2: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/11/08(木) 23:01:15.43 ID:HS5R5AFr0

イギリスのとある場所、質素ながらも清潔な部屋の簡素なベッドの上で、一人の男が最期のときを迎えようとしていた。
上条当麻――かつて起きた科学と魔術の騒乱を収めた英雄。その英雄の命脈が今まさに尽きようとしていた。


禁書「とうま……」

上条「ああ、インデックス……。いよいよ私も主の下へ召されるようだ」


悲しげに寄り添うインデックスに、上条は微笑みかける。二人の顔には深いしわがいくつも刻まれており
重ねてきた年月の長さをうかがわせる。そう、二人は長年連れ添ってきた夫婦なのだ。


上条「本当は私がお前を見取るつもりだったのだが、ハハ、人生思うようにはいかないものだな」

禁書「そんなのダメだよ。私が居なくなったら とうまは若い子に浮気するでしょう?」

上条「…………」

禁書「とうま、返事がないんだよ」

上条「嘘は吐きたくないんだ。察して欲しい」

禁書「えっと、死者の魂を拘束する術式は……」

上条「こ、こらっ! 死は万物に等しく許された救いだろう!? 死して尚 私を束縛するつもりか!」


冗談のようなやりとりだが、上条は真剣に恐れていた。インデックスは極度のヤキモチ焼きで独占欲の塊なのだ。
イギリス清教の最大主教、それが彼女の肩書きで多くの信徒から尊敬を集める聖女であり十万三千冊を統べる最強の魔神でもあった。

だがそんなのは上条にとって些細な事だった。彼が最も頭を悩ませたのは、インデックスの信仰心の篤さだ。

有体に言えば、彼女は神に操を立てている。

004
4: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/11/08(木) 23:03:19.91 ID:HS5R5AFr0

上条「この際だからハッキリ言わせてもらうぞ! 私は正直、お前と一緒になった事を後悔している!」

禁書「…………」

上条「お前の事は愛していたが一緒になるべきではなかった!」

禁書「そう」

上条「幻想殺しのせいで不幸なのは仕方ない。仕方ないがこんな仕打ちはあんまりだ! 一体俺が何したってんだよ!?」

禁書「若い頃の口調に戻ってるよ?」

上条「細かいことはいいんだよ! 問題なのは、今まさに! 俺が童貞のまま死にそうになってるってことだああああああああああああああああ!!!!」


魂の慟哭だった。一人の男、いや、一人の偉大な魔法使いが世界を呪う呪詛そのものだった。


上条「シスターとして貞操は神に捧げたとか抜かしやがってぇぇぇ!! ふざけんじゃねーよ!」

禁書「多くの聖者は貞淑を守ったんだよ。私がそれに習うのは当然かも」

上条「その言い訳は10万3000回目だ! もう耳タコなんだよ聞き飽きたんだよ!!」

禁書「でも浮気ひとつせずに、私と添い遂げてくれた」


インデックスは聖女の神々しさを感じさせる微笑を浮かべる。だが目は笑っていなかった。


禁書「だから私が召される時まで、ヴァルハラでも大人しく待っててくれると嬉しいな」

上条「嫌だっ! もう二度と宗教やってるヤツとは付き合わない!」


5: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/11/08(木) 23:04:55.69 ID:HS5R5AFr0

死にかけの老人とは思えない声量で上条が吠える。普段の優しい顔つきも、今は絶望に立ち向かう勇者のそれだ。


上条「インデックス! 長年連れ添ったがここでお別れだ。俺はあの世で童貞を卒業して幸せを掴んでみせる!」

禁書「仮に天国があるとしても、とうまはきっと童帝なんだよ」

上条「なんかニュアンスが違いますよねぇ!?」

禁書「ふふっ、私がとうまを離すとでも思っているの?」

上条「先行逃げ切りだ! お前は長生きしろよな!」


およそ夫婦らしからぬ言葉のドッジボールを繰り広げる二人。妻は楽しそうだが夫は必死だった。


上条「ハァ、ハァ……やばい、もうお迎えがきやがった」

禁書「えーっと、淫行に及んだら性器が爆発する術式を魂に刻みこんで……」

上条「やめて!?」

禁書「……冗談かも?」

上条「ちくしょう……神様はそんなに俺が嫌いかよ……」

禁書「そんな事はないんじゃないかな。私みたいな可愛い奥さんに恵まれたんだし」

上条「そう思ってたら地雷だったんだよ……」


上条は切に願う。普通の女性と普通の恋愛をして普通に愛し合って、普通の家庭を築く可能性を。


禁書「とうまには苦労をかけたけど、私は幸せだったよ」

上条「そっか……ならそれで満足してくれ。お願いだから……」

禁書「いや♪」

上条「不幸だ……」

いつもの口癖を呟きながら、上条当麻は眠りにつく。覚めることのない永久の眠りに…… 享年85才(童貞)だったという。



6: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/11/08(木) 23:05:28.23 ID:HS5R5AFr0













――もしも、あの時をやり直せるのなら……














7: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/11/08(木) 23:06:36.60 ID:HS5R5AFr0

学園都市 第七学区 とある病院――


上条「――――はっ!?」

冥土帰し「随分とうなされていたけど、目が覚めたかい?」

上条「へ……?」

冥土帰し「混乱しているようだね」

上条「え、先生!? 何十年も前に亡くなったはずでは……」

冥土帰し「おかしな事を言う。僕はピンピンしているよ?」

上条「あれー? 確か……私は……死んだような……」ドクン

冥土帰し「ある意味死んだと言っても過言じゃない。脳のエピソード記憶を司る部分を物理的に破壊されたからね?」

上条「……先生、今日は日付は?」

冥土帰し「20xx年の七月二十八日だね?」

上条「……(あの日だ……忘れもしない、記憶を失った私が目覚めた日……。これは夢なのか?)」ワナワナ

冥土帰し「そういえば、白い修道服のシスターとは知り合いなのかい? 今は席を外しているが心配していたよ」

上条「インデックス……ッ!?」


8: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/11/08(木) 23:07:21.21 ID:HS5R5AFr0

冥土帰し「まあ今は君の状態を把握するのが先決だ。記憶はやはり……」

上条「……(やばいやばいやばい!? 一刻も早くこの場を離れないと! アイツに関わる=大魔法使いルート待った無し!?)」ガクブル

冥土帰し「震えているが大丈夫かい?」

上条「だ、大丈夫です。それより早く退院したいのですが……」

冥土帰し「ふむ、受け答えはしっかりしているし、記憶も問題ないのかな?」

上条「記憶も何もかも平気です! ほら、身体もこんなに軽い、ってなんじゃこりゃああああああああああああ!?」

冥土帰し「???」

上条「若いっ!? なんだこれ!? 力が漲るぅぅぅぅ!!!」ピョンピョン

冥土帰し「言動に若干の問題あり、と」カキカキ

上条「いやっほーう! この身体ならインデックスからも余裕で逃げ切れるッ!!」


ガラガラ


禁書「あ、とうま! 目を覚ましたんだね」テクテク

上条「…………」ガクブル

禁書「もう、心配させないで欲しいんだよ」


9: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/11/08(木) 23:08:36.10 ID:HS5R5AFr0

上条「……(来たよ来やがった! てかインデックスも若ぇー……って何気にコイツも全盛期じゃねーか!?)」ガビーン

禁書「とうま?」

上条「……(いや待て、これは夢に違いない! 一生を童貞のまま終えた上条さんを哀れんだ神様が見せてくれる刹那の幻に違いない!)」

禁書「むうー! 無視しないで!」プンスカ

上条「あはは、ごめんごめん(だからこのインデックスは昔のキレイなインデックスさんに相違あるまいて)」

禁書「この最大主教にして、最強の魔神たるインデックスを無視するなんて許されないんだよ!」

上条「だからごめ…………今なんと?」

禁書「惚けても無駄かも。意識だけ過去に逃げても、私からは逃れられないよ?」ニッコリ

上条「…………」ガタガタガタガタガタガタガタガタガタ

禁書「私たちは未来永劫ずーーーーーーーーーーーっと一緒なんだよ」クスクス

上条「……ッ!!」ダダッ


冥土帰し「凄い勢いで逃げて行ったね?」

禁書「しょーがないなぁー とうまは。何処へ逃げても結果は変えられないのに」ヤレヤレ


10: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/11/08(木) 23:10:41.63 ID:HS5R5AFr0

第七学区 とある通り――


上条当麻は全力で駆けていた。脇目もふらず一心不乱に脅威からの逃亡を図っていた。


上条「なんだなんだよなんなんですかぁぁーーーーー!?」


死という最終到達点を越えて尚、呪いのように自分を追って来た地雷妻。新天地で脱☆童貞を目論む間も与えずにやって来た。
あの白い悪魔はまた自分に無理を強いるつもりだっ! また半世紀以上、童貞を強いるつもりだっ!!

戦友たちが幸せを掴む中、自分だけが我慢の日々。そんな横暴が許されるのか!? 否、断じて否である!


上条「絶対に逃げ切ってやるッ!! そして今度こそ平凡な幸せを勝ち取るんだ!」

禁書「じゃあまた私と結婚してくれるんだよね?」

上条「ぎゃああーーー!? もう追いつかれた!?」

禁書「ふふふ、大丈夫だよ。処女受胎の理論を使えば、清い身体のまま子供を授かれるんだよ」

上条「だああああああ!! 上条さんは清い身体を捨てたいの! 役得も無しに責任だけ生まれるなんてふざけんなっ!?」

禁書「う~ん、だったら煩悩を完全に消し去る術式を……」

上条「やめてぇぇぇ!? この年で枯れたくないぃぃーーーーーーーー!!!」

禁書「まあ時間はいっぱいあるんだし、今生もよろしくね? と・う・ま♪」

上条「くっそおおおおおおおおお!!! 不幸だああああああああああああああああああああああ!!!!」



この物語にヒーローは存在しない。いるのは二度目の生を得た不幸少年、そしてそんな彼に惚れてしまう哀れな中学生。

もうすぐ交わる二人が白い悪魔に立ち向かう、ただそれだけの恋愛物語(ハートフルぼっこストーリー)である。


26: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/11/09(金) 20:28:28.31 ID:VZhormKa0

学園都市、とあるマンションの一室で、初老の紳士と実年齢より二十は若く見える壮年の女性が談笑している。
二人はそれぞれイギリス清教と学園都市の要人だが、何より学生時代からの親友であり戦友だった。


上条「久しぶりだな、御坂」

美琴「本当にね。前に会ったのが二年と三ヶ月前だもの」

上条「光陰矢のごとしとはよく言ったものだ。昨今は一年が過ぎるのもあっという間だよ」

美琴「それだけ私たちが年を取ったんでしょう」

上条「何言ってるんだか。御坂は三十路で通用するくらい若々しいじゃないか」

美琴「ふふっ、ありがとう。そういう貴方もダンディで素敵よ」

上条「ハハ、世辞でも嬉しいよ。しかし世の男共はボンクラばかりだな。こんなにいい女が未だ独身だなんて信じられん」

美琴「幸せは人それぞれじゃない。私はこうしてお茶を飲みながら語り合える友人が居るだけで十分よ」

上条「奇遇だな。私も御坂とこうしている時間が一番落ち着くんだ」

美琴「……もう、こんなお婆ちゃんを口説いてどうするつもり?」


そう言いながら ほんのり頬を染める御坂美琴はまんざらでもない様子だ。その姿に上条は確かな寂寥感を覚える。
自分はインデックスと共にイギリスへ渡った。後悔は多々あるが、未練など無いはずだった。いや、無いと己に言い聞かせてきた。だが……


上条「私もこっちに帰りたいなぁ……」

美琴「本当にどうしたの? 相談ならいくらでも乗るわよ」

上条「いやすまん。ただの感傷だよ」

美琴「アンタは私の大切な――なんだから、無理だけはしないで」

上条「……ありがとう、御坂」


互いに年を取った。互いの立場も背負っているものも変わった。だが変わらないものは確かにある。


美琴「まったく、度し難いわねぇ。お互いに」

上条「やれやれ、まったくだ」



27: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/11/09(金) 20:29:16.46 ID:VZhormKa0

CASE 01 真のヒロインは周回遅れでやってくるもの


第七学区 とある学生寮 上条の部屋――


上条「――んあ? ……夢、かぁ」

禁書「おはよう、とうま」

上条「……なんでテメエがここに居やがりますか? 不法侵入で警備員に突き出すぞコラ」

禁書「私がここに居るのは当然かも。だって禁書目録の管理人はとうまなんだもん」


上条「あーもしもし、神裂か?」pipi

神裂『ええ、そうですが』

上条「今すぐ白い悪魔をイギリスに出荷したいんだけど」

神裂『……はい?』

上条「インデックスだよ! 上条さんに暴虐シスターを養う甲斐性はありません。すぐに回収をお願いします」

神裂『あ、あの、二人は所謂 男女の仲なのではなかったのですか?』

上条「なんの冗談だそれは!? こんな地雷シスター、のしつけてステイルに送ってやるよ! 着払いでっ!!」

神裂『ええっ!?』pi


上条「ああっ! 何勝手にケータイ切ってんだよ!」

禁書「とうまぁ……何か言い残すことはある?」ユラァ

上条「クッ、昔みたいに簡単に噛みつけると思うなよ。俺だって、かつては英雄と呼ばれた男…」

禁書「うるさい! 大人しく噛まれるのが礼儀なんだよ!」

ガブリ

上条「んぎゃああああああああああああああああああああああ!!?」



28: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/11/09(金) 20:29:54.61 ID:VZhormKa0

数分後

上条「うう……毛根にダイレクトアタックだなんて」ズキズキ

禁書「当然の報いなんだよ」プンスカ

上条「お前が噛みつきまくったせいで、五十を前に髪が全滅した悲劇を忘れたのか!!」ガァァ

禁書「え、剃ってたんじゃないの?」

上条「毛根が死滅したんだよ!? ハゲたくてハゲたんじゃねーんだよ!!」

禁書「それなら言ってくれれば良かったのに。私の魔術でふっさふさにしてあげるよ?」

上条「右手で触るたびに抜け落ちるってオチだろどうせ!」

禁書「ふふっ、宴会芸に使えそうだね」クスクス

上条「ぐぬぬ……ッ、この悪魔めぇぇ」

禁書「そんな事よりお腹すいた」グキュルルルルル

上条「はぁ? マヨネーズやるから公園で草でも食ってろ」

禁書「……とうま。私はお腹がすいたって言ってるんだよ?」

上条「雑草サラダがお気に召さないなら、カレー粉やるから土手でヘビでもキャプチャーしてろよ」シッシ

禁書「あはっ♪」ブチッ



29: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/11/09(金) 20:30:38.02 ID:VZhormKa0

更に数分後

上条「うぐぐ……暴力に訴えやがって……」ボロボロ

禁書「妻を大事にしない夫が悪いんだよ」

上条「誰が夫だっ!! 死ぬ前に三行半突きつけてやっただろうが! もうDVに悩まされるなんてゴメンだ!」

禁書「とうま?」ニッコリ

上条「今の俺たちは赤の他人なんだ! そして二度と同じ過ちは犯さないっ!」

禁書「お腹へった」

上条「お前なんて憎たらしいだけで全然魅力を感じねえ! 十字教? ハッ、ファッキンクライ○トだっつーの!」

禁書「お腹へった」

上条「壊れた蓄音機みたいに同じことばっか言いやがって! イギリスに帰れば食うに困らないだろうが!」

禁書「お腹へった」

上条「…………」

禁書「お腹へった」

上条「…………」

禁書「お腹へった」

上条「ああっちくしょう! 何か買ってくるから待ってろ!」



30: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/11/09(金) 20:32:39.78 ID:VZhormKa0

第七学区 とあるコンビニ――


上条「くそぅ、理不尽すぎる……。あんなのと人生二週目だなんて拷問にも程があるだろ……」トボトボ


美琴「…………」ヨミヨミ


上条「常盤台の制服で立ち読み……御坂か?」

美琴「え?」

上条「おっす! 久しぶりだな」

美琴「なんだアンタか。ていうか先週勝負したばっかでしょ」

上条「はは、そうだったっけ……? なにぶん半世紀以上前の記憶だからなぁ」

美琴「なんか様子が変ね。もしかして若年性痴呆ですかぁ?」

上条「痴呆言うなっ!! 俺はボケてねえ!!」ガァァ

美琴「きゃっ!?」ビクッ

上条「……悪ぃ、ついいつもの癖で。驚かせちまったか?」

美琴「び、ビビッてなんかないわよ!」アセアセ

上条「そっか(数年ぶりだけど、やっぱ御坂とは話しやすいなあ。フフ、晩年は童貞と処女同士 意気投合したもんだ)」


31: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/11/09(金) 20:33:42.76 ID:VZhormKa0

美琴「それより勝負しなさい! 勝負っ!///」ワタワタ

上条「あはは、照れ隠しに勝負を挑む美琴たん萌えー」

美琴「て、照れてなんかないわよ! それとたんいうなっ!!///」カァァ

上条「はいはい、それで何で勝負する? カラオケでもゲーセンでも、何でも受けてたつぜ?」

美琴「へえ……大した自信じゃない。こう見えてゲーセンじゃ上位ランカーなのよ?」

上条「フフン、上条さんとて(性欲を誤魔化すために)ゲームはやり込んでますのことよ」

美琴「上等よ! 吠え面かかせてやるから覚悟なさい!」ビシィ

上条「はん! 返り討ちにしてやんよ!」



店員「ありがとうございましたー(コンビニでいちゃついてんじゃねえよ。クソがっ!)」



32: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/11/09(金) 20:34:58.95 ID:VZhormKa0

ゲームセンター――


美琴「アンタの得意なジャンルは?」

上条「うーん、格ゲーとか体感ゲーは得意だったな」

美琴「むっ、私と同じか……」

上条「んじゃ太鼓のリズムゲーで勝負すっか?」

美琴「いいわよ。ただし最高難易度だけど着いてこれるかしら?」

上条「体の調子はバッチリだし余裕だろ」

美琴「じゃあ勝負よっ!」


◇ ◇ ◇ ◇ ◇


上条「うおっ、指先が震えねぇ!? 若いって素晴らしいな!」ドンドンドンドン カッカッ ドドドドドドドドドドドドン!!

美琴「なに年寄り臭いこと言ってんのよ」ドンドンドンドン カッカッ ドドドドドドドドドドドドン!!



客S「あっれー? あそこで一心不乱に太鼓を叩いてるのって御坂さんじゃない?」

客U「そ、それより一緒に遊んでる男の人はまさか!?」

客S「きっと彼氏だよ! これは見つからないように観察するしか!」



33: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/11/09(金) 20:36:05.28 ID:VZhormKa0

上条「同点……だと?」

美琴「お互い満点か。結構やるじゃない」

上条「お前もな」

美琴「次はどれで勝負する? ……あっ」

上条「ん? あのクレーンゲームの景品は……ゲコ太じゃないか!」クワッ

美琴「ええっ、なんでそんな超反応してるわけ!?」

上条「あ、ああ、昔の友達に進められてな。ゲコ太好きなんだよ(長年御坂に布教された結果なんだが……うん、ゲコ太かわいい)」

美琴「そっかー、アンタもゲコ太ファンだったのかー♪」キラキラ

上条「理解者が少ないのがアレだけどな。……可愛いのに」

美琴「そうなのよねぇ。いやーでも、こんな身近に仲間がいるなんて嬉しい誤算よねー♪」

上条「これはゲットせざるを得ないな」

美琴「よーっし、頑張っちゃうぞー!」



客U「あんなにはしゃいでる御坂さん、初めてですね」

客S「まさか同好の士とは。完璧な御坂さん唯一の泣き所がプラスに働いてる……」ゴクリ



34: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/11/09(金) 20:36:48.61 ID:VZhormKa0

上条「んーと、もうちょい右……よしストップ!」

美琴「オッケー、後は運を天に任せるだけね……!」

上条「神頼みなんて意味ねーよ。俺たちは実力でゲコ太をゲットするんだ」

美琴「ふっふーん、当然よ! って言ってるうちにゲットー♪」キャッキャッ

上条「これで全種コンプか」

美琴「ふふっ、大漁大漁♪」ニコニコ

上条「よかったな」

美琴「うんっ!」

上条「そのまま持って帰んのも大変だから、店員さんに袋を貰ってくるな」

美琴「おねがーい♪」



客S「うわー……御坂さんの笑顔が幼い」

客U「白井さんが居たら発狂してますね……」


35: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/11/09(金) 20:37:24.69 ID:VZhormKa0

上条「ゲコ太も確保できたことだし、そろそろ昼飯にすっか」

美琴「そうねー。ゲコ太を取ってくれたお礼も兼ねて、ランチくらい奢るわよ」

上条「じゃあお言葉に甘えようかな」

美琴「素直でよろしい!」

上条(中学生に奢られるのはアレだけど、御坂とは半世紀来の付き合いだし別にいいよな?)

美琴「近くのファミレスでいいわよね?」

上条「おう」

美琴「それじゃ行こっか」



客U「移動するみたいですよ!」

客S「さり気なく荷物を持ってあげてる……。いいなぁ、御坂さんいいなぁ」


36: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/11/09(金) 20:39:04.29 ID:VZhormKa0

第七学区 とあるファミレス――


美琴「――それでね、黒子ったら酷いのよ。お姉さまのお子様趣味だけは理解できませんわー、とか言っちゃってさ」

上条「まあ俺らがマイノリティーなのもあるけど、人様に迷惑かけてるわけじゃなし放っておいて欲しいよな」ウンウン

美琴「でしょ?」

上条「ああ。もういっそのこと引きずり込んじまえばいいんじゃねーか?」

美琴「???」

上条「ゲコ太の良さを切々と語り続けるんだよ」

美琴「……ドン引きされないかしら?」

上条「この程度で引かれるなら、その程度の関係だったって事だろ」

美琴「そうよね……考えてみれば、黒子だって変態趣味を私に押し付けてくるし」ムムム

上条「きっと分かってくれるさ。パートナーなんだろ?」

美琴「……そうよね、うん! せっかくだし初春さんと佐天さんにも伝えてみるわ」



客S「ゲコ太かぁー……」

客U「ゲコ太が許されるのは小学生までですよねー」


37: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/11/09(金) 20:40:55.65 ID:VZhormKa0

美琴「はぁ……」

上条「どうしたんだ?」

美琴「ちゃんと話してみないと、わかんない事があるんだなーって思ってさ」

上条「そうだな。何事も対話してみないことには、相手の本質は理解できないもんだ」

美琴「……なんかごめんね」

上条「ん?」

美琴「能力ぶつけたり、追いかけまわしたりしたでしょ」

上条「なんだそんな事かよ」ヤレヤレ

美琴「そんな事って、仮にも第三位の電撃を向けられてたのよ? ……自分でやっといてなんだけど」

上条「今思えば、御坂のあれはスキンシップみたいなもんだろ」

美琴「スキンシップってアンタ……」

上条「お互いケガも無かったし、上条さん的には結構楽しかったんだけどな」

美琴「…………」

上条「だからさ、変に遠慮しない今までみたいな関係がありがたいと言いますか、なんと言いますか……」ポリポリ

美琴「……だったら名前」

上条「へ?」

美琴「アンタの名前を教えてって言ったの!///」カァァ

上条「あれ? 自己紹介とかしてなかったっけ?」

美琴「してないわよ! 私はいっつも名乗ってるのに……」



客U「えー!? 名前も知らないのに、あれだけいちゃついてたんですか!?」

客S「マジか……」


38: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/11/09(金) 20:42:13.66 ID:VZhormKa0

上条「そりゃ悪かったな。んじゃ改めて、上条当麻だ。これからもよろしくな」ニッ

美琴「い、いいわよ。よろしくしてやろーじゃん///」テレテレ

上条「ククッ、なぁ~に赤くなってますかね、このお嬢様は」ヘラヘラ

美琴「う、うっさい! それよりアンタが楽しいってんだから、勝負は続けるわよ!///」ビシッ

上条「へいへい」

美琴「余裕ぶっこきやがって……」

上条「そりゃ上条さんの全戦全勝ですから」フフン

美琴「ふんっ、今にみてなさい。……あとコレ」スッ

上条「これは……さっきのゲコ太?」

美琴「二人で取ったんだから半分こ!」

上条「お、おう」

美琴「今日は楽しかったわ。その……ありがと///」ニコッ

上条「……ッ///」ズキューン

美琴「じゃ、じゃあまたね、バイバイ!///」スタコラサッサー



客U「行っちゃいましたね、御坂さん」

客S「なんという御坂スマイルッ! あれは惚れちゃうでしょ……大丈夫かなあの男の人」

客U「なにがです?」

客S「んー、お子ちゃまな初春にはまだ早いのかなぁ?」ニヤニヤ

客U「なんですかそれー!」プンスカ


42: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/11/09(金) 20:43:57.25 ID:VZhormKa0

常盤台中学 女子寮――


美琴「ただいまー♪」

黒子「おかえりなさいませ、お姉さ……またそのカエルですの?」ヤレヤレ

美琴「カエルじゃなくてゲコ太っ!」

黒子「まったく、そのようなお子様嗜好では常盤台のエースとしての威厳というものが……」クドクド

美琴「人様の趣味にケチつけないでよ。それにゲコ太の良さが分かる人だっているのよ?」ニコニコ

黒子「小学生とでも遊んでいましたの?」

美琴「ううん、高校生」

黒子「もっと相応しい交友範囲がある……高校生ですって!?」ガタッ!!

美琴「そうよー、あのバカ 意外と話がわかるんだから♪」

黒子「きいいぃぃぃぃぃッ!!! また例の殿方ですの!?」

美琴「へへー、今日はいい日だったなぁ。ゲコ友(ゲコ太好きな友達)ゲットだぜ♪」ニッコリ



43: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/11/09(金) 20:44:58.53 ID:VZhormKa0

とある学生寮 上条の部屋――


上条「ただいま帰りましたよっと」ガチャ

禁書「……おかえりなさい。私のごはんは……?」グキュルルルルルルルルルルルルル

上条「さーて、ゲコ太を何処に飾るかなー」

禁書「ッ!? それは短髪推奨のカエル人形!」

上条「ゲコ太だ」

禁書「短髪めぇぇ……。またとうまに色目を使ったのかなっ!」プンスカ

上条「そういや別れ際の御坂、可愛かったなぁ……///」

禁書「~~~~~~~~ッッ!!」

上条「……そっか、そうだよ、そうなんですねの三段活用! なんで気付かなかったんだよ俺!」キュピーン!

禁書「ま、まさか……」

上条「魔術と無関係! 忌々しい宗教とも無縁! 一緒にいて楽しい! そして可愛いっ!!」

禁書「鈍感力に定評のあるとうまが……そんな、まさか……」

上条「完璧じゃん御坂! 将来メチャクチャ良い女になるし、これは何としても――」

禁書「とうまっ!!!」クワッ

上条「――ってなんだ、まだ居たのかよ」

禁書「ひどっ!?」ガビーン



44: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/11/09(金) 20:46:41.20 ID:VZhormKa0

上条「酷いのはお前だろうが。上条さんを大魔法使いにクラスチェンジさせた元凶め」

禁書「またそれ? いい加減しつこいかも」

上条「お前が言うなっ! こんなとこまで付け回しやがって、このストーカー!」

禁書「愛があれば全て許されるんだよ?」

上条「ねーよ! これっぽっちも一ミリたりともねーっての!」

禁書「へえ、そういう事言っちゃうんだ」ユラァ

上条「な、なんだよ。また暴力に訴えるつもりか……!」ビクッ

禁書「記憶を消すより、いっそ偽りの記憶を流し込めば……」ブツブツ

上条「こわっ!? 発想が悪魔そのものだ!?」

禁書「夫婦の危機だから多少の無茶は仕方ないんだよ」シレッ

上条「だから夫婦じゃねーっつってんだろ!」

禁書「素直じゃないね。とうまはツンデレさんなのかな?」

上条「真剣に嫌がってんだよ!? 頼むからイギリスに帰ってください!」

禁書「……そんな事いったって、私にはここしか居場所がないんだよ」ションボリ


上条「もしもしステイルか? 上条だけど」pipi

ステイル『神裂から話は聞いている! 彼女を迎えに行けばいいのかいっ!?』

上条「早急に頼む。インデックスの愛を受け止められるのはお前しかいねえ。俺には到底無理だ」

ステイル『か、勘違いするな! 僕は別に……』pi



45: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/11/09(金) 20:48:21.70 ID:VZhormKa0

上条「ふぅ、これで良し」

禁書「ちっとも良くないんだよ!」

上条「あのなぁ、もうとっくに気持ちが離れてるんだ。わかってくれよ」

禁書「……やっぱり記憶を書き換えるしかないのかも」ブツブツ

上条「だからやめてっ!?」

禁書「まあ今は見逃してあげるんだよ。だからごはん!」

上条「クソッ、そこの醤油をやるから川で魚でも釣って食ってろ」

禁書「とうま?」

上条「仕方ないだろ。食料の買い置きなんて無いんだからさ」

禁書「……とうまは何をしに外に行ったのかな?」

上条「そんなもんお前……あ、あれ?」ギクッ

禁書「…………」ジトー

上条「おかしいのう。年を取ると物忘れが激しくていかん」ハテ?

禁書「……恍けても無駄かも。お腹を空かせた妻を忘れて、浮気してたんだね」ゴゴゴゴ

上条「妻じゃねえ!!」

禁書「その罪、とうまの毛根で購うんだよぉぉーーーーーーーーーー!!!」ガァァ

ガブリ

上条「人の話を聞けええええええええ!? ああもうっ不幸だーーーーーーー!!!!」ギャース



66: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/11/10(土) 19:30:23.49 ID:ObVfMGCA0

CASE 02 漫画版で端折られた例のアレ


とある学生寮 上条の部屋――


上条「……宿題が終わらねえ」

禁書「んふー、このアイスおいしー♪」

上条「前世じゃあんなに暇を持て余してたってのに、こんな事なら勉強しておくべきだったな……」ゲンナリ

禁書「ベストを尽くさなかった怠け者の末路は悲惨だね」ヤレヤレ

上条「お前が言うなっ!!」

禁書「あのね、とうま? 私は何もしないをしてるんだよ」

上条「ただのニートじゃねーか!」

禁書「それは早計かも。私が働かないことで他の誰かが職を得る。素晴らしい自己犠牲だと思わない?」

上条「……もういい、お前は黙ってろ」

禁書「時が来れば働くから怒らないでよ。とうまと私を利用しようって輩は残らず灰にしてあげるから♪」ニッコリ

上条(嗚呼、さようなら神の右席 他、魔術師の方々。どうか安らかにお眠りください)ナム



67: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/11/10(土) 19:31:06.97 ID:ObVfMGCA0

上条「今年は激動の一年だったはずだが、記憶が曖昧なんだよなぁ」

禁書「何せ主観時間だと七十年近く前の時代だもんね」

上条「たしか御坂関連でヤバイ事件があったような……?」ウーム

禁書「なに? 短髪がそんなに気になるのかな!?」

上条「そりゃ気になるさ。御坂とその周りの世界を守るって誓いは、まだ有効だと思ってるからな」

禁書「短髪だけは認めないんだよ!」ガァァ

上条「お前の許可なんて知ったことかよ。つーかさっさと立ち去れ」シッシ

禁書「もう、とうまは相変わらずツンデレさんなんだね♪」

上条「どんだけポジティブシンキングなんだよ……」

禁書「まあ最悪 短髪を亡き者にしてしまえば…」

上条「絶対にさせねーよ!?」

禁書「直接手を下したりはしないよ。短髪と親しい人間を全員ホムンクルスにすり替えて、ゆっくりじっくり徹底的に追い詰めてやればいいんだよ」

上条「テ、テメエッ!!」

禁書「冗談かも」クスッ

上条「お前が言うと冗談に聞こえないんだよ……」ゲンナリ



68: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/11/10(土) 19:32:01.75 ID:ObVfMGCA0

上条「そういや今日の便でステイルが迎えにくるらしいぞ」

禁書「えーっと、炎の魔術を使うと自滅する結界を広域展開して……」ブツブツ

上条「殺すなよ!? 絶対に殺すなよ!?」

禁書「えー」

上条「このババア……思考が一々ぶっ飛んでやがる」ボソッ

禁書「とうまだってジジイでしょ?」

上条「フン、お前の知っている上条当麻は死んだ。だから大人しく帰国してくださいお願いします」ドゲザ

禁書「卑屈な中二病ってどうなの?」

上条「なんとでも言え! この上条、童貞を捨てる為ならば手段の貴賎など選ばん!」

禁書「またそれ?」

上条「ま、今はそんなに焦ってないけどな。御坂と遊ぶのは楽しいし、十分満足してる」

禁書「電気を吸収するスライムをけしかけて、生きたまま溶かし殺して……」ブツブツ

上条「その幻想をぶち殺すッ!!」ブンッ!!

ヒラリ

禁書「舐めないでよ。身体強化の術式を使えば、本気じゃないとうまなんて」ヒョイ

上条「なっ!? こ、この肩車のような姿勢は……ッ」

禁書「必殺、転蓮華っ!!」

グルンッ! ボキッ!!

上条「あがッ!?」バターン!


禁書「やめてよね。甘ちゃんのとうまが、私に敵うわけないでしょう?」ヤレヤレ

上条「…………」ピクピク



69: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/11/10(土) 19:32:34.41 ID:ObVfMGCA0

数分後

上条「痛ぇ……首の違和感がハンパない……」

禁書「手加減したし、肩こりが解消されたんじゃないかな?」

上条「死ぬわっ!!」

禁書「生かさず殺さずが組織運営の基本だよ? 匙加減は心得てるから心配しないで」シレッ

上条「くそぅ……この悪魔を粛清する方法はないものか」

禁書「無理無理♪ だって今の私は最強だもん」

上条「ですよねー、そう都合よく願いが叶うはずない……って待てよ?」

禁書「まあ、黄金練成(アルス=マグナ)なら可能性が無くはないけど、術者が人間じゃ到底…」

上条「それだー! 確か今、それを使えるアウ……アウレ……まあいいや、とにかくアウなんとかが三沢塾に居るはず!」

禁書「へぇー、中々優秀な錬金術師なんだね」

上条「ハッ、余裕かましていられるのも今のうちだ! 野郎のチート魔術には流石のお前も雑魚同然だろ」

禁書「インチキ具合じゃ とうまも大差ないと思うけど?」

上条「幻想殺しは使い勝手が悪すぎるんだよ。特にお前みたいな高火力持ちには近づく事もままならねえ」

禁書「24時間耐久! 竜王の殺息をどれだけ長く防ぎ続けられるか!? みたいな?」

上条「やめろよ!? 部屋がぶっ壊れるから絶対にやめろよ!?」

禁書「ちぇー」

ピンポーン

上条「キタ! 救世主が来てくれた!」


70: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/11/10(土) 19:33:26.50 ID:ObVfMGCA0

禁書「…………」ムッスー

上条「いやー、よく来てくれたな。お前が来るのを一日千秋の思いで待っていた!」

ステイル「……気色が悪いな」

上条「そう言うなよ。お前はインデックスを連れ帰りたい、俺は同居を解消したい。利害は一致してるだろ?」

ステイル「そ、それはそうだが」

禁書「ぜーーーーーーーッッたいに帰らない!! かび臭いロンドンよりハイカラな学園都市に居たいんだよ!!」ガァァ

ステイル「か、カビっ!?」ガビーン

上条「んなこと知ったこっちゃねえ」

禁書「大体イギリスはご飯が不味いんだよ! あんなのじゃ私の肥えた舌は満足させられないかも!」

上条「それで何十年も家事をさせられた俺の身にもなれよ!? 人を召使いか何かと勘違いしやがって……!」

禁書「だってとうまには、それ位しか仕事がなかったでしょ!」

上条「フラグがどうとかほざいて、軟禁状態にしてたのは誰だ!」

禁書「節操無しのとうまが悪いんだよ!」

上条「束縛ばっかしやがって! お前のそういう所が大嫌いだ!」

禁書「嫌いでいいもん! すぐに絶対服従の呪いをかけて、優しいとうまに作り変えればいいんだもんっ!!」プンスカ

上条「だからすんなっての!?」


ステイル「……(なんだか上条当麻が必死すぎていたたまれない……)」


71: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/11/10(土) 19:34:06.85 ID:ObVfMGCA0

上条「これ以上話しても平行線だ。俺は三沢塾に逃げ込ませてもらう!」

ステイル「なっ!?」

禁書「たかが錬金術師如きに、私が負けるとでも?」フフン

上条「……………………アウなんとかならやってくれるハズだ!」

禁書「じゃあ試してみよっか? 精神を壊して、黄金練成を維持するだけのお人形にしてあげるんだよ」ニッコリ

上条「こわっ!? だから何でそんな悪魔染みた発想ができるんだ!?」

禁書「一宗派の長は悪魔より強かじゃないと務まらないかも」

上条「こんなのが知り合いだなんて不幸だ……」

ステイル「ちょ、ちょっといいかい?」

上条「ん?」

ステイル「何故君がアウレオルス=イザードを知っている?」

上条「……学園都市には予知能力(ファービジョン)ってのがあってだな、吸血殺し云々まで知ってるのも不思議じゃないんだ」

ステイル「それは凄いね……」ゴクリ

上条「み、視える! ステイルとインデックスが幸せな家庭を築いている未来が視えるッ!」クワッ

ステイル「本当かい!?」

上条「信じてもらって結構です」キリッ


禁書「とうまだって十分腹黒なんだよ」ヤレヤレ


72: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/11/10(土) 19:35:25.32 ID:ObVfMGCA0

第十七学区 三沢塾――


禁書「たのもー!」デデン

ステイル「正面から、しかも彼女を連れて来るなんて何を考えているんだ!」

上条「心配するだけ無駄だ。……むしろ流れ弾でくたばってくれれば御の字だろ」ボソッ

禁書「聞こえてるんだよ、とうま? あとで竜王の殺息三分間10セットだから」ニッコリ

上条「是が非でもここで倒されてくれ!」


アウレオルス「憮然。魔術師が雁首揃えてなんの用か?」


上条「おおっ! 待ってました、アウなんとか先生!」パァァ

禁書「黄金練成を実現したそうだから、この私が直々に見にきてあげたんだよ」フフン

ステイル「君はどうしてそんなに偉そうなんだ……」ゲンナリ


アウレオルス「その声、その姿は ま、まさか……」


禁書「知ってるなら話が早いかも。私こそが十万三千冊を統べる魔神『禁書目録』。さあ何処からでもかかってくるんだよ!」ブワッ!!

ステイル「魔力だと!?」

上条「初っ端から大技ブチかますつもりかよ!?」



73: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/11/10(土) 19:37:45.14 ID:ObVfMGCA0

アウレオルス「ま、待て! 私に敵対する意思はない」オロオロ


禁書「何を呆けているの? ここは、学園都市はインデックスのテリトリーなんだよ?」

上条「ええっ、何それ初耳!?」ガビーン

ステイル「空間に亀裂が! これは……竜王の殺息!?」

禁書「黄金練成は殆ど無敵の術式だけど、自己矛盾には酷く脆いっていう弱点がある。あなたにコレを防げるって自己暗示をかけれるのかな?」

上条「アウなんとか先生! この魔女に正義の鉄槌をお願いしま…」


アウレオルス「騒然!? 無条件降伏するから矛を収めて欲しい」ガクブル


上条「根性ねえー!?」ガビーン

ステイル「戦わずに済むなら、それに越したことはない。というより超展開すぎてついていけないのだが」

ピキピキ、パリーン!!

上条「……ちょっと待て。あっちは降伏してんのに、どうして魔力がグングン高まってるんだ?」

禁書「気をつけろ 竜王の殺息は 止まらない……字余り」テヘ

上条「俳句かっ! ってぎゃあああああッ!!! 魔法陣をこっちに向けんなぁぁーーーー!?」ギャース

禁書「無益な殺戮は望まないんだよ。だからしっかり受け止めて欲しいな」ニッコリ

ステイル「先月見たときより、術式の構成が複雑になっている!? 上条当麻、逃げろっ!!」


上条「言われなくてもスタコラサッ…」


禁書「とうまああァァーーーー!!! 愛してるんだよォォーーーーーーーーー!!!!」バシューー!!


上条「うわあああ!? こんな愛情はお断りだあああああああああああああ!?」パキーン


アウレオルス「唖然。光が……溢れて……」

ステイル「ビルが……崩壊する!?」



74: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/11/10(土) 19:38:47.58 ID:ObVfMGCA0

常盤台女子寮――


テレビ『臨時ニュースをお伝えします。先ほど第十七学区で大規模な爆発が確認されました。幸い死傷者は出なかったようですが
三沢塾が全壊した模様です。アンチスキルによると、テロの疑いも――』


美琴「爆発騒ぎって物騒ねぇ」

黒子「ソウデスワネ……」

美琴「まあ、それより今はゲコ太よね♪」

黒子「ソウデスワネ……」

美琴「アイツが言ってた通り、黒子は私のパートナーとして、ゲコ太の素晴らしさを知ってもらうからね」

黒子「ソウデスワネ……」

美琴「そもそもゲコ太はラブリーミトンの代表的なマスコットで――」

黒子「……(カエル談義が始まって早二時間。何処のどなたか存じませんが恨みますわー!)」ゲンナリ

美琴「ちょっと黒子、聞いてる?」

黒子「Hi death no……」



75: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/11/10(土) 19:40:26.21 ID:ObVfMGCA0

第七学区 とある病院――


冥土帰し「つい先週退院したばかりなのに、お早いお帰りだね?」

上条「ハ、ハハハ……」

冥土帰し「ケガ自体は大した事ないから、今日にでも退院できそうだが」

上条「入院させてください! 寮に帰れば魔神に殺されてしまう!?」アセアセ

冥土帰し「じゃあ二、三日は経過を見ようか」

上条「是非お願いします!」

冥土帰し「それじゃゆっくり休んで、ケガの回復に努めるようにね?」スタスタ


上条「はぁ……結局、骨折り損のくたびれ儲けかよ」

禁書「あの一撃を受けて死なないのは とうまくらいのものかも」ヒョコ

上条「うわっ!? どっから湧いた!?」

禁書「世界中どこに居ても、とうまは私の監視下にあるんだよ?」

上条「ストーカーってレベルじゃねえ!?」ガビーン

禁書「人聞き悪いかも」プクー

上条「可愛らしく頬を膨らませてもダメだからな!」

禁書「とうまは素直じゃないんだから。あの錬金術師はあっさり恭順したのにさ」

上条「……どいつもコイツも簡単に騙されやがって。この魔女のどこが聖女に見えるってんだ」

禁書「人は見たいものしか見ないし、信じたい事しか信じない生き物なんだよ」ヤレヤレ

上条「仮にもシスターの発言ですかねぇ、それ!?」ガビーン



76: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/11/10(土) 19:41:49.98 ID:ObVfMGCA0

上条「それはそうと、ステイルの前で魔術を使ったのは迂闊だったんじゃないか?」

禁書「心配してくれるの?」

上条「お前ら魔術師のトンデモ大戦に巻き込まれたくないからだ!」

禁書「それなら大丈夫かも」

上条「あいつ等に口止めでもしたんかよ」

禁書「魔術でね、その……都合のいいように改竄しちゃった♪」テヘ

上条「…………」

禁書「私が竜王の殺息を放った記憶を、とうまがお尻からビームを放った記憶に書き換えておいたんだよ」ドヤッ

上条「なんだよその悪質な改竄!? よりによってなんで尻からビームなんて出しちゃってんの俺!?」ガビーン

禁書「でも反動で痔になったから入院してるって設定」

上条「カバーストーリーも最悪だ!?」

禁書「ステイルも仰天してたよ。学園都市は、上条当麻は未来を生きてるーって」クスクス

上条「ああぁぁーーー!! 上条さんの悪評がイギリス清教中に広がっちゃう!?」

禁書「もう十字教に未練は無いんでしょ?」

上条「それとこれとは話が別だ!!」


禁書「アウレオルスも禁書目録勢力に加わったことだし、一件落着なんだよ」

上条「なんか聞き捨てならない勢力名が聞こえた!?」

禁書「とうまは何も心配する必要はないんだよ。私がずーっと傍で守ってあげるから」ニコッ

上条「でも漏れなく一生童貞の刑なんだろうが! そんなの嫌だああああああああああああああ!!!」

禁書「もう、照れちゃってカワイイ♪」

上条「つーか何でお前がここに居るんだよ!? ステイルと一緒にイギリスに帰れよぉぉーーー!」グッスン



103: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/11/12(月) 20:55:30.41 ID:T5Q9+qVN0

都市伝説、いわゆる「友達の友達から聞いた話なんだけど」の様な定型句から語られるうわさ話の俗称である。


曰く、『どんな能力も効かない能力を持つ男』

曰く、『脱ぎ女』

曰く、『空き地のカミキリムシ』

曰く、『幻想御手(レベルアッパー)』


どれも一笑に付される稚拙な与太話だが、多感な学生が人口の多数を占める学園都市では、話題性として十分だった。

そして八月十五日、突如として都市伝説が現実を侵食する。


曰く、学園都市では秘密裏に人間のクローンを研究している。

曰く、それは軍事利用が目的だ。

曰く、軍用クローンの素体は学園都市第三位の超能力者『超電磁砲』である。


しかし実態は唯々諾々と殺されるだけの、哀れな実験動物を生み出すプロセスに過ぎない。

英雄譚にはヒーローとヒロイン、そして圧倒的な悲劇が不可欠だ。どれか一つでも欠けてしまえば成り立たない絶妙のバランス。

悲劇は起こった。絶望に彩られるヒロインも準備万端だ。だが――



104: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/11/12(月) 20:56:14.19 ID:T5Q9+qVN0

禁書「弱い! 弱すぎてお話にならないんだよ とうま」

上条「俺は弱くねえ! お前が非常識なだけだ、このバグキャラめ!!」

禁書「原典は持ってりゃ嬉しいコレクションじゃないんだよ? 容赦なく振るってこそ真価を発揮する戦略兵器かも」ニッコリ

上条「アホかっ! 人間相手に使うとかオーバーキルにも程があんだろ!?」

禁書「御託はいらない。これ以上フラグを建てられないよう、半年ばかり入院していて欲しいんだよ」

上条「あの先生をして半年!?」ガビーン

禁書「全身に黒い発疹が浮き出て、カラダの穴という穴から出血して苦しみのうちに絶命する術式を…」

上条「ちょっと待てー!? 絶命ってなんだよ絶命って!?」

禁書「心配しないで? 死ぬ一歩手前で症状を固定化してあげるから♪」

上条「血ィ流しっぱなしなの!? ねぇ、上条さんはそんなに罪深い存在ですかッ!?」

禁書「少しの間だけ我慢して欲しいんだよ。とうまを脅かす危険な魔術師を殲滅する間だけだから、ね?」

上条「テメェが一番危険な存在だと自覚してもらえませんかねぇ!?」

禁書「自覚も覚悟もあるんだよ」キリッ

上条「さ、最低だあああああああああああああああああああああああ!?」ギャース


肝心要のヒーローは、ご覧の有様だった。



105: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/11/12(月) 20:56:56.72 ID:T5Q9+qVN0

第七学区 とある公園――


御坂美琴は混乱していた。都市伝説に語られるような軍用クローンなんて、実際はないと裏を取ったはずだった。
自分のDNAマップを悪用された、非人道的な実験は実行前に永久凍結されたはずだ。なのに何故――


美琴「なんで私のソックリさんとアンタが一緒にいんのよ!?」


上条「なんでって……なんでだろ?」

9982号「ミサカに問われても困ります、とミサカは三件隣りにあるハンバーガー屋さんに意味深な視線を向けます」

上条「腹減ってんのか。じゃあ買い食いすっか」

9982号「よろしいのですか? とミサカは言葉とは裏腹に瞳を輝かせます」

上条「よろしいですのことよー。御坂も一緒にどうだ?」


美琴「え、あー……うん」


一人の少女を絶望に叩き落す陰惨な事件は、非常にゆる~い感じに始まった。


106: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/11/12(月) 20:58:47.54 ID:T5Q9+qVN0

CASE 03 年寄りの記憶を当てにしてはいけない、という教訓


ハンバーガー屋前――


上条「んじゃ、ハンバーガーを買ってくるから仲良くしてるんだぞ」

美琴「わかってるわよ」

目の前の自分と瓜二つな少女に困惑の眼差しを向ける。出鼻を挫かれたが、これは異常事態だ。
決して楽観出来ない事態が、水面下で進行しているに違いないと御坂美琴は確信していた。

美琴「アンタ何者?」

9982号「ミサカはミサカですが、強いていうなら検体番号9982号のミサカです、とミサカは自己紹介してみます」

美琴「そ、それってやっぱり私の……」

9982号「はい、ミサカはお姉さま(オリジナル)のクローンです、とミサカはシレっと言い放ちます」


決定的だった。本人の口からクローンだと、自分の罪を突きつけられたようだった。
罪悪感と不快感がない交ぜになって美琴を責め苛む。

美琴「それで、アンタの目的は何?」

9982号「ハンバーガーなるジャンクフードを食べることです、とミサカは期待に胸を高鳴らせます」

美琴「……質問が悪かったわね。アンタが産み出された目的を聞いてんのよ。例の計画とやらは凍結したはずでしょ」

9982号「ZXC741ASD852QWE963 とミサカはパスの確認を取ります」

美琴「は?」

9982号「やはりお姉さまは実験の関係者ではないのですね、とミサカは得心します」

美琴「そんなの関係ないわよ。で、どこのどいつが計画したの?」

9982号「禁則事項です」

そのあとも質問を投げかけるが、全て禁則事項の一語で返された。
そこへ買い出しに行っていた上条が、山盛りのハンバーガーを持って帰還した。


107: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/11/12(月) 21:00:33.75 ID:T5Q9+qVN0

上条「こんだけあれば足りるだろ」ドサッ

美琴「ア、アンタねえ……。こんなに買ってきて誰が食べるのよ」

上条「御坂妹に決まってるじゃねーか」ヤレヤレ

美琴「はあ? 大食いキャラじゃあるまいし、そんな…」チラッ


9982号「もぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐ……」ガツガツ


美琴「…………」ポカーン

上条「おおー、すごい勢いでハンバーガーが消えていくなぁ」

美琴「いくらなんでも早過ぎ、っていうか食べ過ぎでしょ!?」


9982号「ごちそうさまでした、とミサカは空腹が満たされたことに満足します」ケプッ


美琴「全部食べちゃったの!?」ガビーン

9982号「はい」

上条「うんうん、よく食べてよく遊ぶのが子供の勤めだからな」ホッコリ

美琴「うわ、ジジくさ」

上条「せめて大人びてるとか言ってくれよ!?」ガビーン


108: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/11/12(月) 21:01:29.05 ID:T5Q9+qVN0

美琴「ったく、んなことよりアンタ! 私の質問にちゃんと答えなさい!」

9982号「はい」

美琴「さっきの実験ってのは何?」

9982号「ちゃん」

美琴「……もう一度聞くわ。実験って何のこと?」イラッ

9982号「ちゃん、とミサカは言われたとおりに答えました」シレッ

美琴「こ、このヤロー……ケンカ売ってんのか」イライラ


上条「実験……んん? 何やら覚えがあるんだが、何だったっけ……?」ハテ?


9982号「あなたは実験の関係者なのですか?」

美琴「んなわけ…」

上条「むむ、思い出した! たしか『絶対の右翼 神歌実験』だったはずだ」キュピーン

9982号「そのとおりです、とミサカは素直に肯定します」

美琴「なんで知ってるのよ!? つーかどんな実験だそれは!?」ガビーン



109: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/11/12(月) 21:02:04.21 ID:T5Q9+qVN0

上条「よく覚えてないけど、名前のとおりなんじゃねーの? 最強の右翼になるために街宣車で神歌を歌ったりするんだろ」ウン

美琴「あ、あほらし……」ゲンナリ

9982号「……(あの白モヤシが歌うのでしょうか?)」プフッ

上条「待てよ? 一口に神歌っつっても色々あるよな。御坂はどう思う?」

美琴「え、……ゲコ太のテーマとか?」

上条「おおー、あれは良い曲だよな!」

美琴「だよねー♪ 私なんてケータイの着信に使ってるんだから」パァァ

上条「マジで!?」

美琴「公式サイトで配信してたのよ」

上条「それは盲点だった! 今すぐ落とさないと」ポチポチ

美琴「ふっふーん、ゲコ太のことなら美琴センセーに任せなさい」ドヤァ

上条「ゲッ、昨日で配信終了してやがる! 不幸だ……」ガビーン

美琴「しょーがないわねぇ、特別に私のをコピーさせてあげよっか?」

上条「是非お願いします!」


110: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/11/12(月) 21:03:19.32 ID:T5Q9+qVN0

9982号「仲がいいのですね、とミサカはハブられた事実を遠まわしに避難してみます」

美琴「まあ友達だしね」

上条「そうだ、御坂妹にもゲコ太の素晴らしさを教えてやるべきじゃないか?」

美琴「いい考えね♪」

9982号「結構です」キッパリ

美琴「そう言いなさんな。どうせ暇なんでしょ?」

9982号「いえ、ミサカはこの後、第9982次実験に参加しなければいけません」

上条「この後って、もう夕方だぞ?」

美琴「被験者は中学生なのに、夜中に実験だなんて何考えてるのかしら」プンスカ

9982号「お二人は何を怒っているのですか? とミサカは疑問を呈します」ハテ?

上条「そんなの健康に悪いからに決まってるだろ。高校生や大学生ならまだしも、中学生の夜間労働なんて上条さんは認めませんよ!」

美琴「クローンだからって雑に扱われていいわけないでしょ! まったく、責任者のモラルを疑うわ」

9982号「健康も何も今日の実験が終わればミサカは…」

上条「よし、ここは上条さんが文句を言いに行ってやろう」

美琴「ほんとに!?」パァァ

上条「おう、任せとけ。こういうのは年寄りの出番だからな」

美琴「あはは、年寄りってアンタまだ高校生じゃない」ケラケラ


9982号「……いいのでしょうか?」


111: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/11/12(月) 21:05:01.54 ID:T5Q9+qVN0

『絶対能力進化』第9982次実験場――


一方通行「で、この俺に文句を言いに来たって?」

美琴「そうよ!」デデン

一方通行「ハッ、出来そこないの人形をどう扱おうが、オマエには関係ねェだろうが」

美琴「なっ!?」

9982号「驚く必要はありません。確かにミサカは、お姉さまの劣化模造品にすぎない実験動物ですから」

美琴「実験動物って……」

一方通行「なンだ、事情も知らずに首を突っ込ンだのかァ? おめでたい奴だな」ニヤニヤ

美琴「な、なによ! 『絶対の右翼』を目指すなんて訳のわからない実験やってる奴に言われる筋合いないでしょ!」

一方通行「ハァ? その『絶対能力(レベル6)』に至るのが、バカ研究者どもの最終目標なンじゃねェのかよ」ヤレヤレ

美琴「……学園都市の偉い人たちって真性のバカなのかしら」ゲンナリ

一方通行「納得したなら失せろ。さっさとそこの人形を処理って帰りたいンだ」ギロッ

美琴「ッ!?」ビクッ


9982号「では、これより第9982次実験を開始します」


こうして今日も悪夢の実験が開始された。


112: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/11/12(月) 21:05:38.28 ID:T5Q9+qVN0


一方その頃、肝心のヒーローは……



上条「あースッキリした。やれやれ、年をとると小便が近くて困る」フキフキ



呑気にトイレに行っていた。



113: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/11/12(月) 21:06:35.72 ID:T5Q9+qVN0

ミサカ9982号の宣言と同時に始まった実験。それは一方的な殺戮だった。
9982号の放つ銃弾、電撃、体術は全て反射され、自分自身へと牙を剥く。

9982号「がッ!?」

一方通行「いい加減無駄だと学ンでもいいンじゃねェの? 9981回も殺されてるのによォ」

9982号「…………」

殺戮者の挑発を意にも介さず、血まみれになりながらも9982号は一目散に逃走を図る。

一方通行「オイオイ、敵わないと理解したら今度は鬼ごっこかァ?」

美琴「待ちなさいっ!!」

一方通行「ああン?」

美琴「アンタ……何してんのよ。あの子を殺すつもり!?」

突然、目の前で繰り広げられた攻防に美琴は堪らず制止の声をあげる。
己のクローンが他人に向けて発砲したのもショックだったが、それ以上に聞き捨てならない言葉があった。

美琴「9981回も殺したってどういうこと……?」

第三位のクローン、実験と称した虐殺、全てを反射する能力者……

聡い頭脳をもつ美琴は、大体の状況を推察出来たが理性が反発して、それを認められない。
眼前で超然と佇む白髪の少年が、己の理解を超える存在だと認識しても、問い質さずにはいられなかった。

一方通行「ハッ、加害者が事情も知らないってのも滑稽だよなァ。そンなに知りたいなら教えてやるよ」


白髪の少年は禍々しく表情を歪めると、実験のあらましを語り出した。


114: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/11/12(月) 21:08:00.51 ID:T5Q9+qVN0

◇ ◇ ◇ ◇


第一位と第三位がお喋りをおっぱじめているとは露知らず、ミサカ9982号は待ちぼうけを食っていた。

9982号「追ってきませんね……とミサカは作戦の失敗を危惧します」

敢えて不利な状況で戦い、相手の慢心を引き出し、地雷原へと誘い爆殺する。
足元なら反射が効かないと考察した9982号の策は頓挫していた。

9982号「戻ったほうがいいのでしょうか?」

上条「おーい! トイレに行ってる間に置いていくなんて酷いじゃねーか」

首を捻って考え込む彼女の耳に、場違いな声が入る。
9982号が声のした方へ目をやると、件の地雷原から走ってくるツンツン頭の少年の姿があった。

因みに地雷は遠隔操作で起爆する予定だったが、感圧センサーも生きている。


9982号「あ、そこは…」

上条「ったく、せっかちすぎるだろ。これだから若い連中は」

かちっ

上条「ん? 今なにか踏んだような……」


ちゅどおおおーーーーーーーん!!!


まるでカートゥーンのような効果音と共に、上条当麻は大空へと盛大に吹き飛ばされた。


後にミサカ9982号は、こう語る。

9982号「あれはまるで台風の日に空を舞う、小汚いゴミ袋のようでした」


115: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/11/12(月) 21:09:14.97 ID:T5Q9+qVN0

◇ ◇ ◇ ◇


上条がお星様になっていた頃、美琴は絶望の只中にいた。

美琴「ハァ、ハァ……」

一方通行「オリジナルっつっても大したことないンだな」

実験の全貌を知った美琴には、立ち向かう道しか残されていなかった。
鼻持ちならない態度で自分を見下す少年。学園都市第一位だと自己紹介された男に歯向かったところで、美琴に勝機はゼロだ。

二億ボルトの電撃も、砂鉄の剣も、第三位の象徴たる超電磁砲すらも掠り傷ひとつ付けられなかった。

美琴「それでも……私は逃げられない! こんなふざけた実験の引き金を引いた以上、見て見ぬふりなんて出来るわけないっ!!」

一方通行「なンだそれ。ヒーロー気取りですかァ?」

美琴「そんなんじゃない。私はただ、あの子に死んで欲しくないだけよ!」

一方通行「人形に情でも移ったのか。くっだらねェ」

呆れと侮蔑の混じった視線が、容赦なく美琴を射抜く。

一方通行は苛立っていた。

現実の厳しさも知らずに生きてきたであろう格下に。
実力の十分の一も見せていないとはいえ、未だ戦意を鈍らせない第三位に。
実際、美琴が生きていられるのは、一方通行が手心を加えているからだ。その気になれば瞬殺できる。

それでも学園都市最強の男は苛立っていた。

一方通行(どうしてコイツは諦めない? 今まで俺に挑ンできた身の程知らず共は、泣いて許しを請うか逃げ出すかだったのによ)

圧倒的強者である彼には、負けると分かっているのに立ち向かってくる愚かしさが理解出来ない。
同時に、恐怖を押し殺し、自分以外の誰かの為に戦う尊さも理解の範疇に無かった。

一方通行(つゥかスゲー爆発音がしたなァ。花火大会でもやってンのか?)


そして見当違いなことも考えていた。


116: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/11/12(月) 21:11:29.66 ID:T5Q9+qVN0

威勢良く啖呵を切った美琴であるが、内心は酷く焦っていた。

美琴(電撃は既に完封状態。作戦の一つも無いし、切り札の超電磁砲すら通じなかった。ど、どうしよう……)

科学の申し子である学園都市の能力者。その頂点に君臨するレベル5の美琴は極度のリアリストだ。
困った時の神頼みなんてしなければ、都合良くヒーローが救ってくれるなんて慮外だった。

つい先日まではそうだった。

美琴(何でも解決してくれたママは、ここには居ない。泣き叫んだって、都合良くヒーローが現れて助けてくれるはずが……)

だが今は違った。
絶望に打ちひしがれる美琴の脳裏に映るのは、最近仲良くなったゲコ友の姿。

美琴(なに考えてんのよ! これは私が撒いた種だもの。私自身の手で始末をつけないといけないの!)

そう自分に言い聞かせ、挫けそうになる心を奮い立たせる。
しかし一度心によぎった弱さを払拭できる道理はなく

美琴(でも、それでも……)

年端もいかない少女の強がりをすり抜けて

美琴「助けて……助けてよ……」

ついに弱さは言葉となって零れてしまった。


さて、英雄譚において可憐なヒロインの嘆きに馳せ参じるのは、勇猛果敢なヒーローだと相場は決まっている。

ただしこの物語にヒーローは無く


上条「――…ぁぁぁああああああああああああああーーーーっ!?!?」グシャッ!!


一方通行「……なンだこりゃ」ポカーン

美琴「さ、さあ?」ポカーン


上条「痛い痛い全身がイタイーーーーッ!!! 誰かお医者さまを呼んでーーっ!?」ジタバタ


いるのは虚空の彼方から顔面着陸をかまし、マジでくたばる五秒前の不幸少年(中身はジジイ)だけだった。



141: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/11/26(月) 19:42:32.42 ID:SDM9Bdsv0

風を切り、何処までも高く舞い上がるカラダは悲鳴をあげている。

上条(ああ、この痛みには覚えがある……)

まるで人間火力発電所になったかのように、全身の細胞が熱く燃え盛っている。というか火傷している。

上条(これはあれだ、かつて騎士団長の手引きで風俗に行く途中、白い悪魔に捕捉され爆殺された……あの痛みだッ!!)

そして推進力を失ったカラダは、さながら揺れる木の葉のように地面に向かって落ちていく。

上条( お の れ イ ン デ ッ ク ス !! 罪も無い上条さんを亡き者にするつもりかっ!!)

痛みは怒りを、過去の記憶は未来への希望を呼び起こす。

上条(ヤツの事だ、きっと御坂にも危害を加えるに違いねえ! 白い悪魔め、絶対に許さん!)

幸せを奪い、人を弄ぶ白い悪魔の征伐を堅く心に誓う。そしてその誓いに引かれるように、上条は地面とフレンチキッスする五秒前だった。


上条「って、死ぬ死ぬ死ぬ!? ぎゃああああああああああああああああああああ!?」


ズサァァーー!!! と土煙を上げながらも、何とか顔面着陸に成功。


一方通行「……なンだこりゃ」

美琴「さ、さあ?」


上条「痛い痛い全身がイタイーーーーッ!!! 誰かお医者さまを呼んでーーっ!?」


瀕死の重傷にのたうちながらも、ヒロインの危機に、ヒーロー(笑)は颯爽と登場した。



142: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/11/26(月) 19:44:49.50 ID:SDM9Bdsv0

CASE 04 白い悪魔>>>越えられない壁>>>幻想殺し>>>一方通行>超電磁砲、という現実


上条「ぶ、無事か、御坂……」ボロボロ

美琴「それはこっちの台詞! アンタこそ、なんだってそんなボロボロなのよ!?」ガビーン

上条「ヤツの奇襲にやられた……けほっ、けほっ!」

美琴「ヤツって誰のこと!?」

上条「残虐非道、手段のためなら目的を選ばない狂人……。し、白い……悪魔だ……」

美琴「白い悪魔って……ハッ!?」チラッ


一方通行「ああン?」


美琴「お前の仕業かーーっ!! よくも大切なゲコ友をこんな目に……ッ」ギリッ


一方通行「知らねェよ」


美琴「しらばっくれるつもり!?」

上条「そ、そこにヤツがいるのか!? 血を流し過ぎたせいか、目がよく見えねえ……」

美琴「ええ、そこにいる。少し戦ったけど、まるで歯が立たなかったわ」

上条「無理もねーよ。ヤツに通常の攻撃は一切通用しないんだ」※歩く教会的な意味で

美琴「……でしょうね」ゴクリ ※反射的な意味で



143: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/11/26(月) 19:47:32.13 ID:SDM9Bdsv0

9982号「ハァ、ハァ……無事でしたか、とミサカは実験関係者を爆殺せずに済んだ事実に安堵します」タッタッタ


一方通行「なンだよ、殺されに戻ってきたのかァ? 人形風情にしては殊勝じゃねェか」ニタァァ

9982号「実験外の交戦は演算結果に支障をきたしかねません、とミサカは実験の続行を促します」

一方通行「そォだな。俺もニンゲンは殺したくねェし、さっさと終わらせるとするか」


美琴「ま、待ちなさい!」


一方通行「まだ何かあンのかよ。三下でも理解できただろ? オマエじゃ俺は止められねェ」

9982号「お姉さまが気に病むことはありません。実験で消費されてこそ、実験動物の意義は果たされるのですから」

一方通行「だとよ」


美琴「ふざ…」

上条「ふざけんじゃねえッッ!!!」


一方通行「あァ?」


上条「鼓膜がイカレてよく聞こえなかったが、御坂妹にまで手出しする気だな! 外道がッ、大概にしとけよ!」ググッ

美琴「アンタ、まさかそのケガで!?」

上条「大丈夫だから、さがってろ」フラフラ

美琴「どうして……? そんなにボロボロなのに……」

上条「御坂じゃあのバケモノの相手は無理だ。だから……ここは、俺が戦う」フラフラ

美琴「で、でもこれは私が原因で起きたことなのよ!? アンタが戦う理由なんて…」

上条「誰かのために戦うのに、理由も資格もいらないだろ。何より御坂が不幸になるのを見過ごせねえ!!」キリッ

美琴「あ……」トクン

上条「……(今度ばかりは上条さんも我慢の限界だ。元夫として、性根を叩き直してやる!)」



144: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/11/26(月) 19:49:28.56 ID:SDM9Bdsv0

Side 一方通行


一方通行「まァたヒーロー気取りかよ。ま、そンなに死にたいなら、止めやしねェ」


上条「…………」


一方通行「つっても俺が手を下すまでもなさそうだが……ッ!?」

適当に痛めつけてやろうと算段していた一方通行の表情から余裕は消え、驚愕が張りつく。
フラフラと頼りない足取りで一方通行との距離をつめていた上条が突如、一方通行の視界から消えたのだ。

一方通行「どこに消えやがった?」

辺りを油断なく警戒する一方通行。
だが驚きは一瞬のことで相手は空間移動か、それに準ずる機動力を持つ能力者であると分析する。
そして出した対応策は「何もしない」だった。

学園都市第一位の能力者、一方通行。

その能力に比肩するものは無く、故に己より強い相手と戦った経験は皆無だった。


上条「歯ァ食いしばれぇぇッ!!」

一方通行「!?ッ」


まして、顔面を全力で殴られた事などあるハズもなかった。


145: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/11/26(月) 19:50:37.35 ID:SDM9Bdsv0

一方通行「は……あ、…………え?」

突然の衝撃と共に意識が暗転し、気付いたら満点の夜空が視界に広がっていた。
何が起きたのか理解できず、気の抜けた声を漏らしてしまったが、左頬から伝わるかつてない痛みが事態を雄弁に教えてくれる。

一方通行「反射を突破された、のか……?」

それはあり得ない事だ。

上条「今のは御坂妹の分だ」

一方通行「は……ァ?」

上条「そしてこれが御坂の分ッ!!」

一方通行「がふッ!?」

あり得ない事が二度起きた。
それはもう必然であり、一方通行は自分がツンツン頭の男に殴り飛ばされていると自覚した。

一方通行「グ、ガ……ッ、ハァッ、ハァッ……な、なンなンだオマエは!?」

上条「妙だな。お前ってこんなに弱かったのか?」

一方通行「お、俺が弱い……だと……?」

上条「なんだか興醒めだな。今すぐ御坂たちに謝るなら、ここで勘弁してやってもいいぞ?」

新たにあり得ない事が起きた。
しかし今度のは致命的だ。最強にむかって、目の前の男は何と言ったか。

弱いってのは、一方通行と対極に位置する言葉のハズだ。
しかも上から目線で勘弁してやるときたもんだ。

一方通行「舐めてンじゃねェぞ、この三下があああァァァッ!!!」


学園都市が誇る白い悪魔は、全ての容赦を投げ捨てツンツン頭に躍りかかった。



146: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/11/26(月) 19:51:31.96 ID:SDM9Bdsv0

Side 美琴


御坂美琴は目の前で繰り広げられている光景が信じられなかった。


上条「これは非業の死を遂げた上条さんの毛根たちの分ッ!!」

一方通行「おごっ!?」

上条「これは活躍の機会さえ与えられずに朽ち果てた我が息子の分ッッ!!」

一方通行「ごぎゃっ!?」

上条「これは無残にも消去された嫁たち(二次元)の分ッ!」

一方通行「ぎょぱッ!?」


激しい怒りと共に上条がパンチを繰り出し、それが突き刺さった一方通行はノーバウンドで吹き飛んでいく。
そして一方通行が地面に落ちる前に、驚異的なスピードで先回りした上条が再び殴り飛ばす。
かれこれ10ループはしただろうか。時間にすれば十秒にも満たないが、確実に一方通行は死への階段を上らされていた。

さながら獲物をいたぶる猫のような所業である。

ヒーローにあるまじき残虐ファイトに、心優しいヒロインが待ったをかける場面なのだが――


美琴「カッコいい……。アイツ、あんなに強かったんだ///」


生憎ヒロインは中学二年生。圧倒的強さを見せつけるヒーローに夢中だった。


147: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/11/26(月) 19:52:33.75 ID:SDM9Bdsv0

Side 一方通行


空から落ちてきたツンツン頭と交戦して一分が経過した頃、一方通行は虫の息だった。
一撃をもらう度に意識が飛びそうになり、しかし痛みのあまり意識を戻される拷問。

旺盛だった殺意はあっという間にへし折られ、痛みと恐怖に繊細な心は蝕まれていく。
何故反射が効かないのか? 何故自分がこんな目にあっているのか?
最強の殺戮者は最早存在せず、一方通行に出来るのは、この理不尽な暴力が終わるのを願うことだけだった。

そして漸く願いが叶う。

上条「そしてこれが散々嬲りものにされてきた、俺の分だああァァァーーーーーー!!!」

一方通行「グハッ!?」

今までで一番の衝撃を鼻っつらに感じた瞬間、一方通行は地面との再会を許された。


一方通行「う……あ……」

上条「回復魔術でも使われたら厄介だからな。このまま決めさせてもらうぜ」

己が対峙したバケモノは、容赦なく自分を葬るつもりだ。
どうしてこんな事になったのか。自分はただ誰も傷つけたくないから絶対能力者になりたかっただけなのに。

なのに傷つけたくないという願いを忘れ、妹達(シスターズ)をなぶり殺しにしたのは誰だ?

一方通行「あ……ぐゥッ……(は、ハハ、これが報いってヤツか……)」

初期衝動を思い出し、現実との自己矛盾を思い知る。
結局のところ、一方通行は明確な意志も理念も無く、唯々諾々と人殺しを続けていただけだった。

クローンを人形だと誤魔化して、殺戮を繰り返すだけの装置に成り下がっていた。

それが答えだった。



148: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/11/26(月) 19:54:48.40 ID:SDM9Bdsv0

矛盾が晴れた一方通行の心中は穏やかだった。
ここで死ぬことになっても、それは仕方のない事だと受け入れていた。

だがそれは虫のいい話だったらしい。


上条「もう二度と力を振るえないよう、お前の幻想をぶち殺させてもらう」


そう宣言したバケモノの右腕から、不可視のナニかが顕現する。
不可視であるのに認識できてしまう矛盾。圧倒的存在感により、強制的に認識させられてしまう恐怖。

死すら生ぬるい、存在そのものを蹂躙される恐怖に、一方通行は指一本動かせないでいた。

一方通行「あ、ああ……」

ただ殺されるなら、それは報いだと受け入れた。だがあんなのは聞いていない!
アレはレベル5だとか、絶対能力とか、そういう次元の存在ではない!

一切の善性や良心を許さない、アレは正しく邪悪そのものだ。

一方通行「や、やめっ……」

邪悪なナニかと目があってしまった。

一方通行「やめろ……」

邪悪なナニかが舌なめずりしている。

一方通行「やめてくれ……」

邪悪なナニかが獰猛な顎を目いっぱい広げている。

一方通行「や、やめろおおおォォォーーーーーーーーーーーーーーっ!!!」


邪悪なナニかに噛み殺される瞬間、一方通行はその正体を悟る。
人が抱く最強の幻想、永遠の神の敵対者、悪性の象徴にして嫉妬や怒りを司るもの。


一方通行(ドラ……ゴン……?)


この日、学園都市最強は誰に顧みられることなく死んでいった。



149: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/11/26(月) 19:55:28.51 ID:SDM9Bdsv0










こうして悪はヒーローに討たれ、ヒロインは日常を取り戻し、ヒーローは幸せを手に入れた……なんてハッピーエンドが許されるはずもなく――











150: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/11/26(月) 19:56:33.51 ID:SDM9Bdsv0

一夜明けて、とある病室――


上条「いてぇ……死ぬほど痛い……」

美琴「あんな無茶をするからよ。ほんとバカなんだから」ヤレヤレ

上条「うぐ、返す言葉もありません……」

美琴「助けてくれたのは感謝してるけど、代わりにアンタが死にかけてたら世話ないわよ」

上条「けどなぁ、あそこで引き下がるわけにはいかなかったんだよ」

美琴「いいわけしないの!」メッ!

上条「はい……」

美琴「アンタにもしもの事があったら、私はどうすればいいのよ……」

上条「御坂……」

美琴「私の不幸を見過ごせないって言うなら、心配させんなバカ……」

上条「そうだよな。ごめん御坂」

美琴「べ、別に謝ってほしいわけじゃなくって……わ、私はただ」ワタワタ

上条「ただ?」

美琴「……ありがとう、って言いたかっただけ///」テレテレ

上条「……ぷっ」クスッ

美琴「わ、笑うなー!///」プンスカ


151: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/11/26(月) 19:58:27.28 ID:SDM9Bdsv0

上条「素直にお礼を言う美琴たん萌えー。お前かわいいな」ニヤニヤ

美琴「か、かわっ!?///」カァァ

上条「せっかくの夏休みだし、退院したらデートのひとつもしたいなぁー、なんて思っているのですが」

美琴「デデデ、デートぉ!?///」

上条「ダメか?」

美琴「……ダメじゃないけど、心の準備というか整理というか、色々あるのよ……///」モジモジ

上条「今すぐオッケーしてくれなくていいからさ、考えといてくれよ」

美琴「う、うん……///」


◇ ◇ ◇ ◇


上条「そういえば御坂妹はどうしたんだ?」

美琴「……あの子ならさっき中庭で会ったわよ」

上条「何かあったのか?」

美琴「例の実験が完全消滅したって教えてくれたの」

上条「そっか」

美琴「……私がDNAマップを提供したせいで、あの子たちを辛い目に遭わせちゃった」ションボリ

上条「…………」

美琴「アンタは変わらず接してくれてるけど、本当は私なんか優しくしてもらう資格なんて…」

上条「ったく」

ポカッ

美琴「あいたっ、なにすんのよ!?」プンスカ



152: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/11/26(月) 20:00:12.56 ID:SDM9Bdsv0

上条「なーにネガティブになってるんだよ。何でも背負い込むんじゃありません」

美琴「だ、だって! 私が…」

上条「御坂、組織ってのはお前が考えてるほど甘いモンじゃねーんだ。やると決定されたなら御坂個人がどう動こうが止められないないんだよ」

美琴「…………」

上条「仮に御坂が妹達の件に関わらなくても、別の、似たような境遇の誰かが選ばれるだけだろ」

美琴「そんなの分かんないじゃない……」

上条「いいや、頭のいいお前は理解してる。納得できないだけだ」

美琴「じゃあどうすればいいのよ!」

上条「頼ればいいんだよ。独りで突っ走るな」ポンッ

美琴「…………」

上条「レベル5だからって独りで立ち向かう必要なんてないんだ」

美琴「うん……」

上条「御坂を慕って力になりたいってヤツは結構いると思うけどな」

美琴「でも巻きこんだりしたら……」

上条「同じ学園都市の住人だろ? 大なり小なり巻き込まれてるさ」

美琴「…………」

上条「それに何も直接戦うだけが全てじゃない。情報を扱うのが上手いヤツ、料理が上手いヤツ、機転の利くヤツ、いつも笑顔なヤツ」

上条「一人一人はちっぽけだけど、かき集めて束ねれば、きっと凄い力になる。だから御坂が一人で思い悩むことはないんだよ」

美琴「……アンタも私の味方でいてくれる?」

上条「ああ、もちろんだ。なにせ七十年前からの規定事項だからな」ニコッ

美琴「意味分かんないわよ、バカ……」クスッ



153: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/11/26(月) 20:01:45.66 ID:SDM9Bdsv0

翌日 入院中


上条「嗚呼、なんて平和なんだ。白い悪魔に怯えずにすむ幸せ……今、上条さんは不幸ではないッ!!」


コンコン


上条「はい、どうぞ」

ガラガラ

木原「よーっす、幻想殺し。ケガの具合はどうだ?」

上条「あ、あのぅ、どちら様でせうか?」オズオズ

木原「おおっと、自己紹介がまだだったな。俺は木原数多、お前の上司になる男だ。よろしくなー」

上条「はい……?」ハテ?

木原「退院次第、お前は俺の指揮下に入ってもらう。業務内容は学園都市の不穏分子の殲滅、何か質問はあるか?」

上条「ちょちょ、ちょっと待った!?」

木原「ああん?」

上条「なんだよそれ! 一般学生の上条さんが何故にそんな胡散臭い仕事をしなきゃならんのか!?」

木原「謙遜すんじゃねぇよ。学園都市が誇る最強の能力者をぶっ壊してくれたじゃねーか」ニヤニヤ

上条「へ?」

木原「ぎゃはははははは!! あのクソガキの醜態はサイコーだったぜぇ! 俺でもあそこまで上手く壊せねぇよ!」

上条「ま、まさか……あれはインデックスじゃなかったのか?」ガクガク


154: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/11/26(月) 20:07:33.76 ID:SDM9Bdsv0

木原「それとお前には莫大な借金を背負ってもらうぜ。その額なんと1兆8000億だ! ぎゃはは、スゲーなオイ!」

上条「いいいい、一兆八千億ぅぅぅーーーーーー!?」ガビーン

木原「絶対能力進化の消滅で余った妹達の在庫代だ。一体あたり1億8000万、端数切り捨てで一万体分にまけてやってるんだから感謝しろよ?」

上条「なんで俺が!?」

木原「テメエの勝手で学園都市が損害を被ったんだ。責任取るのは当然だろうが」

上条「そ、それにしたって金額がががが……」

木原「別に逃げたって構わねえぞ? 代わりに超電磁砲に背負ってもらうからよぉ」ニタァァ

上条「くそっ、人質かよ!」

木原「そう悲観するこたねぇよ。仕事一回につき1億8000万支払ってやる」

上条「マジで!?」

木原「大マジだ。お前が相手にするのは『マジュツシ』とかいう外部の能力者モドキだからな」

上条「!?」

木原「危険度も最高ランク、命の保証も無し。ま、その代償だから当然の金額ってわけだ。遠慮すんな」

上条「…………」プルプル

木原「お前が所属指揮する組織名は『グループ』、構成員はテメェで探せ。俺は命令を伝えるだけだから当てにすんなよ?」

上条「ふ、不幸だ……」ガックリ

木原「まあ諦めな。クソ以下の暗部でも住めば都ってなぁ! ぎゃはははは!!」ゲラゲラ



155: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/11/26(月) 20:09:02.45 ID:SDM9Bdsv0

数時間後


上条「どうしてこうなった……。俺はただ理不尽な不幸をぶち殺しただけなのに」


禁書「ふぅ~ん」ヒョコ


上条「出たな悪魔め!」

禁書「悪魔はとうまの方でしょう? 善良な小市民に『竜王の顎(ドラゴンストライク)』なんて使ったくせに」

上条「うぐっ」

禁書「かわいそうに、あの白い人は二度と能力者として生きていけないんだよ」ジトー

上条「お、俺はなんてことを……」

禁書「でも白い人はとうまに感謝するかもね」

上条「……なんで?」

禁書「だって能力と一緒に不幸の源まで食らい尽くしたんだもん。これからの白い人の人生は幸福一色かも」シレッ

上条「…………」ポカーン

禁書「その分とうまは不幸になるけどね」クスクス

上条「それでか……あの借金はそのせいなのか……」ガックリ


156: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/11/26(月) 20:10:43.34 ID:SDM9Bdsv0

禁書「で、ここからが本題なんだけど。とうま、覚悟はいい?」

上条「な、なんの覚悟だよ!?」ビクッ

禁書「未遂に終わったとはいえ、このインデックスに牙を剥いた事実は消せないんだよ」ゴゴゴゴ

上条「そ、それがどーしたよ! 竜王の顎ならお前の10万3000冊だろうが…」

禁書「確かにとうまの右手は無敵かも。でも制限があるよね?」

上条「あ」

禁書「一度全力を解放しちゃうと、再使用までひと月のブランクがある。ほんとに迂闊なんだから」ヤレヤレ

上条「……(ヤバイヤバイヤバイ! 戦闘なんてウン十年ぶりだからすっかり忘れてたーーーー!?)」

禁書「さあ懺悔の時間だよ?」ニッコリ

上条「ひいっ!?」

禁書「その罪、魂に刻んであげるんだよォォォーーーーー!!!」ピョーン

上条「待て!? 上条さんはケガ人…」


ザシュッ!! グチャッ!! メコッッ!!!


上条「ひぎィィィーーー!?!? の、脳漿がでちゃうーーーーー!?」ギャース!!




248: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/22(火) 19:38:25.24 ID:Jbk2ujv40

学園都市 某所――


仄暗いカルトチックな地下室で、恐るべき魔術結社が胎動していた。
白地に金の刺繍が施された修道服に身を包んだ、稀代の魔神は鈴を転がしたような声音で召喚する。

禁書「アウレオルス=イザード」

アウ「当然、傍近くに控えております」

禁書「首尾はどうかな?」

アウ「依然、『熱狂的再征服(レコンキスタ)』発動には魔力の絶対量が足りません」

禁書「まあ仕方ないんだよ。このインデックスといえど、個人が捻出できる魔力量には限界がある」

アウ「必然、足りないなら別から補うのが魔術というもの。君の予言が真実なら、間もなく高純度のテレズマが降臨するようだが……」

禁書「フフフ、とうまが内包している存在より幾分格は落ちるけど、吸収すれば魔力の心配は無くなるかも」

アウ「騒然!? かの大天使に戦いを挑むというのか!」

禁書「それは英雄(とうま)の仕事なんだよ。私たちは儀式場を押さえ、術式を改竄してやるだけ」

アウ「なるほど……それならば」

禁書「さあ行こうか。大いなる父の代行者は、このインデックス唯一人であるべきなんだよ」


高笑いを上げるインデックスと錬金術師。

最強の魔神による、しょーもない計画が密やかに始動した。


249: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/22(火) 19:39:51.29 ID:Jbk2ujv40

CASE 05 とある借金の返済計画


八月二十一日

第七学区 とある病室――


上条「ケガも治ったし、ようやく退院かー」

木原「んじゃ張り切って仕事を始めるとするか。借金返済の始まり始まりーってな、ぎゃはははは!!」ゲラゲラ

上条「…………」

木原「オイ、どうしたんだ?」

上条「いきなり容赦ない現実を突きつけられた。不幸だ……」ズーン

木原「1兆8000億だもんなぁ。仕事一回あたり1億8000万の報酬がでても、正味一万回もこなすって、ハハ、笑えるな」ケラケラ

上条「笑えねーよ!?」ガァァ

木原「そんな不幸なテメーにプレゼントだ。入ってこい」

ガラガラ

9982号「本日より『グループ』に配属されたミサカ9982号です。よろしくお願いします、とミサカは丁寧にお辞儀します」ペコリ

上条「お、おい」

木原「人材を引っ張ってきてやったんだ。感謝しろよ?」ニヤ

上条「なに御坂妹を巻き込んでんだよ! コイツは関係ないだろ!」

9982号「関係ないとは心外です。あなたの借金は妹達の身請け代ではありませんか、とミサカは暴露します」

上条「マジで!?」ガビーン


木原「時間が勿体ねえ。とりあえず移動すんぞ」


250: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/22(火) 19:41:01.93 ID:Jbk2ujv40

第七学区 グループアジト――


木原「ここを拠点にキリキリ働いて借金を返せよ」

上条「ま、待てよ!」

木原「ああん? 何か不満でもあんのか?」

上条「広くていいマンションですね……じゃなくて!! どうして上条さんちの家具がここにあるんだよ!?」


ベッド『』デデン

テーブル『』デデン

タンス『』デデン


9982号「貧相な家具ですね、とミサカは素直な感想を述べます」シレッ

木原「貧乏クセーなぁ。部屋がスカスカじゃねぇか」ヤレヤレ

上条「うっせーよ! ていうか俺の部屋は!?」

木原「ああ、言ってなかったがテメーの入院中に寮は引き払っといた。今日からお前らはここに住め、いいな?」

上条「」パクパク

木原「連絡事項は以上だ。仕事の連絡はケータイで行うから肌身離さす持ってろ。そんじゃあな」スタスタスタ

ガチャ バタン

9982号「ではミサカは自室の確認をします」トコトコ

上条「」パクパク


251: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/22(火) 19:42:08.59 ID:Jbk2ujv40

数十分後


9982号「あなたは何時まで呆けているのですか? とミサカは頬を叩いてみます」ペチペチ

上条「ハッ!?」

9982号「これからどうしますか? とミサカはリーダーに指示を仰ぎます」

上条「どうするもこうするも、あまりの展開に置いてけぼりなのですが……」

9982号「大丈夫です、とミサカは自信満々に言い切ります」

上条「なにが?」ハテ?

9982号「どのような敵が現れようと、あなたが負ける姿は想像できません、とミサカはあなたの強さに全幅の信頼を寄せます」キラキラ

上条「え……俺が強い?」

9982号「はい、ミサカが知る限り あなたは最強です」コクリ

上条「…………」プルプル

9982号「ですからこの先ミサカが生き残るには、あなたに着いていくのが最善と判断…」

ガシッ

上条「絶対に守るから、御坂妹もシスターズも絶対に守ってみせるからな!」パァァ

9982号「はい、頼りにしています」コクリ

上条「嗚呼、こんな風に頼られるのはいつぶりだろう……」ウルウル


テッテレー

上条当麻は数十年ぶりに頼られる喜びを味わった!!

上条当麻は御坂妹(9982号)及び、妹達に対して過保護になった!!


252: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/22(火) 19:43:31.66 ID:Jbk2ujv40

上条「よっしゃー! 俄然やる気が出てきましたよ!」

9982号「あ……」クゥゥ

上条「ハハ、腹も減ってきたし買い出しに行くか。御坂妹も一緒に来る?」

9982号「……以前から気になっていたのですが、その『御坂妹』とはミサカの事ですか? とミサカは疑問を口にします」

上条「そうだけど」

9982号「御坂妹……このミサカだけの呼び名……」ニヘラ

上条「……もしかして嫌だったか?」

御坂妹「いいえ、とても気に入りました。今からこのミサカの固有ネームは御坂妹です、とミサカは独断で決定しました」

上条「そりゃ良かった。そんじゃ出かけようぜ」


◇ ◇ ◇ ◇


とある病院――


10032号「ッ!?」

冥土帰し「おや、どこか具合でも悪いのかい?」ハテ?

10032号「い、今なにか大切な……このミサカのアイデンティティが失われたような……」ワナワナ

冥土帰し「よく解らないが、個性が芽生えるのは良い事だね?」



253: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/22(火) 19:44:35.44 ID:Jbk2ujv40

とあるスーパーマーケット――


上条「御坂妹は何が食べたい?」

御坂妹「肉……お肉が食べたいです、とミサカは本能の命ずるがまま答えます」

上条「肉かー……。う~ん、ご奉仕品にミンチがあるからハンバーグにするかな?」ウーン

御坂妹「ハンバーグ……っ!!」キュピーン

上条「あとは付け合わせにポテサラと野菜スープでも作るとすっか」

御坂妹「あなたはお料理が出来るのですか? とミサカは期待の眼差しを向けます」キラキラ

上条「フフン、この上条さんを侮るなよ? 和洋中、何でもござれだ!」ドヤァ

御坂妹「今すぐ帰還を申請します、とミサカはすでにハンバーグで頭がいっぱいです」グイグイ

上条「あはは、そんなに腹がへってるのかよ」ズルズル


254: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/22(火) 19:45:17.23 ID:Jbk2ujv40

路地裏――


上条「み、御坂妹さん? 何やら薄暗い路地裏に入っているのですが……」

御坂妹「ショートカットです」

上条「いやそれは分かるけど、こういう人通りの少ない場所を通ると…」

ドンッ!

浜面「痛っ!?」

上条「ああ、すみません! てな具合に――」ペコリ

浜面「気をつけろクソがっ!!」ガァァ

上条「チンピラに絡まれるんだな、これが」ヤレヤレ

御坂妹「?? あなたなら苦も無く撃破できるのでは? とミサカは素朴な疑問を呈します」ハテ?

上条「そういう問題じゃねえ。自ら進んで揉め事を起こさないようにだな…」クドクド


浜面「テメーら……無視してんじゃねぇよ!!」ウガァァ!!


上条「見てみろ、最近の若者はこんなにもキレ易いんだぞ」ホラネ

御坂妹「嘆かわしいですね」ヤレヤレ


浜面「オーケー、お前らケンカ売ってるんだな? そうなんだな!?」ブチッ


255: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/22(火) 19:46:27.50 ID:Jbk2ujv40

Side 浜面


浜面は苛立っていた。生来のチンピラ気質も影響しているのだろうが
目の前のスカしたツンツン頭の男が、どうにも気に食わなかったのだ。

平均よりかなり低い沸点はとうに超え、浜面は右手を握りしめ上条に殴りかかった。

浜面「おらあッ!!」

アスリート並の肉体を持つ浜面の右ストレートがツンツン頭の頬に突き刺さる。
だというのに……

浜面「いってぇぇーー!?」

上条「ハハ、なんで殴ったお前が痛がってるんだよ」

浜面「知らねぇよ! クソッ、こいつ高位能力者か……!」

上条「いいや、上条さんは無能力者(レベル0)ですよ?」

浜面「はぁ?」

理解の範疇を超えていた。
伊達にカラダを鍛えているわけではないのだ。ただの無能力者が今の一撃を受けてノーダメージなんてあり得ない。

上条「それより気は済んだか? 早く帰って飯を作りたいんだけど」

浜面「は、はは……」

まるで眼中にない。
そのコトが浜面を更に苛立たせる。男としてのプライドが、このふざけた野郎をブチ倒せと命じる!


浜面「これで済むわけねえだろうがぁぁああああああああああ!!!」


Side Out――


256: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/22(火) 19:47:55.73 ID:Jbk2ujv40

数分後


浜面「ハァ、ハァ……あり得ねぇ……手加減なしのストレートが完全に入ったのに……」ゼェゼェ

上条「さすがに何発も殴られると痛いな」ヒリヒリ

浜面「俺より体格が劣るってのに、なんてタフさだ……」

上条「もう十分だろ。お前じゃ俺は倒せねーよ」

浜面「ま、まだだ……!」

上条「ふむ、近頃の若いモンにしては根性があるな」ウン

クイクイ

上条「ん?」ハテ?

御坂妹「早く帰りましょう、とミサカは空腹に耐えきれずあなたを急かします」クゥゥ

上条「そうだな。んじゃ上条さんたちは失敬しますよっと」


浜面「まだ終わってねえっつってんだろうがぁぁーー!!!」シュッ!!

ヒラリ

上条「遅い」

浜面「なっ!?」

上条「突っかかるのはお前の勝手だけどさぁ……とりあえず、この如何ともしがたい実力差を埋めてからにしてくれよ」スッ

ドゴッッ!!!

浜面「ごほッ!?!?」バターン

上条「あれ? 手加減ミスったかな……?」

浜面(や、やめりゃあよかった! こんなタフガイにケンカふっかけるのはよォ……!)ガクリ


浜面仕上 リタイア!!!


257: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/22(火) 19:48:38.26 ID:Jbk2ujv40

グループアジト――


浜面「――んお?」


上条「おお、気がついたか」


浜面「いってぇぇ……。俺は一体……ってテメェは!?」

上条「テメエじゃない、俺は上条当麻だ。お前は?」

浜面「…………浜面仕上」ボソッ

上条「はまづら……? まさかバニー大好き浜面なのか!?」ガビーン

浜面「なんで知ってんの!?」ガビーン

上条「なんでって……あーなるほど、言われてみれば超浜面だわ、うん」シゲシゲ

浜面「意味わかんねぇよ! ていうかここ何処!?」キョロキョロ


御坂妹「ここは、もぐもぐ、統括理事直轄組織、もぐもぐ、グループのアジト、ごっくん、です」モグモグ

上条「こらこら、口の中のものを飲み込んでから喋りなさい」メッ

御坂妹「はい、とミサカは食事に集中します。ハンバーグおいしい……♪」モグモグ

上条「折角だし浜面も食べるか?」


浜面「お、おう」


258: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/22(火) 19:49:46.99 ID:Jbk2ujv40

食後


御坂妹「ごちそうさまでした、とミサカは食後のお茶を啜ります」ズズッ

上条「浜面もお茶飲むだろ?」コポコポ

浜面「ああ、頼む。こんなに旨い飯を食ったのは久しぶりだぜ……って違うだろ!?」

上条「なにが?」ハテ?

浜面「さっき不穏当な単語が飛び出したよね!? 統括理事会がどうとかって……」

御坂妹「統括理事直轄組織『グループ』、彼はそのリーダーでミサカは構成員その一です、とミサカは補足しました」タンタン

上条「まあアレだ、学園都市にとって不都合な連中(魔術師)を始末する組織ってヤツ?」タンタン

浜面「…………」ガクブル

御坂妹「冷房が強すぎますか? とミサカは震えるチンピラを心配します」

浜面「……(嫌ああああああ!? 絶対に関わったらダメな連中に関わっちまったぁぁーーーーーー!?)」ブルブル

上条「で、どうする?」

浜面「ッ!?(ス、スキルアウトも学園都市には不都合な存在だよな!? ヤバイ、殺される!)」ビクッ

上条「こっちとしては浜面をスカウトしたいんだけど、どうかな?」

浜面「おおお、俺みたいな下っ端を殺っても……って、え……スカウト?」キョトン


259: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/22(火) 19:51:10.02 ID:Jbk2ujv40

上条「今日立ちあげたばっかの組織だからな。優秀な人材を確保したいってのが人情だろ」

浜面「俺が優秀……?」ポカーン

上条「うん」

浜面「え、ただの無能力者でスキルアウトなんだけど……」

上条「誰かに押し付けられた肩書なんざ下らねえ。俺は浜面仕上を義理と根性のある漢(オトコ)と見込んで話をしてるんだ」キリッ

浜面「!!!」ピシャーン!!

上条「頼む、俺たちの仲間になってくんねぇか?」

浜面「お、俺なんかでいいのか……?」ワナワナ

上条「なんかじゃねーよ。お前が欲しいんだ!」デデン

浜面「こ、こんな風に評価されたのは初めてだ。素直に嬉しいぜ。……けどみんなを、駒場の旦那たちを裏切るわけには」ジーン……

上条「スキルアウトの仲間のコトなら問題ないぞ」

浜面「え」

上条「浜面がつなぎ役をしてくれたら、組織同士で連携がとれるだろ? もちろん対等な関係だし、必要な物はこっちで用意するからさ」

浜面「…………」

上条「なんとしても果たさないといけない目的があるんだ。だから重ねて頼む、力を貸してくれ」ペコリ

浜面「……わかったぜ、大将にそこまで言われたとあっちゃあ断れねえ。駒場さんに話してみる」

上条「そうか! ありがとうな!!」パァァ

浜面「んで、肝心の目的ってなんなんだ?」


上条「借金を完済することだ」デーン


浜面「ああ借金は良くないな、うん。…………はああぁぁぁぁ!? 借金っ!?」ガビーン


テッテレー

グループの構成員に、浜面仕上が加わった!!


260: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/22(火) 19:52:29.88 ID:Jbk2ujv40

八月二十二日

第七学区 グループアジト――


浜面「――で勢い任せで就職したのはいいんだが」


上条「金が無ぇぇーーーー!? なけなしの貯金まで差し押さえられてるなんて聞いてねーよ!?」ギャース

御坂妹「ミサカは元から一文無しなので悪しからず、とミサカは金策を丸投げします」シレッ

上条「浜面は!? 何か当てはありませんか!?」


浜面「……かねがね金が無ぇ」ボソッ


上条「お前もかーーー!! くっそー、こうなったら」pipi

トゥルルル、トゥルルル

木原『おう、何か用か?』pi

上条「仕事をください!」

木原『仕事だぁ?』

上条「生活費が枯渇してるんだよ! つーか組織の運営費をくれよ!!」ガァァ

木原『甘えんなクソガキ。それくらい自力で調達しろ』

上条「ぐぬぬ……!」

木原『ま、そうは言っても先立つものは必要だよなぁ?』

上条「あ、不幸の予感」

木原『ククク、悪い話じゃねーよ。とにかく俺の研究室に来い』


261: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/22(火) 19:54:20.90 ID:Jbk2ujv40

木原くんの研究室――


上条「失礼しまーすっと」


木原「よく来たな、そんじゃ説明するぜ」

上条「え、軍資金をくれるんじゃないの?」

木原「甘えんなっつっただろ。お前らには自力で稼げる場を提供してやる」

上条「稼げる場?」ハテ?

木原「今日から警備員(アンチスキル)も兼業しろ。ほれ、身分証も発行してあるからよ」ポイッ

上条「おっと」キャッチ

木原「配属部署は『特務支援課』だ。新設の部署で、学園都市で発生した事件を独自の裁量で解決するってのが業務内容になる」

上条「は?」

木原「いわゆる表の顔ってヤツだ。馬鹿正直に『グループ』を動かすわけにはいかないからな」

上条「なるほど……」

木原「事件を一件解決する度に、俺が一万円支給してやる。ポケットマネーだ、有り難く思えよ?」

上条「マジで!?」

木原「マジだマジ。だからしっかり稼げ」ニヤニヤ

上条「いよっしゃあああーーー!!! はりきって稼ぐぜ!!」


◇ ◇ ◇ ◇


天井「おや、幻想殺しが来ていたのではないのか?」

木原「予め決めていた『アルバイト』を紹介したら飛んで帰りやがった」ケラケラ

天井「……統括理事長から国家予算並の金額を頂いているというのに、酷い話であるな」ゲンナリ

木原「あれは俺らの懐の中だろうが。それによぉ、他人に厳しく自分に甘い。それが正しいオトナの在り方ってもんだろう?」ニタァァ

天井「……それもそうか」ウン


262: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/22(火) 19:55:32.93 ID:Jbk2ujv40

第七学区 とある公園――


上条「てなわけでパトロールをしませう」

御坂妹「了解、とミサカは作戦行動に移ります」ラジャー

浜面「ま、いいけどよ。何か当てはあるのか?」

上条「心配すんな。不幸体質の上条さんが徘徊すれば、事件の方から寄って来るって寸法よ」フフン

浜面「大将……」ホロリ


チェイサーー!!

ピロピロピロピロピロ!!!!

ゲッ、ケイホウガ!?


上条「ほらね!」ドヤッ

浜面「自慢にならねぇよ! てか逃げらる前に押さえないと拙いだろ!」タッタッタ


◇ ◇ ◇ ◇


「どーして警報が鳴るのよ!? いつもは鳴らないのに!」アタフタ


浜面「アンチスキル特務支援課だ! そこの女子生徒、大人しくこっちの指示に従え!(うわっ、何これ気分イイ!?)」ビシッ

御坂妹「あなたを器物損壊の容疑で拘束します、とミサカは刑事ドラマばりのキメ台詞を繰り出します」

上条「つーわけだ。抵抗は無意味だから大人しく…」


美琴「へ……?」キョトン


上条「あれ?」ハテ?


285: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/02(土) 18:58:29.64 ID:l0/dKVIF0

第七学区 とある公園――


美琴「え、どうしたの? アンチスキルって、拘束って何?」ハテ?


御坂妹「残念ですお姉さま。まさかオリジナルがしょーもない犯罪に手を染めるとは、とミサカはゴミを見るような目で見下します」ジトー

浜面「うおっ!? 御坂妹のそっくりさん?」

上条「御坂、お前……」


美琴「ちょ、待ちなさいよ!?」オロオロ


上条「いくら御坂でも犯罪は犯罪だ。俺たちについてきてくれるな?」

御坂妹「レベル5とて彼を相手に抵抗は無意味ですよ、とミサカは素直に逮捕されるコトをおススメします」

浜面「はあ!? お前の姉ちゃんレベル5なのかよ!?」ガビーン


美琴「くッ……わかったわ」ションボリ


浜面「ええーっ! 戦わずしてレベル5を屈服させるとか大将何者だよ!?」ガビビーン

上条「俺がスゴイんじゃねーよ。御坂が良い子なだけだ」

御坂妹「お子様趣味ですけどね、とミサカはせせら笑います」プークスクス


上琴「「ゲコ太を馬鹿にすんなっ!!」」ガァァ


286: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/02(土) 18:59:44.11 ID:l0/dKVIF0

CASE 06 とある暗部(笑)の超電磁砲


木原くんの研究室――


御坂妹「器物損壊及び、窃盗の現行犯をとっ捕まえました、とミサカは淡々と報告します」タンタン

美琴「なんだか本物の犯罪者みたいな扱い……」ショボーン

上条「そんな顔するな。ちゃんと反省すれば帰れるから」ヨシヨシ

美琴「う、うん」

浜面「まあ初犯なら厳重注意くらいで済むだろ」ヘラヘラ


木原「……(まさか利用しようと考えてたそばから超電磁砲をしょっ引いてくるとはな。コイツの不幸は筋金入りだ)」ニヤリ


上条「えっと、マニュアル通りに調書を取って反省文を書かせたら解放、でいいんだよな?」

木原「それは無理だな」

上条「え?」

木原「オイオイ、この嬢ちゃんは学園都市を代表する超能力者だ。そんなヌルイ処罰じゃ他に示しがつかねえだろうが」

美琴「…………ッ」ガクブル

上条「御坂はまだ中学生だぞ? 普通に反省文だけで十分だろう。御坂も反省してるよな?」

美琴「は、反省してます!」コクコク

木原「そうだなぁ、俺も鬼じゃねえ」

上条「そっか、なら…」

木原「だが余罪がある場合は話が別だぜ?」ニタァァ


浜面「……(くっせぇぇッ!! このオッサン、とんでもねぇ悪党だ。ゲロ以下の臭いがプンプンするぜ!!)」クサッ!?



287: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/02(土) 19:02:19.09 ID:l0/dKVIF0

上条「余罪?」

木原「清掃ロボの破壊が三回、携帯の基地局の破壊が十三回、大規模停電での被害が千件超、その他軽犯罪が三十以上、と」スラスラ

上条「み、御坂さん?」

美琴「えっ、そ、そんな! 今までは何も…」オロオロ

木原「今まではテメーに価値があったからお咎めなしだったんだ。だが例の実験が凍結されたからには、なぁ?」

美琴「ふ、ふざけんなっ!! あの実験のこと、私は許してないんだから!」ガァァ

木原「おー怖い怖い」

美琴「この……ッ!」イラッ

木原「まあお前の怒りはもっともだ。けどよぉ、テメーが犯罪者なのも否定しようがねえ事実だろうが、ああん?」ギロッ

美琴「そ、それは……」

上条「御坂、心配すんな。上条さんが何とかしてやるから」ヨシヨシ

美琴「……大丈夫なの? アンタに迷惑が…」

上条「あの時約束しただろ。俺はいつだって御坂の味方だよ」

美琴「何よカッコつけちゃって……バカなんだから///」カァァ


木原「カッコイイねぇ、お前は俺が守るってかァ? ギャハハハハ!!」ゲラゲラ

上条「木原さん、御坂にはちゃんと言って聞かせるから穏便に済ませてもらえないか?」

木原「構わないぜ? その代わり上条、テメェに超電磁砲が出した損害額を背負ってもらうことになるがな」ニヤリ


浜面「ダメだ大将! このオッサンを信用しちゃいけねえ! 何か裏があるに決まってる!」


木原「オイオイ、俺は親切心で妥協案を提示してるんだぜ?」ヤレヤレ

上条「……わかった、借金なら俺が背負う。だから今回だけは御坂を許してくれ」

木原「オーケー、契約成立だ。しかしお前も難儀なヤツだな。妹達の次はオリジナルの借金もなんてよ」ニヤニヤ



288: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/02(土) 19:04:16.86 ID:l0/dKVIF0

美琴「ちょ、ちょっと待ちなさいよ! 妹達の借金って何? それに私が出した被害なら自分で払うわよ!」

木原「どうやってだ?」

美琴「フン、レベル5を舐めないでよね。お金なら…」

木原「現時刻をもって御坂美琴の口座を全て凍結。奨学金も全額凍結だ」シレッ

美琴「え」

上条「はあ!?」

木原「当然だろ? 学園都市も犯罪の尻拭いをさせるために高い奨学金を出してるわけじゃねえ」ニヤニヤ

美琴「そんな!?」ガビーン

木原「ククク、だがさっきも言ったが俺も鬼じゃねえ。お前に道を提示してやる」

美琴「道……?」

木原「そう、誰も損をしない唯一の冴えた道だ」ニタァァ


◇ ◇ ◇ ◇


グループアジト――


美琴「今日から配属された御坂美琴です。精いっぱい頑張りますのでよろしくお願いします」ペコリ


御坂妹「ようこそ借金ライフへ、とミサカは拍手でお姉さまを歓迎します」パチパチパチ

浜面「スゲー! レベル5が同僚とか! なあ大将……大将?」ハテ?

上条「御坂を巻き込んじまった……」ズーン


テッテレー


グループの構成員に、御坂美琴が加わった!!

上条さんの借金がさらに追加された!!


289: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/02(土) 19:05:24.93 ID:l0/dKVIF0

上条「ごめんな御坂。守るなんて言っておいて、こんな事に……」

美琴「ううん、アンタのせいじゃないわよ。これは私自身のケジメだから」

上条「…………」

浜面「きっとなんとかやっていけるって。大将とレベル5が居るんだぜ?」

御坂妹「一般人とはいえ、お姉さまの能力は傑出しています。治安維持活動など余裕でしょう、とミサカは冷静に分析します」

美琴「そうそう、私だって戦えるんだから」ウンウン


上条「違うんだ、そういうコトじゃないんだよ……」ワナワナ


美琴「ど、どうしたの?」

浜面「何が違うってんだ?」ハテ?


上条「アイツが……あのバケモノが……白い悪魔に御坂を殺されてしまうッ!?」ギャース


浜面「は……?」ポカーン

御坂妹「白い悪魔とは一方通行の事でしょうか? とミサカはあなたが怯える理由に疑問を抱きます」ハテ?

美琴「一方通行ならアンタがやっつけたじゃない。なんで今更…」


禁書「フフフ、ごきげんよう短髪」シュン!


上琴妹浜「「「「!?」」」」ビクッ



290: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/02(土) 19:07:12.46 ID:l0/dKVIF0

美琴「……テレポーター?」

禁書「こちらでは初めましてが正解かな? 私はインデックス、とうまの妻なんだよ」クスクス

美琴「つ、妻って……」チラッ

上条「誤解だっ!! そんなのは事実無根、白い悪魔の妄言だっ!!」ガァァ


浜面「……(え、こんなチンチクリンが白い悪魔?)」


禁書「人前だから照れてるの? 相変わらずツンデレさんだね♪」

上条「都合のいい様に解釈すんな! 俺は御坂が好きなんだ! 誤解されるような嘘はやめろよ!?」ギャース

禁書「もう、とうまったら♪」クスクス

上条「クソッ、聞いちゃいねえ!」


美琴「……///」カァァ

浜面「おお、直球かよ。さすがは大将だぜ」ニヤニヤ

御坂妹「良かったですねお姉さま、とミサカは真っ赤になって照れる姉を冷やかしてみます」ニヤニヤ

美琴「て、照れてなんか……ないわよ///」テレテレ


291: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/02(土) 19:09:37.09 ID:l0/dKVIF0

上条「もう縁は切ったのに、悪質なストーカーめ……」グヌヌ

禁書「私たちの縁はダイヤモンドみたいに堅く強固なんだよ。切れるわけないかも」シレッ

上条「何がダイヤモンド並だって? こより並の間違いだろ、いや納豆の糸より脆いんじゃねーの?」ヘラヘラ

禁書「……餓哭喰噛嚥魂(ブラッディ・デスイーター)」ボソッ

上条「おまっ、まさかそれは……ぎゃああああああああああああああああああああああああ!?!?」ガブガブ


浜面「た、大将の足元から馬鹿デカイ口が!? 大将を丸のみにしようとしている!?」ガビーン


禁書「減らず口ばかりなとうまは、異界の魔物にかじられて反省すればいいんだよ」

上条「うぐぐ……殺られてたまるかぁぁーーーーー!!!」

パキーン!

上条「ハァハァ、こ、殺す気か!?」

禁書「ふんぐるい むぐるうなふ くとぅるう るるいえ うがふなぐる ふたぐん……」ブツブツ

ウゾゾゾ

海魔「ぎゅるぎゅる」ウネウネ


浜面「なんだありゃあ!? か、海産物……不気味な海産物が白いシスターの影から這い出てくる……ッ!?」ギョッ!?

御坂妹「醜いですね、とミサカは率直な感想を述べます」

浜面「ああ、こんな醜悪なのは見たことがねえ! 恐怖すら忘れてしまうほどの嫌悪感! ウネウネと蠢く触手! まさにバケモノだぜ!」


海魔「FUuuuuuuu!!!」ズズズ


美琴「ひっ!? こ、こっちくんな!」ビリビリッ!!

海魔「ふしゅるるるる……」プスプス

浜面「うわっ、磯くさっ!?」


禁書「フフ、海魔は一匹だけじゃないかも。私の魔力が続く限り、いくらでも召喚できるんだよ」ニコッ

上条「十字教徒が旧支配者を使役しようとすんな!?」ギャース

禁書「どうして?」ハテ?

上条「仮にも最大主教まで務めたくせに、少しは教義を守れよ!」ガァァ

禁書「魔術なんて数ある手段の一つでしょう? 何よりこのインデックスこそが教義なんだよ」シレッ

上条「昔はこんなんじゃなかったのになぁ……」ホロリ


292: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/02(土) 19:11:55.61 ID:l0/dKVIF0

禁書「まあ冗談はこれくらいにして、今日はとうまにお話しがあるんだよ」

上条「……お前なんかネセサリウスに粛清されてしまえ」

禁書「十字教の総力を挙げても無理だと思うけど?」クスクス

上条「だろうな……」ゲンナリ

禁書「コホン、まわりくどいのは面倒だから単刀直入に言うんだよ。とうま、私に協力し…」

上条「嫌だ」キッパリ

禁書「…………」ポカーン

上条「上条さんは借金の返済だけで手いっぱいなんです。つーか二度と宗教には関わらんと言っただろうが」ヤレヤレ

禁書「は、話くらい聞いて欲しいかも!」アセアセ

上条「どーせ世界の覇権を握るとか、テメー中心の理想郷を作るとかそんなしょーもないコトだろ?」

禁書「しょーもあるもん!!」プンスカ

上条「ドンパチやるならイギリスでやれよな。学園都市を巻き込むな」シッシ

禁書「むうう~~~~ッ!! 私の伴侶として協力してくれるなら世界の半分をあげてもいいのにっ!!」

上条「そんなの欲しくねーよ。あと伴侶言うな、怖気が走るわ」ゾクッ

禁書「ひどっ!?」ガビーン

上条「話はそんだけか? こっちは仕事で忙しいんだ。用件が済んだなら」

ヒョイ

禁書「むあ!?」ジタバタ

上条「さっさとお引き取りくださいよ、っと」

ポイッ

禁書「きゃん!」ドサッ

ガチャリ

禁書「…………」


293: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/02(土) 19:14:07.04 ID:l0/dKVIF0

上条「ふぅ……」ヤレヤレ

浜面「い、いいのか? 玄関先で騒いでるけど」


トウマァァーー!!! コンナブレイハ、ユルサナインダヨーーー!!!


上条「放っときゃいいんだよ。それより白い悪魔の恐ろしさは理解できた?」

美琴「ま、まあ何となく……」

御坂妹「複数の能力を使っていました。多重能力者(デュアルスキル)でしょうか? とミサカは推察します」

浜面「多重能力者って……あれは都市伝説だろ?」

美琴「それに普通の能力じゃなかったわよ。あんなバケモノを呼び出してたし」チラッ


海魔「」プスプス


浜面「いや絶対に能力の範疇を超えてるだろ!? あまりの超展開だったからスルーしてたけど!」

上条「あれは古代の魔術書から召喚されたバケモノだ。いわゆる召喚魔術だな」ウン

美琴「魔術……?」ハテ?


――上条さん説明中


上条「――てなわけだ」

浜面「魔術ねぇ……」

美琴「普通なら信じられないけど、あんなのを見たあとじゃねぇ……」チラッ


海魔「」プスプス


御坂妹「イカ焼きみたいで美味しそう、とミサカはお姉さまの心の声を代弁します」シレッ

美琴「んなわけあるか!」ガァァ

浜面「つーか誰が処分するんだよアレ!?」


294: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/02(土) 19:15:12.98 ID:l0/dKVIF0


イマスグアヤマルナラ、ユルシテアゲルンダヨ!! サンビョウダケマッテアゲル。イーチ、ニーイ、サーン!

シーン……


上条「ともかく魔術師から学園都市を守るのが『グループ』の任務なんだ」

浜面「うへー、あんなバケモノとやり合うのかよ」ゲンナリ

上条「あの白い悪魔だけは別格だ。遭遇した場合は上条さんに連絡して、決して戦わない事を徹底するように」

美琴「うん、わかったわ」

上条「他の魔術師は現場の判断で対応してしてくれ。ただし絶対に無理はしないようにな」

浜面「……早まったかな。生き残れる気がまったくしないんだが」

御坂妹「ハイリスクですがリターンも大きい、とミサカは借金返済の要は魔術師であると主張します」

美琴「『特務支援課』のお仕事が一件につき一万円なのよね? だったら百倍の百万円とか?」

上条「1億8000万円だ」デデン

浜面「…………マジで?」

上条「マジらしい。ま、それくらい貰わないと完済なんて夢のまた夢だけどな」

浜面「どんだけ借金作ったんだよ……」ゲンナリ

上条「1兆8000億円だ」デーン

浜面「い、いちまんばいーーーーっ!?」ギャース


美琴「ちょ、ちょっと、妹達の借金って言ってたわよね? どういうコトなの!?」

御坂妹「ミサカ一体当たりの単価を1億8000万円として、約一万人が生き残りました、とミサカは端的に答えます」

美琴「そ、そう……(あれー? ハッキングした仕様書には単価18万って書いてなかったかしら?)」ウーン?


◇ ◇ ◇ ◇


禁書「この私を無視して部屋から閉め出すなんてぇぇ……もう許さないんだからぁぁ……」メソメソ



295: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/02(土) 19:16:41.25 ID:l0/dKVIF0

同日

第七学区 窓のないビル――


アレイ☆「フフフ、妹達に加え超電磁砲も上手く誘導できたか。これで幻想殺しへの枷は十分だろう」

禁書「…………」シュン!

アレイ☆「ふむ、何者かね? ここへの侵入を許した覚えはないのだがね」

禁書「何を言ってるのかな。このインデックスに許可なんていらないんだよ?」ドドドドドド……!!!

アレイ☆「!?」

禁書「そして命令を下すのも私かも。そこは弁えてほしいな、背教者」ニッコリ

アレイ☆「~~~~~~ッッ」コクコク


◇ ◇ ◇ ◇





脅迫状『とうまがムカつくので学園都市を滅ぼす事にしたんだよ。それが嫌ならとある海水浴場にとうまを連れて来て』チモジ





アレイ☆「…………」ガクブル

土御門「なんだこれは?」

アレイ☆「こ、殺される……みんな殺されるぅ……ヤツは最強の魔神なんだ……」ガクブル

土御門「魔神?」ハテ?

アレイ☆「もう駄目だ……おしまいだぁ……」ビクビク

土御門「この男がここまで怯えるとは。一体なにが起きている……?」


296: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/02(土) 19:18:55.55 ID:l0/dKVIF0

八月二十三日

木原くんの研究室――


上条「ふあぁぁ……。朝っぱらから何の用ですかー……」ショボショボ

美琴「まだ明け方よ?」ショボショボ

浜面「まあまあ、これも仕事の内だろ」


木原「文句を言いたいのはこっちだ。統括理事長から直々の命令なんだとよ」


御坂妹「命令ですか」

上条「日頃から不幸な上条さんを慮って、海水浴に行って来い! とかだったらいいのになぁ」

浜面「んなわけねーだろ」ヤレヤレ


木原「大正解っ!! 外出許可も下りてるから精々楽しんでこいや」


浜面「…ってええーーっ!?」ガビーン

上条「それってタダなの!? 経費で旅行できちゃうの!?」

美琴「水着はどうしよう。学校指定のは無しよね……せ、せっかくだしあの水着(フリフリ)着ちゃおっかな……?///」モジモジ

御坂妹「該当データをダウンロード。海の家……焼きそば……かき氷……不味いラーメン……とミサカは海水浴場に想いを馳せます」ニヘラ

浜面「何の疑いも無く行く気満々だよコイツら……」ゲンナリ


木原「二泊三日で温泉付き旅館だってよ。バインバインのねーちゃんたちをナンパしても構わねぇぞ」ニヤニヤ


浜面「よし行こう、すぐ行こう、さあ行こう!!」キリッ

上琴妹「「「おおーーーっ!!」」」


355: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/04(月) 23:12:40.05 ID:wa2OxRVJ0

???――


禁書「お義父様とお義母様は旅行に出かけたみたい。フフ、人払いのルーンはこういう時に役立つんだよ」

アウ「四つの属性の配置に敢えて定石を外した様式……なるほど、この儀式場は意図せずして発生したものなのか?」ブツブツ

禁書「お義父様が組んだんだよ」

アウ「唖然、神秘も知らぬ一般人がこれほどのモノを!」

禁書「でもこのままだと歪な形で降臨させちゃう。それだと私の目的には不都合かも」

アウ「当然、不純物が混ざらぬよう属性の再配置には細心の注意を払うつもりだ」

禁書「それと最終的に私へ力が向かうように調整しておいて」

アウ「世界のキャパシティーを超える存在、それを残留させる事になるのだが……」

禁書「とうまが弱らせてくれるから平気。それとも、たかが羽虫の一匹も飼い馴らせない私だと思うの?」ニッコリ

アウ「ぜ、全然!? そのような心配はしていない!」アセアセ

禁書「じゃあ作業に取り掛かるんだよ。入れ変わりが起きないように、受け皿も作らないとね♪」

アウ「そこはパラケルススの末裔たる私の独壇場だ。任せてくれ」キリッ

パンパカパーン!!


禁書?「」スッポンポン


禁書「ッ!///」カァァ

アウ「これぞ我が渾身の作! ホムンクルスのインデックちゅ…」

禁書「どーして裸なのかな!?///」ガァァ

アウ「憮然、婦女子の洋服など調達できるはずもない。君は私にヘンタイになれと言うのか?」

禁書「ただの器だとしても裸を強いるほうが変態だと思うのだけど……まあ細かいコトには目をつむるんだよ。でも大丈夫かな?」

アウ「はて、何か懸案事項でも?」

禁書「だって最愛の妻そっくりの器だもん。とうまが躊躇して大ケガしなければいいのだけれど」ウーン



356: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/04(月) 23:13:46.21 ID:wa2OxRVJ0

CASE 07 インフレを起こした結果が御覧のあり様なんだよ、という教訓


とある海水浴場――


美琴「夏だ! 海だ! 海水浴だー!」キャッホゥ

上条「いいねいいねェ、最っっ高だねェ!! ……あれ? なンかノイズが」ハテ?

浜面「パラソルを設置してっと」ザクッ

御坂妹「あそこの小屋から良い匂いが……とミサカは本能の赴くまま海の家に誘引されます」フラフラ

美琴「こら、まずは着替えが先でしょ」

上条「場所も確保したし、着替え終わったらここに集合な」

御坂妹「了解、とミサカは焼きそばとかき氷に思いを馳せつつ更衣室にダッシュします」タッタッタ

美琴「ちょっと、待ちなさいよー」タッタッタ


上条「俺たちはテキトーな岩陰で着替えるか」

浜面「……大将」

上条「うん?」

浜面「ナンパしようぜ!」

上条「あー、大変魅力的なお誘いなんですが、御坂たちをエスコートしないと」

浜面「まじめだねえ」ヤレヤレ

上条「紳士だからな」キリッ ※英国紳士(ジェントルマン)Lv.5

浜面「そんじゃガキの面倒は大将に任せるわ。俺は巨乳……じゃなくて年上のお姉さんをナンパしてくるぜ!」ピューン!

上条「おう、頑張れよー」



357: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/04(月) 23:15:49.60 ID:wa2OxRVJ0

十数分後


上条「青い空、白い海、うちの家計は真っ赤っか……旅行中くらい借金のコトは忘れよう」ウン


美琴「ふっふーん♪」ソローリ


上条「御坂たちはまだかな」

美琴「だーれだ♪」スッ

上条「……御坂?」

美琴「せいかーい! ま、簡単すぎたか」ケラケラ

上条「ふむ」ジー

美琴「どうしたの?」ハテ?

上条「水着似合ってるな。可愛いと思うぞ」シレッ

美琴「なっ、何言ってんのよアンタ!?///」アタフタ

上条「綺麗に着飾った女性を褒めるのは当然だろ。カラフルな水玉フリルが明るい御坂のイメージにぴったりで、本当によく似合ってる」

美琴「~~~~~ッ///」カァァ

上条「お前こそどうしたんだ? 顔がスゲー赤いんだけど」ハテ?

美琴「あ、あははは! いやー今日は暑いなー……なんて思ってたり……思わなかったり///」モジモジ

上条「たしかに絶好の海水浴日和だ。熱中症には気をつけないとな」

美琴「……………………誰のせいだと思ってるのよ///」ボソッ


御坂妹「褒められて嬉しいならもぐもぐ、素直に喜べばいいのにもぐもぐ、とミサカは不器用な姉に呆れます、ごっくん」モグモグ


美琴「う、うるさいっ///」プイッ

上条「こら、食べながら喋るんじゃありません。つーかもう買い食いしてるのかよ!?」ガビーン



358: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/04(月) 23:17:25.57 ID:wa2OxRVJ0

御坂妹「けふっ、焼きそばは普通の味でした、とミサカは報告します」

上条「ああ……口の周りがソースで汚れてるじゃないか」フキフキ


美琴「……(海パン一丁なのに何処からハンカチを出したのかしら?)」ハテ?


御坂妹「あ、ハサミを持った甲殻類が……、とミサカは誘われるように追跡を試みます」フラフラ

上条「ったく、フラフラ歩き回るなっての」ヤレヤレ

御坂妹「あの赤くていなせなアンチクショウはカニですか? とミサカは質問します」

上条「そうだよ、小さいしまだ子供だけどな」

美琴「あはは、ちょこちょこカニ歩きしてカワイイわね♪」

上条「たしかに」ウン

御坂妹「たしかに……たしカニ……フフ、フフフ……それはギャグですか?」ニヘラ

上条「み、御坂妹さん?」

美琴「……相変わらずおかしな感性してるわね」ヤレヤレ

御坂妹「ハッ! 海水が本当に塩味なのか確かめなくては、とミサカは唐突に海へ向かって駆けだします」タッタッタ

美琴「ちょ、急に走り出さないの! 迷子になっても知らないわよー!」タッタッタ


上条「はは、ああしてると仲の良い姉妹にしか見えないな」ニコニコ


359: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/04(月) 23:18:35.51 ID:wa2OxRVJ0


浜面「何となく勢いに任せてナンパに繰り出したものの――」


カップルA「「♪」」イチャイチャ

カップルB「「♪」」イチャイチャ

カップルC「「♪」」イチャイチャ

カップルD「「♪」」イチャイチャ


浜面「――何処もかしこも男連ればっかとか。ま、まあ冷静に考えてみれば一人でナンパはハードル高いよな……」ガックリ


ソコノカノジョ、ヒマシテルンダロ?


浜面「そうそう、あんな風に声をかけるなんて……ん?」


中学生U「や、やめてください……」ビクビク

男A「一人なんだろ? ちょっと俺らと付き合えよ」

男B「ギャハハ! いつ帰れるかはわかんねーけどな」ニヤニヤ


浜面「…………」イラッ



360: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/04(月) 23:20:29.62 ID:wa2OxRVJ0

数分後


中学生U「あ、あの……! 助けてくれてありがとうございました!」ペコリ

浜面「……(つい衝動的に助けちまった)」

中学生U「何かお礼をしたいのですが、えと、その……///」モジモジ

浜面「ああ別にいいって。大した事してねえし」

中学生U「で、でも!」

浜面「こう見えて一応アンチスキルっていう治安維持組織で働いてるんだ。人助けするのは仕事なんだよ」

中学生U「ふぇ? アンチスキル……」

浜面「もう変な野郎に絡まれんなよ?」スタスタ


中学生U「あ……」


中学生S「ういはるー! ジュース買ってきたよー♪」タッタッタ

中学生U「……///」ポケー

中学生S「どーしたの? いつにも増してぽけーっとしてるけど」ハテ?

中学生U「カッコ良かったなぁ……警備員っていってたから学園都市の人ですよね///」ポワポワ

中学生S「こ、この乙女な反応はまさか!?」

中学生U「また会えるといいな……///」


テッテレー


浜面仕上は、とある風紀委員にフラグを立てた!


361: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/04(月) 23:22:23.66 ID:wa2OxRVJ0

ザザーン

御坂妹「…………」プカプカ

ザブーン

美琴「……何してんの?」

御坂妹「プカプカ、とミサカはクラゲのように海面を漂います」プカプカ

美琴「そ、そう」

上条「どれ、上条さんも漂ってみますか」プカプカ

御坂妹「どうですか?」プカプカ

上条「今の俺は世俗の穢れ(借金)から解放された一匹の海産物……。うん、実にイイ」プカプカ

御坂妹「ええ、心が洗われるようです、とミサカは激しく同意してみます」プカプカ

上条「あー、こうやって無為に時間を過ごす以上の贅沢は無いよなぁ」プカプカ


美琴「爺さんかアンタは」ボソッ


上条「ほっほっほ、お子様なミコっちゃんには理解できんとみえる」プカプカ

御坂妹「やれやれです」プカプカ


美琴「ミコっちゃんいうな! バカみたいに枯れてないで私の相手しろーー!!」ガァァ


御坂妹「では目測300mほど沖に浮いているブイまで競争しましょう、とミサカは告げるや否や猛然と泳ぎだします」スイスイー

上条「ビリになったらジュース奢りな」スイスイー


美琴「ええっ、いきなり!? って待てやこらーーーーーー!!!」スイスイスイーーー!!!


◇ ◇ ◇ ◇


上条「うおおおーーーーーっ!!!」ギューーン!!! ※理不尽な身体能力、超速い

御坂妹「ぷはっ、とミサカは最小限の動きで息継ぎをぶくぶく……」シュバーーー!!! ※軍用クローンだから結構速い



美琴「ハァハァ……ま、待って……待ってってばぁ~」スイスイ ※比較的遅い


362: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/04(月) 23:23:45.39 ID:wa2OxRVJ0

数十分後


美琴「ぜぇ……ぜぇ……か、買ってきたわよ」フラフラ

上条「うむ、ご苦労」ゴクゴク

御坂妹「勝利のあとのジュースは格別である、とミサカは普段より美味なジュースを楽しみます」ゴクゴク

美琴「美味しそうね」ジトー


欠陥幻想「「タダより旨いものはない!」」キリッ


美琴「く、くっそー……お小遣いが少なすぎて私の分は無いっていうのにぃぃ……」グヌヌ

上条「仕方ねえなー。心優しい上条さんが一口恵んでやろう」スッ

美琴「……ふんっ」ゴクゴク

御坂妹「お姉さま」

美琴「ん?」ゴクゴク

御坂妹「さすがお姉さま。さり気なく間接キスするとは、とミサカは感心します」

美琴「ぶふぅぅーーーーーーっっ!!??」ブーーーッッ!!

上条「ぎゃああああああああああああああああ!?」ビチャビチャ

美琴「かかか間接キスって、ババ、バカじゃないの!?///」カァァ

御坂妹「おや、無自覚でしたか、とミサカは口角を歪めながら微笑ましい姉を見やります」ニヤニヤ

美琴「こ、この……ッ///」

御坂妹「怒られる前にスタコラサッサだぜ、とミサカは短気なお姉さまから逃亡を計ってみます」スタコラッサッサー

美琴「待ちやがれ妹ぉぉぉ!!!///」タッタッタ


上条「目に、目に炭酸がぁぁーーーー!?」ギャース


浜面「こんなトコにいたのか……って、何やってんだ大将?」スタスタ


363: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/04(月) 23:25:11.63 ID:wa2OxRVJ0

とある旅館――


上条「おおー、立派な旅館じゃねーか」

浜面「シーズン中のせいかごった返してるな。……クソッ、ここもカップルばっかかよ」イラッ

上条「なんだ、釣果はゼロだったのか」ケラケラ

浜面「え゛!?」ギクッ


御坂妹「釣果?」ハテ?

美琴「釣りをしてたの?」


上条「違う違う、この場合の釣果ってのはだな…」

浜面「ほ、ほら! ボーっとつっ立ってると他の客に迷惑だろ!? さっさとチェックイン済ませようぜ!」アセアセ

上条「そんなに急かさなくても…」

浜面「ああーっ!! あんな所に『夏のキャンペーン! 先着順に温泉ゲコ太プレゼント』のポスターがッ!!」

御坂妹「どういった需要を見込んだキャンペーンなのでしょうか?」

浜面「た、大将は好きだったよな!」


上条「予約してるはずの上条ですがチェックインをお願いしますっ!!」

フロント「少々お待ちください……特務支援課御一行様、四名様でお間違えありませんでしょうか?」

上条「はい!」

フロント「ではこちらがお部屋のカギと、特典の『温泉ゲコ太マスコット』になります」スッ

美琴「ゲ、ゲコ太ぁ~~♪」キラキラ

上条「やったな御坂!」

美琴「うんっ!」

上条「こんな気の利いたプレゼントがあるなんて! 木原さんGJ!」ヒャッホウ!!


浜面「……うわー、めっちゃ喜んでるー」ゲンナリ

御坂妹「ミサカたちの分までちゃっかりゲットしてますね、とミサカはカエル狂いの二人に若干ゲンナリします」ヤレヤレ



364: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/04(月) 23:27:04.26 ID:wa2OxRVJ0

宿泊部屋――


浜面「へえー、結構広いな」

御坂妹「しかし一部屋とは。この場合二部屋が妥当じゃね? とミサカは冷静にツッコミます」

浜面「だよなぁー。おい大将、どうすんだ?」チラッ


上条「おい見ろよ御坂! 四匹とも微妙に表情が違うぞ!」キャッキャ

美琴「ほんとだ! うぅ~、カワイイー♪」ウフフ

上条「まだ他にも種類あるのかな?」ワクワク

美琴「きっとあるわよ!」ウズウズ

上条「うおおおっ!! このテンションは留まるコトを知らない!」

美琴「ねぇねぇ! ちょろっと売店を冷やかしてみましょうよ!」ユッサユッサ

上条「ッ、そうか! キャンペーン中ならではのグッズ狙いか!」

美琴「ほらほら、早く早くー♪」タッタッタ

上条「ちょ、抜け駆けはご法度ですぞ!?」タッタッタ


浜面「……ダメだ。うちのツートップは役に立たねえ」

御坂妹「何を呆けているのですか? 行きますよ、とミサカはすでに売店の銘菓コーナーで頭がいっぱいです」グイグイ

浜面「お前もかよ!?」ガビーン


365: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/04(月) 23:27:47.89 ID:wa2OxRVJ0

売店――


上条「さすがにゲコ太グッズは売ってないみたいだな。そういや御坂はお土産どうする?」

美琴「えっと黒子と……あとは佐天さんと初春さんだけでいいかな」ウーン

上条「学校の友達?」

美琴「そ。まあ常盤台の後輩と別の中学の友達なんだけどね」

上条「へえー(俺はどーすっかなぁ。正直、高一の時のクラスメイトなんて土御門と青髪と吹寄しか覚えてないんだが)」

美琴「あ」

上条「どうした?」ハテ?

美琴「三人分も買っちゃうと、お小遣いが……」ズーン

上条「まだ今月三分の一近く残ってるけど、今いくらだ……?」オソルオソル

美琴「……1500円」

上条「ギリギリだな」ウン

美琴「あ、あはは……今回の旅行は誰にも言わずに来ちゃったから、お土産は無しでもいいかな」ションボリ

上条「しょーがねぇなー、ほれ」スッ ヒデオサン×2

美琴「え?」

上条「先輩が旅行に行ってお土産無しってのはカッコつかないだろ?」

美琴「い、いいの?」

上条「マイクロブラックホールが去ってから劇的にエンゲル係数が下がったんだよ。遠慮すんなって」ナントイウコトデショウ!

美琴「……じゃあ来月まで借しといて///」


浜面「なんか急にレベル5を身近に感じるようになったんだが」

御坂妹「もぐもぐ、このお饅頭は中々ですね、とミサカは誰はばかる事なく試食に没頭します、もぐもぐ」

浜面「お前も大概マイペースだな……」ゲンナリ


366: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/04(月) 23:29:54.17 ID:wa2OxRVJ0

浜面「土産を買い終わったんなら温泉に入っちまおうぜ」

上条「おう」

美琴「私たちも行きましょ」

御坂妹「温泉たまご……」ジュルリ

美琴「はぁ……。誰に似たらこんな食いしん坊になるのよ」ヤレヤレ


◇ ◇ ◇ ◇


露天風呂 女湯――


カポーン


美琴「くう~~! 生き返るわねー♪」チャプチャプ

御坂妹「はふぅ……ポカポカして気持ちいい、とミサカは温泉の素晴らしさを実感します」チャプチャプ

美琴「先週から色々ありすぎたから、ようやく人心地つけたわー」

御坂妹「…………」

美琴「突然アンタが現れたと思ったら、その日のうちに学園都市最強と戦って負けちゃうしさー」

御坂妹「お姉さまなら勝てないと理解していたはずです。なのにどうして逃げなかったのですか? とミサカは疑問を投げかけます」

美琴「どーしてって……そんなの決まってるじゃない」クスッ

御坂妹「???」ハテ?

美琴「アンタに死んで欲しくない、守りたいって思ったからよ」ニコッ

御坂妹「…………クサっ///」ボソッ

美琴「う、うっさいわね。ガラじゃないってコトくらい自覚してるっつーの!///」カァァ

御坂妹「なるほど、これがツンデレですか、とミサカはお姉さまの属性を解析します///」タンタン

美琴「~~~~~ッッ!!! どいつもこいつもッ、私はツンデレじゃない!!///」ウガー!!


367: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/04(月) 23:31:32.41 ID:wa2OxRVJ0

露天風呂 男湯――


上条「くはぁ~~、温泉は命の洗濯ですなぁー」チャプチャプ

浜面「ジジくせえ」チャプチャプ

上条「四半世紀も生きてない若造に、温泉の有り難味はわからんか」ケラケラ

浜面「いや、大将も俺と同年代だから」

上条「そうだっけ?」ハテ?

浜面「しっかりしてくれよ。一応俺らのリーダーだろ」

上条「まあまあ気楽に行こうぜー。魔術師っつっても白い悪魔以外は上条さんの敵じゃありませんことよー」

浜面「そう、それだよ!」

上条「それ?」

浜面「白い悪魔と大将の関係! 知り合いみたいだったけど実際どうなんだ?」

上条「ん~~、なんて言えばいいのかなあ……」

浜面「ぱっと見ただのガキにしか見えなかったんだが、……やっぱスゲー悪人なのか?」

上条「悪人なら良かったんだけどなー。あれは究極の善人だから性質が悪いんだよ」

浜面「はぁ?」

上条「世界の半分のトップにもなると平凡ではいられない。頭では分かってるんだが上条さん的には平凡に生きたかったのですよ」

浜面「う~ん……よく分かんね」

上条「所詮は過去のコトだからな。今は借金を返しつつ普通の幸せを手に入れる。それが一番重要なんです」ウン

浜面「ハハ、なんつーか妙に達観してるよな」ケラケラ


368: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/04(月) 23:32:47.73 ID:wa2OxRVJ0

夕刻

とあるフラグ男の実家 庭――


禁書「時は満ちたんだよ!」

アウ「おお……!」

禁書「このインデックスの偉大なる覇業の先駆け。大天使(ガブリエル)降臨の儀式を執り行う」キリッ

アウ「当然、アウレオルス=イザードも御供する!」

禁書「よろしい。では全能なる神のしもべ、アウレオルスよ!」

アウ「はっ!」タイコ ドン!


ドンドコスコスコ ドンドコスコスコ


禁書「あのく~たらさんみゃく~さんぼだい~♪」ソイヤソイヤ


ドンドコスコスコ ドンドコスコスコ


禁書「むじょ~しょ~と~しょ~がく~♪」ソイヤソイヤ


ドンドコスコスコ ドンドコスコスコ


禁書「はああああ……ッ!! ち き ん な げ っ と !!!」クワッ!!


ピシャアアアアアアアアン!!!


禁書?「!?」ドクン


アウ「成功――したのか?」

禁書「このインデックスに失敗の二文字はないんだよ。間違いなくあのホムンクルスにガブリエルが降臨してる」ドヤッ


ご近所さん「上条さんっ!! 近所迷惑だから怪しげな遊びはやめてくださいっ!!!」ガァァ


禁書「ご、ごめんなさい……」ペコペコ



370: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/04(月) 23:34:12.64 ID:wa2OxRVJ0

禁書「怒られちゃった……」ションボリ

アウ「だ、誰にでも失敗はあるものだ。落ち込まないで欲しい」アセアセ

禁書「これも全部とうまのせいかも! 妻に協力しない不義理な夫には制裁が必要なんだよ!」プンスカ

アウ「……(唖然、完全な言いがかりだ!?)」ガビーン

禁書「言いがかり?」

アウ「!?」ギクッ

禁書「神はいつでも迷える子羊を見守ってるんだよ? ……それが例え心の中でもね」ニッコリ

アウ「ッ!」ゾクゾクッ

禁書「まあいいや。それよりとうまをひと気のない海に呼び出して……あ、あれ?」キョロキョロ

アウ「唖然、ガブリエルの姿が消えている……!?」

禁書「だ、大丈夫。きっと最寄りの神敵を討ちに行っただけなんだよ」アセアセ

アウ「必然、それはつまり幻想殺しの元へ? この時間では旅館にいる可能性が……」オロオロ

禁書「…………」

アウ「大惨事になるのでは……?」

禁書「フ…フフフ、これも想定の範囲内。とうまなら犠牲者ゼロで撃退できるんだよ………………タブン」


インデックスさんのうっかりにより、ガブリエル(完全体)が解き放たれた!!


372: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/04(月) 23:36:24.14 ID:wa2OxRVJ0

露天風呂 男湯――


上条「んー? あの空まで伸びてる棒っぽいのはエンデュミオンだよなー」チャプチャプ

浜面「もうじき完成する宇宙エレベーターか。うわー、マジで宇宙まで伸びてるよ」チャプチャプ

上条「ふっふっふ、何を隠そうこの上条さんは単独で大気圏突入が可能なのだよ!」ドヤッ

浜面「ガンダムか!」ビシッ

上条「甘いな。世界にはガンダムより怖いバケモノが両手の指じゃ足りないくらい居るんだぞ」

浜面「マジかよ……」ゴクリ

上条「魔術一発で北半球壊滅とか稀によくある話だろ?」

浜面「あってたまるかよ!?」ガビーン

上条「え……」

浜面「なにその戸惑いの表情!? あり得ないからね!? そんな日常的に世界の危機がマッハとか無いからね!?」

上条「…………ッ」ワナワナ

浜面「た、大将?」

上条「ハ、ハハハ……改めて考えてみると俺って不幸だったんだなぁ……」ホロリ

浜面「考えるまでもなく、借金の額からして超絶不幸だと思うんだが」

上条「借金は完済というゴールがあるからいいんだよ。でも白い悪魔は何処までも追いかけかけかけ……!?」ガタガタガタガタ

浜面「お、落ち着けって! 田舎ならではの綺麗な夜空でも見て心を落ち着け……って、あ! 流れ星」


キラッ☆


上条「金! かね! カネっ!!」コンマ01

浜面「早っ!? つか即物的だなオイ!」

上条「うるせー! 自由という名のパスポートを買うのに金がいるんだよ!」ガァァ

浜面「ハンパなく強いくせに、なんつー小物臭……」ゲンナリ

上条「……あれ? あの流れ星消えなくね?」ハテ?

浜面「は?」チラッ


373: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/04(月) 23:40:25.22 ID:wa2OxRVJ0

夕闇を切り裂くように流れる星屑。
とある不幸少年が切なる願いを託したラッキースターがあり得ない自己主張を始める。


浜面「お、おい……なんか大きくなってないか? つーかこっちに落ちてきてる!?」

上条「おー、そうみたいだな」

浜面「少しは慌てろよ!?」


浜面が取り乱す一方、上条は冷静に、今まさに頭上に落ちてくる流星を見据えていた。


上条「関係のない人間が大勢いる旅館ごと俺を攻撃する……。それがお前のやり方か、インデックス?」

浜面「やばいマジやばいって!?」

上条「ヤバくねーよ。あんな雑魚、上条さんの敵じゃねえ」


そう言い放ち、決然と立ち上がり右手を堅く握りしめる上条。ただし全裸ッ!!

その雄姿を粉砕せんと迫りくる流星――否、白い悪魔を模った大天使。こちらも全裸ッ!!


音さえ置き去りにするスピードで超高高度からの突撃を敢行する神の力。残念なことに揺れる部位は無いッ!!

迎え撃つべく腰だめにコブシを構える幻想殺し。歴戦の貫禄がにじみ出るもフルチンッ!!

理解不能な事態に右往左往する浜面。しかし律義に腰にタオルを巻いているッ!?


それぞれの思惑も分からぬまま、刹那の遭遇戦が展開された。


禁書?「――m抹殺tyuis神敵th光iwk掲gsm者」

上条「何言ってんのかわかんねぇよ、三下ァァああああああああああああああ!!!」

浜面「ぎゃあああーーーー!? まだ死にたくねえええええええええええええ!!!」


ズガンッッ!!!

眩い閃光に辺りが包まれるなか、まるで爆弾が爆発したかのような轟音が轟く。

そして訪れる静寂。


浜面「………………い、生きてる?」


辺りを見回す浜面の目には、右腕を振りぬいた上条の姿だけが映った。


374: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/04(月) 23:42:04.18 ID:wa2OxRVJ0

同刻

木原くんの研究室――


木原「研究資料が全っ然足りねえ。早くこいこい魔術師さんってか?」グデー

天井「本当に実在するのか?」

木原「するんじゃねぇの? 少なくとも統括理事長は確信してるみたいだぜ」


打ち止め「ねえ、お腹すいたから晩ごはんにしよう、ってミサカはミサカは切に訴えてみたり」ヒョコ


木原「チッ、めんどくせえな。……ほらよ、これでも食ってろ」ゴソゴソ ポイッ

打ち止め「わわっ!? 食べ物を粗末に扱ったらダメ! ってミサカはミサカは下位個体の学習データに基づき憤慨してみる」プンスカ

天井「騒ぐな、打ち止め(ラストオーダー)」

打ち止め「むうう……ってこれカロリーメイト!?」ガビーン

木原「メシなんてのはなぁ、必要な栄養価を補給できれば十分なんだよ」モグモグ

天井「その通りなのだ」モグモグ

打ち止め「うっうっ……ミサカもあの人の作るご飯が食べたい、ってミサカはミサカは育児放棄された悲しみに泣き崩れてみたりぃぃ」グッスン

木原「ま、上条が帰ったら引き合わせてやるから今は我慢し…」


ドッゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン!!!!!!


打ち止め「きゃあああ!? な、なにが起きたの! ってミサカはミサカは突然の地震に大慌て!?」

天井「な、なにごと……!?」

木原「クソっ!! なんだ、何が起きやがった!!」

Prrrr Prrrr

木原「こちら木原……おう、一体何があった? ………………エンデュミオンに正体不明の物体が激突しただあ?」pi


天井「物騒な話だな」フム

打ち止め「9982号がミサカネットワークから遮断されてる……? ってミサカはミサカは磁場の乱れを観測してみたり」ムムム


375: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/04(月) 23:44:34.87 ID:wa2OxRVJ0

またまた同刻

とあるフラグ男の実家 庭――


禁書「フ、フフフ……」

アウ「わ、私のインデックちゅの霊圧が……消えた?」ワナワナ

禁書「そう! 一度そげぶされた神の力は純粋なテレズマに分解され、この儀式場を介して在るべき場所へと還元される」

アウ「…………」ションボリ

禁書「だけどそうはいかないかも! このインデックスが略奪し! 吸収し! 有効利用してあげるんだよっ!!」シュワシュワ

アウ「愕然……こんなコトならアウレオルス=ダミーを使うべきだった」シクシク

禁書「馴染む。実に! 馴染むんだよ! この神の地上代行者たるインデックスにこそ相応しい力かも!」ゴゴゴゴ

アウ「あんまりだ……あんなに可愛いインデックちゅを壊すなんて、あんまりだァァーーーー!!!」ブワワ

禁書「本当によく馴染む。最高に『ハイ!』ってやつなんだよおおおアハハハハハーーッ!!」


ご近所さん「うるせーーっつってんだろうが!! ぶっ殺すぞボケ!!!」ガァァ


錬金目録「「ご、ごめんなさい!!」」ペコペコ



テッテレー


インデックスさんは『神の力』を吸収し、ちょろっと強さが増してしまった!!


402: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/17(日) 00:32:00.59 ID:QlEyFOxT0

とある旅館 客間――


美琴「いいお湯だったわね~♪」ホクホク

上条「やっぱ温泉はサイコーだよな♪」ホクホク

美琴「そういえば温泉に入ってる時、スゴイ音が聞こえたんだけど。何かあったの?」

上条「変態が降ってきたから全力でぶん殴っといた」

美琴「ふーん、そうなんだ」

上条「御坂も気をつけろよ。お前は女の子だし、特別可愛いんだからさ」

美琴「か、かわっ……!?///」カァァ


御坂妹「……本当のところは? とミサカは一時的とはいえMNWに接続不能に陥った事態を問い質します」ヒソヒソ

浜面「……落ちてきた流れ星を大将が殴り飛ばしたんだ」ヒソヒソ

御坂妹「は?」

浜面「塵一つ残さないパワーだったぜ。俺もあのくらい強くなりてぇ」キラキラ


この後、グループ一行は楽しく温泉旅行を満喫しリフレッシュした!


403: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/17(日) 00:32:46.51 ID:QlEyFOxT0

学園都市 窓のないビル――


木原『――エンデュミオンに衝突したアンノウンは発見できず、何が起こったのかも詳細不明。以上』

アレイ☆「報告ご苦労、引き続き任務にあたれ」

木原『はっ』

アレイ☆「くれぐれも幻想殺しを怒らせるな。それとシスターズは丁重に扱え。金や物に糸目はつけなくていい」

木原『りょーかい』プチ


アレイ☆「……フッ、フフフ、フハハハハ、アーッハッハッハ!! いいぞ、彼ならばあの魔神にも対抗しうる!」

アレイ☆「かの大天使を鎧袖一触とは想像以上だ。フフフ、まだ勝ちの目は残っている」


◇ ◇ ◇ ◇


バチカン 聖ピエトロ大聖堂――


フィアンマ「おい、貴様は事態を理解しているのか?」

教皇「……四方を守護する一角が崩れた。だが…」

フィアンマ「だが何だ? まさか推移を見守るなどと抜かさないよな?」

教皇「それ以外にどうするというのだ。『神の力』の顕現は一瞬、詳しい観測も出来ぬまま消失したではないか」

フィアンマ「それが日和見だというんだ。顕現した場所は極東の地で、消失地点は学園都市。サルでも解る構図だ」

教皇「……憶測で動くべきではない」

フィアンマ「フン、話にならんな」

教皇「ッ、何処へ行くつもりだ! 勝手なマネは…」


フィアンマ「この件は俺様に一任して貰う。なに許可などいらん。貴様はただ俺様の邪魔しなければいいだけだ」


404: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/17(日) 00:33:48.50 ID:QlEyFOxT0

EXTRA CASE とある努力の無能力者


八月二十六日

グループのアジト――


御坂妹「――まさか、そんな……とミサカは質量保存の法則に絶望します」ワナワナ


浜面「よう、おはよーさん」ヨミヨミ

御坂妹「おはようございます。ところで何を読んでいるのですか? とミサカは読書に耽るチンピラを心配しつつ尋ねます」

浜面「……なんで俺が本を読んでたら心配されるんだよ」

御坂妹「…………」フイッ

浜面「目を逸らすなよ! そういうのが一番傷つくんだからな!!」ガァァ

御坂妹「アンチスキル憲章……、とミサカは目敏く本のタイトルを読み上げました」

浜面「相変わらずマイペースなヤツだな……」ゲンナリ

御坂妹「……じーーっ、とミサカは視線で真意を問い詰めます」

浜面「あー……別に目的があって読んでたわけじゃねーよ。ただ…」

御坂妹「ただ?」

浜面「心構えとか色々知っておきたくてさ。一応アンチスキルなわけだろ」

御坂妹「でしたら直接ご教授願えばよいのでは? とミサカは提案してみます」

浜面「はい……?」


◇ ◇ ◇ ◇


第二学区 アンチスキル訓練場――


黄泉川「これより規定に従い訓練を始める!」


浜面「えっ、ええーーっ!?」オロオロ

御坂妹「さあアンチスキル魂を教えて貰いましょう、とミサカはやる気満々で訓練に臨みます」

浜面「クールな見た目に反して体育会系!?」ガビーン


405: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/17(日) 00:35:26.39 ID:QlEyFOxT0

黄泉川「うん? お前は確か、浜面じゃん?」

浜面「あ、あはは……ご、ご無沙汰ー、なんつって」ヒクヒク

黄泉川「そうかそうか! 最近統括理事会の肝いりで新設された部隊があると聞いてたが、お前らがそうだったのか」

御坂妹「はい、とミサカは正直に肯定します」

黄泉川「おおっ、こっちは何時ぞやの! しかしレベル5とはいえ中学生に警備員をさせるのは…」

御坂妹「いいえ、ミサカは強制されていません。ミサカ自身の意思でここにいます、とミサカは命令されるだけの存在ではないと否定します」

黄泉川「……そっか。ならみっちりシゴいてやるじゃんよ」

浜面「いや、普通でいいんだけど……」

御坂妹「望むところです、とミサカは向上心を漲らせながら張り切ります」メラメラ

浜面「だから何でそんなやる気なの!?」ガビーン


◇ ◇ ◇ ◇


訓練その一 走り込み


浜面「ハッ、ハッ、ハッ、ハッ、お、重いしキツイ……」タッタッタ

黄泉川「ふっ、ふっ、ふっ、こら! ペースが落ちてるぞ!!」タッタッタ

浜面「くそっ、普通に走るだけならまだしも、10キロも装備品を背負うとかあり得ないだろ!」タッタッタ

黄泉川「泣きごとを言うな! 見ろ、御坂は文句ひとつ垂れずに頑張ってるじゃん!」タッタッタ


御坂妹「……(消費……っ! 一心不乱の消費……っ!! とミサカは気力を振り絞り走り続けます)」タッタッタ


黄泉川「何か心に期するものがあるのか……。御坂の気迫は並大抵じゃないじゃん。お前はどうなんだ?」

浜面「お、俺だって! お荷物になるために大将の誘いに乗ったんじゃねえ!! 負けてたまるかああああああああっ!!!」ダダダッ

黄泉川「その意気じゃんよ♪」


406: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/17(日) 00:36:13.03 ID:QlEyFOxT0

訓練その二 模擬格闘戦


黄泉川「さあ、私を犯罪者と想定してかかってくるじゃん!」

浜面「うおおおおーーーーっ!!!」ブンッ!!

黄泉川「思い切りはいい。だがッ!!」ガシッ

浜面「へ……?」

黄泉川「テレフォンパンチは読みやすいし、こうやって反撃される。以後気をつけろ!」ギリギリ

浜面「折れる折れる折れるぅぅーーー!?」ミシミシ

黄泉川「犯罪者はこちらを殺すつもりでくるんだ。関節を極められたくらいで悲鳴を上げるなっ!!」

浜面「ッ……!! ぐ、ぎぎぎ……ッッ!!!」グググ

黄泉川「うおっ!?」

浜面「がああああああああああああッ!!!」グオッ!!

黄泉川「くっ!」パッ

浜面「ど、どうだ……ぜぇぜぇ、お、俺だってやれば出来るんだ!」

黄泉川「フッ、ナイスガッツじゃん! どんな苦境でも諦めない心を忘れるな!」

浜面「おう!」


鉄装「きゃあああーーーー!?」

御坂妹「他愛ない、とミサカは現役警備員を軽くひねります」ギリギリ

鉄装「こ、降参するから放してぇぇーーーー!?」ミシミシ


浜面「諦めない心……?」

黄泉川「あの馬鹿……」ヤレヤレ


407: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/17(日) 00:37:41.95 ID:QlEyFOxT0

休憩時間


黄泉川「ひとまずお疲れさん」

浜面「さ、さすがに疲れたぜ……」グッタリ

御坂妹「…………」クゥゥ

黄泉川「ハハ、あれだけ動けばお腹がすいても仕方ないじゃん。あっちに食堂があるから腹ごしらえしとけよ」スタスタスタ


浜面「んじゃ昼飯を食いに行くか」

御坂妹「十分に消費したはずですが、ここで補給したら元の木阿弥に……ミ、ミサカはどうすれば……」ブツブツ

浜面「どうした、腹へってるんだろ?」ハテ?

御坂妹「ミサカの事は気にしないでください、とミサカは涙目で空腹に耐える決意をします」ウルッ

浜面「ちゃんとメシを食わないと姉ちゃんも大将も心配するぞ? ほら、せめてアクエリ飲んどけ」スッ

御坂妹「うう……美味しいですがカロリーが、とミサカは躊躇いながらもスポーツドリンクをがぶ飲みします」ゴクゴクゴク

浜面「てか大将たちは何してるんだ? 今朝から一度も見てないんだけど」


◇ ◇ ◇ ◇


第七学区 とある銀行――


強盗「く、来るなぁ!!」

上条「あのなぁ、来るなと言われて来ない警備員はいねーよ」スタスタスタ

強盗「来るなと言ってるだろ! クソッ、お、お前が悪いんだからな!」パンッ!!

上条「あいてっ!」ビスッ

強盗「え……う、撃たれたのに、なんで……?」

上条「おいコラ、人に向かって銃を撃つとか何考えてんだよ。痛いだろうが」

強盗「ひいっ!?」パンッ!! パンッ!!

上条「ちょ、痛いんですけど! あたっ、痛いんですけど!?」ビスッ ビスッ

強盗「なんで倒れないんだよ!?」

上条「人間ってのはなぁ、来るとわかってる痛みは我慢できるようなってんだよ」


美琴「人質の救出、完了したわよー」


上条「了解、そんじゃ終わりにすっか」ニッコリ

強盗「や、やめろ! 自首する! 自首するから殺さないで!?」ガクブル

上条「はいはい、ゲンコロゲンコロ」シッ

ガスッッ!!

強盗「へぶっ!?」パタリ

美琴「よーし状況終了。これで三件目だから三万円ゲットね♪」


408: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/17(日) 00:38:54.37 ID:QlEyFOxT0

上条「ケンカの仲裁に引ったくり、極めつけは銀行強盗と。上条さんの不幸体質は今日も絶好調だな」ウン

美琴「ッ! ちょっとアンタ、腕を擦りむいてるわよ!?」

上条「ん? ああホントだ」

美琴「ケガしたなら手当しないとダメじゃない」

上条「大したコトないって。銃で二三発撃たれただけだし」

美琴「きちんと消毒するの! ったく、たかが銃創だからって……え、撃たれた?」


黒子「ジャッジメントですの!」シュン!


上条「出たな商売敵!」

黒子「商売敵……? ッ、それよりも現場は!?」

上条「もう解決した。もうじき回収班が来るから帰っていいぞ」

黒子「は? 一般の学生が何をおっしゃっていますの?」

上条「アンチスキルですの!」ビシッ

黒子「なっ! た、確かにその矛のエムブレムは警備員の証……」

美琴「……冗談よね? いくらコイツが頑丈といっても撃たれたら重傷でしょ。いやでも対戦車用地雷を踏んでも余裕で生きてたし……」ブツブツ

黒子「お姉さまっ!?」

美琴「うん? ああ、黒子か」

黒子「一体全体なにがどうなってますの!? 説明してくださいまし!」ガァァ


409: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/17(日) 00:41:11.44 ID:QlEyFOxT0

第七学区 風紀委員第一七七支部――


黒子「はああああっ!? お、お姉さまがアンチスキルに!?」ガビーン

初春「ッ!?」

美琴「ま、成り行きでね」

黒子「そんな適当な! お姉さまが思ってらっしゃるほど治安維持活動は簡単ではありませんのよ!」ガァァ

美琴「なによー、私だってまじめに働いてるわよ。ねえ?」

上条「そうだな」ウン

黒子「……失礼ですがどちら様ですの?」ジトー

上条「上条当麻です。新設された特務支援課の課長を拝命しております。任務の際はよろしくお願いします」ペコリ

黒子「これはご丁寧に、わたくしは風紀委員の白井黒子ですの。こちらこそよろしくお願いしますわ」ペコリ

上条「では我々はパトロールの途中ですので失礼しますね。行くぞ御坂」スタスタスタ

美琴「りょーかい。黒子も初春さんもお疲れー」

黒子「はい、お疲れ様ですの……って待ちやがれですのっ!!」ガシッ

上条「ちっ」

黒子「誤魔化そうったって無駄ですのよ!」


美琴「はぁ、面倒くさいコトになったわねえ」

初春「あ、あの御坂さん!」

美琴「なーに?」

初春「お世話になった警備員の人を探してるんです! 協力してもらえませんか!?」クワッ

美琴「え、うん。それでその人の特徴は?」

初春「えっとですね、ガッシリした頼もしい体型の男の人で……///」モジモジ

美琴「ふむふむ」

初春「ボサっとした金髪で、教師とは思えないくらい若くて、すごくカッコよくて……///」モジモシ

美琴「ほうほう」

初春「この前、海で困ってたところを助けてくれた……優しい方なんです///」テレテレ

美琴「へぇ、そうなんだー……ガッシリしてて金髪で海?」

初春「何か心当たりがあるんですか!?」

美琴「う、う~ん(条件は満たしてるけど、カッコいいのかなー?)」


410: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/17(日) 00:42:58.40 ID:QlEyFOxT0

第二学区 アンチスキル訓練場――


訓練その三 火器教錬


黄泉川「警備員は有事の際、学生たちの矛となり戦うこともある。基本はスタンロッドやライオットシールドでの制圧だが」ジャキ

浜面「銃……」ゴクリ

黄泉川「そう、暴徒鎮圧用のガス銃じゃん」

御坂妹「あくまで非殺傷なのですね、とミサカは火力不足に一抹の不安を覚えます」

黄泉川「一応殺傷兵器もあるんだがな。まあ使用感に大差ないし、相手は大抵悪ガキだから銃自体あまり必要ないじゃん」

浜面「そ、そうだよな」ホッ

黄泉川「だが訓練規定にある以上、しっかり火器の扱いも学んでおけ」

御坂妹「はい、とミサカは素直に返答します」

浜面「おう」

黄泉川「返事はハイだろうが。年上なんだからちゃんとしろ、バカたれ」クスッ

浜面「……ハイ」

御坂妹「プークスクス、とミサカは生温かい目でチンピラを見守ります」

浜面「余計な世話だ! てかチンピラはやめて!?」ガビーン


◇ ◇ ◇ ◇


タン! タン! タン! タン! タン! タン!


浜面「くそっ、当たらねえ!」

黄泉川「銃は両手でしっかり構えろ。ゆっくりでいい、目標を確実に照星に捉えてから撃て」

浜面「んなコト言われても……」チラッ


タタタタタタタタタッッ!!!!


御坂妹「目標へ全弾命中を確認。続いてパターンBー102に移ります」


タタタタタタタタタッッ!!!!


黄泉川「おおー! まるでお手本みたいな射撃じゃんよ」パチパチパチ

浜面「ま、負け犬上等ォおおおおお!!!」


タン! タン! タン! タン! タン! タン!


411: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/17(日) 00:44:51.88 ID:QlEyFOxT0

訓練終了後


黄泉川「よし! 今日一日よく頑張ったじゃん」

浜面「や、やっと終わったのか……」フラフラ

御坂妹「しゃんとしなさい、とミサカはだらしない同僚を叱咤してみます」メッ

浜面「仕方ないだろ、慣れないコトやったんだしよぉ」

御坂妹「泣きごとは聞きません。ミサカたちは戦力で劣るのですから、とミサカは今後も一緒に訓練を強制する意図を示唆します」

浜面「マジかよ……」


黄泉川「ハハ、お前ら中々いいコンビじゃん」ケラケラ


◇ ◇ ◇ ◇


第七学区 風紀委員第一七七支部――


黒子「まったくお姉さまときたら……」ブツブツ

初春「浜面仕上さんかぁ……///」

黒子「なんですの? そのテンプレに忠実なスキルアウトの写真は」

初春「なっ、失礼ですよ! 浜面さんは立派なアンチスキルです!」プンスカ

黒子「とてもそうは見えませんの」

初春「人を見かけで判断するなんて……。そんなだから白井さんは歪んでるんですよ」ボソッ

黒子「う・い・は・るぅぅ? 何か言いまして?」グリグリ

初春「痛いイタイいたいですってばぁぁ~~~!?」


テッテレー


浜面仕上の戦闘能力が少し向上した!

浜面仕上の預かり知らぬ所でフラグが進行していた!!


412: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/17(日) 00:46:16.95 ID:QlEyFOxT0

夕方

グループのアジト――


浜面「うーっす……」

御坂妹「ただいま帰りました、とミサカは帰還を報告します」


美琴「おかえりー」

上条「あれ? 二人で出かけてたのか」

浜面「ああ、ちょっと警備員の訓練規定をこなしにな……」グッタリ

上条「そりゃご苦労さん。風呂沸かしてるから晩飯の前に汗流してこいよ」

浜面「ん、そうさせてもらうわ」スタスタスタ

御坂妹「…………」スタスタスタ


美琴「それじゃこっちは夕飯の支度をしましょうか」

上条「きゅうりと卵が安かったからな。今晩は冷やし中華にすっか」

美琴「いいわねー♪ 私が錦糸卵を作るから野菜を切ってもらえる?」

上条「はいはい」


413: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/17(日) 00:47:53.81 ID:QlEyFOxT0

風呂場――


ザブーン

浜面「痛ぅぅ~~~、傷にお湯が染みるぜ」

御坂妹「ミサカは全く染みません、とミサカは無傷であることを誇ります」パシャー

浜面「黄泉川が強すぎんだよ。ステゴロで手も足も出ないとかゴリラかっての」

御坂妹「確かに驚異的な白兵戦技術でした。ミサカでも勝てるかどうか」ゴシゴシ

浜面「だろう? ……けど次は負けねえ」

御坂妹「その意気です、とミサカは同僚を激励します」ゴシゴシ

浜面「サンキュ、……ん? そういやさっきから誰と喋ってんだ俺?」ハテ?

御坂妹「ミサカですが、とミサカは呆れながら当然の事実を伝えてみました」パシャー

浜面「…………は?///」カァァ

御坂妹「洗いおわったので湯船に浸かりたいのですが、とミサカは暗に退けと促します」

浜面「え、え、えっ……///」パクパクパク

御坂妹「退かないなら半分を占拠するまで、とミサカは強引に湯船に突入します」ザブーン

浜面「何してんのーーーーーーー!?!?///」ギャース

御坂妹「ふぅ、いい湯ですね、とミサカはお風呂に入る前に計測したとある数字を思い出しホッコリします」ホッコリ

浜面「は、肌色!? 圧倒的ハダ色率ッ!! 胸は並盛だがそれを補って余りある曲線美とモチっとした感触!?////」

御坂妹「何を騒いでいるのですか?」ハテ?

浜面「俺に聞くなっ! つかヤバイ!? もし大将にバレたら…」


ガチャ


上条「向こうまで声が聞こえたんだけど、石鹸でも切らして…………浜面くン、これは一体どういう状況でせうか?」ギギギギ


浜面「あ、死んだ」



この日、浜面君は本気で死を覚悟したという


430: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/24(日) 15:38:44.24 ID:dS67iSS90

八月三十一日


木原くんの研究室――


木原「喜べお前ら、待ちに待った月末だ。給与明細をくれてやる、まずは浜面」

浜面「お、おう(いくらぐらい貰えるんだろう?)」ワクワク

木原「特にマイナスは無ぇし警備員としての評価も上々、と。これからも励めよ」スッ

浜面「うっす!」

木原「次はミサカ9982号。以下同文」スッ

御坂妹「ありがとうございます、とミサカは興奮を必死に抑えながら初任給を受け取ります」

木原「次は御坂。以下同文」スッ

美琴「自分で稼いだお金かー。大事に使わないと」

木原「最後は上条。しっかり借金を返済しろ、以上だ」スッ

上条「よっしゃああーー!! 給料を取り上げられないなんて嬉しすぎるんですが!? 独身サイコー!!」ヒャッホウ!!


◇ ◇ ◇ ◇


グループのアジト――


美琴「では初任給ゲットを祝して!」


上琴妹浜「「「「カンパーイ!!」」」」


上条「いやー、活動を始めて一週間ちょいだけどさぁ、やっぱ嬉しいなあ」

浜面「ま、本命の魔術師とは一度もやり合ってないからスズメの涙だろ」

美琴「そこ、水を差さない!」

御坂妹「わくわく、とミサカはいち早く給与明細を開封し確認します」ビリッ

上条「いくら振り込まれてた?」

御坂妹「ひいふうみい……120万ですね、とミサカはサラッと月給を明かします」


上条浜面「……………………ひゃくにじゅうまん?」ハテ?


431: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/24(日) 15:40:13.42 ID:dS67iSS90

美琴「私、相場を知らないんだけど、これってフツーなの?」

浜面「んなわけあるかっ!! えっ、マジで120万なの!?」

御坂妹「はい」スッ

浜面「うおっ、マジだ! 見てみろよ大将! ……大将?」

上条「」

浜面「き、気絶してやがる」

美琴「私はどうかなー…………へっ?」ビリッ

御坂妹「どうしましたか? とミサカは放心しているお姉さまを心配します」

浜面「もしかして妹より安かったとか?」ヘラヘラ

美琴「……120円」

浜面「ジュース飲みたいのか?」

美琴「違う、私の給料……」ワナワナ

浜面「は?」

美琴「借金の利息で全部持っていかれてる……」ガックリ

御坂妹「ぷぷっ、どんまい、とミサカは健気に姉を励まし、うぷぷ」プークスクス

美琴「ケンカ売ってんのかこらーーー!!」ガァァ

御坂妹「アンチスキルの報酬が別枠でも、こ、この金額はねーよ、とミサカは……ぷふっ、笑いを押し殺して逃走を開始します」スタコラサッサー

美琴「このっ、逃げんなああーーーー!!!」ダダッ


上条「ハッ、あまりに刺激的な数字に意識が飛んでた!?」


432: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/24(日) 15:41:20.84 ID:dS67iSS90

浜面「……あの二人の違いは借金だけ。ま、待てよ? つーことはだ、借金の無い俺の給料は……」ビリッ

上条「ひゃくまん越えって事ですか!?」

浜面「…………」ピキッ

上条「どした?」

浜面「ここここここ、これ!?!?」ガクブル

上条「ん、なになに、ゼロが一つ二つ三つ………………な、七つ?」

浜面「ままま、マジなの!? これゼロが二つばかり多くない!?」オロオロ

上条「あ!」

浜面「なんだ!? どうしたっ!?」

上条「協力組織の支度金が含まれてる」

浜面「な、なんだよ。駒場の旦那たちの分も含めてかよ。それなら……って!! それでも多すぎんだろ!?」ギャース

上条「おちっ、おお、落ち着け!!」アセアセ

浜面「大将こそ落ち着け!」

上条「そ、そうだな」

浜面「まだトリが残ってるだろ。大将はいくらなんだ?」

上条「ハハ、上条さんには莫大な借金がありますからね。期待はしてませ…………ンン゛!?」ビリッ

浜面「大将?」ハテ?

上条「あ、あが、あばばばばば!?!?」スッ

浜面「どれどれ……………………マイナス180おくえん?」


433: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/24(日) 15:43:06.06 ID:dS67iSS90

木原くんの研究室――


バンッ!!


上条「木ィィィ原さンよォォおおおおおおおお!!! このふざけた明細は何なンですかァ!?」ガァァ

木原「何って給与明細だろ」

上条「んなこたぁ分かってんだよ! 問題は数字だ! 利息が180億とかふざけてんのか!?」

木原「月あたりたったの1%にしてやってるんだ。感謝されても怒鳴られる筋合いはねーな」

上条「アホかっ!! 魔術師100人倒して利息しか払えないってどんだけだよ!?」

木原「じゃあ何だ、テメェはガキ共を見捨てるのか?」ニタァァ

上条「見捨てねえよ。ただもう少し現実的な金額をですね…」


打ち止め「うーんと、ミサカ一人の製造コストが18万円だから現存する全ての個体を合わせても18億360万円だよ、ってミサカはミサカは計算してみたり」ヒョコ


上条「へ?」

打ち止め「あなたはボッタくられてるの、ってミサカはミサカは恩人に真実を暴露してみたり」

上条「えっ、なんで? 18億って…………千倍も請求されてたんですかーっ!?」ガビーン

木原「このクソガキ! 余計な事を……!」

打ち止め「この人はミサカたちのヒーローなんだよ? 騙したらダメ! ってミサカはミサカは猛抗議!」プンスカ

上条「……木原さん、説明してもらえませんかねえ?」ゴゴゴゴ

木原「そりゃ構わねぇけどよ、お前は妹達(シスターズ)をどう思ってるんだ?」

上条「はあ?」

木原「18万で賄えちまう程度の存在かって聞いてるんだ」

上条「ッ!?」ピシャーーン!!!


434: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/24(日) 15:46:11.51 ID:dS67iSS90

木原「実験凍結の責任云々から妹達の保護者はテメェだ。その保護者サマが冷徹にそろばん弾いて値引交渉するってか?」

上条「……いや、しない」

打ち止め「ヒーローさん!?」

上条「ありがとうな、俺のこと気にしてくれて。でもいいんだ」ナデナデ

打ち止め「でもでも! ってミサカはミサカは…」

上条「製造コストなんて関係ないんだ。なのに値切ろうなんて一瞬でも考えてしまった自分が恥ずかしいよ」

打ち止め「どうして、ってミサカはミサカは疑問を零してみる」

上条「妹達は俺にとって娘も同然だと思ってる。だからお前らを安く見積もるなんて出来ない」

打ち止め「そんな……それじゃあヒーローさんが……」ションボリ

上条「ハハ、お前が気に病むコトねーよ。それより名前を教えてくれないか?」

打ち止め「……うん、ミサカは検体番号20001号。全ての個体を統括する司令塔で、打ち止め(ラストオーダー)って呼ばれてるの」

上条「打ち止め……ああ、そうか。そうだったな」ウン


木原「いや結構結構。採算取れねえと統括理事長が何をしでかすか分からねーんだ、これが」

上条「妹達を不当に扱わない限りは、あんたらの狗にでも何でもなってやる。けど…」

木原「分かってるって。それよりこのガキの世話を頼めるか? チョロチョロ煩くて敵わねぇんだ」

上条「そんじゃ一緒に暮らすか?」

打ち止め「いいの!? ってミサカはミサカは瞳を輝かせて聞き返してみたり!」キラキラ


◇ ◇ ◇ ◇


グループのアジト――


美琴「これはまた……何ていうか私のちっちゃな頃そっくりね」

打ち止め「わーい、お姉さまだー♪ ってミサカはミサカは嬉しさのあまり抱きついてみたりーっ!!」ギューッ

美琴「あっはは、アンタは素直な良い子ねぇ」ナデナデ

御坂妹「それは暗にミサカが素直でない悪い子と言いたいのですか? とミサカはジト目でお姉さまに抗議します」ジトー

美琴「良い子は姉を馬鹿にしたりしないもーん♪」クスクス


浜面「――で、利息の確認に行ったら幼女を押しつけられたと」ゲンナリ

上条「これが俗に言う孫パワーか……。孫はええのう」ホッコリ


435: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/24(日) 15:48:21.24 ID:dS67iSS90

CASE 08 最期の日 前編


上条「それじゃあ今日も張り切ってパトロールしますかね」

美琴「りょーかい、班分けはどーする?」

浜面「あー、二人ともちょっといいか?」

上条「うん?」

浜面「お前ら明日から学校だろ? これからも働き詰めだろうしさ、今日くらい遊んできたらどうだ?」

美琴「う~ん、そう言われてもね」

上条「働かない事には首が回らないわけでして」


打ち止め「ううっ……まるで安月給のサラリーマンみたい、ってミサカはミサカは現実の厳しさに涙してみたり」ホロリ

御坂妹「実際サラリーマンですが、とミサカはぶっちゃけます」


浜面「まあ街をぶらつくだけでも違うだろ。アンチスキルの仕事は俺と御坂妹でやっとくから」

上条「そこまで言うならお言葉に甘えるかな?」

美琴「ふふっ、そうね」クスッ

上条「よーし、それでは今日一日この上条めにエスコートさせて貰えますか、お嬢様?」キリッ

美琴「ふぇっ!? な、ななな、なに言っちゃってんのよっ!?///」カァァ

上条「何ってデートのお誘いだろ」シレッ

美琴「私はインチキしてないわよっ!!///」

上条「それはチート」

美琴「芸術には少しうるさかったりするけど?///」

上条「それはアート」

美琴「お、お年寄りには譲るべきよね!?///」

上条「それはシート。あのなぁ、デートくらいでそんなに…」

美琴「打ち止めっ! 打ち止めも一緒に行きましょう! ねっ!!///」


打ち止め「ヒーローさんも苦労しますなぁ、ってミサカはミサカは照れ屋なお姉さまを優しく見守ってみたり」ニヨニヨ


美琴「わ、私はべべ別に照れてなんか……あう///」テレテレ


436: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/24(日) 15:49:48.01 ID:dS67iSS90

Sade 御坂美琴


夏休み最後の日ともあって、中高生が集まる第七学区は大勢の人でごったがえしている。
そんな中、足早に学生寮へ向かう御坂美琴がいた。

美琴(アイツとフツーに遊ぶだけ! デートじゃないデートじゃないデートじゃないッ!!)

顔を赤く染め上げて、念仏のように何事かを繰り返す彼女は明らかに動揺していた。

美琴(一先ず別れて駅前に待ち合わせって事になったけど……とりあえず寮に帰って身だしなみを……って別にデートを意識してないし!?)


海原「あっ、御坂さん。こんなところで出会うなんて奇遇ですね」

思考の海で溺れているかのように、あーでもない、こーでもないと堂々巡りを繰り返す。
そんな精神状態が原因なのか、美琴は自身に近づく人影に気づけないでいた。

美琴(で、でもアイツに変な姿は見せたくないし……今穿いてる下着はちょろっと子供っぽいかな……だからそれが何なのよっ!?)

海原「ちょうど御坂さんの事を考えていたんです。そうしたら本物に出会えるなんて運命を感じませんか?」

美琴(下着の心配とかアホなの私っ! あ、でもでもアイツってばゲコラーじゃん。てことはむしろ……)

海原「よろしければ、ご一緒に食事などいかがでしょう? 美味しい魚料理を出す店が近くにあるんですよ」

美琴(って、むしろ何だ!? 何を考えた! いくらデートに誘われて嬉しかったからって……あれ? う、嬉しい……?)

海原「御坂さん?」

美琴(私は、アイツに、デートに誘われて、嬉しい…………ッ、~~~~~~~~~ッッ!?)

海原「あの、聞こえてますか?」

美琴(なななな何でよっ!? それじゃまるでアイツのこと好きみたいじゃない!? ああああ、ありえない!!)

海原「もしお暇ならお付き合い願いたいのですが…」

美琴「ありえないっつーの!!!」

美琴はブンブンと首を振り、胸の前でコブシを握りながら高らかに叫ぶと走り去った。


海原「え……」

そんな御坂美琴の態度に、爽やかスマイルを凍りつかせるイケメンがとり残された。


437: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/24(日) 15:51:38.04 ID:dS67iSS90

第七学区 駅前――


打ち止め「わぁー、人がいっぱい、ってミサカはミサカは初めてのお出かけに興奮こーふん大興奮っ!!」

上条「こらこら、あんまり走り回ると転ぶぞ」


打ち止め「平気だもーん♪ きゃっ!?」ドンッ

闇咲「むっ」

打ち止め「イテテ……あっ、ごめんなさい」

闇咲「気にするな。そちらこそケガは無いか?」

打ち止め「うんっ! ミサカは尻もちをついただけだから平気だよ、ってミサカはミサカはピョンピョン飛び跳ねて元気をアピールしてみたり!」ピョンピョン

闇咲「フッ、そうか」

上条「どなたかは存じませんが、すみません!」ペコペコ

闇咲「だから気にするな」

上条「そう言っていただけるなら。……こら、人様に迷惑をかけたらダメだろ」メッ

打ち止め「はぁーい。……あっ! あっちで何か配ってる、ってミサカはミサカは猛ダッシュ!」テッテッテ

上条「やれやれ、聞いちゃいねーな」

闇咲「元気の良い妹だな」

上条「ハハ、まあそうですね。元気でいてくれるのが一番ですから」

闇咲「……そうだな。その通りだ」

上条「?? 何かお困りですか?」ハテ?

闇咲「いや何でもない。人を探しているので失礼する」スタスタスタ


上条「人探しかぁ……。いやいや、せっかくあの二人が気を利かせてくれたんだ。今日は仕事を忘れて楽しもう」ウン


モノカゲ

美琴「さ、先に来てる。ううっ、なんて声かければいいんだろ……///」モジモジ


438: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/24(日) 15:53:11.00 ID:dS67iSS90

打ち止め「ねぇねぇヒーローさん! ってミサカはミサカは配布されていた重要書類を渡してみたり」スッ

上条「うん? なになに……ラブリーミトン主催『残暑に負けるな! ゲコ太スタンプラリー』開催中。参加費は無料!?」

打ち止め「参加したいなー、ってミサカはミサカは上目づかいでおねだりしてみる」

上条「いいですとも! てか俺たちに打ってつけなイベントじゃありませんか!」

打ち止め「やったぁー♪」パァァ

上条「御坂が来たらすぐにでもスタンプを求めに……お、あれは」


美琴「ッ!?(み、見つかった!?)」


上条「おおーい御坂ぁー! こっちだこっち!」

打ち止め「お姉さまー、こっちだよー! ってミサカはミサカは両手を振って呼びかけてみたり」フリフリ


美琴「べ……///」


上条「べ?」ハテ?


美琴「別に嬉しくないんだから! 勘違いすんなやこらーーーーっ!!!///」ダダダッ

ドゴッッ!!

上条「ごふっ!?」

打ち止め「ええーっ!? お姉さまの強烈なタックルがヒーローさんにー! ってミサカはミサカは意味不明な展開に驚愕を隠せなかったり!?」ガビーン


439: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/24(日) 15:54:51.45 ID:dS67iSS90

美琴「ハァハァ……ま、待たせてごめん///」

上条「お、おう」

美琴「ちょちょ、ちょろっと手間取っちゃって、あはは……///」

上条「それは構わないのですが、あの……御坂さん?」

美琴「な、なによっ!///」

上条「こうして抱きつかれるのは男冥利に尽きるけどな、周りの目が少々……///」カァァ

美琴「はい?」ハテ?


通行人A「うわ、駅前で見せつけやがって」イラッ

通行人B「あれって常盤台の制服でしょ? お嬢さまなのにやる~♪」ヒュー♪

通行人K「お姉さまが自ら殿方と抱擁を!? う、うそですわ……これは悪い夢ですの……」パタリ

通行人U「わ、私もあのくらい積極的になれば……もしかして///」モジモジ


美琴「」ピシリ

打ち止め「完全にフリーズしてる、ってミサカはミサカはお姉さまのほっぺをツンツンしながら……お姉さま?」ハテ?

美琴「あはっ、あーっはっはっは!!」

上条「み、みさ…」

ガシッ

美琴「うわーーーーーーーーーーーーん!!!///」ダダダッ

上条「ちょ、いたたたたっ、引きずられてる!? 上条さんめっちゃ引きずられてるー!?」ズシャーー!!

打ち止め「待ってーっ!? ってミサカはミサカは暴走するお姉さまを必死に追いかけるーー!!」テッテッテ





海原「…………」ジー


467: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/05(金) 00:22:07.39 ID:IJ3cJfjc0

Side とある異国の魔術師


自分以外の誰かを本気で好きになるなんていうのは、幻想だと思っていた。
世界の裏側で蠢く闇。自分は、その一端である魔術師なのだから当然のことだった。

しかし――


美琴「ゲコ太スタンプラリーてすって!?」

上条「ああ、打ち止めが見つけてきたんだよ。もちろん参加でいいよな?」

美琴「あったりまえでしょ! 打ち止め、良くやったわ」

打ち止め「えへー♪」


学園都市第三位の超能力者、御坂美琴。
禁書目録と上条当麻の関係、それを危険視した組織からの命令をこなすうちに出会った少女。


打ち止め「早く早くー! ってミサカはミサカはのんびりなヒーローさんを急かしてみる」

美琴「そうよ! 早くしないと周りきれなくなっちゃうじゃない!」

上条「はいはい」


彼女の眩しい笑顔を見ていると、心が温かくなる。
彼女のまっすぐな生き方を見ていると、心が感化されそうになる。

彼女が、御坂美琴こそが、薄暗い闇の中で生きる自分に光を教えてくれた。

そう自覚した瞬間、ああ、自分は彼女に恋をしているのだと気付かされた。

だというのに――


美琴「よっしゃああーーっ!! スタンプ一個目ゲットー♪」

打ち止め「どんどん行くぜー、ってミサカはミサカは意気揚々と二つ目のチェックポイントへ進撃開始ーっ!!」

上条「ふぅ、人混みは老体にはちとキツイのう」

美琴「あはは! なーに年寄りみたいなコト言ってんのよ。さあ、次を目指して、ッ、きゃあ!?」

上条「おっと」

打ち止め「おおー、ナイスキャッチ! ってミサカはミサカは転びそうになったお姉さまを抱きとめたあなたを称賛してみたり」

上条「足、捻ったりしてないか?」

美琴「あっ、うん……平気みたい……///」


彼女の心の中には、すでに別の男が住み着いているようだ。
悲しい事ではあるが、彼女が幸せならば諦めもついただろう。だがあの男だけは話が別だ。

上条当麻……魔術世界の注目を一身に集める禁書目録の管理人。
そして学園都市最強を亡き者にし、瞬く間に勢力を拡大させている危険人物。
その魔の手は、表の住人であった彼女をも絡め取り、彼女の類稀な能力を利用している。

到底許せることではない。

御坂さんを学園都市の闇へと誘った、その元凶だけは自分がこの手で……


468: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/05(金) 00:23:53.88 ID:IJ3cJfjc0

CASE 09 最期の日 中編


第七学区 とあるファミレス――


上条「ッ!?」ゾクッ

美琴「打ち止め! 野菜も食べなさい」メッ

打ち止め「必要なビタミンはサプリメントで補うから野菜を食べなくていいんだもーん、ってミサカはミサカはキハラから得た知識を披露してみたり」

美琴「……あんの刺青中年め、いらんコト吹き込みやがって」

打ち止め「あれ? どうかしたの? ってミサカはミサカは顔色が優れないあなたを心配してみる」

上条「さっきのは殺気……?」ムムム

美琴「なにそれ、ギャグ?」

打ち止め「ん~、5点! ってミサカはミサカは辛口採点してみたり」

上条「はは、五割なら落第は免れそうだな」

美琴「何言ってんの、100点満点中の5点に決まってるでしょ」ヤレヤレ

上条「うぐっ……精進します」ガックリ

打ち止め「ふっふっふ、精々精進したまえ、ってミサカはミサカはご馳走様して次なるスタンプ回収に行動開始ーっ!!」テッテッテ

美琴「こらーっ!! さり気なく野菜を残してんじゃないわよ!」


上条「……(誰かに監視されているな。けどインデックスじゃないみたいだし、ほっといていいか)」


◇ ◇ ◇ ◇


同刻

第七学区 とある路地裏――


禁書「ふふふん、ふふふん、ふっふっふ~ん♪」テクテク

??「…………」

禁書「ここならいいかな?」

??「…………」

禁書「さっさと出てきたら? せっかくひと気の無い場所を選んであげたんだから」

闇咲「悟られていたか……」

禁書「隠行の魔術は中々のモノだったよ。でも私には無意味かも」クスッ

闇咲「では強硬手段を執らせてもらう。お前に恨みはないが……許せ!」

禁書「フフ、いいよ。遊んであげる」ニッコリ


469: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/05(金) 00:25:14.14 ID:IJ3cJfjc0

第七学区 駅前――


打ち止め「やたー! スタンプコンプリートー♪」キャッホゥ!

美琴「意外にちょろかったわね」

上条「あくまで子供向けイベントだからな。それより景品を貰おうぜ」

打ち止め「えっと、えっと、何にしようかな!? ってミサカはミサカは景品を見てみたり!」ワクワク


A賞 ゲコ太キーホルダー ※スタンプ1~3個

B賞 ゲコ太マグカップ ※スタンプ4~7個

C賞 イベント限定! 等身大ゲコ太のぬいぐるみ ※スタンプ8個 ただし先着順


上条「C賞だな」

美琴「C賞一択ね」

打ち止め「C賞に決めた! ってミサカはミサカは交換所のお姉さんにスタンプカードを渡してみる」スッ

受付「はい、C賞ですね。こちらが景品のぬいぐるみです。大事にしてね」


ゲコ太『』ジャーン!!


打ち止め「かわいい……!」パァァ

美琴「わ、私もC賞をお願いします!」スッ

受付「ごめんなさい。今のでC賞はおしまいなの」

美琴「えっ?」




海原「もう少しで金星の位置と射角を確保できる……。その時が憎き上条当麻の最期だ」ジー


471: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/05(金) 00:26:55.18 ID:IJ3cJfjc0

数分後


美琴「ゲコ太が……私の等身大ゲコ太がぁ……」ションボリ

上条「限定品を逃すとは……ッ! この上条、一生の不覚っ!!」

美琴「打ち止めいいなぁ……」ジー

打ち止め「はいっ! ってミサカはミサカはゲコ太を差し出してみたり」スッ

美琴「打ち止め?」ハテ?

打ち止め「三人でスタンプを集めたんだから、この子は三人のものだよ、ってミサカはミサカは正論を言ってみる」

美琴「!?」

打ち止め「だから元気を出して、ってミサカはミサカはお姉さまを励ましてみたり」

美琴「打ち止めぁぁ~~~!!!」ギューッ!!

打ち止め「わぷぷっ!? お、お姉さま、ちょっと苦しい、ってミサカはミサカはあなたに助けを求めてみたりーっ!?」ジタバタ

上条「打ち止めは優しい子じゃのう。あとでアイスを買ってやろう……ッ、二人とも伏せろ!!」

打ち止め「ふぇ?」ハテ?

キラッ

ゲコ太『!?』ゴパッ!!


美琴「ぎゃああーー!? ゲコ太がバラバラにーー!?」ギャース

打ち止め「えっ、ど、どうして? ってミサカはミサカは、ぐすっ」ウルッ

上条「今の光はまさか……! 御坂、打ち止めを連れて離れ…」

打ち止め「ヒーローさんと、お姉さまと一緒にスタンプを集めたのに……はじめて楽しく遊んだ思い出なのに……うっうっ……」ポロポロ

上琴「「~~~~~~~ッ!!」」

打ち止め「こんなのって、酷いよ……」





海原「……(いけない、怨念に囚われて手元が狂ってしまうとは。危うく御坂さんに直撃させてしまうところでした……)」ヒヤリ


472: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/05(金) 00:29:03.45 ID:IJ3cJfjc0

Side 御坂美琴


――泣いている

己の幼い頃そっくりの少女が、楽しかった一時の思い出を壊されて泣いている。


美琴「アンタ、今の現象について知ってるコトがあるなら教えて」

上条「んなことより、まずは打ち止めを安全な場所に…」

美琴「いいから教えなさいッ!!!」


――怒っている

目の前の幼い己の分身を泣かせた輩に、何よりその事態を未然に防げなかった自分自身に。


上条「……さっきのは恐らく魔術による狙撃だ。金星の光を使った、命中させた対象を破壊するだけの魔術」

美琴「他には?」

上条「触媒に鏡……いや、たしか黒曜石のナイフを使ってるはず……?」

美琴「わかった。その子の事、お願い」

上条「おいっ、御坂っ!!」


自分を呼ぶアイツに打ち止めを任せ、空と金星の位置から狙撃したであろう方角へ駆けだす。
何事かとこちらを窺う通行人を避けて走りつつ電磁波レーダーに意識を集中する。

美琴(狙撃に失敗したならすぐに移動するはず。だったら私から離れていく人サイズの対象で、一番速く移動しているヤツを追いかければ!)


仕事でも正義感でもなく、ただ怒りのままに超能力者の追撃戦が開始された。


473: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/05(金) 00:31:13.99 ID:IJ3cJfjc0

上条「――これで全部かな」

打ち止め「ヒーローさん、お姉さまは……、ってミサカはミサカは……」

上条「御坂なら心配いらねーよ。コソコソとした卑怯者なんかに遅れをとるなんてあり得ない」ナデナデ

打ち止め「ほんとう……?」

上条「ああ、だから元気を出してくれよ」

打ち止め「うん……でもゲコ太が、ってミサカはミサカは無残な姿になったぬいぐるみに、ううっ……」

上条「ふっふっふ、そこは上条さんの出番ですな。帰ったらパパーッと外科手術で直してやるからな」

打ち止め「えっ、直せるの!? ってミサカはミサカは思わず聞き返してみたり」パァァ

上条「任せなさい。伊達に長生きはしてないんだよ」ドヤッ

打ち止め「すごいすごい! ってミサカはミサカは尊敬の眼差しであなたを称賛してみる!」キラキラ

上条「うおお、力が漲って来る!? よーし、おじいちゃん頑張っちゃうぞー♪」


◇ ◇ ◇ ◇


第七学区 ビル建設現場――


海原「ハァ、ハァ……まさか御坂さんが追ってくるなんて。でもここまで来れば…」


美琴「ここまで来れば、何かしら?」


海原「!?ッ」

美琴「あんたが魔術師? まあそんな事はどーでもいいんだけどさ」

海原「み、御坂さん! じ、自分は…」

美琴「あー、何も言わなくていいから。もしも同情しちゃうような内容だったら困るし」

海原「自分はあなたに危害を加えるつもりは…」

美琴「今は聞かないって言った! まずは私の妹を泣かせた落とし前、つけさせてもらうわっ!!」


474: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/05(金) 00:34:40.42 ID:IJ3cJfjc0

Side 異国の魔術師


どうしてこんな事になったのだろう。
迸る電撃の嵐を前に、異国の魔術師はただ現実を嘆くしかなかった。

美琴「何を呆けてるの? 構えるくらいの時間は待ってあげるわよ」

海原「くっ……!」

美琴「へぇ、アイツの情報通り、黒曜石のナイフを使うのね」

何故 自分の使う魔術の情報がバレているのか。そんな事は魔術師にとって些細な問題だった。
眼前の超能力者が纏う高圧電流が、闘志が、何より強い意志の込められた視線が、魔術師の戦意を著しく減退させていた。

どこか甘く見ていた。

御坂美琴という少女は、たしかに裏の世界とは無縁の存在だった。
だがそれは彼女の強さとは何の関係も無い。
御坂美琴は、誰かの庇護が必要な小猫などではなく、敵を積極的に噛み殺す猛獣の類だったのだ。

海原(か、敵いっこない……! 逃げる事も、手加減して戦うことも……これがレベル5なのか)

美琴「悪いけど手加減は期待しないで。さあ、行くわよ!!」

海原(あのコインは!? ま、まずい……っ!!)


キーン、とコインを弾く音が響く。


海原「うわあああああああっ!!!」

その音が何を意味するのか。
御坂美琴に想いを寄せる魔術師は、瞬時に理解し恐怖した。

お世辞にも命中精度が良いとは言えない魔術でもって、次の瞬間には音速の弾丸と化すコインを撃ち落とさんとナイフを構える。

だが遅い。

圧倒的に遅すぎた。

オレンジの軌跡が、とてつもない破壊力をもって黒曜石のナイフを撃ち抜いていた。
そしてワンテンポ遅れて、背後から爆砕音が聞こえてくる。

海原「なっ!?」

美琴「あんたが何者かなんて知らないけどね、私の大切なものを壊そうって言うのなら」

超電磁砲の一撃に呆けている魔術師に向かって美琴が駆ける。
どう見ても華奢で、腕力なんてまるで無さそうな右手を、しかし帯電させた右手を振り上げ

美琴「まずは、そのふざけた幻想を撃ち抜いてあげる!!」

海原「がはっ!?」

吸い込まれるように魔術師の下顎を撃ち抜き、意識を刈り取った。


475: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/05(金) 00:36:10.77 ID:IJ3cJfjc0

美琴「よっし、打ち止めとゲコ太の敵は討てた!」

海原「」ピクピク

美琴「にしても完全にのびちゃってるわねー」

海原「」ピクピク

美琴「あっ、そういえばコイツ、魔術師っていってたわよね?」

海原「」シーン

美琴「…………」pipi

Prrrr Prrrr

木原『こちら木原ー、なんか用か?』

美琴「えっと、魔術師を捕まえたんだけど……」

木原『良くやった!! すぐに回収班を手配すっから、しっかり見張ってろ! いいなっ!?』

美琴「は、はい」


テッテレー


御坂美琴は魔術師を一匹退治した!

借金完済まで、残り9999魔術師。※ただし利息分は考えないものとする


476: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/05(金) 00:39:10.22 ID:IJ3cJfjc0

第七学区 窓のないビル――


アレイ☆「いいぞ、幻想殺しと妹達の絆が強固になればなるほど、私の身の安全は盤石になる」フフフ

土御門「……仮にも学園都市の顔であるレベル5を対魔術師戦に投入するってのは、迂闊すぎやしないか?」

アレイ☆「そのような危惧は無用だ。もはや手段を選んでいる段階ではない」

土御門「貴様、まさか……」

アレイ☆「そのまさかさ。条件が整い次第、グループの総力をもってイギリス清教を撃滅する」

土御門「なっ、馬鹿な!」

アレイ☆「馬鹿なものか! 相互不干渉の盟約を一方的に破棄したのはあちら側だろう!」

土御門「は……?」

アレイ☆「フフフ、禁書目録があれほどのバケモノだったとは大きな誤算だった。しかし、同様に幻想殺しもまたバケモノ」

土御門「カミやんがバケモノだと?」

アレイ☆「そうだ。神という世界の枠を超えた存在に、単騎で抗しうるほどの存在だ。完全無欠の魔神とはいえ…」


木原『あー、連絡事項。第七学区で白い修道女が大暴れしている模様。要警戒人物の特徴に合致するわけですが、どーします?』


アレイ☆「ひぃ!?」ビクッ

土御門「……(怯えてやがる……)」ポカーン

アレイ☆「ヤ、ヤツだ……白い悪魔がついに牙を剥いたのだ。だがどうすれば……」ガクブル


木原『なんかスゲー勢いでビルとかバッタバッタぶっ倒れてやがんなあ。うっひょー、ありゃあ真性のバケモノだわ』ケラケラ


アレイ☆「さ、采配は君に一任する。ただし絶対にこのビル付近での戦闘は避けてくれ、いいな、絶対だぞ!?」ガクブル


木原『まあ……なんとかやってみますわ』


478: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/05(金) 00:43:20.24 ID:IJ3cJfjc0

第七学区 とある公園――


浜面「ほら、もう失くすなよ?」

JS「うん! ありがとー、アンチスキルのおにーちゃん!」テッテッテ

浜面「おう」フリフリ

御坂妹「紛失物の捜索、無事に完了しました、とミサカはアンチスキル及び風紀委員に報告を入れます」

浜面「…………」

御坂妹「どうしました? とミサカは走り去って行く小学生に邪な視線を送る同僚を心配します」

浜面「ちげーよ!? 俺、ロリコンじゃねーし!」ガァァ

御坂妹「臭いますね、とミサカは嘘の香りを嗅ぎつけます」ジトー

浜面「完璧に言いがかりだからね!? 俺はただ…」

御坂妹「ただ?」

浜面「……あんな風に感謝されるのに慣れてなくってさ。なんつーか、その……こそばゆいんだよ///」テレテレ

御坂妹「なるほど、俗に言う死亡フラグですか。不良が小さな善行に幸せを感じたら、次の回で非業の死を遂げるという…」

浜面「やめてっ!? 本気で洒落にならないから!!」ギャース

御坂妹「大丈夫です、とミサカは同僚を宥めます」

浜面「おっ、もしかしてお約束? あなたは私が守るもの、ってか」

御坂妹「いえ、仮にミサカの弾除けとして散った場合、ほっぺにチューして弔ってあげます、とミサカはサービス精神を発揮しました」シレッ

浜面「すでに死ぬこと前提なの!?」

Prrr Prrr

浜面「ッ、こちら特務支援課。どうぞ」pi

木原『ちぃーっとばかし厄介な事態が発生した。お前ら、すぐに動けるか?』

浜面「動けるけど」

木原『そんじゃ仕事だ。そこから三キロ地点で魔術師が派手に暴れてやがる。テキトーな武装で鎮圧しろ、以上だ』pi

浜面「オイオイ、適当な武装って……」


御坂妹「ゲットレディ、とミサカは殺る気満々でフルブースト展開します」ギュイーン、ガシャコン!!


浜面「いつの間にか重武装してるーー!?」ガビーン

御坂妹「あなたもコレで武装してください、とミサカは親切に武器を譲渡します」スッ

浜面「ありがてえ! って、これメリケンサック!?」


テッテレー


浜面はメリケンサックを装備した!


496: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/20(土) 00:40:32.83 ID:OBUf+xsa0

Side 闇咲逢魔


第七学区 路地裏――


とある呪いを解呪するのに必要だから禁書目録の知識を求めた。

己が研鑽してきた魔術が無駄ではなかったという証を立てるために。
断じてあのような、つまらない女のためにではない。

容易なコトだとは思っていなかった。だが不可能ではないと信じていた。
しかし現実は想像を絶するものだった。

闇咲「衝打の弦」

腕に装着した梓弓から視えざる矢を射出することにより、空気の弾丸を生成し禁書目録へ放つ。
威力の大半は殺してあるとはいえ、人ひとりを気絶させるには十分な一撃が炸裂する瞬間

禁書「フフ、知ってるんだよ。あなたは日本神道を由来とした魔術師。梓弓を媒介に風を操作する」

闇咲「!?ッ」

つらつらと分析しながら禁書目録が右手の人差し指をかざす。
ただそれだけで、闇咲の魔術はあっけなく霧散してしまった。

闇咲「馬鹿な……」

知らず驚愕の呻きが漏れる。
それも無理ない事だった。――何故なら禁書目録は何の魔術も使わずに、こちらの魔術を無効化したのだから。

二流以下の魔術師ならば、構わず第二射を放つなり別の魔術を繰り出していただろうが、生憎と闇咲は一流だった。
故に気付いてしまった。

闇咲「その魔力の胎動は……あ、ありえない」

禁書「ふーん、気付いたんだ。あなた中々優秀だね」

闇咲「禁書目録は魔力を有さないハズではないのか……? いいや、それは最早人間に纏えるレベルでは……」

そう、超然と佇む眼前のシスターは異常であった。
漏れだす僅かな魔力の波動だけで、こちらの攻撃を無力化されたのだ。術式も何もない、ただの力押しでだ。
少女の姿をしているが、その内で渦巻く魔力のなんと理不尽なことか。

噂に聞く魔神といえど、これ程のバケモノであるはずがない。


497: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/20(土) 00:43:18.26 ID:OBUf+xsa0

禁書「そこらの魔神と一緒にしなかった所は評価できるかも。あんな紛い物と同列にされるなんて、考えるだけで不愉快だもの」

闇咲「なっ!」

禁書「思考を読まれたのが、そんなに不思議?」

闇咲「…………」

禁書「大切な女性を助けるために『抱朴子』を求めてるんでしょう?」

看破されている。
他人の心を読めるのだろうか、このバケモノに黙秘は意味を成さないらしい。

禁書「いきなり力ずくなんて実に魔術師らしくて結構だけれど、あなたは選択を間違えたんだよ」

闇咲「ッ、風魔の弦!」


禁書目録の膨大な魔力が、その小さなカラダから濁流のように放出されたと同時に、闇咲は風を操り路地裏からビルの屋上へ退避する。


少し距離を離したとはいえ、あのバケモノはすぐにでも闇咲を殺しにくるだろう。今すぐ決断しなければならない。
最善は一心不乱の逃走だ。応戦は最悪手といってよい。

闇咲「……愚かなことだ。どうやら私は、あの理不尽から逃げるつもりはないらしい」

口角を歪め自嘲すると、闇咲は梓弓に視えざる矢を再装填し、応戦の構えをとる。
そこへ、虚空からにじみ出るように禁書目録が現出した。

禁書「相手の強さを推し量るのも強さのうちだよ? 逃げるのだって立派な戦術。恥じることはないかも」

闇咲「確かにそうだ。だが私には退けない理由がある」

禁書「……捨て鉢になったわけじゃないね。そっか、愛する人が私に害される可能性を考えたか」


その通りだった。今更逃走など何の意味もなさない。
闇咲に残された道は、速やかに禁書目録を始末し『抱朴子』を手に入れ学園都市を離脱するのみだ。

禁書「見上げた胆力だね。でもそれが可能かな?」

闇咲「知れた事! 天魔め、あまり私を舐めるなよ!」


不退転の決意を込めた叫びと共に、梓弓から放たれた疾風の刃が禁書目録へ殺到した。

次→禁書「とある幸福の上条当麻、はっじまるよー」上条「ウソつけ!」  その2

禁書「とある幸福の上条当麻、はっじまるよー」上条「ウソつけ!」
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