465: 1 2012/12/15(土) 18:30:26.01 ID:1adwTES60



「ぶえーーーーーっくしょん!!」

「きったねぇな・・・」

「わり・・・・」

「ほれ、テッシュ」

「サンキュー、半蔵」ズズズ


いつかの光景・・・・あの日の朝の光景だ



ここは7学区の駅前の家電量販店前、そこで俺、浜面仕上は友達の服部半蔵と一緒に並んでる。
何故並んでるかと言うと、もうすぐ販売されるゲームを買うためで、このくそ寒い中購買者の列に並んでる

関連作品
上条「ソードアート・オンラインか、やってみたいな」 その1

003
466: 1 2012/12/15(土) 18:32:07.64 ID:1adwTES60
半蔵「しっかし、麦野さんも気前がいいね~、ポンと金出してくれるとか」

浜面「自分が並びたく無いからじゃね?こんな朝早くあいつが並ぶとは思えないし」

半蔵「そんなもんなのか?」

浜面「そんなもんだよ。女なんて・・・」

半蔵「何その上から目線・・・」ウゼェ

浜面「にしても、意外といないんだな。もっと、並んでると思ったけどよ」

半蔵「限定50個、しかも先着順だぜ?!こんな朝早くに来るやつの方が少ないって」

浜面「そうなのか?・・・っつか、意外とヲタクっぽい奴少ないんだな」


俺は見たまんまの感想を言った。
前持ったイメージだともっとヲタクっぽい奴らが行列作ってると思ったが、ここは割かし普通の奴らだけだった。
例えるなら行列のできるラーメン屋、そこに並んでる学生たち。
しいて言うなら1番前の青髪の大男と金髪グラサン、後ろの方の頭花畑(比喩じゃなくてマジで)ぐらいだろう。
とまあチンピラフェイスの俺が言うのもなんだが

467: 1 2012/12/15(土) 18:33:36.32 ID:1adwTES60
半蔵「そういやなんだっけ?ゲームの名前」

浜面「ソードアート・オンライン」

半蔵「そそ、それそれ・・・」


ソードアート・オンライン。外部で開発されたゲームだが、学園都市でも販売されることになり凄まじく宣伝してる。
俺もやりたいと思ったが、誰かに感想聞いてから買うか…ぐらいの考えだったが


「浜面!大体、これ欲しい。にゃあ」


と、うちのチビが言いだし


「いいじゃん。金は出すから浜面!あんた私の分含めて2つ買ってきな」


と、うちの暴君(本人の前じゃ言えねえよ・・・)が言ったので、こうして半蔵と買いに来てるところだ


半蔵「にしても、フレメアが欲しがるなんて意外だな」

浜面「朝のお子様番組の時とかにもCM流すんだぜ?そりゃ興味持つだろ・・・」

半蔵「もっと意外なのは、麦野さんが欲しがったところだよな」

浜面「意外と。中身は子供なんだよ」

半蔵「だから、なんでお前は身内の女を解りきった感じで語ってるんだよ」マジウゼェ


468: 1 2012/12/15(土) 18:34:27.05 ID:1adwTES60
そうこうしていると、シャッターが開き中から店員が出てきた


「お待たせしましたー!それでは、ソードアート・オンライン、ナーヴギア同梱セット。
只今より販売開始しまーす!!列を乱さないでお入りくださーい!」


浜面「お!やっとか」ドッコラショット

半蔵「ふう・・・寒かった」ヨイショ

469: 1 2012/12/15(土) 18:36:51.95 ID:1adwTES60
購入し終えた俺達は店の前に出る


サテンサン、ハヤクモドリマショ!!
ゲンキダネー
アサハ、ゲンキガイチバンデス!!
ソノマエニカエッタラネカセテ。ウイハル


イヤーカエタゼイ
オ!ソコニオンノハ、コモエセンセニ、ヒメガミサン!!
マヂカ?!
アオガミチャン、ツチミカドチャン
オハヨウ。



購入した人はそれぞれ喋り、互いに帰路に着いてた。俺達は


半蔵「結構でかいな・・・」

浜面「お前のビックで大丈夫か?」

半蔵「何とかなんだろ」

浜面「ってか、いつビック買ったお前?」

半蔵「内緒☆」

浜面「・・・はあ。まあいいや・・・安全運転で頼むぜ」

半蔵「あいよ!」


そう言って半蔵の買った?ビックが駐輪してある場所に向かった

470: 1 2012/12/15(土) 18:38:10.34 ID:1adwTES60
10分ぐらいで、俺がアイテムメンツとルームシェアしているマンションに着いた。・・・もげろとか言うなよ?


浜面「わりいな、送り迎えまでしてもらって」

半蔵「大丈夫だって。ってか、今フレメア居るんだろ」

浜面「おう、居んぜ」

半蔵「ならちょっと顔出していくわ、久しぶりに会いたいしな」

浜面「いいけど・・・あいつ今日は学校だぜ?」

半蔵「え?!今日祝日じゃねぇの?!」

浜面「社会科見学で工場見学なんだとよ」

半蔵「ほーう」

浜面「なんでも、チョコレート工場があるから本人はテンションアゲアゲだけどな」

半蔵「つーか、ゲームいいのかよ」

浜面「ぎっりぎりまで考えてたけど、出来たてチョコの誘惑に負けたっぽいな」

半蔵「なんだそれ」

471: 1 2012/12/15(土) 18:39:22.93 ID:1adwTES60
浜面「たでーまー」ガチャリ

半蔵「おじゃましまーす」


「あ!半蔵だにゃあ」


「お、浜面超おかえりなさい」


玄関の廊下で出かける前の準備してたのは、
SAOを欲しがってたのに出来たてチョコレートの誘惑に負けた金髪の少女、フレメア=セイヴェルン。
アイテム構成員の1人、その微妙な丈のワンピ何とかしろ、と言いたくなるようなファッションのC級映画大好き少女、絹旗最愛。
2人が出迎えてくれた

472: 1 2012/12/15(土) 18:41:43.90 ID:1adwTES60
浜面「もう出かけるのか?」

フレメア「そう。今から大体、7学区の駅前に行くんだにゃあ」

絹旗「私は映画巡りですけど、超途中ですけど駅前まで送ってこうと思いまして」

フレメア「ふにゃ!!大体、それは!?」

浜面「おう!!ちゃんと買えたぜ」

フレメア「ふおーーーー!!ソードアート・オンラインだにゃあ」

絹旗「おお、ちゃんと買えたんですか?」

浜面「ああ、結構余裕だったぜ!!」

絹旗「超ありがとうございます、半蔵さん」

浜面「え!俺は?!」

絹旗「浜面はパシリなんだから買ってきて当然です。ってか、パシリのくせに送ってもらうとか、浜面のくせに超生意気です」

浜面「そこまで言うか?!」

フレメア「大体、しょうがないにゃあ」ヨシヨシ

浜面「チキショウ」

半蔵「はは・・相変わらずだな(ま、今ぐらいされてもシャーないよな)」

フレメア「ところで半蔵。大体、何しに来たの?」

半蔵「久しぶりに顔見たくてな、ちょっと寄っただけさ。ってか、駅前までいくんだろ?」

絹旗「そうですけど」

半蔵「なら送ってやんよ。この2人なら余裕そうだし」

絹旗「超まじっすか?!」

フレメア「やったにゃあ!!」

半蔵「何時ぐらいがいい?」

フレメア「今だぜいーーー」ピュー

絹旗「あ、こら」

半蔵「おお、元気なこって」

絹旗「なに呑気なんですか!!フレメアー超待ちなさーい!!」タッタッタ

半蔵「あーらら。じゃ、俺も行くわ」

浜面「おう!!あんがとな」

半蔵「礼なら、今度飯、奢ってくれよ!!」

浜面「あいよ」

半蔵「じゃあな」

浜面「お疲れー」バタン

473: 1 2012/12/15(土) 18:43:46.50 ID:1adwTES60

浜面「ふうー・・・さて」


俺は半蔵たちを見送った後、SAOの入った袋を持ちリビングに向かった。
リビングに入るとフレメア達の朝食の跡があった


浜面(片づけろよ・・・)


そう思った俺は袋を置き、後片付けをしテーブルを拭いた。
粗方片づけ終わり一息つこうとソファーでペットボトルの茶を飲んでた


浜面(寝よっかな・・・)


「おはよう」


後ろから声を掛けられた、俺の彼女、滝壺理后。俺の彼女だ


浜面「おはよう・・・わり、起こしちまったか?」

滝壺「大丈夫。今起きたとこ・・・」

浜面「そっか・・・今日予定は?」

滝壺「今日はお休み、はまづらは?」

浜面「俺も予定無いしなー・・・そうだ!どっか行くか?」

滝壺「それもいいけど」

浜面「ん?」

滝壺「今日は―――」


そのまま滝壺の顔が近づいてきて、そのままキスをした。
ファーストキスもそうだが、滝壺は自分からキスをするのが好きらしい。
最初は優しかったがだんだん滝壺の鼻息が激しくなる、俺も鼻息が荒くなっていくのが分かる。
後はお決まりコース、解るだろ?




474: 1 2012/12/15(土) 18:46:28.93 ID:1adwTES60
ふと目が覚めた、時計を見るとお昼ぐらい。
俺の胸の中では滝壺がスヤスヤ寝息をかいて寝てる、綺麗な顔だ。
小便に行こうと思い、滝壺を起こさないように静かにベットを出る。
床に落ちてたパンツとズボンを拾い、それらを履いて便所に向かった。


浜面(昼間っからヤルのも悪くないな・・・)ジョロロロ


など、考えながら用を足し、リビングに戻ると


滝壺「あ、おはよう」


滝壺がいた、どうやら起こしてしまったらしい。
悪いことしちまったな・・・彼女は今シャツとジャージだけ、おそらく下着はパンツだけなのでシャツから薄ら――いや、何でもない。
よく見ると彼女の手には説明書の冊子とパッケージ


浜面「開けちまったのかよ・・・」

滝壺「うん。気になってたからね」


475: 1 2012/12/15(土) 18:48:13.82 ID:1adwTES60
浜面「フレメアがぎゃーぎゃー騒ぐぞ?」

滝壺「大丈夫。私が何とかする。もしくは、はまづらが何とかする」

浜面「え?なんで俺が入った?!」

滝壺「はまづらはこうゆう事に慣れてるから」

浜面「いや、慣れたくて慣れたわけじゃないからね!?」

滝壺「大丈夫。また貶されたら慰めてあげる」

浜面「え?あ、う、うん・・・・うん?」


最後の言葉に惹かれて納得してしまったが、これでいいのか俺?まあ、俺も興味あったし何より滝壺がゲームに興味持つのが珍しい。
隣に座って箱から本体を出す


浜面「結構重いんだな」

滝壺「容量の大きいバッテリーが内蔵されてるんだって、停電しても大丈夫なように」

浜面「停電してる時まではさすがにやりたくねぇよ…」

滝壺「ねえ、はまづら。やってみようよ?」

浜面「んー…。ま、いいっか…ちょっと待ってろ、今セッティングすっから」



セッティングなどが終わり、俺と滝壺はソファーでサービス開始の時間を待ってる状況だ


滝壺「ねえ?」

浜面「ん?」

滝壺「楽しみ」

浜面「俺も!そろそろ時間だぜ?」

滝壺「本当だ」

浜面「一緒に行くぜ!」

滝壺「うん」


「「リンク・スタート」」


こうやって、俺と滝壺はソードアート・オンラインへダイブしていった

476: 1 2012/12/15(土) 18:50:41.69 ID:1adwTES60
「はぁぁぁぁ、疲れた」バタン!!


勢いよく扉を開けた瞬間、どこぞのOLかよ!と言いたくなる様なことを発しながら部屋に入ってきた女性。
麦野沈利、彼女は今まで髪を染めに美容室に行き、リハビリの一環で作るお菓子の材料を買ってた。
そして、今帰宅したとこである


麦野「誰もいねーんか?」


反応は無い


麦野(んだよ…)


軽く機嫌が悪い、理由は何個かある。
まず美容室に行こうと浜面に車だしてもらおうかとしたが、彼はSAOを買いに行ってたのでおらず、仕方なくバスと地下鉄で美容室に行き。
美容室も地味に混んでたので時間が掛かり、帰りにスーパーで買い物するがここでもレジが混んでおり。
やっと用事が終わったと思い帰ろうとしたら、地下鉄が運転見合わせおり。
仕方ないので浜面に迎えに来させようとスマホを出したら電池が切れており、結局バスを乗り継いで帰ってきたのだ


麦野「はぁ…」

477: 1 2012/12/15(土) 18:52:33.46 ID:1adwTES60
軽いため息をついて部屋の中に上がる。だがリビングに入ると


麦野「んだよ。いるじゃねーかこいつ等」


そこにはナーヴギアを被り、2人仲良くソファーに座ってる浜面と滝壺がいた。
2人はすでに目をつぶっていて、ナーヴギア本体に電源が入ってる。おそらくプレイ中であろう


麦野(フレメアにキーキー言われてもシーラネ)


確かに、SAOを買ってきてと言いだしたのはフレメアであり、麦野は金を出したに過ぎない。
なので彼女はそれほどSAOにこだわってないので、こんなあっさりした反応なのである。
むしろ、帰ってきたフレメアにキーキー言われてアタフタする浜面を眺めたいぐらいである


麦野(まあいい。飯でも作ろう…)


この二人はほっとき、彼女は夕食を作ることにした。
と言ってもまだ昼過ぎだが、今日は気分的に手間のかかったものを食いたかったので、今からすることにした


478: 1 2012/12/15(土) 18:54:07.85 ID:1adwTES60
麦野「ふう…こんなもんか」


食卓に上がった数々の品を見て、彼女は呟いた。
後は、夕飯直前にスープを温めなおし器に注ぐだけだ


麦野(しっかし…)チラ


ソファーを見る。もうすぐ6時になるのにこの2人はまだ起きない、よほどこのゲームが楽しいのか?


麦野(んにゃろ~気持ちよく寝やがって…)


あまりにも2人の気持ちよさそうな顔《特に浜面》に、彼女はちょっとした悪戯を考える


麦野(このまま、これを外しちゃおうかにゃあ~ん)


軽い気持ち。彼女は浜面のナーヴギアを外そうと考えた。
もちろんこれは、ゲームをプレイ中にオカンが間違ってゲームのコンセント抜いたみたいな感じ。
いきなりこっちに戻されて、驚いた浜面のリアクションを見たいだけだった。本当、軽い気持ち
彼女が浜面のナーヴギアに手を出そうとした時


「麦野ぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」バン!!


麦野「!?」

479: 1 2012/12/15(土) 18:55:42.66 ID:1adwTES60
玄関から、悲鳴の様な声で名前を呼ばれる。彼女は急いで玄関に向かう


麦野「んだよ…絹旗か」

絹旗「」ハアハア


そこには息を切らせ、肩で息をしてる絹旗の姿があった。
玄関を凄まじい勢いで開けたのか、扉がくの字に曲がってる


麦野「なにそんな急いで――」

絹旗「何で!!」

麦野「あ?」

絹旗「なんで電話出ないんですか!!超心配しましたよ!!」

麦野「電話?…あーわり。充電切らしちまってたわ」

絹旗「無事なら超イイです…浜面と滝壺さんは!?」

麦野「ん?あの2人ならリビングに――」

絹旗「超失礼!!」ダッ!!

麦野「あ!コラ!!靴ぐらい脱いでいけ!!それに絹旗!おめえ、フレメアはどうした!?」


「フレメアなら、俺の仲間がこっちに運んでる」


また声、今度は男。この声は浜面の友人、半蔵の声だ


麦野「あ?んだよ…浜面なら彼女とリビングで――」


「邪魔する!!」ダッ!!


麦野「おい!!テメエも話最後まで聞きやがれ!!」


いきなり入ってきた2人に、混乱と苛立ちを募らせる麦野。訳の分からない状況だが、2人の後を追ってリビングに向かう

480: 1 2012/12/15(土) 18:57:16.00 ID:1adwTES60
麦野「んだよさっきから、藪から棒に。いったい何…絹旗?」


彼女は見たものは


絹旗「…」


腰が抜けたようにそこに座り込んでる絹旗と


半蔵「くっそ!!」


悔しがってる半蔵、更に訳が分からなくなる


麦野「なんだよ…そんなにゲームやりたかったのか?」

半蔵「はぁ?!」

絹旗「何言ってんですか!!」ジワ


この反応、絹旗に関しては涙を浮かべてる。よほどやりたかったのか?


麦野「分かったよ…今こいつらの外すから。でもやるなら夕飯の後にしろよ」

半蔵「ちょ!?」

絹旗「そうじゃありませんよ!!ニュース見てないのですか?!」

麦野「ニュース?」

絹旗「そうですよ!!私達が説明するよりも超解りやすいので見てください」ピッ

麦野「ニュースって…まだやってないだろ?」

半蔵「やってるよ。今日はな…」

麦野「は!?」

絹旗「ほら!麦野!!」

481: 1 2012/12/15(土) 18:58:41.71 ID:1adwTES60
麦野「んだよ…ったく。どれ?」


そこでやってたのは、麦野が知ってるテレビの内容ではなかった。
いつもならこの時間は刑事ドラマの再放送だが、半蔵が言った通り今日は既にニュースがやってる。
アナウンサーはいつもと違い、多少焦りながら文言を伝えてる。画面には目立つテロップで


《オンライン・ゲームで死亡事故》


と表示されている。そして、アナウンサーの伝えてることは

「繰り返しお伝えします。今日午後、仮想オンライン・ゲーム機、
ナーヴギアを用いたゲームソフト、ソードアート・オンラインにて多数の死者が出た模様です。死者の数は100名以上になる見通しで、――」


麦野「おい…これって!?」

絹旗「そうです…浜面と滝壺さんが被ってるのもです…」

麦野「なら!今すぐこんなもの!!」

半蔵「やめとけ!」

麦野「あ?なんでだよ!?」

半蔵「…それを外したら死ぬぞ。そいつら」

麦野「は!?何言って――」

半蔵「今理由やってんよ」クイ


半蔵がそう言ってテレビを指差した。そこではアナウンサーが言ってた、ナーヴギアを外すと死ぬと――



482: 1 2012/12/15(土) 19:01:26.28 ID:1adwTES60
あれから1カ月近くが過ぎた、結局何の進展もないまま今に至る。
麦野は今被害者の入院している病院内に居る、目的は警護。
第3位となど学園都市に重要な人物が巻き込まれてるので、もしもの為に元暗部組が警護してたりする。しかし、


麦野(暇だ…)


確かにやることがない。内部は麦野達が守ってるが、外も警備員が警護してるので不審者は早々入ってこない


麦野「はぁ…」


「ため息は幸せが逃げますよ?」


麦野「…んだよ、グループのキザ野郎」

海原「キザじゃなくて海原です。どうしたんですか、ため息なんてついて?」

麦野「そりゃ付きたくもなるわ…事件を調べようにも手立てがすくねぇし、情報も少ねえぇ」

海原「…」

麦野「おまけに私達まで監視されてるからよ、派手に動けねぇしな!」

海原「でも、監視されてるのにこうやって喋るのは平気なんなら、ある程度自由はあるんじゃないですか?」

麦野「そうか?」

海原「それに。御坂さんの後輩にあの資料渡したのでしょ?」

麦野「ッツ!?…誰から聞いた?」

海原「結標さんから」

麦野「あの糞露出女ぁぁ」ピキピキ

海原「ははは。いや~結標さん後が大変そうですね」

麦野「…で、あのチビツインテは?」

海原「支部に持って帰ったようです、彼女はそろそろ勤務を終えるのでここに来るかと」

麦野「そうか…」


別に白井に伝えたから劇的に物事が変わるわけではない、ただ麦野の感で伝えたいと思ったからだ


麦野(感なんて…こんな物までも頼るとわな…)

506: 1 2012/12/22(土) 22:31:15.56 ID:9ixsnTX50
第2層・ウルバス


皆さんお久しぶりです、たきつぼりこうです。
今はアインクラッド、第2層のウルバスと言う町に居ます。
ここに居るのは数時間前に、はまづら達かここに来れる様にしてくれたからです。はまづらがんばった。
で、そのわたしの彼氏はまづらはと言うと


浜面「」チーン


口に肉いっぱい詰め込まれて、白目向けて気絶してます

507: 1 2012/12/22(土) 22:33:06.65 ID:9ixsnTX50
さて、何故、浜面が気絶してるか説明しよう。
ここウルバスは先ほど滝壺が述べた通り、数時間前に解放されたばかりの新しい層で、まだまっさらな状態、元β以外何も知らない状態だ。
転移門が有効化されると大量の人がこの街に流れ込んだ、この時彼女等もこの街に来た。
この街に来た人々の目的は、新しい街の観光、新たな宿の確保など色々ある。
彼女等は後者、新たな宿の確保である。と言うのも


初春「御坂さん達だけずるいです!」

佐天「そうですよ、私も入りたかったですお風呂!」


少女2人組の熱望と


土御門「んーこれから攻略とかに参加していくなら、なるべく最前線の方がいいにゃ~」

浜面「それは言えてるな」


と言う結論になり、この街で宿を探すことにした。

508: 1 2012/12/22(土) 22:34:33.08 ID:9ixsnTX50
宿と言っても、この前キリトが泊まってたような建物の2階だ。
キリトは早い者勝ちと言ってた、つまりとっとと広くて風呂付の安めの所を見つけないといけないのだ。
それなりに時間はかかるだろうと思われてたが、


初春【みなさーん、私と理后さんでいい場所見つけました!】


とメッセージが入ってきた。結構あっさり見つかった、まあ早めに見つかってこれなら安宿に泊まらなくて済む。
メッセージに書かれてたのは街の裏路地にある店


上条「こんばんは~」カチャリ

御坂「どうも~」

佐天「あ!来た来た」

土御門「遅いぜい」


店にはすでに上条と美琴以外が集まってる、店の内装はウッドテイストの温かい雰囲気、暖炉がいい味を演出している。
何個かテーブルがあり、そこでは


初春「うーん、もうちょっと甘い方がよかったかなー?」

滝壺「私はこれ位で十分」


初春と滝壺が何やら白くてでかい物を食べてる。ショートケーキらしいのだが


上条(あれ?俺の知ってるショートケーキと違う…)


と彼は心の中で思ってた。

509: 1 2012/12/22(土) 22:36:28.03 ID:9ixsnTX50
さて、ここに来たのはケーキを食べる訳でなく


御坂「で。初春さん、どこなの?」

初春「ああ、それなら奥に居るNPCに話しかけてください」

御坂「NPC?」チラ


美琴が奥を見ると確かにここの店員のNPCがいて


「こまったわ~…」


とつぶやいてる。
NPCの上には金色の【!】マークが出てる、これはクエストの開始ポイントの証だ


初春「話しかけると受注できますよ?」

御坂「よし!」


美琴が意気込んでNPCの前に行った


「こまったわ~…」


御坂「どうしたんですか?」


「あのね、今日ここに来るはずだったお客さんが来れなくなっちゃってね、料理が余っちゃったのよ…」


御坂「はあ…」


「あ、そうだ!よかったら食べていかない?このまま捨てるのも勿体無いし…」

「それに食べてくれたら、ここの上の部屋を貸してあげる」


この言葉の後、NPCの頭上の【!】マークは【?】に変わる。そして、美琴の視界にクエスト受領のメッセージが流れる


御坂「これって、5人同時に出来るの?」

初春「そうらしいですね。どうですか、みなさんでやってみてはどうですか?ご飯まだですよね」

浜面「そういえばまだ食ってねえな」

土御門「流石に腹減ってきたしな」

佐天「やりましょうよ!」

上条「俺もやるぜ!」


そう彼らが言うと、彼らの視界にもクエスト受領のメッセージが表示される


御坂「じゃあ、やりましょ」


「まあ、ありがと!そこに座って待っててね。すぐ持ってくるから」


NPCはそういうと奥の厨房に入って行った

510: 1 2012/12/22(土) 22:37:42.29 ID:9ixsnTX50
佐天「よかったですね、ご飯食べるだけの簡単なクエストで」

御坂「ほんと、最初クエストって聞いたから何かと思ったわよ」

浜面「最初のクエスト思い出しちまったよ…」

土御門「あれは酷かったにゃ~」

上条「イノシシ10匹狩るとかマジしんどかった…」

佐天「でも、けっこうレベル上げで来たからよかったじゃないですか?」

御坂「そうよ、あんたもレベル上がったからよかったじゃないの?」

上条「そうなのかな~…」

土御門「そうだぜい。ほら、暗くなったら飯が不味くなるぜい」

上条「ん~」


「はい、おまたせ!」


浜面「お!来た来た」


厨房からNPCが出てくる、


御坂「さーて、どんなのかな?」

佐天「楽しみですね♪」

511: 1 2012/12/22(土) 22:38:55.60 ID:9ixsnTX50
何皿も豪華な料理が出てくると思ってワクワクするのも分かる。
だが、こんなに旨いクエストが何故、残ってたか彼らは考えるべきだった。
ただ飯を食って泊まれるとか話がうますぎる、こんないい話なら元βテスターが真っ先にやってるはずだ。
そのテスターもこの店に来た様子は無い、と言うより人っ子1人いない。
よく見とけばよかった、初春や滝壺が食べてるケーキの大きさを


「はい!召し上がれ」ドン!!


「「「「「…」」」」」


彼らの目の前に出されたのは豚の丸焼き、比喩ではなく本当に丸焼きだ。
皮はあめ色に焼かれ、出る湯気は香ばしい臭いが混ざり食欲をそそる。
だが、大きさは第1層にいた猪型モンスター、それを丸のまま焼いたようなものだ。
いつか食べたいと思ったゲーム等フィクションの世界にしか無かった料理、それが今彼らの前にあるのだ。
まあ、今もゲームの中ですが


佐天「…えーっと」

浜面「うん、言いたいことは解る」

512: 1 2012/12/22(土) 22:40:25.41 ID:9ixsnTX50
土御門「こんな大きなもの、あのお姉さんが運んだのは不思議だぜい」

浜面「それじゃねえよ!」

上条「やっぱ、何時間もかけて焼いたのかな?」

佐天「そこでもないですよ!」

滝壺「こんな大きな料理、私にはできない」

浜面「そういう問題!?」

初春「佐天さん、こんな料理食べられて私は羨ましいと思いますよ」

佐天「初春。それ皮肉?」

初春「肉だけに?」

佐天「やかましい」

御坂「…ってか、これ全部食べるの?」

513: 1 2012/12/22(土) 22:42:07.05 ID:9ixsnTX50
美琴の発言に一同黙る。
そりゃそうだ、第1層で散々相手にした猪モンスター、大きさは大体2M~3M。
それが目の前にきつね色にこんがり焼けて、目の前に鎮座している、正直でかい。
少しだけ食べて「おいしいです!!」と言えばいいのか考えたが


「さあ!残さずめしあがれ!!」


と満面の笑みで言われる。
そして、言った後も近くでニコニコしながら見守ってる。いやがらせか!?
つまり、彼らはこの料理をすべて食べなくてはならない


上条「…諦めて食べるしかなくね?」

浜面「だな…」

御坂「はあ…もう!!グダグダ考えなくて食べるわよ!いただきます!!」


「「「「いただきます…」」」」


美琴の号令と同時に静かに食べる一同。各々足やわき腹など、切り分けて食べる。そして自分の口に運ぶ


土御門「お!」

佐天「ん!?」

浜面「うめえ!!」

御坂「ちょっと!普通においしいじゃない!」

上条「SAOの中で一番おいしいぞ!これ」

514: 1 2012/12/22(土) 22:44:31.07 ID:9ixsnTX50
各々感想を叫ぶ。彼らの食べてる料理は、見た目はまさに猪の丸焼き。
だが、内臓や川を覆ってた体毛は完璧に処理され、骨以外ならどこでも食べれる状態だ。
味は、丹念に刷り込まれたスパイスやハーブなどが皮に浸透し、少し濃い目だが下の肉と一緒に食べると絶妙なハーモニーを奏でる。
まさに絶品!!今まで食べてきた素朴なスープや煮込み料理と違い、しっかりした味付けだけあって食が進む。
最初はフォークなどを使ってたが、すぐに手づかみなど豪快な食べ方になってく。
お嬢様育ちの美琴でさえ食事作法を忘れ無我夢中に食べる


初春「いいなー…」

滝壺「おいしそう」


当然、外野も食べたいと思う感想を抱く。
彼らの食べ方は一見汚いように見えるが、その勢いなのにすごくおいしそうに見える。
こんなCM見たことある


佐天「初春や滝壺さんも食べる?」

初春「いいんですか?」

佐天「うん!」

滝壺「さてん優しい」

佐天「じゃあ、初春から」


そう言って、彼女は自分の小皿にある肉を一口サイズに切り、フォークに刺して初春の元へ


佐天「はい!あーん」

初春「あーー」


運ぶが


佐天「あれ?」スカ

初春「え?」


口元へ行かない

515: 1 2012/12/22(土) 22:47:08.88 ID:9ixsnTX50
佐天「え?えっ?!」スカスカ

初春「…」

佐天「えー?」

初春「佐天さん…わざとですか?」

佐天「わざとじゃないよ!?」

初春「どー見てもわざとにしか見えないんですけど?」

佐天「いや、だかr」

滝壺「さてん」

佐天「はい?」

滝壺「ちょっと私に向けてみて」

佐天「はい…」


そう言われて今度は滝壺の方へ肉を向ける、だが初春の時と同様に口元に向けても直前に違う方向に行ってしまう。
別に彼女がわざと意地悪してるのではなく、本当に勝手にってしまうのだ


浜面「どうした?」

佐天「いや、初春や滝壺さんにお肉分けようとしてたら口に入らなくて…」

浜面「んなわけないだろ」

佐天「本当ですって!!じゃあやってみてくださいよ!?」

浜面「わあったよ…ほら滝壺、あーん」

滝壺「あー」スカ

浜面「…」

佐天「…」

滝壺「…」

浜面「…ほんとだ」

佐天「でしょ?」

浜面「でもなんで!?」

516: 1 2012/12/22(土) 22:48:53.96 ID:9ixsnTX50
佐天「それが解ったら苦労しませんよ…」

滝壺「…多分」


浜面・佐天「「多分!?」」


滝壺「これってはまづら達が受けたクエストでしょ?」

佐天「そうですね…」

滝壺「だから、はまづら達しか食べられないのかもしれないよ?」

浜面「まじで?」

滝壺「まじで」

初春「つまり、私達は食べられないってことですか?」

滝壺「そう言うことになるね」

初春「え~私も食べたかったですよー」

滝壺「しかたない、私達はケーキに夢中だったから」

佐天「…今度機会があったら作ってみるよ。初春」

初春「佐天さん、料理スキル私より低いですよね?」

佐天「…しょうがないじゃん、ずーっと戦闘ばっかだったし」

初春「この前、お肉を炭に練成しましたよね?」

佐天「…もういい」プイ

初春「あ、いじけた」

滝壺「言い過ぎたかもね」

佐天「いいよ。こうなったら、やけ食いしてやる!」モギ

土御門「ちょ!片足全部行くかよ!それ?」

佐天「ランサー佐天涙子、いきまーす!!」ガブ

滝壺「おぉ、豪快」

517: 1 2012/12/22(土) 22:50:39.67 ID:9ixsnTX50
初春「意外とメンタル弱いよな~佐天さん」

浜面「お!?俺もやってみよ」モギ

上条「お~れも!」モギ

御坂「私も!」モギ

土御門「じゃ俺も…って、確か足って4つだよな?」

上条「そーだな」

土御門「俺の分は?」

浜面「無いな」

土御門「ちきしょう…」

滝壺「大丈夫。他の部位はまだあるよ?」

初春「そうですよ!私たちは食べられないんですから」

土御門「はぁ…わかったにゃ~」

初春「早く食べてくださいよ?じゃないとクエストクリアになんないんですから」

滝壺「がんば」

土御門(にしても、皮はちょっと濃いめの味でいいんだが…いかんせん肉の味がにゃ~)

565: 1 2013/01/12(土) 20:39:27.56 ID:2Y+s6zcm0
クエスト開始から3時間


机の上にあった丸焼きも残り2割ぐらいになり、いよいよゴールは見えてきたが


「「「「「…」」」」」クチャクチャ


クエスト参加の5人はひたすら無言で食べてた。雰囲気はお通夜と言うより、部活動の合宿の朝食。
ひたすら無言で食べる、どうしてこうなったか?


前にも言ったがこの料理、丸焼きであるためデカい。
なので美味しかったとしても食べ続けれれば飽きる、要は同じ味に飽きてきたのである。
しかも、このクエストに参加してる者でなくてはこの肉を食べることはできなし、食べ終わらなければこのクエストは終わらない。
正直モンスター討伐の方がまだいい


佐天「…最初は美味しかったんですけどね」

御坂「何で皮の内側には味が付いてないのよ…」

上条「何ともいえないよな…」

浜面「滝壺達は寝ちまってるし」


「「zzz」」

566: 1 2013/01/12(土) 20:41:13.46 ID:2Y+s6zcm0
滝壺と初春は最初の1時間は起きてたが、なかなか終わらないので


初春「食べ終わったら起こしてくださいね~」

滝壺「おやすみ~」


と、さっさと寝てしまった。
スマホなど暇つぶしの物がないSAOでは今のとこ、寝るのが1番の暇つぶしである。
何かを食べるという暇つぶしの手段もあるが、正直隣で山盛りの肉を食べてる連中がいるので食欲も湧かない


上条「ってか、さすがに上条さんの腹が満タンに成ってきたんですけど…」

御坂「私も…」

佐天「同じく…」

浜面「俺もなんか喉の辺りに居るんだけど。ゲロしてぇ」

上条「食事中にやめろ」

御坂「サイテー」

佐天「後で滝壺さんに言っときます」

浜面「淡々とした口調で言われると余計に傷つくんですけど…」

土御門「はぁ…ぐだぐだ言ってないで食べちまおうぜい」

佐天「そうですね」

上条「ってか、頭どうするよ・・・」チラ 

567: 1 2013/01/12(土) 20:42:38.33 ID:2Y+s6zcm0
彼が言った頭、この料理を象徴する物。
所々皮が剥げてるが、まだ丸々残ってる。頭の方がおいしいと言う人もいるが、実際結構グロイ。
目玉や脳みそ、考えるだけでもキツイ。特に満腹だと


「「「「「…」」」」」


代案は浮かばない


土御門「仕方ない」パン!!

土御門「俺が切り分ける、それで文句ないだろ!?皿寄こせ、みんな」

上条「いや、お前有利だろ?」

土御門「大丈夫だぜい、そこは公平に俺は最後の皿を選ぶ」

上条「いいのか、それで?」

浜面「まぁ、いいんじゃね?皿に盛ってあった方が残りを具体的に把握できるし」

御坂「じゃあ、私も手伝いますね」

佐天「私も!!」

土御門「たのむぜい」

568: 1 2013/01/12(土) 20:44:30.39 ID:2Y+s6zcm0
しばらくして…


均等に分けた肉が彼らの前にある。量はまだまだ尋常ではない量だが、ある程度先は見えてくる。しかし


「「「「「…」」」」」


彼らは無言だ。先にも述べたがこの料理、皮以外にはほぼ味は付いてない。例え先が見えたとしても、その点に関しては変わらない


上条・土御門「「…」」


更に言えばこの2人は、自分の取り分の中に片目が入ってるので、それを食すと考えると気分は晴れない。
それはさて置き、正直味なしはキツイ。せめて卓上に塩などの調味料があればいいのだがそれも無い、一応NPCに聞いたら


「ちょっと、取って来るわね」


と言って奥に行ってしまって戻ってきてない。来ないのか?と全員が思ってたら


「はい!おまたせ」コト


と言って戻ってきた。手には2つのポット、それぞれ違うソースが入ってる。
1つは黒いソース、豆の様な具が入ってる。もう1つは薄茶色の液体、透き通っていて醤油ラーメンのスープのようだ。


御坂「やっときた…」


美琴の言葉の通り、やっと来た感はある。だがこれで肉に味がつけられる、


佐天「御坂さんどっち掛けます?」

御坂「そっちの黒いの」

上条「じゃあ、俺はこっちの」

浜面「かけ終わったら俺にもくれ」

土御門「カミやん、俺にも」


そして各自、ソースをかける。どうやら上条達のとった薄茶色の方は、とろみのあるソースに対し。
美琴の方はつぶあんの様なペースト状だった


上条「」モグモグ

土御門「…味があるだけでこんなに違うんだにゃ~」

浜面「もう、最初みたいにリアクションとる気力は無いけどな…」

上条「まあ、不味くはないんじゃないか?」

569: 1 2013/01/12(土) 20:46:04.93 ID:2Y+s6zcm0
一方


御坂「…」ムグムグ

佐天「…」モグモグ


彼女たちの反応は無い、と言うより


御坂「」プルプル

佐天「」サー


様子がおかしい


上条「?どうした?」


にぶい上条さえでも解る状態、その答えは


御坂・佐天「「ほぼろしゃぁぁァァァァ」」ビチャニチャ


上条・土御門・浜面「「「吐いたぁぁぁ!?」」」


決して10代の乙女が見せてはいけない姿、こんな美少女2人なら尚更の行為、嘔吐。
しかも大量に、これが大学生の飲み会だったらあるだろうが、中学生でただ大盛りの食事をしてただけでだ。
だが、口からはこれでもかと吐しゃ物が流れてる


上条「おい!御坂?!大丈夫か!!???」

浜面「佐天!?えらいことになってんぞ!!!??」

佐天「だ…駄目です…」ベチャ

御坂「無理…」グッタリ


佐天はそのまま皿に俯せて気絶してしまい、美琴の方はぐったりしてるが辛うじて意識を保ってる。
ちなみに吐しゃ物は口から出ると床や机などに触れると消滅する、その光景はまるで


土御門「きれいだにゃ~」


モンスター同様光となって消えるので綺麗と言えば綺麗だが…


570: 1 2013/01/12(土) 20:50:34.02 ID:2Y+s6zcm0
御坂「綺麗じゃないわよコンチキショー…」

上条「み、御坂。無理すんなよ?」

御坂「無理は…してないわよ…多分」

浜面「で、原因はやっぱ?」

御坂「うん。あのディップ…」


美琴の言ったディップ、あの黒豆の奴だ


土御門「とは言ってもそんなに不味いかにゃ~?」

御坂「なら食べて見なさいよ…死ぬよ?」

上条「んなこと聞いて食いたくねぇよ…」

浜面「…例えるなら?」

御坂「…つぶあんにタバスコいっぱい入れました。的な」

佐天「御坂さん…的確です…」

土御門「そりゃ…なんて言うか…ご愁傷様」

浜面「ってか、どうすんのよ…これ?」


土御門・上条「「…」」


そんなの簡単だ


上条「食うしかなくね?」


土御門・浜面「「」」ウンウン


ここから2時間、漢の戦いが始まった

571: 1 2013/01/12(土) 20:52:52.24 ID:2Y+s6zcm0
上条「はぁーーー食った」

浜面「本当だよ…」

土御門「しばらく何も食いたくないぜい・・」


彼らは男3人で残りの肉を全部食った。量的には約5k、本当によく食べた彼等だった。
美琴や佐天の分?それはじゃんけんをし上条が美琴の分を、土御門が佐天の分を食べた。
関節キスで美琴が暴走する?彼女に今そんな余裕はありません


上条「これで終わりだよな?」

浜面「多分…」

土御門「とりあえず、そこのねーちゃんに言おうぜい」

上条「そうだな…おい御坂、大丈夫か?」

御坂「大丈夫じゃなぁぃ…」

浜面「佐天も大丈夫か?」

佐天「だめです…」

御坂「クエスト終わったら起こして…」

上条「食い終わったから起こしてんだろ」

御坂「でも、クエスト終了のウィンドウが出てないでしょ?」

上条「そう言えば…」

御坂「だから終わってないんじゃないの?」

上条「でも、見てみろよ」

御坂「え?」ムクリ

佐天「なんですか?」ムクリ

上条「骨しかないだろ?」

御坂「確かに…」

土御門「これ以上食えってのはちと酷だぜぃ…」

佐天「ですよね…」

浜面「じゃあ、出ないってことは…」


「「「「「…」」」」」

572: 1 2013/01/12(土) 20:55:54.96 ID:2Y+s6zcm0
沈黙が流れる。
そりゃ目の前にあるのは骨だけになったモンスターの丸焼き、これ以上食うとしたら硬い骨だけになってしまう。
まさか、それを食えと言うのか?とここに居る5人は思ってしまう。NPCの方を見ても


「さあ、どんどん食べてね!」


と、目で言ってる。正直骨は固かったし、いくらゲームでも骨まで食べる気にはなれない。
いや、食べたくない!だが、これ以上食う場所がない物をどうやって食せばいいのか?一同に不安がよぎる


「キー坊の奴、飯位用意しとけよナ」カラン


「「「「「!?」」」」」バッ!!


聞き覚えのある口調の声に5人は入り口を一斉に向く。


「お。なんだ、おまえらこんなとこデ」


土御門「ア…アルゴか?」

アルゴ「おう、よく解ったナ!」

浜面「あ。あんときのねーちゃんか」

アルゴ「お前ら、このクエストやってるのカ…」


彼女のこの発言、つまりこのクエストは


上条「…これってやっぱきついクエストなのか?」

アルゴ「まあナ、知ってる奴だったら絶対にやらない」

御坂「まじで?…」

アルゴ「まじダ」

佐天「初春…とんでもない物を探してきたな…コイツ」

573: 1 2013/01/12(土) 20:58:38.51 ID:2Y+s6zcm0
元βは基本的には現時点ではやらないクエスト、つまりは上級クエストだ。どおりでこんなうまい話に人が食いつかないはずだ。しかし


御坂「あのー、何か知ってたら教えてくれませんか?これのクリア方法…」

アルゴ「んー…」トコトコ


おもむろに美琴に近づくアルゴ


御坂「な。なんですか?」

アルゴ「んーー」ジロジロ

土御門(こいつ…)

佐天(うわーー…)

上条・浜面「「?」」


前回ボス攻略に行ってた3人はあまり知らないが、このアルゴ


【5分話すと、100コル分の情報を取られる】


と言われるほど有名であり、土御門と佐天はそれをしってる。
つまり、美琴に近づいたのは彼女が珍しいからでもなく。
何かしらのことがあってだ、土御門と佐天が心の中で軽く引いたのはそのため


土御門(大方、あのことだろうな・・・)

アルゴ「仕方ない、今回はこのクエストのクリア法、ただで教えてあげようかナ」

御坂「本当!?」

上条「マジか!?」

アルゴ「マジダ!」

土御門「おい鼠!!それだけじゃ足りないだろ!」

アルゴ「!?」


土御門の語気を強めた発言に、彼女が動揺する。


土御門「あと、1つか2つ何かしら情報を貰ってもいいんじゃないか?」

アルゴ「…」


つまり、先ほど美琴を見て納得した情報の価値は、この件のクリア条件よりも高いということだ。彼女の沈黙がそれを物語ってる


574: 1 2013/01/12(土) 21:00:02.80 ID:2Y+s6zcm0
アルゴ「…っち!解ったよ!オレっちの持ってる情報の中で差額分に見合ったものを教えてやるヨ!」

土御門「それはどうも」

御坂「??どおゆうこと?」

佐天「御坂さん、後で教えます…」

浜面「?ま、まぁよく解んないけどあれだろ。クリア法教えてくれるんだろ?」

アルゴ「そうだナ。この中で1番筋力値が高いのは誰ダ?」

上条「?俺…かな?」

御坂「でしょうね、多分」

アルゴ「よし!カミジョウ、とりあえず右手で鼻先を強く抑える」

上条「こうか?」ガシ

アルゴ「そう、それで左手で目の辺りを思いっきり持ち上げる!」

上条「ふん!!」バカ!!

アルゴ「それで見えた部位を食べればクエストクリアだナ」


「「「「「…」」」」」

575: 1 2013/01/12(土) 21:03:07.37 ID:2Y+s6zcm0
上条が力ずくで頭蓋骨をこじ開けたところにあったもの。
それは彼らの住んでた学園都市、さらに言えば日本でもあまり食さない部位。
牛丼の並盛ぐらいはある量、そしてそのままの姿。
中央アジアなどではよく食され濃厚なコクがあると言われる、が正直好んで食べたくない。
脳みそ、この料理に残ってた最後の部位


アルゴ(まあ、そんな反応になるよナ…)

佐天「これって…やっぱじゃんけんですか?」

上条「そ、そうかm」

土御門「その心配はない!!」

御坂「な、なんでよ!?」

土御門「これは俺達野郎で食うぜぃ!!」

佐天「本当ですか!?」

上条「土御門、てっめー何言っt」

土御門「かみやん、よく思い出すんだぜい」

上条「?」

土御門「俺がじゃんけんしようとした時「男気じゃんけんにしようぜ!」て言ったバカがいたよにゃ~?」

浜面「」ビク!!

土御門「しかもそのバカは、俺達が2人分食ってる間1人分をマイペースで食ってなかったかにゃ~?」

浜面「」ビク!ビク!!

上条「…そういえばいたなそんなバカ。しかも食い終わったら楊枝で口をシーハーシーハーしてたよな、その馬鹿」

浜面「」ダラダラ

上条「そんで、じゃんけんに負けた時に「うわー俺も肉一杯食いたかったなー(棒)」って言ったよなー浜面クウンンンン!!」

浜面「ゴ、ゴメンナサイ」

御坂・佐天・アルゴ「「「…」」」

576: 1 2013/01/12(土) 21:06:35.29 ID:2Y+s6zcm0
土御門「まあまあかみやん、ここは揉めるところじゃないぜい」

浜面「ホッ…」

上条「何すんだよ?」

土御門「そりゃもちろん」グチャ


彼は脳みそを鷲掴みし、不敵な笑みを浮かべ


土御門「こいつに食わせるにゃ~」

浜面「えっ!?」

上条「そりゃ、めーあんだー」ガシ!!

浜面「えっ!?えっ!?」


彼は浜面を羽交い絞めにする。
要するに余裕ぶっこいてた浜面に最後のこれを、お見舞い所要と言うわけだ。
もちろん、お見舞いされる側にとっては堪ったもんじゃない


浜面「ちょ。待てって!!な?!落ち着こうぜ!!」

上条「うるせー!!目玉食った時の俺の気持ちくらいやがれ!!」

土御門「右に同じく!!」

浜面「ちょ!?誰か…」チラ

御坂・佐天「「」」サッ!!


助けを求め彼女たちを見るが目をそらされる。年貢の納め時だ


上条「さぁ…お口あーん」ニタァ

浜面「ひあ…(いや…)」グググ

土御門「はい!召し上がれ!!」グシャ!!

浜面「もごぉおお!!!!」

土御門「かみやん!こいつの口絶対に開けるなよ!!」

上条「解ってる!!」

浜面「んー!んー!!」


577: 1 2013/01/12(土) 21:07:58.88 ID:2Y+s6zcm0
彼らは強引に浜面の口に脳みそを押し込み、吐き出さないように口を抑えつけてる。あたかも拷問のような光景に


佐天「うわ…」

御坂「そこまでやらなくても…」

アルゴ「えげつナ…」


女性陣ドン引きである。浜面がなにをやった!?


浜面「んー!!…」


暫くすると、もがいてた彼の動きが静かになり


浜面「」チーン


白目をむいて口から泡を吹いて椅子に崩れ落ちた


上条「やべ!」

土御門「やりすぎたかにゃ~?」

佐天「どう見てもやりぎですよ!!」

御坂「ちょっと!死んでないわよね!?」

アルゴ「大丈夫だナ。HPゲージは減った様子は無いし、ただのブラックアウトだナ」

佐天「そういう問題ですか!?」

578: 1 2013/01/12(土) 21:16:40.77 ID:2Y+s6zcm0
「まあうれしい!!全部食べてくれたのね!」


御坂「うわ!びっくりした」


一応が様々なリアクションをしていると後ろからNPCが声を掛けてくる。
満面の笑みで心の底から感謝し喜んでるかのようだ、この笑顔を見たら誰もがいい気分になるだろう。
だが、先程までの地獄の食事をしてきた彼らにとってはただの皮肉にしか聞こえない。


「約束した通り、何日でも泊まってっていいわよ!」


結果、宿をただで確保できたのだからいいのか?
素直に喜べない1同だった


滝壺「…ん」パチリ


先程のNPCの声でか、滝壺が目を覚ます


滝壺「はまづらが白目向いて泡吹いてる…」

佐天「あ!滝壺さん、目が覚めました?」

滝壺「うん。さてんおはよう、終わったの?」

佐天「はい…まぁ…一応…」

滝壺「?」

御坂「上の部屋見て来たけど結構広かったわよー、あ滝壺さん起きましたか?」

滝壺「うん。ところで、なんではまづらはああなってるの?」

御坂「それはそこの…あれ?」

滝壺「どうしたの?」

御坂「男2人とアルゴさんは?」

滝壺「さっき、出て行ったよ」

御坂「え!?」


佐天(逃げたな…)

579: 1 2013/01/12(土) 21:18:11.77 ID:2Y+s6zcm0
アルゴ「なに人を外に連れ出して、デートにでも誘うのか?」

土御門「ちげーよ」

上条「隣の机に黒髪ゼミロングの子いたろ?」

アルゴ「頭花瓶の奴?」


上条(花瓶って…)


上条「じゃない方。あれ、浜面の彼女なんだけどさ…怒るとめっちゃこえーの」

アルゴ「どのくらいだ?」

土御門「正直、思い出したくないぜい…」

アルゴ「ほうほう、なるほどナ」

土御門「で、さっきの分と合わせてなんだが…」

アルゴ「おう!そうだったナ」

土御門「キリトってやつの場所教えてもらおうか」

アルゴ「…」

580: 1 2013/01/12(土) 21:25:30.23 ID:2Y+s6zcm0
上条「ちょっとまて。なんでキリトの居場所を聞くんだよ!」


土御門「かみやん大丈夫だぜい。俺はかみやんの思ってるようなことはしない」


上条が思ったこと、それは土御門がキリトに文句など言いに行くのではないか?それを懸念してた。
確かに、現在キリトは《ビーター》と呼ばれ正直評判は良くない。
だが、よくよく考えれば土御門がそんな軽率な行動をするわけがない


土御門「俺はただ《体術》のスキルが欲しいだけさ」

上条「《体術》って格闘の奴か?」

土御門「そうだぜい。そして、そのスキルの習得場所はこの層のどこかの山の上にある」

上条「へー」

アルゴ「ちょっとまて!何で山の上にあるって知ってるんダ!しかも、仮にあったとして、そこにキー坊がいるとは限らないだろ!!」

土御門「場所の事については条件次第で教えてやる。後者はただの推測だ」

上条「推測?」

土御門「ああ。そのキリトって奴は1番最初にこの層に来たんだろ?」

上条「あぁ、そうだけど…」

土御門「だけど、この街にはいなかった。つまりそれはこの街の外に居るってことだ」

上条「そぅ…なのか?」


土御門「かみやん達の話から推測するに、そいつは自ら憎まれ役を買って出たんだろ?βを守るために。
結果、憎まれ役になった。まぁ根本的にはお人よしだな、内向的な」


アルゴ「…」


土御門「そんな奴が、先にクエストをやって更に反感を買うようなことをするとは思えない。
おそらくは街の外で時間を潰そうと思ったのだろう…」


上条「…」


土御門「で、何らかのタイミングでアルゴと出会い習得場所を教えてもらった。
多分、スキル自体の事は知ってても、習得場所は知らなかったのだろう。俺達みたいにな」


土御門「それで今は習得場所の山の上に居る、と推測してたんだが。さっきのコイツの反応で確信に変わった」

アルゴ「…」


土御門「これは決定打だな。かみやん覚えとくといいぜい、人が大体勢いづけて否定するときは図星を着いたとき」


上条「…」


土御門「そして、沈黙は肯定だ。つまり、キリトは現在《体術》の習得ポイントに居る」

上条「…なるほど」

アルゴ「…」

581: 1 2013/01/12(土) 21:26:46.12 ID:2Y+s6zcm0
土御門「で、どうなんだ?」

アルゴ「…はぁ、お前は苦手だヨ…」

土御門「ほう、それはつまり」

アルゴ「案内するヨ、キリトのとこへ」

土御門「それはうれしいにゃ~かみやんはどうする?」

上条「…俺も行くよ。格闘系のスキル欲しいのもあるけど、やっぱキリト心配だしな」

佐天「じゃあ、私も!!」

上条「うわ!!びっくりした!!」

アルゴ「いつからいた!?」

佐天「んー土御門さんが長々敷く話してる時から」

土御門「(長々敷くって…)いるなら声かけてほしいにゃ~」

佐天「いやー人が驚いた時のリアクションって面白くありませんか?」

上条「いや、面白いけどさ…心臓に悪いからやめて」

佐天「この世界だと心臓有りませんよ?」

上条「そういう問題じゃねぇよ!!」

アルゴ「…はぁ。案内してもいいカ?」

佐天「はい!!おねがいしまーす!!」

上条・土御門「「はぁ・・・」」

607: 1ZIMA 2013/01/21(月) 21:11:32.86 ID:N29SzOiq0
高いテーブルマウンテンがある以外さほど変わらない第2層。
上条達一向は街の外の平原を歩いてる、遠目にモンスターは見えるが襲い掛かってくる気配はない。
一同は軽く警戒しながらもリラックスして歩いてた


アルゴ「にしても、ランサーで格闘系覚える奴なんて初めてみたゾ」

佐天「そうなんですか?」

アルゴ「普通ランサーなんて後衛だから近接技はあんまり使わないんだゾ」

佐天「そういえば初春にもモンハンで言われたっけなー…」

アルゴ「…モンハンで使ってたから選んだのか?」

佐天「その通り!!」ドン!!

アルゴ「…テンション高いナ~」

土御門「まあ、この子はうちらのグループだと1番の元気っ子だからにゃ~」

アルゴ「その言い方だと、元気しか取り柄がない子みたいだナ」ケタケタ

佐天「やめてください本当!」

上条「…ってかさ、さっき御坂をジロジロ見てたのって何なんだ?」

アルゴ「オレっちから何か聞くなら料金が発生するゾ」

上条「仲間の事だからいいだろ!!別に」

608: 1ZIMA 2013/01/21(月) 21:12:13.28 ID:N29SzOiq0
上条が声を荒げる。
確かに、先程のアルゴの行動は腑に落ちないものがあったし、美琴関連なのが気になる。
これは彼が美琴に惚れてるのではなく『御坂美琴とその周囲の世界を守る』とかつて戦ったアステカの魔術師との約束を守るため。
だが、彼自身も薄々内容は解っていたが確認を取りたかったのだ


土御門「…はあ。かみやん、俺から説明するぜい」


609: 1ZIMA 2013/01/21(月) 21:14:06.88 ID:N29SzOiq0
説明するには少し時間を遡らなければならない


事は第1層の迷宮区に入る前、土御門達と合流した時だ。
この時、美琴は土御門に呼び出された、本当は佐天や初春と喋りたかったが、大事な話とのことだ


御坂「で、なんで呼び出したんですか?」

土御門「まあまあ、そんな固くていいんだぜい」

御坂「おちゃらけないで、早くしてもらえますか」

土御門「俺には手厳しいなぁ・・・まあいい、本題に入ろう」ス


彼はメニューを開き、とあるアイテムを美琴に送った


御坂「・・・なによ、これ?」

土御門「見ての通り、装備アイテムだぜい」

御坂「で、プレゼントを送って何なんですか?告白でもするんですか?」

土御門「俺は舞夏一筋だからそれはないにゃー、それにみこっちゃんはかみやん一筋だろ?」ニヤニヤ

御坂「ふえっ?!」


土御門「おー、舞夏や佐天さんの言った通りいい反応だにゃ~。
それはさておき、そのアイテムは顔に巻くタイプでいわゆる変装用だな、特に防御力が上がることはない」


御坂「・・・そんなアイテムどうするんですか?」

土御門「簡単だ、人前に出るときはそれを付けてほしい」

御坂「なんでそんなことしなくちゃ、なんないのよ?!」

土御門「単純な話だ。お前は有名すぎる」

御坂「それが何なのよ?!」


610: 1ZIMA 2013/01/21(月) 21:15:40.15 ID:N29SzOiq0
土御門「いいか、ここは学園都市ではない。しかも外部の人の方が多い場所だ、そんな所で外部でも有名なお前がいたらどうなる?」


御坂「・・・」


土御門「お前は能力者の頂点、レベル5の1人で尚且つ電気を司るもの。この状況を打開できる力があるものが、いると知ったら皆どうなる?」


御坂「でも、今の私は――」


土御門「能力を使えない?確かに俺達は知ってる。だが、皆が知ってると思うか?」


御坂「・・・」


土御門「あるものは助けてくれと願い、それができないと知ったら何故だと疑問に思い、やがてお前は茅場の仲間ではないか?
と、不審に思うだろう」


土御門「そして、お前は後ろからブスリと刺されるかもしれない」


御坂「・・・」


土御門「色々言いたいこともあると解るが、・・・付けてくれるか?」

611: 1ZIMA 2013/01/21(月) 21:17:16.32 ID:N29SzOiq0
御坂「・・・解りました」

土御門「すまんな・・・キツイこと言って」

御坂「いいですって・・・どうせ、ロシアの事外部でも散々言われてるんでしょ?」

土御門「そんなとこだ。あの戦争の後だ、学園都市の事よく思ってる奴の方が少ないさ」

御坂「いいですって【常盤台の客寄せパンダ】って言われてますから。有名税だと思えばいいんでしょ?」

土御門「おいおい、随分自虐的じゃないか?それよりも、分かってもらえてよかったぜい」

御坂「私のせいで、佐天さんや初春さん達に迷惑かけられないし。それに、化け物とか散々言われてきましたから・・・」

土御門「レベル5は伊達じゃない!ってか?」

御坂「そんなとこです。あ、でもこの話…」

土御門「それは問題ないぜい。俺からみんなに伝えとく」

御坂「…いいんですか?」

土御門「おう!…と言うより、元々この話は佐天や初春から振られた話なんだぜい」

御坂「え?」

土御門「町で買い物してたら噂になってたらしい「御坂美琴がいる」ってな。俺と滝壺も聞いた」

御坂「…」

土御門「浜面も聞いたらしい、かみやんは解らんが」

御坂「(あのバカ…)で、質問なんですが。これ着けたら逆に目立ちませんか?」

土御門「その点は問題ないにゃ~。目深くフード被ってる奴もいるし、忍者みたいな奴らもいたから問題ないぜい」

御坂「…ならいいか」


612: 1ZIMA 2013/01/21(月) 21:19:34.17 ID:N29SzOiq0



土御門「ってな訳だぜい」

上条「…まあ、俺もなんとなくは予想してたけどな」

佐天「やっぱ御坂さんって有名なんですね、つくづく思いますよ」

上条「でも、本人は特別扱いされるの嫌うけどな」


と納得してる彼等だが1つ抜けてた。
それは今までの会話を聞いた者が何を思うか、今までの情報を整理すると答えが出てくる


アルゴ「つまり、お前らは学園都市在住なのはよく解ったヨ」


との事。そりゃ《外部》なんて言い方学園都市在住でなくちゃ使う機会は無い、言葉はよく吟味しろとはこの事。これには3人とも


「「「…」」」


しまった顔のダンマリである。


アルゴ「おい!ルイ!!」

佐天「は、はい!」

アルゴ「お前、炎とか出せるのカ?」

佐天「え?」

アルゴ「本物の超能力とやらを見て見たくてナ。どうなんダ?」

佐天「できませんよ!」

アルゴ「?なんか道具が必要なのカ?」

上条「そうじゃなくて、ここだと出来ないんだよ」

土御門「それに、仮に出来たとしても俺らは使えないからにゃ~」


613: 1ZIMA 2013/01/21(月) 21:21:55.47 ID:N29SzOiq0
アルゴ「え!?学園都市の奴らって全員なんか一発芸みたいなこと出来るんじゃないのカ?」

佐天「自分で言うのもなんですけど、レベル0の無能力者なので…」

上条「右に同じく」

土御門「俺はちと違うが、できましぇん」

佐天「それに、もし使えたら御坂さんが真っ先にこの世界を壊してますよ…」

アルゴ「そうなのカ?」

上条「そうなんです」

アルゴ「ふーん。ま、オネーさんはそこまで学園都市嫌ってないから大丈夫だヨ」

土御門「あまり気安くしゃべるなよ?」

アルゴ「まあ、喋るのは情報屋の仕事だから仕方ないけド」

上条「おい!!」

アルゴ「この情報は10万以上の価値があるからナ。そうやすやすと喋らないヨ」

佐天「じゅ、10万って…」

土御門(ほとんど売る気ねーじゃねーか!!)

アルゴ「ま、この話はここま…!?」タッツ!!

上条「?なんだ?」


話の途中でアルゴがいきなり表情を変え、近くの木に飛び移る


土御門・佐天「「!?」」タッ!!タッ!!


続いて土御門達も木に上った

614: 1ZIMA 2013/01/21(月) 21:23:43.20 ID:N29SzOiq0
上条「?なんだ。なんだよ、なんですか?何で木に登ってるんだよ!?」

佐天「何だって、上条さん後ろ!」

上条「後ろ?」クル


後ろを見るとそこには大きな巨体が見える。
大きな前足で地をかき、鋭い眼光でこちらを睨みつける、気のせいか粗く呼吸してる鼻息も聞こえてきた。
《トレンブリング・オックス》第2層のモンスターの1匹


アルゴ「気を付けろよーそいつしつこいからナー」

上条「え?」

佐天「上条さーん!牛にもストーキングされるなんて流石でーす!!」

上条「ちょ!!」

土御門「かみやーん!!この道真直ぐ行ったら洞窟あるから、そこまでダッシュだぜい!!」

上条「おい!!」

アルゴ「カミジョウ!!奴さん準備万端っぽいゾ!!」


「ブモオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!」


気高く吠えると《トレンブリング・オックス》は一気に走り出す


上条「くっそおおおおおおお!!」ダッ!!


彼もそれと同時に走り出す


アルゴ「ファイトー」

土御門「かみやんがんばー」

佐天「がんばでーす」


気の抜けた声援に彼はいつもの言葉で返す


上条「ちきしょう!!不幸だあああああああああああああああああああああああああ!!」

615: 1ZIMA 2013/01/21(月) 21:26:46.88 ID:N29SzOiq0




第2層・東端の岩山頂上付近


土御門「本当にキリトって奴はこんなとこに居るのか?」

アルゴ「もうすぐ解るヨ」

佐天「でも、こんなとこまで来るなんてやっぱ《修行》って感じがしますね!!」

土御門「《習得》だって…」

佐天「細かいことは気にしない!!」

アルゴ「はぁ…本当に元気だなルイは、それに比べて…」

上条「…」

土御門「まだ気にしてるのかにゃ~?」

アルゴ「器の小さい男はモテないゾ」

佐天「大丈夫だったからいいじゃないですか」

上条「そうだな、細かいことは気にしないでおこう…じゃねぇよ!!」



上条「何!?最初牛に追いかけられたと思ったら、今度は急流で転げ落ちたり、デカいナメクジの団体に襲われるし。
しかも何で助けてくれないんだよ!!」


佐天「いや、1人でも大丈夫だったじゃないですか」

上条「死ぬ気だったんだよ!!死ぬ気で戦ったんだよ!!」

アルゴ「まあ、よかったんじゃないカ?レベルも上がったロ?」

上条「上がったよ!!でも、体中ナメクジの体液だらけで気持ち悪かったわ!!!」

土御門「あのナメクジリアルだったからなー、ぶっちゃけキモかった」

上条「そんな理由かよ!!!???」


「「「…」」」


上条「ちっくしょおおおおおおおおおおおおおおおお!!」


616: 1ZIMA 2013/01/21(月) 21:28:21.17 ID:N29SzOiq0
アルゴ「まあ、あいつはほおっておいテ」

上条「ほっとくな!!」

アルゴ「あそこの小屋の中にいるNPCに声を掛けるんだヨ」

土御門「わかった」

佐天「ほら上条さんも行きますよ!?」

上条「分かったよ…」

アルゴ「オレっちはキー坊のとこに行ってるからナー」


アルゴと別れると3人は小屋に向かった。
この山頂、周りを岩壁で囲まれ泉と1本の樹、そして目の前の小屋がある小さな空間。
いかにも修行場の雰囲気がある


佐天「おじゃましまーす…」ガチャ


佐天を先頭に3人は小屋に入る。
中は質素な作りで1人の人影がある、その人物は髭を生やし髪は後ろで1本のおさげを結んでる。
すると気配に気づいたのかこちらを振り向く


「何だ、貴様らは?我が流派を会得しに来たのか?」


佐天「はい!!」


「ふん。修行は長く険しい物だぞ?」


土御門「問題ない」


「その問いに嘘偽りは無いであろうな?」


上条「…勿論だ!!」


問いに答え終わるとNPCはゆっくり立ち上がった。
頭の上にあった【!】マークは【?】マークになり3人の視界にクエスト受領ログが流れる。
するとNPCはこちらに近づいてきて


「来い」


そう言って小屋を後にする。

617: 1ZIMA 2013/01/21(月) 21:29:21.10 ID:N29SzOiq0
師匠が案内する場所に近づくと「ふん!ふん!」と声が聞こえてきた、この声の主に上条は心当たりがある


上条「この声は…」


すると、一心不乱に岩を殴ってる人物が見えてくる。見覚えのあるコート、見覚えのある剣。間違いない


上条「おい!!キリト!!」

キリト「!?」クル

上条「久ぶr」


確かにキリト本人である。本人であるのだがその顔には


上条「なんだよその顔www」

土御門「にゃーはっははwwww」

佐天「すみませんwww初対面なのにwww」


一同爆笑。そりゃ、顔がドラえもんみたいになってたら笑うしかない

618: 1ZIMA 2013/01/21(月) 21:30:54.67 ID:N29SzOiq0
キリト「おっ…お前らなぁ…」プルプル

アルゴ「気にすんなってキー坊。こいつらも習得しに来たんだよ」ニヤ

キリト「…なるほどなぁ。ま、気にしないでやるよ」ニタァ

土御門(?なんだ?)


不敵ニヤけた2人に疑問を持つが


「貴様等!そんなに余裕を持つのもここまでだ!!」


師匠が話す


「ふん!貴様等にはこの岩を素手で砕いてもらおう」ビッ


上条「岩?」


岩。確かに習得中であろうキリトの目の前にもあるが


佐天「どれどれ?…」コンコン


近づいて軽くたたく。だが


佐天「…岩ってこれですか?」


「そうだ!!」


上条「どうした?」

佐天「…ものすっごく…固いです」

上条「え?」

アルゴ「あぁそれ【破壊不能オブジェクト一歩手前】だナ」

キリト「まあ、鬼だぜ…」

土御門「っ聞いてないぞ!!」

アルゴ「オレッチはキー坊の居場所しか聞かれてないゾ。詰めが甘いなぁツッチーは」クスクス

土御門「うぬぬぬ」ギリギリ

619: 1ZIMA 2013/01/21(月) 21:31:53.89 ID:N29SzOiq0
上条「まあ落ち着けって。要するにこれを壊せばいいんだろ?」

キリト「あともう1つ、先例があるぜ…」

上条「?それってなんd」


「小童ども!!」


上条「!?」


師匠からの声、その手には巨大な筆が握られてる


「あたたたたたたたたた!!!」シュビビ!!


上条「うわ!?」

佐天「きゃ!?」

土御門「うお!?」


その筆先が3人の顔に炸裂した


「その《証》はこの岩を砕くまで決して消えぬ、信じておるぞ貴様等」


上条「なんだ?」

キリト「似合ってるぞカミジョウ…」ップ

620: 1ZIMA 2013/01/21(月) 21:34:00.80 ID:N29SzOiq0
爆笑するのをこらえてるキリト。それもそうだ、彼らも顔に落書きを書かれた。
内容は、上条は顔全部を塗られさながら顔だけ《真っ黒すけ》状態、目玉をほじくりたい。
佐天は額に《肉》と書かれどこぞの残念少女状態。
土御門は口の周りに髭を足されどこぞの《蘇民祭(そんみんさい)》状態、掲載拒否されそう。
など個々に様々な落書きをされた


土御門「・・・お前らもコレやられたのか?」

アルゴ「キー坊はそうだがオレッチは当たらずとも遠からずだナ」

上条「?それってどういうk」


「さあ、皆の衆!!キビキビ修行に励むがいい!!」


「「「「…はい」」」」


と、キリトを含めた4人の修行が始まった。辛く長い…






と思ったら、2日ぐらいで3人は修行を終えた。


そしてキリトは1番最後でした


キリト「現実との体力って関係ないよな…女の子にも負けたよ…」orz

アルゴ「ま!これからもレベル上げ頑張るんだナ!!」

641: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/01/27(日) 20:11:48.82 ID:qRYGTa8P0
第2層・フィールド


上条達3人は《修行》を終えウルバスに戻る途中であった


上条「しっかしまぁ、殴り過ぎて手がなんか変な感じがするよ」

土御門「かみやん、ここでは痛覚は無いからきっと気のせいだぜい」

佐天「まぁ、普通あんな岩ひたすら殴りませんって…」

土御門「そういう涙子ちゃんが1番乗り気じゃなかったかにゃ~?」ニヤニヤ

佐天「だっ…だって!!少しはテンションアゲたほうがいいじゃないですか!?それに、上条さんの方がうるさかったですよ?」

上条「なんでそこで俺に回って来るの!?」

佐天「だって、殴るときにいつも『うをおおおお!!』とか『せああああ!!!』とか、五月蠅いったりゃありゃしませんよ!」

土御門「それは俺も同感だにゃ~」


上条「少しはフォローしろよ!?」

土御門「それに、キリトも「うるせぇ…」って呟いてたぜい」

上条「ちきせぅ…」

642: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/01/27(日) 20:13:56.90 ID:qRYGTa8P0
佐天「にしても。キリトさんって意外に細いんですね、もっと厳つい人かと思ってました」

土御門「まあ、ここでは体格なんかは当てになんないからにゃ~涙子ちゃんがキリトより早くクリア出来たのなんかいい証拠だぜい」

上条「だけどあいつ「まじかよ…」って顔してたぞ?」

土御門「そりゃかみやん。女の子に『筋力』体力負けしたらそんな反応するか?」

上条「…うん…だよな…うん」

佐天「え!?私、なんか不味いことしちゃいましたか!?」

土御門「気にすることないにゃ~あいつはあいつで、次合うまでに《筋力》パラメーター上げ来るからにゃ~」

佐天「そ。そうなんですか?」

土御門「恥かいたんだぜい?男ならな?」

上条「だな」

佐天「男の人ってめんどくさいですねー」


などと話しながら一行はフィールドを歩いてた。
しばらくすると、目の前で戦闘らしき声が聞こえてきた。
一応、精神的に疲れてるので今はバトルは控えたいが


佐天「この声って…」


土御門「あぁ…」


上条「行ってみようぜ!!」ダッ

643: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/01/27(日) 20:15:16.83 ID:qRYGTa8P0
声の出元に向かう。
聞いたことのある声、それは知り合いなのかん知れない、いや、知り合いだろう。
彼らが走るとそこには、シャンパンゴールドの少女とチンピラフェイスの金髪。美琴と浜面が


御坂「ふん!!」ザン!!


浜面「おらあぁ!!」ザシュィ!!


巨漢のモンスターに挑む2人がいた。
彼らは絶妙な距離を取りながら《トレンブリング・オックス》のHPをそいでる、残りもう少しだ


佐天「おお、御坂さんやってますねー」

土御門「どうする。このままでいいか?」

上条「んー…スキルを試してみたいしなー」

佐天「いっちょやっちゃいますか!?」

土御門「そうだにゃ~」

佐天「あ!でもそれなら…」ゴニョゴニョ

644: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/01/27(日) 20:17:06.70 ID:qRYGTa8P0
御坂「はあぁぁぁっぁぁぁ!!!」ザン!!


美琴が切れ味のよい1撃を加える。それにより《トレンブリング・オックス》は少し後ろに後退する。
現在角などの部位は破壊し、残るHPはそれほどでもない。
でも、こいつは怯むことなく襲い掛かってくる


御坂「このしつこさ…《ストーカー・オックス》に名前変えた方がいいんじゃないの!?」ハアハア

浜面「なんだ…ストーカー被害にあってるような言い方じゃないか?」

御坂「後輩と…理事長の孫にそれっぽいのがいてね」

浜面「俺も…1時期それっぽいことされたっけ…なっ!!」ギン!!

御坂「嘘ぉ…自意識過剰じゃないですか?」

浜面「それっぽいこと。だからな!?」グググ

御坂「はいはい」ヒラヒラ

浜面「…っくっそ」グググ

御坂「浜面さん、もういいですよ」

浜面「おう!!…ふん!!」ザン!!

浜面が1撃を加える。これで美琴の方に牛が行き彼女のLAでこいつは倒せる


佐天「はあああああああああああああああ!!」ドン!!


御坂「…へ?」


呆気にとられる美琴。
彼女がLAしようと構えてたらどこからともなく佐天が《トレンブリング・オックス》に蹴りを入れた。
ライダーも納得のとび蹴り


御坂「…っえ?…っえ!?」


佐天「御坂さん!!大丈夫ですか!?」

645: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/01/27(日) 20:20:11.16 ID:qRYGTa8P0
御坂「っえ!?大丈夫…です」ハイ

浜面「…なんだ!?あれ」

土御門「新しいスキルの試しだにゃ~」

浜面「土御門!!いつからいた!?」

土御門「ついさっきだぜぃ」

浜面「も…もしかして、お前も?」

土御門「ちと待って…っろ!!」ダッ!!


そう言うと、彼も飛び出し敵の顔下に潜り込むと


土御門「ふん!!」ドゴ!!


重いアッパー、顎の下の辺りから思いっきり殴り上げる。
その衝撃で《トレンブリング・オックス》は少しよろめく


「ブルるる…」


既に虫の息


土御門「かみやん!」

佐天「上条さん!!」


2人が同時に上条を呼ぶ。彼はすこし離れたところに居たが、そのままこちらへ全力ダッシュし


上条「うおおおおおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉ!!!!」


叫びながら《トレンブリング・オックス》に近づきジャンプ、そのまま顔面に近づき


「ぶもぉ!!」ドスン!!


右ストレートが《トレンブリング・オックス》に炸裂。短い声を上げて牛は倒れ込み粒子となり消滅する。
【YOU WIN】と各々の視界に表示される

646: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/01/27(日) 20:22:00.77 ID:qRYGTa8P0
上条「いやー決まった決まった」フゥー

佐天「お疲れ様です!」

土御門「やっぱかみやんはそっちの方が似合ってるにゃ~」

上条「だよな!よし、このまま素手で行こうかな!?」

佐天「それじゃ、剣の世界の意味がないじゃないですか」www

土御門「だな」www


など談笑してる一方


御坂・浜面「「」」ポカーン


口を半開きにし唖然とする2人。
それもそうだ、あとちょっとで倒せそうと思ったら格闘系の攻撃で相手を蹴散らした。
正直、ここ1カ月《剣》による戦闘してただけにいきなり素手で倒してしまったのだ


上条「?どうした?」

浜面「…いや…な!?」

佐天「?どうしたんですか?」

御坂「なんか…ね。ギャップって言うか…」

土御門「これが俺達の《修行》の成果だぜい」ドヤ

浜面「うん…それは…わかったよ…うん」

647: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/01/27(日) 20:23:43.19 ID:qRYGTa8P0
御坂「なんか…違う。違う…」

上条「おーい…御坂―?」

御坂「」ブツウツ

佐天「なんか、自分の世界に入っちゃってますよ?」

土御門「そう言えば、なんでお前らはここに居るんだ?」

浜面「あ、いや…。ここ2日街に居たけど暇でさ、レベル上げがてらにお前ら探してたんだよ」

佐天「探すって…フレンドリスト見たらよかったじゃないですか…」

浜面「…あ!?」

佐天「…滝壺さんって普段苦労しそう」

浜面「なんだよそれ!?」

土御門「まあ、それは置いといて」

浜面「置いとくな!!」

648: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/01/27(日) 20:28:59.02 ID:qRYGTa8P0
土御門「2人とも《体術》の習得は行かないのかにゃ?」

御坂「え?それって誰でもできるんですか?」

土御門「あぁ。これから教える場所に行ったら誰でも習得できるぜい」

浜面「まじか!?じゃあ、さっそく教えてくれよ!!」

土御門「お安い御用さ」


そう言って、土御門は習得場所を2人に教えた。もともと2人も剣もいいが格闘系が欲しいと言ってたのでこれでいいのかもしれない


御坂「そこなら何とかいけそうかも」

浜面「わざわざ教えてもらってわるいな」

土御門「《鼠》自体もそんなに隠すつもりは無かったみたいだしな」

上条「それにキリトも後で情報を公開するって言ってしな」

佐天「え!?公開しちゃうんですか、キリトさん!?」

上条「あぁ、特に独占するつもりらしいぞ」

佐天「ほえー。なんて言うか、お人よしですね…」

御坂「それはそれとして。ここからそんなに離れてないんでしょ?」

土御門「そうだな、多分2時間もかからないかにゃ~?」

浜面「なら、行っちまおうぜ。今ならキリトも居るんだろ?」

上条「多分、まだいるはずだぜ」

御坂「なら、私と浜面さんで行ってきちゃうから」

上条「わかった」

土御門「手を出すなよ浜面」ニヤニヤ

浜面「なっ!?」

御坂「大丈夫ですって、そんな度胸ありませんよ浜面さんは」

浜面「ちょ!俺だってな男だぜちょっとぐらい…」

佐天「あれ~いいんですか?滝壺さんに言いつけちゃいますよ?」

浜面「うっ…それはそっちが煽るからで」

土御門「言い訳する男は見苦しいぜい」

上条「早く行けよ」

浜面「わかったよ…チキセウ」

御坂「はははっ…じゃあ、行ってくるから」

上条「おう!きをつけろよ~」ノシ


そう言って、美琴、浜面と別れた3人は《ウルバス》へ戻って行った

649: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/01/27(日) 20:30:32.74 ID:qRYGTa8P0










佐天「あああーーーっ!!」

上条「うわ!?びっくりした」

土御門「どうしたんだにゃ?」

佐天「私も御坂さんに着いてけばよかった…」

上条「なんでだよ?御坂が心配か?」

佐天「そうじゃなくって。あれ《体術》のスキル習得しに行ったんですよね?」

土御門「そうだぜい?」

佐天「だったら、ぜったに顔に落書きされますよね!?」

上条「まあ、されるんじゃないか?」

佐天「だったら、この《記録結晶》で写真撮りたかったですよ…」orz

上条「そんな事かよ…心配して損したは…」

佐天「損したって、あの御坂さんの落書きですよ!?レアじゃないですか!?」

上条「レアだけどよ…そんなもん何に使うんだ?」

佐天「だって、それ見せたら絶対御坂さんドギマギしますよ。かわいくないですか!?」

650: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/01/27(日) 20:35:14.84 ID:qRYGTa8P0
上条「かわいい。のか?」

佐天「それにやりようによっては、何かしら無茶振りできそうですし」

上条(黒!!めっちゃ黒いよこの子!!)

土御門「ふふふ…」

上条「なんだよ、突然笑い出して?気持ちわりい」

土御門「抜かりは無いぜい佐天さん。ちゃんと《鼠》に頼んどいたぜい」

佐天「それじゃあ!?」

土御門「後でもらう手はずになってるから大丈夫だぜい」

佐天「うをっしゃ!!!」

上条「いいのかよ!?それ御坂と浜面知らねえだろ!?」

土御門「隠し撮りだから知らないぜい」

上条「いやだからs」

土御門「それにこれは滝壺と初春からのお願いだぜい」

上条「…まじで?」

土御門「おう、これ見てみな」


そういうと、土御門はメールメッセージを見せた。2通あり1つは


初春『御坂さんの、写真お願いしまーす☆(´ゝ∀・`)ノシ』


もう1つは


滝壺『はまづらのかっこいい写真お願い゚+.(*ノェノ)゚+』


後者は解るが、前者が上条には解らなかった


上条「…まあ、解ったけどいいのか?」

佐天「いいんです!」

土御門「いいんだよ!!」

上条「グリーンだよ!!!ってやらすな!?」


651: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/01/27(日) 20:36:12.83 ID:qRYGTa8P0

土御門「それに俺達のもあるぜい?」

上条「なっ!?」

土御門「な?佐天さん」

佐天「はい!!」


返事をすると彼女は《記録結晶》を可視モードにして出現させる。
それと同時に様々な画像が出てくる、真っ黒くろ助な上条とか


上条「うぉい!何時撮ったんだよ!?知りませんよ上条さんは!?」

佐天「ばれたら隠し撮りになりませんでしょ?」

土御門「」ウンウン

上条「そういう問題じゃねぇよ!!よこせ、消してやる!!」

佐天「いいんですか私に触って?触ったら牢獄行きですよ?」

上条「うぐっ…」

土御門「かみやん。あきらめろ」ポン

上条「不幸だ…」


佐天(本当は御坂さんに頼まれたんだけどね~)

668: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/02/02(土) 21:07:28.34 ID:7qLNjS6l0
第5層


上条らのここでの月日も2カ月近くが過ぎた、彼らの居るのは第5層。
この層は巨木が隅から隅まで生えており、ほぼ天井が見えず薄らと霧がかかる幻想的な世界。
しかし、足元はなだらかな場所もあるが、時折ある岩が行く手を阻む。
そして、極めつけはびっしりと生えた苔、それが足場の不安定さをより引き立たせる。
モンスターは前の層より出現率は少ないが質は高い、例えば今まで中ボスレベルのモンスターと普通に遭遇するのだ。
これが今回の層だ

最初第1層がクリアに1カ月を要したのに対し、徐々にではあるが攻略のスピードも上がってきてる。
もちろん攻略組の一角を担ってる。そして現在彼らは第5層の町『セコイア』に拠点を設けてる


御坂「はぁ~…」


と、序盤の説明を終えた途端ため息を吐いてる美琴さん、彼女がいるのは《セコイア》のカフェ。
この街は第5層の中心部に位置し、すべての建物が木にあるツリーハウスだ。
ちなみにこの第5層、全ての町が森の中にあり建物もツリーハウスである。
家やと店の間には木製のつり橋があり、人々はそれで移動している。
話を美琴サイドへ戻そう。
彼女は佐天、初春、滝壺と共にここで女子会的な物を開いてる。
女子会、と言っても話題になるのは攻略のことやアイテムの入手法など現実とは異なり、たまに滝壺の惚気話が出る程度だ。
で、美琴のため息の原因だが


佐天「やっぱり変えた方がいいですって。剣」


御坂「だよね~…」

669: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/02/02(土) 21:10:46.99 ID:7qLNjS6l0
自分の装備・片手用直剣のことだった。
槍とか他の武装に変えるとかではなく、剣自体のことだ。
現在彼女の装備してる『スチール・ブレードⅡ』は始まりの町で手に入る初期装備の剣の強化版の物。
確かに鋭さと硬さは高いが他の武器と比べると威力不足な状態である。
実はこの状態は美琴だけではなく、他の片手用直剣を装備してる者も同じである。
他の武器は第4層にて大体更新できてる。
例えば佐天のランス『ディダス・ストライク』はショップ購入であるが攻守ともバランスよく中盤まで使えそうである。
に対して美琴の『スチール・ブレードⅡ』は、はっきり言って後2層ぐらいが限界であろう。
上条も片手用直剣だったが第4層にて両手剣のスキルが発現したので現在はそちらを使ってる。
尤も彼の場合は剣よりも『体術』をメインに使うのでさして問題では無いらしい。
さて、片手用直剣を使用してる者にとってこれは悩みの種であり、
現在この層の町には彼女と同じような悩みを持つ人が大勢おり、人々の話題はもっぱらこれである


初春「知り合いに御坂さんと同じ武装の人いないんですか?」

御坂「いるっちゃ居るんだけどな~…」

佐天「キリトさんですか?」

御坂「うん。だけどフレンド登録してないから居場所解んないのよ~」

滝壺「他に居ないの?」

御坂「いませんね…どうしよう明後日のフロアボス戦…」


更にため息をつく美琴。しかし答えは出ない

670: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/02/02(土) 21:13:11.93 ID:7qLNjS6l0
初春「ま、まぁ上条さん達がキリトさんを探してますし」


佐天「そうですって!!」


滝壺「大丈夫。きっとみことには剣が見つかるはず」


御坂「だといいなー…」

671: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/02/02(土) 21:15:53.11 ID:7qLNjS6l0
さて、上条達男3人は現在、第5層の東側のフィールドに居る。
何度も言うがこの層は全体が巨木の森なのでどこに行っても木だけである。
で、彼らはキリトを探してた、理由は装備をどうしたか?第4層のフロアボス戦時点で彼は『アニールブレード』だった。
おそらく美琴と同じで替えの剣がないのであろう。
だが彼は元β、ここまできて変えてないのはこの層か次の層で何かしらあるのではないか?と、土御門が読んだからである。
なので彼に会い嫌かもしれないが聞いてみようというわけだ


土御門「だーめだ。全然見つからないぜい」

浜面「こっちも駄目だ、人っ子1人も居る気配がねえわ」

土御門「こんな時に限って《鼠》の奴足元見やがって」

浜面「本当だよ」


そう、情報なら《鼠》のアルゴに聞けばいいのだが、どうも今回は高値で誰も買ってないらしい。
しかも、攻略本にも情報が載って無いので結局誰も解らず仕舞いである。
それともアルゴの性格からして、本当に知らなくただプライドで教えないのかもしれないが


浜面「あれ、大将は?」

土御門「あそこだぜい」

上条「~♪~♪」ブンブン

672: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/02/02(土) 21:19:10.00 ID:7qLNjS6l0
鼻歌歌いながら素振りをしてる。
実は彼、両手剣を装備してから少しご機嫌であり、周りも軽く引いてる状態である。
ちなみにちゃんとキリトは探してます


浜面「何で大将あんなご機嫌なんだ?」ヒソ

土御門「念願の両手剣じゃないからかにゃ?」ヒソ

浜面「念願?」

土御門「これが始まる前にな俺がゲーム貸したんだにゃ~」

浜面「ほうほう」

土御門「でそのゲームにえらくはまってな、一時期主人公の剣ホシ―って言ってたんだぜい」

浜面「ふむふむ」

土御門「しかも、1回その主人公の髪型真似て学校に来たんだにゃ~」

浜面「んでんで」

土御門「そしたらクラスの奴に「貴様!私のザックスを汚すな!!」って言われて凹られてたぜい」

浜面「なにその恥ずかしい話」

上条「ねえ、やめてくんない?人の恥ずかしい過去を掘り起こすの!?」

土御門「お?ザックスもう素振りはいいのか?」

浜面「ようザックス!両手剣似合ってるぜ!!」

上条「ザックス言うのやめて、やめろ、やめて下さい!!お願いします」

673: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/02/02(土) 21:21:44.28 ID:7qLNjS6l0
浜面「俺も昔FF7CCやったけど確かに軽く似てるな、頭のツンツン具合とか」

土御門「そこでポーズとってや、写真撮って新聞に投稿するぜぃ」

上条「あれお前のせいか!?」

土御門「はて、何のことかにゃ?」


上条「とぼけんな!?今日の新聞の読者投稿に俺の写真があって、
しかも《修行》の時の顔に炭べったりの時のやつで何が『リアル真っ黒クロ助』だよ!?」


浜面「そういえばあったなそんな記事」

上条「あったな。じゃねぇよ!!おかげで軽くさらし者ですっごく恥ずかしかったんだぞ!?」

土御門「まあ、有名になれたからよかったんじゃないかにゃ?」

上条「よくねぇよ!!有名になるならもっと別なことで有名になりたかったわ!!」


上条「…ってかなんで今日はそんなに冷たいんだよ!?俺なんかやった?」

土御門「いや、鼻歌歌い過ぎて」

浜面「ぶっちゃけ」


土御門・浜面「「キモかった」」


上条「」

土御門「さ、早くキリト探しちまおうぜい」

浜面「そうだな」

上条「…くっそ…」

以降、鼻歌は自重する上条であった

674: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/02/02(土) 21:24:21.49 ID:7qLNjS6l0
少し歩くと


「はあああああああ!!」


と女性の声が聞こえてくる。戦闘中であろうか、彼らは声の方向へ行く


アスナ「せい!!」ズン!!


「ごろぉああああ!!」


そこにはアスナがこのフロアではポピュラーなモンスター《グリーズ・リー》と1人で戦闘中であった。
たかが一般モンスターアスナ1人で大丈夫、と思ってはいけない。
前にも述べたが、この層モンスターは比較的少ないが1個体あたりの戦闘能力は4層までのモンスターよりも強く、
中には第1層フロアボスレベルも出現する。
アスナが戦闘中の《グリーズ・リー》もなかなか強く、正直1人では現時点だと勝てる者は少ないだろう


浜面「やばくねぇか?」

上条「行こう!!」

土御門「ああ!!」


直ぐに助けに入る3人

675: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/02/02(土) 21:27:26.15 ID:7qLNjS6l0
アスナ「はぁはぁ…」

アスナ(やばい…これは1人だと無理…)


肩で息しながら考えるアスナ。
かれこれ1時間近く《グリーズ・リー》と戦闘してる、正直よく持ってる方だ。
この《グリーズ・リー》攻撃力、防御ともに高く腕のリーチも結構ある。
しかもこの《グリーズ・リー》は1度狙われると執拗に後をつける、しかも素早い。
正直逃げるのも《転移結晶》の無い現在、不可能に近い


アスナ(このままだと…)


絶体絶命のその時


上条「うをぉぉおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」ドスン!!!


「ぶおん!?」


雄叫びを上げながら上条のとび蹴り《クリムゾン・スマッシュ》が炸裂した。
威力が高く相手を高確率でスタンさせるスキルだが、その分前後の隙が大きい


アスナ「え!?」

浜面「おっす!久しぶり!!」

土御門「お助けに来たぜい!」

アスナ「あなた達…どうして!?」

土御門「たまたま通りかかった、だけだぜい」

浜面「そゆこと」

アスナ「そう…ありがとうね」

土御門「礼なら…コイツを倒してからだ」

浜面「HPは大丈夫か?」

アスナ「ええ!」

上条「おい!早くしねえとこいつ復活しちまうぞ!?」

アスナ「いきましょ!!」

676: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/02/02(土) 21:29:19.40 ID:7qLNjS6l0
浜面・土御門「「おう!!」」


突入する3人、先程までスタンしてた《グリーズ・リー》はもう体制を立て直してる


上条「させるかっ!!浜面!!」

浜面「おう!合わせるぞ!?」

上条「3・2・1!!」

上条・浜面「「うをぉら!!」」ザシュ!!


上条の両手剣『ストロング・ボウ』と浜面の曲刀『ミナレット・シミター』のフルスイングが其々《グリーズ・リー》の足に炸裂する。そして、


アスナ・土御門「「はああああああ!!」」ズン!!


またバランスを崩したところに今度はアスナ細剣の『レイピア・ボウ』と土御門の短剣『ダガー・ボウ』が顔面に加わる


「ぐるぅおおおお!!」


元々アスナが体力を減らしてたので残りはそう多くは無かったが、今の一連の攻撃で残りわずかになる。後1撃、それでこいつは消える


上条「アスナ!!」

アスナ「」コク


LAはここまで相手にしてきた彼女に譲る


アスナ「せああああああああああああああ!!!」スンスンスンスンスンスン!!!


眼にも留まらぬ見事な細剣による6連撃。この攻撃により《グリーズ・リー》のHPは0になり


「ぐおおぉぉぉぉ…」


萎れていく風船のように弱った声を出しながら《グリーズ・リー》は光の粒子になって消えた

677: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/02/02(土) 21:32:09.05 ID:7qLNjS6l0
アスナ「危ないとこありがとうございました」ペコリ

上条「いえいえ」

浜面「いいってことよ」

土御門「照れるにゃ~」


戦闘が終わり、アスナが上条達にお礼を言ってる。
やはり美人にお礼を言われると照れるのは男の性のようだ。
何、こいつらは美人所を連れ歩いてるだろ?それはそれこれはこれ


上条「で、なんでこんなとこ1人で居たんだ?」

アスナ「ミコトさんからメッセが来てね、お茶に誘ってくれたから行くところだったのよ」

浜面「そりゃ、うちの姫が悪いことしちまったな…」

アスナ「別に気にしてませんよ。それに、あと1時間あったら私1人ででも倒せてましたよ?」

土御門「素直じゃないにゃ~もう少し素直になったらいい男g」ビュン!!


土御門が言葉を発するよりも早く、アスナの『リニアー』が土御門の顔面に炸裂する。
もちろん寸止めで、これ以上言わせねえよとオーラで伝わってくる


アスナ「な・に・か、言いましたか?」

土御門「イエ、ナンデモアリマセン」

アスナ「よろしい」キン

上条・浜面((こえー))

浜面「…ってか、キリトしらね?」

アスナ「キリト君?」

浜面「ああ、あんたをお茶に誘ったうちの姫が装備で困っててよ、確かキリトも同じ片手剣だから相談したいっぽくってさ」

アスナ「片手剣って、もしかして新聞に載ってた事?」

浜面「そうそう、それ。ってか、新聞読んでるのかよ!?」

アスナ「そりゃ、数少ない娯楽ですもの読んでますって。役に立つことも載ってますし、それに」チラ

上条「?」

アスナ「面白いことも載ってますからね」フフ

浜面「そりゃそうだ」プッ

土御門「同感だ」クク

上条「おいなんだよその失笑。まさか!?」

アスナ「何でもないですよ、真っ黒クロ助さん」ニコ

上条「ちっくしょおおおおおおおおお!!」


「「「wwww」」」


上条の絶叫と3人の笑い声が森にこだまする

678: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/02/02(土) 21:34:34.81 ID:7qLNjS6l0
浜面「はぁ~…でだ、知らないか?」

アスナ「ごめんなさい。私もフレンド登録してないからしらないのよ」

土御門「ダメか…こりゃ自分たちで何とかするしかないかな」

アスナ「そう言えば真っ黒く…カミジョウさんも片手用直剣じゃなかったの?」

上条「今真っ黒クロ助って言いかけたよな!?…俺は前の層で両手剣に変えたんだよ」

アスナ「えー、一緒に悩んであげた方がミコトさん喜ぶわよ?」

上条「?一緒に悩むのは当然だけど、なんでそれで御坂は喜ぶんだ?」

土御門・浜面「「はぁ~…」」

アスナ(ミコトさんかわいそー…)

上条「?」

土御門「…でだ、アスナは特に何かしらの情報は無いのか?」

アスナ「私も一応調べたんだけどね…」

土御門「こうなりゃ夜に《鼠》が来るからそれに掛けるか…」

アスナ「え?アルゴさん来るんですか?」

土御門「さっきメッセが来て『夜なら時間あるゾ』って来たぜい」

浜面「じゃあ、夜まで待つか?」

アスナ「何もしないのは嫌だから少しは探しましょ」

上条「でも、探すってよ…どこ探すんだ?」

アスナ「それは…」


言葉が出ない。正直探すと言ってもこの付近から《セコイア》の帰り道、
あまり離れるとさっきみたいに《グリーズ・リー》の様な強いモンスターに遭遇するかもしれない


「「「「んー…」」」」


答えが出ない

679: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/02/02(土) 21:38:38.00 ID:7qLNjS6l0
上条「…なあ?」

土御門「なんだ、かみやん?」

上条「この木、登ってみるのはどうだ?」

アスナ「あなたねぇ…」

浜面「流石にそれは安直すぎるだろ…」

上条「無理か…」

土御門「それに、これ100mぐらいあるぜい?登りきれないだろ…」


・・・・・・・・・・・・


アスナ「それに、そんなお馬鹿さんいるわk…!?」


彼女が突如上を向く


ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ


上条「どうした?」

アスナ「声…」

上条「へ?」

アスナ「声が聞こえない?上の方から」

浜面「声~?」

土御門「上から~?」


男3人も上を向く


ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああ


上条「あ!確かにきこえ」


「ああああああああああああああああああああ!!!」


彼が気づいた時にはそれはもう避けられない位置だった


「ああああああああああああああああああああああ!!!!」ドスン!!!


上条「んが!!」

アスナ「きゃ!?」

土御門「うお!?」

浜面「なんだ!?」

680: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/02/02(土) 21:39:21.08 ID:7qLNjS6l0
土煙が舞う。いきなり頭上から黒い物体が上条の上に落ちてきた


土御門「かみやん!大丈夫か?」

アスナ「ちょっと!カミジョウさん!?」

浜面「大将!?」


何が落ちて来たか解らないので武装し警戒する3人。
しばらくすると煙が晴れてくる、そこには


キリト「」

上条「」

アスナ「き、キリト君!?」

浜面「た、大将!?」

土御門「ど、どうなってるんだぜい?」


つまりは、木を登ってたキリト(バカ)が滑落し、上条に当たり2人とも気絶したと言うことだ。
ちなみにHPはギリギリ残りました

692: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/02/09(土) 20:51:29.84 ID:3whvL3w80
キリト「う…うん…」


どれほどであろうか、俺はあるものを探して巨木を登っており30mぐらいまで登った。
しかし、樹皮に手を付けたらその樹皮は剥がれ、そのまま落ちてしまった。
運悪く途中枝などは無くそのまま地面へ真っ逆さま、さすがにこの高さだとHPも無事ではないだろうと思い覚悟した。
しかし、こうやって意識があるってことは助かったのだろう。
この層に来てから碌に休息を取らずひたすら捜し歩いてた、どっかの誰かのこと言えないな…
さて、起きるか。
俺はおもむろに目を開ける、そこに映ったのは


アスナ「あ?…」


さっきどっかの誰かと心の中で思った本人アスナがいた。
俺が起きたのに反応し声をこぼした、やけに距離が近いが何をしてたんだ?

693: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/02/09(土) 20:53:14.44 ID:3whvL3w80
アスナ「き、キリト君!?起きたの?」アセアセ

キリト「あぁ…なんでここにいるんだ?ってか、ここ何所?」

土御門「俺達の宿だぜい」

キリト「?ツッチー!?」

土御門「ようキリト、お目覚めに美人はどうかにゃ~?」

キリト「どうって…」チラ

アスナ「!?」ビクッ


さっきから気になるものをアスナは持ってる


キリト「俺はそれよりもアスナが持ってる物が気になるよ…」

土御門「だとよ、御嬢さん」

アスナ「こ、これはね」アセアセ


ドギマギするアスナ、だんだんと頭が覚醒してくる。
気づくと隣にもベットがある、そこに寝てるのは


キリト「…真っ黒クロ助?」

アスナ「」プッ

土御門「」クッ

キリト「?」

694: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/02/09(土) 20:55:16.44 ID:3whvL3w80
なんだ?なんで2人は笑をこらえてるんだ?それによく見ると奥に


御坂「」プルプル

佐天「」プルプル

浜面「」プルプル


ミコト、ルイ、ハマーがいるがそこの2人と同じように笑いをこらえてるかのようだ。
何だ?…まてよこの真っ黒クロ助見たことがあるぞ、確かこいつは


キリト(カミジョウか…)


うん、間違いない。
確かこれは《体術》のスキルを習得してる時にあの師匠に落書きされて…



落書き…

キリト「!?」


嫌な予感がした。さっきのアスナの持ってた物と言い、この空気まさか…
俺は壁にかかってる鏡へ駆け寄った、そこで見たものは


キリト「な…な…」


東村山にいそうで今すぐにでもお巡りさんに声かけられそうな…


ってか、


キリト「なんじゃこりゃああああああああああああああああああああああああああ!!!!」


SAOに来て戦闘以外で初めて絶叫した。
なんで変なおじさんメイクになってるんだよ!?確かに俺は埼玉県在住だけど狭山市出身じゃねぇ!!


土御門「っぷは」www

アスナ「ふふっ」www

御坂「ぶっ!!」www

佐天「っふぉ!!」www

浜面「ぐっ!!」www

上条「なんだ!?なんだ!?」ガバ!!

695: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/02/09(土) 20:56:25.95 ID:3whvL3w80
俺が叫ぶと全員笑い出し、それに驚いたのかカミジョウも目を覚ました。

ああ。こいつ目蓋に目を書かれてたのか…


アスナ「ごめんねキリト君。ついね…」www


魔が差したのか


御坂「ごめん、想像以上だわ」www


何を想像してた


佐天「流石、埼玉顔ですね」www


埼玉顔ってなんだ。ってか、お前は全埼玉県民を敵に回した!!


土御門「いやーこお言ういたずらはやめられないぜい」www


やめろよ!!


浜面「よく似合ってるぜ、キリト!」www


お前の方がお似合いそうだよ!!


上条「何?何がおきたんでせう!?」


お前は落ち着け。それでまず顔を洗え


言いたいことはいろいろあるがまず顔を洗うことにした。もちろんカミジョウを連れて…

696: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/02/09(土) 20:58:21.59 ID:3whvL3w80
上条・キリト「「」」ムスー


御坂・アスナ・佐天・浜面・土御門「「「「「…」」」」」ズーン


この状況キリトと上条が不機嫌そうに腕を組んで仁王立ちし、その前に残り五人が星座をしている。
そりゃ、寝てる間に顔に落書きされてたら誰でも怒る。
ちなみにみんな逃げようとしたけど、キリトと上条が武力で脅してここに居ます


キリト「そりゃここまで運んで助けてくれたのは感謝するけどさ…」

上条「」ウンウン

キリト「なんで落書きになったんだよ?」

アスナ「…い、いやね。私は止めたんだよ!?」

御坂「そうよ、止めたのよ」

佐天「嘘だぁ!!一番ノリノリだったじゃないですか!?2人とも」

浜面「そうだそうだ!!人のせいにすんなし!!」

佐天「それにアスナさんなんか「キリト君、なんか男気ないのよねー」って言って、髭書いたのアスナさんじゃないですか!?」

キリト(俺って、そんなに女顔なのかなー…)

アスナ「それは…なんて言うかインスピレーション湧かなくてね…」

御坂「アスナさんは固いのよ、こういうのは感覚よ感覚!」

アスナ「だからと言って、あなたいきなり顔に墨掛けるのはどうかと思うわよ!?」

御坂「だからって、髭の数まで考えるのとか凝りすぎでしょ!?」

上条「だから、何で髭の数なんだよ!話違う!!」

土御門「話まとめるのも大変だにゃ~?」

キリト「…はぁ。で、誰が言いだしっぺなんだよ…」

697: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/02/09(土) 21:01:13.43 ID:3whvL3w80
佐天「それが…なんて言うか」

浜面「今いない、的な…」

上条「今?」

キリト「いない?」


と残りは。と言っても、キリトはここに居る上条を含め5人しか知らない。
…待てよ、確か後2人居ると言ってたような。
思っていたら


滝壺「ただいま」

初春「みなさん、変装グッツ買ってきましたよ!!」

アルゴ「じゃまするゾー」


アルゴと俺の知らない2人が入ってきた。
どうやらこの2人のどちらかが犯人らしい


初春「あれ?どうしたんですか、みなさん?」

滝壺「みんな正座してる…何があったんだろう?」

佐天(うわー…)

土御門(清々しいほどの白々しさだぜぃ…)

御坂(初春さんって、たまに黒いよなー…)

浜面(滝壺って、すっとぼけるの上手いよなー…)

アスナ(え!?この2人が言いだしっぺじゃないの?!)

上条(あれ?こいつらじゃねえのか?)


解りやすいが最初にやりだしたのはこの2人。
で、途中で


滝壺『きりとに猫耳つけたらどうだろう?』


と言いだし、それっぽい物を買いに行ってたのだ。
ちなみにこの意見に1番ノリノリだったのはアスナである


アルゴ「お!キー坊いたのカ?」

キリト「最初に気付けよ…」


キリト(なんかもう…どうでもよくなってきたな)

698: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/02/09(土) 21:02:23.33 ID:3whvL3w80
キリト「もう犯人探しはいいは…」

アスナ「え!?」

御坂「いいの!?」

キリト「あぁ…」

初春「いったい何があったんですか~!?」

滝壺「わからない」

佐天(白々しいわ~)

浜面(コワイわ~)



キリト「…ってか、なんでアルゴも居るんだ?」

土御門「俺が呼んだんだぜい。いろいろ聞きたくてな」

アルゴ「で、その聞きたいことはなんダ?」

土御門「単刀直入に。片手剣はこの層で更新できるのか?できないとこちらの戦力に影響が出る」

浜面「うちの姫、正直主力だし今度のボスにも出したいんだ。何とかなんねえか?」


アルゴ「…」

699: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/02/09(土) 21:04:31.70 ID:3whvL3w80
御坂「お願いします。情報があるかないかでも良いんで…」

アルゴ「あるかないかで言ったら…ない」

上条「まじか?」

アルゴ「マジダ。正直それっぽい話はあるんだが確証が得られなくてナ…」

御坂「それっぽい話?」

キリト「それは俺が言うよ」


彼はそういうと手短の椅子に座る。他は各々の楽な格好でキリトの話を聞く


キリト「β時代にもここで片手剣の奴は手こずってたんだ、だけどその時は皆武器を変えたりして対応してた。
でも、大体慣れてないから1度はHP0になってたけどな」


アスナ「…」

キリト「まあ、あの時は何度死んでも大丈夫だったからな。今は駄目だけど」

キリト「でだ、俺はこの層は両手剣使ったんだ。剣はカミジョウの使ってる『ストロング・ボウ』な」

上条「これか?」

キリト「あぁ…でそのまま2層進んだらショップに片手剣あったから変えたけどな」

御坂「あと2層も後なの!?」

キリト「楽に手に入れるならな。正直その時俺はそうするしかないと思ったよ」

浜面「俺が剣買った1つ下の変なショップは?」

キリト「あそこは日によってランダムで商品が変わる店なんだ、あんたはラッキーだっただけだよ」

浜面「まじか…」

キリト「まじだ。まあ、俺も2日は通ったけど無かったし」

アルゴ「ちなみにそのショップでは未だに片手剣は出てないそうダ」

御坂「じゃあ…やっぱこのまま今の剣で乗り切るしか…」

キリト「いや無理だ。正直剣の耐久が俺のもそうだけどヤバい」

御坂「…」

キリト「…話し戻すけど、7層で俺は剣を買った後狩場で鍛えようと思って街を歩いてたんだ」

佐天「第7層って確かβでの最高到達点ですよね?」

キリト「そうだ。でたまたま6層でパーティ組んでた奴にあったんだ、そしたら」


『やっぱ5層に剣、あったらしいぜ。しかも強いの』


御坂「!それって!?」

上条「あるって事なのか!この層に?」

キリト「落ち着けって。でそいつ曰く」


『なんでも、宝箱にあるらしいぜ』


キリト「って、言ってた」

700: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/02/09(土) 21:06:10.05 ID:3whvL3w80
御坂「宝箱?」

上条「あったっけ?」

土御門「そう言えばこの層に来てから1度も見てないにゃ~」

アルゴ「そこなんだヨ!」

佐天「?なにがですか?」

キリト「この層には宝箱は無いんだよ」

御坂「嘘?だって前の層には」

アルゴ「そうなんだけどナ。β時代も1個も無かったんだよナ~」

キリト「一応俺も虱潰しにこの層を探したけど、今のところ無くてな。だから」

アスナ「木の上を探してるって事?」

キリト「そういうことでございます」


一連の顛末を話し終えた俺。
皆様々な反応を示してるがアスナさん、その『この人本当に馬鹿だったんだ…』的な目線やめて下さい結構きます。

…疲れも取れたしそろそろ行こうと思い立ち上がる


アスナ「また探しに行くの?」

キリト「いや、諦めて両手剣使うわ。一応前使ってたし…」

初春「あの~いいですか?」

701: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/02/09(土) 21:07:00.13 ID:3whvL3w80
キリト「えーっと…」

初春「あ、ハルです」

キリト「ハルさん、何?」

初春「その剣のアイテム名って分かりますか?」

キリト「たしか…『プラチニウム・ソード』だったかな?」

初春「略して『白金の剣』…滝壺さん!!」

滝壺「うん、まちがいないかも」

御坂「どうしたの、2人とも?」

滝壺「きりと、みさか」


キリト・御坂「「?」」


滝壺「その剣の場所解るかも」


720: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/02/16(土) 12:29:41.24 ID:7xRN1OEG0
5層・セコイア変なショップ前



滝壺の発言の後、御坂とキリトは血相を変えて滝壺に近づき


御坂・キリト「「どこ、どこ、どこどこどこ!!!!????」」


と滝壺に迫った。
あまりの勢いに周りはドン引き、それだけ彼らにとっては重大な事なのだろう。
さて、彼らの質問に対し彼女は淡々と答える


滝壺「確か『変なショップ』に居たNPCがね『白金の剣』がどうだこうだって呟いてた」

初春「私も聞こえてたんですけどよく聞き取れなくって…」

滝壺「そのあとお店出て何処かへちゃった」


とのこと。つまり常に一定の場所を往来するNPCのようだ


キリト「とりあえずその『変なショップ』に行ってみよう」


で、現在に至る。
先ほどから『変なショップ』と言われるところ、これは各層に1店舗ずつある店である。
内容は雑貨から希少な武器等様々な物を販売してるが、1番の特徴はその層の雰囲気と相反することである。
例えば第4層の店はアラブ系なのに対し、第5層はエスニック系だ。
また、販売してるアイテムは日替わりでランダムに変わる、なので浜面の『ミナレット・ソード』の様に下層の割にいい武器も手に入ったりする。
プレイヤー出店の店が少ない現在ではかなり重宝されるのだが、いかんせん値段が高く浜面は持ち金の8割を出したとか。

さて御一行だが




721: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/02/16(土) 12:30:43.39 ID:7xRN1OEG0
滝壺「あれ?」

初春「いませんね…」

御坂・キリト((やっぱり…))

空振りのようだ。しかし、NPCには変わらないつまりは


アルゴ「ここで待ち伏せしたらいいんじゃないカ?」

キリト「いや…それじゃいつ来るか解んないランダム型だと時間の無駄だ」

御坂「それに、NPCなんだからこの街に居るでしょ?なら探しちゃいましょうよ!」

アスナ「私もそれに賛成ね。この人数なら手分けすれば早く終わりそうですし…」

浜面「俺もその意見に賛成だ、とっとと探そうぜ」


ってことで、2グループに分かれて探すことになった


722: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/02/16(土) 12:32:51.11 ID:7xRN1OEG0
美琴サイド


アスナ「探すって言ってもねー…」

御坂「まあ、NPCだしこの街からは出てないでしょ」ガシャン

初春「それに町の家の中にヒントあるかも知れませんよ!?」ガサゴソ



などと、話しながらめぼしい家に入りNPC探してる。
人の多い施設は既に見てるし、それに人が多いのなら情報の1つでも出なくてはおかしい。
なので人気の少ない家を探してるのだが


アスナ「だからと言ってその探し方はどうかと思うわよ?」

御坂・初春「「へ?」」


呆気にとられる2人。
現在2人がしてるのはRPGのお約束、めぼしい家に入りツボを割ったりタンスの中の物色すること。
ゲームだからいいがどう見ても『強盗』にしかみえない


アスナ「もう少し丁寧に探したらどうかな?…」

初春「だってめんどくさいじゃないですか?」ガサゴソ

御坂「そうよ。どうせ私達が出たら綺麗になってんだしさ」ガッシャーン

アスナ「いえだからと言ってね。それはちょっとね…?」

御坂「あ!お金みっけ!」

初春「回復薬ありましたよ!」


アスナ「ちょまてや!?」


もう1度言うが、これは情報の為に物色してるのであり決して『強盗』ではない。
だが、傍からみたらどう見ても「美人怪盗3人組」である。

全身タイツ着てりゃいいのになぁ…


アスナ(まだ、このゲームに慣れてないのかなぁ…)


723: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/02/16(土) 12:34:20.08 ID:7xRN1OEG0
キリトサイド


キリト「あったかー?」ガサゴソ

上条「全然!」ガッシャーン

土御門「見当たらないぜい」パリーン

浜面「そろそろ違う家に行くか?」ドカーン

滝壺「それがいいかもね」ガサガサ


こちらチームは悪びれる様子もなく物色している。
重ね重ね言うがこれは『強盗』ではない、と言いたいが…
彼らは思い切りがいいのか《破壊不能オブジェクト》以外は徹底的に動かすか壊すか物色している。
こちらは野郎が多いのでどう見ても『窃盗団』にしか見えない、部屋など散らかり放題で見ちゃいられない。
ちなみにキリトは最初は抵抗があったらしいが、今では1番派手に物色している

724: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/02/16(土) 12:36:53.93 ID:7xRN1OEG0
アルゴ「お前らも派手にやるナー」メリメリメリ

キリト「?お前はやらないのか?」バコーン

アルゴ「まーナ。キー坊1つ忠告しとくヨ」

キリト「?」ガラガラ

アルゴ「NPCもいろいろいてな、何やっても怒らない奴ト」シュタ


喋りながら窓枠に足を掛けるアルゴ、ふと疑問に思うキリトだが答えはすぐにわかる


アルゴ「怒るやつもいるんだゼ!?」


バタン!!


彼女が言い終わると玄関の扉が勢いよく開く。
そこにはゴリマッチョのスキンヘッドのおっさんが鼻息を荒くして立ってる


「お前!わしの家で何晒しとんじゃあ!!?」


キリト「え?っえ!?」オロオロ

アルゴ「がんばれヨー」


そう言って彼女は窓から逃げ出した


キリト「はあ!?」

「覚悟できてるんじゃろうな!?」ビキボキ

キリト「っちょ…カミジョウ!ツッチー…」


そこで彼は今の事態を把握する。
部屋を見ると中には誰も居なくキリトとNPCのおっさんの2人だけだ、上条達4人の姿はどこにもない。
窓の外を見ると小走りで逃げてるのが見える、つまりは彼は置いてけぼりを喰らったのだ


キリト「っちょ…これはですね。あの…」


戸惑うキリト。
現実世界でもこのような事はしないしすることもない、ましてやこんなゴリマッチョに切れられることも


「往生しいや!!」







キリト「っちょ、っま・・・・アーッ!!」


キリトはゴリマッチョのおしおきを喰らった

725: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/02/16(土) 12:40:24.42 ID:7xRN1OEG0
美琴サイド


御坂「これで6軒目か…」

初春「なかなか見つかりませんねー…」

アスナ「…そもそもNPCを探してるのに何で家を物色するのよ?」

御坂「物のついでよ」

初春「です!!」

アスナ(完全に強盗の思考じゃないの!)


と心の中で突っ込むアスナ。だが彼女は聞きたいことがあった


アスナ「ねえハルさん。聞きたいことがあるんだけど」

初春「?なんですか?」

アスナ「NPCの特徴ってどんなの?男ってのはわかったんだけど」

御坂「そう言えば聞いてなかったかも」

初春「ああ、言ってませんでしたね。すみません」

佐天「もう、抜けてるぞ初春」

初春「うわ!びっくりした!?」

アスナ「あらルイさん」

御坂「槍の整備終わったの?」

佐天「はい!終わりました」

御坂「ちょうどよかった、佐天さんも探すの手伝ってよ」

初春「物色してもなかなか見つからないんですよー…」

佐天「ふん!この私にかかれば直ぐに見つけるさワトソン君!」

アスナ「いや、ワトソン君じゃなくってNPCの外見」

初春「あ、そうでしたね。えーっと」

初春「見てくれはアスナさんみたいに黒いフードマントを被ってるのですが」

佐天「ほうほう」

初春「1つ特徴がありました」

御坂「どんな?」

初春「鼻です。ソルダートJみたいな鼻です!」

佐天「なるほど…」


御坂・アスナ「「いや、わかんないから」」

初春「えー…じゃあサイボーグ009の002」

御坂「う、初春さん。何かに例えるんじゃなくって」

アスナ「何かに描いてくれると嬉しいなって…」

佐天「こんな奴です」

すると佐天が自分の槍を使って地面に描きだした

佐天「<こんな感じの鼻です」

726: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/02/16(土) 12:41:47.84 ID:7xRN1OEG0
御坂「あぁ、漫画みたいな長鼻ね」

アスナ「これだったらすぐにでも見つかりそうなんだけどね」

初春「そうなんですよねぇ…」

御坂「とりあえず探しましょ」

佐天「なら、あそこ行きません?」ピ!!


佐天が指差す。そこにあるのは今までの民家と違い『セコイア』では珍しいレンガ造りの建物


アスナ「役場って『GM』がいたとこでしょ?」


彼女が言ったとおり、かつてはそこには『GM』基アーガスの社員がいたところである。
通常ならそこで様々なサービスを受けられ、プレイヤーで賑わってたのだが。
SAOがデスゲームになって以降、もぬけの殻でありNPC以外はだれもおらず閑散としている。
しかも役場はほぼすべてが《破壊不能》オブジェクトであり宝箱もない。正直あるとは思えないのだが


アスナ「何もないと思うわよ…」

佐天「でも、行ってみないとわかりませんよ?」

御坂「まあ、佐天さんの勘はよく当たるし…行ってみましょ!?」

初春「そうですね」

アスナ「…ならいいけど」

727: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/02/16(土) 12:43:05.19 ID:7xRN1OEG0
セコイア・役場内


役場と言っても現実の物とそう大差はない。
規模で言うと田舎の村役場程度の平屋で、カウンター2つと奥に机の並んだ事務所が広がっている。
隣に6畳ぐらいの町長室がある大雑把な作りだ


「こんにちは」


と笑顔で彼女たちを迎えるNPC。奥にも何やら作業をしてる者数人いる


御坂「そんなにいないのね」

アスナ「でも、これならそんなに時間かからなそうね」

佐天「ぱっと見長鼻いませんねぇー」

初春「とりあえず見て見ましょ?」


それから彼女たちの探索が始まった。
と言っても、見て回るだけで『物色』できるわけではない。
ただNPCの顔を見たり部屋にあるものを見たりするだけで直ぐに終わる

728: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/02/16(土) 12:44:41.34 ID:7xRN1OEG0
アスナ「やっぱ無いわねー…」

御坂「そうですねー…」


役場のベンチに腰掛ける2人。精神的に疲れてきたのか、顔の表情もどこか重い


佐天「御坂さん!アスナさん!!」

御坂・アスナ「「!?」」

佐天「こっちです!」チョイチョイ


村長の部屋から軽く顔だして2人を呼ぶ彼女。
むろん呼ばれた2人は部屋に行く、そこでは村長が自分のデスクに伏せ寝している。
初春は壁に掛かってるレリーフを見ている


御坂「どうしたの?」

初春「御坂さんこれ!」

729: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/02/16(土) 12:46:29.93 ID:7xRN1OEG0
彼女が指差す。
そこには壁一面の大きさになる青銅製のレリーフ、とても巨大だ。
描かれてる内容は、天までに伸びる巨大樹と風にマントを靡かせた1人の剣士。

その剣士の手にはしっかりと片手剣が描かれてる


アスナ「これって…」

佐天「あとここ見てください!」


そう言って端っこに書いてある文字を見せる。
そこにはこのレリーフのタイトルだろうかこのような文章


『ヨラバタイ樹と白金の剣士』


と書かれてる


御坂「『白金の剣士』…それって!?」

佐天「多分、御坂さん達が探してる剣のことかと」

アスナ「じゃあ『ヨラバタイ樹』って!?」

初春「その剣のありかじゃないかと…」


ここに来てやっと手がかりが手に入る。
しかし、問題も浮上する。名前の通り『ヨラバタイ樹』とは大木の事であろう、
しかしここは森の層でありこの層に生える木はすべて優に100Mは超える巨大樹木ばかりだ。
その中から『ヨラバタイ樹』1本を探すのは並大抵のことではない。どうするか


「うっ…うーん」


悩んでると声。どうやら先ほどまで寝てた村長が目を覚ましたらしい

730: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/02/16(土) 12:47:43.72 ID:7xRN1OEG0


「…客人か?」


御坂「あ、すみません勝手におじゃましちゃ…」


言葉が詰まる。他の3人も村長を見ると


「「「「あああああああああぁぁぁぁ!!!!」」」」


驚き大声を上げてしまう。
そこには顔の整ったオールバックの男性、そして特徴的な長鼻。


そう、彼こそが探し求めてたNPCだ!



731: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/02/16(土) 12:48:36.53 ID:7xRN1OEG0
「おぉ、そのレリーフに興味があるのか?」


御坂「これに描かれてるのって!?」


「いやー若いのに見る目がある」


御坂「いやちょっと」


「せっかくなので、この絵について教えてあげようじゃないか」


御坂「そんなことイイですから質問に」


「そもそもこの絵な」


佐天「御坂さん、無駄ですって」

アスナ「諦めて聞いてあげましょ」

御坂「…わかった」

初春「めんどくさいですね」


彼女たちの気も知らず村長は話し始める。NPCとは勝手な物だ


「かつてあった―――」



長いので訳す

732: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/02/16(土) 12:50:32.09 ID:7xRN1OEG0
かつてこの地は平和ではなかった。
妖霊大帝オドロームとその軍団に襲われ、人々は怯えながら生活を強いられてた。
そして、オドロームの魔の手はこの『セコイア』にも近づきつつあった。
ある日『ノビタニャン』と名乗る者がこの街に現れた。
その者は

「この町の西にある『ヨラバタイ樹』の頂上に『白金の剣』がある」

と言った。しかし『ヨラバタイ樹』はこの『セコイア』付近では1番高い木、誰もが登れないと思うし「危険だからやめる様」と告げた。
だが彼はその言葉を聞かず「登って見せる」といい『ヨラバタイ樹』を登り始めた。
人々は心配そうに見守るが『ノビタニャン』は軽々と登って見せた。
そして、木から降りた彼の手には『白金の剣』が握られていた。
彼は手始めに『セコイア』に1番近いオドローム軍勢を討伐に行った。
すると彼は見事にその軍勢の大将に勝って見せた、人々は大いに喜び彼を何時しか『白金の剣士』と呼ぶようになった。
しかし、これに激怒したオドロームは全軍で『セコイア』に進軍し自らも前線に赴いた。
だがその時には『白金の剣士』『ノビタニャン』の元にはドラモン・ジャイトス・スネミス・シズカリアの強者4人が集まってた。
そして彼等5人は見事に妖霊大帝オドロームをその剣で引き裂き、勝利をつかみ取った。

『セコイア』に平和が訪れたのだ。
そして、『白金の剣士』『ノビタニャン』は再び『ヨラバタイ樹』に登りその頂上に『白金の剣』を戻し、この地を去った


「―――ってな訳だ」

733: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/02/16(土) 12:51:49.71 ID:7xRN1OEG0
と1時間近く聞かされた4人であるが、アスナ以外の3人は


(((早読みしたい…)))


と思っていた。しかし、重要な話には違わないので


初春「御坂さん!!」

御坂「ええ、この街に西ね」

アスナ「キリト君たちにも伝えなくっちゃ」

佐天「もう土御門さん達に伝えました「すぐ行く」だそうです」


「―――あぁ、そうだ。君たち」


「「「「!?」」」」


「『白金の剣』を手に居れたら私のとこに来るといい、いい物をあげよう」


748: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/02/24(日) 19:51:17.76 ID:jxIT+/Vr0
ミコトから剣の情報を聞いた俺達はすぐさま合流すると、そのまま『セコイア』の西にある『ヨラバタイ樹』へ向かいことにした。
流石に全員は多いので行くのは俺とミコト、アスナとカミジョウにハマーにルイが行くことにした。
残り4人は留守番、もしくは攻略会議に出てくれるらしい。
本当にありがたい


キリト「早く行け!」ゲシ

上条「いって!!」

浜面「まだ怒ってるのかよ!?」

キリト「あのなぁ…」


確かに俺は今機嫌が悪い。何故か?
先ほどこいつらと物色(と言う名の強盗)に付き合ってると家主のNPCに見つかりこってり絞られた。
ちなみにこいつ等は俺を見捨てて逃げた。怒らない方が少ないだろう


佐天「いいじゃないですか、話のネタになりますし」

キリト「話のネタって…あのなぁ」

御坂「グジグジと器の小さい男ねー」

アスナ「キリト君って意外に女々しいのね…」

上条・浜面「「」」ウンウン

キリト「お前らなぁ…」プルプル


俺は今すぐにでも大声で説明したかった。
今までに感じたことのない恐怖と苦しみを!!
…だが、それ以上にその時のことを思い出したくないのでやめとくことにした。



……本当に思い出したくない

749: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/02/24(日) 19:52:30.15 ID:jxIT+/Vr0
『セコイア』を出て1時間以上たっただろうか、いまだに『ヨラバタイ樹』は見つからない。
この第5層『セコイア』の名前の通りやたら高い木しかない、しかも全部同じような物。
休息がてら近くの沢が流れてる斜面で昼食込の休憩に入る


御坂「見つからないわねぇー…」モグモグ

上条「まあ、そう焦るなよ。まだ1時間しかたってないだろ?」

御坂「でもー…」

上条「はいはい、おちつこーなー」ナデナデ

御坂「ふぇ!ふぁ!?…」シュポン!!

上条「み、御坂!?」


キリト「…」

750: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/02/24(日) 19:55:06.63 ID:jxIT+/Vr0
キリト(なんだこの甘い空間。カミジョウがミコトの頭撫でたら、ミコトが顔を真っ赤にして気絶したぞ!?)


俺はある疑問が浮かび浜面に聞く


キリト「なあ、ハマー」ボソボソ

浜面「なんだよ?」ボソボソ

キリト「あの2人、そのー…つ、付き合ってるのか?」

浜面「うんにゃ、付き合っておらんよ」モグモグ

キリト「は!?」


あれで付き合ってないのかよ!?


佐天「御坂さんの片思いなんですよ、あれでも」ボソボソ

キリト「…マジで?」

アスナ「そうらしいわね。ハルさん曰くあれでも落ち着いた方らしいわよ」ボソボソ

キリト「あれで落ち着いたって、前どんだけだったんだよ…」

佐天「前は漏電してましたね」


キリト「あっぶな!?」


ミコトが学園都市の超能力者、御坂美琴なのは俺もアスナ、アルゴも知ってる。
本人は


御坂「あまり言いふらさないでね…」


と言ってるし、俺達も言いふらすつもりもない。
本人も気にしてるのか、顔をターバンで覆い顔を隠してる辺り自覚してるのだろう。
ただその姿はめちゃくちゃ目立つが…
それよりもTVに出たりする有名人が目の前に居ることに驚いたし、話を聞くといい奴だってのも分かった。
何よりこうやって恋もする俺達と変わらない子供だってのがよく解った


キリト「…にしても、あれだけ解りやすいとカミジョウも気が付くだろ?」

751: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/02/24(日) 19:58:05.88 ID:jxIT+/Vr0



佐天「それが」

アスナ「全然」

浜面「全く」

キリト「…ウソだろ?」

佐天「本当なんですよ」

アスナ「私も見たけどあれは筋金入りね」

キリト「だって、俺でも解るぐらいデレてるじゃん!?」

浜面「それが大将クオリティー。ちなみに本人は「俺ってモテないからなー」と言ってます」

キリト「何そのムカつく感じ?」

佐天「あまりにも御坂さんが可哀そうなんで、最近じゃ上条さんがそんなこと言うとグーパンチしてます」

アスナ「解る。私もさっき殴っちゃったよ」

浜面「俺と土御門なんかしょっちゅうだぞ!?」

キリト「…俺も聞いたら殴るだろうなー」

アスナ「いいと思うよ」

上条「さっきから聞こえてるんですが、すっごく物騒なこと言ってません!上条さん的に!?」

佐天「え?言ってませんよ?」

上条「嘘つけ!なんか「殴る」ってキーワード聞こえて来たぞ?」

キリト「大丈夫。今度は俺が殴るから」

上条「なんでなよ!?何で殴る前提なんだよ!!」

アスナ「いやだって、絶対に直ぐにでも地雷踏みそうですもの」

上条「地雷ってなんだよ!?」

浜面「おーい、大将」

上条「なんだよ!?」

浜面「そんなに暴れると膝の上の姫が…あ」

上条「!?」

御坂「」ゴロゴロ


バッシャーン


…説明しよう!さっきから上条の膝の上でで気絶してた美琴。
彼の怒涛の突っ込みの時に体が動く、その振動でバランスが崩れそのまま沢へ転がり落ちてしまった。
幸い沢は深くなく流れも穏やかなため大事には至らなかったが、落ちた本人はずぶ濡れである。

流石に本人も目が覚めた


御坂「…何がどうしてこうなったの?」ビチャビチャ

752: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/02/24(日) 20:02:09.05 ID:jxIT+/Vr0


上条「み、御坂…あ、あのこれはだな」アセアセ

御坂「あ゛?」

上条「事故であってな?…その」

御坂「あ゛あ゛!?」

上条「えーっと、そのー……ごめんなさい!!」orz


見事な土下座。キリトとアスナは心の中でそう思った、これで終わりかなと思いきや


浜面「まだ続くな」

キリト・アスナ「「え!?」」

御坂「ねえ?」

上条「はい、何でございましょう?」土下座中

御坂「私の『スチール・ブレードⅡ』で切り刻まれるのと『体術』でボコボコにされるの、どっちがいい?」ニカ


笑顔で言ってるが目は笑ってない


上条「ちょっと待って!今謝りましたよね?なんでそこまでされなくっちゃいけないの!?」

御坂「あのねー…川に落ちて、口に『甘い水』がいっぱい入って気持ち悪かったのよ!それに顔に『葉っぱ』いっぱい付いちゃうし!!!」

キリト(『甘い水』?『葉っぱ』!?)

上条「『葉っぱ』って…?御坂、顔に付いてるぞ?」

御坂「へ?あ、ありがとう」ヒラ

上条「いまの内に!!」ダッ!!

御坂「あ、コラ!!逃げんな!!!」



マテー!!
イヤダー!!
オトナシクキラレロー!!
ナンデダー!!


浜面「あーあ、行っちゃったよ」

佐天「止めに行きますか?」

浜面「そうすんべ」タッ

佐天「はーぁあ!」タッ


ストップ!ストップ!
ミサカサン、オチツイテ!
クラエー!!
フコウダー!!


アスナ「キリト君私達も…ってキリト君?」

キリト「…」チャポ


美琴の落ちた沢で何やらしてるキリト。どうやら沢の水を汲んでるみたいだ



753: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/02/24(日) 20:03:40.67 ID:jxIT+/Vr0
アスナ「どうしたの?」

キリト「…」



すると


キリト「」グイ

アスナ「き、キリト君!?」


急に沢の水を飲むキリト


アスナ「ど、どうだった?」

キリト「…甘い」

アスナ「へ?」

キリト「アスナも飲んでみろよ」

アスナ「う、うん」ゴク

アスナ「…甘い」

キリト「だろ!…わかったぜ『ヨラバタイ樹』の場所が!」

アスナ「え?」

キリト「カミジョウ達は?」

アスナ「あそこ…」


ウォラ!!
ヒギー!!
ヤメロッテ!ヒメ!!
ミサカサン!カミジョウサン、シンジャイマスッテ!!


キリト「ったく!」


その後、キリトの仲裁で場は収まった

754: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/02/24(日) 20:06:50.61 ID:jxIT+/Vr0
10分後


彼らは先ほどの沢にそって歩く。


御坂「ごめんなさい、頭に血が上ってました…」

浜面「まぁ、気にすんなや」

上条「俺も気にしないからよ…な?」

御坂「でもー…」

佐天「まぁ、上条さんが気にしてないんだからいいじゃないですか」

上条「ま、流石の上条さんも毎回毎回切りつけられるのは電撃と違って命に係わるからな、気を付けてくれよ!」

御坂「気を付けます…」

アスナ「電撃って…」

キリト「毎回って…」

上条「それがな、学園都市に居た頃のよいつm」

御坂「そうそう!!えーっと、このまま行くとあるのよね!!?『ヨラバタイ樹』」

佐天・浜面((話逸らした…))

アスナ(カミジョウ君もよく無事ね…)

上条(なんか釈然としない…)

キリト「(毎回やってんだ…)あ、あぁ…さっき解ったんだけどな」

佐天「そう言えば何で解ったんですか?」

アスナ「そうそう、何で沢の水で解ったの?」

御坂「沢の水って、あの甘いの?」

キリト「そうそれ!ミコトが『甘い水』って言っただろ?最初にそこに引っかかったんだ」

上条「言われてみれば、確かに水が甘いっておかしいな」

浜面「ふつう味がしないもんな」

キリト「2つ目のキーワードは『葉っぱ』だ」

佐天「『葉っぱ』?」

アスナ「『葉っぱ』なんてそこらじゅうに…!?」

755: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/02/24(日) 20:08:53.47 ID:jxIT+/Vr0
キリト「お!ようやく気が付いたようだな」

御坂「なるほどね…」

上条「何?何がどうなってるんでせう!?」

浜面「さぁ…」

佐天「さっぱり…」

アスナ「はぁ~…あのね、SAOで葉っぱなんて特定の場所以外落ちてないでしょ?」

御坂「それに落ちても一定の時間がたつと消えちゃうじゃない」

佐天「そうでしたっけ?」

御坂「ほら、第1層のはじまりの町にある木の実だって時間がたつと消えちゃうじゃん」

浜面「そう言えばそんなのあったような…」

キリト「それにこの葉っぱ調べると」ピ


そう言いながらキリトは『葉っぱ』に触れる、すると情報ウィンドウが表示される。
SAOでは名前や効果の解らないアイテムなどは、軽く触れるとこれの名前は○○で効果は××と表示されるのだ。
で、この葉っぱの名前には『ヨラバタイ樹の葉』としっかり書かれてる


上条「本当だ…じゃあこのまま行けば!?」

キリト「ああ。間違いなく…と思ったら着いたっぽいぜ」


756: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/02/24(日) 20:13:16.38 ID:jxIT+/Vr0
少し開けた場所に出る。
そこにはちょっとした泉がありその奥には巨大な岩、そしてその岩を覆うように大きな樹木が生えてる。
その樹木はあからさまに周りの気と違う、周りが茶色の樹皮なのに対しそれは薄灰色をしている。
そして、他の木とは1回りも2回りも太い幹、なによりも上の層を貫いてるのではないかと思いたいぐらいの高さ。
誰が見ても間違えは無い


御坂「これが『ヨラバタイ樹』」

浜面「間違えなさそうだな」

佐天「でも…これ登るんですよね?」


そう、登るのだ!しかし彼女が不安に思うのも無理はない。
この『ヨラバタイ樹』周りの木と違い表面はつるつるしており、すごく登りにくそうである。
しかも枝伝いに登ろうとしても根元から1番近い枝は5mぐらいある、正直今のキリトや御坂では最大ジャンプしても届かない。どうするのか


アスナ「キリト君…どうするの?」

上条「いくらおまえでも流石にk」

キリト「走って登る!」キリ!

上条「…は!?」

アスナ「…はぁ~あのね。君がいくら馬鹿でもこれh」


そう言うと彼はスペースを開けさせ木から距離を取る。まるで50m走のように


キリト「よっつ!!」タッ!!


彼は勢いよくスタートダッシュしそのまま木に向かう。そしてその速さのまま木を登り始める


アスナ「うそ!?」

上条「まじでか!?」

浜面「うおー…」

佐天「すごい…」


しかし4mぐらいで勢いがなくなり始める


キリト(まずいな…こうなったら!!)「はああああ!!」タン!!


そのままジャンプし何とか枝にしがみつく


キリト「ふう…ひやひやした」

757: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/02/24(日) 20:17:48.91 ID:jxIT+/Vr0




見てるこっちがひやひやする


アスナ「キリト君…」

浜面「ふぇー今のは危なかったなー」

上条「ってか、大丈夫なのか?」

佐天「今の様にいけば大丈夫だと思いますよ…多分」

アスナ「って、ミコトさんは!?」

上条「そういえば」


確かに、ここに来たのは片手剣『白金の剣』を探しに来たため。
その『白金の剣』はこの『ヨラバタイ樹』の上にある。
だからキリトはこうして無茶して登ってるのであるが、もう1人の片手剣使い美琴はと言うと


御坂「」キョロキョロ


何かを探すように木を見てる


佐天「御坂さーん」

御坂「なにー?」

佐天「登らないんですか?」

御坂「登るよ」

上条「じゃあ何で行かないんだ?キリト行っちまったぜ?」

御坂「私はあんな無茶しないで確実に登って行くのよ」

浜面「無茶?」

御坂「だって、あの調子だと」


「ぁぁぁぁぁぁぁああああああああああああ!!!!」ドポーン!!


御坂「ほらね?」

アスナ「き、キリト君!?」


美琴が言ったとおりキリトが落ちてきた。
やはり彼女が言った通り無茶であったようだ、では彼女はどうするのか


御坂「そこの泉、回復効果あるみたいだから少し休んだ方がいいわよ」

キリト「回復効果…?」


それは先ほどキリトが木を登ってる時に1人で調べた結果である。
この泉、先程の沢の水源であり名前は『ヨラバタイ樹樹液』となっており効果は『体力の回復』と書かれてる。
しかも泉を含めた『ヨラバタイ樹』の周辺は《安全圏内》に含まれておりモンスターに襲われる心配もない


御坂「さて、私も行くかな…」

佐天「行くって…どうやって?」

御坂「こうやって!!」タッ!!



758: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/02/24(日) 20:18:18.62 ID:jxIT+/Vr0


こう言い残すと彼女はその場から枝にジャンプした。
もちろんキリトみたいに高い場所の奴ではなく、別の木の根元から2Mぐらいの物にである。
何故別の木なのかそれはこのためだ


御坂「ほっ!!はっ!!」タッ!!タッ!!

上条「なんで御坂は『ヨラバタイ樹』にジャンプしないんだ?」

キリト「…なるほどな」

アスナ「キリト君?」

キリト「ああやって他の木で高さを稼いでベストタイミングで『ヨラバタイ樹』に移るんだよ」

浜面「そんなこと…うまくいくのか?」

キリト「現にほら」

御坂「てやっ!!」タッ!!


キリトの言った通り美琴は『ヨラバタイ樹』の枝に足を着いた。キリトが落ちた地点よりも高い位置の枝に


佐天「でも、またジャンプして行っちゃいましたよ?」

キリト「全力でジャンプしないで細かく上がってるんだろ?だから体力的にも余裕があるんだよ。本人もそれを理解してるんだろうな」

浜面「ほえー流石だなー」

キリト「っと、俺もこうしちゃいられねぇ!!」タッ!!


キリトも美琴に負けず地と全力で追いかけていった


上条「…で、どうするよ?」

アスナ「どうするって?」

上条「いや、流石において行くもあれだし。かと言ってやることないし…」

浜面「確かに、どうすっかなー」

佐天「《安全圏内》ですし待ちません?」

アスナ「そうするしかないかもね…」

浜面「だな」

上条「…にしても」


地上に残された彼らは暇であった




759: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/02/24(日) 20:20:02.80 ID:jxIT+/Vr0
約4時間後


御坂「はぁ…」


美琴は現在8合目あたりに居る。
ここまで来ると他の木は無く『ヨラバタイ樹』だけしかない。
ここまで来ると先ほどまでの枝伝いに行くのも無理なのでいったん休憩に入る、彼女の居る枝も他の物より大きい。
これはここで休憩するために最初から作られたものであり、茅場の優しさでもある


御坂(ここまで来ると流石に地上の様子は解らないわね…)


既に地上の様子はほとんど解らない。
ふと周りの景色を見る、日も暮れ天井に映る星の明かりしかなく、遠くにぽつぽつと光明かりは『セコイア』であろう。
24時間明りにあふれてる学園都市とは大違いの光景である


御坂(本当に…変な世界ね)


キリト「よ!」

御坂「なんだ…キリトか」


追いついたキリトが声を掛けてきた。


キリト「何黄昏てんだよ?」

御坂「別に…良いでしょ…ほらサッサと行ったら?私はここで軽く休憩するから」

キリト「俺は腹が減ったからな、休憩だ」ストン


御坂(そう言えばお腹減ったなー…)ストン


その場に座るキリトと美琴。

760: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/02/24(日) 20:21:46.48 ID:jxIT+/Vr0
彼はメニューを操作し黒パンを出すと彼女も腹が減りだした。
誰かが何かを食べだすとお腹が減るのはよくあることだ。しかし、彼女は食料を持ってきてない


キリト「ほら」つ

御坂「へ?」

キリト「やるよ。持ってきてないんだろ?」


事情を察知してかもう1つ黒パンを出しそれを美琴に渡すキリト、更にメニューを操作し


キリト「ついでにこれも」コトン

御坂「!?」


美琴が目を丸くする。
それは彼らが1番最初に出会った時、キリトとアスナが2人で食べてた時にあったクリームの入った壺。
更にお茶の入った瓶まで出してくれたのだ、そりゃモテる


御坂「いいの!?」

キリト「ああ、景気付に食おうぜ!!」

御坂「ありがとう!!いただきます!!!」


心の底から嬉しそうな声でお礼を言い食べ始める美琴。本当においしそうに食べる


キリト「その素直さをカミジョウにも出せばいいのに…」


ふと、心の中で思ったことが口に出る


御坂「っ!!…っ!!…ゴクゴクゴク…っぷは~…い、いきなり何言ってんのよ!!!?」


あまりにも唐突言われてびっくりした美琴。またパンが詰まりそうになり慌ててお茶で流し込む


キリト「あ、ごめん。口走ってたか?」

御坂「普通に言ってたわよ!!」

キリト「いや、あんな盛大に惚気てたら言いたくもなるよ」

御坂「の、の、惚気てなんかないわよ!//…ってか、誰に聞いたのよ!?」

キリト「あの光景見たら誰でも解るだろ…」

御坂「誰でもって…ままま、まさか?」

キリト「ああ、アスナもアルゴも知ってると思うぜ」ニヤ


止めを刺した


御坂「シュポン…ふ、ふにゃ~//」ドサ

キリト「えええええええええええ!!!?ここで気絶するか!!!?」


気絶した美琴に焦るキリトだが、止めを刺したのはこいつである


キリト「…どーすんだよ、おぃ」

761: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/02/24(日) 20:23:49.19 ID:jxIT+/Vr0






「…ん」パチリ


どれほどであろうか、ふと目が覚める。
頭の裏に何やら異物感、これはキリトのコート


「お、起きたか?」


声。見ると枝の端に足を掛けてるキリトの姿


御坂「うん…どのくらい寝てた?」

キリト「20分ぐらいかな?」

御坂「そう…ごめんね迷惑かけて」

キリト「いいって。おかげでミコトの地雷ワード解ったしな」

御坂「地雷ワードって…悪かったわね。自覚ぐらいはしてるわよ…」

キリト「なら結構。ほい、お茶」

御坂「ありがとう…」


お茶を飲む美琴


御坂「……ねえ?」

762: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/02/24(日) 20:26:43.03 ID:jxIT+/Vr0
キリト「なんだ?」

御坂「あんたって、なんか年齢の割に落ち着いてるわよね?」

キリト「…そうか?」

御坂「うん。同年代…下手したらタメぐらいなのに、なんて言うか…大人びてる」

キリト「俺から言わせてみたらあんたも相当大人びてるぞ。その…常にピリピリしてると言うか」

御坂「ピリピリしてる?」

キリト「ああ。アスナに近いようで別のベクトルな感じはするけど」

御坂(ベクトル、か…)


美琴はかつて対峙した白い悪魔のことをふと思い出す


キリト「と言っても。これを聞いたのはそのアスナからなんだけどな」

御坂「アスナさんが言うかねー…最近は落ち着いたけどさ」

キリト「アルゴも言ってたかな?「アーちゃん最近やわらかくなったナ。ほんのちょびっとだけど」って」

御坂「それ、本人に言ったら怒ると思うよ」

キリト「…違いない」ニヤ

御坂「…っぷ」

キリト「…っく」

御坂「あっははははは!!」www

キリト「くっははははは!!」www


何かにツボったのか、それともアスナの怒るのを想像したのか、どちらにせよ2人は大笑いし始める。
周りに響くがここからだと地上には聞こえない、なので2人の笑い声が本人たちにしか聞こえなかった



キリト「はぁ…行くか?」

御坂「そうね!ありがとうね」

キリト「いいって…でここから素手でしか登れないけど、諦めるか?」ニヤ

御坂「誰が!この先表面がボコボコしてるからあんたみたいに壁走りしなくたって大丈夫よ!!」

キリト「OK…じゃあ、よーいドンで登り始めようぜ」

御坂「望むところよ!吠え面掻かせてやるわよ!!」

キリト「けっこうけっこう…じゃっ!!」

御坂「…よーい」


キリト・御坂「「ドン!!」」


キリト「うおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!」ドドドドドドドドドド


御坂「てりゃあああああああああああああああああ!!!!!!」ドドドドドドドドドド


ものすごい勢いで2人は残り2割を頂上に向け登り始めた


763: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/02/24(日) 20:28:54.89 ID:jxIT+/Vr0



4時間前


ヨラバタイ樹・根元



アスナこと私、結城明日奈は『ヨラバタイ樹』近くの泉のある《安全圏内》にいた。
キリト君とミコトさんが木を登って行ったあと、私達はいろんなことをして暇をつぶした。
最初はグダグダしてたが暫らくすると


佐天「2人ってどっちが筋肉あるんですか?」


とルイさんが質問した。最初はカミジョウ君もハマー君もお互いに謙遜してたんだけど


上条「俺だから」

浜面「いや俺だし」

上条「いやいや俺だから」

浜面「俺だっつーの!」

上条「なんだよ!!」

浜面「やんのかコラ!!」

上条「上等だ!!」


と、訳の分からない展開になった。

764: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/02/24(日) 20:30:54.04 ID:jxIT+/Vr0
勝手なイメージだけど、どうして男の子ってこうなんだろう。
と言っても、流石に喧嘩になるのはまずいと思って止めようとすると


佐天「はーい、提案でーす!!こうなったら2人で筋トレ対決はどうでしょうか!?」


とルイさんが言った。そんな単純な話に乗るはずがないと思ったけど


上条「よーし、それで白黒つけようじゃねーか!!」

浜面「ふん!大将の鼻へし折ってやんよ!!」

上条「彼女持ちのリア充には負けねえよ!?」

浜面「彼女持ちは認めるけど。リア充とはお前には言われたくねぇ!!!」


…うん、男の子って単純だわ。
そんなこんなで筋トレ対決になだれ込んだ。
最初は腕立て伏せ、序盤からものすごいスピードで腕立てをする。
提案をしたルイさんは


佐天「浜面さーん!!がんばれー!!滝壺さんが見たらもっと惚れちゃいますよー!!」

浜面「まじでか!?うおおおおおおおおおおおお!!!」フンフン

佐天「上条さーん!!がんばー!!御坂さんが見たらもっとときめいちゃいますよー!!」

上条「なんで御坂!?」フンフン


本当に気づいてないんだこの人…
しばらくして腕立て伏せじゃらちが明かないことになり


上条「こうなったら腹筋だ!!」

浜面「よし!!乗った!!」


とゆうことになった。だけどここからが私にとっての軽い悪夢の始まりだった


765: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/02/24(日) 20:33:07.41 ID:jxIT+/Vr0
上条「腹筋だと足抑えてもらわなくっちゃいけないな…」

浜面「じゃあ佐天、アスナ!悪いけど手伝ってもらえるかな!?」

佐天「いいっすよ~」

アスナ「へ!?」


今なんて言ったこの金髪。
手伝うってあれよね、足を抑えることよね!?体育の時間によくやるあれよね!!?抑える相手って…やっぱこの2人?
……無理!無理!!無理!!!あれって顔がすごく接近するよね…そんなの無理!!!!


佐天「じゃあ私上条さんの抑えますね~」

上条「おう!頼むわ」

アスナ「」パクパクパク


っえ!?なんでルイさん何事もないようにできるの!?
お、おと、男の子の足掴むんだよ!!!?…もしかして共学だと普通なのかな?


佐天「よっと!」フミ

上条「サンキュー!」


あれ?体育座りみたいにしゃがんで軽く足で踏むだけ?
…確かにあれなら顔との距離も離れてるから問題ないか。
これなら私にもできる…かな?


浜面「おーいアスナー!俺も頼む―!!」

アスナ「はいはい…よっと!」フミ

浜面「あんがとよ!」


本当…これなら緊張しないわね


浜面「…しっかし解りやすいなあんた」


アスナ「へ?」

766: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/02/24(日) 20:35:08.73 ID:jxIT+/Vr0
今なんて言った金髪ゴリラ?
私が解りやすいですって!?
冗談は顔とあなたみたいなのにリコさんみたいなカワイイな彼女さんがいることだけにしt


佐天「ああ、解ります!アスナさんって解りやすいですよね!」


…なん…だと?


浜面「すっげートギマギしてたもんな!さっき」

佐天「お嬢様ってのは薄々解ってましてけど、なんかすっごいピュアなんだなって」

浜面「後、男に対しての免疫も無いんだなって」

佐天「めっちゃ顔に出てますよ」

アスナ「っな…っあ…//」パクパクパク


不覚だった…そんなに顔に出てたなんて…これでこの場にツッチーさんやアルゴ、ハルさんがいたら悲惨だったわ。
あの3人、ってかルイさんも含めて4人だけどグイグイ聞いてくるし…


上条「…?さっきから何なんだ?」

浜面「…大将…もう少し空気読もうぜ?な」

上条「?」

浜面「だーめだこりゃ」

アスナ「もう!!そんなこと言ってないで、さっさと始めなさいよ!!」

上条・浜面「「へーい」」


気の抜けた男2人の返事と共に始まる。


767: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/02/24(日) 20:36:15.94 ID:jxIT+/Vr0
男2人の腹筋が2000回超えたとこでルイさんが気が付く


佐天「ねえアスナさん」

アスナ「何?」

佐天「これって…決着つかないんじゃないですか?」

アスナ「…奇遇ね。私もそう思ってたとこよ…」


上条・浜面「「ぬをおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」」ブン!ブン!!


ここまでで2人の腹筋のペースは寸分も落ちてない。そう寸分も!!目の前の2人は気づいてない様だがどう考えてもおかしい


佐天「確かSAOって肉体的な疲労って皆無ですよね?」

アスナ「そうね…」

佐天「意味ないんじゃないですか、この対決?」

アスナ「確かに…そうね」ッパ

浜面「なっ!?」ドッ!!

佐天「えいっ!」ッパ

上条「っな!?」ドッ!!


私とルイさんが足を放すと2人は勢いよく頭をぶつける

768: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/02/24(日) 20:38:17.58 ID:jxIT+/Vr0
上条「いってててて」

浜面「いきなり放すなよ…」イテェ

アスナ「これ勝敗つかないわよ?」

浜面「うそ!?」

佐天「だって、SAOって肉体的疲労が無いじゃないですか。この分だと日付が変わっても相手がまいるとかありませんよ?」

上条「まじで!?」

アスナ「気が付かなかった私達もあれだけど、あなた達も何か異変に気づきなさいよ…」

浜面「メンボクナイ

上条「ミギニオナジク」

アスナ「はぁ…もう体力対決はいいでしょ?」

上条・浜面「「ハィ」」

佐天「まぁまぁ、2人ともなんやかんやで落ち着いたんですからいいじゃないですか?ね」

アスナ「…それもそうね」

佐天「まあ反省はこの辺にして。どうです?そろそろご飯にしません?」


彼女の言うとおりすでに辺りは暗い。正直空腹感を感じて来たし、何より


上条「確かに…」グウウウ

浜面「腹減った…」グウウ


先程まで運動してた2人は相当空腹のようだ、これには私も同感。
にしてもSAOは律儀に人間の3大欲求が再現されていて、このようにお腹も空くし眠気も来る。

あと1つは……考えたくもない



769: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/02/24(日) 20:39:49.46 ID:jxIT+/Vr0
夕食も終わりみんなでたき火を囲んで寝てた。
夕食は《ケルピ》と言う小型のシカモンスター、正直この層でこんな小さいモンスターを見たのは初めてだったので驚いた。
後、結構かわいかったのに


上条・浜面・佐天「「「肉うううううううううううううううううう!!!!」」」


と叫びながらあっさりと倒してしまった。あんなに可愛かったのに…
ってか、男2人は「もう動けない」って言ってなかったっけ?しかもルイさんまでも…あなた偶に女の子捨てすぎな所あるわよ?
さて、この《ケルピ》なんでも『A級食材』と言って今までの中でもかなり値が張り美味しいらしい。
実際私も食べるのも初めてだし、ましてや見るのも初めてだった。
調理法は塩焼き、近くにあった枝に刺して塩とスパイスを掛けるだけのお手軽料理、まさに『ゲーム肉』って感じ。
意外だったのは男の子2人が《料理》スキルが高かったこと、なんでも学園都市だと1人暮らしの子が多くて出来る子も多いらしい。
1人暮らしとか未知の領域で少し憧れる

770: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/02/24(日) 20:42:36.37 ID:jxIT+/Vr0


アスナ「ふぅ…」


食事の後、私達はお肉を焼いてた焚火を囲んでそれぞれ休んでる。
カミジョウ君とハマー君は仰向けにいびきをかいて豪快に寝てる、ルイさんも体育座りのままよだれを垂らして寝てる。かわいい


…ふと思う、何でこの人たちはこうまでこの世界に溶け込んでるんだろう。
ミコトさんやここに居ない3人を含めて、なんて言うか…もっとすごいことを経験してるのだろうか?
母は学園都市のことを嫌っていたが、私達世代はあこがれの的だった。
過去形なのはこの前の戦争。
この前の戦争でいろんな情報が流れた、何か訳のわからない所、怖い場所、子供は皆実験動物。
そんなニュースを色んなメディアで見た、正直私も関わりたくないと思った。
このまま関わらない人生、敷かれたレールに沿った人生だと思った。
だけどここに囚われそしてミコトさん達彼らに会った。
最初はあまりかかわりたくないと思っていた、
私の周りでは学園都市の人は改造人間、狂気の集団、異教徒と呼ばれてた。(異教徒の意味はよく解らなかったけど)
だけど時が経つといつの間にか彼らと一緒に笑ってた。
今ではお互いフレンド登録する中にもなってる。
本当にここに来てから解らない、15年生きてて初めてのことばかりだ


アスナ「本当…どうしちゃったんだろう…私…」


思わず本音が出てしまった。

771: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/02/24(日) 20:43:57.88 ID:jxIT+/Vr0
「この辺ならいいかしら…」


私は少し離れた場所に来てた。
あまりにも眠れないので少し体を動かそうとしてる、でも近くだと3人を起こしてしまいそうなので少し距離を取った。
と言ってもあまり離れてないし《安全圏内》を出てない、万が一《グリーズ・リー》の様な大型のモンスターに襲われたらひとたまりもない。
昼間にあんな大見栄張ったのに1人じゃヤバいのは私自身が1番自覚してる、我ながら情けない…


アスナ「…ふっ!!」スン!!


軽く《リニア》を1回。
1層からこれだけで生き延びてきたと言っても過言は無いので、難なくで来る。
でも1人だとどうも手ごたえが解らない


アスナ「うーん…」


悩む私


「お困りのようですな?」


アスナ「!?…ルイさん!?」

772: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/02/24(日) 20:45:10.46 ID:jxIT+/Vr0
振り返るとそこにはルイさんがいた


佐天「なーにやってんですか?」

アスナ「ちょっと体動かしたくてね…ごめんねおこしちゃった?」

佐天「いえ、私も目が覚めちゃって。そしたらアスナさんがいないんで…体動かすんなら私も手伝いますよ!?」

アスナ「あら、いいの?」

佐天「ええ、私も動かしたいんで」

アスナ「あの2人は?」

佐天「お腹だしてぐーすか寝てます」ニ!


773: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/02/24(日) 20:45:56.91 ID:jxIT+/Vr0
上条「ぐおおおおおおおおおおおおお」


浜面「がああああああーーー、ぐううううーーー」


「…こいつか?」


「間違いありやせんヘッド」


「俺の趣味じゃねえが。ま、いいか」


「では…イッツ・ショウ・タイムと行こうではないか」ニタァ


浜面「がああーーーぐうーーー」ズルズル


774: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/02/24(日) 20:47:16.01 ID:jxIT+/Vr0
アスナ「で、何やる?」

佐天「んー…模擬戦とかどうですか?」

アスナ「模擬戦?」

佐天「そうです!…知らないですか?」

アスナ「…うん」

佐天「えーっと、《圏内》戦闘するんですよ」

アスナ「えっ!?そんなこと出来るの?だってそれじゃあ」

佐天「まぁ、ノックバックが発生しますね。でもこれを応用すればダメージとかのイメージできますよ」

アスナ「そうなんだ…でもそれも面白そうね」

佐天「やってみますか!?」

アスナ「ええ。でもルイさんの《ランス》だと私の《レイピア》には不利じゃないのかしら?」ニィ

佐天「あれぇーいいんですかぁー?私の《ランス》甘く見ると痛い目にあいますよ?」ニタァ

アスナ「いいのね?」キン

佐天「じゃあ…」スチャ

アスナ「いざ!!」

佐天・アスナ「「勝負!!」」


800: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/03/04(月) 00:07:17.60 ID:5ufA7/F30
アスナ「はぁ…はぁ…」

佐天「ふぅーふぅー」


呼吸を荒くする少女2人。
模擬戦と言っても精神的には疲れるのは実践と同じ、まあだからこそやって意味あるのだが


佐天「流石…アスナさんですね…全然見えませんでしたよ…」

アスナ「そっちこそ…驚いたわよ…槍の…あんな使い方…」

佐天「これでも…練習…しまくってるんですよ…」

アスナ「こっちだて…」ス


呼吸を整えながらアスナがメニューを操作する。アイテム欄から小瓶を2つ出す


アスナ「はい」

佐天「へ!?」

アスナ「『ヨラバタイ樹の樹液』喉乾いたでしょ?」

佐天「ありがとうございまーす!…ゴクゴク…っぷはーー!!アクエリみたいでうっめー!!」

アスナ「ふふ。そこまで喜んでくれると嬉しいわ」ゴクゴク


801: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/03/04(月) 00:09:51.18 ID:5ufA7/F30
佐天「いやー学園都市ってアクエリなかなか無くって」

アスナ「え?学園都市ってアクエリアス無いの!?」

佐天「あるっちゃあるんですけど…高っくって」

アスナ「おいくら位?」

佐天「えーっと、確か…300円ぐらいかな?」

アスナ「高っか!?」

佐天「ですよねー、一応学園都市製のもあるんですけどね…」

アスナ「けど?」

佐天「味がね…不味いんっすよ。鯖味噌味とか」

アスナ「何その拷問」

佐天「他にもありますよ。例えばいか焼き味とか」

アスナ「そう言えば、学園都市の名物って聞いたことないわね…」

佐天「まあ、効果は抜群なんですけどね。すぐに体力満タンになるし」

アスナ「ふふ。まるでSAOみたいね」


微笑むアスナ、そしてそれをじっと見つめる佐天


アスナ「…っど、どうしたの?」

佐天「いえ、笑うと可愛いなって」

アスナ「かっ…かわ…、ありがとぅ//」

佐天「アルゴさんが言ってましたけど、前はそんなに笑わなかったのですか?」

アスナ「アルゴが?…」


思い悩む


アスナ「…かもね。最近あなた達と居ると気分的に楽な時もあるし?」

佐天「でも時たま思いつめてる時ありますよね?」

アスナ「ふとした時にね…それこそミコトさんも追い詰まってる時あるじゃない?」

佐天「まあ、御坂さんは…しょうがないかもしれませんね」

アスナ「しょうがない?」

佐天「…言っていいのかな?」

アスナ「誰にも言わないわよ」

佐天「この際ぶっちゃけちゃいますか!…御坂さんには内緒ですよ?」

アスナ「はいはい、解ってますって」


美琴のことを語り始める佐天


802: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/03/04(月) 00:10:41.57 ID:5ufA7/F30


「御坂さんのリアルの事…知ってますよね?」


「えぇ…学園都市の超能力者の…」


「そうです。学園都市レベル5第3位の御坂美琴さんです」


「前から思ってんだけど、レベル5とか第3位とかって何?」


「レベルは能力の強さの位で5から0まであります。ちなみに私は0です」


「あ…ごめんなさい。なんか余計な事聞いちゃって」


「いいですって。前はコンプレックスに感じてましたけど今は大丈夫です」


「そう…ならいいけど…」


「むしろ気を使われる方が来ますって。で、順位ですけどレベル5の中にも強さの順位がありまして、なんでも第1位は化け物クラスとか聞きますね」


「へぇー、なんか学園都市でもなかなか難しいのね」


「まあ、私は学園都市に行ってまだ1年たってませんけどね」


「じゃあミコトさんは?」


「結構前からいたようですね。それこそレベル1から努力してレベル5になったぐらいですからね」


「じゃあルイさんも努力したら…」


「それが、レベル0からレベル1になるのはほぼ確実に無理らしくって…」


「あっ、ごめんなさい…その…学園都市に入ったら誰でも超能力出来る様になるのかなと思って」


「普通思いますよねー。私もその口でしたから…で入って診断したらレベル0って凹みますよー…」


「…」


「でまあ軽く腐っていろいろあったんですけどね」


「そう…」

803: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/03/04(月) 00:11:42.68 ID:5ufA7/F30



「…あー脱線しすぎましたね。御坂さんの話に戻りますね」


「…ごめんね、辛いこと話させちゃって」


「いいですって。前は前、今は今ですから」


「強いのね…」


「いえ、空元気かもしれませんよ?」


「ふふ・・」


「で、御坂さん何ですけど。まあ、解りやすいようにプライドが高くって」


「それは何となく解るわね」


「それに御坂さん私達よりも1つ上なので私や初春を守りたいって思ってるんですよ」


(私より1つ下だったんだ…)


「…いい先輩ね」


「もちろん!で、このSAOに囚われるじゃないですか。多分1番焦ったの御坂さんですよ?」


「どうして?」


「だってここでは自慢の能力使えないんですよ?私達と合流した時はいつも通りの感じでしたけど内心相当焦ってたと思います」


「…」


「だからかどうか解りませんが『はじまりの町』を出てからものすごい勢いでレベルを上げて行きましたね」


「…」


「でもほら…上条さんとか浜面さん、土御門さんや私…自分で言うのもあれですけど、結構レベル高い方じゃないですか?」


「そうね」


「だから少しでも差が縮まるとすぐにレベル上げするんですよ。結構無茶な方法で」


「…」


「だから私達も気を使おうかなーって思ったんですけど」


『気を遣ったら御坂に失礼だろ』


「って上条さんが言ったので…まあ私もそうだなって納得しましたからね」


「何で?」

804: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/03/04(月) 00:12:37.53 ID:5ufA7/F30
「だって御坂さんは全力で努力して学園都市のトップに上り詰めた人ですよ?
私達が手を抜いてトップになるだなんて御坂さん自身が1番認めませんよ!」


「そうなんだ…」


(ってか、カミジョウ君そっちが解るなら何であっちは解らないのよ?)


「だから私も努力して今のポジションに居るんです!…リアルだと考えられませんでしたよ、私がトップ集団に居るなんて…」


「…」


「でも…御坂さん、まだ満足してないみたいで。何て例えたらいいのかな~…」


「テストで成績が落ちるのがいや。みたいな?」


「そうそれ!まさにそれです!」


(なんか…私みたい…)


「だから、昼間私達とお茶したりしても夜になると必ずどこかにレベル上げに行くんですよね。あんま寝てないんじゃないですか?」


(本当に…私だ…)


「でも…本当に無茶しないでほしいですね」

805: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/03/04(月) 00:13:42.12 ID:5ufA7/F30

「後輩として?」


「それもありますけど…1番は友達としてですね。だから私も強くなりますよ」


「守りたいから?」


「ええ。守られるよりも、守れるなら守りたいです!今はそれができますからね」


「強いのね…はぁ~あ、ミコトさん羨ましーなー」


「羨ましい?」


「だって…あなたみたいに先輩思いの後輩がいて…恋もしてるし」


「恋した相手はあれですけどね…ちなみにもっとすごい後輩も居ますよ?」


「どんな?」ウキウキ


「えー御坂さんのルームメイトで」


「うんうん」


「御坂さんをスッゴク心酔してまして、そのー…一歩間違えれば犯罪的な」


「犯罪?」


「ぶっちゃけ、知り合いじゃなかったら通報してます」


「何それ怖い」


「それから…」




他にもルイさんからいろいろ聞いた。
学園都市での何時もの日常、クッキーを作りにルイさんの家に来たこと、ちょっと子供趣味なとこ。
意外と危ない目に巻き込まれてること、まさかあの戦争でロシアまで行ってミサイルの発射を阻止したこと。
私と似てるようで似てない所もあった、特に後半のアクティブさは私には真似できない。
やっぱりこの人たちがどこか余裕があるのは経験なんだろうと思った。余裕か…



佐天「はぁー喋りましたね!?」


アスナ「本当にね」

806: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/03/04(月) 00:15:24.20 ID:5ufA7/F30
佐天「でも、アスナさんのことあまり聞けなかったなー」

アスナ「そう?」

佐天「ま、それは今度初春や御坂さんを巻き込んで」

アスナ「そうね」

佐天「いやー初春がいたら誘導尋問でいろいろ聞けるだろうな~」

アスナ「誘導尋問って…」

佐天「たとえば…好きな人とか?」

アスナ「御生憎。居ませんよそんな人」

佐天「えー、キリトさんとかお似合いだと思ったんですけど…」

アスナ「キリト君?……ないない、ぜーったいに無い!!//」

佐天「顔赤くなってますよ?」

アスナ「なっ!?//」

佐天「ふむ、これは今度の女子会の酒の肴は見つかりましたな」ニヤリ

アスナ「ちょっ、ちょっと~//」



平和な会話。しかし、それはある音で終わる








「カアアアアアンンーーーーーーーーーーーー!!!」


アスナ・佐天「「!?」」



807: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/03/04(月) 00:18:28.92 ID:5ufA7/F30
森に響き渡る金属音。剣や武器などの音ではない、これは


アスナ「デュエル?」


そう、これはプレイヤー同士の対決の時に使われる《デュエル》開始のゴング。
しかし、この近くで《デュエル》をする者など


佐天「もしかして上条さん達!?」


確かに、彼らは先ほどまで筋トレ対決を行っていた。
だが結局結果が出ないので有耶無耶で終わってしまったが、もしかしてリベンジなのか?


アスナ「まさか…流石にそこまでお馬鹿ではないでしょ?」

佐天「でも、この近くで…ってかこの場所他のプレイヤーが知ってると思いますか?」

アスナ「それもそうね…」

佐天「取り合えず戻りませんか?」

アスナ「ええ!!」

808: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/03/04(月) 00:20:00.23 ID:5ufA7/F30



元の泉に戻る


佐天「あれ?」


上条「ぐおおおおおおおおおおおおおおおおお」


そこに居るのは先ほどと変わらない姿でいびきをかいて豪快に寝てる上条の姿だけだった


佐天「聞き間違いだったのかな?」

アスナ「・・・」 


確かに《デュエル》は2人居ないと出来ないもの、ここに上条が寝てるってことはまず彼ではない。とすると


アスナ「…ねぇ?」

佐天「はい!?」

アスナ「ハマーさんは?」

佐天「あれ?そういえば…」


確かに浜面の姿が見えない。
彼が《デュエル》をしてるのか?しかし先ほど佐天が述べた通りこの場所を知ってるのは彼女らと木の上に居る2人だけだ。
だとすると…


アスナ「嫌な予感がするわ…」

佐天「同感です」

アスナ「とりあえずこの付近を探しましょ」

佐天「解りました、私こっちの方に行くんで。あ!上条さん起こしてくださいね」タッ!!

アスナ「解った…カミジョウくん、カミジョウ君!!」ユッサユッサ

上条「ふご?」

アスナ「起きて。大変なの―――」

809: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/03/04(月) 00:21:42.87 ID:5ufA7/F30












「ったく。さっきのゴング。何とかなんなかった、のかよ?」


「俺に言うなよ?仕方ないだろ!?」ザックザック


「それに、時間かかりすぎ、だろ!早くしねぇと、誰か、着ちまうぞ?」


「大丈夫、もう1人もぐっすりさ」ザックザック


「御託はいいから。もうHPはレッドだ早く片付けろ」


「へい、ヘッド」ザックザック


浜面「がああーーぐおおーー」グサ、グサ


何が起きてるのか?
フードを被った3人組に囲まれながらも熟睡している浜面、その3人のうちの小さい奴に先ほどから切り刻まれてるのだ。
SAOでは疲労感が無いように痛覚もない、なので熟睡してる時こうやって攻撃されても気づきはしない。
そして浜面のHPはレッド


「これで、最後ッ!!」ブン!!


止めの1撃を大きく振り下すチビ。此処までか浜面!?


「てやあああああああああああああああああああああああ!!!」フォン!!


「うお!?」


「っく!?」


「…」


いきなり飛んできて地面に突き刺さったランスを三者三様に避ける3人


佐天「何してるんですか!あなた達は!?」ズボ


走ってきて地面に突き刺さったランスを抜き大声で威嚇する佐天

810: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/03/04(月) 00:25:42.36 ID:5ufA7/F30
「…おい、チビ」

「なんだよ?」

「野郎2人、じゃなかったのかよ?」

「…俺が見た時はいなかった」

「ふざけんな!?めんどくせえ、ことに。なっちまった、じゃねぇかよ!?」

「仕方ねぇだろ!!いなかったんだからよ!?」

「…まあいい。小娘1人位レベルが高かろうが我ら3人の相手ではない」

「それもそうだあ」シャキ

佐天「っく!」チャキ


先程の小さいのが武器を構える、それに答える様に構える佐天。
確かにあのリーダー格の男が言った通り分が悪い


佐天(どうする佐天涙子!?このままだと…やばい!!)


「動揺しすぎ、だよ、御嬢さん?」ヒュン!!


気付くとすぐ近くまで1人来てる。
フードからは不自然に赤い目と髪が見える、おそらくカスタマイズしたのだろう


佐天「ってやあああ!!」ブオン!!


慌てて自分のランス《ディダス・ストライク》を大振りする彼女


「ニィ」スッ


佐天「!?」


811: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/03/04(月) 00:27:04.65 ID:5ufA7/F30

攻撃が当たる直前で下がる


佐天(何で!?スキルは発動したらキャンセルできないんじゃ…!?)


そう、彼女はよく見とくべきだった。
赤いプレイヤーはスキルを発動してない、赤いポンチョに隠れて見えなかっただけだ。
そして、佐天は反射的にスキル《ランス・ラウンド》を発動してしまった。そして


「本命は、こっちだよぉお!!」ズン!!


佐天(やばっ!!)


脇から迫るチビ。彼女はスキルを発動してしまったため数秒動けない、しかしその数秒で1撃を喰らってしまう


「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!」ズドン!!

「ほごろしゃ!!」グシャ


佐天「上条さん!!」


上条「悪い、待たせた」


寸でのところ、上条の体術スキルのとび蹴り《クリムゾン・スマッシュ》がチビに直撃する。
まともに喰らったチビはそのまま1回バウンドし数メートル後ろの木に直撃する


浜面「なんだなんだ!?って俺の体ー!!!それにHPー!!」

812: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/03/04(月) 00:30:00.71 ID:5ufA7/F30
上条「浜面、大丈夫か!?」

アスナ「ハマーさん!2人とも!?」

浜面「何?何がどーなってるの!?」

上条「いいから、とりあえずこれ飲め!」

浜面「飲めって…俺の体…」


浜面は現在、四肢を切断され《部位破壊》状態になってる。
これは時間がたてば治るが、今は自由に動けない


上条「仕方ない、口に突っ込むぞ!」

浜面「もがが!?」ゴクゴク

アスナ「ルイさん!」シャキン

佐天「わかってます!上条さん!!」

上条「なんだ!?」

佐天「早く浜面さんを圏内に!?」


「そうは、させないよ!」ズン!!


上条「!?」


「ひいいいやああああぁぁぁ!!」


キン!!


上条「・・っつ!!」グググ


「両手剣じゃあ、お友達、運べないよねー?」グググ


上条「…って…テメエ…」


813: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/03/04(月) 00:30:40.26 ID:5ufA7/F30
アスナ「カミジョウ君!?」

佐天「上条さん!?」


「よそ見をしてて…良いのかね?」


「「!?」」


気が付くと2人の目の前にリーダー格の男が


アスナ「はあああああ!!」ヒュン!!

佐天「せいやああああ!!」ブン!!


その刹那、アスナの《リニアー》佐天の《スラッシュ》が炸裂する


アスナ(この距離なら)


佐天(外さない!!)


「…ふ」


不敵な含み笑い、そして


「ふん」キン!


「ふん!!」ガシ!!


アスナ「   」


佐天「   」

814: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/03/04(月) 00:34:19.76 ID:5ufA7/F30






ヒュンヒュンヒュン


空中で回るアスナのレイピア《レイピア・ボウ》


男にがっしりと抑えられてる佐天のランス《ディダス・ストライク》




何が起きたか、解らない。ただそれだけを彼女たちの頭を支配する。


スキルは発動した、それは間違いない。
だがその男はアスナのレイピアを己のダガーで上に弾き飛ばし、佐天のランス攻撃を受けたうえでそのままがっしりと掴んでる。
理解できない。確かに、佐天の《スラッシュ》はランス近距離攻撃用のスキルで相手は吹き飛ばないがそれなりにダメージはある。
さらに言えば、アスナの《リニアー》を弾き飛ばすとか常人ではできない。
そう、常人ならば


「どうした?」


佐天「…っは!?」


先に佐天が我に戻る。そして


佐天「っはああああああああああああああ!!」ブン


「!?」バッ!!


彼女はランスを手放すとすぐさま《体術》の回し蹴りを男に繰り出す。
これには慌てたのかランスを手放し直ぐに一定の距離を取る


カラン


ザン!!


佐天のランスが地面に落ちると同時に、アスナのレイピアも地面に刺さる


「ふん。ランサーにしてはなかなか思い切りのいい」

佐天「この私をなめてもらっては困りますよ」

「そのようであるが…そちらのお友達はどうかな?」

アスナ「   」


上の空。
それもそうだ、絶対の自信のあった《リニアー》それがいとも簡単に弾き飛ばされたのだ。
今の彼女は平常心では居られない


佐天「アスナさん!!!」

アスナ「!?」ビク!!

佐天「何ぼーっとしてるんですか!?早くレイピアとって!!」

アスナ「う…うん」スチャ



815: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/03/04(月) 00:34:53.50 ID:5ufA7/F30
佐天に言われレイピアを取り構えるアスナだが


アスナ「」カタカタカタカタ

佐天(剣先が震えてる…無理もない私も内心震えてる)

「…ランサーの少女!」

佐天「!?」

「足が震えておるぞ?」


佐天(うそ!?)

「隙がありすぎだ」クワ!!

佐天「うわあああああああ!!!」ザン!!


そのまま《ランス・ラウンド》を発動するが


「…また、同じミスを」

佐天「!?」


ザアシュウ!!


奴の言った通り、彼女は相手がスキルを発動してるか見極めなかった。
そして男はスキルを喰らう直前、姿勢を低くし攻撃を避ける。そしてそのまま彼女の下腹部に思いっきり攻撃を加える


佐天「っく!?」ガク


攻撃の拍子に姿勢を崩す佐天


「さて、イッツ・ショウ・タイム」ニタァァア


816: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/03/04(月) 00:36:18.96 ID:5ufA7/F30
アスナ「!?ルイさん!!」

「オーッと、おねーちゃんの相手は僕」


後ろから声。それは先ほど上条の攻撃で吹き飛ばされたチビだった。
先ほど上条に喰らった攻撃のダメージは回復している、おそらく回復薬でも飲んだのだろう


アスナ「…子供!?」


フードから見えるその姿は確かに子供だった


アスナ「子供がこんなとこで何してるの!やめなさい!!」

「そっかー…ねえおねえちゃん!こんなこと聞かなかった?」

アスナ「…何よ?」

「あのねー…人を見かけで判断スンナってことをよ!」

アスナ「!?」


いきなり会話のトーンが変わる。その直後、その子供はアスナに跳びかかる

817: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/03/04(月) 00:37:42.78 ID:5ufA7/F30
アスナ「っく!!」スンスンスン!!!


「ぐわあああああああああああああ!!!」


アスナ「っち!!」サン


彼女は素早く反撃する。
レイピアの6連撃、これでもスキルを発動してない分手加減してる。
やはり子供には本気を出せないのか?だがすれ違い様に肩に傷を覆う


アスナ「…いい?次は本気よ!?」

「…ひっかかったあ」ニタァ

アスナ「引っかかったって…!?」


その時、体に異変が起きる。ダメージを受けてないのにHPが減る、そしてHPバー横に髑髏マーク


アスナ「なに…これ…毒?」

「正解ー!その通りだよ!!早く直さないと死んじゃうよ?」

アスナ(毒のナイフだなんて聞いたことも…とにかく今は)

アスナ「」ス


アイテム欄開こうとする。
確か1番上には『ヨラバタイ樹の葉』がある。その効果は『状態異常の回復』早く摂取したいが


「おーっと!!」ザン

アスナ「!?」ギン!!

「させるわけないでしょ!?」グググ

アスナ「…っくぅ!!」グググ

818: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/03/04(月) 00:39:38.40 ID:5ufA7/F30




上条「アスナ!!佐天!!!」

「よそ見してる、暇、あるの!?」グン!!

上条「しまt」


「うおおおおおおおおおおおお!!!」


「ほぐうう!???」ドン!!

赤髪の青年が弾き飛ばされる。
弾き飛ばしたのは


浜面「へっへへ、どうだ俺の頭突きは?」ドヤァ


先程まで動けなかった浜面だった


上条「浜面!?」

浜面「よっ、大将!大丈夫か?」

上条「大丈夫かって…お前、まだ…」


確かに動けるようにはなってる。
だが彼はまだ両手が復活してない


浜面「大丈夫!こんなやつ足だけで十分だ!それよりも早く嬢ちゃん達を!!!」

上条「わかった!!」

浜面「…」

「ふぅ…なめてくれるね、これでも僕は、つyほごぐしゃ!!」ゲシ!!

浜面「わり…喋ってる暇ねーんだ」

819: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/03/04(月) 00:42:10.31 ID:5ufA7/F30






「どーしたのおねーちゃん?顔に余裕がなくなってきてるよ!?」ザン!ザン!!

アスナ「…っく!!」ギン!ギン!!

「ねえ!子供にやられるってどんな気持ち?ねえどんな気持ち!?」ギン!ギン!!


確かに余裕がない、HPも半分切った。反撃しようにもこの子供すばしっこい


アスナ(反撃を仮にしても、すぐに毒のナイフで攻撃される…)キン!!キン!!

「いーじゃん、さっきの事、了承しちゃえば!!」ギン!ギン!!

アスナ「…っく!!」ガン!!ガン!!

「…もういいや…死ね!」ブン!!

「おおおおおおおおおおおおおおおおあああああああああ!!!!」ズン!!

「ぶびゃ!?」ドゴ!!

アスナ「!?…カミジョウ君!?」

上条「大丈夫か?」


彼の両手剣スキル《ブレイド・インパクト》によりチビは吹き飛ぶ


アスナ「あ、ありがとう」ス


隙が出来たのでアスナはアイテム欄をいじり『ヨラバタイ樹の葉』を取り出す


アスナ「パク…にがぃ。…気を付けて、あの子見かけによらず強いよ」

上条「そんなにレベル高いのか!?」

アスナ「…と言うより武器が…毒のナイフ使ってくる」

上条「毒のナイフ?…そんなのって!?」

アスナ「私も初耳よ。…でも、間違いない。じゃなかったらさっきの状態異常説明つかないわ!」


「はああぁーーーあ!!」




820: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/03/04(月) 00:43:15.10 ID:5ufA7/F30
先程ぶっ飛ばしたはずのチビがもう立ってる。
HPはイエローに近いのにまだやるのか!?と2人は心の中で思う


「さっきからそこのツンツン頭のお兄ちゃんには吹っ飛ばされてばかりだね?」

上条「なんなら、次はげんこつでもしようか?」

「それはヤダけど。そう言えばもう1人は心配しなくてもいいの?」

上条・アスナ「「!?」」


そう、先程から佐天の声が聞こえない。
戦闘でもしていれば声の1つや武器の金属音でも聞こえてくるはずだ


「ほら、もうすぐヘッドの芸術作品が出来上がるよ」つ


チビが武器で示す。そこには







「ふむ、そろそろか」


佐天「    」

821: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/03/04(月) 00:44:33.80 ID:5ufA7/F30
まるで何かの歓声を待ちわびてるかの様な発言。
リーダー格の男は佐天の頭を片手で掴み持ち上げてる。
いくらなんでも13歳の少女を片手で持ち上げられるのか?そう思うかもしれない。
SAOだから出来るのか?それも合ってるには合ってる。
ではどういうことか?








答えは無いからである

















佐天の下腹部から下がない


いや…所々足りない


声を出す口の辺りは下顎からバッサリなく、武器を使う腕も片方は手首から、もう一方は肩からない


822: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/03/04(月) 00:45:45.62 ID:5ufA7/F30
上条「佐天!!」

アスナ「ひ、ひどい」

上条「くっそおお!!」ダッ!!

「おっと!」シュン!

上条「おっ!?」ブス


チビが投げた針が上条に刺さる


「ヘッドのところには行かせないよ?」

上条「…ごっ!!…あっ!!」

「そこでしびれていな」

アスナ「カミジョウ君!!」

「自分の心配しなよ」ギン!!

アスナ「っく!!」

823: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/03/04(月) 00:46:42.28 ID:5ufA7/F30
「どうだ、スキルを使わなくても四肢の切断など容易いものだ」


佐天(…ひ…一思いに…)


「…一思いにやれとでも思っているのであろう」


佐天「…」


「だが私の作品はまだ完成ではない。次は君の目を」


佐天(もう…ゆるして…何で…)


何で?    
彼女の頭の中はそれが占める



824: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/03/04(月) 00:48:28.27 ID:5ufA7/F30
男が「イッツ・ショウ・タイム」と言ってからまず彼女は顎を吹き飛ばされた。
普通なら激痛で立てない、だがここはSAO、痛覚は存在しない。
過去にもモンスターと戦闘中に耳を切断したことのある彼女、その当時はパニックになったが時間が経てば治ることを知り安心した。
それ以降は対して驚かなくなった、また時間が経てば大丈夫だと。
なので彼女は再び立ち上がりそのまま戦闘を継続した


だが彼女はもっと考えるべきだった。
前回耳を切断したのがモンスターだったことを、今回の相手がプレイヤー、すなわち人間だと言うことを。
しかし、顎を切断され頭に血が上った彼女にそんな余裕は無かった


佐天「…!!」ブン!!


彼女はランス突き系スキル《ピアス・ランス》を発動する


「!?」ブスリ!!


見事に佐天の『ディダス・ストライク』は男の脇腹に命中する。が


「…ニイィィ」


佐天「!?」ゾク!?


不敵に笑みを浮かべる。
その笑顔は学園都市で出くわすようなスキルアウトのレベルではに比ならないほど怖く、何より生理的嫌悪すら感じる



ザシュウウウウウ


・・・ゴト


何かが落ちた。彼女がそう感じた後HPが3割ぐらい減った。気づけば彼女の肩から下の腕が消えてる


佐天(…嘘!?)

825: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/03/04(月) 00:50:08.80 ID:5ufA7/F30
「ついでにこちらもいただいとくか」ザン!!


まるで貰えるから貰っとくか、みたいな言い方で彼女のもう片方の腕の手首を切り落とした。
手首はそのまま地面に落ち粒子となって消える


佐天(…嘘?…嘘でしょ!?)グラッ


このまま殺されるのではと思い腰の力が抜ける佐天


「おっと!」ガシ


腰が崩れそうになった時男に頭を掴まれる。
ここまで来ると逆に冷静になってくる


佐天(なによ…殺すなら早く殺しなさい…)

「ふん、早く殺せと言わんばかりの目つきだな」

佐天(そうよ…)

「なら、そのリクエストには答えられないな」ザン

佐天(…!?)バタ


今度は彼女の下腹部の傷口から下が切り落とされる。
だが、彼女は暴れたり絶叫したりしない。
それはあまりにも現実離れしすぎて何処か他人事のようになってる


佐天(本当に…これ…私の体なの?…)

「さ、軽くなったことだし。作品を作りを始めようではないか」


それからはゆっくりとスキルを使わずダガーで切り刻まれた

826: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/03/04(月) 00:51:11.79 ID:5ufA7/F30
彼女はアンコウのつるし切りを思い出した。
やぐらにつるされ、ゆっくりと捌かれる様を。
自分の体も頭を掴まれゆっくりと切られては肉片のポリゴンが落ちる、そして地面に落ちると消える。
HPはジワジワと確実に減ってく、痛みは無いが切られる異物感はある。ヨクワカラナイカンカク




そして時は戻り


グリ


「あっけない…」


佐天(何も…見えない…)


目玉を穿られ視界が無くなる。彼女には闇しか見えない


佐天(このまま死んじゃうのかな……初春ぅーごめんね先に死んじゃって……白井さーんもう一目会いたかったよー……御坂さーん……)


彼女の残り僅かなHP。それだけしか見えない状況。だが


ドサ!


佐天「!?」


体が落ちた感覚。地面に落ちたのだろうか?


827: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/03/04(月) 00:52:33.78 ID:5ufA7/F30





佐天(やっと止めね…さっさt)


「ヒール・ルイ!!」


佐天「!?」


突然、はっきりした声で言われる言葉。女だ、しかも聞き覚えのある


佐天(何?何が起こったの!?)


キン!!キン!!ザシュゥ!!


「ヌアッ!!」


男の悲鳴そして戦闘と思われる金属音、何が起こったのか彼女には解らない。
更に彼女自身にも変化が起きる


佐天(HPが…全回復した!?)


全回復。薬の様にジワジワ回復するのではなく一気に回復する、もちろんこんなこと初めてだ。
更に体の感覚が戻ってくる、腕、肩、下半身、顎、そして視界も回復する


佐天「……っあ!?」


素っ頓狂な声を出す。まだ横になってる状態だがしっかりと視界も声もはっきりする、腕を見ても自分のだとはっきりわかる


佐天(何がおきたの…)ムクリ


起き上がろうとすると1人のプレイヤーが写る。
細身で自分たちとそう変わらない少女、肩で切りそろえられたシャンパンゴールドの髪、そして右手に持ってる『白金の剣』


佐天「御坂…さん…?」














御坂「あんたは…私の友達に…なにしてんだあああああああああああああああああ!!!!!」


美琴が男に吠える。佐天の声が聞こえたか定かではない、ただ彼女の咆哮は間違えなく友をひどい目にあわせた男に対するものだ


847: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/03/10(日) 19:13:42.64 ID:kWd8NgAU0



少し遡り


ヨラバタイ樹頂上付近


御坂「うおらああああああああああああああああああああ!!!」ガサガサ


キリト「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」ゴソゴソ


彼女達は『ヨラバタイ樹』の頂上まであと数メートルのとこまで来てる。
2人は先の8合目付近で休憩してからここまでノンストップで来ている


御坂(あと少しで)


キリト(『白金の剣』が!!)


御坂「ああああああああああああああああ!!!!!」ガサガサ


キリト「おおおおおおおおおおおおおおお!!!」ゴソゴソ



そして…



848: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/03/10(日) 19:15:41.59 ID:kWd8NgAU0



御坂・キリト「取った!!」」バン!!


同時に宝箱に手を付ける。
SAOでは宝箱の扱いは最初に触った者の物のなる、なので最初に触った者勝ちなのだ


キリト「どっちだ!?」ゼエゼエ

御坂「私よ!!」ハアハア

キリト「俺だろ!!…直ぐにウィンドウが出るはずだから待とうぜ?な」

御坂「…解ったわよ」


「ようこそ。『白金の剣』を継し者よ」


御坂「わ!?」

キリト「喋るのかよ!?」


「よくぞここまで参った。そなたには十分な素質があるようだ」


御坂「これって、ゲームによくあるアレ?」

キリト「だな」

御坂「うへ、めんどくさ…早読みのスキルとかないのかしら?」

キリト「おいおい、雰囲気を楽しもうぜ?」

御坂「私は基本こうゆうのすっ飛ばす派だから」

キリト「えー…」


「さあ、『白金の剣』と宝物を2つ捧げよう」パカ


御坂「!?」

キリト「くるぞ」


宝箱が開くと同時にウィンドウが開く。
そこには『白金の剣』と『回復結晶』『転移結晶』 が記されてる。




これを手にしたのは

849: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/03/10(日) 19:18:01.13 ID:kWd8NgAU0





御坂「うそ!?私?」

キリト「まじか!?」


美琴であった。コンマ数秒の差で彼女の方が速く宝箱の触ったのだ


御坂「やっーーーーたあああああああああああああ!!!」

キリト「ウソだろ…」ヘナヘナ

御坂「へへーん!!」ドヤァ

キリト「…」

御坂「さっすが私ね!こうでなくっちゃ!」

キリト「…」

御坂「あれーー?あまりのショックに声が出なくなっちゃったぁ?」

キリト「…」

御坂「そーよねー、あれだけ頑張ってたもんねー」

キリト「…」

御坂「…ちょっと、いくらなんでも凹み過ぎでしょ!?」

キリト「だってよぉ…」orz

御坂「はぁ…とりあえず剣見るわよ?」

キリト「おう…」

御坂「ったく」ス

850: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/03/10(日) 19:20:50.85 ID:kWd8NgAU0


美琴がウィンドウを操作する。
アイテム欄の1番上には確かに『白金の剣』と『回復結晶』『転移結晶』が並んでる、彼女はそれを実体化させる


御坂「おぉぉ」

キリト「すげぇ…」


彼女の左手にはピンクと水色の結晶が、右手にはオーソドックスなデザインの白い剣が実体化される


キリト「これが『白金の剣』か…」

御坂「ねぇ、こっちの2つは?」

キリト「ん?あぁ、それは結晶で結構高いアイテムなんだぜ」

御坂「ふーん。で、どうやって使うの?」

キリト「その赤いのだったら手に持って「ヒール・○○」って言うだけで大丈夫だよ」ピ!


喋りながら『白金の剣』を調べるキリト。
彼は剣に触り情報ウィンドウを出す


キリト「…っ!!まじかよ!?」

御坂「?どうしたの!?」

キリト「これ見てみろよ!?」

御坂「?どれどれ……なにこれ?」

キリト「な!?」

御坂「ちょっと…この数値って!?」

キリト「あぁ、どう考えても現時点での平均じゃねーよ」

御坂「ちょ…えっ…だってこれまだ当分上じゃないと」

キリト「10層でも見たことない数値だぜ」

御坂「でも、装備できてるわよ?」

キリト「だから不思議なんだよ…」

御坂「…ま、いっか。とりあえず白金の剣は手に入ったんだし」

キリト「おい!?」

御坂「ってか、どうやって帰る?」

キリト「どうやってって…どうしましょ?」

851: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/03/10(日) 19:22:59.28 ID:kWd8NgAU0

無理もない。
ここは『ヨラバタイ樹』の頂上、あと数メートルで上層階の天井に届いてしまう距離だ


キリト「…飛び降りるか?」

御坂「却下!無理。死ぬわよ?」

キリト「いや、やってみないと解らんよ?」

御坂「私はあんたと心中するつもりは無いわよ…この『転移結晶』は?」

キリト「それ1人用なんだよ」

御坂「そう、じゃあこれは無しね」

キリト「?ミコトこそ、それ使って帰るのはどうだ?」

御坂「あんたはどうすんのよ?」

キリト「んー…何とかして下りるよ」

御坂「それじゃあこの案も無しね。…ってか、これあげるわよ」

キリト「『転移結晶』を!?…いいのか?」

御坂「さっきのご飯のお礼よ!いらないってなら別にいいけど」

キリト「いえ、遠慮なくもらっときます」

御坂「結局、どうやってk」


「心配しなくても帰り道はこの中に…」


御坂「へ?」

キリト「この中?宝箱のことか!?」


箱を除くと確かに奥まで続いてる様子はある。
ここに入れと言うことか


キリト(どこまで続いてるんだ?これ)

御坂「よし!」

キリト「?」

御坂「よっと!!」ヒュン!!

キリト「って、飛び込むの早すぎだろおぉぉぉぉぉぉぉ!!!」


852: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/03/10(日) 19:24:17.68 ID:kWd8NgAU0
御坂「いやほおおおおおおおおおおおおおおおお」ビュー


宝箱の中は下まで続く光の滑り台だった。
結構なスピードが出てるが彼女はどちらかと言うと楽しんでる様だ


御坂(子供の時以来滑り台って。たっのし~!!)


いや、どう見ても子供である


「・・・・ぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああああああああああああああ」

御坂「!?」

キリト「止めてくれ~」ビュ~

御坂「へ!?」


それは頭を下にし腹で滑ってくるキリトの姿があった


キリト「ミスった!ミコトー止めてくれ~~」

御坂「無茶言うな!自分で何とかしろー!!」

キリト「コントロールが効かないー!ミコト~!!」

御坂「こっちくんな~!!」

キリト「ああああああああああああ」

御坂「いやあああああああああああああ」


ドゴン!


御坂「わああああああああ!!」グルグル

キリト「うおおおおおおおおおおおおおお!!」グルグル


ぶつかった衝撃でキリトと美琴はまるで漫画の様に猛スピードで転がっていくのだった


853: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/03/10(日) 19:26:19.18 ID:kWd8NgAU0



ヨラバタイ樹・根元の泉


「「ぁぁぁぁぁぁぁあああああああ」」シュポン!


ヒュー


御坂「ど!」ボチャン!

キリト「ら!?」ボチャン!


光の滑り台からはじき出された2人は樹液の泉に放り出された。
これで少しはHP回復できるので願ったりかなったりだ


御坂「何よコレ?」

キリト「俺に聞くなよ…」

御坂「…まあ、これでよかったのよね?」

キリト「そうだな…そうだ!ミコト」

御坂「ん?」

キリト「『白金の剣』ゲットおめでとう」

御坂「へ!?あ…ありがとぅ//」

キリト「よし。帰えってそれ自慢しようぜ」

御坂「う、うん//…あれ?ってか、みんなは?」

キリト「帰ったんじゃないか?流石に夜だし」

御坂「そんなはずh」


ドゴオンンンンンン!!!


キリト・御坂「「!?」」

854: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/03/10(日) 19:33:24.00 ID:kWd8NgAU0

突然大きな音が森に響く。何かの衝撃音、何かわからないがこれは


キリト「戦闘?」

御坂「でも、今の音は…」

キリト「何か強攻撃の衝撃音、それを使えるのは」

御坂「あのバカ」


「てんめええええええええええええええええ」


その馬鹿、上条の声が聞こえたが不自然な途切れ方をした


キリト「何かおかしい。とりあえず様子を見に行こう!」

御坂「うん!!」


855: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/03/10(日) 19:37:07.12 ID:kWd8NgAU0



音源の方に来た、そこで2は見る。



両腕をなくし足だけで男と戦う浜面


小さいのに押され気味になってるアスナ


少し離れた場所でひれ伏せてる上条。様子を見るにしびれてる様だ


そして一番目を引くのは、男に片手で持ち上げられ下半身がない黒髪ロングのプレイヤー。
それに該当するのは


御坂「…」

キリト「おい、あれってルイじゃ」

御坂「」ヒュン!!

キリト「って、ミコト!!」

アスナ「きゃああ!!」

キリト「…っくっそおおお」ダッ!!


856: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/03/10(日) 19:43:08.00 ID:kWd8NgAU0




「さて、そろそろ」

佐天(もう…いや)


ザン!!


「!?」


ドサ


佐天(!?)

御坂「…」

「……っ!」バッ!!


距離を取る男。
突然現れ美琴に佐天を掴んでた腕を切断され、状況を掴めてなかった


(なんだあいつは?突然…いや、凄まじいスピードだったのだろう。にしてもあの攻撃力)

御坂「ヒール・ルイ!」(これで大丈夫よね!?)

(体力が全回復した…『回復結晶』だと…?)

御坂「」キッ

(何者なんだ…!?)

御坂「」ビュウ!!

(早い!!)


キィン!!


(防御がやっとだと!?)グググ

御坂「」グググ

(こうなったら、少し距離を置いて…)

御坂「」ギン!!

(ダガーをはじき上げただと!?)

御坂「」ブン!!


ザシュウウウ!!


「ヌァ!」


御坂「……たは」


「!?」

御坂「あんたは…」

佐天「…御坂…さん?」

御坂「あんたは…私の友達に…なにしとんじゃああああああああああああああああ!!!」


少女が吠えた。
それは佐天をあんな姿にしたこいつを心の底から許せないから

857: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/03/10(日) 19:46:59.87 ID:kWd8NgAU0




アスナ「ミコトさん!?」

「よそ見したらだめだよ!?」ビュン!!

アスナ「しま!?」

「ぉぉぉぉぉぉおおおおおおおおおおおおおお!!!」ズン!!

「ぎにゃあ!!」ドギョン!!

「ふう…わり、遅くなった」


アスナ「キリト君!?」

キリト「大丈夫か!?」

アスナ「大丈夫じゃないわよ…来るの遅い!!」

キリト「へへっ!……ゴソゴソ、アスナ!」

アスナ「なによ!?」

キリト「これをカミジョウに」

アスナ「これって?」

キリト「『ヨラバタイ樹の葉』だ、これであいつのしびれも取れる。早く!!」

アスナ「わかった!!」タッ

「逃がさないよ!!」

キリト「おっと!!」キッ!!

「!?」

キリト「悪いな、俺の相手をしてもらうぜ」キリ

「今度はおにーちゃんが相手!?」

キリト「そうだ、ちなみに俺は年下でも手加減できないからな…」


今まで兄弟に接するように優しい感じで話しかけてたが、次の瞬間ドスの利いた声で言う


キリト「覚悟しろよ、レッド!!」



858: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/03/10(日) 19:50:15.11 ID:kWd8NgAU0


アスナ「カミジョウ君!!これ」

上条「ムグムグ…にがっ!!…サンキュー」

アスナ「いいえ…」


彼女はキリト戦闘を見る


キリト「うおおおおお!!」シュンシュン

「ひっ…ひっ!!」


恐ろしく素早い連続攻撃で相手を押す。
それも全攻撃が相手に命中し確実に相手のHPを減らす


上条「御坂…」

御坂「はあああああああああああああああああああああああああ!!」ブン!ブン!!

「…!…っく!!」


彼も美琴の攻撃を見る。
キリトほどでもないが素早い大振りの攻撃、ほぼ当たらないことが多いが当たるとHPをごっそり持っていく


アスナ「…っは!?カミジョウ君!ルイさんが!」

上条「は!?そうだ、佐天!!」ダッ!!


859: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/03/10(日) 19:56:21.63 ID:kWd8NgAU0
佐天「…」


上条「佐天―!!」

アスナ「ルイさーん!!」


佐天「…」


上条「佐天!!」ガシ!!

佐天「…」グラグラ

アスナ「ルイさん!!」

佐天「…」


放心状態。
考えてみれば当然だ、中学生の少女が仮想の世界とは言え全身を切り刻まれたのだ。
パニックや発狂してない分まだいいが、それでも精神的ダメージはデカい。
すでに体は再生しているが、先ほどまでの記憶はまだ鮮明に覚えているだろう。
むしろ一生モノのトラウマになってもおかしくない、だがここで放心状態では分が悪い


アスナ「…っく」


パアン!!


乾いた音が響く。
アスナが佐天に喝のビンタを入れたのだ、内心では彼女もやりたくないと思ってるが現状ではこれが最善だ


佐天「……アスナ…さん?」


アスナ「佐天さん!!放心するのも解るし怖かったのも解る!でもね、今それやられるとあなた自身も危ないけど私達も困るの!!
つらいのは解るけど今はもうひと踏ん張りしてちょうだい!!わかった!?」


佐天「…はぃ」


860: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/03/10(日) 20:03:02.51 ID:kWd8NgAU0
アスナ「じゃあ、立って!ここだと危険だから《圏内》までもどるわよ!」

佐天「はぃ…アスナさん?」

アスナ「なに?」

佐天「その…手、貸してくれません?足に力入んなくって…」

アスナ「…いいわよ…ごめんね、ひっぱたいちゃって」

佐天「いえ、アスナさんの言ってること正論でしたから…名前」

アスナ「へ?」

佐天「名前。呼んでくれましたね」

アスナ「あ、その。これは喝入れるのにこっちの方がいいかなーと思ってそれで…間違ってた?」

佐天「間違ってませんよ、ただ佐天は苗字ですけどね」

アスナ「そうなんだ…ねえほん」

上条「悪い、その件は《圏内》に入ってからにしてくれ」

アスナ「え!?えぇ…」

佐天「上条はどうするんですか?」

上条「…御坂の方に行ってくる」

アスナ「ミコトさん?でも…」



御坂「はあああああああああああああああああああああああああ!!!」ザン!!


「うぐおああああああああああ」ザシュウ!!



アスナ「大丈夫そうですけど…相手もHPほとんどないし」

上条「だからだよ」

アスナ「だから?」

上条「やりすぎだ…」ダッ!!

アスナ「カミジョウ君!?」

佐天「行っちゃった…」

アスナ「ハッ!?キリト君!?」



キリト「セイヤっと!」ブン!!


「ぐわああ!!」



佐天「大丈夫そうですね」

アスナ「はりゃ?」




861: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/03/10(日) 20:06:28.11 ID:kWd8NgAU0



「ぐわあ」

キリト「どうした?そんなもんか?」

「くっそ!(なんだよコイツ、強いってもんじゃねえ!!ヘッドより強いんじゃないか?)」

キリト「投降するなら今の内だぜ!?」

「…っ誰がするか!?」

キリト「そうか?お前らのリーダなんかHPレッドだぜ?」


ドゴン!!


「!?」


キリトに言われた後の轟音にリーダーの方を見る。
確かにさっきまで9割近くあったHPがすでに1割もない、キリトと美琴が来てから5分も経ってない。
鬼神のような強さに夢じゃないのかと疑いたくなる


(不味い…このままだと)

キリト「…どうする!?」

862: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/03/10(日) 20:10:39.69 ID:kWd8NgAU0

「…っく!!」

御坂「どお?一方的にやられる怖さ?」

「…」

御坂「怖いでしょうね?でもね、佐天さんの方がずっと怖かったと思うの」

「…」

御坂「返す言葉もないのかしら?」

「…いい目だ」

御坂「は!?」

「いい目だ。私やあいつらと同じ」

御坂「あんた達犯罪者と同じにしないでくんない!?」

「同じだよ。その目つきは我らと変わらない人殺しの目」

御坂「そんなことない!!!」

「だが、現に今私を殺そうとしている」

御坂「…違う!!」

「違くない。…しかし、違いもあるな」

御坂「何よ?」

「例えば、このように言葉に踊らされる様とか…なっ!!!」ダッ!!


言葉を言い終えると同時に男は美琴に突っ込んでくる。
少しの隙でも見つけたのだろうか?


863: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/03/10(日) 20:11:33.59 ID:kWd8NgAU0

「うをら!!」ゴッ!!


「!」ドン!!


しかし、その反撃はある者の攻撃により失敗する。


御坂「あんた!?」

上条「御坂!やりすぎだ」

御坂「やりすぎって…佐天さん見たでしょ!?あんな風にされてあんたは黙ってられるの!?」

上条「違う!確かにあれは俺も許せない!!けど、ここでコイツを殺したらこいつらと同じだぞ!?」

御坂「…」

「たたた……どうやら、とんでもないお人よしのようだなその男は」

上条「なんだと!?」

「興醒めだ」

上条「まて!!お前らはなんでこんなことを!?」

「…それは私に質問してるのか?」

上条「そうだ!!」

「ハア―…私は君の様な偽善者は嫌いでね、問いに答えるつもりはないよ」ス


男は懐から玉のようなものを取り出す。
するとこの動きにチビが反応する


「!ザザ!!」

「!?」


すると2人も懐から玉を取り出すと


「「「ふん!!」」」ボン!!


「「「「「「!?」」」」」」

864: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/03/10(日) 20:14:23.80 ID:kWd8NgAU0


その球を勢いよく地面に叩きつける、すると煙が発生し視界がゼロになる


上条「煙幕!?」

御坂「っく!何も見えない!!」

浜面「おい!大丈夫か!?」

アスナ「私と佐天さんは大丈夫」

佐天「アスナさんの隣に居ます!」

キリト「みんな!!気を抜くなよ!!」


互いに声を掛けながら警戒する6人。やがて煙が晴れてくると


キリト「…いない?」

浜面「…隠れたのか?」


そこにはあの3人の姿は無かった。
隠れたと言うより後退したの方が正しいであろう


御坂「逃げられた…」

上条「ちくしょう!!」ダッ

アスナ「待って!!」

上条「なんだよ!?」


追いかけようとする上条だがアスナに止められる。
その理由は彼女の隣に居る佐天。3人がいなくなり戦闘が終わったので力が抜けたのかへたり落ちてる。
そしてその眼には


佐天「…っひ…っひ」ポロポロ


涙。先ほどまでアスナの喝で何とか立ってはいたが所詮は中学生、限界が来たのだろう。
泣いてる佐天の元に美琴が近づく


御坂「佐天さん…」

佐天「御坂さ~ん」ダキ


美琴に抱き着く佐天。彼女の胸で声を殺して泣いてる


浜面「…大将。気持ちはわかるけどここはいったん町に戻ろう。お嬢が限界だ」

キリト「俺もその方がいいと思う。俺達はあまりにも疲れてるしここで追いかけたらそれこそ奴らの思うつぼだ」

上条「…わかった」


彼らは『セコイア』に戻ることにした


上条「ソードアート・オンラインか、やってみたいな」
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1347675608/)