441: cMVCB/0/0  ◆Ujdx7gMvqRAl 2013/09/11(水) 11:56:10.22 ID:3mb3d5MeP
「もっとしりたい」



結衣「ねぇ、ゆきのん!これって効果あるかなぁ?」

雪乃「これは…よく宣伝をしている英語教材ね」

結衣「あ、ゆきのんも知ってるんだ!」

雪乃「えぇ、まぁ」

結衣「そうなんだ!でさ、どう思う?」

雪乃「個人的にはまったくおすすめはできないわね」

結衣「え、そ、そうなの?聞き流せばいいとか楽そうでよくない?」

雪乃「由比ヶ浜さん…。勉強と言うものは、いえ…英語というのは言語だから、勉強とくくってしまうのは個人的には好きではないのだけれど…まぁいいわ。勉強というものは楽しくできることはあっても楽をしてできるようになるなんてあり得ないのよ」

結衣「そ、そうなの?勉強を…楽しく?」

雪乃「ええ、これは私の話なのだけれど、私は小さい頃にパンさんの原書をもらって、それが読みたいがために、辞書を片手に必死に読んだわ。それから、ハ リーポッターをはじめとする他の原書などにも手を出していったのだけれど、気がついたらある程度の文章は読めるし、書けるようになっていたわ」

結衣「さすがゆきのん!」

雪乃「けれど、私はそれを英語を勉強しようと思ってやっていたわけではないの。あくまで本の続きが気になって、その手段として英語の文章を読んでいただけだもの。好きな事をやっていたら、知らないうちに英語もある程度身に付いていただけなのよ」

結衣「なるほどー…好きな事かぁ」

雪乃「…これはおそらく比企谷くんにも言えることだと思うわ。彼はいつも国語が学年3位だと自慢にもならない自慢をしているけれど」

結衣「あはは…ゆきのんいっつも一位だもんね」

雪乃「ええ。ただ私は彼がそんなに必死になって勉強をしているとは思っていないのよ。おそらく彼は単純に本が好きで、とにかく小さい頃からよく読んでいたのではないかしら。それが結果として読解力などを身につける結果を生んだのよ」

結衣「あー、確かにそんな感じがする!」

雪乃「でしょう?。正直、小さい頃からよく本を読んでいた人間の立場から言わせてもらえば、学校のテストやセンター試験レベルの問題なんて、文字通り問題にすらならないもの」

結衣「すごいなぁ…さすがゆきのんにヒッキー…」

雪乃「それにあなたも以前言っていたじゃない。勉強はやる気になった時にやったほうがいいって。好きなこと…好きなものに関するものは自然と、そのやる気 が出ている状態になっているようなものだわ。ほら、あなただってお洒落やファッションなどの事に関してはあんなに詳しいじゃない」

結衣「あ!それはそうかも!気になった内容のこととか一発で覚えちゃう!」

雪乃「でしょう?部活をしていても、それは時々感じるもの」

結衣「え?どういう意味?」

雪乃「あなたを納得させるには、さっきみたいな実例をあげるのが効果的、という意味よ」

結衣「んん?あ、でも確かにファッションの話はわかりやすかったかも!」

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由比ヶ浜結衣「馬鹿にしすぎだからぁ!!」 その1

009
442: cMVCB/0/0  ◆Ujdx7gMvqRAl 2013/09/11(水) 11:57:39.68 ID:3mb3d5MeP
ガラガラ


八幡「おう」

結衣「あ!ヒッキー!」

雪乃「遅いわよ、比企谷くん」

八幡「あー悪い。ちょっと平塚先生に呼び出し受けててな」

結衣「また変な作文出したの?」

八幡「まぁ、そういうわけじゃないんだけどさ。つかいいだろ別に、痛い思いしたし、あんま思い出したくないんだよ」

結衣「また殴られたんだ…」

雪乃「思い出したくないのではなくて、思い出せないだけでしょう?相変わらず鳥のような記憶力ね」

八幡「おい、言っとくけど俺は記憶力だっていいんだよ。中学の時はクラスメイトどころか選択科目で一回一緒になっただけの女子のフルネームさえ記憶してたくらいだぞ」

結衣「ええー…?それは逆に引くかも…」

八幡「いやまぁ、実際に引かれたんだよ。あの時のさやかちゃんの引きつった顔はいまだに忘れられんわ」

結衣「気持ち悪い…」

雪乃「気持ち悪い…」

八幡「おい、素直な感想をかぶせてくるのはやめろ。傷ついちゃうだろうが…ていうか何、今日も今日とて頭の悪そうな雑誌を…ああ、これあれか例の聞き流す奴か」

結衣「そうそう!今、ゆきのんとその話してたの!ヒッキーも知ってるの?」

八幡「まぁなぁ、けどこれはやめとけ。俺はサンプルも聞いた事あるけど、そもそも根本的な問題があんだろ」

結衣「根本的な問題?どういうこと?」

八幡「由比ヶ浜。そもそもお前の母国語は何語だよ」

結衣「え?日本語だけど…」

八幡「だろ?じゃあ、ここで問題だ。由比ヶ浜は流行の洋楽と邦楽、二つを同じだけ聞きました。さてどっちの歌詞のほうをより覚えているでしょうか」

結衣「それは邦楽かも。あ、そっか」

八幡「まぁ、そういうことだ。俺らが日本人であり、日本語を日常的に使っている以上、日本語のほうがより簡単に、そして強く記憶に残りやすいもんなんだ よ。ほら英単語覚えようと書き取りとかした時に、和訳だけ覚えちまって英単語のほうは思い出せないなんてことあったろ?」

結衣「あ、うん、あった…」

八幡「な?あの教材が日本語と英語を交互に流してる以上、耳に残りやすいのは圧倒的に日本語のほうなんだよ。むしろあのペースで交互に流されてみろ。頭が切り替わらんから、日本語ばっか覚えちまって英語は本当の意味で聞き流すちまうなんて状況十分にありえるぞ」

雪乃「言えているわね」

結衣「そっかぁ…」

443: cMVCB/0/0  ◆Ujdx7gMvqRAl 2013/09/11(水) 11:59:07.54 ID:3mb3d5MeP
八幡「ま、どうせ聞くならpodcastでジェフのESLpodcastでも聞けよ。わりと捗るぞ」

結衣「なにそれ?」

八幡「まぁPodcastってのはiTuneで聞ける、まぁ…無料のラジオ番組みたいなもんだと思ってもらやいい。その中でジェフって人がESLPodcastってのをやってんだよ。全編英語なんだけどな」

結衣「あたしにそんなの無理だし!」

八幡「いや、そうでもねぇぞ?基本的に話すスピードはネイティブスピードの半分くらいでゆっくりだし、単語の意味ももっとわかりやすい単語使っていちいち 解説してくれるしな。そのうちにジェフのくだらないアメリカンジョークで引いたり、顔をしかめたり『お、おう…』っていいたくなってくんぞ」

結衣「それ、全部微妙な反応じゃん!!」

八幡「まぁ、ギャグのセンスはないんだよ。アメリカにも親父ギャグってあるんだなーって感じだ。ほら、最近俺のギャグの切れがなくなってきたろ?それは奴の影響だ」

結衣「ヒッキーのギャグが面白かった事とかないし!傷つくだけだしっ!」

雪乃「まぁ実際に聞き、話す、実学に勝るものはないものね。可能ならば英語は英語として概念で理解してしまえれば、それに越したことはないもの」

結衣「どういうこと?」

雪乃「簡単に言えば…例えば、そうね。林檎を見てそれを日本語の林檎、そしてそれを英訳してappleとしていたのでは余計な一手間が増えてしまうもの。林檎を見た時点で林檎とappleとが同時に出てくるようにしてしまえば、その手間はいらなくなるわ」

結衣「ううん…」

八幡「随分、簡単にそうに言ってくれるな」

雪乃「そう?けれど、最終的にはそれが一番の近道だと私は思っているもの。英語を英語として理解してしまえれば、英語の問題だなんて国語の問題よりはるかに簡単だもの。訳すのなんて、必要な時だけすればいいわ。まぁそれでも国語と英語の成績は変わらないのだけれど」

八幡「はいはい、どっちも満点って言うんですよね。すごいすごい」

結衣「あはは…」

八幡「つかまぁ、そもそもだな。楽して勉強しようなんて考えるんがそもそも間違いなんだよ。楽しく勉強っつうのはあっても楽して勉強つうのはねえんだよ」

結衣「あ!それゆきのんも同じこと言ってた!」

八幡「あ?そうなのか?ああ…あれかどうせパンさんとかの話だろ」

雪乃「そう…なのだけれど、あなたに言い当てられるてもまったく嬉しくないわね…」プイッ

結衣「そうそう!ヒッキーよくわかったね」

八幡「まぁ、前に聞いたからな。言ったろ?記憶力はいいんだよ。それに俺も同じような経験してるしな。そもそも俺は好きで本を読んでー」

結衣「あ!その話もゆきのんから聞いた!意識して勉強とかしたことないのに、国語の成績はいいって話でしょ?」

八幡「は?あれ?なんでそれ知ってんの?俺、お前らにその話した覚えないんだけど…いやほんとなんで知ってんの?怖えぇよ」

雪乃「別に、事実関係から推測したにすぎないわ。うぬぼれないで頂戴。大体あなただって似たような事をよくしているでしょう」

結衣「そうそう、ヒッキーって言ってもないこと言い当てたりするもんね」

八幡「いや、まぁ、それはそうなんだけどさ…」

雪乃「それより、他にも楽しく勉強する方法があると言うのならば、もっと由比ヶ浜さんに伝授してあげればいいのではないかしら。その比企谷くんが教えてあげた内容は、由比ヶ浜さんにとっては、よりスムーズに理解できるようだもの」

結衣「あ!うん、あたしももっと知りたい!」

八幡「そうか?あー…じゃあこれも英語の話になるんだけど、親父さんのDVDで映画を見るってのもいいかもな」

雪乃「へぇ…映画…そんな方法もあるのね…」

結衣「映画なら時々見てるけど、全然覚えらんないよ?」

八幡「いや吹き替えで見てんのに、英語上達するわけねえだろ。ようはだな、最初は吹き替え、次に英語音声日本語字幕、次に英語音声英語字幕、んで字幕な しって具合にだな。だんだんレベルをあげていくわけだ。そうすっと、大体最初に日本語で見た時に内容を理解してるからな、英語で何言っているかわからない けど、意味はわかるような状況が出来上がってくるわけだ。まぁ、これはさっき雪ノ下が言っていた内容にー」

446: cMVCB/0/0  ◆Ujdx7gMvqRAl 2013/09/11(水) 14:18:03.25 ID:3mb3d5MeP
「ぼんぼん」



雪乃「お茶が入ったわよ」

結衣「やったぁ!ありがとゆきのん!!あ、でも、ごめんゆきのん。今日あたしお菓子を持ってきてないんだ」

雪乃「いえ、いいのよ、由比ヶ浜さん。今日は私が持ってきたわ」

結衣「え?ほんと!ゆきのんがお菓子なんて珍しいね!わわ、なにこれゆきのん!」

雪乃「ウイスキーボンボンよ由比ヶ浜さん。性格にはそれをチョコレートでコーティングしたものだけれど」

八幡「なんかまたえらい高そうなものを持って来たな」

雪乃「いえ、別に。ただの貰い物だもの」

八幡「普通はあんまこんな高級そうな菓子、高校生がもらわないけどな…」

結衣「これ、食べていいの?ゆきのん?」

雪乃「ええ、どんどん食べてくれていいわ。わたしはあまり得意ではないものだから」

結衣「やったぁ!わ!何これ!ちょっとホロ苦いけど、結構美味しい!!」モグモグ

八幡「おい、大丈夫なのか?」

結衣「へーきへーき!だって美味しいよ?ヒッキーも食べれば?」モグモグ

八幡「お前は結構いける口なのか?まぁ、俺はいいわ」

結衣「ふーん?美味しいのに」モグモグ

八幡「なぁ、雪ノ下?そういやさ、ウイスキーボンボンのボンボンってなんなんだ?」

雪乃「大元を辿れば、よいを意味するbonと言葉を二回繰り返したものよ。あなただってBon Voyageくらいは聞いた事あるでしょう?」

八幡「あぁ、良い航海を!ってやつだっけ」

雪乃「別に船旅に限定するわけではないのだけれど」

結衣「………」モグモグ

八幡「そうなのか」

雪乃「ええ。まぁもちろん昔は、長旅と言えば船旅がメインだから、そういった意味で使われることが多かったのは事実だけれど。それでボンボン菓子というの は、砂糖でできた殻で果物やナッツなどをくるんだもの…を指すわね。中でもウイスキーボンボンはその殻の中にウイスキーを入れたものを指すわ。ボンボン・ ア・ラ・リキュールとも言うわね」

結衣「………」モグモグ

八幡「なんだ。ボンボンって言うから講談社の雑誌のことかと思ったわ」

雪乃「どういうことかしら?」

結衣「…ふふ」モグモグ

八幡「いや、ガキの頃俺はコロコロじゃなくて、ボンボン派だったんだよ」

雪乃「まったく意味がわからないのだけれど…日本語を話しているので間違いないのかしら…」

八幡「まぁ、漫画雑誌だからお前には馴染みはないかもな。まぁ、俺らの世代で読んでるやつも少なかったし」

447: cMVCB/0/0  ◆Ujdx7gMvqRAl 2013/09/11(水) 14:21:38.61 ID:3mb3d5MeP
結衣「うふふ…おいしー…」モグモグ

八幡「なぁ、お前大丈夫か、さっき…か…ら…」

こんもり

雪乃「あぁ……」

結衣「え~?らりがぁ?」

雪乃「由比ヶ浜さん?その大丈夫かしら?少し…その、目の焦点が合っていないように感じるのだけれど」

結衣「うふふー…へいきへいきー、やっぱりゆきのんは優しいれぇ。えへへぇ」

八幡「あーあ…だめだこいつ…完全に出来上がっちまってんな…ウイスキーボンボンで…」

雪乃「はぁ…うかつだったわ。まさか…こんなにこんなに考えなしに食べてしまうだなんて…」

結衣「らっておいしんらもん」

雪乃「いい?由比ヶ浜さん?これには微量だけれどお酒が入っているのよ?ちゃんと名前にも入っているでしょう?ウイスキーって」

結衣「ういすきー?」

雪乃「ええ、穀物で作る蒸留酒の事よ。一般的に蒸留酒はアルコールの度数が高いから…」

結衣「うぃすきぃ…」

雪乃「ちゃんと人の話を聞いているのかしら、由比ヶ浜さん?」

結衣「ねぇ、ヒッキぃ?」

八幡「あん?」

結衣「……すきぃ…えへへぇ」

八幡「は!?お前なに言ってんの!?」

雪乃「………っ!!」

結衣「ちがうしぃー、ちがわないけどちがうしぃ。うぃすきーのすきだしぃ…」

雪乃「………」

八幡「………。いや…お前さ…」

結衣「違うし~、we sukiでうぃすきーだしぃ、あたしぃ、ゆきのんもひっきーもだあいすき」

八幡「いやさ…お前さ…つかお前がweはおかしいだろ…」

雪乃「由比ヶ浜さん…大好きだなんて」カァ

八幡「…お前はゆるゆり…いやがちゆりはやめろ…」

448: cMVCB/0/0  ◆Ujdx7gMvqRAl 2013/09/11(水) 14:22:42.89 ID:3mb3d5MeP
結衣「はい!!あたしは由比ヶ浜結衣!!17歳!!将来の夢はおよめさんです!!」

八幡「あ!だめだ、こいつ」

結衣「およめさん…およめさん!?やだ!ヒッキー!!もう!!スケベ!!」

八幡「なんなんだよ!!」

雪乃「これではもう収集がつかないわね…」

結衣「ふふー、ゆきのん?…ゆきのん!?ゆきのーん!!ゆきのーーーん!!!」

雪乃「ここにいる、ここにいるわ由比ヶ浜さん。だからあまり大声出さないでもらえるかしら」

結衣「ほんとだぁ、えへへぇ、よかったぁ」

八幡「しかし…これはあれだな。教師にでも見られたら問題になるな」

雪乃「まぁ、ウイスキーボンボンは法的には問題ないのだけれど」

八幡「そういうことじゃねぇだろ…」

雪乃「……はぁ。そうね…今回は私のミスなわけだし、私が責任を持って家まで送るわ」

結衣「むふふ~」ユラユラ

八幡「や、この状態の由比ヶ浜を外を歩きまわらせるわけにもいかんでしょ。騒ぎだしたら、どうにもならんぞ」

雪乃「それは…そうね。ここなら、来るのは平塚先生くらいだし…しばらく休ませたほうがいいじゃしら」

八幡「だな。まぁもし来ても先生ならちゃんと話せばなんとかなるだろ。部活のほうは、受付やめればいいだけだし」

雪乃「そうね…、仕方ないわ。私はなにか冷たい飲み物でも買ってくるわ。そのほうが早く目が覚めるでしょうし」

八幡「ああ、だな。頼むわ。果汁高めのオレンジジュースとかがいいらしいぞ」

雪乃「わかったわ。それより比企谷くん、由比ヶ浜さんが前後不覚な状態だからって変な真似はしないように。社会的に抹[ピーーー]るわよ」

八幡「するか!!…ま、せいぜいこいつが変なことしないように見張っとくよ」

雪乃「そうね…悪いけれどよろしくお願いするわね」

八幡「おう」


ガラガラ ピシャ


449: cMVCB/0/0  ◆Ujdx7gMvqRAl 2013/09/11(水) 14:25:01.61 ID:3mb3d5MeP
結衣「ねぇ、ヒッキぃ?ゆきのんとぉなんのおはなししてたの~?」

八幡「だから、お前の話をしてたんだよ」

結衣「あたしの話!?はずかしい!!」

八幡「いや、恥ずかしいのはお前の話がなされていることじゃなくて、お前の今の状況のほうだから。その辺自覚しろ。な?」

結衣「ええ~?ひどぉい馬鹿にしすぎだからぁ」

八幡「いや、そうでもないだろ…」

結衣「え~?」

八幡「………」

結衣「ねぇヒッキー?」

八幡「んだよ」

結衣「あたしのことぉ、ゆいって呼んで~?」

八幡「いや、なんなのいきなり。そんなの無理だろ」

結衣「ええ~!?ずるい!!ゆきのんのことはー、雪ノ下って言うのに!!ほら、ゆーい、ゆーい!」

八幡「いやいや、お前のことも由比ヶ浜って呼ぶだろ。何言ってんの?」

結衣「え~?」

八幡「………」

結衣「あー、じゃあさぁ」

八幡「なに?」

結衣「あたしがぁ、ヒッキーって呼ぶからぁ。そしたらヒッキーは自分のみょーじを言って?」

八幡「いや、おまえ、ほんとそれなんの意味があんの?ほんと大丈夫か?」

結衣「いーからぁ!!あたしが呼びたいの!ほら行くよ!?ヒッキー!!」

八幡「えー…」

結衣「ヒッキー!!ヒッキー!!」

八幡「わかったから、でけぇ声出すなよ…比企谷?」

結衣「ヒッキー!」

八幡「比企谷…」

結衣「ヒッキー!」

八幡「比企谷」

結衣「ゆい!!」

八幡「………」

結衣「ふふふ…ひきがや…ひきがや…もう!!」

八幡「いやお前さ…ほんとなに言ってんの?」

結衣「えへへー」

八幡「えへへじゃねぇだろ…だからお前さ…」

結衣「およめさん…およめさん…やだもう…」ゴニョゴニョ

八幡「いやさ…お前さ…いや、もう寝てろよ…まじで…。いろいろ限界ってのがあんだぞ…」

450: cMVCB/0/0  ◆Ujdx7gMvqRAl 2013/09/11(水) 14:27:20.00 ID:3mb3d5MeP
結衣「……ふふ」

八幡「………」

結衣「…うふふ」

八幡「………」

結衣「ねぇ、ヒッキー…?」

八幡「なんだよ」

結衣「んーん…なんでもなぁい」

八幡「…そうかよ…」

結衣「うん!ふふ…」

八幡「………」

結衣「…ふふ」

八幡「………」

結衣「ねぇ、ヒッキー…?」

八幡「なんだよ」

結衣「んーん…なんでもなぁい。呼んでみただけぇ、えへへぇ」

八幡「そうですか…」

結衣「えへへぇ…ねぇ…ヒッキーはーさあぁ?」

八幡「なんだよ…?」

結衣「ヒッキー、あたしはぁ…あたしがぁ…あたしのことぉ…」

八幡「な、なんだよ…」

結衣「………。ダメっ!恥ずかしくて言えなぁい!!もー!」

八幡「……さっきから、なんなのもう…」

結衣「えへへぇ」

八幡「………」ポリポリ

結衣「………」ジー

八幡「………」

結衣「………」ジー

八幡「なんだよ、もー」

結衣「もーじゃないし!ヒッキーかわいい~!」

八幡「いや、ねえよ」

結衣「え~、だって可愛いもん!!顔真っ赤っかだし!!リンゴみたい!!」

八幡「いやいや、なってねぇから、なに言ってんの?それに男に対してかわいいとかリンゴみたいとか褒め言葉じゃねえだろ。紅顔の美少年って言いたいの?おかしいだろ?」

結衣「おかしくないしっ!ヒッキぃ照れてるぅ!ヒッキー超かわいい!もっかい照れた顔してぇ」

八幡「いや、やらねぇから」

結衣「なんでー?もっかい見たぁいい!!見たい見たぁい」

八幡「いやいやいや…」

451: cMVCB/0/0  ◆Ujdx7gMvqRAl 2013/09/11(水) 14:30:32.09 ID:3mb3d5MeP
結衣「むー…。あー、じゃあさーヒッキー?あたしは?」

八幡「は?何が?」

結衣「あたしは、かわいい?ヒッキーからみてぇ」

八幡「いやいや…なに言わせようとしてんの?なに?嫌がらせ?」

結衣「あたしはまじめに聞いてるのぉ!まじめに答えてよぉ」

八幡「いや…だから…まじめな話でそんなこと言わないし、そもそもお前はチョコレートでだな…」

結衣「うんうん、それで?」

八幡「…あのな?…だから」

結衣「………」ジー

八幡「いやっ…その、だからだな?その…いや見るのやめろ」

結衣「………」ジー

八幡「だからお前その!あれだ、ようするに…お前は…その…」

結衣「………」

八幡「いやさ…だから…」

結衣「………」

八幡「だから、まぁ…その…なんだ?」

結衣「………」

八幡「いや…だからだな?その、あー…まぁ、悪いほうでは、ないんじゃないか…?まぁ、その…一般的にも…主観的にも…そのまぁ部類的にはつうか…?……つうかお前は何を言わせるんだよ!」

結衣「………」

八幡「あれ」

結衣「………」

八幡「ゆ、由比ヶ浜?」

結衣「………」グー

八幡「…はぁ。もう…なんなんだよ、こいつは…」

結衣「………」グー

八幡「…いきなり寝るのは、ズルいだろ…。だいたいイビキかくなっつうの…可愛くねぇだろ…」

結衣「………」グー

八幡「………」チラッ

結衣「………」グー

八幡「……ちょっと、しか?」ポリポリ

474: cMVCB/0/0  ◆Ujdx7gMvqRAl 2013/09/12(木) 13:05:50.34 ID:Lv69YHVeP
「かおもじ」



FROM 結衣          16:25
TITLE no title
ゆきのん、今日は部活休んじゃって(;ω;*)ゴ・ゴメンナサイ
部活大丈夫?(*´・ω・`*)


FROM ★☆ゆきのん★☆      16:29
TITLE Re
別にいつも通りよ


FROM 結衣           16:30
TITLE RE2
普通ってことはヒッキーも大人しくやってる?(´・ω・)ノ


FROM ★☆ゆきのん★☆      16:38
TITLE Re3
ええ、普段通り本を読んでいるわ。別にあなたが心配するようなことはありえないから、安心してくれていいわ


FROM 結衣 16:39
TITLE RE4
+。゚(。´・o・`。)゚+。゚ほぇ??
心配ってどういうこと?(。´・ω・)?


FROM ★☆ゆきのん★☆       16:45
TITLE Re5
いえ、気にしていないのなら別にいいのよ


FROM 結衣            16:47
TITLE RE6
も、もしかしてゆきのん怒ってる?(;ω;*)ゴ・ゴメンナサイ


FROM ★☆ゆきのん★☆        16:55
TITLE Re7
別に怒ってないていないけれど、どうしてそう思うのかしら


FROM 結衣             16:57
TITLE RE8
顔文字ないから怒ってるみたいに見えるし!(`・ω・´)


FROM ★☆ゆきのん★☆         17:09
TITLE Re9
馬鹿馬鹿しい。そもそもどうやって使っていいかわからないだけよ


FROM 結衣              17:11
TITLE RE10
感情を表現すればいいんだよぉ!(*´∀`)b゚
☆:*:・ ユキノンヽ(・∀・)人(・∀・)ノアタシ・:*゚☆ナカヨシ


FROM ★☆ゆきのん★☆          17:18
TITLE Re11
それはどう見ても私ではないと思うのだけれど。感情ね。なるほど。やってみるわ


FROM 結衣               17:19
TITLE RE12
ヤッタ(b´ω`d)

475: cMVCB/0/0  ◆Ujdx7gMvqRAl 2013/09/12(木) 13:11:11.86 ID:Lv69YHVeP
FROM ★☆ゆきのん★☆           17:34
TITLE Re13
こんな感じかしら(╯⊙ ⊱ ⊙╰ )


FROM 結衣               17:34
TITLE RE14
ゆきのん!?その顔文字どうしたの!?


FROM ★☆ゆきのん★☆           17:36
TITLE R15
比企谷くんに教えてもらったのよ(´◉◞౪◟◉)


FROM 結衣                17:36
TITLE RE16
一番聞いちゃいけない人に聞いちゃった!!!


FROM ★☆ゆきのん★☆            17:37
TITLE R17
(ლ ^ิ౪^ิ)ლ


FROM ★☆ゆきのん★☆            17:37
TITLE R18
(΄◞ิ౪◟ิ‵)


FROM 結衣                 17:37
TITLE RE19
やめてってばぁ!!私が悪かったからぁ!!ゆきのんのキャラじゃないからぁ!!


FROM ★☆ゆきのん★☆             17:38
TITLE RE20
(☝΄◞ิ۝◟ิ‵)☝


FROM ☆★ヒッキー★☆             17:38
TITLE no title
(╭☞•́⍛•̀)╭☞



FROM 結衣                  17:39
TITLE RE21
あたし今気づいた!!二人してあたしをからかってるんでしょ!!ていうか途中から確実にヒッキーが打ってるでしょ!?実は仲良しなの!?馬鹿にしすぎだからぁ!!

493: cMVCB/0/0  ◆Ujdx7gMvqRAl 2013/09/13(金) 16:34:48.04 ID:Tbkz+LGfP
「めーる」



八幡「………」ペラッ

雪乃「………」ペラッ

八幡「……今日、由比ヶ浜は?」ペラッ

雪乃「……休むそうよ。お見舞いなんですって。連絡、来ていないの?」

八幡「……来てねぇな」

雪乃「…そう…」ペラッ

八幡「………」

雪乃「………」ペラッ

八幡「………」カチカチ

雪乃「………」ペラッ

八幡「………」

雪乃「………」ペラッ

八幡「………」

雪乃「………」ペラッ

八幡「………」

雪乃「…このくらいのことでいちいち拗ねないで頂戴。煩わしい」

八幡「……別にそんなんじゃねぇけど…」

雪乃「…そう?」ペラッ

八幡「………」ペラッ

雪乃「………」ペラッ

八幡「………」ペラッ

雪乃「………」ブーブー

八幡「………」ペラッ

雪乃「………」カチカチ

八幡「………」ペラッ

雪乃「………」

八幡「………」ペラッ

雪乃「………」カチカチ

八幡「………」ペラッ

雪乃「………」カチカチ

八幡「………」ペラッ

雪乃「………」パタン

八幡「………」ペラッ

雪乃「………」ブーブー

八幡「………」ペラッ

雪乃「………」カチカチ

八幡「………」ペラッ

雪乃「………」カチカチ

八幡「………」ペラッ

494: cMVCB/0/0  ◆Ujdx7gMvqRAl 2013/09/13(金) 16:36:17.74 ID:Tbkz+LGfP
雪乃「………」パタン

雪乃「……はぁ」ブーブー

八幡「……由比ヶ浜?」

雪乃「…そうよ。よくわかったわね」カチカチ

八幡「…返信がむちゃくちゃ早いしな。そもそもお前にメール送ってくるのって由比ヶ浜くらいしかいないだろ」

雪乃「…そんなことは…いえ、それは…まぁ…そうね…」カチカチ

八幡「…だろ?」ペラッ

雪乃「………」カチカチ

八幡「………」ペラッ

雪乃「………」ブーブー

八幡「………」ペラッ

雪乃「…ふふ」

八幡「お前何にやけてんの?」

雪乃「そんなことしていないわ」

八幡「いや、そこ否定すんなよ。携帯見てニヤニヤしてたじゃねえか」

雪乃「そんなことしていないわ」

八幡「一語一句イントネーションも同じに否定すんなよ。お前はICレコーダーかよ…」

雪乃「………」カチカチ

八幡「………」ペラッ

雪乃「………」カチカチ

八幡「………」ペラッ

雪乃「………」パタンッ

八幡「………」ペラッ

雪乃「…比企谷くん。顔文字…と言うのはどうやって使えばいいのかしら?」

八幡「どうって…、感情を表現すりゃいいんじゃねえの?俺もほとんど使わんからよくわからんけど」

雪乃「それは由比ヶ浜さんにも同じことを言われたのだけれど。どうやっていいのかわからないのだもの」

八幡「そんなら、『かお』って打って変換するか、元から入ってるやつを…いや待て、こんな感じでどうだ?」カチカチ

雪乃「それは…私から見ても随分変わった顔文字に見えるのだけれど…」

八幡「でも、これ送ったらどうなるか考えてみろって」

雪乃「………。悪くないわね」

八幡「だろ?」

雪乃「ではさっそく…。比企谷くん、かっこの後は何と入力すればいいのか、わからないのだけれど」カチカチ

八幡「『きごう』で出ないか?」

雪乃「き・ご・う…これでいいのかしら」カチカチ

八幡「いや、そっちじゃねえけど。でもそれのが面白いな。じゃあこんな感じで打ったら?」カチカチ

雪乃「……こう、かしら」カチカチ

八幡「…ひどいな」

雪乃「…ひどいわね」

495: cMVCB/0/0  ◆Ujdx7gMvqRAl 2013/09/13(金) 16:37:55.90 ID:Tbkz+LGfP
八幡「まぁ、とりあえず送って…ああ、いやそうだ。ちょっと貸してみ、いくつか面白いの登録しといてやるわ」

雪乃「…比企谷くんに携帯を?」

八幡「別に、困るもんは入ってねぇだろ?」

雪乃「……まぁ、それは、そうね。けれどあまり変な匂いをうつさないでちょうだい」

八幡「おい、お前、俺が普段から変な匂いを発してるみたいな言い方やめろ」

雪乃「あら、ごめんなさい。自覚がない人にこういうことを教えてしまうのは、時に残酷なものよね…」

八幡「おい、悲しそうに目を伏せるのはやめろ。フローラルとまでは言わないが別に臭くないだろ」

雪乃「あなたがそう思うのなら、あなたの中ではそうなのでしょうね」

八幡「おいやめろ。…つうかお前、この携帯らくらくホンじゃねえの?おばあちゃんかよ」カチカチ

雪乃「……別にいいでしょう。それが一番使いやすかったのよ」

八幡「別に悪くはないけどさ…。つか文字でけぇ…。…っと、こうか」カチカチ

雪乃「………」

八幡「ほいよ」

雪乃「…これはまた…。比企谷くんが打ち込んだだけあって本当に気持ち悪いわね」

八幡「別に、誰が打ち込んだかは顔文字のきもさに関係はしねぇだろ」

雪乃「これは、どうやって打てばいいのかしら」

八幡「『かお』で登録してある」

雪乃「…なるほど」カチカチ

496: cMVCB/0/0  ◆Ujdx7gMvqRAl 2013/09/13(金) 16:40:32.73 ID:Tbkz+LGfP
八幡「まぁ、とりあえず最初のやつ送ってみれば?」

雪乃「そうね…」カチカチ

八幡「………」

雪乃「………」ブーブー

八幡「…返信はえぇな」

雪乃「そうね」

八幡「どんな感じ?」

雪乃「こうよ」スッ

八幡「…結構テンパってんな」

雪乃「でも妙ね。感情を表現すると言った本人が顔文字を使っていないのだけれど」カチカチ

八幡「こういうもんは本当に感情を持った時には逆に顔文字なくなったりするもんなんだよ」

雪乃「なるほど…ますます、顔文字の必要性がわからなくなってきたわ」カチカチ

八幡「まぁ、プラスならともかく、特に怒りとか驚きとか、負の感情の時には特にそうなるな。普段は絵文字とか顔文字とか使ってくるのに、急に絵文字とかなしで『気持ち悪いから、本当にやめて欲しい』とか送ってきたときのダメージは異常だぞ?ソースは俺」

雪乃「なるほど…。よっぽど、気持ちが悪かったのね…。同情するわ」カチカチ

八幡「お前、それ確実に相手のほうに同情してるよね?」

雪乃「当然でしょう?被害者なのだから」ブーブー

八幡「被害者とかいうなよ…。つか由比ヶ浜、相変わらずいい反応してんなー。んで、どうすんの?」

497: cMVCB/0/0  ◆Ujdx7gMvqRAl 2013/09/13(金) 16:42:58.72 ID:Tbkz+LGfP
雪乃「そうね…。たたみかけましょうか」

八幡「だな。んじゃ、俺もこれ送るわ」カチカチ

雪乃「なるほど…、では私はこれを送ればいいのね」カチカチ

八幡「ああ、対になってる感じだし、いいんじゃないか?」

雪乃「文字は?」

八幡「ないほうがいいだろ」

雪乃「そうね」カチ

雪乃「………」カチ

雪乃「………」ブーブー

八幡「………」

雪乃「……ふ」スッ

八幡「……ふっ。んじゃせーので送るか」

雪乃「3カウントのほうがいいわ。0で送信」

八幡「おう。んじゃ行くわ3、2、1」

雪乃「………」カチッ

八幡「………」カチッ

雪乃「………」ブーブー

八幡「…どう?」

雪乃「来たわ」スッ

八幡「ああ、来たな」

雪乃「ええ…」

八幡「………」

雪乃「………」

八幡「別に馬鹿にはしてないよな」

雪乃「そうね。反応が可愛らしいから、ついからかってしまうだけだもの」

八幡「………」ニヤ

雪乃「……ふふ」

518: cMVCB/0/0  ◆Ujdx7gMvqRAl 2013/09/14(土) 15:21:31.65 ID:xvqPPARyP
「このみ」



八幡「おーい、小町ー?入るぞー?」

八幡「あれ?いねえのか、リビングか?」

エー!ナイナイ!イヤイヤ、ソンナコトアリマスッテ!

八幡「あ?」

ガチャ

八幡「小町?って…」

結衣「あ、ヒッキーやっはろー!」

小町「およ?お兄ちゃんどうしたの?」

ピッ

八幡「あ、すいません。警察ですか?ちょっと今うちに不審人物が…」

結衣「ちょっと!ヒッキー!?」

八幡「んだよーもー」

結衣「もー!じゃないでしょ!もーじゃ!!」

八幡「だって、なんでお前ここにいんの?回答によっちゃ通報も辞さんぞ」

結衣「だからそれやめてってばぁ!傷つくからぁ!!」

八幡「いやさ、お前実際なんでここにいんの?リアルブートしてきたの?」

結衣「意味わかんないし!普通に玄関から来たし!て、てかべ、別にヒッキーに会いにきたわけじゃないんだから!勘違いしないでよね!」

八幡「……ツンデレのテンプレかよ…」

結衣「ツン?なにそれ?」

八幡「いや…」

小町「結衣さんは~、小町に勉強教えに来てくれたんだよぅ」

八幡「あ?由比ヶ浜と勉強?それは最悪の組み合わせでしょ。致命的人選ミスでしょ」

結衣「なぁ!失礼な!あたしだって、ちゃんと受験して総武受かったんだからね!?暗記問題とか一気にやるの超得意だしっ!!」

八幡「いや…暗記問題教えようがないだろ…。つか百歩…いや、万歩譲ってお前が勉強教えにきたとしてもだな。今お前らが二人が馬鹿っぽい雑誌を読んでることのいいわけにはならんだろ」

結衣「午前中はちゃんと勉強してたもん!」

小町「そーそー、どこかのねぼすけさんがいつまでも起きてこない間に小町はちゃんと勉強しましたー」

八幡「はぁん…つか何、由比ヶ浜お前午前中に来てたの?」

結衣「うん、小町ちゃんに呼ばれて!あ…それで…」

八幡「あ?」

小町「そうそう!午前中に勉強しようと思ったからぁ、結衣さんには早く来てもらったのです!まぁあ?小町~数学苦手だから~ちょおっとばかり時間ミスっちゃって、お母さんと結衣さんがかちあっちゃったけど~?」

八幡「時間の計算とか数学じゃなくて算数だろ…ていうかニヤニヤすんな。うぜぇ…」

結衣「あはは…」

八幡「……なに、お袋がなんか変なこと言ったか?」

結衣「え?あー…い、いやーべ、べつにー?」

小町「まぁあ?その辺は~、お母さんが帰ってきたらじっくり聞けばいいよ」

八幡「おい…」

519: cMVCB/0/0  ◆Ujdx7gMvqRAl 2013/09/14(土) 15:22:43.95 ID:xvqPPARyP
結衣「あ!こ、小町ちゃん!?この服なんだけど!」

小町「あぁ!いいですねぇ~!絶対結衣さん似合いますよっ!」

結衣「えぇ~!?絶対小町ちゃんのほうが似合うって!」

小町「いやいや!小町の見立て的には~、ほらこっちのスカートと合わせるとすごいいいと思いますよぅ!」

結衣「あ!ほんとだ…。それすごいいいかも!さすが小町ちゃん!」

小町「でしょ~?コーディネートなら小町に任せてください!なにせ兄の壊滅的なセンスの服を組み合わせてなお、おしゃれさんに変えられるくらいですからっ!!」

結衣「確かにっ!」

八幡「おい、俺の服のセンスをディスるのはやめろ。つうかセンスの悪い服が母ちゃんが買ってきたやつだろ?」

結衣「お、お母さんが服買ってくるんだ…。ヒッキーすごいね…」

八幡「おい、そんな視線を俺にむけるのはやめろ。ガチで涙が出てきちゃうだろ」

小町「小町的にはー、I LOVE 千葉 Tシャツとか着てドヤ顔で出かけちゃうお兄ちゃんは、お母さんのセンスどうこう言えないと思うんだけど」

八幡「うっせ、清潔ならそれでいいだろ。ネットの調査とかでもそういうのが一番って書いてあったぞ」

結衣「うわぁ…」

八幡「つか、お前ら仲よすぎじゃねえの?なんなの?普通、兄貴のクラスメイトとそんな仲良くする?」

小町「お兄ちゃんのクラスメイトというか、そもそも結衣さんは小町の友達だし」

結衣「そうそう」

八幡「は?いつから?」

結衣「最初からだしっ!」

八幡「え?」

小町「ていうか、お兄ちゃんが知らないだけで、小町、時々結衣さんと遊びに言ったりしてるよ?この前も二人でカフェ巡りしたし」

結衣「ねー?あ!あのときのパスタ美味しかったよね!」

小町「ですねっ!また行きましょう!あ、今度は雪乃さんも誘いましょうよ!」

結衣「あ!いいね!ほら、あそこのオムライスとかゆきのん好きそう!」

八幡「仲いいですね…君たち…。スイーツ臭いことしてんじゃねえよ…つか、お前ら食ったのどうせスパゲティだろ。パスタとか言ってんじゃねえよ。スパゲティでいいだろスパゲティで。だいたいお前は遊んでないで勉強しろ」

小町「だから今日は二人で勉強してたんでしょ?」

八幡「まぁ、そうなんだけどさ…」

結衣「大丈夫、ヒッキー!ほら、あたしがついてるから!」

八幡「いや、だから心配なんだけど?」

結衣「どういう意味だぁ!」

520: cMVCB/0/0  ◆Ujdx7gMvqRAl 2013/09/14(土) 15:24:07.35 ID:xvqPPARyP
八幡「まぁ、それはいいんだけどさ」

結衣「ちょっと!」

八幡「小町?昼飯は?」

小町「小町は結衣さんと一緒に食べたよ?」

八幡「いや、お兄ちゃんのご飯のこと聞いてるんだけど~?」

小町「食べれば?」

八幡「いやさ、お兄ちゃんにそういう言い方はないんじゃない?」

結衣「?。なんであたしを見るの?」

八幡「いや、別に…」

小町「あ~、そっか…。小町痛恨のミス!ホットケーキの粉買っとくの忘れてたよ」

八幡「いや、誰もそんなこと言ってないだろ?」

結衣「あ!そ、そっか!ご、ごめんね?ヒッキー。そういうことなら来るときに買って来といたんだけど…」

八幡「いや、だから、誰もそんなこと言ってないだろ?勝手に拡大解釈するんじゃねえよ」

結衣「あ、じゃ、じゃあた、卵焼きとかならつ、作ろうか?」

八幡「いや、いい、やめろ」

結衣「そんな単語並べて断る事ないでしょ!?あたしだって卵焼きくらいつくれるしっ!!」

八幡「い、いや…そうじゃなくてだな。その、なに、あれだ。昼飯チキンラーメン作るからさ。卵二つ入れるつもりだからな?あんま卵かぶるのいやなんだよ」

結衣「あ、そ、そっか。そうなんだ…」

八幡「ああ、まぁ。そういうことだから。お前は、小町と雑誌でも読んでろよ。…で小町はその顔をやめろ」

結衣「あ、う、うん。じゃあ、先もどるね小町ちゃん」

小町「……。20点だなぁ、お兄ちゃん」

八幡「うっせ、この優秀な俺に勝手に赤点つけてんじゃねえよ。…つかチキンラーメンあったっけ?」

小町「上の3番目の棚。乾麺が入ってる棚に、確か後2個のこってたよ」

八幡「そうか。すまん」

小町「ん、よきにはからえ。おっまたせしましたー結衣さーん!」

521: cMVCB/0/0  ◆Ujdx7gMvqRAl 2013/09/14(土) 15:24:59.68 ID:xvqPPARyP
結衣「あ、小町ちゃんさー。これなんだけどー」

八幡「………」ガサゴソ

小町「それ、あれですよう!最近うちの学校でもー」

八幡「………」ジャボボ

結衣「え!?そうなんだ!?でもそれってあれじゃない?」

八幡「………」シュボ

小町「そう!そうなんですけど!そこがミソなんですよぅ!」

八幡「会話が抽象的すぎる…」

結衣「あっはっは!ないない!」

八幡「………」シュシュシュシュ

小町「でも、雪乃さんとかすごそうじゃないですか?」

八幡「………」ジョボボボボ

結衣「まぁね!でもさ、それってあれでしょ?」

八幡「………」スタスタスタ

小町「そうです!そうです!それでー」チラッ

八幡「…あと2分36秒…30秒短めで行くか…。固めにしよう…。固めがいい」ガタン

小町「あ!結衣さんこのページとかどう思いますか?」

八幡「………」カチカチ

522: cMVCB/0/0  ◆Ujdx7gMvqRAl 2013/09/14(土) 15:25:58.97 ID:xvqPPARyP
結衣「んー…?え!?こ、好みの異姓特集!?」

八幡「………」ピクッ

小町「どうなんです~?結衣さぁん?」

八幡「………」

結衣「ちょ、ちょっと小町ちゃん!そんなの恥ずかしくて言えないよ!」

八幡「………」

小町「いいじゃないですか~。小町と結衣さん仲ですし?この際?」チラッ

八幡「………」

結衣「えええ…で、でもでも心の準備が…」チラッ

八幡「………」

小町「大丈夫ですよぅ!ただの『好み』を言うだけですから!」

八幡「………」

結衣「で、でも~」

八幡「………」

小町「……っち。なら、こうしましょう!小町が先に好みのタイプを言いますね!」

八幡「おい、小町!お兄ちゃん好みの男だなんて許さないぞ!!」

小町「あ、お兄ちゃん、そういうのいいから」

八幡「はい…」

結衣「あはは…」

小町「で、小町のタイプはー浮気しそうもなくて、変に律儀なところがあって、真面目で素直じゃなくて、捻ねくれていて、人のことを思いやれて、けど不器用で、それでいてすごく本当はすごく優しい。そんな人ですね~」

八幡「………」

結衣「そ、そうなんだ」

小町「結衣さんはそんな人どうです?」

結衣「え!?あ、あたし!?」

八幡「………」

結衣「え、ええっと…そ、そうだね…あ、あ、あたしも、そういう人、き、きらいじゃないって言うか…、その…むしろすごく好き…かも…」

小町「ですよね、ですよね!いいですよね。そういう人!」

八幡「……んな奴いるわけないだろ…」

小町「いやー、小町的にはいそうな気がするんだけどなー」

八幡「………」

結衣「あ、あたしも、そんな気が…する、かも。そのい、意外と近くにいそうかなー…とか。あはは…」

八幡「………」ボリボリ

523: cMVCB/0/0  ◆Ujdx7gMvqRAl 2013/09/14(土) 15:27:13.63 ID:xvqPPARyP
結衣「こ、小町ちゃん!ちょ、ちょっとこの部屋暑いね!か、顔が熱いから、顔洗ってくるね!?洗面所借りていい?」

小町「あ、はい。どぞどぞ~。出て左です。あ、タオルは上から2番目、お兄ちゃんのパンツの上の段に入ってますから」

結衣「う、上から2番目ね。わかった。ってその情報いる!?」

小町「まぁまぁ」

結衣「う…うう…」

パタン

小町「いや~、可愛いなぁ」ニヤニヤ

八幡「…うぜぇ」

小町「いや、でもあんなゆでダコ状態、なかなか見れないでしょ?」

八幡「………」

小町「てか、お兄ちゃん?ラーメンのびまくってるよ?」

八幡「これは…お前…その、あれだ。俺はチキンラーメンはのびてるくらいが好き、なんだよ」

545: cMVCB/0/0  ◆Ujdx7gMvqRAl 2013/09/15(日) 18:44:22.10 ID:SquuDiF4P
「ねこがはま」



結衣「あ!ゆきのん!見てみて!これ!」

雪乃「いったいなんなのかしら、これは」

結衣「ネコミミだよ!多分パーティーとかでつけるんじゃないかなぁ!」

雪乃「ねこ…みみ…。けれど、こんなところに置いてある理由はわからないわ」

結衣「千葉だもん!」

雪乃「理由になっていないと思うのだけれど…」

結衣「いいじゃん!あ!ほらほら、ご自由に試着してみてくださいだって!ゆきのん、つけてみようよ!ほらほら!」

雪乃「いえ、いいわ。わたしは」

結衣「え~?可愛いのに!ほら、こんな感じだよ?こうつけて~、にゃあん!」

雪乃「にゃあん…」

結衣「にゃ~ん!」

雪乃「………」

546: cMVCB/0/0  ◆Ujdx7gMvqRAl 2013/09/15(日) 18:45:01.08 ID:SquuDiF4P
結衣「どうどう?ゆきのん!」

雪乃「………。全くなっていないわ」

結衣「…え?」

雪乃「まず、その腕のあげ方。いったいなんなのかしら?それでは猫でなくてキョンシーでしょう?」

結衣「きょ、きょんしー…?」

雪乃「まず、右手はこう。顔の横あたりよ」

結衣「え?こ、こう?」

雪乃「違う、違うわ、由比ヶ浜さん。目よりは下、鼻よりは上よ」

結衣「こうかな?」

雪乃「はぁ…あなたなぜこんな簡単なこともできないのかしら。手を添えてあげるわ。こう、こうよ由比ヶ浜さん」

結衣「あ、ありがとうゆきのん」

雪乃「お礼はいいから、きちんと位置をおぼえなさい」

結衣「う、うん」

雪乃「そして左手はこう、こうよ」

結衣「こ、こう?」

雪乃「ええ。じゃあ、やってみましょうか」

結衣「え?何を…」

雪乃「………」

結衣「あ、そ、そっか。にゃ、にゃぁん」

雪乃「右手は円を描く感じに」

結衣「え、う、うん。にゃ、にゃあん」

雪乃「………」

結衣「ど、どうかな?」

雪乃「………」サワサワ

結衣「…ゆきのん?」

雪乃「………」クンクン

結衣「………」

雪乃「………」コクコク

結衣「も、もういいかな?な、なんかすっごい見られてて恥ずかしいんだけど…」

雪乃「ちょっと、待ちなさい」

結衣「う、うん」

雪乃「………」

結衣「ゆ、ゆきのん?」

結衣「しゃ…いえ、いいわ。かえー」

八幡「なにやっとんだ…お前ら…」

547: cMVCB/0/0  ◆Ujdx7gMvqRAl 2013/09/15(日) 18:45:59.96 ID:SquuDiF4P
結衣「うひゃあ!ひ、ヒッキー!な、なにしてんのこんなところで!」

雪乃「………!!」

八幡「いや、何ってこっちの本屋は品揃えがいいから出て来たんだけどさ…。お前それ…」

雪乃「………」

結衣「あ、こ、これはちょっと、ゆきのんと、その!」

雪乃「あら、比企谷くん、こんなところで奇遇ね」

八幡「え、お前はなんでそんなすましてるの?」

雪乃「別に普通よ。けれど、そうだわ。せっかく出くわしたのだから、由比ヶ浜さんの姿を記録におさめておくのはどうかしら?」

八幡「は?お前はいきなり何言ってんの?」

結衣「え!?ゆ、ゆきのん!?」

雪乃「記念だもの、そうよね?」

結衣「ゆ、ゆきのん?」

雪乃「…そうよね?」

結衣「う、うん。そ、そうだね!」

八幡「い、いや。お前も乗ってんじゃねえよ。つか雪ノ下、お前さ」

雪乃「………」クイッ

八幡「いや、お前。無言で顎で命令するのやめてくんない?……わかったよ…」

結衣「え、ええと。じゃ、じゃあ、よろしくヒッキー…」

八幡「お、おう…」

雪乃「待ちなさい」

結衣「え、な、なに?ゆきのん?」

雪乃「なに、じゃないでしょう?さっきあれほど練習したのを忘れたの?手は目の下、鼻の上、でしょう?」

結衣「え!?あれ、やるの!?」

雪乃「当然でしょう?」

結衣「え、ええと…じゃあ、その…にゃ、にゃあん」

八幡「あー…、ええと…その、まぁ、じゃあ、と、とるわ」

パシャッ

548: cMVCB/0/0  ◆Ujdx7gMvqRAl 2013/09/15(日) 18:47:42.23 ID:SquuDiF4P
八幡「…これでいいか?雪ノ下?」

雪乃「せっかくの記念だもの。動画でとっていたほうが良いんじゃないかしら」

結衣「ゆきのん!?」

八幡「いや、お前はさ。ほんと何言ってんの?」

雪乃「記念だもの。そうよね?」ジロッ

八幡「………。わかったよ…」

結衣「え、ええ~?」

八幡「と、とるぞ?」

結衣「え、う、うん」

ピピッ

結衣「………」

八幡「………」

雪乃「何をやっているの。これは動画なのよ?動かなければなんの意味もないでしょう?」

結衣「え?え、ええと…」

八幡「………」

結衣「にゃ…にゃあん…」

雪乃「声が小さい」

結衣「にゃあん!」

雪乃「大きすぎるわ」

結衣「にゃあん」

雪乃「手は円を描くように」

結衣「にゃあん」

雪乃「その調子」

結衣「にゃあん」

雪乃「もう一度」

結衣「にゃあん」

雪乃「………」コク

八幡「………」

ピッ

549: cMVCB/0/0  ◆Ujdx7gMvqRAl 2013/09/15(日) 18:48:17.40 ID:SquuDiF4P
結衣「お、おわった…」

八幡「お疲れ…」

結衣「あ、ひ、ヒッキー…そ、その、あのその…。ゆ、ゆきのん、あたし先お店行ってるね!?ヒッキー、それじゃ!!」

八幡「お、おう…」

雪乃「………」

八幡「じゃあ、あー…俺も行くわ」

雪乃「比企谷くん」

八幡「……何」

雪乃「JPG、MP4、SDカード」

八幡「………おう」

雪乃「圧縮不要。メモリーカード代は引き換えに渡すわ。それじゃ」

スタスタスタ

八幡「…なんなのあいつ」

八幡「………」カチカチ

八幡「………」ニャーン

八幡「……まぁ…いいけど」

ピローン

八幡「いや…だからニャウリンガルも反応してんじゃねぇよ…。怒濤のラッシュかよ…」

608: cMVCB/0/0  ◆Ujdx7gMvqRAl 2013/09/18(水) 02:09:10.41 ID:+gMVysBwP
「おなまえ」



結衣「うん、うん。自分で連絡したほうがいいんじゃない?え?うん、うん。ああ、なるほど。オッケー、んじゃ、優美子にもそう伝えておく」

八幡「………」ペラッ

結衣「え?うん、うん。わかった、はーい、それじゃ…え?」

八幡「………」ペラッ

結衣「ああ…うん?それで?ああ。オッケー。うんうん。じゃあね?はーい」ピッ

八幡「…戸部か?」ペラッ

結衣「そうだけど。え!?なんでわかったの!?あ、声漏れてた?」

八幡「いや?お前の返答から、なんとなくな。女子相手じゃないのは普通にわかるし、後は普段の反応から似たのを類推だ」パタン

結衣「へぇ~。ヒッキーすごい。ちょっと引くけど」

八幡「うっせ。……つか戸部って下の名前なんつったっけ?」

結衣「え?とべっち?とべっち…ええっと…たしか…飛ぶっていう漢字を難しく書いた感じの名前…ええっと…ええと…翔太だったかなぁ…」

八幡「はぁん…よく知らねぇのか。まぁ、いいけどな。どうでも」

結衣「じゃあなんで聞いたし!」

八幡「大和とか大岡は?」

結衣「え?ええと…。知らない…」

八幡「お前ら、本当に仲いいの?そうなったら、お前が下の名前ちゃんと知ってる葉山だけってことになるじゃねえか」

結衣「隼人くん?まぁ、隼人くんは普段からそう呼んでるからね」

八幡「………。お前、葉山のことも名字で呼んだほうがいいんじゃないの?」

結衣「へ?なんで?」

八幡「いや…ほらあれだ。他の連中は名字で呼んでんだからバランス取れていいだろ?」

結衣「そう?優美子とかも隼人くんのこと名前で呼んでるし、急に呼び方変えるのは逆に違和感あるんだけど」

609: cMVCB/0/0  ◆Ujdx7gMvqRAl 2013/09/18(水) 02:10:22.79 ID:+gMVysBwP
八幡「…いや、ちょっと言ってみただけだから気にすんな。…つか名前で言えば小学校の時にジョンって名前の奴がいたんだけどさ」

結衣「ジョン?!それってあだ名?」

八幡「いや、本名。漢字でなんて書くんだったっけな…忘れたけど」

結衣「それじゃアメリカ人じゃん!!」

八幡「ああ、親は国際社会に出た時にスムーズに呼んでもらえるためにつけたとか言ってたらしいけどな」

結衣「日本人の名前って呼びづらいの?」

八幡「まぁ、名前によってはな。これは友達の友達の話なんだけど、ユウスケって名前の奴は、アメリカでずっとユウスキ、ユウスキって呼ばれ続けてたらしい」

結衣「へぇ~!てかヒッキー友達いないでしょ?素直にネットで見たって言えばいいじゃん」

八幡「淡々と事実を突きつけるなよ。本当のことでも時に人を傷つけるんだぞ?まぁ、あれだ。実際のとこ国外に出なければ何の意味もないし、日本人っぽい名前のほうが逆に受けがいいってこともあるみたいだからな。結局はDQNネームでしかねぇよな」

結衣「DQNネームって?」

八幡「ほら、最近変な当て字の名前とか結構あるだろ?ああいうのだよ」

結衣「ああ~…キラキラネームのこと?」

八幡「まーた、その言葉がアホっぽいけどな」

結衣「アホとはなんだし!でもああいうのちょっと嫌だよね…」

八幡「あれ?そうなのか?お前あだ名のセンスとかないし、ああいうの好きかと思ってたわ」

結衣「ちょっと失礼だし!てかヒッキーってあだ名かわいいじゃん!」

八幡「でもちょっと罵倒してるっぽくねぇか?」

結衣「そんなことないし!ヒッキーはヒッキーであって、ヒッキーっていうヒッキーじゃないもん!」

八幡「お前、なにそれ哲学?」

610: cMVCB/0/0  ◆Ujdx7gMvqRAl 2013/09/18(水) 02:12:28.62 ID:+gMVysBwP
結衣「ち、違くて!ほら、悪口みたいな感じで使ってないって意味じゃん!それともゆきのんみたいに比企谷くんって呼んだほうがいい?」

八幡「おお、そうだな。そのほうが距離感でていいんじゃないか?」

結衣「距離感って…。…じゃあ比企谷くんは昔はどんなあだ名で呼ばれてたの?」

八幡「………。俺はあれだ。ある意味あだ名のデパートと言ってもいいぞ?ヒキガエル、オタガヤに始まり、これだのそれだの大概は言われたからな」

結衣「へぇ~?あだ名って仲いいほどつけるってイメージあるけど。比企谷くんもそんなのつけられるんだ」

八幡「………。お前、材木座にあだ名をつけたのも仲いいからか?」

結衣「材木座って誰?」

八幡「いや、中2だよ、中2。いい加減覚えてやれよ」

結衣「あ、あぁ~…。それはなんと言うか」

八幡「な?別にあだ名ってのは仲がいいからつけるわけじゃねえんだよ。馬鹿にしたり、名前覚えてないからつけるってのもある。俺の場合は後者な場合が多いな」

結衣「え~?あたしは比企谷くんの名前一発で覚えたけど?」

八幡「………。いや、お前は別だろ。ってか、俺が悪かったからやっぱ呼び方戻してくんない?なんか…ちょっと心にくるわ」

結衣「ふふーんだ。もっと早く認めればいいのに!」

八幡「いや…それは…。つ、つかあれだ。話戻すけど、ほら俺が現在進行形で呼ばれてるヒキタニくんとか後者の典型だろ?あいつら名字呼びにしてるつもりが あだ名になっちゃってるからな。なんであいつら、漢字は覚えてるのに、音を覚えてないんだよ。クラスで名前間違えないの戸塚と葉山だけだぞ?しかも名前間 違えられないだけで結構嬉しいんだぞ?」

結衣「だからあたしも間違えてないじゃん!てか、だからどんだけさいちゃんのこと好きなの!?」

八幡「だからお前は別だろ。つか、葉山でも嬉しいんだな。これが」

結衣「なんか悲しい!!」

八幡「つか、お前はなんかあだ名ないのかよ。ゆいゆい?」

結衣「それやめてってばぁ!!うーん…でもなんだろあたし結衣って名前で呼ばれることのが多いから…。あ、でも小学校の時はゆいっぺとかゆいぼうとか言ってる子もいた!」

八幡「なにそれ。お前のまわりセンスなさすぎだろ」

結衣「友達の事は馬鹿にしないでよ!てかだったらヒッキーがなんかよさそうなの考えてくれたらいいじゃん!」

八幡「あー…じゃあ、Y.Yとか?」

結衣「それじゃただのイニシャルでしょ!?」

八幡「んじゃK.Y」

結衣「ちょっと!てかあたし空気読むのは得意だしっ!」

八幡「いや~、お前時々空気読めてねえぞ?まじで」

結衣「そんなことないしっ!……ていうかそういう系なら、あ、あたし、わ、H.Yがいい…」

八幡「お前なに言ってんの?そもそもイニシャルつうのは、普通名前から書くもんなんだよ。だからその場合Y.Hが正しい」

結衣「え?あ…え?あ…そ、そうなんだ」カァ

611: cMVCB/0/0  ◆Ujdx7gMvqRAl 2013/09/18(水) 02:13:27.54 ID:+gMVysBwP
八幡「つか、あれだな。名前っていやお前なんでDQNネームだめなの?」

結衣「あ、ほ、ほら、あれ。親戚のお姉ちゃんが子供にそういう名前つけたんだよね。それ聞いてなんか、うわってなっちゃって」

八幡「どんな名前だったんだ?」

結衣「ぷりん」

八幡「ペットかよ…。近所の犬が確かそんな名前だったぞ。漢字は?」

結衣「姫に鈴でぷりん…だったと思う。確か」

八幡「ひでぇな。それ読めないだろ。普通…」

結衣「でしょ?ほら、なんか先生とかにも名前読んでもらえなかったりしそうじゃん?浮いちゃってイジメられちゃったりとかしたら…とか思うとさ」

八幡「まぁ、実際、就職に不利に働いたり、私立の学校によっちゃ書類選考ではじかれるなんてこともあるらしいしな」

結衣「そうなの!?」

八幡「ああ、なんでも東京のほうにある良家のお嬢様がたくさん通う学校なんかは、いまだに何何子って名前の子供が多いらしいぞ、実際。まぁ、これは因果関係が逆かも知れんけど。ようはお里がしれると見なされるんだろ」

結衣「どういうこと?」

八幡「あれだ。例えば比企谷姫鈴です。って子供が名乗るとするだろ?そしたらもう、名乗っただけなのに『親の名前が見てみたい!』ってなるだろ?で、親の顔見てあ~なるほどって納得するわけだ」

結衣「だからあたしそんな名前つけたりしないしっ!」

八幡「いや…。だから比企谷って言ってんだろ…。なに言ってんの?」

結衣「え?あ、そそそ、そっか。ご、ごめん」

八幡「……。まぁ、ようするにDQNネームなんてつけんのは、鼻っから子供にいらんハンデ負わせるようなもんだろ。本当に子供が可愛いなら、まともな名前つけてやるべきだ。ペットじゃないんだからさ」

結衣「確かにね~。あ、ねぇ桃太郎とか金太郎の太郎っていうのはどうしてつけられたの?なにか意味があるの?」

八幡「意味っつうかあれは確か、長男につけられることが多い名前なんだよ。一郎とかと同じだな」

結衣「そうなんだ!」

八幡「そのあとは大体二郎、もしくは次郎、三郎とかって感じに続いていくな。親とか祖父とかの漢字をもらってくるのとかに並んで、日本の伝統的な命名方法の一つだろ。今はあんま聞かないけどな」

結衣「なるほどねぇ~。でも、八郎はちょっとあれじゃない?」

八幡「いや、数字入れんのは生まれた順ってやつなんだよ。お前、八人も子供生むつもりなの?大家族スペシャルかよ」

結衣「あれ?え?だって漢字をもってくるし、数字を名前に入れるって…」

八幡「……まぁ。俺の説明が悪かったか?漢字を親からもら…いや、お前、それなら『八』をどっから引っ張ってきたんだよ。おかしいだろ?」

結衣「あ!そ、そっか!ええと、ほ、ほら!『八』はひろすえがりで縁起がいいっていうでしょ!?だから!」

八幡「それを言うなら末広がりだろ。なんなの?広末、不祥事でも起こしたの?Youtubeに謝罪ビデオ流すの?人権問題になんぞ」

結衣「あ、そ、そっか…」

八幡「お前、今日ほんと大丈夫か?やったらめったら変だぞ?いつにも増して」

結衣「あ、あたし変じゃないし!こ、こういう話してると、なんか変にテンションあがっちゃうだけだしっ!」

八幡「変って自覚してんじゃねえか…」

612: cMVCB/0/0  ◆Ujdx7gMvqRAl 2013/09/18(水) 02:15:30.91 ID:+gMVysBwP
結衣「へ、変じゃないしっ!ていうか、そんなこと言うんなら、ヒッキーはどんな名前がいいの?」

八幡「あー?俺?あれだ、俺は子供とか作らないから」

結衣「え?な、なんで?欲しくない?」

八幡「いやあれだ。自分が稼ぐ気ないのに、子供作るのは無責任ってもんだろ」

結衣「気の使い方が斜め上すぎる!」

八幡「いや、実際重大な問題だろ?カミさんの稼ぎで暮らしてる以上、カミさんが出産だのなんだので仕事しないってことは、収入が途絶える事を意味するからな」

結衣「さ、産休とかあるんじゃないの?」

八幡「つったってどうしても収入は落ちるだろ。出産で物入りな時期に、唯一の収入源を減らすのは得策じゃないな」

結衣「じゃあ、共働きすればいいでしょ!?」

八幡「両親とも働きにでたら誰が子供の面倒みんだよ?家政婦でも雇うの?俺は共働き家庭で育ったから、子供にはあんな寂しい思いはさせまいって決めてんだよ」

結衣「じゃ、じゃあ、普段からヒッキーが働いてればいいでしょ?そしたら、わ、じゃなくて奥さんは子供の面倒みれるでしょ!?」

八幡「それはお前、前提条件が崩れちまうじゃねえか。働かない。絶対に働かないぞ。俺は」

結衣「もー…ほんとああ言えばこう言うし…」

八幡「はっ!そもそも言い合いで俺に勝とうなんて思うのが間違いなんだよ。口で争えば雪ノ下>俺>由比ヶ浜は絶対に揺るがないぞ。まぁ、物理的に殴りあっても、この順番だろうけど」

結衣「ヒッキーはゆきのんに殴り合いでも負けちゃうんだ…。てか女の子に手をあげるとかサイテー」

八幡「いや、ボコボコにされるの俺だから」

結衣「むー…。あ!だったら」

八幡「あん?」

結衣「じゃあ、もしも、の話でいいから聞かせて?おねがい」

八幡「いや…お前…」

結衣「おねがぁい」

八幡「いや…だから、上目遣いやめろ」

結衣「ねぇ?」

八幡「………」ボリボリ

結衣「ヒッキー?」

613: cMVCB/0/0  ◆Ujdx7gMvqRAl 2013/09/18(水) 02:17:13.76 ID:+gMVysBwP
八幡「わかった、わかったから。言うからやめろ」

結衣「やった!」

八幡「なんなの…。あー…名前か…あれだ。ゆ、ゆかり…とか?」

結衣「えー……?」

八幡「なんだよ!聞かせろっつったのお前だろ?いい名前じゃねえか」

結衣「いや、変な名前とは言わないけど。でも、なんでそんなガチで考えた感じの名前なの?あと娘で決定してるのがちょっと引くんだけど」

八幡「い、いいだろ別に…たまに考えてんのが出ちまったんだよ」

結衣「普段から考えてんじゃん!なら、素直に言えば良かったでしょ?」

八幡「いや…。つうかいいだろ別に!あれだ、こういうのは感性の合うパートナー同士で決めるもんだからいいんだよ!」

結衣「え…?あー、あー…で、でも名前自体はす、すごくいい名前だよねー?」

八幡「なぐさめの言葉はいらないから。どうせ気持ち悪いから」

結衣「そ、そんなこと思ってないしっ!!だ、だから気持ちら悪いのはヒッキーで、あたし、名前自体は最初からいいって言ってんじゃん!」

八幡「まぁな」

結衣「ふぅ…。あ、か、漢字!漢字はどうやって書くの?」

八幡「あ?あーあれだ。結に香…いや、由に…いや、あれだ。あー…縁って漢字があるだろ。あれ一文字でゆかりだ」

結衣「なるほど!それなら、お父さんに似ないでお友達いっぱいな子供になりそう!」

八幡「だからお前はなに言ってんの?なんで子供が俺に似んだよ?」

結衣「ヒッキーこそ何言ってんの?今はヒッキーの子供の話をしてたんでしょ?当然じゃん?」

八幡「あ?あー…あ、そうか…。なんかこんがらがってきたな…」

結衣「そう?えへへ…」

八幡「………」ボリボリ

結衣「あ!じゃあさ、ヒッキーんちの男の子の名前も考えようよ!」

八幡「あー?いや、もういいだろ」

結衣「いいじゃんいいじゃん!」

八幡「え~?」

結衣「まずあたしからね!うちのパパのー」

632: cMVCB/0/0  ◆Ujdx7gMvqRAl 2013/09/20(金) 09:18:51.11 ID:wEMMilvfP
「おけが」



八幡「汗くせぇ…6限目に体育とか一体なに考えてんだよ」

戸塚「八幡!」

八幡「おう、戸塚!あれ、お前着替えは…。あぁ、部活だもんな。当然か」

戸塚「うん。でもさっきも体育だったせいで汗かいちゃったけどね。汗臭くないかな」

八幡「大丈夫!むしろフローラルだぜ?」

戸塚「もう!やめてよ八幡!八幡も部活?」

八幡「ああ、まぁな。あれ?」

戸塚「どうしたの八幡、キョロキョロして」

八幡「あ、ああ…いや別に」

戸部「マジで?ユイ大丈夫なん?」

三浦「そ、急に倒れたから、あーしもびっくり」

葉山「じゃあ、保健室に連れていったのか。優美子?」

三浦「そ。帰りにね」

八幡「………!」ガタッ

戸塚「え、由比ヶ浜さん倒れたんだって。大丈夫かな、はち…まん?あれ?」

戸塚「八幡?」キョロキョロ

633: cMVCB/0/0  ◆Ujdx7gMvqRAl 2013/09/20(金) 09:20:47.03 ID:wEMMilvfP
× × ×

タッタッタッタ!

平塚「比企谷!廊下を走るんじゃない。君は小学生かね?」

八幡「ウスッ」ペコッ

タッタッタッタ!

平塚「比企谷!…まったく速度を緩めていないじゃないか…。しかし、あんなに慌てた様子も珍しいな」

× × ×

タッタッタッタ

八幡「ふぅ…。失礼します」

ガラガラ

鶴見「おや?君はこないだの子じゃないか」

八幡「ども」

鶴見「なんだい、また風邪かい?でも、もう放課後だからさっさと家に帰ったほうがいいと思うけど」

八幡「いえ、そうじゃないんですけど」

結衣「あれ?ヒッキー?」

八幡「……あん?」

鶴見「おや、知り合いかい?ああ、そうか、確か彼も静ちゃんとこの子だったね。じゃあクラスメイトか」

結衣「はい!」

八幡「お前何やってるの?」

結衣「いやー、体育の帰りにこけて足くじいちゃって。あはは」

八幡「…何もないところで倒れたんじゃねえの…?」

結衣「いやー、そうなんだよねー。なにもないとこでずっこけちゃって…。やー優美子に笑われちゃった。あはは」

八幡「………」

結衣「ヒッキーはどしたの?」

八幡「いや…俺は、別に…。んじゃそういうことだから」

結衣「え!?ヒッキー!?」

鶴見「ああ、なるほど。君は気になって見に来たのか」

八幡「っ!い、いや。別に」

結衣「え!?ヒッキーもしかして心配して来てくれたの!?」

八幡「ばっかお前、そんなわけねぇだろ。あれだ。あ、先生ちょっと俺、頭痛がするんですけど、薬か何かもらえないですか?」

鶴見「捻くれを治す薬はないねぇ」

八幡「………」

鶴見「いやー、由比ヶ浜ちゃんだったっけ?いいクラスメイト…いやこの場合は…いや、まだそんな感じじゃないね、うん。いいクラスメイトを持っているじゃないか。私も保健室ながいけどね。なかなかいないよ?」

結衣「えへへ…」

八幡「………」

鶴見「ああ、そうだ。私はちょっと静ちゃんに用事があるんだったな!えー、悪いけど君?」

八幡「…比企谷っす」

鶴見「そうそう、比企谷くん。悪いけど、ちょっと留守番しておいてくれるかな?悪いね?ありがとうね?」

八幡「ちょ、ちょっと!」

634: cMVCB/0/0  ◆Ujdx7gMvqRAl 2013/09/20(金) 09:22:35.69 ID:wEMMilvfP
ガラガラ、ピシャ

八幡「………」

結衣「ヒッキー、ありがとね?」

八幡「いや、だからさ。頭痛薬もらいに来ただけだっつの」

結衣「でも、汗だくだよ?」

八幡「……いや、六時間目体育だっただろ」

結衣「そっか。もう終わって30分くらいたってるけど、まだ暑いんだ?」

八幡「……まぁな。ほら、サッカーだったんだよ。葉山だの戸部だの、サッカー部の連中がやたら出張ってきてたからな」

結衣「そっかー。ヒッキー今日は積極的に体育に参加してたんだね?」

八幡「……まぁ、俺はわりかし球技好きだし、得意なんだよ」

結衣「ふぅん?団体競技苦手なのに?」

八幡「いや、それはお前、あれだ」

結衣「うん。ありがと」

八幡「………」ボリボリ

結衣「へへ…」

八幡「あー、あれだ。お前、話変わるけどさ。お前もそうだけど、お前の周り、話し方とか一度ちゃんと勉強したほうがいいんじゃねえの?」

結衣「それって話変わってるの?」

八幡「…いや、変わってるだろ。スポーツの話と、話し方の内容でまったく違う内容じゃねえか」

結衣「うん。まぁ、そだね」

八幡「…あれだ。戸部とか絶対なに食べてもヤバイヤバイって言うだろ?フグ刺し食ってヤバイヤバイ言ってたら、テトロドドキシンでヤバイのか、うまくてヤバいのかわからねえじゃねえか」

結衣「ふぐ…下関?」

八幡「そんなのいちいち覚えてんじゃねえよ…」

結衣「へへー」

八幡「だいたいお前なんだよ。何もないところで転ぶってありえねえだろ。何かの病気なんじゃないの?病院で見てもらったら?」

結衣「ヒッキーひどいし!こんなことちょくちょくあるわけじゃないし!2度目だし!」

八幡「前に一度あるんじゃねえか、だいたいお前はだなー」

635: cMVCB/0/0  ◆Ujdx7gMvqRAl 2013/09/20(金) 09:23:24.88 ID:wEMMilvfP
ガラガラ

三浦「ユイー?」

結衣「あれ?優美子?」

八幡「三浦…」

三浦「なに、ヒキオじゃん。あんたなにしてんの」

八幡「いや、俺は別に…」

三浦「あ、ユイ。鞄持って来たから。携帯も鞄の中」

八幡「シカトかよ…。ていうか、だったら聞くなよ…」

結衣「本当!?優美子ありがとう!」

三浦「着替えはきついでしょ。帰ってから着替えな、ほら」

八幡「え?なんで鞄俺に渡すの?」

三浦「は?ユイ捻挫してんだけど?だったら送ってくくらいするでしょ。普通」

結衣「優美子…」

八幡「いや、だからってなんで俺が…」

三浦「あんた、同じ部活でしょうが。つかそういうのいいから」

八幡「………」

三浦「じゃ、あーしこれから行くとこあるから」

結衣「あ、うん!ありがとね、優美子!」フリフリ

三浦「………」フリフリ

636: cMVCB/0/0  ◆Ujdx7gMvqRAl 2013/09/20(金) 09:23:59.48 ID:wEMMilvfP
ガラガラ、ピシャ

八幡「………」

結衣「………」

八幡「………」

結衣「………」

八幡「…じゃあ、先生が帰ってきたら…帰るか」

結衣「え?ほんとに送ってってくれるの?」

八幡「……まぁ…あれだ。三浦にああ言われたらしょうがないだろ。その、後が怖いし」

結衣「そっか…。えへへ…ヒッキーありがとう!」

646: cMVCB/0/0  ◆Ujdx7gMvqRAl 2013/09/20(金) 17:32:33.95 ID:wEMMilvfP
八幡「つか、あれだな。帰るなら雪ノ下に連絡しといたほうがいいんじゃねえか」

結衣「あ、そうだね。送ってみる!」カチカチ

八幡「おう」

結衣「ええっと…ケガをしたので…っと…」カチカチ

八幡「………」

結衣「あっ」ゴトッ

八幡「携帯落とすなよ、壊れんぞ。つかデコってんのが剥がれんぞ」

結衣「いやはや、失敗失敗」ガタッ

八幡「おい!馬鹿!立ち上がったら!」

結衣「痛っ…」ヨロッ

八幡「おいっ」ガシッ

結衣「あ……」

八幡「………」

結衣「ご、ごめん…」

八幡「お、おう…」

結衣「………」

八幡「………」

結衣「あ、あの、ヒッキー?そ、その肩痛いんだけど」

八幡「あ、いや、す、すまん。つい力がな。その、まぁ、ゆ、ゆっくり椅子座れ。気をつけろよ」

結衣「う、うん…」

八幡「………」

結衣「ご、ごめんね。ヒッキー」

八幡「い、いや…」

結衣「あ、あの。ご、ごめんね?そ、その体育の後、着替えてないから、そ、その、汗臭くなかった?」

八幡「い、いや、それは全然、むしろ…いや、つ、つかお前、さっさと雪ノ下にメール送ったほうがいいだろ」

結衣「あ、そ、そだね」カチカチ

八幡「………」

647: cMVCB/0/0  ◆Ujdx7gMvqRAl 2013/09/20(金) 17:33:54.19 ID:wEMMilvfP
結衣「あ、あのさ。それで、ヒッキー、か、帰りなんだけどさ、歩けないかもだし、そのじて…」ブーブー

八幡「雪ノ下からか?返信早いな」

結衣「あ、う、うん。どこにいるの?だって」カチカチ

八幡「……返信には気をつけたほうがいいと思うぞ。なんとなく」

結衣「え?あ、もう送っちゃった」

八幡「そうか…」

結衣「こんな感じで送ったんだけど、何かまずかったかな」

八幡「あー…」

タッタッタッタッタッタタッタ

アレ、キミハユキノシタチャンジャナイカ。ソンナニイソイデドウシタンダイ

ツルミセンセイ、センセイハホケンノタントウデスヨネ。ナゼソトニイルノデショウカ

アー、ジカンツブシダヨ

ソノ、ハイッテモ?

アー、ウン。タブンソロソロダイジョウブダロウネ。ワタシハアトデハイルヨ

結衣「これって?」

八幡「…やっぱりな」

ガラガラ

雪乃「由比ヶ浜さん!?」

結衣「ゆきのん!」

雪乃「由比ヶ浜…さん?」

八幡「おう」

雪乃「比企谷…くん…」

八幡「………」

648: cMVCB/0/0  ◆Ujdx7gMvqRAl 2013/09/20(金) 17:35:56.66 ID:wEMMilvfP
雪乃「……由比ヶ浜さん。どういうことか、説明してもらえるかしら?」

結衣「あ、ええっと。ご、ごめんね、ゆきのん。あ、あたし軽く捻挫しちゃっただけなんだ」

雪乃「捻挫…?」

結衣「ご、ごめん?ゆきのん、そのあたしメールで説明足りてなかったよね?」

雪乃「いえ、それはいいのだけれど…。いえ、良くはないわ。あなたはいつもそうでしょう?大事なとこで説明が足りていないのよ。今回は不問にするけれど、これからはー」

八幡「………っふ」

雪乃「………。比企谷くん、何がおかしいのかしら」

八幡「いや。捻挫でこうも心配するやつも珍しいって思って、な」

雪乃「ひ、比企谷くん。別に私は…連絡を受けた時点でこの程度のことは想定していたのだし。別段驚きはー」

八幡「今日はよく喋るよなぁ。お前」

結衣「ゆきのん…えへへ…」

雪乃「それは…別にあなたに言われる筋合いはないわ。どうして、既に保健室にいるのか、大体想像がつくもの」

八幡「まぁ、な」

結衣「ヒッキー…」

八幡「…ま、これも、ある意味お前の人徳ってやつだな。由比ヶ浜」

雪乃「……そうね」

結衣「どういうこと?」

八幡「いや、あれだ。捻挫でこうも…こんなにいろんなやつに心配されるやつも珍しい、ってことだよ」

669: cMVCB/0/0  ◆Ujdx7gMvqRAl 2013/09/22(日) 03:07:41.95 ID:2g5fNjlZP
「じんせいげーむ」



結衣「ねぇねぇ、ゆきのん!人生ゲームってしたことある?」

雪乃「人生ゲーム…。人生を一種のゲームに例えると言う考え方かしら」

結衣「人生がゲーム!?」

雪乃「けれど、それは誰かさんにとってにあまりに不利よね。いきなりものすごい難易度で始めたようなものだもの」

八幡「おい。人の人生をナイトメアモードかなんかのような言い方をするな。俺は高スペックだし、せいぜい言ってもハードモードくらいなものだろ」

雪乃「その違いがよくわからないわ。あまり変わらないようなものだと思うのだけれど」

八幡「ま、イージーモードの雪ノ下さんにしてみりゃ、同じようなもんなんdなろうけどな。なんでいきなりその発想になんだよ」

結衣「ゆきのん!ボードゲームだよ、ボードゲーム。あたし結構得意なんだー」

雪乃「ボードゲーム…。そう言われても私はボードゲームと言えばレイルウェイくらいしかした事ないのだけれど」

八幡「なんで、そんなアメリカンなゲームをしたことがあるんだよ。つか、あれ1ゲーム3時間以上かかるガチなやつだろ…。なにもんなんだよ、お前は」

結衣「ええ~?お正月とかに友達とかでで集まってしたことない?」

雪乃「お正月に誰かと集まってすごすなんてなかったもの」

結衣「ああ!ご、ごめんゆきのん!」

八幡「お前友達いないもんな」

結衣「ヒッキーは黙ってて!」

雪乃「いったいどんなゲームなのかしら」

結衣「ふっふっふ、実は実物があります!じんせぇげぇむ~!」

八幡「だから、お前青狸の真似似てないから」

結衣「だから、これあたし自信あるの!だいたいドラちゃんは猫だしっ!」

八幡「自信あっても似てなきゃなんの意味ねぇから。つか持って来ちゃったのかよ…」

雪乃「なるほど、こういうものなのね」

結衣「うん、持ち運びのだけどね。おうちでやる奴はもっと大きいよ?」

雪乃「なるほど。察するに、ルーレットでやるすごろくのようなものかしら」

結衣「そうそう!これ説明書!」

八幡「その中で止まるマスとかによって、就職だの、結婚だのがあるわけだ。あと、最終持ってた金額で順位が決まるから、必ずしも先にゴールについたからと行って優勝できるわけでもない」

雪乃「なるほど…」パラパラ

670: cMVCB/0/0  ◆Ujdx7gMvqRAl 2013/09/22(日) 03:08:52.15 ID:2g5fNjlZP
結衣「けどヒッキー、結構詳しいね?」

八幡「そうでもないだろ」

結衣「よくやってたの?」

八幡「いや、やってたと言うか、やってるな」

結衣「え!?進行形!?」

八幡「進行形だ」

結衣「え?あ、ご家族とやってるの?あ、小町ちゃんとか?」

八幡「さらっと友達という選択肢を消すのはやめろ。まぁ、あれだ。基本は一人だな」

結衣「一人!?」

八幡「いやさ、前は小町とやってたんだけど、小町が結婚マスに止まるたびに毎回ウダウダ言ってたら、遊んでくれなくなったんだよ。なんでか知らないけど」

雪乃「気の毒に…、よっぽど気持ちが悪かったのね」ペラペラ

結衣「当たり前だしっ!ていうか理由わかってるんじゃん!そもそも人生ゲーム一人でやるとか暗すぎるし!」

八幡「ばっかお前。俺はこれまでの人生で、誰とも馴れ合わず、大概の事は一人で乗り越えてきたんだよ」

結衣「かっこよく言ってるけど、それただのボッチってことでしょ!?」

八幡「いやお前、このご時勢ぼっちっていうのは年々増え続けてんだぞ?言ってみればぼっちというのは、新しい時代に適応した究極のライフスタイルだと言える。ある作家の言葉を借りれば、ボチノミクスと言うやつだ。人よ、ぼっちたれ!」

結衣「ヒッキーみたいなのがいっぱいになったら、日本終わりだしっ!!」

八幡「まぁな」

結衣「認めちゃった!!」

雪乃「そろそろいいかしら?」

結衣「え?なにが?」

八幡「何ってお前、勝負に決まってんだろ」

結衣「え!?ホントにやるの!?」

雪乃「当然でしょう?」

八幡「やる気ないなら、そもそもなんで持って来たんだよ。だいたい雪ノ下がお前に教えられたままで終わるわけがないだろ」

ガラガラ

平塚「話は聞かせてもらった」

結衣「平塚先生!?こ、これは!」

平塚「いや、いい。そのままにしておきたまえ、私も参加しよう」

八幡「おい。先生は俺のゲーム機取り上げたでしょ。なにさらっと参加しようとしてるんですか」

平塚「なにを言っているのかね、比企谷。校則をもう一度読み返してみたまえ。我が校の校則にはゲーム機等の持ち込みを禁止する校則はあっても、ボードゲームの持ち込みを禁止する校則はないのだよ」ドヤ

八幡「いやそれ、洗濯機に子供を入れて洗わないでくださいレベルの話ですよね?なに法律の穴を見つけたみたいな顔をしてんすか」

平塚「誰もそんなことは思っていないのだが?一言も言っていないのだが?」

八幡「いや、先生はそんな口調で喋らなくっても十分異端ですよ。ある意味で」

平塚「まぁ、いいじゃないか比企谷。最近職員室に居場所がないのだよ」

八幡「理由が教員の言葉とは思えない…」

雪乃「先生はピンクでよろしいでしょうか?」

結衣「先生は黄色が似合いそう!」

八幡「お前らもすんなり受け入れ態勢に入ってるんじゃねえよ」

平塚「そうだな。黄色にしておこう。比企谷、君はこの茶色を使いたまえ」

八幡「もうちょっといい色あるだろ…」

結衣「よーし、じゃあはじめよー!」

671: cMVCB/0/0  ◆Ujdx7gMvqRAl 2013/09/22(日) 03:10:23.81 ID:2g5fNjlZP
× × ×

雪乃「………」

結衣「ゆきのんがんばって!」

雪乃「………」カラカラカラ

結衣「おお!また10だ!」

雪乃「………」グッ

平塚「さすがだな」

八幡「お前、さっきから8以上しか出してないじゃねえか。どうなってんだよ」

雪乃「たまには2や3も出しているでしょう?」

八幡「そのあたりにすごくいいマスがある時だけ、な」

雪乃「別に、だんだんとルーレットの回し方がわかってきただけよ」

八幡「それじゃイカサマだろ!」

雪乃「失礼ね…」

結衣「イカ様?」

平塚「いや、雪ノ下はあくまで自分の力で勝負しているんだ。イカサマと言うのは適切ではないな」

八幡「じゃあ、レインマンのダスティンホフマンはどうなるんすか。あれだってあくまで自分の力なのに、イカサマ扱いされたじゃないすか」

平塚「随分渋いところをつくな君は。何、それは単純な話だ。イカサマかどうかの判断については、単純に『親』…胴元の利益になるかどうか、できまるのだ よ。サクラを勝たせるのは、イカサマにならない。逆に不正をしていなくても、極端に親に損害を与えるのならば、イカサマなのだよ」

八幡「身もふたもなさすぎる…。教師が生徒に聞かせる話じゃないだろ…」

結衣「イカ様…」

雪乃「家を購入」

八幡「ガン無視かよ。つかはえぇな…」

雪乃「はい、次はあなたでしょう」

八幡「…おう」

結衣「ヒッキーがんばって!ドベなんだから!」

八幡「うっせ。お前だってほとんど変わらないで3位だろうが。得意じゃなかったのかよ」

結衣「だって、ゆきのんも先生も強すぎるんだもん…。てかヒッキーだって今もやってるってわりには弱すぎるしっ!」

八幡「まぁ、あれだ。俺の場合、他人と遊ぶのがはじめてだからな?初心者みたいなもんなんだよ。一人でやると基本競争ないし」

結衣「だから暗すぎるしっ!!」

平塚「…っち」

雪乃「……比企谷くん。ゲームが進まないのだから、早くしてもらえるかしら」

結衣「わ、ご、ごめんなさい」

672: cMVCB/0/0  ◆Ujdx7gMvqRAl 2013/09/22(日) 03:11:42.90 ID:2g5fNjlZP
八幡「なんなの怖いよ…ゲームで殺気立ちすぎだろ…。じゃあ回すわ」カラカラカラ

結衣「お!8だ。八幡の8!」

八幡「……下の名前よぶんじゃねえよ。えっと8か。えーと…」

平塚「お、人生の岐路だな。職業選択じゃないか。さて、ビジネスコースか、専門コース、どちらを選ぶか見物だな?」

八幡「先生。専業主夫がないんですけど」

平塚「ゲームでもあくまで専業主夫になるつもりなのかか、君は…。そもそも人生ゲームには専業主婦も主婦も存在しないのだろう。少なくともプレイヤーはな。ま、まぁ、どうしてもというのであれば私はそれなりのきゅうりょー」

八幡「そっすか。じゃあビジネスコースにします」

平塚「………」

結衣「へぇ~意外!サラリーマン選ぶんだ。フリーターあるし、専門職コースを選ぶかと思ってた」

八幡「ばっかお前、フリーターは今は良くても後で困るだろ。その点、与えられた仕事を黙々と文句なくこなせばいいサラリーマンは専業主夫に次ぐ俺の天職だ。具体的には定時で帰れる千葉県職員がいい。県民の皆様のサーバントとなってサービスするわ」

雪乃「相変わらずちゃんと考えているのかいないのか、よくわからない男よね。あなた」

結衣「定時って5時でしょ?5時くらいに帰ってきてくれるのはいいかも!あ…いや、旦那さんがって意味だけど!」

平塚「ふむ…。しかし適職かもしれんな。君の千葉愛を考えると、観光振興課のようなところならその才能を生かせるかも知れないな」

八幡「いや、まぁ、ゲームなんで、あんまマジにとられても困るんですけどね?」

平塚「さて次は私か」カラカラカラ

結衣「おお!6だ!…言う事思いつかないけど!」

平塚「ふむ、…お?また子供マスじゃないか。いや、参ったな。はっはっは」

八幡「なんか、先生の車だけ大家族がワンボックスカーぎゅうぎゅうに詰まっているみたいになってんな…」

平塚「いやー!大家族とかいうんじゃない、比企谷!照れるじゃないか!」

結衣「ほんとだ!現実と真逆ですね!」

平塚「うっ!」

八幡「いや、お前それは…」

雪乃「由比ヶ浜さん…、私でもさすがにそれは言えないのだけれど」

結衣「わあああ!先生そういう意味じゃなくって!ほら、先生の車、あまり助手席とか使った形跡とかがなくって綺麗っていうか、そういう意味で!ほら、子供のったらもっと汚れるじゃないですか!」

平塚「ううっ!」

673: cMVCB/0/0  ◆Ujdx7gMvqRAl 2013/09/22(日) 03:12:55.24 ID:2g5fNjlZP
八幡「お前…、もういいからルーレット回せよ。お前のフォロー、フォローになんねぇから。ほらよ」

結衣「う、うう…と、とりあえず回すね」カラカラ

八幡「7だな」

結衣「えーと、1、2、3、4、5、6、7っと。えっと、ここだ!」

八幡「いや、お前結婚しろよ」

平塚「ぐふっ!?」

結衣「ちょ、ちょっとヒッキー!?なに言ってんの!?」

八幡「いや、そうじゃなくてだな。結婚マスはルーレットが余っても必ず止まるもんなんだよ。だからさっさと結婚しろよ」

平塚「ぐあぁ!」

結衣「け、結婚しろとか…その、だ、だって…」

八幡「だいたい、さっきの流れで結婚マスに止まる状況とかなんなの?ナチュラルボーンS娘なの?お前?そんなの雪ノ下一人で十分だろ」

平塚「………」

雪乃「失礼ね…」

結衣「今のは全部ヒッキーが悪いんでしょ!?先生机につっぷしちゃったじゃん!」

八幡「まぁ、自分の番になったら復活すんだろ。いいから結婚しようぜ」

結衣「ちょ、ちょっと。だ、だから…け、結婚とか連呼すんなし…」

雪乃「………」

674: cMVCB/0/0  ◆Ujdx7gMvqRAl 2013/09/22(日) 03:14:09.22 ID:2g5fNjlZP
結衣「あ、で、でもさ。プレイヤー同士で結婚できるルールってなかった?」

八幡「あ?いや…ねぇだろ。そんなもん」

平塚「ほう?プレイヤー同士か、興味深いな」

雪乃「復活しましたね…」

結衣「ほら、小学校の時とか、みんなでやってる時とか」

平塚「ローカルルールというやつだな?」

結衣「プレイヤー同士とか、後で混ぜてって言って来た子とか、混ぜてみんなでできるようにするの」

八幡「ローカルというか、むしろリア充ルールじゃねえか、それ。俺たちがそんなのした事あると思うの?」

雪乃「あなたと一括りにしないでもらえるかしら…」

平塚「ふむ、だが。プレイヤー同士の結婚というのはなかなかに興味深いじゃないか」

八幡「先生、ゲームにそういうこと求め出したら死亡フラグですよ。彼プラスですか、大丈夫ですか」

平塚「う、い、いや、まぁ、いいじゃないか比企谷。せっかくの機会だ。仮にこの中からパートナーと選ぶとしたらどうするか、言ってみたまえ」

結衣「!!」

雪乃「………」ピクッ

八幡「先生、なにニヤニヤしてんすか。性格悪すぎでしょ…」

平塚「なにを戸惑うことがある比企谷、これはあくまで『仮』に『ゲーム上の』パートナーを決めるならどうすればいいかと言う話だ。なぁ、雪ノ下、君なら誰を選ぶ?」

雪乃「………。…日本では遺憾ながら同性婚は認められていません。加えて、現在このゲームに参加している男性プレイヤーは比企谷くんだけです。となれば遺憾ながら、本当に遺憾ながら、選択肢は比企谷くんしかないのではないでしょうか」

八幡「お前さ…」

平塚「ふむ、そうだな。となれば私も比企谷だ。君はどうかね?由比ヶ浜」

結衣「あ…あ、あたしは…」

八幡「………」

結衣「あ、あたしも、ひ、ヒッキーがいいかなぁ…、なーんて…。か、か、仮にだよ?か、仮に…」

八幡「………」

675: cMVCB/0/0  ◆Ujdx7gMvqRAl 2013/09/22(日) 03:15:46.20 ID:2g5fNjlZP
平塚「ふむ。ということだ。比企谷。なに、あくまで仮の話だ。さぁ、男らしく誰と結婚するか、決めたまえ」

八幡「いや、先生あのですね」

結衣「ヒッキー?」

八幡「いや、だから…」

雪乃「比企谷くん」

八幡「いや、お前もさ…」

平塚「比企谷…」

八幡「………」

結衣「………」ゴクリ

八幡「あの…」

雪乃「………」

八幡「………」

平塚「………」

八幡「………。ゆ…」

676: cMVCB/0/0  ◆Ujdx7gMvqRAl 2013/09/22(日) 03:17:27.24 ID:2g5fNjlZP
ガラガラ

材木座「はちえもーん!!助けてぇよぉ!」

八幡「材木座ぁ!!」パァァ

材木座「え?あれ?八幡!?」

八幡「材木座!!いや、剣豪将軍よ!我、汝の呼び声に答え、今馳せ参じよう!参るぞ!剣豪将軍!!」

材木座「お?お?おおお?うむ!では我らの前世よりの悲願である全国統一をなさんがため、共に戦おうではないかっ!!」

八幡「ふぅーはっはっはっはっはっは!!」

材木座「うわっはっははっはっははっは!!」

ガラガラガラ ピシャ

平塚「………」

結衣「………」

雪乃「………」

平塚「…ふむ…片付けるか…」

結衣「はい…」

雪乃「そうですね…」

682: cMVCB/0/0  ◆Ujdx7gMvqRAl 2013/09/22(日) 16:45:38.19 ID:2g5fNjlZP
「びょうき」



三浦「さ、ユイ。昼食べるよ」

結衣「うん!あれ?」

海老名「どうしたの結衣。キョロキョロして」

結衣「え?ううん。…あそこかな。でも今日雨降ってるし…」

ガラガラ

戸塚「………」

結衣「さいちゃん…。あの顔…もしかして…。さいちゃん!」

戸塚「わ、由比ヶ浜さん。びっくりした」

結衣「ご、ごめんね?あのさ、ヒッキーどこ行ったか知らない?今朝からなんか、顔色悪かったから気になってて」

戸塚「う、うん。やっぱり由比ヶ浜さんも気づいてたんだ。その、八幡が今日はお昼忘れたって言うから、二人でパンを買いに行ったんだけど、八幡、途中で倒れちゃって…」

結衣「た、倒れた!?大丈夫なの!?」

戸塚「た、多分…。その、とりあえず保健室には連れて行ったんだけど…」

結衣「保健室…ご、ごめん、優美子!あの、あたし、お昼ちょっと行かなきゃいけないところあるから!」

三浦「あ、そーなん?じゃさ、帰りにあれ買って来てよ、レモンティー。あーし、今日飲みもん持ってくるの忘れててさー。パンだし、お茶ないときついじゃん?」

結衣「ごめん、優美子!それは無理。あたし、今日は多分、お昼の間帰ってこれないから」

三浦「……あ、そ。なら、早く行って来たほうがいいんじゃん?」

結衣「うん!ありがと、優美子!今度41のアイス奢るから!」

三浦「そういうのいいから。さっさと行ってきな」

結衣「うん!ありがと!行ってくる」フリフリ

タッタッタッタ

三浦「………」フリフリ

海老名「ぐ、ぐ腐、ぐ腐腐腐腐腐腐腐」

三浦「……こっち見て変な笑い方すんなし。擬態しろし」

683: cMVCB/0/0  ◆Ujdx7gMvqRAl 2013/09/22(日) 16:48:18.61 ID:2g5fNjlZP
× × ×

結衣「はぁ、はぁ。し、失礼しまーす」

ガラガラ

養護「おや、君は。君たちは随分保健室が好きみたいだね」

結衣「い、いえ、そんなわけじゃないんですけど。そ、そのヒッキー…比企谷くんは…」

養護「こないだの彼なら、奥のベッドに寝かせてるよ。カーテンの向こうね」

結衣「あ、あの。よ、様子を見てもいいですか?」

養護「もちろん。けど移るかも知れないよ」

結衣「大丈夫です。ありがとうございます。ひ、ヒッキー?」

シャッ

八幡「…………」

結衣「……大丈夫…かな。わ…すごい熱」

養護「ああ、39度近いからね」

結衣「そ、その病院とかは…」

養護「そのことで静ちゃんに聞こうと思っていたところだったんだ。君、親御さんの連絡先とか知らない?」

結衣「あ、は、はい。ええと、妹さんのなら」

養護「ふむ。直通の連絡先は知らないかな?」

結衣「あ、た、多分。本人の携帯を借りれば…。それか妹さんに聞けばわかります」

養護「まぁ、事情が事情だからね。本人のを借りようか」

結衣「あ、あたしが電話します!」

養護「ん。じゃあ、後で代わってもらえるかい?」

結衣「は、はい」

684: cMVCB/0/0  ◆Ujdx7gMvqRAl 2013/09/22(日) 16:50:33.63 ID:2g5fNjlZP
シャッ

八幡「…………」

結衣「ごめんね。ヒッキー、携帯借りるね?」

八幡「………ん…」

結衣「い、いいよ。あたしが出すから。ヒッキーは寝てて?」

八幡「ん……」

結衣「ええと…お母さん…お母さんと…これだ」プルルルル

結衣「………」

結衣「あ、こ、こ、こんにちわ。あ、あたしは…え?いえ、はい、違います。あたしは…は、はい!そうです。この間は突然お邪魔して失礼しました。は、は い、そうです。じ、実はひっき…がやくん、比企谷くんの事なんですけど、はい、そうです。熱を…。え?朝から?はい、はい」

結衣「そうです。今は39度くらい…。え?はい、そうです。39度です。そうなんですか!?はい…はい。そ、それで病院に…え?はい、学校の保健室です。い、いえ、今は昼休みの時間なので…え、はい、はい。いえ、あたしのほうは、はい。大丈です」

結衣「いえ、そんなことは全然!保健室に連れていってくれたのもクラスの他の子で で…は、はい。伝えておきます。あ、それじゃ、保健の先生に代わります。いえ、全然!はい、はい、失礼します。せ、先生!」

養護「はいはい。あ、お電話代わりました。私、総武高校の保健室担当の…え?いえいえ、そんな、これが仕事ですから。はい、はい。ええ、見たところは風邪 に近いとは思うのですが、熱が熱だけに油断は出来ませんので。はい、はい。はい、あ、迎えに。わかりました。でしたら時間まではこちらに寝かしておきます のでー」

685: cMVCB/0/0  ◆Ujdx7gMvqRAl 2013/09/22(日) 16:53:08.52 ID:2g5fNjlZP
シャッ

結衣「………」スタスタ

八幡「………」

結衣「………」

八幡「……こまち…?」

結衣「ううん。あたし、ヒッキー学校来たんだよ?覚えてないの?」

八幡「学校……?そうか……」

結衣「うん。お母さん迎えに来てくれるって言ってたから。だから、もうちょっと我慢してね」

八幡「そうか…」

結衣「うん」

八幡「………すりりんごが食べたい」

結衣「ごめんね?今はないんだ。今度作ってあげるね?」

八幡「……風邪にはすりりんごだろ…」

結衣「ごめんね?だって、ここ学校だから。リンゴとか置いてなくって…」

八幡「………そうか。なんで俺学校来てんの…」

結衣「聞きたいのはこっちのほうだよ、ヒッキー。ヒッキーは自分の体調や安全を第一に考えるんじゃないの?朝から体調悪かったんでしょ?」

八幡「明日…土曜日だからな…」

結衣「どういうこと?」

八幡「2日、顔みれなくなるじゃねえか…」

結衣「顔…?誰のこと言ってるの?」

八幡「小町は知ってるだろ…」

結衣「…だから、小町ちゃんじゃないって言ってるでしょ?」

八幡「……お前あいつと仲いいんだろ。また呼んだら?」

結衣「…自分で誘ってくれたらいいじゃん」

八幡「……いや…風邪なんだよな。風邪移るか…やめとけよ」

結衣「ひ、一人で勝手に言って、勝手に納得しないでよ。馬鹿っ!!ヒッキー、熱でもあるんっじゃないの!?」ピタッ

八幡「………」

686: cMVCB/0/0  ◆Ujdx7gMvqRAl 2013/09/22(日) 16:55:06.09 ID:2g5fNjlZP
結衣「あ、そ、そっか。熱あるのか…」

八幡「…手、気持ちいな…」

結衣「え?ほ、ほんと?」

八幡「ああ…。ひんやりしていい感じだぞ、小町…」

結衣「だから、小町ちゃんじゃないし……ううん、今はそれでもいっか」

八幡「………」

結衣「……お兄ちゃん?なんかして欲しいことある?」

八幡「あー…自分の部屋戻れよ…。移るぞ…」

結衣「やっぱりヒッキーは優しいね。あたしは、もうちょっとここにいる」

八幡「……そうか。……じゃ、手……」

結衣「手?オデコにくっつければいいの?」

八幡「握ってくれ…」

結衣「手!?て、手を握るの?」

八幡「うん…」

結衣「う、うん。わかった。こ、こう?」

八幡「ああ…。……お前、手、ちっちゃくなったか?」

結衣「わかんない。あたしのが手、ちっちゃいのかな?」

八幡「さぁ……握りやすいけどな…このくらいの手の大きさにしとけよ…」

結衣「手の大きさとか、変えられないし」

八幡「………そうだな…」

687: cMVCB/0/0  ◆Ujdx7gMvqRAl 2013/09/22(日) 16:55:54.18 ID:2g5fNjlZP
結衣「………」

八幡「………」

結衣「………」

八幡「…由比ヶ浜…」

結衣「え?何?ヒッキー?」

八幡「………」

結衣「ヒッキー?」

八幡「………」スゥスゥ

結衣「バーカ……」

八幡「………」スゥスゥ

結衣「……おやすみ、ヒッキー。早く元気になってね」ナデナデ

688: cMVCB/0/0  ◆Ujdx7gMvqRAl 2013/09/22(日) 16:56:31.77 ID:2g5fNjlZP
× × ×

平塚「あ、あの…私はこの中に入っていい…と言うか入らなきゃいけないんでしょうか…」

養護「野暮だねぇ、静ちゃんは…」

718: cMVCB/0/0  ◆Ujdx7gMvqRAl 2013/09/24(火) 14:11:16.22 ID:OzwqK8P9P
「まだ」



八幡「………」スゥスゥ

小町「………」シャクシャク

八幡「………」スゥスゥ

小町「………」モグモグ

八幡「……う」

小町「………」シャクシャク

八幡「……ん…ん」モゾモゾ

小町「………」モグモグ

八幡「……こまち?」

小町「あ、お兄ちゃん。起きた。はい、これ」

八幡「…あ?なにこれ」

小町「体温計に決まってるじゃん」

八幡「あー…」モゾモゾ

小町「………」シャクシャク

八幡「………」

小町「………」モグモグ

八幡「……ん」ピピピピ

小町「………」シャクシャク

八幡「平熱だな。もう大丈夫だ」

小町「……ん」モグモグ

八幡「んだよ」

小町「体温計渡して」

八幡「いや、だから平熱だって言ったろ?」

小町「いいから、渡してって言ってるでしょ?」

八幡「………」スッ

小町「んー、37度6分か。結構下がったけど、まだちょっとあるね」

八幡「平熱みたいなもんだろ」

小町「いいから寝るの。お兄ちゃん、朝だってそんなこと言って学校行ったんだから」

八幡「朝は37度ちょいだったんだよ。俺、体温高いし、平熱みたいなもんなんだろ」

小町「いつも36度8分くらいあれば休もうとする人がなに言ってるの?ていうかなんで学校行ったの?」

八幡「……いやお前あれだ。明日休みだろ?ほら、行ける時には行っとかないとな。サボるのはいいけど、出席日数足りなくて留年になるのはシャレにならんだろ」

小町「へぇ、まぁそういうことにしといてあげてもいいけど」

八幡「……なんか含みのある言い方だな」

719: cMVCB/0/0  ◆Ujdx7gMvqRAl 2013/09/24(火) 14:13:21.69 ID:OzwqK8P9P
小町「別にー?普段ほとんど体調崩さない人が体調崩したから、みんな心配したんだよ?」

八幡「みんなっつっても知れてんだろ。親父やお袋なんて俺に関心ないし」

小町「それはお兄ちゃんが知らないだけだよ」シャク

八幡「…どういう意味だよ」

小町「べふにー。…ごく。うちの家族は究極の捻デレさんの家族ってだけ」モグ

八幡「んだよ、それ…。つかお前さっきから何食ってんの?」

小町「リンゴだよ?結衣さんがお見舞いにって持って来てくれたの」

八幡「……じゃあ、なんでお前が食ってんの?」

小町「お兄ちゃんにもちゃんとあるよ?ほら、すりリンゴ。結衣さんがお兄ちゃんにって」

八幡「はぁん。風邪の時はすりリンゴだもんな。あいつわかってんな。……つかあいつ来てたの?」モグモグ

小町「うん。ついさっきまでね」

八幡「………もう帰ったのか」モグモグ

小町「うん。雨降りはじめたから、お母さんが送ってってるところ」

八幡「………お前ら、仲良すぎ…っつか、あいつに甘過ぎなんじゃないの?」

小町「だって、結衣さんがお母さんに連絡とかしてくれたからね」

八幡「あ?そうなのか?」モグ

小町「あ、ちなみに、そのすりリンゴ作ってくれたのも結衣さんだから」

八幡「………。お前、そういうことは先に言えよ。あいつに包丁使わせたの?血とか入ってねぇだろうな」

小町「残念。皮は小町が剥いたからね~」

八幡「あほか。俺は吸血鬼じゃねぇっつうの。あほか。いや、だってお前、このすりリンゴ変色しはじめてんじゃねえか」

小町「誰かさんが、全然起きないからだよ。せっかく結衣さんが持って来てくれたのに、全然起きないんだもん」

八幡「……いやお前、あいつを部屋にあげたの?」

小町「まぁね。あ、でも大丈夫!例の水着写真集は小町が見えないところに隠しといたから。ほら、あのおっきな胸の女の人がいっぱい載ってるやつ」

八幡「いやお前何言ってんの?何言ってんの?このご時勢、そんなもの本で持ってるやつがいるわけないだろ?何言ってんの?」

小町「この前の日曜日の定例オペレーションで見つけてるから、お兄ちゃんに逃れる手はないよ?」

八幡「……いや、なんなの定例オペレーションって。サーチ&デストロイかよ」

小町「デストロイってなんだっけ?」

八幡「破壊だろ、そのくらいわかれよ受験生」

小町「ああ…。サーチはするけど、デストロイはしてないよ。元に戻すだけだよ?ちなみにお母さんからの委託だよ?」

八幡「……最悪だ…。いや、つかそういうこと言ってんじゃないんだよ。移るだろって言ってんの。お前も早く部屋に戻れよ」

小町「いいの。お兄ちゃんは小町に心配させたんだから」

八幡「理由になってないだろ…。しかしなんだよ、このすりリンゴ。固まりみたいなのがゴロゴロしてんだけど?」

小町「じゃあ、食べるのやめる?残りは小町が食べたげる」

八幡「……いや、お前、食うよ。せっかくだし。それにほら、俺すりリンゴ好きだしな」

小町「そうだっけ?」

八幡「そうなんだよ。それにあれだ、これ俺の食いかけだしな。移ったらどうするんだよ。責任もって俺が食べるよ」

小町「ほんと素直じゃないなぁ、お兄ちゃんは」

八幡「何言ってんの。俺ほど素直な人間もいないだろ」

小町「はいはい」

720: cMVCB/0/0  ◆Ujdx7gMvqRAl 2013/09/24(火) 14:16:35.68 ID:OzwqK8P9P
八幡「………」

小町「………」モグモグ

八幡「……まぁ、でも、ありがとな。ずっとついててくれたんだろ?……なんか、ぼんやりとだけど手とか握ってもらえて安心したわ」

小町「?。小町はそんなことしてないよ?」

八幡「あ?あー……じゃあ、夢か…」

小町「あー、でも学校で一緒にいてくれた人がいたみたいだけど?」

八幡「………。いや…それはないだろ。夢だろ、夢」

小町「そういうこと考えてると、お兄ちゃん、また寝れなくなるよ?」

八幡「またってなんだよ。そんなこと一度もねぇっつの」

ガチャ

八幡母「あれ、あんた起きてたの?」

小町「あ、おかえり」

八幡「…何?」

八幡母「何じゃないよ。飲みもん持って来てあげたんでしょ」

八幡「……いや…それはいいけど。なんでコーラなの?」

八幡母「バカだね、あんた知らないの?アメリカじゃ、糖分と水分を同時にとれるからってコーラ飲むの」

小町「あ、小町もそれドラマで見た!」

八幡「別にうちはそんなアメリカかぶれじゃないだろ…。だいたいこれ、ずっと冷蔵庫に入ってたやつでしょ」

八幡母「気が抜けたくらいのほうがゴクゴク飲めるからいいの」

八幡「いや、出かけたならポカリかアクエリアス買ってきてくれればいいだろ…」

八幡母「ああ、そうだ。出かけたといや、あんたもうちょっと頑張んな」

小町「だよねー。小町もそう思う」

八幡「…頑張るって何をだよ…」

八幡母「それは自分で考えることでしょ。どうせあんたこの週末はでかけらんないんだから、時間はあるだろ」

小町「ま、お兄ちゃんの場合、時間があってもなくても同じだと思うけどね」

八幡「うっせ…。つか、明日には熱下がるからいいだろ。いや別に出かける用事はないけど」

八幡母「あんた、色々な人に迷惑かけたんだから、きちんと治しな。こっちはあんたのせいで、明日休日出勤なんだから」

八幡「す、すみません」

八幡母「うむ。んじゃ、さっさと寝な。病人があんま夜更かししてるんじゃないよ」

ガチャ パタン

小町「んじゃ、お兄ちゃん。携帯、枕元に置いておくから」

八幡「いや、なんでだよ」

小町「だって、取りにいくのしんどいでしょ?」

八幡「いやお前、誰もそんなこと言ってないだろ」

小町「はいはい。そんじゃ、お休み~」

バタン

721: cMVCB/0/0  ◆Ujdx7gMvqRAl 2013/09/24(火) 14:25:51.03 ID:OzwqK8P9P

ネェ、オカアサン。ユイサントナニハナシタノ

アア、アノコ『ーー』トカイッーネ。ジブンデーイッテカオマッカニーンノ。カワイイネ、アノコ

ネ?コマチノイッートオリデショ?




八幡「はー……」

八幡「………」

八幡「お前おふくろに変な…いやこれは…。あー…俺は変なこと言わなかったか?…か?いや…ないな。…削除削除…」カチカチ

八幡「………今日はリンゴありがとう…か?いや…色々助かったわ、ありがとな、くらいのがいいか?いや、長過ぎる?……そうでもないか」カチカチ

八幡「最後は疑問系は露骨すぎるか?…いやでもな…」

八幡「……つか、なんなんだよ。俺は病人なんだぞ。寝れなくなんだろ。なんなんだよ」ボリボリ

733: cMVCB/0/0  ◆Ujdx7gMvqRAl 2013/09/25(水) 02:42:28.43 ID:he2x9AmqP
「せっかく」



八幡「あー……」

八幡「………」

八幡「……よし」プップップップ…トゥ

八幡「…いやいやいやいや…」ピッ

八幡「あー……」ボリボリ

八幡「……よし」

八幡「………」

八幡「………」

八幡「いやいや、後一回押すだけだろ」

八幡「あー……」

八幡「………」

八幡「…あれだ。色々、世話になったしお礼言うのは当然のことだろ。ほら、俺って礼儀正しいし、よくしつけられてるし」

八幡「………」

八幡「……よし」プップップ

八幡「……五回ならして出なかったら切ろう…」ップップ

八幡「………」トゥル…

結衣「ひ、ヒッキー!?」ガチャ

八幡「うおっ、ゆひっ、んんっ……おう、由比ヶ浜か?」

734: cMVCB/0/0  ◆Ujdx7gMvqRAl 2013/09/25(水) 02:43:57.33 ID:he2x9AmqP
結衣「ヒッキー…よかったぁ。声、まだ枯れてるけど、ちょっと元気そうだね?」

八幡「おう。おかげさまでな。もうほとんど平熱だ。てか、よくわかったな」

結衣「うん、ヒッキーの声はよく聞いてるし」

八幡「人の声聞いてんじゃねえよ…」

結衣「ち、違くて!ぶ、部活とかで一緒だから…」

八幡「そ、そうか。つかお前ワンコールで電話出るなよ。ビビっただろ」

結衣「だって、そ、その、ヒッキーにメール送ろうと思って携帯握ってたから」

八幡「……別に、送ってくれりゃ良かっただろ…」

結衣「だ、だって、着信音で起こしちゃったらいけないって思って…」

八幡「……別にバイブにしてるから、気にすんなよ」

結衣「そ、そっか。じゃあ、送れば良かったかな…。あ、ごめん。ちょっと待って?……ちょっと!パパうっさい!あたし電話中でしょ!?え?ちょ、ち、違うし!なに言ってんの!?ご、ごめんヒッキー。ちょっと部屋もどるね?」

八幡「お、おう」

結衣「じゃあ、ごめんね。ママ。あとよろしく。え?う、うん?つ、伝えとく、う、うん、ありがと」

八幡「………」

結衣「……ふー。ごめんね、ヒッキー。お待たせ?」

八幡「おう」

結衣「………」

八幡「………」

結衣「な、なんの話してたんだっけ…」

八幡「あー、いや、あれだ。今日はその色々……助かったわ」

結衣「そ、そんな全然!あたしが勝手にしただけだし!」

八幡「いや、それでも、助かったよ。色々迷惑かけてすまん」

結衣「迷惑だなんて、そ、そんなこと…全然…」

八幡「あー……」

結衣「………」

八幡「そうだよな……。あー……こういう時は……。その、まぁ、なんだ?あー…、あー、まぁ、その、あれだ…あ、ありがとう」

結衣「ヒッキー…!う、ううん!どういたしまして!」

八幡「………」ボリボリ

735: cMVCB/0/0  ◆Ujdx7gMvqRAl 2013/09/25(水) 02:45:50.69 ID:he2x9AmqP
結衣「…でもヒッキーから電話かけてくれるなんて思わなかった。ちょっとびっくり、へへ…」

八幡「ほら、だって、お前。あれだ。リンゴ美味かったしさ、礼は言わなきゃだろ。俺は育ちがいいからな」

結衣「あ?リンゴ食べた?美味しかったでしょ!あれね、長野にあるパパの知り合いが毎年送ってくれるやつなの」

八幡「青森じゃなくて?」

結衣「うん、青森じゃなくて。あのね…げ、げん…減…減なんとか…」

八幡「減農か?農薬あんま使わないやつだろ?」

結衣「あ、それそれ!だからか知らないけど、すっごく美味しいでしょ?」

八幡「だな。すりリンゴも美味かったわ。ちょっと固まりがゴロゴロしてたけどな?」

結衣「う、が、頑張ったんだけど…」

八幡「……いや、別に、それが悪いなんて一言も言ってねぇだろ。ほら、たまに食感があるからなんとなくお得な感じだしな」

結衣「そ、そう?よ、良かった…」

八幡「しかしあのリンゴはヤバいわ。すげー甘いし。お前ああいうの好きそうだよな?」

結衣「うん!大好き!!」

八幡「………」

結衣「?。ヒッキーどしたの?」

八幡「……え?なんだって?」

結衣「へ?何が?」

八幡「いや、悪い。今、電波悪くてよく聞こえなかったわ。なんだって?」

結衣「え?そう?大好き!!って言ったんだけど」

八幡「ああ、なるほどな。そうか…。俺も好きだわ、リンゴが」

736: cMVCB/0/0  ◆Ujdx7gMvqRAl 2013/09/25(水) 02:46:28.35 ID:he2x9AmqP
結衣「そっか!あ、じゃあ、また送ってもらえるって言ってたから、その時はおすそわけするね?形はいまいちだけど、凄く美味しいから!」

八幡「そ、そうか?じゃあ…楽しみにしとくわ」

結衣「うん!…あ、そ、その時なんだけど…」

八幡「あん?」

結衣「ヒッキー、紅玉って知ってる?」

八幡「ああ、あの酸っぱいやつだろ?アップルパイとかに使う奴だ」

結衣「ヒッキー良く知ってるね!?」

八幡「ああ、美味しんぼにでてたからな。それがなに?」

結衣「う、うん。その紅玉なんだけど、甘いやつと一緒に送ってもらえて、さ」

八幡「だから?」

結衣「だ、だから、そ、そのアップルパイのことなんだけど。ママが作るの得意で、毎年作ってるんだ。それで去年も二人で作ったんだけど」

八幡「本当は?」

結衣「ほ、ほとんどママが作って、あたしはちょっと手伝っただけ…。じゃなくて、そこはいいでしょ!?」

八幡「………」

737: cMVCB/0/0  ◆Ujdx7gMvqRAl 2013/09/25(水) 02:47:26.13 ID:he2x9AmqP
結衣「だ、だから、こ、今年も作るから…その、食べてくれる?」

八幡「あー……」

結衣「………」

八幡「じゃあ、もらうわ。……まぁ、せっかくだし」

結衣「ほんと!?」

八幡「おー。あれだ、俺そういう本格的なのあんま食ったことないんだよ。それにほら、せっかくだしな」

結衣「へへ…。そっか。なんかせっかくだしって言葉がいい言葉みたいに聞こえてきた」

八幡「まぁ、実際便利だぞ?お前も使えば?せっかくだし」

結衣「そうだね、せっかくだし。へへ…」

八幡「おう。…つか、じゃあそろそろ、切るわ。あんま起きてると、お袋にどやされるからな」

結衣「あ、うん。ゆっくり休んで早く元気になってね?」

八幡「別にもう良くなってるよ。ただの用心のためだよ。心配すんな」

結衣「そっか。でも、声聞けてよかった。ヒッキー電話してくれてありがとね?」

八幡「……礼を言うのはこっちだろ。んじゃ…またな」

結衣「うん、おやすみ」

プツッ ツーツー

八幡「………」

八幡「ま、声くらい聞かないとなんのためにせっかく学校に行ったのかわからなくなるし…な」

八幡「………」ボリボリ

八幡「さっき打ったメールも一応送っとくか…。そのせっかくだし…」

779: cMVCB/0/0  ◆Ujdx7gMvqRAl 2013/09/26(木) 13:57:47.06 ID:IVrIudAxP
「ぐうかわ」



結衣「ねぇ、ヒッキー!ゆきのん?オフサイドってなに?」

八幡「あー?」

雪乃「なぜいきなりそんな話…」

結衣「ほら、昨日パパがサッカー見ててさ、あたしも一緒に見てたの!」

八幡「あん?昨日サッカーの試合なんかやってたっけ?」

結衣「ほら!日本の選手が出てるのあるじゃん!」

八幡「Jリーグは日本選手ばかりだろ。なに言ってんの?」

結衣「違くて!ほら、県の名前の人がいるじゃん!一人だけ日本人なの!」

雪乃「…ああ、それはイングランド・プレミアリーグのことを言っているんじゃないかしら。マンチェスター・ユナイテッドのことよね」

結衣「それそれ!」

八幡「ああ、香川な。それくらいなら俺も知ってるわ。てかお前なんでそんなに詳しいの?サッカー好きなの?」

雪乃「別に。ただ、昔、短期でホームステイをしていたご家族が熱心なサッカーファンだっただけよ」

八幡「にしてもちょっと…いや、まぁいいけど。つか、オフサイドなんてあったのか?昨日の試合?」

結衣「ううん。なかった…と思うよ?ただ、見てる途中でパパが、もしサッカーにオフサイドがなかったら…あれ、なんだっけ?えーと…つまらないゲームになる?とかなんとか語ってたの」

雪乃「あなた、それさっきの説明必要だったかしら?まったく不要な前振りだったように思うのだけれど」

結衣「ええ?だって、ほら、実例をあげる?ほうがわかりやすいかな?って思って」

八幡「いや、お前それ実例としてあげきれてないから。まぁ、由比ヶ浜の説明下手は今に始まったことじゃないからいいけど」

結衣「ちょっと!」

780: cMVCB/0/0  ◆Ujdx7gMvqRAl 2013/09/26(木) 13:58:46.33 ID:IVrIudAxP
雪乃「けれど、お父様が言い出したのなら、直接聞いてあげればよかったじゃない」

結衣「だって、パパに説明してもらってもなに言ってるかよくわかんないんだもん」

八幡「そんなこと言ってやるなよ…。それ絶対、お前と話したくて話を振ったんだぞ…。まぁ、確かにあのおっさん説明は下手そうだけどな…」

結衣「へ?どういうこと?うちのパパ知ってるの?」

八幡「ああ、いや、すまん。こっちの話、で何の話だっけ?」

結衣「オフサイドって何かって話だしっ!」

八幡「ああ、そうか…あれだ。英語でもちろんって意味だろ」

結衣「それはオフコース!!あたしだってそれくらい知ってるし!!」

八幡「んじゃあれだ。道路じゃないところ、走るやつ」

結衣「オフロード!!」

八幡「あれだ。古本を売りにいく」

結衣「それはブック・オフでしょ!?どんどん遠くなってるし!!」

八幡「いや、でもあれだ。お前よくオフロードわかったな。絶対通じないと思ってたわ」

結衣「ふっふーん。うちのパパがオフロードのバイク持ってたからね!」

八幡「バイクかよ。いちいち期待を裏切らねえな。お前の親父さん」

雪乃「……漫才なら別のところでやってもらえるかしら」

結衣「ああ!ご、ごめんゆきのん!」

雪乃「別に、あなたに怒っているわけではないから、安心してくれていいわよ。由比ヶ浜さんは」ニコリ

八幡「その由比ヶ浜を慰めながら俺をなじる特殊能力を発動させるのやめてくんない?」

雪乃「別に普段通りだけれど」

八幡「それはわかってるけどよ…」

781: cMVCB/0/0  ◆Ujdx7gMvqRAl 2013/09/26(木) 13:59:46.45 ID:IVrIudAxP
結衣「あ、それでオフサイドってのはなんなの?ヒッキー?」

八幡「あー、あれだ。サッカーの反則の一つだよ」

結衣「それで?」

八幡「いや、俺もよくは知らん」

結衣「ちょっとヒッキー!?」

雪乃「オフサイドというのはサッカーに置ける攻撃側のポジションに関する反則のことよ。簡単に言えば相手の防御側の選手がいない状況で、攻撃側の選手が味方からパスを受けると反則をとられてしまうのよ」

結衣「おお、なるほど~」

雪乃「確かに熱心なサッカーファンの間では、オフサイドがなくなるとゴール前での待ち伏せが横行して、スピード感がなくなるだろう、という指摘もあるのよ。だから、あなたのお父様のいうことも間違っているとはいないと思うわ」

結衣「そうなんだ。あたし、いつもみたいにパパが知ったかぶりしてるだけかと思ってた!」

八幡「知ったかぶりとか言ってやるなよ。可哀想だろ…」

結衣「ていうか、知ったかぶりと言えばヒッキーも!なんで知ったかぶりすんの!?」

八幡「いや、俺は知ったかぶってねぇだろ。答えをよく知らないから、適当にはぐらかしてただけじゃねえか」

結衣「もっと悪いし!!」

789: cMVCB/0/0  ◆Ujdx7gMvqRAl 2013/09/26(木) 15:50:30.57 ID:IVrIudAxP
八幡「いや、そもそもだな。俺はどっちかって言うと野球のほうが好きなんだよ」

結衣「そうなん?」

八幡「ああ。野球の場合はするのも結構得意だぞ?千葉マリンスタジアムで戦えば、多分結構いい成績を残すと思うぞ?大岡あたりが俺を助っ人として呼ばないのが不思議なくらいだ」

結衣「どうせ呼ばれてもヒッキー行かないでしょ!?」

八幡「まぁな」

雪乃「そもそもあなたの場合、団体行動ができないのだから。チームプレイが必要な野球なんて論外じゃない」

八幡「まぁな。否定する気も起きないくらい正論だわ。でも、俺の場合パンさんの野球ゲーム見て、パニキとか言っちゃうくらいには野球好きだぞ?」

結衣「なにそれ意味わかんないし…。あ、でもうちのパパもノーパソいじりながら野球見てる時とか、なんとかニキってよく言ってるかも」

八幡「親父さんなんJ民でもあんのかよ。あちこち出没しすぎだろ…。ていうかリアルで口にするとか痛いな…」

雪乃「比企谷くん」

八幡「あん?」

雪乃「さきほどの話は、後で詳しく聞くわ」

八幡「あん?……ああ、パンさー」

雪乃「『あとで』詳しくきくわ」

783: cMVCB/0/0  ◆Ujdx7gMvqRAl 2013/09/26(木) 14:03:20.55 ID:IVrIudAxP
八幡「お、おう…。あぁ…ま、まぁ、でもあれだな。それだと、ぐうかわとか言ってそうだな」

結衣「あ!よくわかったね!この前も、入学式の時の写真みながらそれ言ってた。雑誌とか見て覚えたんだろうなー」

八幡「あ?なに言ってんの?ぐうかわっつうかぐうなんとかって言葉はネット発祥だぞ?」

結衣「そうなの!?」

八幡「ああ、元々は野球の実況中継。まぁ、野球みながら今のプレイはどうだったとか言い合う掲示板だな、が元に使われ出したんだよ。雑誌とかが真似して使い始めただけだ」

結衣「そうなんだ…。雑誌とかが作った言葉かと思ってた…」

雪乃「ぐ…ぐう?……いったいなんなのかしら。それは」

結衣「ぐうかわだよ。ゆきのん!すごく可愛いって意味で使うの!」

雪乃「すごく可愛い…。それがなぜ、ぐうになるのかしら」

結衣「え……。なんでだろ。よくわかんない」

八幡「ぐうの音もでない、のぐうだよ。後半部分の言葉にかけて使う感じだな。この場合はぐうの音もでないほど可愛いっていう意味だ」

雪乃「……なるほど。それはどんな言葉でもいいのかしら」

八幡「相手の事を表す言葉ならな」

雪乃「ふむ。けれど、それならお父様があなたの写真を見てぐうかわと言ったのはも、まったくもって間違いではないのではないかしら。あなた本当にぐうかわだもの」

結衣「ゆきのん!!」

八幡「だな。ぐうかわだな」

結衣「ヒッキー!?」

雪乃「あなたと来たら、ぐうの音もでないほどかわっているもの。性格的な意味で」

結衣「ゆきのん!?」

八幡「ほんと、ぐうの音もでないほどかわいそうだよな。主に頭が」

結衣「ちょっと!!ヒッキー!?もう!二人とも馬鹿にしすぎだからぁ!!」

雪乃「いえ、馬鹿になんてしていないわ。その、あなたはいい意味でかわっていると思うもの。自分の意見もはっきり言うようになっているし、そ、その、私とも仲良くしてくれるのだし…」

結衣「ゆ、ゆきのん…ゆきのん!」

雪乃「だ、抱きつかないでもらえるかしら。暑苦しい」

八幡「まぁ、俺もそんな感じだな。ほら、遠回しに褒めたんだよ」

結衣「ヒッキーのそれは絶対嘘だしっ!!ホントに、馬鹿にしすぎだからぁ!!」

818: cMVCB/0/0  ◆Ujdx7gMvqRAl 2013/09/28(土) 10:39:07.04 ID:ll524y/FP
「やらしい」



結衣「あ、お待たせー!」

??「おう」

結衣「ごめんね、また待たせちゃった?」

??「いや、待ってないぞ?今来たところだ」

結衣「そ、そう?それなら良かった」

??「んで?どうすんの?」

結衣「うん、えっとね…てか、聞いていい?」

??「あん?」

819: cMVCB/0/0  ◆Ujdx7gMvqRAl 2013/09/28(土) 10:40:22.05 ID:ll524y/FP
結衣「なんで、小町ちゃんそんな喋り方なの?」

小町「………。いやー、最近買い物とか、お出かけとかー小町ばっかりいい思いをしてるもので、結衣さんにもいい思いをしてもらいたいと思いまして!」

結衣「そ、それがなんでヒッキーのモノマネになるし!」

小町「またまたー、結衣さんったらわかってるくせにぃ」

結衣「もう、こ、小町ちゃん!」

小町「あ、それでどうします?直接雪乃さんの家に行きますか?」

結衣「え?ううん、駅前のケーキ屋さんよってこ?ゆきのん、あそこのケーキ好きなんだよ?」

小町「へぇ!そうなんですか?雪乃さんってあんまりそういう食べ物の好みとか言わないと思ってました!」

結衣「うん、あんまり口にはださないんだけどね。ゆきのん、好きなものがあると、いつもにまして静かになって黙々と食べるんだよ!」

小町「ゆ、雪乃さん可愛い…ああ!小町的にはどうしたらいいのかすごく悩みます!」

結衣「こ、小町ちゃん!?」

小町「まぁ~?誰かが早く決めてくれないと?小町にできることは出来る限り可能性を広めるしかないんですけどぉ」チラッ

結衣「こ、小町ちゃん…。あ、そ、そういえばヒッキーは今日何してるの?」

小町「あ、お兄ちゃんなら今朝から必死で部屋の片付けをしてましたよ」

結衣「片付け?へぇ~、ヒッキー意外と真面目!この前、あんなに散らかってたのに」

小町「そうなんですよ。ちょっと目を離すと足の踏み場もなくなっちゃうんですよねー。でも小町のカマ掛けが聞いたみたいです!」

結衣「カマ掛け?小町ちゃんなに言ったの?」

小町「あれです。ほら、お兄ちゃん、写真集を隠し持ってたんですよ。ほら、この辺が豊かな」

結衣「この辺?どういうこと?」

小町「…っち。これじゃ伝わらなかったか…。ほら、あれです。水着の女の人の写真集ですよぅ。絶対持ってると思ってたら、ばっちりでした」

結衣「み、み、み、水着!?ひ、ヒッキーやらしい…」

820: cMVCB/0/0  ◆Ujdx7gMvqRAl 2013/09/28(土) 10:42:58.62 ID:ll524y/FP
小町「おんや~?結衣さんはやらしい、お兄ちゃんは嫌ですか?」

結衣「そ、それは…そ、そのひ、ヒッキーだって高校生の…その、男の子だし。しょ、しょうがないとは思うけど…」

小町「おお、さすが結衣さん。理解がある!これはポイント高いですよ?」

結衣「ほ、ほんと?だ、だってさ、しょうがないよ。あ、あたしだって、そ、そのちょっとやらしいこと考えちゃうもん」

小町「ほほう?それは興味深いですねぇ!ぜひ小町に、どういうことか聞かせてくださいよぅ!」

結衣「そ、それは、だ、だってぇ」

小町「うへへへへ、何を隠しているんだい。恥ずかしがらずに見せてごらん」

結衣「なんか変なおじさんがいるしっ!!」

小町「まぁまぁ、ちゃんと秘密にしておきますから!」

結衣「ほんとに?」

小町「ええ、ほんとです!」

結衣「ううん……。うん、わかった」

小町「やった!」

結衣「そ、そのさ…」

小町「………」ドキドキ

821: cMVCB/0/0  ◆Ujdx7gMvqRAl 2013/09/28(土) 10:44:46.56 ID:ll524y/FP
結衣「ほ、ほら、て、手とかつなぎたくなっちゃうし…」

小町「………。はい?」

結衣「だ、だから手!」

小町「………え?やらしいことの話でしたよね?」

結衣「そ、そうだけど」

小町「え?これ、小町がおかしいんですか?だってただ手握るだけですよね?そのくらいなら小町もよくお兄ちゃんとしてますよ?」

結衣「こ、小町ちゃん!兄妹でとか!やらしすぎ!!」

小町「ええ~…?」

結衣「だ、だってさ。そ、それに普通のじゃないんだよ!?ほ、ほら!こういうの!」

小町「あー…恋人つなぎ…」

結衣「そ、それにそれだけじゃないし」

小町「はぁ」

結衣「腕とかも組んでみたいなーとかって、そ、そのチラチラ見ちゃったり、するし…」

小町「はぁ。それはそれは…。でも、どの辺がやらしいって思うんですか?」

結衣「だ、だって!くっつくんだよ!?ありえなくない!?」

小町「………。結衣さんってそういうの大丈夫そうなイメージがあったんですけど」

結衣「だってぇ。自然とくっつくのと、意識してくっついたり、手をつなごうとしたりするのってぜ、全然ちがくない?」

小町「はぁ。というか結衣さん、そんなことでいざって時大丈夫ですか?」

結衣「いざって時って?」

小町「そういう雰囲気の時です」

結衣「そ、そういう雰囲気って!こ、小町ちゃん!!」

小町「まぁまぁ」

結衣「う、うう…で、でもそれは、そ、その、ひ、ヒッキーなら大丈夫そうかなー、な、なーんて…」

小町「なるほどぉ。まぁ、小町はぁ、一言もお兄ちゃんとは言ってないんですけどぉ」

結衣「ちょ、ちょっと小町ちゃん!?か、からかわないでよぉ!」

小町「いやいやいやいや」

結衣「ちょ、ちょっと小町ちゃん!ニヤニヤしないでってばぁ、馬鹿にしすぎだからぁ!!」

844: cMVCB/0/0  ◆Ujdx7gMvqRAl 2013/09/29(日) 17:30:16.81 ID:cNTJztyuP
「おひげ」



結衣「あれ?ヒッキーあごになんかくっついてない?」

八幡「あん?……ああ、ちょっと髭のびてんな。あー、こんとこ剃るの忘れてたわ」

結衣「………え?」

八幡「あん?」

結衣「………」

八幡「いや、なんだよ。急に黙り込んで……。なんだよ、その顔…」

結衣「……ヒッキーなんで髭が生えてるの?」

八幡「は?いや、髭くらい生えるだろ。そりゃ、俺はまぁ薄いほうだけど、それでも何日かにいっぺんくらいは剃ってんぞ?」

結衣「………」

八幡「…だから、なんなんだよ……」

結衣「ヒッキーってさ…本当は何歳なの?」

八幡「あ?いや、だからこの前の8月で17になったつうの。お前も知ってんだろ」

結衣「だからそれが嘘だって言ってるんでしょ!?嘘つかないで教えてよ!」

八幡「いや、だからなんでそうなるんだよ。芸能人じゃないんだからさ、年齢ごまかしたって意味ねぇだろ」

結衣「だって!ちっちゃい頃パパになんでお髭が生えてるかのか聞いた時、お酒も煙草もお髭も大人になってからだって言ってたもん!!」

八幡「……いや、だから?」

結衣「だから!お酒も煙草も二十歳からじゃん!!」

八幡「いや、それはわかってるけど。それが髭と何の関係があんだよ?」

結衣「だから!!お髭も二十歳からでしょ!?」

八幡「あ?あー……。あ?」

結衣「………」

八幡「え?なに?お前まさか、二十歳にならないと髭が生えないとか言ってんの?」

結衣「だから、そう言ってるじゃん!!」

845: cMVCB/0/0  ◆Ujdx7gMvqRAl 2013/09/29(日) 17:31:34.67 ID:cNTJztyuP
八幡「………。はぁ~あ……」

結衣「……あ、あれ?あたしなんか変なこと言った?」

八幡「まぁ、今日は特にひどいな」

結衣「ちょ、ちょっと!」

八幡「そもそもだな。髭は二十歳じゃなくても生えんだよ」

結衣「え!?そうなの!?」

八幡「当たり前だろ、なに言ってんの?だいたい、千葉とか行きゃたまにアホな高校の奴とかで髭伸ばしてるやつ見かけるだろ」

結衣「あ、あたし、ああいう人たちってみんなダブってるのかと思ってた…」

八幡「アホか。葉隠くんじゃないんだからさ、そうそう高校生で3留とかするやついないだろ」

結衣「あ、そ、そっか…。てか葉隠くんて誰だし…」

八幡「まぁ、仮にその手のアホが3浪してるのはありえたとして、優秀な俺が三浪するのはありえないだろ」

結衣「ううん……そ、そっか…」

八幡「だいたい、俺が年齢ごまかしたりとか、その手の嘘付くわけねえだろ?どんだけ付き合ってんだよ」

結衣「え!?つ、つき!?」

八幡「あ?あ、い、いや。あれだぞ、どれだけ知ってるかって話だぞ?」

結衣「あ、う、うん。そ、そだよね。び、びっくりした」

八幡「………」

結衣「………」モジモジ

八幡「……まぁ、あれだ。俺が高校2年って言ってたのに、実はおっさんでした!なんてやったら禁じ手みたいなもんだしな?」

結衣「あ、それ懐かしい!なんだっけ…えーとじょじょじゅなんとか」

八幡「叙述トリックな。惜しいように聞こえて最初の一文字しかあってねぇからな。それ」

結衣「……ご、ごめんね、ヒッキー。………なんかあたし、今日は馬鹿だ」

八幡「いや、馬鹿。今日に限ったことじゃねえから。安心しろ馬鹿」

結衣「ちょっと!!何度も言わないでよ!!馬鹿にしすぎだからぁ!!」

846: cMVCB/0/0  ◆Ujdx7gMvqRAl 2013/09/29(日) 17:32:35.86 ID:cNTJztyuP
八幡「いや、今日ばかりは仕方ねぇだろ。お髭は二十歳から、とかゴールデンタイムに酒のCM流すテレビ局でもやらねぇぞ」

結衣「う、うう…」

八幡「だいたい、あれだ。お前と雪ノ下だって身体的な特徴には差があんだろ。人間つか、生き物には個体差ってもんがあんの。そもそも身体的な大人と、法的な大人は同じじゃないしな」

結衣「そうなの?」

八幡「だってお前、女は16で結婚できるじゃねえか。まぁ、これも法律ではあるけど、ようするにその時点で子孫を残せる…生物として成熟してるって判断されてるってことになんじゃねえか」

結衣「え!?そうなの!?16で!?じゃあ、あたしもう結婚できるの!?」

八幡「まぁ…法律的には、な。つか、これくらい中学で習ったろ、なんで覚えてねぇの?」

結衣「あ、あれ?そうだっけ?」

八幡「ま、この辺はただ単にこの法律を作った時の政治家が、16歳の女の子と結婚したかっただけかも知れんけど」

結衣「ロリコンだ!?」

八幡「いや、意外にそういう線もありそうな気もするんだよな」

結衣「……けど、そっか。あたし結婚できるんだ……。そ、その、ヒッキーは?」

八幡「……いや、だから中学でやったろ。男が結婚できんのは18からだよ」

結衣「え!?なんで結婚できる年齢に差があるの!?」

八幡「俺が知るかよ。あれだ、男子高校生と結婚したい政治家はいなかったんじゃねえの?」

847: cMVCB/0/0  ◆Ujdx7gMvqRAl 2013/09/29(日) 17:37:43.83 ID:cNTJztyuP
結衣「ちょっと!ほんと適当だしっ!!………で、でもそっか。来年になったら、け、結婚できるんだ」

八幡「………いや、まぁ、法的にはな。つかお前、来年は受験だし、もっと他に気にすることあんだろ。今日の話聞いてたら、マジで不安になってきたわ」

結衣「う……。そ、それはそうかも……。あたし、ヒッキーと同じ大学行きたいし、頑張んないと…」

八幡「………」

結衣「……あ、あのさ、ヒッキー?そ、その、あたし、べ、勉強できないし…教えてくれる?」

八幡「つってもな……。得意科目の国語は教えようがないし、数学とかは、むしろお前のがいいくらいだしな」

結衣「そっか……」

八幡「………」

結衣「………」

八幡「………」ボリボリ

結衣「………」

八幡「あー……でも、あれだ。まぁ、その私立文系対策ってことなら多少は教えられるかも、な」

結衣「ほんと!?」

八幡「ま、つっても英語の文法と、歴史の語呂あわせの作り方くらいだけどな。あれだ、ほら、人に教えるのも意外と復習にはいいって聞くしな。俺友達いないから、そのへん試せたことないんだよ。その実験っつーことでいいならだけど」

結衣「うん!!それでもだいじょぶ!!あたしがんばる!」

八幡「ん、なら今日からできるレッスン1。お前、親父さん言う事すぐ信じんのやめろ」

結衣「わかった!!今日からパパのことシカトするね!!」

八幡「ちょっと!それはやめたげてよぉ!!やりすぎだからぁ!!」

885: cMVCB/0/0  ◆Ujdx7gMvqRAl 2013/10/02(水) 14:12:08.20 ID:YDK10jeOP
「おけしょう」



結衣「ねぇ、ヒッキー昨日のあれ、見た?」

八幡「あー?いや、俺は最近テレビとかまったく見ないからな。アニメ以外は」

結衣「そっかー」

八幡「何かあったのか?」

結衣「ううん、昨日さ。あの女装してる人が出ててさ。……えと、ほらこの人」

八幡「あ?あー、こいつは女装じゃなくてオカマなんじゃねえの?」

結衣「そうなの?声とか普通におっさんじゃん」

八幡「いや、オカマってそういうもんなんじゃねえの?手術してたりする人のほうが少ないんじゃないか?知らんけど」

結衣「そうなんだ。でもさ、でもさ、最近こういう人たちをテレビで見る機会増えたよね?」

八幡「あー、まぁ、そうかもな。つっても比較できるほどに知ってるわけじゃねえけど」

結衣「ううん、どうしてそういう人が出てくるの増えたんだろうね?」

八幡「まぁ、良くも悪くもネタにして笑えるだけの土壌が整ってきたつうことじゃないか?」

結衣「どういうこと?」

八幡「いやこれは個人的な意見だけど、過度に気を使って言葉狩りみたいになんのもまた、方向性は違うけど差別だと思うんだよな。特別枠設けたり、車両をわけてみたりだな。本当に同質だっつうんなら、条件も同一にしなきゃおかしいだろ」

結衣「でもそれは仕方ないことなんじゃないの?」

八幡「いや、腕力がない人間が肉体労働できないのと同じでさ。能力に応じてやれることが決まるなんてのは、普通にあることじゃねえか。そういうのは適材適所っていう奴だろ」

結衣「ううん…そうなのかなぁ…あたしはなんか違うような気がするんだけど…」

八幡「まぁ、というわけで俺は適所である専業主夫にぜひ就職させて欲しい!ってやつだな」

結衣「結局そこに持ってきたかっただけでしょ!?」

886: cMVCB/0/0  ◆Ujdx7gMvqRAl 2013/10/02(水) 14:13:00.25 ID:YDK10jeOP
八幡「まぁ、つうかだな。あの手の人をテレビの人間が使うのは、単に単価が安い割に笑いがとれる。要するにコスパがいいってことなんだろうな。いい方は悪いが女の格好したおっさんが普通のことしてても、それで笑える人間ってのもいるんだろうし」

結衣「そっかぁ…。まぁ、女装ってテレビとか学祭とかで定番だもんね?」

八幡「そういうのと一緒にしたら怒られそうだけどな。まぁ、誰しも変身願望ってのがあるもんなんじゃねえの?自分から率先してはやらないけど、そういう場なら誘われたからノリでみたいな言い訳もつくしな」

結衣「確かに!ヒッキーも興味あるの?」

八幡「いや、この流れで興味あるって言ったらただの変態だろ」

結衣「あはは、それはそうだよね」

八幡「まぁ、でもあれだな。女装はともかく俺が女になったらやばいぞ、実際」

結衣「え~?そう?」

八幡「ばっかお前、黒髪、アホ毛の文学少女とかモテる要素しかないだろ。これでモテないのなら、お前らが悪い」

結衣「お前らって誰だしっ!てか、お化粧どころかトリートメントもしないし、服はレまむらかうにくろでしょ!?その上、眼まで腐ってるんじゃ女子力0じゃん!」

八幡「いや、トリートメントはしてるぞ?小町と同じ匂いに包まれてると、暖かな気持ちになれるしな…」

結衣「それマジできもいし!!」

八幡「つかお前だってあれだろ。女子力たったの5だろ。……ゴミめ」

結衣「ちょっと!!」

八幡「それにさ、化粧はいいだろ。化粧は。別にしなくても」

結衣「ええ~?そう?でも、みんなしてるよ」

八幡「みんなって誰だよ。どうせ三浦とか、あー……相楽?とかその辺だろ」

結衣「姫菜だってしてるよ?」

八幡「え!?嘘!?マジか?」

結衣「驚きすぎだしー、っても軽く乗せただけの超ナチュラル系の薄い奴だけどね。男の子は気づかないかも」

八幡「そうなのか…女怖えぇな…知ってたけど。まぁ、そもそも海老名さんの顔とかまじまじ見た事なんてないからな。わかるわけねぇんだけど」

結衣「そ、それはなくていいんだけどさ…」

八幡「なら、あれだ。それでも雪ノ下とか小町とかは化粧してないだろ?……してないよな?」

結衣「あー、その二人はしてないかも」

八幡「よかった…。これで小町まで化粧してるとか言われたら誰も信じられなくなるところだったわ」

結衣「出た。シスコン」

八幡「いや、シスコンとかじゃなくてだな。一番身近な異姓に裏切られるってのはきついだろ?」

結衣「その言い方もっとひどいし!!きもいし!!……てかその分け方でも小町ちゃんが一番なんだ…」

八幡「…いや、まぁ、ほら。一緒の家で暮らしてるしな?飯もよく作ってもらってるし、お袋以上に近いのは事実だろ。そういう意味だよ」

887: cMVCB/0/0  ◆Ujdx7gMvqRAl 2013/10/02(水) 14:14:26.71 ID:YDK10jeOP
結衣「ふーん……。…まぁ、いいけどー。てかヒッキーはお化粧してないほうが好きなの?」

八幡「まぁ、あれだ。すっぴんのがいい時期なんて短いんだからさ、それ生かしたほうがいいんじゃないか?」

結衣「そ、そっか……ううん……。でも確かにゆきのんはお化粧してないもんね。なのに超綺麗だし」

八幡「まぁな。あいつはある意味チートみたいなもんだろ。むしろ、化粧したら邪魔なくらいじゃないか?」

結衣「あー、そうかも。お肌とかツルツルだし睫毛とか何もしてないのにクリっとしてるし。しかもすっごくモテるよ?」

八幡「そらそうだろうな」

結衣「この前もさ。一緒に帰ってたら呼び出されてたし。一分もかからず戻ってきてたけど」

八幡「瞬殺もいいところだな…。ま、そもそもあれでモテないわけがねぇだろ」

結衣「………ヒッキーもそう思うの?」

八幡「そらそうだ。最近は黒髪自体が希少種な上に、好きな男は少なくないからな。黒髪ロングにすっぴんで、それでいてあれほど整った顔ときたら、ある意味 男の……、まぁ、さらに言やちょっとオタクが入った男の理想型みたいなもんだからな。あの暴言でさえ、人によっちゃご褒美になりうるし」

結衣「ちょっとオタク……ヒッキーもゆきのんみたいなタイプ好きなの?」

八幡「あー、まぁ見た目でいやなぁ」

結衣「そうなの!?」

八幡「あれだ。正直まったく関わりもないのに、雪ノ下がJ組の生徒だって知ってたくらいには、な。あれほどほど目立つ存在もいないし、アニメとかでもああいう黒髪ロング系は好きだしな」

結衣「そう…なんだ……」

八幡「………」

結衣「………」

八幡「………」

結衣「………」

八幡「…いや、まぁ、その、あれだ。直接話したら、あまりに性格が悪すぎて、最初の一回でそんなもの一瞬で吹き飛ぶくらいだったんだけどな!!」

結衣「……。…ちょっと!ゆきのん、性格悪くなんかないし!超かわいいじゃん!」

888: cMVCB/0/0  ◆Ujdx7gMvqRAl 2013/10/02(水) 14:16:16.72 ID:YDK10jeOP
八幡「まぁ、お前に対しては、な。ただ俺への対応はひどいもんだぞ?目つきとか完全に汚物をみる目だし、あの暴言とか俺でなきゃ転校を考えるレベルだろ」

結衣「ヒッキーじゃなきゃ、あそこまで言われないと思うけど?」

八幡「まぁな。つか、お前も最近口悪くなってないか?雪ノ下のが移ったんじゃないの?」

結衣「だから!ゆきのん性格悪くなんかないし!!……むしろ…むしろ…性格悪いの…あたし、だし」

八幡「は?何言ってんの?」

結衣「だって…だって…さ。さっきちょっと嬉しかったんだもん…」

八幡「さっきってなんだよ?女子力5って言われたこと?マゾかよ」

結衣「違うし!!そうじゃなくて。ほ、ほら、そ、その、ヒッキーが、その、ゆきのんに憧れてたみたいなこと言ったでしょ?それで…その、それが話したらそ れがちょっと変わったみたいなこと言ったから…それで…その…ゆきのんは大事な友達なのに…ほんとあたしいやな奴だ…」グスッ

八幡「いや、お前さ…」

結衣「………」グスッ

八幡「……はぁ。馬鹿かお前、本当馬鹿だな」

結衣「うん…あたし馬鹿だね、ほんとに…」スン

八幡「馬鹿。そういうこと言ってんじゃねえんだよ。お前さ、もしお前がいやな奴だとしたら、世界の90%以上はなんになんの?悪人か?お前さ、そういうのは自分じゃなくて、他者への攻撃だぞ?マジで」

結衣「よく…わかんない…」

八幡「そうなったら俺なんかどうなるんだよ。もはや、懸賞金付きでCIAとかFBIに追われるレベルだろ」

結衣「そんなことないし!ヒッキーはいい奴じゃん!」

八幡「お前は俺よりもいい奴だろ。ならお前はいい奴だろ。QED証明終了」

結衣「ヒッキー……」

889: cMVCB/0/0  ◆Ujdx7gMvqRAl 2013/10/02(水) 14:17:24.15 ID:YDK10jeOP
八幡「………」

結衣「で、でも、あ、あたし、長いことヒッキーに隠し事してたよ?」

八幡「知ってる」

結衣「ヒッキーに嘘付いたこともあるよ?」

八幡「知ってる」

結衣「こ、告白とかされたことあるけど、そ、その、嫌われたくないから、隠したりしてたよ?」

八幡「それは知らなかったな…」

結衣「………」

八幡「まぁ、あれだ」

結衣「あ、も、もちろん断ったよ!?」

八幡「知ってる。つか、人の言葉遮んなよ」

結衣「あ、ご、ごめん…」

八幡「……つっても一言だけ、だけどな。…だからなに?」

結衣「ひ、ヒッキー…ありがと…」

八幡「………」

結衣「………」

八幡「しかし、あれだな。お前、チワワみたいになってんな」

結衣「ちょっと!!チワワとか!!」

八幡「おー、あれだ。お前さ、笑うか怒るかにしとけよ。泣くと涙で化粧が流れてひどいことになるからな」

結衣「今はお化粧が流れちゃうほどお化粧なんてしてないでしょ!?ほんとヒッキーの馬鹿!!馬鹿にしすぎだからぁ!!」

963: cMVCB/0/0  ◆Ujdx7gMvqRAl 2013/10/09(水) 13:28:45.73 ID:T0wUe6XFP
「くちぐせ」


結衣「ゆきのん、遅いね?」

八幡「だな。まぁ、どうせ平塚先生にでも呼び出されてるんだろ。あいつは問題児だからな」

結衣「いや、ヒッキーじゃないんだから」

八幡「おい、真顔で突っ込むんじゃねえよ。分かってるから」

結衣「いやー、ついつい。あ、てかゆきのんと言えば、よく、だけれどって言ってるよね?」

八幡「あー、言ってるな。昨日の部活では27回言ったな」

結衣「なんでそんなこと数えてるの!?そんなに気になってたの!?」

八幡「いや、ただのノリで言っただけだから、そんくらい言ってそうだってだけだから」

結衣「あ、そ、そっか。びっくりした…」

八幡「まぁ、あれだ。ほら、誰が喋ってるか分かりやすくしてんじゃねえの?」

結衣「そんなの声聞けばわかるでしょ!?何言ってんの?」

八幡「いや、わからんぞ。意外とチャットとか、2chとかそのままの口調で書き込んでたりしてな」

結衣「ゆきのんのメールそんなんじゃないし!!……多分…全部は覚えてないけど…」

八幡「自信ねえんじゃねえか。それじゃ根拠にならないだろ」

結衣「だ、だって!メールいっぱいしてるんだもん!ゆきのんとのメールもすごいいっぱいあるし、しょうがないじゃん!」

八幡「俺は大概のメールは覚えてるぞ?なにせ「俺は」記憶力がいいからな!」

結衣「ちょっと!!それあたしが記憶力悪いって言いたいの!?」

八幡「いや、そう言ってんだよ。確認するまでもないだろ」

結衣「ちょっと!!あたし一夜漬けとかかなり得意だし!!記憶力悪くないから!!馬鹿にしすぎだからぁ!!」

八幡「いや、一応言っとくけど一般的に一夜漬けが得意とか自慢話じゃないからな?学生の本分ガン無視だから」

結衣「うっさい!てかヒッキーの場合はメール来ないだけでしょ!?」

八幡「失礼な、アマゾンとかからはメール来てるぞ?さすがにその辺は覚えたりしないけどな」

結衣「もう…じゃあなにを覚えてるの…わけわかんないし…」

八幡「てか、あれだ。口癖なんて誰でも一つくらいはあるもんなんじゃねえの?」

結衣「えー?そう?」

八幡「そうだろ。ほら、小町の『お兄ちゃん!』とか戸塚の『八幡!!』とか平塚先生の『比企谷…』みたいな感じでな」

結衣「それヒッキーの名前言ってるだけでしょ!?」

八幡「いや、でも俺といる時はだいたいこんな感じだぞ?」

結衣「ヒッキーに向けて話してるからあたり前だし!!ていうか平塚先生の言い方なんて完全に呆れられた感じじゃん!!」

八幡「なー?平塚先生も懲りないよな」

結衣「懲りないのはヒッキーのほうでしょ!?」

964: cMVCB/0/0  ◆Ujdx7gMvqRAl 2013/10/09(水) 13:30:20.36 ID:T0wUe6XFP
八幡「そうか?じゃああれやるか」

結衣「急になんだし!どれだし!!」

八幡「雪ノ下が言いそうにないことベスト3のコーナー…」

結衣「なんかすごい怒られそうな企画が始まった!?ていうか自分で言い出したなら少しはテンションあげたら!?」

八幡「第三位」

結衣「続けるんだ…」

八幡「………」

結衣「……ん?」

八幡「第三位!」

結衣「え?………。あー、そっか。じゃじゃん!」

八幡「『比企谷くん。塩を取ってもらえるかしら』」

結衣「すっごい普通だし!それはゆきのん言うでしょ!?」

八幡「いや、ここで重要なのは最初に『比企谷くん』と俺の名前をつけていることにある」

結衣「えー?それが何?」

八幡「つまりだな。この流れでものを言うことによって、この発言は雪ノ下が俺に塩を取るように頼む、流れになるわけだ。ありえないだろ?」

結衣「えー…。うーん…。あー……どうだろ…」

八幡「実際あいつ塩が必要だとしても、多分、名前だけ呼ぶか顎でしゃくるだけだからね。あれ」

結衣「ううん…それは…。ヒッキーに対してはそうかも…」

八幡「まぁ、実際、相手に察して取ってもらうのがマナーだなんて書いている本なんかもあるけどな。そんな食事の席でまで、空気読むだなんだ言うのがマナーってんなら俺はマナー知らずでいいわ」

結衣「まーた、ヒッキーはそういうことー」

八幡「第二位!」

結衣「切り替えはや!じゃじゃん!」

八幡「『替え玉固麺で』」

結衣「あっはっはっはっは!!なにそれ!!それは絶対言わない!」

八幡「『ラーメンの半チャーセット…いえ、チャーシューメンでお願いします』」

結衣「ないない!!あっははっはっは!」

八幡「笑いすぎだろ…」

結衣「もう!ヒッキーが笑わせに来てるんでしょ!?てか超声似てるし、しかもなんで食卓しばりなの!?」

八幡「………」スッ

結衣「あ!どんぶり伏せた!!ダメだよゆきのん!テーブルが汚れちゃう!!マナー違反、マナー違反!」

965: cMVCB/0/0  ◆Ujdx7gMvqRAl 2013/10/09(水) 13:31:08.14 ID:T0wUe6XFP
雪乃「そう?ごめんなさいね?」

結衣「あ……」

八幡「………」

雪乃「ずいぶん楽しそうね?廊下まで声が響いていたわよ?私も混ぜてもらえないかしら?」ニコッ

八幡「……いや、これはだな」

結衣「ゆ、ゆきのん、あ、あのね?」

雪乃「いえ、私は別に何も聞いていないけれど。ああ、そうだ。比企谷くん。そこにあるティーカップを取ってもらえるかしら?」

八幡「聞こえてんじゃねえか……」

結衣「ご、ごめんね?ゆきのん、あ、あたしヒッキーの顔が面白くて、ついつい…」

八幡「顔は面白いとか言うなよ…」

雪乃「比企谷くんの顔がおかしい…、もとい面白いのはいつものことじゃない」

八幡「おい、今の言い間違いには悪意を感じるぞ。わざとだろ。絶対わざとだろ」

雪乃「ちゃっかりいい間違えてしまっただけよ」

八幡「わざとじゃねえか…」

雪乃「それより比企谷くん。1位を当ててあげましょうか?」

八幡「ん…」

結衣「え!?ゆきのんわかるの?」

雪乃「ええ、それは私が言いそうにない馬鹿っぽい発言…。簡単に想像が出来るわ」

結衣「さすがゆきのん!!」

八幡「そうか。じゃあせーので言うか」

雪乃「そうね」

結衣「おお…、二人が声を合わせるなんてはじめて見る!」

八幡「んじゃ、行くか」

雪乃「ええ」

八幡「せーの…」

八幡・雪乃「馬鹿にしすぎだからぁ!!」

結衣「ちょっと!!」

八幡「つーか、雪ノ下、言っちまってるじゃねえか。それじゃランキング作りなおしだろ」

雪乃「あら…そうね。私としたことがこんな馬鹿っぽい発言を口にしてしまうだなんて、迂闊だったわ」

結衣「ゆきのん!?馬鹿っぽいって!ちょっと!!ごめんなさい!!やっぱり怒ってるんでしょ!?ていうか、もしかして打ち合わせしてたの!?もう、馬鹿にしすぎだからぁ!!」


由比ヶ浜結衣「馬鹿にしすぎだからぁ!!」
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1376788470/)