猫† さんの発言:このブログは、あの女の「こうしてくれると良いな」だとか「こんな展開にならないかな」みたいなことが書いてあるのよ。 毎回ね。

†千葉の堕天聖黒猫† さんの発言:だからあなたがそれを見て、実際にやってあげればとても喜ぶのでは無いかしら?

……なるほど。

それなら確かにあいつは嬉しいと感じるだろう。 正直言って、不正をしている様な感覚にはなるが……。

俺は別に、桐乃の中での俺の評価を上げたいわけじゃないからな。

そりゃ、あいつがそう思ってくれるのならそれに越したことは無いけど。

俺は、桐乃が笑ってくれるのならなんだってするさ。

812: ◆IWJezsAOw6 2013/09/04(水) 01:18:37.69 ID:KLqoseZ90
京介@妹大好き さんの発言:それなら良いかもな。 参考にしておくよ。

†千葉の堕天聖黒猫† さんの発言:そう。 お役に立てて嬉しいわ。 だけど、ひとつ注意をしておくわね。

†千葉の堕天聖黒猫† さんの発言:あなたがそのページを見ていることは絶対にばれてはいけない。 もしばれたら、どんな罰をあの女が与えてくるか考えるだけで恐ろしいわ。

……黒猫にここまで言わせるとは。

一歩間違えたら、本当に恐ろしいことになりそうだぜ。 気を付けないと。

813: ◆IWJezsAOw6 2013/09/04(水) 01:19:08.93 ID:KLqoseZ90
京介@妹大好き さんの発言:あ、でもさ。 俺のパソコンって桐乃のパソコンで履歴とか見れるようになってるんだよな。

†千葉の堕天聖黒猫† さんの発言:……それはどういう意味? あなたのパソコンを毎回チェックしているということ? とんだブラコンね。

京介@妹大好き さんの発言:いや、それも一応されているんだけど……えーっと。

京介@妹大好き さんの発言:確か、キーロガー? とか、前に言ってたっけな。 それがそうしているらしい。 よくわからんが。

†千葉の堕天聖黒猫† さんの発言:……驚いたわ。 兄のパソコンにキーロガーを入れて監視する妹なんて、初めて聞いたわよ。

京介@妹大好き さんの発言:そんなすごい物なのか?

814: ◆IWJezsAOw6 2013/09/04(水) 01:19:34.68 ID:KLqoseZ90
†千葉の堕天聖黒猫† さんの発言:凄い物と言うよりかは……簡単に言えば、ウィルスとしても活躍している物ね。

あいつそんな物を俺のパソコンにぶち込んでいたのか!? なんて奴だ!!

京介@妹大好き さんの発言:マジかよ。 もうあのページ見ちまったぞ。 ばれるんじゃないのか? どうすればいい? 黒猫、助けてくれ。 早くしないとあいつ、帰って来る。

†千葉の堕天聖黒猫† さんの発言:今回はあなたの必死っぷりが伝わってきたわね。 やれやれ、仕方ないわ。

†千葉の堕天聖黒猫† さんの発言:あの女がそれをチェックする暇を与えなければ良いのよ。 ブログの更新は大体が携帯から、恐らくはあなたが家に居るからでしょうね。

815: ◆IWJezsAOw6 2013/09/04(水) 01:20:10.07 ID:KLqoseZ90
†千葉の堕天聖黒猫† さんの発言:キーロガーのログはパソコンからチェックする物だから、あなたが傍に居て監視をすれば問題無いわ。

†千葉の堕天聖黒猫† さんの発言:監視ソフトを使った妹と、その妹を監視する兄。 禁断の愛が始まるのね。

京介@妹大好き さんの発言:最後のは余計だ。 でも、ありがとう。 それでなんとか対処してみるよ。

†千葉の堕天聖黒猫† さんの発言:ふふ、そうね。 精々頑張りなさい。

816: ◆IWJezsAOw6 2013/09/04(水) 01:20:36.62 ID:KLqoseZ90
よし、やってやろうじゃねえか。

ばれた時のことは考えない。 考えない。 怖い。

……もうこの時点でフラグの気しかしねえが、このまま放って置いてもログをチェックされたら一発アウトだ。

せめてそれまでの間、あいつを喜ばせてやろうじゃねえか!

まず最初、ええっと……もっとベタベタしたい、か。

オーケー。 分かったぜ桐乃。 俺に任せておけ!

こうして、俺の作戦は始まる。 まず、作戦その1。

帰って来た桐乃にいきなり抱き着いて、ベタベタする。 これだ。

817: ◆IWJezsAOw6 2013/09/04(水) 01:21:08.98 ID:KLqoseZ90
桐乃「ただいまぁ」

あー、ちょっと汗掻いちゃったかもしれない。 走ってきたし。

京介に早く会いたくて! なんだけど……とりあえずお風呂入らないと。

京介「おかえり、桐乃」

……ふひひ。

京介は優しく言うと、あたしに近づく。

近づく、近づく、近づく。

818: ◆IWJezsAOw6 2013/09/04(水) 01:21:35.29 ID:KLqoseZ90
近くない!? なに!?

京介「会いたかったぜ」

言って、京介はあたしの背中に腕を回して、寄せて。

桐乃「っ! な、なにッ!? いきなりなにッ!?」

京介「何って言われてもな……お前とベタベタしたかったんだけど」

あ、あ、ヤバイ。 京介にこんなこと言われちゃったら、マジでヤバイ。

胸が苦しいくらいになってきた。 なんで帰って早々、こんな気持ちにさせられるワケ!?

819: ◆IWJezsAOw6 2013/09/04(水) 01:22:17.92 ID:KLqoseZ90
桐乃「きょ、京介……」

あたしは言って、京介の胸に頭を預ける。

暖かくて、いい匂い。

……京介も、心臓ばくばく言ってるじゃん。 平気な顔しちゃってさ、内心恥ずかしいのかな。

京介「……なんかお前、体濡れてるんだけど汗掻いてんのか?」

……ん?

桐乃「……は、はぁ!? 今の雰囲気でそれゆうワケ!? 最っ低!!」

ありえない! その台詞はマジで無い!

普通、気付いても言うなっての!! デリカシーゼロなのこいつ!?

820: ◆IWJezsAOw6 2013/09/04(水) 01:22:44.78 ID:KLqoseZ90
京介「わ、悪かったって」

あたしは京介を突き飛ばし、居間へ向かう。

そんなあたしの後ろを頭を下げながら京介は付いてきた。

桐乃「……女の子に今の台詞はマジで無いから」

京介「……ごめんな」

な、なにもそこまでマジで謝らなくて良いのに。

京介「桐乃、ごめん」

そして、あいつはあたしを後ろから抱き締める。

821: ◆IWJezsAOw6 2013/09/04(水) 01:23:19.54 ID:KLqoseZ90
桐乃「だ、だから!」

さっきまでは良かったけど、京介に言われた所為で気になってしまう。

京介「別に良いって。 俺は気にしねーよ」

桐乃「……ほんと?」

京介「おう。 お前の汗だって舐められるっての」

桐乃「……いや、それはキモイ」

京介「……確かに今のはキモかった」

でも、そんな京介でも。

あたしは、好きなんだ。


ブログ 終

839: ◆IWJezsAOw6 2013/09/07(土) 23:55:05.99 ID:OUvF7xFj0
3/25 ヤバイ。

今日、朝起きたらいきなり兄貴が抱き着いてきた! 寝ぼけてるみたいだケドね。

でも「桐乃……」って呟いてんの! どんだけあたしのこと好きなワケ!? ってカンジwww

そんでそんで、あんまりにも面白かったから、写メ撮っちゃった。

↓妹に抱き着くシスコン兄貴www

840: ◆IWJezsAOw6 2013/09/07(土) 23:55:43.24 ID:OUvF7xFj0
どう? ヤバくない? 朝から妹に抱き着くとか、あたし愛されすぎ?w

そんで、ぎゅーって抱き締めてくるから動けないあたし。 朝ご飯作らないといけないのに!

でもなんだか気持ち良くて、一緒に寝ちゃった。 それから起きても、こいつまだあたしのこと抱き締めてたwww

さすがにキモくて、驚かせてやろうと思ってちゅーしてやった。

↓その時の写メwwww幸せそうな顔しててキモいwwww

841: ◆IWJezsAOw6 2013/09/07(土) 23:56:12.90 ID:OUvF7xFj0
京介「あの野郎なんて記事書いてやがるんだ!!」

桐乃が不在の時を狙って、俺は桐乃のブログを閲覧。

していたのだが、なんだかこんな感じの記事ばかり。 見ていて恥ずかしくなってくるっての。

京介「くっそ……次だ次」

このブログの記事にも、毎回桐乃がしてほしいことを書いてある訳では無い。 たまに、ちょろっと書いてある様だ。

それにしてもこいつ、俺とのことしか見事に書いてねえな……。

842: ◆IWJezsAOw6 2013/09/07(土) 23:56:47.13 ID:OUvF7xFj0
3/30 もう少し!

で、エイプリルフール!

去年はあいつ、見事に騙されたからね。 今年はどんなカンジで騙そっかな?

……子供ができたとか言っちゃう? 言ってみちゃう?

あいつ、どんな顔するんだろ? チョー楽しみ。

……もし、その流れでそうゆうカンジになっちゃったらどうしよ。

さすがにまだ恥ずかしいって! てゆうか普通にムリ! あいつなんてこと考えてんの!? キモすぎ!!

843: ◆IWJezsAOw6 2013/09/07(土) 23:57:13.54 ID:OUvF7xFj0
でも、でもだよ? あいつが無理矢理押し倒したりしてきて……んで、あたしに手錠とか掛けちゃったりして?

そんで「桐乃……」とかチョー真顔で言われたりしちゃったら、キスくらいならありかな?

いやそれでもキモイけどね! キモイけど、そこまでするなら……許してあげてもいいかな?

だってあいつってあたしのこと好きだし、愛してるとかしょっちゅう言ってくるし、あたしにべた惚れだし、いっつも助けてくれるし、気遣いとかめっちゃして くれるし、あたしには優しいし、友達の前で「お前が一番だ」とか言っちゃうし、あたしがして欲しいこといっつもしてくれるし、二人暮しとかしちゃってる し、猫にさえ嫉妬しちゃうくらいシスコンだし、毎日必ず一回は「好きだ」って言ってくるし、時々いきなりキスしてくるし!

だからそれくらいなら許してあげる!

↓今日の兄貴wwwww

844: ◆IWJezsAOw6 2013/09/07(土) 23:57:53.11 ID:OUvF7xFj0
京介「怖いぞ……俺はお前が怖いぞ、桐乃」

なんだこの本音丸出しブログ!? いやまあ、非公開でやってるからこそなんだろうが。

つうか、これって黒猫も見てるんだよな……? 桐乃、大丈夫かな。

それより俺が毎日お前に好きだって言ってるのは、お前が言えって言ったからだからな!? 俺も言うからには本気で言っているけど、それでもお前が言えって言ったからだからな?

……いや、そんなことより。

この、この文だ。

これがあれか、黒猫が言うところの「桐乃の願い」なのだろうか。

そうとしか思えないよな……やっぱり。

845: ◆IWJezsAOw6 2013/09/07(土) 23:59:01.77 ID:OUvF7xFj0
俺がその重すぎる桐乃の想いを見て頭を抱えているとき、黒猫からのチャットが来る。

†千葉の堕天聖黒猫† さんの発言:どうかしら? 順調?

京介「……行き詰ったけどな」

京介@妹大好き さんの発言:順調……に行ってると思うか? つか、お前はこのヤバすぎるブログを見てなんかないのかよ?

†千葉の堕天聖黒猫† さんの発言:あら? 別にそこまでありえない内容では無いでしょう。 こんなの、もう何年も前から桐乃が望んでいることだろうし。

京介@妹大好き さんの発言:ってことは、桐乃は普段からこんな感じで俺のことを見てたのか?

846: ◆IWJezsAOw6 2013/09/07(土) 23:59:36.80 ID:OUvF7xFj0
†千葉の堕天聖黒猫† さんの発言:でしょうね。 だからわたしは、桐乃こそ最大のライバルだと思っていたのよ。 負けたけどね。

京介@妹大好き さんの発言:……そうか。 なら、頑張らないとな。

†千葉の堕天聖黒猫† さんの発言:ええ。 しつこいようだけど、絶対にばれない様にね。 ばれたらあなた、人格が変わるほどの調教を受けるのは目に見えているわ。

京介@妹大好き さんの発言:分かってるっての。 心配してくれてるのか?

†千葉の堕天聖黒猫† さんの発言:いいえ、警告よ。 わたしも友達は失いたくないから……健闘を祈るわ。

……俺をびびらせたいだけじゃないのか、こいつ。

いくら桐乃でも、そんな調教と言われることまでしないだろうさ。

847: ◆IWJezsAOw6 2013/09/08(日) 00:00:03.94 ID:W+T1XeMX0
京介「うっし、じゃあとりあえずこの記事の内容だな」

ええっと、なんだ。

……要約すると、これはあれか。

桐乃を無理矢理押し倒して、あいつの手に手錠を掛けて、キスすればいいってことか。

俺変態すぎるじゃねえかよ!! つうか、こんなこと望んでるあいつもあいつで変態じゃねえか!!

そうだ、今思えばあやせの手錠の一件。 そう考えるとあいつって……。

そういうことか。 桐乃さんやべえな。

848: ◆IWJezsAOw6 2013/09/08(日) 00:00:29.21 ID:W+T1XeMX0
京介「……手錠とかどうやって用意すればいいんだよ。 さすがにあやせに「なあ、あやせ。 少し手錠を貸してくれないか?」なんて言えんよな」

言ったら多分、ガチで通報される。 そんで俺は間違い無く捕まる。

ううむ。

……俺の知り合いでそんなの持ってそうなのって、他に誰か居るか?

そういう危ない方向でヤバイ奴。

危ない奴。

あ、居た。 一人居た。

京介「電話してみっか。 瀬菜に」

849: ◆IWJezsAOw6 2013/09/08(日) 00:01:01.47 ID:W+T1XeMX0
京介「もしもし、瀬菜か?」

「ええ、そうですけど。 珍しいですね、高坂先輩から電話だなんて。 桐乃ちゃんに怒られちゃいますよ」

京介「あー、あいつには内緒なんだよ。 少しお前に頼みがあってさ」

「桐乃ちゃんに内緒……というと。 うーん」

「デートのお誘いなら間に合ってますよ」

京介「違げえよ! 頼みってのはお前に貸して欲しい物があるんだ!」

850: ◆IWJezsAOw6 2013/09/08(日) 00:01:34.35 ID:W+T1XeMX0
「……まさか、真壁先輩を貸せとか言うんじゃないでしょうね?」

こいつは全く、何で毎回毎回そんな方向に思考が働くんだよ。 つうか、真壁はお前の彼氏だろうが。

京介「断じてそれは無いから安心しろ。 俺の頼みってのはだな……」

京介「……お前、手錠とか持ってたりする?」

改めて考えてみると、こんなことを後輩の女子に聞いている辺り、俺はやはり変態かもしれん。 違うと思っていたんだけど。

「手錠ですか? ありますけど……」

そしてお前も立派な変態だ、瀬菜。

851: ◆IWJezsAOw6 2013/09/08(日) 00:02:29.48 ID:W+T1XeMX0
「ですが、何に使うんですか?」

「……は! もしかして、お兄ちゃんとそういうプレイを!?」

「それならそうと言ってくださいよぉ! だから桐乃ちゃんには内緒の話なんですね。 安心してください。 私、絶対に言いませんから! でも代わりに報告とかしてもらえると嬉しいです!」

京介「違う!! お前通報すんぞ!?」

「やだなぁもう! そういうことなら喜んで貸しますって! お兄ちゃんのこと、宜しくお願いしますね、高坂先輩! うへへ」

……盛大な勘違いをされてしまったが、まあ貸してくれるなら良しとしよう。

852: ◆IWJezsAOw6 2013/09/08(日) 00:02:58.84 ID:W+T1XeMX0
そして、次の日の午後。

京介「……やっべえ、すげえ緊張してきた」

本当に大丈夫なのか。 桐乃、怒らないかな?

でもまあブログを見る限りは大丈夫だとは思うが……この緊張感、正直言ってやばいぞ。

出来ることなら、後数時間は気持ちを落ち着かせたいのだが、現実はそこまで甘くない。

俺の緊張がピークに差し掛かる頃、桐乃が学校から帰って来た。

853: ◆IWJezsAOw6 2013/09/08(日) 00:03:27.03 ID:W+T1XeMX0
桐乃「たっだいま~」

と、上機嫌で言う桐乃。

とりあえず、手錠を服の下へ。 先に見つかったらそれはもう面倒なことになりそうだから。

それにしても……機嫌が良いのは助かったぜ。 ここで超不機嫌だったら、間違い無く俺の作戦は決行出来なかっただろうし。

いやでも、そうなればこの緊張感ともおさらばな訳で、そういう意味では桐乃の機嫌が良いのは俺にとって悪いことなのか?

だけど、やっぱり桐乃には良い気分で居て欲しいから、桐乃の機嫌が良いことは俺にとっても良いことか。 色々な意味で。

854: ◆IWJezsAOw6 2013/09/08(日) 00:04:12.74 ID:W+T1XeMX0
桐乃「ちょっと、シカト? 良い度胸してんじゃん」

桐乃は言いながら、俺の背中をゲシゲシと蹴飛ばす。

というか、絡み方が恋人や兄貴に対する物じゃない。 明らかにいじめ現場だ。

改めて考えてみても、酷い態度である。 俺の挨拶をシカトする時もある癖に!

京介「お、おー。 おかえり」

桐乃「……なんか隠してるでしょ」

……鋭すぎるだろ!? すっげえじっとりとした目で俺を見てやがる。 疑いに疑ってる目。

855: ◆IWJezsAOw6 2013/09/08(日) 00:04:40.88 ID:W+T1XeMX0
京介「……何言ってるんだよ? なーんも隠して無いぜ? ほんと。 はは」

桐乃「じゅー、きゅー、はーち、ななー、ろーく、ごー、よーん」

京介「待て待て待て! カウントすんな! ストップ!」

桐乃「……今言えば許したげるケドぉ?」

……くそ、こうなったらもう決行するしかねえ! だらだらと言い逃れをしてばれるより、攻めの姿勢でいかねえと!

856: ◆IWJezsAOw6 2013/09/08(日) 00:05:13.63 ID:W+T1XeMX0
京介「分かった。 言う」

桐乃「ふん。 最初からそうしろっての」

京介「俺はな、桐乃」

京介「……お前の態度がなっていないと思うんだ。 兄である俺に対する態度が、だ」

桐乃「……なんの冗談? チョーつまらないんですケドぉ」

京介「マジだぜ? だから俺はひとつ、お前に分からせてやろうと思ったんだ」

桐乃「ふう~ん。 ま、聞くだけ聞いたげる。 ほら、言ってみ」

857: ◆IWJezsAOw6 2013/09/08(日) 00:06:01.99 ID:W+T1XeMX0
……つくづく態度が悪い奴だな! いやまあ別に俺はそんなの気にしてないんだが。

ちなみにこの台詞、殆ど黒猫仕込みである。 あいつが「こう言えば桐乃は喜ぶ」とか言って。

正直信じられなかったが、ブログのこともあるしな……少し、信じてみることにしたのだった。

京介「つまりな、こういうことだ!」

言い、俺の横で腕組みをしながら見下してきている桐乃の足を引っ張る。

当然バランスを崩し、その場に倒れ掛かる桐乃。 勿論その体を支えて怪我をしないように。

で、桐乃は仰向けでその場に倒れ、俺はその上へ覆い被さる。

858: ◆IWJezsAOw6 2013/09/08(日) 00:06:33.60 ID:W+T1XeMX0
桐乃「な、なに!? いきなりなにすんの!?」

顔を若干赤くし、桐乃は言う。

京介「だから、お前に分からせてやろうってんだよ」

桐乃の両腕を押さえ、俺はゆっくりと先ほど隠した手錠を出し、桐乃の腕へ。

……やべえ、すげえ罪悪感が沸いてきた。 本当に、マジで大丈夫かこれ。

桐乃「ちょ、ちょ!? 意味分かんない!! なに!?」

859: ◆IWJezsAOw6 2013/09/08(日) 00:07:09.49 ID:W+T1XeMX0
京介「何って。 言う事聞かないお前に手錠を掛けたんだよ」

桐乃「あんた後で覚えとけ! マジで許さないから!!」

いきなりのことに、桐乃はかなり慌てている様子。

さっきから足で必死に俺を攻撃しようとしてくる。 俺が上に乗っかっている所為で、うまくは行かない様だが。

京介「……そんな格好で言われてもな?」

桐乃「こ、このッ……!」

俺はそのまま拘束された桐乃の腕を頭の上にやり、桐乃の顔をじっと見つめる。

860: ◆IWJezsAOw6 2013/09/08(日) 00:07:43.02 ID:W+T1XeMX0
桐乃「……な、なにしようってワケ?」

……やべえ! 超可愛いこいつ! 今すぐにでも「ごめんな」って言ってやりてえ!

でも、でも我慢だ京介。 ここは抑えなければならない。 桐乃の願いを果たす為にも!

京介「お前は何されると思うの?」

桐乃「そ、それは! それは……」

顔を先ほどより断然赤くし、桐乃は言う。 その顔は少しだけ、嬉しそうにも見えた。

861: ◆IWJezsAOw6 2013/09/08(日) 00:08:14.00 ID:W+T1XeMX0
桐乃「へ、変態シスコン兄貴のことだから……ヘンなこと」

顔を逸らしながら、ぼそぼそ呟く。

京介「分かってるじゃねえかよ。 ほら、顔こっち向けろ」

俺は言うと、桐乃の顔を片手でこちらに向けさせる。

……うむ、超可愛い。

つうか、なんか俺も段々乗ってきてしまっている。 俺と桐乃は一体昼間から何をやっているんだ……。

862: ◆IWJezsAOw6 2013/09/08(日) 00:09:12.43 ID:W+T1XeMX0
桐乃「や、ヤダ……」

言いつつも、素直に顔を俺の方へ桐乃は向ける。 俺が手伝ったのは軽く顔に触れるくらいで、殆ど自主的に桐乃は俺の方を向いた様だ。

京介「……」

黙って、ゆっくり顔を近づけ、寸でのところで一度止まる。

桐乃はキスをされると思ったのだろう、目をきつく瞑っていた。

しかし、一向に何も無いことから不審に思ったのか、ゆっくりと目を開ける。

863: ◆IWJezsAOw6 2013/09/08(日) 00:09:41.95 ID:W+T1XeMX0
桐乃「……っ!」

俺の顔がすぐ近くにあったのに驚き、桐乃は顔を逸らそうとする。

が、俺が顔を抑えていたのもあり、思うように逃げられない。

京介「……桐乃」

桐乃「な、なに。 何すんの、そんな顔近づけて。 キモ」

超嬉しそうな顔をしながらそう言われてもな……。

京介「ああ、悪い悪い。 悪かったよ」

……よし。 ちょっと意地悪してやろう。 押して引いてだ。 後のことはもう知らん!

864: ◆IWJezsAOw6 2013/09/08(日) 00:10:12.59 ID:W+T1XeMX0
桐乃「ちょ……!」

京介「ん? なんだ? どうした?」

桐乃「……ふ、フツー今のって」

京介「今のって、なんだよ?」

桐乃「~~!」

呻き声にも似た声を出しながら、桐乃は唇を噛み締め、俺を睨む。

865: ◆IWJezsAOw6 2013/09/08(日) 00:10:44.34 ID:W+T1XeMX0
京介「なあ、桐乃」

京介「……昔、お前が俺に言った様に聞くぜ。 お前、どうして欲しい?」

桐乃「……ま、マジ許さない」

京介「言ってみろって」

桐乃は恥ずかしさを堪える表情をし、言う。

桐乃「……キスして欲しい」

866: ◆IWJezsAOw6 2013/09/08(日) 00:11:45.07 ID:W+T1XeMX0
あーやべえ! マジ可愛いって! お前その可愛さは反則だっての! 写真撮りてえ! アルバムに飾りてえ! 抱き締めたい!

……落ち着け、落ち着け俺。 今それをやったら全てばれる可能性がある。 ここは慎重に、平静を装って。

ちなみに俺が言っている台詞。 黒猫に手伝って貰ったのは導入部分だけで、後は殆どアドリブである。

京介「んー? 良く聞こえなかった」

桐乃「こ、この……!」

京介「桐乃、言ってみろよ」

867: ◆IWJezsAOw6 2013/09/08(日) 00:13:33.74 ID:W+T1XeMX0
俺の言葉を聞くと、桐乃は少し泣きそうになりながらも、言った。

桐乃「キスして欲しいって言ってんの!」

京介「はは、最初から言えっての」

俺はそう返し、桐乃の顎を持ち、キス。

最初は軽くキスするだけで終わらせようかと思ったのだが、必死に我慢したりでいつの間にかそういうキスへ。

俺の手は自然と桐乃の後頭部を支えていて、俺も桐乃も夢中になってキスを繰り返していた。

868: ◆IWJezsAOw6 2013/09/08(日) 00:23:02.46 ID:W+T1XeMX0
桐乃「……だ、ダメっ! ちょっと……!」

途切れ途切れで、桐乃は言う。

京介「の割には嬉しそうな顔してんぞ」

桐乃「そ、そんなこと無い! 無い……」

京介「本当に?」

桐乃「……うう。 違う。 嬉しい」

京介「へへ、そうかよ」

そして俺は全然予想していなかった。 というか、桐乃の可愛さに俺がやり過ぎた所為かもしれない。

869: ◆IWJezsAOw6 2013/09/08(日) 00:32:13.94 ID:W+T1XeMX0
桐乃「……今日、今日だけ」

京介「ん?」

桐乃「……今日だけ、何でも命令聞く」

……終わった!? 桐乃がぶっ壊れた!?

京介「お、お前何言ってるんだ……?」

桐乃「京介が、そうゆう風にするからでしょ……。 だから、お願い」

桐乃「……お願いします」

内容割愛。 色々あったけど割愛。

俺記憶に無いもんね。 仕方ない仕方ない。

870: ◆IWJezsAOw6 2013/09/08(日) 00:38:30.66 ID:W+T1XeMX0
そして今は夜。 桐乃と俺は先ほどからずっと顔を逸らしたまま。

京介「き、桐乃……その、悪かったよ」

桐乃「……あれだけ色々させといて今更それとか」

京介「……マジごめん」

桐乃「……ベツに良いっての。 その代わり今度一日奴隷ね、あんた」

いつもそんな感じじゃねえか、と思いつつも。

京介「分かった。 何でも命令聞くから」

桐乃「ふひひ。 ならオッケー。 でも次、無理矢理やったら今日のこと全部ちくるから」

871: ◆IWJezsAOw6 2013/09/08(日) 00:40:15.88 ID:W+T1XeMX0
誰に、と聞くほど俺も馬鹿では無い。 こいつがちくると言ったら一人だけだ。

京介「それ死ぬな……間違い無く死ぬぜ」

桐乃「とりあえず、お風呂沸かしてきて? あたしお風呂入りたい」

京介「……今度って今日のこと?」

桐乃「はぁ? これはただのお願いなんですケドぉ」

お願いでその態度かよ! つうか、それだと殆どいつもと変わらないじゃん。

京介「へいへい……分かったよ」

872: ◆IWJezsAOw6 2013/09/08(日) 00:41:06.94 ID:W+T1XeMX0
そんなやり取りをしてから数十分。

今は俺も桐乃も風呂に入り終え、桐乃は携帯をかちかち操作した後、雑誌を読んでいる。

……携帯、か。

あいつ、もしかして。

そんなことを思い、俺は携帯を開き、桐乃のブログを確認。

873: ◆IWJezsAOw6 2013/09/08(日) 00:42:45.47 ID:W+T1XeMX0
4/15 うはああああああああああ!!

ヤバイ、ヤバイヤバイヤバイ。

チョー嬉しいことあったんだケド! 詳しくは書きたくないけどチョー嬉しいこと!!

今も頭おかしくなりそう! お風呂入ったのに全然さっぱりした気持ちにならないって!!

あああああ、思い出しただけでもやばい。 どうしようどうしよう。 どうしよう!

もうマジ幸せ、一年分くらい幸せ使っちゃったかもしれない。

それにしてもあいつ無理矢理しすぎ! あたしもう死にそうだったって!

874: ◆IWJezsAOw6 2013/09/08(日) 00:43:31.99 ID:W+T1XeMX0
いきなりだからほんとびっくりしたし、でも押し倒されたときはほんと、顔まともにみれなかった。

なんか、なんだろ、チョー抱き締めて欲しい。 今も。

なのにあいつ、さっきからごろごろしてるだけだし!! 酷くない!?

でもやっぱ今日は良い日! いやもうずーっと良い日ばっかだけどね。 飛びぬけて良かったって意味で。

ああもうどうしよう。 顔まともにみれないって。 明日からどうすんの本当に。

あたしをこんな気持ちにさせて、それで放置とかありえないよね!?

もぉおおおおおお!

……でも好きだけど。

↓今日の兄貴wwww寝てるww可愛いwww

875: ◆IWJezsAOw6 2013/09/08(日) 00:44:37.71 ID:W+T1XeMX0
……俺はゆっくりと立ち上がる。

ちらちらと時折こちらを見ている妹。

ったくお前はどれだけ恥ずかしがり屋なんだっての!

いやまあ、俺も俺でそうかもしれないけど。

そして俺は、そんな妹に近づき、そっと抱き締めてやるのだった。


その願いは 終

891: ◆IWJezsAOw6 2013/09/09(月) 00:28:24.71 ID:eqBkDIFc0
京介「ったく、赤城の奴急に呼び出しやがって……」

そんな愚痴を吐きながらの帰り道。

俺は例の如く、家で桐乃のブログを見ていたのだが、そんな時に赤城から「高坂ぁ! ちょっと話聞いてくれよぉ!」とか電話が来た。

電話で済ませようとしたところ、実はもう家の前に居るだとか言いやがって。

渋々、俺は出て行ったのだが、案の定ついでで暇潰しに付き合わされ、すっかり昼過ぎとなってしまった。 折角の休みだってのに。

……話の内容は正直かなりどうでも良いことだったけどな。 瀬菜のことで相談、だったらしい。 俺からしてみれば、それは相談では無くただの自慢話だと言いたいところだが。

892: ◆IWJezsAOw6 2013/09/09(月) 00:29:34.23 ID:eqBkDIFc0
京介「あ、やべ。 パソコン」

思い出した。 あれ、桐乃のブログ開いたままじゃねえか。

ばれると思うだろ? このまま桐乃が帰ったらすっげー怒った顔してたりすると思うだろ?

へへへ、心配御無用。 今日はあいつ、黒猫と沙織と遊ぶと言っていたからな。

俺も行って良いか聞いたところ、今日は女子だけで集まるとのことらしい。 少し悲しかったけど、そう言われてしまっては仕方あるまい。

京介「あいつ、最近ずっと機嫌良いからなぁ」

毎日にっこにっこしてるし、俺にベタベタしてくるし、可愛いったらありゃしない。

俺にぴったりくっついたりした時に頭撫でてやると、猫みたいに気持ち良さそうな顔するしな。

893: ◆IWJezsAOw6 2013/09/09(月) 00:30:01.88 ID:eqBkDIFc0
京介「……うへへ」

あいつが帰ってきたら、どうやって遊ぼうか等と考えながら俺は帰る。

その途中、ポケットに入れていた携帯が鳴った。

京介「……もしもし?」

「あなた、今ブログを見ているかしら」

京介「ブログ……っつうと、桐乃のだよな? さっきまでは見てたけど」

「そう。 ばれたりはしていないわよね?」

京介「大丈夫だって。 急にどうしたんだよ?」

894: ◆IWJezsAOw6 2013/09/09(月) 00:31:13.33 ID:eqBkDIFc0
「いえ、少しばかりおかしな記事が更新されていたからもしやと思ったのだけれど、大丈夫なら良いわ」

京介「……へえ? 後で見てみるかな。 それよりお前、良いのか? 電話なんかしてて」

「と、言うと?」

京介「いや、だって今日は女子だけで集まって遊ぶだとかって話だったろ?」

「ああ、言って無かったかしら。 実は妹が急に熱を出してしまって、今日は中止になったのよ」

京介「桐乃、朝出掛けて行ったけど……」

「世話をしていて連絡するのが遅れてしまったの。 お昼頃には帰って行ったわ」

895: ◆IWJezsAOw6 2013/09/09(月) 00:31:49.58 ID:eqBkDIFc0
……へー。

京介「いくつか質問していいか。 桐乃が家に着いた時間って、どのくらいになると思う?」

「そうね。 わたしの家からの距離を考えると……十三時頃には着いていたと思うわよ」

京介「なるほどなぁ。 で、ちなみにその記事が更新されたのって何時くらい?」

「ええっと、確か十四時くらいね。 手が空いた頃に見たから、そのくらいだったはず」

京介「……今って何時?」

「ボケたのかしら。 今は十五時よ。 先輩」

896: ◆IWJezsAOw6 2013/09/09(月) 00:32:19.53 ID:eqBkDIFc0
京介「……俺が生きてたらまた会おうな、黒猫」

俺は言い、電話を切った。

部屋のパソコンは付けっぱなし。 桐乃はその部屋へと既に帰宅している。 そしてブログは更新されていた。

……帰りたくねぇええええええええええ!!

くっそ赤城の野郎!!! 全部あいつが悪い!! 今度会ったらマジで許さん!!

といくら赤城に怒りをぶつけても、事態は解決しない。

そして、そんな電話をしながら歩いていた俺の前には、既にアパート。

897: ◆IWJezsAOw6 2013/09/09(月) 00:32:54.58 ID:eqBkDIFc0
京介「……どうか、どうかばれていません様に。 神様」

ぶつぶつと呟きながら、俺はゆっくりと玄関扉を開ける。

京介「ただいまー」

出来る限りいつも通りで。 もしばれていなかった場合、変な態度を取っていたらそれでばれる可能性がある。

桐乃「おかえり」

桐乃は……いつも通り。

……マジか。 これ、俺の願いが通じたのか?

898: ◆IWJezsAOw6 2013/09/09(月) 00:33:22.92 ID:eqBkDIFc0
桐乃にばれない様、パソコンを確認。

うおおおお! スクリーンセイバーナイス! 良くやった!!

桐乃の様子からして、これはばれてない可能性が高い。 やった、やったぜ!

京介「ああ、パソコン付けっぱなしだったか」

わざとらしく俺は言い、パソコンの前へ。

よし、ここまで来れば勝ったも同然。 最悪、ばれそうになったらそのまま消せば良いしな。

899: ◆IWJezsAOw6 2013/09/09(月) 00:33:50.28 ID:eqBkDIFc0
桐乃「も~。 出掛けるときはちゃんと切っといてよね」

京介「はは、悪い悪い」

……危なかった。 本当に助かったぜ。 ここまで安心したのって、いつ振りだろうか。

俺は桐乃から画面が見えないように体でブロックし、マウスを動かす。

画面にはすぐに桐乃のブログが表示される。

見た所、出掛ける前と変わった様子は……。

900: ◆IWJezsAOw6 2013/09/09(月) 00:34:17.99 ID:eqBkDIFc0
京介「……あれ」

良く見てみると、ブログには新着記事。

いやでもおかしいぞ。 自動更新なんてのは無いはずだから、出掛けた時そのままの状態なら新着記事が表示されているのは変だ。

……まさか、まさかな。

恐る恐る、振り向く。

桐乃「どしたの? きょーすけ」

そこには笑顔の桐乃が居た。

901: ◆IWJezsAOw6 2013/09/09(月) 00:34:56.64 ID:eqBkDIFc0
……なんだこの変な汗。

京介「い、いや。 何でも無い。 はは」

桐乃「ふうん。 ヘンなの。 あははは」

京介「ははは」

乾いた笑いが響く。

902: ◆IWJezsAOw6 2013/09/09(月) 00:35:26.15 ID:eqBkDIFc0
この空気、知っているぞ。

何回か感じている空気。 そうだ、これはあれだ。

桐乃がすっげえ怒ってるときに出す空気だ。 間違いねえ。

ってことは。

……ブログの記事、見てみるか。

ばれない様に、あくまでも最後まで望みは消さない様に。

903: ◆IWJezsAOw6 2013/09/09(月) 00:35:57.60 ID:eqBkDIFc0
4/20 無題

なんか、最近不思議だったんだよねぇ~。 あたしがこのブログに書いたことが、全部叶っちゃうんだもん。 すっごい不思議じゃない? そう思うでしょ?

んでぇ、折角だから、このブログにもうちょっと『お願い事』書いてみようかと思うんだよね。 もしかしてそれも叶っちゃったりするのかな? どう思う?

よし、じゃあ早速ひとつめ~。

土下座してほしいなぁ。 なんとなくだケドぉ。 兄貴にいきなり土下座してほしい、みたいな。 そんな気分。

あ、まだ続き沢山あるから、携帯でチェックしながら土下座して欲しいカモ。 チェックってなに言ってるんだろうね、あたしwwwwwwww

904: ◆IWJezsAOw6 2013/09/09(月) 00:36:35.17 ID:eqBkDIFc0
一旦、読むのを止めた。

もう一度、俺は桐乃の方を向く。

桐乃「なぁに? どうしたの? きょーすけ」

やべえ、これ確実にばれてる。 てか、ブログの記事が恐ろしいことになっている。

桐乃「どしたのぉ? あ、携帯見た方が良いんじゃない? なんとなくだケドぉ」

京介「そ、そうだな。 はは」

桐乃「うん。 ほら早く。 あはは」

顔が笑って無いぞ、桐乃さん。

905: ◆IWJezsAOw6 2013/09/09(月) 00:37:12.30 ID:eqBkDIFc0
京介「お、おう」

俺は返事をし、携帯から桐乃のブログにアクセス。

もう、従うしか選択肢は無かった。

ええっと、なんだっけ……。

とりあえずは土下座、だよな。

906: ◆IWJezsAOw6 2013/09/09(月) 00:38:08.26 ID:eqBkDIFc0
……これはまあ、慣れてるっちゃ慣れてるから良いか。 慣れてるってのが既に泣きたいくらい悲しい現実だけど。

京介「……」

俺、黙って土下座。 延々と土下座。

桐乃「なぁにぃ~? いきなりどうしちゃったワケ? きりりん意味分からないんですケドぉ~?」

桐乃「ねぇ、どうしたの? ねぇねぇ」

907: ◆IWJezsAOw6 2013/09/09(月) 00:39:01.51 ID:eqBkDIFc0
桐乃はそのまま俺の頭を踏みつけてきた。 容赦ねえな、この野郎。

桐乃「え~? いきなりそれとかマジキモイんですケドぉ。 ふひひ」

桐乃「携帯、チェックした方が良いんじゃない?」

京介「そ、そっすね。 はは」

俺は再度、ブログを確認。

908: ◆IWJezsAOw6 2013/09/09(月) 00:39:28.48 ID:eqBkDIFc0
んでぇ、兄貴が土下座してきたらどうしよっかな? とりあえずなんとなく頭踏みつけるっしょ? なんとなく。

で、それで。 兄貴がいきなり「踏んで頂きありがとうございます」とか言っちゃうじゃん? どうせあいつ変態だし絶対ゆうよね~www

あ、その時は動画撮ろっかな。 兄貴もその方が幸せっしょ? ん?

まあ他にも命令は沢山あるケドぉ。 あんま書きたく無いし、後は全部口で言ってあげようかな。 あ~。 早く帰ってこないかな、あのクソ兄貴。

909: ◆IWJezsAOw6 2013/09/09(月) 00:39:57.68 ID:eqBkDIFc0
やべえ、これは本格的やべえ。

ブログの文面から桐乃の怒りが滲み出てるじゃねえか。

桐乃「なに? なんかチョー言いたそうな顔じゃん? あ、待ってね。 折角だし動画撮ってあげるから」

言うと、桐乃は携帯を俺に向けて構える。

……こいつマジで撮る気かよ!? 悪魔みたいな奴だ!

桐乃「はい、どーぞ。 言ってみ」

く、くそ。 でも悪いのは明らかに俺の方だ……。 くそう!!!

910: ◆IWJezsAOw6 2013/09/09(月) 00:40:41.67 ID:eqBkDIFc0
京介「ふ、ふ……踏んで頂きありがとうございます」

桐乃「はぁ? なに? よく聞こえないんですケドぉ」

京介「……踏んで頂きありがとうございます」

桐乃「えぇ~? 頭踏まれてるのにお礼言っちゃうの? キモっ!」

こんのクソアマ……! 好き放題やりやがって!

桐乃「でもまぁ仕方ないか! あんたマゾだもんね?」

京介「……ち、違うが」

911: ◆IWJezsAOw6 2013/09/09(月) 00:41:07.83 ID:eqBkDIFc0
桐乃「は?」

京介「……違いますけど」

桐乃「最後のチャンス。 今なんて言ったの?」

京介「……そうです」

桐乃「うはー! キッモ! マジ、さすがにキモイって!」

言いながらゲシゲシと俺の頭を踏む桐乃。 こいつ、いつか絶対仕返ししてやるからな、覚えとけくそ!

912: ◆IWJezsAOw6 2013/09/09(月) 00:42:04.94 ID:eqBkDIFc0
桐乃「兄貴~。 あたしチョー優しいからさ、そんな兄貴の為に頑張ってあげようかなぁ。 嬉しい?」

京介「……はあ」

桐乃「嬉しいかって聞いてるんですケド?」

京介「う、嬉しいっス」

桐乃「あ~あ。 マジ、こんな変態シスコン兄貴が居るあたしってチョー可哀想。 でも健気に兄貴の為に頑張るあたし、優しいよねぇ」

京介「……はい」

うっぜえー! 桐乃の奴め……この前は「お願いします」とか言ってやがったのに! どっちが変態だこの野郎!

913: ◆IWJezsAOw6 2013/09/09(月) 00:42:34.97 ID:eqBkDIFc0
桐乃「じゃあほら、足マッサージしてよ」

京介「……はいよ」

と言ったところで、顔をぺちんと叩かれる。 足で。 足で。 足で!!!

桐乃「なに適当な返事してるワケ? そこは「分かりました、ありがとうございます」でしょ? ほら」

京介「わかりましたありがとうございます」

精々棒読みで言ってやると、桐乃はなんとか納得したのか、無言で顎を使い命令してくる。

俺は泣く泣く桐乃の足を持ち、マッサージ。

914: ◆IWJezsAOw6 2013/09/09(月) 00:43:06.44 ID:eqBkDIFc0
いやでも、これくらいなら普通にたまにはあるし、良いか。 マッサージくらいなら。

桐乃からの罵倒が無ければ、だけども。

で、それからしばらく無言で足を揉む。 桐乃もそれ以上は何もするつもりが無いのか、しばらく俺を眺めていた。

桐乃「ねえ、他にもなんかしたいっしょ?」

……俺の妹の罰がそれだけで済むわけがない。

京介「え、ええっと……って、言いますと?」

915: ◆IWJezsAOw6 2013/09/09(月) 00:43:36.58 ID:eqBkDIFc0
桐乃「足舐めろ」

……こわ! お兄ちゃんはお前が怖いよ!?

すっげー鋭い視線で俺のことを睨んでやがる。 内心、相当怒っているご様子。

て、てかそんなことしていいのかよ。

京介「……マジで?」

桐乃「あんたに「ありがとうございます」以外喋る権利今無いから。 早くしろ」

なんだこれ、どんなプレイだよ。

つうか、こいつは今この時も動画で撮っているというのが恐ろしい。 後で何に使うんだよそれ。

916: ◆IWJezsAOw6 2013/09/09(月) 00:44:56.51 ID:eqBkDIFc0
……やるしか、ねえか。

京介「……ありがとうございます」

俺はゆっくり、ゆっくりと桐乃の足へ口を近づける。

まさか妹様の足を舐める日がやってこようとは。 俺、最高に変態じゃねえか。

桐乃の顔色を窺うと、未だに超不機嫌顔。

俺としては「ぷ。 あんたなにマジで舐めようとしてるワケ? チョーありえないって、キモすぎッ!」とか言うのを期待しているんだが……。

桐乃「は、や、く」

これはもう、確実にやるまで終わりはしない。

917: ◆IWJezsAOw6 2013/09/09(月) 00:45:28.13 ID:eqBkDIFc0
俺は舌を出し、桐乃の足を一度。

……すごく惨めな気持ちになった、今。

桐乃「うわ! マジで足舐めてる~♪ キモすぎ! ふひひ~」

桐乃「ねえねえ、足舐めさせて貰って、言いたいことある? ねえ」

この聞き方をするってことは、そう返せという意味だ。

……桐乃の考えが分かってしまう俺が嫌になるぜ!

918: ◆IWJezsAOw6 2013/09/09(月) 00:45:58.42 ID:eqBkDIFc0
京介「……ありがとうございます」

桐乃「あんた恥ずかしくないのぉ? あたしの足舐めて、お礼言っちゃうとか! あーあ、マジ引くってー。 ひひ」

桐乃「じゃあ次は何してもらおっかな~。 う~ん」

京介「……ま、まだやるんすか?」

桐乃「は? 当たり前っしょ。 あんた何したか分かってんの? マジで」

京介「……どうぞ何でも命令してください」

桐乃「良い返事じゃん。 ふひひ」

919: ◆IWJezsAOw6 2013/09/09(月) 00:46:26.89 ID:eqBkDIFc0
今の時刻は16時。 恐らくこれは、飯の時間まで続くだろう。

桐乃「じゃあ次、わんわんって言ってみて」

……てっきり「その後はまあ色々やらされた」みたいな感じで終わらせられるのかと思ったが、俺の妹様はどうやらそれすら許してくれない。

なんてことだ。 このままだと俺のイメージがただの変態になっちまうじゃねえか。

京介「わんわん」

素直に言う俺。

ふむ。

あれ、若干楽しくなってきた。

920: ◆IWJezsAOw6 2013/09/09(月) 00:46:53.85 ID:eqBkDIFc0
桐乃「……ヤバ。 ちょっと可愛いかも」

桐乃「も、もっかい言ってみ?」

京介「……わんわん」

桐乃「ふひひ。 よしよし。 いい子いい子」

そう言うと、桐乃は俺の頭を撫でて来る。

……やべえ、超嬉しいぞ、なんだこれ。

921: ◆IWJezsAOw6 2013/09/09(月) 00:47:20.34 ID:eqBkDIFc0
京介「わんわん」

桐乃「あんま調子に乗らないでね。 次、犬ならあたし乗せて歩いてよ」

ほんのちょっと調子に乗ったらこれだぜ。 やってられるかっての!!

桐乃「よいしょっと。 はい、しゅっぱーつ」

まあ、やるんだけど。

桐乃は俺の背中に乗り、俺は部屋の中を歩く。 惨めな四足歩行で。

922: ◆IWJezsAOw6 2013/09/09(月) 00:47:49.54 ID:eqBkDIFc0
……すげえ状況だな。

大学生と高校生。

彼氏と彼女。

そして兄と妹。

そんな奴が休日の夕方に部屋の中でこんなことをやっていると、誰が思うのだろうか。

多分、そいつらは相当の馬鹿だろう。

923: ◆IWJezsAOw6 2013/09/09(月) 00:48:35.65 ID:eqBkDIFc0
桐乃「早く歩けっつーの。 やる気あんの?」

京介「いや……だってお前、意外と重い」

桐乃「……は? ちょっと待って、ストップ」

これ、今完全に口が滑って余計なことを言ったぜ。 桐乃の顔が怖くて見れない。

桐乃「今何て言ったの? あたしが重いって言った? まさか」

京介「ち、違う! そういう意味じゃなくて……お前だけがって訳じゃないんだって」

924: ◆IWJezsAOw6 2013/09/09(月) 00:49:09.17 ID:eqBkDIFc0
桐乃「でも重いって言ったよね? ん?」

京介「まあ……はい」

桐乃「あんた犬でしょ。 なに飼い主の悪口言ってるワケ?」

俺は人間だこの野郎! そんでお前は俺の妹だ!

京介「……すいません」

思ってることと言っていることが完全に違う俺。 悲しいを通り越して笑えてきたな。

925: ◆IWJezsAOw6 2013/09/09(月) 00:49:38.09 ID:eqBkDIFc0
桐乃「違うっしょ。 謝り方がなって無さすぎ。 あんたは犬で、あたしはご主人様なワケ。 本当に分かってんの?」

京介「……って言うと?」

桐乃「自分で考えてみ? あたしが納得する謝り方」

……今すぐ押し倒してキスしまくってやろうかこの野郎!?

うう、そうしてやりたい……そうしてやりたいが、あくまでも根本的な部分では俺が悪いからな……。

くっそ!

926: ◆IWJezsAOw6 2013/09/09(月) 00:50:13.77 ID:eqBkDIFc0
京介「申し訳ありません、ご主人様」

桐乃「……ま、良いや。 今回だけトクベツに許してあげる」

京介「ま、マジか!」

桐乃「なにタメ口使ってんの? あたしが許すって言ったのは、あんたがさっきあたしの悪口言ったことについてだから。 犬が調子乗るなっての」

……ぬか喜びさせやがって。

京介「……申し訳ありません」

桐乃「はあ。 使えない犬飼うと苦労するよねぇ~。 あんたもそう思うっしょ?」

927: ◆IWJezsAOw6 2013/09/09(月) 00:50:39.37 ID:eqBkDIFc0
京介「ええ、まあ……」

桐乃「まあじゃないっしょ。 ほら」

桐乃「罰……じゃないか、あんたマゾだもんね? 普通の人だったら罰なんだケドぉ。 あんただとご褒美か。 じゃあ仕方ないなぁ、ご褒美あげる、ご褒美」

桐乃はにたにた笑いながら、そう言った。 これに対する返答、正解は。

京介「あ、ありがとうございます」

桐乃「ひひ。 よしよし」

桐乃は言うと、俺の頭を撫でてきた。 うむ、これは素直に嬉しい。 こいつこの時すっげえ可愛く笑うし。

928: ◆IWJezsAOw6 2013/09/09(月) 00:51:07.09 ID:eqBkDIFc0
桐乃「はい、じゃあほら、舐めろ」

……今のよしよしってのがご褒美じゃなかったの!?

桐乃は俺に手を差し出す。 今度は指を舐めろとのことらしい。

まあ、一度前に似たようなことはやっているし、抵抗は無いけど……。

それでもじっと見つめられたままするってのは、恥ずかしいぞ。

桐乃「はーやーくー」

京介「……はい」

929: ◆IWJezsAOw6 2013/09/09(月) 00:51:34.06 ID:eqBkDIFc0
今日は俺に拒否権という物は存在しないので、結局従うことになるのだが。

俺は桐乃の手を取り、細い指を口に入れ、舐める。

桐乃「……どう? 美味しい? ふひひ」

ここでマズイとか言ったら、それこそマズイことになるので、首を縦に振る。 実際そうだし。

桐乃「きも~い! 妹の指舐めて、幸せそうにするとかマジやばくない!? あんたほんとヤバイって~!」

いやお前のめっちゃ嬉しそうな顔も相当やばいっての! どっちがだよ本当に。

930: ◆IWJezsAOw6 2013/09/09(月) 00:52:00.86 ID:eqBkDIFc0
桐乃「ねーねー。 あんたさ、そんな変態ならもしかしてまた足舐めたかったりすんの? ねえねえ」

反射的に首を横に振ろうとする。

したのだが。

桐乃「は?」

という声と共に、足で脇腹を叩かれた。 ちなみに桐乃、未だに俺の背中に乗ったまま。

京介「……はい」

桐乃「はいって何が? 何をどうしたいの? きりりん分からないんですケドぉ」

931: ◆IWJezsAOw6 2013/09/09(月) 00:52:27.85 ID:eqBkDIFc0
京介「き、桐乃の足を舐めたいです」

桐乃「呼び捨て? 今あたしのこと呼び捨てにした? 聞き間違いかなぁ~?」

京介「……桐乃さん?」

桐乃「は?」

京介「……桐乃様?」

桐乃「なぁに? ふひひ」

どうやら、様付けで呼ばなければならないらしい。 本当に妹かよこいつ。

932: ◆IWJezsAOw6 2013/09/09(月) 00:53:01.58 ID:eqBkDIFc0
京介「えーっと……桐乃様の足を舐めたいです?」

疑問系になってしまったが、なんとか言ったぞこの野郎。 もう、流れに身を任せよう。 そうしよう。

桐乃「も~。 仕っ方ないなぁ! 変態の兄貴を持つと、チョー苦労するよねぇ!」

すっごい嬉しそうな顔しやがって。

桐乃は俺の背中から降りると、目の前に足を突き出す。

桐乃「ふひひ~。 まだダメだよ? 待て」

……。

933: ◆IWJezsAOw6 2013/09/09(月) 00:53:48.19 ID:eqBkDIFc0
桐乃「よし! 良いよ、舐めて」

へっへっへ。

桐乃、お前は俺を甘く見すぎだ。

どーせ、こいつの中では俺が控えめに舐めるだとか、そう思っているんだろうよ。

確かにな、俺はそうかもしれない。 普段なら。

だけどこちとら、お前に色々やられて吹っ切れてるんだよ! やられたらやり返す、お前がよく俺にやってることだ。

934: ◆IWJezsAOw6 2013/09/09(月) 00:55:08.67 ID:eqBkDIFc0
京介「ありがとうございます!」

俺は元気良く言ってやる。 満足そうな顔をしている桐乃に向けて。

桐乃「お。 分かってきたじゃん。 そんな嬉しいのか~。 好きなだけ舐めていいよ? ふひ」

おうおう。 その言葉忘れるんじゃねえぞ、お前。

俺は桐乃の足を両手で持ち、口に近づける。

で、足の裏を舐めてやる。 思いっきり。

935: ◆IWJezsAOw6 2013/09/09(月) 00:56:04.02 ID:eqBkDIFc0
桐乃「ちょ! ひひひ! ストップ! すとおおおっぷ!!」

あーあー。 聞こえません。 すいません桐乃様ぁ。 全然聞こえないです。

桐乃がくすぐりに弱いのは知っている。 俺はもう一心不乱に舐めた。 桐乃の足を。 妹の足を。

……いやちょっと待て、なんだこれ。 何で俺はこんな必死に足を舐めているんだ?

まあどうでもいいか! それより今は桐乃の足を舐めなければ。 へへへ。

こうして、俺は桐乃がその場に倒れて笑い疲れるまで、延々とそれを続けるのだった。

936: ◆IWJezsAOw6 2013/09/09(月) 00:56:33.95 ID:eqBkDIFc0
桐乃「ひひ……ちょ、ちょっと……ふひひ」

京介「大丈夫ですか~? 桐乃様~?」

桐乃「あ、あんたねえ……マジ、どんだけ舐めるの……」

京介「いやあ、折角桐乃様がくれたご褒美ですし~? 超嬉しかったんでぇ~?」

桐乃「ふ、ふひひ……。 あーヤバイ。 死ぬかと思った」

京介「……で、満足したかよ?」

桐乃「全っ然! てか、あたしはまだ許すなんてひと言も言ってませんケドぉ」

937: ◆IWJezsAOw6 2013/09/09(月) 00:57:03.44 ID:eqBkDIFc0
……マジかよこいつ。 もうかなり酷い目に遭わされてるぞ、俺。

京介「つ、次はなんでしょう?」

桐乃「んー。 今考え中。 とりあえず、もう一回「わんわん」って言っておいて」

そんな投げやりに命令されてもな。

京介「……わんわん」

まあ言うけど。

938: ◆IWJezsAOw6 2013/09/09(月) 00:57:57.75 ID:eqBkDIFc0
桐乃「ふひ。 ちょっとそれマジ可愛い。 よしよし」

俺、桐乃に撫でられて大分幸せ。

桐乃「あんた撫でられるの嬉しいの? そんな顔してるケド」

京介「……兄妹だしな」

桐乃「あはは、それもそっか。 よっし、じゃあ京介、お風呂に行こう!」

京介「……えーっと、風呂?」

939: ◆IWJezsAOw6 2013/09/09(月) 00:58:38.80 ID:eqBkDIFc0
桐乃「一緒に入ろう!」

京介「……」

桐乃「入れ」

京介「……俺と桐乃、一緒に?」

桐乃「当たり前でしょ。 あたしの体洗って貰うから」

京介「……マジ?」

940: ◆IWJezsAOw6 2013/09/09(月) 00:59:37.17 ID:eqBkDIFc0
桐乃「マジマジ。 でも、それでヘンなこと考えたら罰ゲームね」

京介「おいおい、俺は桐乃の体を見て変なことを考えたことなんて、過去に一回も無いぞ」

桐乃「……どの口でゆうか! あたしを膝の上に乗せてるときとか、チョー考えてるっしょ、あんた」

ちらちらと俺の下腹部を見て言う桐乃。

……男って不利じゃね?

いや待て、それで行くと判断基準ってのはつまり。

941: ◆IWJezsAOw6 2013/09/09(月) 01:00:04.46 ID:eqBkDIFc0
京介「……俺が考えてるか考えてないかの判断基準って?」

桐乃「そんなの決まってるっしょ。 ね?」

京介「いや絶対無理だから! お前と一緒に入ってそうならなかったら病気だっての!!」

桐乃「うわ。 きもーい。 いっつもそんなこと考えてるとかぁ~?」

京介「くそ……で、罰ゲームってのは?」

桐乃「うーん。 あたしの犬状態継続プラス一日」

最悪の罰ゲームだ、それ。

942: ◆IWJezsAOw6 2013/09/09(月) 01:00:33.23 ID:eqBkDIFc0
京介「お、お前は女だから良いよなぁ? 頭の中では手錠されて押し倒してもらって無理矢理キスとか望んでるのによ!」

見たか! 言ってやったぜ。 ずっと言いたかった台詞。

桐乃「ふうん」

対する桐乃は小さく言い、横に座る俺の上へと乗る。

今度は背中では無く、膝の上へ。

桐乃「ねえ、京介。 あたしの本音はそうなの……だから、その……」

きゅ、急にそれは反則だぞ。 可愛いじゃねえか畜生。

943: ◆IWJezsAOw6 2013/09/09(月) 01:00:58.92 ID:eqBkDIFc0
桐乃「ひっ! きもっ! あんたもうヘンなこと考えてるじゃん!!」

京介「お前が変なことするからだろうが!! もう俺は泣きたくて仕方ねえよ……」

桐乃「男って惨め~。 ちょっとあたしが可愛くしただけでそれとか。 まぁ、ベツにいいケドね。 ってワケで明日もあたしのワンちゃんね」

いや、お前はいつでも可愛いぞ。

心の中でツッコミ。 言ったら余計に面倒なことになりそうな気がしたので。

944: ◆IWJezsAOw6 2013/09/09(月) 01:01:25.87 ID:eqBkDIFc0
つか……今更だが、これってもしかして無限ループに入ってるのではないだろうか。

桐乃「ほら、早く出発。 お風呂場にゴーゴー」

桐乃に頭をぺちぺちと叩かれ、俺は指示通りに歩くのだった。

そしてそれから散々コキ使われ、桐乃の飼い犬状態が解けたのはそれから一週間後のことだ。

945: ◆IWJezsAOw6 2013/09/09(月) 01:01:55.96 ID:eqBkDIFc0
京介「……人の秘密は探るべきじゃねえってのが良く分かったぜ」

桐乃「んー? なんか言った?」

京介「いえ、何でも無いです」

つい先日、桐乃から「今回はもう許してあげる。 良かったねワンちゃん」と言われ、飼い犬兼奴隷状態は終わったのだが、未だに桐乃が近づいてくると体がびくっと反応する。

……本当に色々やらされたからな。 一生分の恥ずかしさは味わった気がするぜ。 エロゲーやり込んでいるだけはある。

その桐乃はというと、現在俺のパソコンを使用中。 俺が変なサイトなどを見ていないかチェックする為に。

946: ◆IWJezsAOw6 2013/09/09(月) 01:02:24.63 ID:eqBkDIFc0
あったら即、同じ目に遭わせると言われてるから俺もそんな馬鹿な真似はしないけどな。

桐乃「あ、京介。 あたしのブログさ、これからは普通に見ても良いよ」

京介「え? 良いのか?」

桐乃「うん。 もう一回見られちゃってるしね。 今丁度記事更新したとこだし、どーぞ」

そう言い、桐乃は少し横にずれる。

俺は桐乃に促されるままに横に座ると、その更新したと言う記事を見た。

947: ◆IWJezsAOw6 2013/09/09(月) 01:02:58.82 ID:eqBkDIFc0
4/27 今日も良い天気♪

昨日でワンちゃん最後。 ちょっと寂しい~www

折角良い奴隷だったのに、残念。 ワンちゃんの方も今日はちょっと残念そうな顔してた。 あたしのワンちゃんじゃなくなるのが寂しいのかもwwwキモいwww

でも、あれは兄貴が悪いよね。 ほんとに、人のブログ隠れてみるとかサイアク!

948: ◆IWJezsAOw6 2013/09/09(月) 01:03:27.98 ID:eqBkDIFc0
……まぁ、あたしの為にやってくれたのは嬉しかったよ。 ありがとね。

ひとつだけ言っておくと、そんなことはしなくても、兄貴がしてくれることならなんだって嬉しいってこと。 これが本当。

だから、あんま無理しないでね。 今は多分、一緒に見てると思うケド。

いつもありがと、兄貴。

面と向かっては言えないから、こういう形でごめんね。

949: ◆IWJezsAOw6 2013/09/09(月) 01:04:38.37 ID:eqBkDIFc0
京介「……桐乃」

横を見ると、恥ずかしそうに顔を逸らす桐乃。

ああくそ、やはりこいつは可愛いぜ。

桐乃「まだ、続きあるから」

そう言いながら、そっぽを向いたまま画面を指差す。

俺は小さく笑うと、記事をスクロール。

950: ◆IWJezsAOw6 2013/09/09(月) 01:05:04.23 ID:eqBkDIFc0
だから、またここに願い事とか書いちゃおうかな。

兄貴なら多分、叶えてくれると思うから。

あたしのお願い、聞いてくれると嬉しい。

あのね、あたし。

951: ◆IWJezsAOw6 2013/09/09(月) 01:05:30.65 ID:eqBkDIFc0
やっぱりまだワンちゃん欲しいから、明日からも宜しく♪

ねえねえ、もしかして可愛らしいお願いとか書いてあると思った?www

無いからwwwwwあたしがして欲しいのはwwwww兄貴に「わんわん」って言ってもらうことだからwwww

よろしくwww兄貴wwwww

952: ◆IWJezsAOw6 2013/09/09(月) 01:06:03.48 ID:eqBkDIFc0
京介「て、てめえ……」

桐乃「ぷ。 なにその顔。 チョーウケるんですケド」

京介「誰が聞くか! 俺はもう絶対あんな真似はしないからなぁ!」

桐乃「ベツに良いよ。 それじゃあ仕方ないかぁ……」

なんだ、やけにあっさり引くんだな……。

桐乃「んー。 最初は黒いのでいっか」

京介「……何が?」

953: ◆IWJezsAOw6 2013/09/09(月) 01:06:48.87 ID:eqBkDIFc0
桐乃「え? あんたがあたしの足舐めてる動画送るの」

京介「やめろ! やめて! やめてください!!」

桐乃「えぇ~? でもぉ、兄貴あたしのお願い聞いてくれないし~?」

こんのクソ妹め……。 その携帯ぶち壊してやろうか!?

と、そんな風に俺がどうした物かと悩んでいるとき、パソコンから聞きなれた音が。

京介「……黒猫から、チャット招待?」

桐乃「参加すれば? あたしも見るから」

そう言われ、承諾。

954: ◆IWJezsAOw6 2013/09/09(月) 01:07:59.78 ID:eqBkDIFc0
†千葉の堕天聖黒猫† さんの発言:あら、ワンちゃん。

京介@妹大好き さんの発言:やめてくれ。 頼むからやめてくれ。

†千葉の堕天聖黒猫† さんの発言:……ええっと、それならば何と呼べば良いかしら。

京介@妹大好き さんの発言:ん? 何が? いきなりどうしたよ。 普通に呼んでくれれば俺は何も文句は無いが。

†千葉の堕天聖黒猫† さんの発言:いえ。 あなたのことをこれから何と呼べば良いのか悩んでいたの。

955: ◆IWJezsAOw6 2013/09/09(月) 01:08:28.85 ID:eqBkDIFc0
京介@妹大好き さんの発言:んなもん、別に何だって良いぞ。 って言ってもさっきのはごめんだけどな。 つうか、それを聞く為にチャットしたのか?

†千葉の堕天聖黒猫† さんの発言:分かったわ。 仕方ないわね……ではこれから、あなたのことは妹の足が大好きな変態男と呼ばせてもらうわ。

京介「おい桐乃てめえ!!!」

桐乃「あははははは! ざまあ! 妹の足大好きとかキッモ!!」

こ、こいつマジひでえ……本当に送りやがった。

956: ◆IWJezsAOw6 2013/09/09(月) 01:09:06.42 ID:eqBkDIFc0
京介@妹大好き さんの発言:頼む。 頼むからそれは記憶から消してくれ。 それは黒猫の言う別世界であった出来事なんだ、だから俺は関係ない。

†千葉の堕天聖黒猫† さんの発言:そう……。 分かったわ。 わたしの記憶からは消しておいてあげる。 でも、あまり変なことはしないようにね。

優しいなあ! 黒猫さんマジ優しい! どっかの兄を奴隷扱いする妹様とは天と地の差だぜ!

京介「だってよ、桐乃。 へへへ、悪いな。 俺はどうやらお前のワンちゃんにはなれねーわ。 はははは! あーあ、お前の飼い犬超楽しかったのになぁ! 残念残念!」

桐乃「……なってくれないの?」

京介「ならねーよ! もう弱味なんて無い様な物だしな。 お前が俺のワンちゃんになってくれるって言うなら、考えてやってもいいけどな~。 ふひ」

957: ◆IWJezsAOw6 2013/09/09(月) 01:09:35.46 ID:eqBkDIFc0
桐乃「あ、チャット来てるよ。 黒いのから」

なんだ、話の腰を折るんじゃねえっての。

ええっと、何々。

†千葉の堕天聖黒猫† さんの発言:もし、万が一にでも……いえ、ありえない話ね。 ごめんなさい。

京介@妹大好き さんの発言:なんだよ? 途中で止められると気になっちまうんだけど。

†千葉の堕天聖黒猫† さんの発言:いえ、ただのマッサージに飽き足らず、足でも舐めたら付き合い方を改めないといけないから。 ありえないわよね、忘れて頂戴。

958: ◆IWJezsAOw6 2013/09/09(月) 01:10:03.61 ID:eqBkDIFc0
京介「……えっと、桐乃」

桐乃「んー?」

京介「お前が送ったのって、あれか」

桐乃「あれって、京介があたしの足マッサージしてる奴だケド?」

京介「……舐めてる奴は?」

桐乃「あ、忘れない内に送っとかないと。 ふひひ、ありがとね~」

959: ◆IWJezsAOw6 2013/09/09(月) 01:10:33.62 ID:eqBkDIFc0
京介「待った! 待って! ストップ!」

桐乃「なに? もしかしてぇ、あたしのワンちゃんになりたいとか? ふひひ」

京介「……お願いします」

こんな感じで、俺の飼い犬兼奴隷生活はもう少しだけ続くこととなった。

いやむしろ、終わりが見えない時点で恐ろしいことこの上無い。

960: ◆IWJezsAOw6 2013/09/09(月) 01:11:28.28 ID:eqBkDIFc0
……いつか絶対復讐してやると心の奥底で強く誓い、俺は今日も桐乃に媚を売る。

桐乃「はい、じゃあ言ってみ?」

京介「わんわん」

桐乃「ふひひ~。 可愛い! よしよし」

こんなことをされながら、なんだかエロゲーのバッドエンドみたいだなと思う俺なのであった。


妹の仕返し 終


桐乃「行ってきます」
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1376832426/)