7: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/03/10(日) 22:11:34.26 ID:kWd8NgAU0


セコイア・上条達の部屋


部屋に着くなり出迎えてくれた初春に佐天は抱き着いた


初春「佐天さん…」

佐天「怖かった…怖かったよ…」ヒック!ヒック!

御坂「…」

滝壺「はまづら…」

浜面「よ!…その、無事だぜ?」

滝壺「…」ダキ


滝壺も浜面を見ると無言で抱き着く。
一応事の顛末を簡単にメッセージで送っといたのだ。
そして残りの4人も中に入る、いつもと違い皆口が開かない。
しばらくしアルゴと土御門が帰ってくる、彼らは攻略会議に出てた


土御門「これはしゃーないのかにゃ?」

アルゴ「だろーナ」


気の利いたジョークも言える空気ではない


関連作品
上条「ソードアート・オンラインか、やってみたいな」 その1

004



8: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/03/10(日) 22:13:08.76 ID:kWd8NgAU0



キリト「とりあえず場所移動しないか?」

上条「確かに…この雰囲気だと話しにくいな」

御坂「だったらこの宿の下の店は?」

土御門「それはいいにゃ~」

浜面「わり。俺は後で教えてくれないか?」

滝壺「」ギュー

初春「私と佐天さんも後で…」

佐天「」ギュ~

土御門「解った、後で話そう。で下の店でいいのかにゃ~?」

アスナ「ごめんなさい。私もちょっと後で…」

御坂「アスナさん?」

アスナ「1人になりたいの…大丈夫、町から出ないから」タッ

御坂「あっ…」

キリト「アスナもなんかあったのか?」

上条「とくに何もなかったと思うけど…」



結局、下の店に行くのは上条、キリト、美琴に土御門とアルゴだった


9: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/03/10(日) 22:15:59.06 ID:kWd8NgAU0



セコイア・パブ


上条たちの泊まってる部屋の下には『パブ』がある。
軽い軽食や飲み物などを出すイギリスを代表する酒場だ。
アイングラッドではパブはファーストフード的なポジションで、値段も安くで多くのプレイヤーが利用する。
しかし、まじめな話をするにはちと向いてない気もするが


土御門「ま、下手に静かな店だとだんまりだろうから、あえてここにさせてもらったぜい」

御坂「確かに、静かだと何も喋れそうにないからこの方が落ち着くわ」

上条「キリト達は?」

土御門「アルゴと飯注文に行ったぜい」

キリト「おまたせー」コト

アルゴ「ほいヨー」コト

御坂「…何これ?」

キリト「『サイダー』だってさ。少し甘いの飲みたかったからよ…」

アルゴ「オレッチは炭酸駄目だからジュースナ」

土御門「とりあえづ乾杯するか?」

上条「そうだな…」


「「「「「かんぱーい!!」」」」」



キリト「ゴクゴク…へえ、意外とおいしいな」

上条「あんま甘くないんだな」

御坂「リンゴの風味かなこれ?」

土御門「どこかで飲んだ気がするんだけどにゃ~」

アルゴ「オレッチのはザクロジュースだナ」

御坂「…不思議ね」

上条「なにが?」

御坂「あんな事あったのに、美味しいと思えるなんて」

10: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/03/10(日) 22:17:52.27 ID:kWd8NgAU0



土御門「それはしょうがないんだぜ?みこっちゃん」

御坂「しょうがないって何でよ!?…ってか、みこっちゃんて呼ぶな!」

土御門「人間、1回同じような物を見ると慣れるんだぜ?」

御坂「同じような物?」

土御門「そうだろ?超電磁砲」

御坂「…」

上条「土御門!!」ダン!!


上条が机を叩く。
確かに土御門が言った通り美琴は今回と同じような光景は見たことある。
ただそれは実際の物で、今回の様にポリゴンではない。
自分の分身の様なクローンを白い悪魔に惨殺されるところを彼女は2回見た。
だが今回は自分の友人、佐天涙子を嬲られるところだ、ベクトルが違う


キリト「…仲間割れしてるとこじゃないだろ」


ドスの利いた声で間に入る。
彼には何の事だかわからないがとりあえずこのまま話がそれるのは好ましくない


土御門「おーっと。悪い悪い…じゃあ話してもらおうか」

キリト「…俺でいいか?」

上条「ああ頼む。…今は冷静に話せる自信がねぇ。フォローはする」

御坂「右に同じく…」

キリト「…解った。適度に頼むまずは―――」


それからキリト目線で話す。
所々で上条がフォローするが内容は伝わっただろう


11: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/03/10(日) 22:19:18.57 ID:kWd8NgAU0


土御門「…なるほどな」

アルゴ「3人組みナー」

キリト「多分、上条とアスナぐらいのレベルはあったと思う」

土御門「その毒の武器ってのは簡単に手に入る物なのか?」

キリト「入るには入るけど…」

アルゴ「運よく『変なショップ』に並んでるレベルだナ」

キリト「少なくとも現時点ではそれしかない」

上条「ってか、今はこのことをみんなに伝えるべきじゃないか?」

御坂「うん。今でも外で寝泊まりしている人がいるんでしょ!?」

土御門「その点は大丈夫だぜい」

アルゴ「明日の新聞に載るからナ」

キリト「マジで!?」

アルゴ「オネーさんは嘘つかない」

御坂「早すぎでしょいくらなんでも?」

アルゴ「オネーさんを誰だかしらないのカ?」

上条「なんだかなー…で、そっちはどうだった?」

土御門「…正直こっちもやばい」

アルゴ「キー坊…」

キリト「なんだよ…」

アルゴ「…驚くなよ?…β時代とボスがあからさまに違う」

12: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/03/10(日) 22:21:07.65 ID:kWd8NgAU0



俺はアルゴの言葉に焦った「β時代とボスが違う」正直これは頭の隅に考えてたが実際言われると驚く


キリト「…っな!?」

御坂「それって」

上条「どおゆうことだ?」

アルゴ「言った通りダ」

土御門「先発組がちょっかい出したらしいけど。攻略本と情報が違い過ぎて死者が出る寸前だったらしい」

キリト「どのくらい違ったんだ!?」


アルゴ「全部」


キリト「は!?」

アルゴ「全部ダ!!」

キリト「…嘘だろ?」

アルゴ「じゃあキー坊。ボスの特徴をいってみロ」

キリト「特徴?えーっと…」


俺は頭の中の記憶をひねり出す、気のせいか何時もより頭がぼんやりする


キリト「たしか…名前を『グリーズ・リー・ザ・アーマー』で『グリーズ・リー』の鎧着ただけの奴で、大斧を使う奴だったと…」

アルゴ「…オレッチの記憶違いじゃなかったようだナ」

キリト「…どのくらい違うんだ?そのー…たとえb」

御坂「すみませーん!」


「はーい!!」


話の途中でミコトに遮られる。少しは空気読めよ!!

13: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/03/10(日) 22:22:32.12 ID:kWd8NgAU0


御坂「『サイダー』を、えーっとキリトは?」

キリト「俺!?…ああ、頼む」

御坂「当麻は?」


土御門(!?)


上条「ん?じゃあ俺も!」ゴクゴク

御坂「おにいさんは?」

土御門「…へ?…あ、ああ。頼む(あれ?俺だけ!?)」

御坂「じゃあ4つで。アルゴさんは?」

アルゴ「オレッチはまだ残ってるから大丈夫だナ」

御坂「じゃあ以上で!…ごめんね話区切っちゃって」

キリト「…いいよ。で、どうなんだ!?」

上条「『グリーズ・リー』ってこのヒィールドに居る奴だよな?」

キリト「(噛んだのか?)そうだ、あのデカいクマーだよ」

土御門(なぜ伸ばした?)

御坂「じゃあ、簡単だったじゃにゃいの!?」

アルゴ(にゃい?)

15: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/03/10(日) 22:24:58.47 ID:kWd8NgAU0


キリト「まあ、防御力は高かったけどそんなでもなかったな。スペック的には『グリーズ・リー』と同じだ」

御坂「だけど今回はその情報が役に立たないと…」

キリト「で、いったいどう変わってるんだ?」

アルゴ「え?ああ、全部違うって言ったけど名前から違うナ」

土御門「名前は『ザ・ゼネラル・ジャンボス』象の獣人モンスターだ」

上条「像?」

キリト「ゾウ?」

御坂「ぞうさん…」

土御門「そう、でd」


「はーい!『サイダー』お待ちどおさま」


御坂「どうもー」

キリト「きたきた」

上条「飲みたかったんだよな~」

土御門「…つづけていい?」

キリト「どうぞ」

土御門「…(大丈夫か?)で、そいつの武器は片手剣で特徴は耳だ」

上条「ミミガー?」

土御門「耳だ耳!!こんな時にボケるな!!」

上条「わりいわりぃ」ゴクゴク

土御門「ったく…で、そいつの耳片方しかなくってな」

キリト「片方?」

御坂「なんでぞうさんのおみみ片方しかないの?」

土御門「知らん。ってか、ぞうさんは無いだろ!?」

御坂「だってぞうさんかわいいじゃん!!」ダン!!

土御門「…かわいい?(なんか変だにゃ~)」

16: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/03/10(日) 22:27:17.83 ID:kWd8NgAU0

アルゴ「あーっもう!!話を進めるゾ!!その『ザ・ゼネラル・ジャンボス』はその耳で凄まじい風を起こすんだ!」

キリト「風?」

上条「ウィドウ?」

アルゴ「イライラ……で、その風だけどナ!先遣隊全員を吹き飛ばしたそうだゾ!!」

土御門「その風に当たると少なくとも10mは飛ばされるそうだ(どうしたんだこいつ等…)」

キリト「吹き飛ばされるね…」

御坂「ゾウサンゾウサン…」

アルゴ「で、キー坊!どうする!?」

キリト「んー…」

上条「…」ゴクゴク

アルゴ「ぶっちゃけ、そのせいで近づけないんだヨ!!」

土御門「なにか方法ないか?」

御坂「…」ブツブツ

上条「すんませーん!!おかわりー!!」

キリト「んー…(頭が働かない…)」


「へーい!!」コト


上条「うし!!」ゴクゴク

アルゴ「」イライラ

土御門(何がどうなってる!?)

御坂「…ねー、とうまー?」

上条「ん?なんだ」

御坂「顔よこに向けて?」

上条「お!キスでもしてくれるのか?」

土御門(まさか、魔術!?)

御坂「ちがーう…んとねー」


そう言いながら美琴が動く。
どう見ても解るが様子がおかしい、普段の彼女なら絶対にこんなことしない。
上条は軽くボケ始めてるし、キリトはいつもの頭のキレがない。
アルゴはこの状況にイラつき、土御門は内心混乱している。
すると、美琴が上条の顔の辺りに手を置く


御坂「こうやると…」

17: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/03/10(日) 22:27:56.34 ID:kWd8NgAU0







御坂「ぞうさんぱおーーーん!!」






18: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/03/10(日) 22:29:30.25 ID:kWd8NgAU0
上条「ん?」

キリト「んー…」

土御門「」ポカーン

アルゴ「おい!!」イライラ


いきなりの美琴の奇行に様々な反応…そりゃこんなことされたらそうなる。当の本人は


御坂「ぞうさん!ぞうさん!!」ヘラヘラ


楽しそう


アルゴ「あのな!!まじめにやる気のないなr」

上条「違うぞ御坂!」

御坂「なーにーがー?」

土御門(お!かみやん流石に注意s)

上条「ぞうさんぱおーんはなこう腹から声出して」スーッツ

19: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/03/10(日) 22:30:12.65 ID:kWd8NgAU0








上条「ぞーさん!ぱをおおおおおおおおおおおおおおおおおおんんんんんんん!!!」








20: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/03/10(日) 22:32:54.34 ID:kWd8NgAU0

上条「ってやるんだぞ?」キリ

土御門「」

アルゴ「うぉい!!」

御坂「わかったー」ヘラヘラ

アルゴ「解った、じゃねーヨ!!」

キリト「…っく!!」

アルゴ「?キー坊?」

キリト「っぷっはははははっははは!!」

アルゴ「き、キー坊!?」ビク!!


突然笑い出すキリトにビビるアルゴ。
そりゃいきなり目の前の2人が壊れて、今まで静かだった奴が突然笑い出したらビビル


キリト「それがぞうさんだと!?笑わせるな!」

上条「あんだと!?」

キリト「いいか、ぞうさんはなこうやるんだよ!!」

21: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/03/10(日) 22:33:59.63 ID:kWd8NgAU0











キリト「ぞうさんぱあああああああああああああああーーーーーーーーーーーーーーーーー
おおおおおおおおおおおおおおーーーーーーーーーーーーー
んんんんんんんんんんんんんーーーーーーーーーーーーーー!!!」










22: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/03/10(日) 22:35:01.49 ID:kWd8NgAU0

キリト「どうだ!」ドヤァ

上条「くっそ!!」

アルゴ「くっそ!!じゃねえヨ!!悔しがんなヨ!!ってか、キー坊!!お前そんなキャラじゃねーだロ!!」

御坂「そんなのかーわーいーくーなーい!!」

土御門「」ポカーン

アルゴ「おい!ツッチー!!少しは突っ込メ!!」

土御門「あ、あぁ…」


正直、土御門は軽く様子が変だと思っていたがここまで変だと引く


土御門(なんだこれ?この酒を飲んだ時のテンション…!?)

23: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/03/10(日) 22:37:22.41 ID:kWd8NgAU0

ここはどこだ?『パブ』だ


『パブ』とはなんだ?イギリスのバー的な物


そこでよく飲むものは?ビールかエール、もしくは『サイダー』


俺達が飲んでるのは?『サイダー』


『サイダー』とは?『パブ』でよく飲まれる酒。………酒



そう、彼が1度飲んだことあるような気がしたのは、イギリスで飲んだから。
その時は建宮に騙され五和に指摘されるまで知らなかったが、これは立派なお酒だ


土御門「アルゴ!!こいつらが飲んでるのは酒で…」

アルゴ「ツッチー!!助けて!!」ウル


涙目のアルゴ。そして彼女の周りは


御坂・上条・キリト「「「ぱお・ぱお・ぱお・ぱお・ぱお・ぱお」」」ワッチャワッチャ


謎の掛け声に謎のダンスをする3人。
所詮は未成年、完全に出来上がったらしい


土御門「oh…」

アルゴ「早く…助け…ひゃ!?」ビク!!ビク!!


正直ここまで来ると土御門1人ではどうしようもない。
彼の導き出した答えは


土御門(諦めよう…)


アルゴ「ヤーメーロー!!」ビク!!ジワ


御坂・上条・キリト「「「ぞうさん!ぞうさん!!ぞうさん!!!ぞうさん!!!!ぱおーーーん!!!」」」フリフリフリフリ





46: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/03/17(日) 22:01:08.77 ID:TLX+NPRF0
セコイア・ツリーハウス間のつり橋にて


アスナ「…」


アスナは1人黄昏ていた。
普段ならフードをかぶって目立たないようにしてるが、今は風に吹かれたいので着けてない。
風になびく栗色の髪が月明かりと共に彼女の美しさを強調させる


アスナ(なんでだろ…)


思いつめる。それはあの3人組に襲われてる時の事だった


47: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/03/17(日) 22:03:28.86 ID:TLX+NPRF0




数時間前


キン!!


アスナ「はあ…はあ…」


「どうしたの?」ニヤ


肩で息をする。正直押され気味だ。
普段の彼女ならこのチビ位の強さのモンスターならここまで苦戦しない、では何故苦戦してるのだろうか?
やはり相手が人と言うこともあるが、何より彼女が今『状態異常』毒なのが1番の問題だ。
じわじわと減ってくHP、早く回復しなくてはいけないがこのチビ隙がない


アスナ(このままだと…)

「…ねえ!!」

アスナ「!?」


「見逃してあげようか!?」


48: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/03/17(日) 22:06:10.20 ID:TLX+NPRF0
見逃す!?確かにこのチビはそう言った。
それはこの場から全員をってことか?もしくは


「もちろん、おねーちゃんだけだけど」

アスナ(やっぱり…)

アスナ「…いいえ!全員であなた達を倒して」


「何で他人をかばうの!?」


アスナ「!?」

「まさか友達だからとは言わないよね!?」

アスナ「そうよ!!友達だから守ってとうぜ」

「あきれた」ズン!!


ギン!!


アスナ「!?」グググ


懐に入り込む前にレイピアでガードする。
正直こんな小さい奴に力負けしそうである


「友達何て所詮他人だよ?何で他人の為に命を張るの?」グググ

アスナ「だって!とうぜ」グググ

「たかが2カ月ぐらいで本当に友達になれたと思ってるの?」

アスナ「!?」


そう、こいつの言う通りアスナは美琴達と会ってから1カ月近くしかたってない。
佐天たちと違ってリアルでも友達ではない、放課後一緒にファミレス行ったりとかは無い。
じゃあ彼女のリアルでは?……解らない。
本当に友達と言えるか解らない。
喋ったり一緒に帰ったりはする、だが2年近く居た学校でも解らない


「ふふ…動揺してるよ?」グググ

アスナ「!?…違う!!」グググ

49: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/03/17(日) 22:08:55.34 ID:TLX+NPRF0




「慌てて否定することは大体、図星なんだよ?」

アスナ「!?」

「真実なんだよ。心の底で友達を他人と思ってたんだよ!」

アスナ「…そんなこと…ない!!」


そう、そんなことは無い、そう自分に言い聞かせる。
でも、ほんとにそうだろうか?
学校で仲の良い2人組がいたが片方がいないと片方の悪口、片方がいないと片方の悪口。
聞き流してたがいい物ではなかった、自分は嫌なので言わない


だが、少し前に佐天と話してた時彼女はこう言った


佐天『この際ぶっちゃけちゃいますか!』


内容は悪口ではなかった。
でも、自分も場にいない間に何か言われてるのではないか?
そんな疑問が浮かぶ。ひょっとしたら悪口も…


「たった2カ月で友達にはなれないもんね?」

アスナ「…」


疑問が不安になる


アスナ「……チガゥ…」


その不安が不安を呼ぶ


アスナ(チガウ…)


人間1度疑心暗鬼になるとなかなか変わらない。
それが10代となればなおさら


「だからさ、私だけ助かりたいです!!って言っちゃいなよ?」

アスナ「…」





アスナ(あの時、カミジョウ君が来なかったら私は…)


『セコイア』の夜風が彼女を包むように吹き抜ける


50: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/03/17(日) 22:11:55.73 ID:TLX+NPRF0



上条達の宿


浜面「…」

滝壺「」ギュ


浜面と滝壺は現在宿の1室のベットの上に居る。
ここで「浜面爆発しろ」とは言ってはいけない、ただ一緒に居るだけでお互い部屋着を着ている。
SAOではHはハラスメント行為になるためできない(噂ではできるらしいが…)と言ってもキス位はできるが


滝壺「ねぇ…」

浜面「なんだ?」

滝壺「まだ、攻略頑張るの?」

浜面「またそれか…」

51: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/03/17(日) 22:14:23.87 ID:TLX+NPRF0

部屋で2人っきりになって以降、彼女はずっと同じ質問をしてくる。
しかしそれは浜面を心配してのことだ、両手足を切断されたと聞いたら普通心配する。
しかもそれが恋人なら尚更


浜面「…やっぱ何もしないのもヤダし大将たちだって頑張ってる。それに俺はやっぱ体を動かす方が楽だからな、だ」

滝壺「じゃあ」

浜面「!?」

滝壺「私も行く」

浜面「へ?…」

滝壺「だめ?」

浜面「だめって…だってそんなに運動得意じゃ」

滝壺「この中だったらあんま関係ないみたい」

浜面「だ、だってレベル」

滝壺「安全マージンは私とういはるはちゃんと取ってるよ?」

浜面「何時の間に…」

滝壺「はまづら達が前線に行ってる間に」

浜面「…気持ちは嬉しいけど」

滝壺「この中なら、はまづらと一緒に並べる一緒に戦える」

浜面「…」

滝壺「私の知らないとこではまづらが死んじゃうのは…いや!!」


珍しく声を荒げる滝壺。でも、確かに浜面は今日殺されかけた

52: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/03/17(日) 22:15:20.73 ID:TLX+NPRF0

浜面「…俺は」


言葉が浮かばない。
でも、ここは彼女に無理をさせたくない、男として彼氏として当然のことを彼はしたいだけだ。
これは彼の、男のプライドなのかもしれない。
しかし、時に女性はそのプライドを理解でき無いことが多々ある、そして男はそのプライドを説明するのが下手な事も多々ある。
その違いが時に煩わしいこともあるが、心地よいこともある。
さて、浜面はこれを説明できるか?


浜面「…滝壺!」ガバ!!

滝壺「!?」


彼は彼女を力強く抱きしめた

53: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/03/17(日) 22:17:24.30 ID:TLX+NPRF0

浜面「勝手なのは解る。けど、滝壺には前線に出ないでほしい!!」

滝壺「はまづら…でも」

浜面「滝壺の言いたいことも解る!でも、ここは俺の…男のプライドを突き通させてくれ!!」

滝壺「…」

浜面「頼む…」


彼は懇願した。
みっともなく、情けなく。しかしこれが彼のやり方、足りない頭からひねり出したものだった


滝壺「…はまづら?」

浜面「…なんだ?」

滝壺「絶対戻ってきてくれる?」

浜面「あぁ」

滝壺「ずっと一緒に居る?」

浜面「ああ」

滝壺「一緒に学園都市に戻る?」

浜面「ああ!!」

滝壺「他の女の子に現ぬかさない?」

浜面「…ああ」

滝壺「何故間があった!?」

浜面「いえ、これはその、あのー…」タラタラ

滝壺「」ジー

浜面「すんませんでした!!」ズサーorz


…本当に情けない

54: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/03/17(日) 22:19:20.95 ID:TLX+NPRF0

滝壺「…いいよ」

浜面「へ?」

滝壺「ゆるす」

浜面「滝壺ぉー」パアアア

滝壺「その代り、毎晩一緒に寝ること」

浜面「ははあー」

滝壺「信じてるよ?」ニコ

浜面「っつ///…ああ」


彼女の笑顔に弱いのは彼も一緒らしい


浜面「そだ!!」

滝壺「?」

浜面「本当はお前の誕生日で言おうと思ったんだけど、こんな時だしな」

滝壺「はまづら、それ死亡フラグみたい」

浜面「ちげーから!!……言ってもいいか?」

滝壺「…いいよ」

浜面「おう………あのさ!――――――」

55: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/03/17(日) 22:21:48.59 ID:TLX+NPRF0








浜面「―――――。」

滝壺「…

浜面(…だめか?)

滝壺「はまづら…」

浜面「!なんだ!?」wktk

滝壺「それは今は聞けない」

浜面「うそ!?」

滝壺「だってねはまづら「非常時に結ばれたカップルは長続きしない」ってジンクスがあるんだよ?」

浜面「…まじで?」

滝壺「まじだ」

浜面「うぉー…」ズーン

滝壺「でもね」

浜面「!?」

滝壺「嬉しかった。ありがとう」

浜面「あっ…ああ」

滝壺「…はまづら?」

浜面「ん?」

滝壺「」チュッ

浜面「   」


滝壺「大好き」


56: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/03/17(日) 22:27:09.65 ID:TLX+NPRF0



時は少し遡る


上条たちの宿・もう一つの部屋


初春「佐天さん…」

佐天「ひっく…ヒック…」


ひたすら泣く佐天を膝枕して諭す初春。
過去に彼女が『レベル・アッパー』で泣きそうになってた時、自分は泣きながら励ました。
そしてその後、自分が凹んだ時彼女に励まされた。
そんなお互い支え合う仲だが、今回は事情が違う。
佐天が泣き続ける理由、自分の体を切り刻まれおまけに目玉を穿られた。
普通なら痛みで泣くどころではないがここはSAO、しっかりと記憶に残ってる。まさにトラウマ


佐天「死ぬかと思ったよ…」ヒックヒック

初春「…」

57: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/03/17(日) 22:29:28.56 ID:TLX+NPRF0

何と声かけたらいいか?正直解らない。
自分は『風紀委員』をやっており、1度『翼の能力者』に殺されそうになった。
しかし、その時は『真っ白い能力者』に助けられる。
幸い重症ではなかった、泣くことも無かった。それは『風紀委員』として自覚があったから、だが彼女は?


佐天「っひ…っひ!…」


自分と違い『風紀委員』でも無く『能力者』でもない。
危険な目に1度もあったことがないと言ったら嘘になるが、自分よりも経験してない。
ましては自分はここでは後方支援、彼女みたいに前線に出てない。
そもそも自分も前線に出ようとしたが


佐天『大丈夫。初春は私が守るから!それにここでは私も強くなれるんだからね?』


そう言って彼女はどんどん強くなった。
もちろん自分もレベルを上げたが、彼女の方がここでは優秀らしく直ぐに越された。
でも、それでも気取らない元気な彼女が大好きだった


初春(私も、レベル上げてれば…)


そう思う。
だが、自分に彼女を助けられたろうか?
彼女よりもレベルの高いアスナや上条を手玉に取った相手に、自分は対応できるのか?
彼女みたいな目にあっても自分は泣かずにいられるか?
解らない…なんて言葉をかけていいのかすらも


初春「…」

58: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/03/17(日) 22:33:12.98 ID:TLX+NPRF0

佐天「…初春ぅ」

初春「なんですか?」

佐天「私…調子乗ってた」

初春「…」

佐天「頑張った分だけちゃんとレベル上がるし、それにここだと今までの私じゃないみたいだった…」

初春「…」


佐天「それで気づいたら御坂さんと一緒に戦っていて、本当に強くなってると思った…」


佐天「でもそれはこの世界での『ルイ』であって現実の『佐天涙子』じゃない!
本当は何変わって無いってことを…上には上がいるってことを」


初春「…」

佐天「だから…こわぃ…」

初春「…佐天さん」

佐天「…?」

初春「怖いのはみんな同じだと思いますよ?」

佐天「みんな?…だって私は!」

初春「確かに…体を一方的に切断されるなんてことは私にもありませんし、経験してる人なんて相違ないと思います。これは現実も一緒です」

佐天「…」

初春「でも、佐天さんはこうやって生きて帰ってきたじゃないですか!?」

佐天「でも…」

初春「こうやって生きて帰ってくれるだけでも嬉しいんです!!…生きてるだけ儲けもんですよ!!」

佐天「…」

初春「…それに私だって…本当に心配したんですから…ヒッ!…本当に」ポロポロ

佐天「…」


佐天の為に泣かないと気張ってた彼女だがついに泣いた。友の涙に何も言えなくなる佐天だった…

59: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/03/17(日) 22:36:51.71 ID:TLX+NPRF0

暫くして



佐天「…」

初春「」スウスウ


泣き疲れたのか初春は寝てしまいさっきと立場が逆になる。


佐天(ほんと…また心配かけちゃったな私…)

佐天(……どうしよう…これから)


初春の頭を撫でながら天井を見つめぼーっと考える彼女。


そこへ




「ぱおーーん!!」

「そげーぶーー」

「うるせえから2人とも!!」

「キー坊!!しっかりしろよ!!」

「ふぃーあーー」

佐天「!?」


玄関の方から奇声が聞こえてくる。
SAOでは普段の喋り声ならどんな壁でも聞こえないが、大声などは聞こえてしまう


佐天(今の声、御坂さんたち?…帰ってきたのかな?)トッ


ベットから降り確認しに行く。
流石にあの声とテンション、様子がおかしい


佐天「御坂さーん。帰って…」

土御門「よ…よう」


60: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/03/17(日) 22:37:53.33 ID:TLX+NPRF0

そこに居るのは罰悪そうにする土御門。
リビングの方を見ると


上条「もう飲めねー」

御坂「わたしもー」

アルゴ「おれ!キー坊寝やがレ!!」

キリト「うごぅ・・・」


ソファーで垂れてる上条と美琴、小さい体でキリトをソファーに乗っけるアルゴの姿だった。
どう見ても酔っ払いにしか見えないが


アスナ「…なんなのこれ?」


アスナも帰ってきた。
リビングを見るなり「何この人達…」と冷たい目線を送ってる


佐天「さあ…」

土御門「…すまん!!事故だ!」

アスナ「事故?」

土御門「えーっとだにゃ――」

61: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/03/17(日) 22:43:40.85 ID:TLX+NPRF0

彼の説明によると、最初は普通に『ヨラバタイ樹』で起きたことを話、次に攻略会議のことを話してたそうだ。
だが途中で美琴が壊れ、上条キリトとどんどん壊れていきカオスになったそうだ。
ちなみに彼らが酒飲んでると気づいたのは途中で、気付いた時は手遅れだったらしい


アスナ「気づきなさいよ、止めなさいよ」

土御門「メンボクナイ…」

佐天「でも、土御門さんも飲んだんですよね?」

土御門「いやー実は俺、何回か飲んだことあってだにゃ~。その時も酔わなかったから強いっぽくて」

佐天「はあ…」

アルゴ「おいツッチー!!疲れたからオレッチ泊まってくからナ!いいナ!?」

土御門「あ、ああ!!えーっと空いてる部屋は…」

佐天「あ!私の部屋いいですよ?」

アルゴ「ったく…ブツブツ…」トコトコ


バタン!!


佐天「…めっちゃ機嫌悪くありません?」

アスナ「初めて見たかも…あんなアルゴ」

土御門「いやーずっとあの3人にいじられてな…」


62: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/03/17(日) 22:45:23.95 ID:TLX+NPRF0


上条「彼女ほしー」


御坂「あたしー」


キリト「シネー」



佐天「あー…(御坂さん、普段じゃ絶対言えないこと言ってるよ…)」

アスナ「…にしてもいいのアルゴに自分の部屋使わせて?」

佐天「いえ、お腹すいちゃって…」

アスナ「そう言えば私も空いたわね…」

土御門「じゃあ、外に食いにいかないか?」

アスナ「そんなことしなくても、何か適当に食べれば―」

土御門「あの3人に近づくとやばい」

アスナ・佐天「「やばい?」」


「おーみんな帰って…なんじゃこりゃ!?」


別の寝室から出てくる金髪のボサボサ、浜面がTシャツにパンツ姿で出てくる。
ちなみのこの位置だと女性からは見えない


キリト「はまー」


上条「しねー」


御坂「ばくはつしろー」


浜面「え!?なんで?なんでいきなりディスられるの!?」

土御門「さ、2人とも巻き込まれる前に出ますよー」トコトコ

アスナ「はあ…」トコトコ

佐天「はい…」トコトコ


ガチャン!


御坂「うけてみよ~しろがねのけんー」ペカー


上条「おれのこの手が真っ赤に~」ゴゴゴ


キリト「すたーばーすとー」ピカー


浜面「え!?何?何でみんなスキル発動しそうになってるの!?ねえ!?」




浜面「ぎにゃーーーーーーーーーー」


63: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/03/17(日) 22:51:36.02 ID:TLX+NPRF0


先程のパブ・テラス席にて


土御門「さて、何に飲む?」

佐天「あのー…」

土御門「ん?」

佐天「御坂さん達が飲んだそのー…」

土御門「『サイダー』か?」

佐天「はい。それいいですか?」

アスナ「って、佐天さんあなた未成年――」

土御門「まあいいんじゃないか?」

佐天「じゃあそれで」

アスナ「土御門さん!!」

土御門「まあ、この世界で健康とか気にするのも無粋だぜい。そんなこと言ったらアーたんだって寝不足じゃないのかにゃ?」

アスナ「うっ…それは…ってか、アーたんって!?」

土御門「ん?《鼠》にそう呼ばれてるんじゃないのかにゃ~?」

アスナ「アーたんじゃなくってアーちゃんです!!…ってか、あなたに言われるとキモち悪いんですけど!!」

土御門「おーそれは悪かったぜい。で何飲む?同じ奴にするか」

アスナ「私はお酒は結構なので!この『エール』ってやつで!」

土御門「ほいほい、じゃあ注文するぜい(『エール』って聞いたことあるよにゃ~?)」


64: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/03/17(日) 22:54:12.02 ID:TLX+NPRF0

飲み物がきて乾杯しました



アスナ「ゴクゴク…少し苦いかも、これ」

佐天「あ、おいしいかも…」

土御門「お!いい飲みっぷりだぜい」

アスナ「…なんでお酒何て飲もうとしたの?」

佐天「いやなんか…いろいろ忘れたくって…よくお父さんが「やな事あった時は酒に限る!!」って言ってたから…」

土御門「ふむふむ…それは1里あるにゃ~」

アスナ「1里って!?…そもそも、不安だったら私が何時でも相談に乗るのに…」

佐天「なんか…言葉が見つからなくって…」

土御門「まだ混乱してるかんじかにゃ~?」

佐天「…はい」

土御門「…それは仕方のないことだと思うぜい?」

アスナ「仕方のないって!?」

土御門「当然だからだ!」

アスナ「っ!?」ビク!!


いきなり声のトーンが変わる。
アスナは土御門のこの声を聴いたことのない者、仕事モードの彼の声に1歩下がる


65: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/03/17(日) 22:57:16.26 ID:TLX+NPRF0
土御門「殺されかけた。これだけで普通大体の人間はトラウマだ、
この国で生きてて何時殺されるかわからない人の方が少ないからな」


アスナ「でも、それは私達だって」


土御門「そうだな。現時点でSAOに居る者はいつ死んでもおかしくない、それは事実だ。
だが彼女は実際に体を切り刻まれた、これはお前にもない体験じゃないのか?」


アスナ「それは…」

佐天「…」

土御門「続けていいか?」

佐天「」コク


土御門「で、現に彼女はこうやって傷ついてる。
ちょっとやそっとじゃ立ち直れない、いくら他人が何をいって励まそうが最後に決めるのは本人だ。

違うか?」


アスナ「…違わないです」

土御門「ならいい。……悪かったにゃ、強く言い過ぎたぜい」

アスナ「いいです…なんかお兄ちゃんに叱られてるような気がしたし」

土御門「ってことは妹なのか!?」

アスナ「まあ…そうなりますね」

土御門「お願い『アニキ』ってよんで!?」クワ!!


アスナ「は?」


佐天「え?」

66: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/03/17(日) 22:59:13.08 ID:TLX+NPRF0

いきなりの言葉に呆気にとられる2人。
そりゃ突然『アニキ』と呼んでと言われたらビックリするし引く、さっきまでのかっこよさは何処に行った!?
とアスナと佐天は内心思いながらドン引きしてる


アスナ「…いやです。ってか、キモイですよ」

土御門「はう!!」

佐天「土御門さんェ…」

土御門「やめてそんな眼で見ないで!!」

アスナ「ってか、妹さんいるんですか?」

土御門「おう!!かわいい義妹だぜ!!佐天は知ってるだろ?」

佐天「え!うそ!?私知ってるんですか!?」

土御門「あれ~?常盤台で会ったって聞いたような…」

佐天「もしかしてドラムに乗ってたメイドさん、ですか?」

土御門「そう!それだにゃ~」

アスナ「大切な妹さんなんですね」フフ

土御門「おう!!舞夏は世界で1番大切でカワイイぜい!」

佐天「いいな~…私長女だしなー…」

アスナ「なら土御門さんをオニーさんって呼んだら?」クスクス

土御門「え?」

67: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/03/17(日) 23:04:27.01 ID:TLX+NPRF0

いきなりのアスナの発言に驚く土御門。正直普段の彼女なら絶対に言わなそうだが、それよりも軽く顔が赤い。これは


土御門(酔ってる?)

佐天「あー有りかも知れませんね。何か頼るのがあったら落ち着くかもしれませんし」

土御門「え!?」

アスナ「どうなのよ、おにーさん?」ニコ

佐天「『アーニキ!!』」

土御門「え!っえ!?」


土御門(どーしてこーなった!?そもそもこの状況ってかみやんが専門だよな?
何で俺弄られてるの!?まあ、シスコンとしては嬉しいですけど!!)


土御門「え、いや…それで佐天さんが落ち着くなら…別に…」

佐天「ありがとう…『アニキ』」

土御門「あ、え…う、うん…///」

アスナ「」ニヤニヤ

土御門「おい、何ニヤニヤしてるんだ?」

アスナ「別にぃー。土御門さんもそんな顔するんだなーと思ってね」ニヤニヤ

佐天「ってか、アスナさんって結構腹黒なんですね」

アスナ「へ?」

土御門「そりゃ酔ってるからにゃ~」

アスナ「え!嘘!?だって私が飲んでるの―」

土御門「わり『エール』って酒だにゃ~」

アスナ「うそ!?」

土御門「本当。さっき思い出したんだにゃ~」ニヤニヤ

アスナ「」プルプル

土御門「形勢逆転だぜい」ドヤァ

佐天「ま、まぁ…飲みましょ。ね?」

アスナ「う…うん///」


68: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/03/17(日) 23:06:11.17 ID:TLX+NPRF0



暫くして


上条たちの宿


ガチャリ


佐天「飲み過ぎたー…」

土御門「それは分かったから早く下りて!おんぶ辛い!!」

アスナ「あれ~?女の人に重いって言っちゃいけないんですよ?おにーさん」

佐天「アニキが重いって言ったー!!」ポカポカ

土御門「言ってない!言ってないから!!イタイイタイ!!」

アスナ「じゃあ私、この部屋でねますねー」

佐天「はーい。おやすみなさーい」

アスナ「おやすみー」バタン

佐天「よーし。ソファーへレッツゴー!」パンパン

土御門「解ったから叩かないで!!イタイ!!それと大きな声出さないで、みんな起きちゃう!」

佐天「はーい!!」ヘラヘラ

土御門「はあー…」トボトボ

69: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/03/17(日) 23:08:13.53 ID:TLX+NPRF0


ため息交じりにリビングに向かう土御門。
リビングには先ほどの酔っ払い3人が豪快な鼾をかいて寝てる


グニ


土御門「!?」

佐天「どーしたんですか?」


何か柔かい物を踏んだ彼。
見ると浜面が泡吹いて床に寝てる、いったい何があったのか?


土御門「…もーめんどくさいことに巻き込まれたくないから寝る。ほい、ソファー」

佐天「ふぁーい!」トス

土御門「ふー…」トス


佐天の隣に座る彼、直後佐天が彼の膝に頭を置く


佐天「おわすみなさーい、おにーちゃんー…」zzz

土御門「おやすみ」


佐天におやすみを言うと彼はサングラスを外し力を抜く


土御門(舞夏…にーちゃん絶対に帰るからな!)


この心の声は毎晩寝る前にやる彼の決まりごと。学園都市に居る大切な人への誓い

87: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/03/26(火) 13:09:28.39 ID:m3lQ3xwO0
チュンチュン


「ん…」


鳥の声で目が覚める。
寝たはずなのにだるさが残る、これが2日酔いなのか?
昨日はカミジョウとミコト、アルゴにツッチーと下のパブに行って暫くしてからの記憶がない。
おそらく俺達の飲んだ『サイダー』は酒だったのだろう…今後気を付けなければ。
俺はゆっくりと目を開け周りを見る


キリト「…なんだこれ?」


あまりの光景に言葉が漏れる。
まず目の前の2人用ソファーではカミジョウが腹を出して豪快に寝ていて、
隣の1用のではミコトが「そんな寝方あるの!?」と突っ込みを入れたくなるような姿勢で寝ていて、
最後にもう1つの2人用ではツッチーが撃ち殺されたように寝てて、その膝にルイが頭を置いて寝てる。
その奥の床ではハマーが泡を吹いて倒れてる。

…まじで何があった、昨日?

88: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/03/26(火) 13:10:31.68 ID:m3lQ3xwO0


「うぇああああああああああああ!!」


「いやーあああああああああああああああ!!」


キリト「!?」


けたたましい悲鳴。
この声はハルとアスナ?俺は音源の玄関横の部屋に急ぐ


キリト「おい!!どうした?ハル、アスナ!?」ダンダン

アスナ「き、き、キリト君!?ダメ絶対に入らないで!!」

初春「あ、あ、アスナさん!!早く服着て!!」

アスナ「わ、解ってるわよ!!」

アルゴ「おい!うっせーぞ朝っぱらかラ!!」

キリト「…」


マジでどーなってるの?


89: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/03/26(火) 13:11:38.72 ID:m3lQ3xwO0
それからすぐにカミジョウとミコトも起きる。
朝食とまではいかないが、俺はお茶を入れることにした。
で、リビングのテーブルに集まってもらったのだが



キリト「ど…どうぞ」カチャ

上条・御坂「「」」ホゲー

アスナ・初春「「///」」

アルゴ「」ジー


寝起きのカミジョウとミコトがボーっとしてるのは置いといて、なぜアスナとハルは顔を赤くしてそしてアルゴは何故俺を睨みつける!?


アルゴ「おい!キー坊!!」

キリト「な、なんだよ」

アルゴ「昨日の事覚えてるか!?後そこの2人も!」

キリト「えーっと…すみませんまったく」

上条「右に同じく」

御坂「私もー…」

アルゴ「」プルプル


え。何これ怒ってるの!?昨日なにした俺達!!ここは…

90: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/03/26(火) 13:13:37.53 ID:m3lQ3xwO0
キリト「あ、アスナ!?」

アスナ「ふぇ!?///」

キリト「昨日俺達帰った時どうだった!?」

アスナ「え!あ!す、すごく酔っぱらってたよ3人とも」

キリト「…まじか?」

アスナ「う、うん!!ミコトさんなんかカミジョウ君に抱き着いてたもん」

御坂「え!?」ガタン

アルゴ「おー、抱き着いて「スキー」を連呼してたゼ!?」ニヤニヤ

御坂「ふぇ!?ふぇ!?」

上条「御坂―なんだって?寝起きだからよく聞こえなくって――」

御坂「あんたは聞くな!!」バン!!


ミコトがカミジョウを強く推す。
カミジョウは現在椅子に座っており、当然…


ドン!!


上条「イタイー!!何で朝っぱらからこんな目に合わなくちゃいけないのー!!」

御坂「うるさい!!うるさい!!うるさい!!」ゲシゲシ

上条「イタイ!!踏まないで!!…不幸だああああああああああー!!」

キリト「うわあ…」


俺がドン引きしてると奥の部屋の扉が開く


「おはよー…」

91: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/03/26(火) 13:16:10.11 ID:m3lQ3xwO0

初春「あ、滝壺さん!おはようございます」

アスナ「リコさんおはよう」

アルゴ「はよーっス」

滝壺「うん…はまづらは?」

アスナ「えーっと、ハマーさんなら…」

浜面「」チーン

アスナ「そこに」

滝壺「…なにがあったの?」


全く持って同意だ。
なぜハマーがそこで倒れてるのか?朝から疑問だったがすっかり忘れてた。
リコがハマーの近くに行く、流石カップル是非とも爆発してほしい


滝壺「はまづら、はまづら」ポンポン

浜面「…ん」

滝壺「おはよう」

浜面「おはようって!!キリト!大将!!姫!!」

キリト「俺!?」ビク!!

御坂「あ!?」

上条「なんだよ!?」ボロ・・・


いきなり名指しされる俺達。
優しいのは知ってるが風貌が風貌なだけに怒鳴られるとビビル


浜面「昨日はよくもやってくれたな!」

キリト「は?」

御坂「なにを!?」

浜面「酔っぱらって俺に切りかかってきたじゃねーか!!覚えてねーのかよ!?」

御坂「全然」

上条「全く」

アルゴ「あーそう言えば昨日こいつの悲鳴聞こえたナー」

キリト「まじか!?」

アルゴ「あぁ、眠かったから放置したけド」

浜面「放置しないでよ!!」

92: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/03/26(火) 13:18:13.55 ID:m3lQ3xwO0

あーこれマジっぽいな…カミジョウとミコトの方を見たら「謝ろう」とアイコンタクトしてきたので俺から言おうと


キリト「あーごm」

滝壺「ねえ3人とも」


リコが間に入る。
ってか、この人こんな声出るのコエーよ!!


滝壺「こっちに来てちゃんと謝って」

御坂「え?」

滝壺「あ・や・ま・っ・て!!」ゴゴゴゴ


「「「はい…」」」


リコの凄まじい雰囲気に飲まれハマーの近くに行く俺達。
ってか、今まであった人の中で1番怖いんですけどこの人!?
そしてハマーの前で正座する何気にアルゴも居るが迷惑をかけたのだろう…


キリト「そのー…」

御坂「迷惑をかけて…」

上条「まことに」


「「「すんませんでしたー!!!」」」orz


アスナ・初春((うわー…))

浜面「うむ」

アルゴ「よろしイ」

滝壺「頭を上げい」


「「「ははー」」」


アルゴ「今後気を付ける様ニ」

浜面「行く時は俺も誘うように」

アルゴ「ウォイ!!」


「「「へへー」」」


アルゴ「へへーじゃねえヨ!!反省してんのカ?ってか、ハマー!!お前も行きたいんかイ!!」

浜面「いや、話聞いたら俺も飲みたくなって」

滝壺「はまづらが行くなら私も行く」

御坂「意外と飲んだらおいしかったし」

キリト・上条「「ウンウン」」

アスナ「私も飲んだけどおいしかったわよ?」

初春「私も興味が出てきました!!」

アルゴ(駄目だこいつ等早く何とかしないト)


「う。うーん…」

93: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/03/26(火) 13:21:16.53 ID:m3lQ3xwO0


ソファーから聞こえる女の声。どうやらルイが起きたみたいだ


初春「あ、佐天さん。おはようございます!」

佐天「おはよー…」

アルゴ「おうルイ!そこのグラサン起こしてくれ、今日の予定を決めたイ」

佐天「はーい…アニーキ朝だよー…」


「「「「「「!?」」」」」


一斉に反応する。
どうやら俺の聞き間違えではないらしい、『アニキ』とルイはそう言った。
確かこいつ等兄妹じゃないよな!?


アスナ「あっ!?…」


アスナは心当たりあるらしい。早いとこ昨日の記憶を思い出さねば


土御門「…ん」

佐天「おはよー…」ボー

土御門「おぉ…おはよ」ボー


ツッチーも起きた。
あれからさらに飲んだのだろうか、どうにも2日酔いのおっさんにしか見えない。
俺も寝起きはああだったのだろうか、早く起きてよかった


土御門「…どした、みんな?鳩が豆鉄砲喰らったみたいな顔して?」


いや、さっきの1連の流れを見たらああなるって!!


御坂「え!…いや。あのー…」

上条「土御門、お前…」

初春「佐天さん…」

浜面「大将から聞いてたけど…」

滝壺「やりてだ…」

アルゴ「ツッチー…昨日なにg」


アスナ「あ!ぁあーー!!佐天さん!!」

キリト「うお!!」


突然、アスナが声を上げる。
テンパってたのかすっとんきょんな声になってる


アスナ「お酒抜けてないみたいだからシャワー浴びましょ!」

佐天「えー…でもあたし」

アスナ「いいから!いいから!!ね?」ドタドタ

佐天「う…うーん?」グイグイ


バタン!!


94: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/03/26(火) 13:23:11.60 ID:m3lQ3xwO0

…嵐のように2人はシャワー室に過ぎ去った。
と言うよりこのままだとアスナ自身も不味いと思ったのか、この場を逃げたに近い。
今度何があったか是非とも詳しく聞こう


上条「ほらよ」

土御門「…サンキュー」ゴクゴク

上条「…おまえ。昨日まさか…」

土御門「…っべ」


ツッチーの顔色が変わる、これは黒だ。
カミジョウか差し出した水を飲んで昨日の記憶がよみがえったのだろう。
にしてもカミジョウは少し事情をしってるのか?


上条「流石に――」

土御門「あーーー!!!そうだ、今日は役場に行くんだっけにゃ~!?」

上条「おま、はなs」

土御門「アルゴ!!俺はキリトとミコっちゃんを連れてくから後よろしく!!」

キリト「は!?」

御坂「ちょ!?なんであんt」

土御門「膳はいそげ!!行くぞ!!」ガシ

キリト「ちょ!?」

御坂「まっ!?」

土御門「行ってくるにゃ~!!!」バビューン!!

御坂「いやああああああああ!!」

キリト「放せえええええええええええええええ!!!」


バタン!!


俺とミコトはツッチに腕を掴まれ凄まじい速さで部屋を飛び出した。
ってか、こいつこんなに筋力あったのかよ!?と、心の中でツッコミを入れる俺だった



上条「…何がどーなってるの?」ポカーン

初春「さ、さぁ…」

浜面「俺、状況が理解できない…」

滝壺「大丈夫はまづら。私も」

アルゴ「…なんだこレ・……………なんだこレ?」


95: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/03/26(火) 13:24:37.39 ID:m3lQ3xwO0


セコイア・中央広場



御坂「はあはあ…」

キリト「ぜいぜい…」

土御門「ゴクゴク…ふう、いやー水飲んだらすっきりしたぜい」

キリト「すっきりしたぜい…じゃねぇぇぇぇぇぇよ!!」

御坂「なによいきなり腕引っ張って!!痛かったのよ!!」

土御門「いやーあの場を逃げるにはあれしか思いつかなくてにゃ~」

キリト「そーだと思ったよ!!ってか、それ以外に理由ねぇぇぇだろ!!」

御坂「逃げたと言っても!!私達も質問あるんだから!!逃げられたと思ってるんじゃないわよ!!」


そう、確かに土御門はあの場から逃げ切ったがここの2人も佐天の「アニキ」発言は聞いてる。
突っ込もうと思ったら突っ込める、それでも彼には勝算があるのだろうか?


土御門「あら、きく?」

キリト「あったりめーだろ!!」

御坂「じゃなきゃ腹の虫がおさまんないわよ!!」

土御門「うーん、こまったにゃ~」


しかし彼は余裕である。この余裕どこから出てくるのか?

96: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/03/26(火) 13:27:20.00 ID:m3lQ3xwO0

土御門「話してもいいが、そっちの事もはなすぜお?」

キリト「そっちの」

御坂「こと?」

土御門「ああ、御2人…カミヤンいれて3人の珍プレ好プレーをにゃ~」

キリト「なっ!!」

御坂「ふぇ!?///」


そう昨日の3人の奇功を包み隠さず話すこと。
確かに昨日の3人は凄まじかった、正直なかなかお目にならない光景ばっかだった


土御門「何がいいかにゃ~あ、ミコッちゃんのなんかいいかにゃ~?」

御坂「ふぇ!?」

土御門「いやーすごかったぜい?カミヤンにあーんなことや」

御坂「は…ひ…」///

土御門「こーんな事やれるにゃんて、やっぱ酒は偉大だぜい」

御坂「ふ…にゃ…///」プルプル

キリト「お、おいツッチー。ミコトが」

土御門「カミヤンに『スキ』」

御坂「」シュポン!!

キリト「ミコトーー!?」

御坂「ふにゃ~…」ドサ


盛大な音を立てて顔を赤くしその場に倒れる美琴。
それに慌てるキリト、そして土御門は


土御門「よし!」ドヤァ


ドヤ顔だった。
土御門は初めからこの展開を期待して2人を連れ出したのだ。
もちろん役場に行く必要はあったし、それには美琴の『白金の剣』が必要であった。
彼はそれを一瞬で計算しあの場で行動に出た、侮れない男である


土御門「で。キリト、まだ聞くか?」

キリト「…(やばい。…なんか聞いた分だと結構俺やらかしてそう…)」


はい。あなたはかなーりアルゴさんに遣らかしてました


キリト「き、聞きたくないです…」

土御門「よし!!じゃ、ミコッちゃん運んで役場に行くぜお」

キリト「…うす」ヨイショ


御坂「」ズルズル

97: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/03/26(火) 13:28:38.59 ID:m3lQ3xwO0



セコイヤ・役場


キリト「…大丈夫か?」

御坂「だれか私を殺して…」

キリト「ま、まぁカミジョウも記憶ないっぽいから…大丈夫じゃね?」

御坂「もし…覚えてたら死ぬから、よろしく」

キリト「おい!」

御坂「嘘よ…」

土御門「いたぜーい!…まーだ凹んでるのかにゃ~?」

御坂「…当たり前でしょ!…どの口が言うのよ」

土御門「…まぁ。カミヤンだし、大丈夫じゃないか?」

御坂「…認めたくないけど、なんか…ピンとくるわね」

キリト「俺も付き合い短いけどそんな気がする」

土御門「で。村長居たぜい」

キリト「じゃ、行くか」

御坂「…ええ」



98: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/03/26(火) 13:31:18.69 ID:m3lQ3xwO0



セコイヤ・役場村長室



さて、彼らが村長に来たのは理由がある。
皆はこのセリフを覚えてるだろうか?

「『白金の剣』を手に居れたら私のとこに来るといい、いい物をあげよう」

と言う村長のセリフ。
そう、彼らはそのいい物をもらいに来たのだ。
『白金の剣』は現在美琴が所持してる、条件は整った


「…なんだね?」

御坂「あのー…『白金の剣』を持ってきたんですけど…」

「おお!!持ってきてくれたか!?」


嬉しそうに椅子から立ち上がる村長。
この部屋には『白金の剣』と『ヨラバタイ樹』、そしてその使い手と言われる剣士『ノビタニアン』の描かれたレリーフがある。
よく考えるとこの街にはいたるところに関連したオブジェなどがある、それはきっと『ノビタニアン』などに関連する物であろう。
そしてこの村長も憧れてるに違いない


「どれ、見せてくれるかな?」ツカツカ

御坂「はい!どうぞ」ス

「礼を言おう…これがか」チャキ


まじまじと見る村長。
伝説の剣、もしそれが実際に目の前に在ったら自分はどんな反応を取るのだろう?
これはゲームの世界だが現実で見たら?と美琴はこの時ひそかに考えてた


「なるほど…素晴らしい剣だな」ス

御坂「…どうも」キン

キリト「あのー…横から入るようで申し訳ないんですけど…お礼は?」


「そうだ!お礼の品を上げなくてわな!!」

キリト「…NPCはこんなもんか」

御坂「気にしたら負けよ…」

土御門「だにゃ~」

99: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/03/26(火) 13:33:14.68 ID:m3lQ3xwO0

会話がかみ合わないことに凹むキリトと、なだめる2人、それをよそに奥に行く村長。
奥から何か箱を持ってきた、長方形の細長い木でできた箱


「受け取ってくれるかな?」パカ

御坂「おぉー・・・」

土御門「これって…」

キリト「…片手剣?」


村長が明けた箱に入ってるのは片手剣。
キリトの今使ってる『アニールブレード』よりも飾りっ気は無く、だからと言って『白金の剣』よりもシンプルではない。
銅剣を思わせるような色


御坂「チャキ……重い…かな?」

触った美琴の感想。
つまりこれは『白金の剣』よりも重いと言うことになる


「『ミスリル・ソード』この街に伝わる剣だ!」


キリト「『ミスリル・ソード』…」

「この剣は伝説の剣士の1人で、最後まで『ノビタニアン』と共に戦った1人『シズカリア』の剣と伝えられてる」

土御門「伝説の剣士の剣、っか…」

「この剣受け取ってくれないか?……『ヨラバタイ樹』を登った君なら扱えるはずだ」ピン!


美琴の目の前にウィンドウが出る。
内容は【『ミスリル・ソード』を貰いますか?】と言う物だった。
彼女は間髪入れずに笑みを浮かべると


御坂「ええ。ありがたく頂戴します!」ピ!


はっきりした声で答え『ミスリル・ソード』をその手に収めた


「ふん!…では、貴殿たちの旅の無事を祈る」


御坂・キリト・土御門「「「ありがとうございました」」」

100: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/03/26(火) 13:35:10.27 ID:m3lQ3xwO0

セコイア・役場外



御坂「で、この後どうするんですか?」

土御門「後でさっきの広場で攻略会議があるからそれに出るぜお」

キリト「攻略会議つっても、何も情報無いぞ?俺達」

土御門「だから昨日の情報で何ができるか、それぞれ考えて来いって話だったんだよ。いわゆる宿題だ」

キリト「あー…なるほど」

御坂「昨日そんなこと言ってましたっけ!?」

土御門「言ってたぜい。…なんならその時の状況を包み隠さず話そうか?ミコッちゃん」

御坂「イエ、エンリョシトキマス」

土御門「ふん!…でキリトの方は?」

キリト「なんとか…」

土御門「で、どうだ?」

キリト「うーん…現時点だととりあえず盾で防御しかないかな?」

土御門「やっぱりそうか…昨日もそんな意見が多かったにゃ~」

キリト「ぶっちゃけレベルがもう少し上なら《ブレス無効》のスキルとかあるんだけどな」

御坂「たしか、《ブレス無効》の効果が付いた武器とかあるんじゃないの?」

キリト「あるけど…まだないな」

御坂「そうなんだ…」

土御門「ま、それは後々考えるとして。…ミコッちゃんはその剣をどうするのかにゃ~?」

御坂「うーん…『白金の剣』あるしなー…」

キリト「俺!俺にくんない!?」

御坂「えー…」


101: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/03/26(火) 13:36:21.77 ID:m3lQ3xwO0
キリトが懇願する。
確かにキリトが『ミスリル・ソード』を手にすれば武器の問題も片付く。さて彼女はどう出るか


御坂「…いいわよ!」

キリト・土御門「「まじで!?」」


意外な反応にキリトどころか土御門までリアクションを取ってしまう。
確かにここまで素直だと何か裏がありそうであるが


御坂「…なによ。いらないの?」

キリト「いえ、入ります!」

御坂「うむ、素直でよろしい!」ホレ

キリト「ど、どうも…」

土御門「」ポカーン

御坂「どうしたんですか?土御門さん」

土御門「えっ…いやー珍しいこともあるんだにゃ~と思って」

キリト「」ウンウン

御坂「珍しいって…ただ単に同じ片手剣同士、強いのって言ったらこいつしかいないから塩を送っただけよ」

キリト「あっ…ありがとぅ」

102: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/03/26(火) 13:37:56.83 ID:m3lQ3xwO0

土御門(まさか…カミヤン病に感染!?―――」キュピーン!


その時、土御門に電撃が走る


土御門「…もしかして」

御坂・キリト「「?」」

土御門「まさかミコッちゃん、カミヤンからキリトに乗り換えか!?」

キリト「えっ!?」

御坂「はああぁぁー!?」

土御門「そうか、カミヤンは相手が多いから諦めるかキープにして。同じ片手剣のキリトに鞍替えしたのか!?」m9

キリト「…///」

御坂「ちょあんた何言ってんの!?あんたも顔赤くしない!!」

土御門「ミコッちゃん、それはつまりビッ――」

御坂「ふん!!!」ゲシ!!

土御門「ぶみゃーー!!」ゴロゴロ


暴走する土御門に対し美琴は回し蹴りを加える。
天の男も真っ青の素晴らしい回し蹴り


御坂「ったく。黒子かよ」

キリト「…」

御坂「あんたも!顔赤くしてないで!サッサと行くわよ!?」

キリト「お、おう///」

御坂「はぁー…(調子が狂う…)」


変な空気になったことにめんどくささを感じる彼女であった


土御門「」チーン



125: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/03/30(土) 20:31:43.76 ID:AD9IzDrG0

セコイア・広場



土御門「いててて…ミコッちゃん冗談通じないぜい」

御坂「たちの悪い冗談言うあんたが悪い!!」フゴ

キリト「ってかミコト。やっぱその格好目立つぜ?」


前にも述べてるが美琴は変装をしてる。
ターバンとマントで顔を隠してるが、キリトが指摘した通り目立つ。
そもそもなぜ変更してるかと言うと彼女は学園都市の誇る有名人のため、何が起こるか解らないからこうしてるのだが目立つものは目立つ


キリト「髪染めたら?」

御坂「うーん…それも考えたんだけどなー…」


「おいビーター!!」

126: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/03/30(土) 20:34:57.99 ID:AD9IzDrG0

荒々しい声がキリトの愚称『ビーター』と共にかけられる。
キバオウ《アインクラッド解放隊》のリーダーでありキリトにあまりいい感情を思ってない。
そして


キバ「なんや、皮被りもいたのか」

御坂「皮被りとはなによ!!」


そう、美琴たちともあまり仲が良くない。
それはキバオウが「正体隠しておる奴なんか信用ならん」と言う理由からである。
確かに、面を被ってたら相手を信用出来ないキバオウの言ってることも1里ある。
しかし、事情が事情なだけにこれを取ることができない。
なのでどっちも1歩も引けないの


キバ「で、この前噛みついたツンツン坊主は何処や?」


彼の言葉の通り以前、前の層で上条とキバオウは1度揉めてる。
理由は先の様にキバオウが美琴にけしかけて来たからで、何度も言うので美琴が切れそうな前に上条が手を出しそうになったのだ。
もちろん手を出す前に浜面や佐天、土御門キリトが止めた。
ちなみに上条が手を出しそうになったのは美琴を守るため、
仮に彼女が手を出したら揉みあいになりターバンが破損してしまうかもしれないからだ。
それは彼が「御坂美琴とその周囲の世界を守る」とある魔術師と約束したこともあるし当然と思ってるから。
ターバンが破損したら正体がばれ、彼女がどんな扱いを受けるか考えたくもない


御坂「あいつなら今日はいないわよ!?」

キバ「ほう…死んだか!?」

御坂「んな訳ないでしょ!!あいつはこっちの大事な前衛なの!!そう簡単に死なないわよ!!ってか、あんたより強いわよ!!」

キバ「ほう…なかなかあいつの肩持つやないか?まあそれは同意するがな」

「ふん!!…罵り合いより、こっちの議論に精を出して欲しいんだがな…」

127: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/03/30(土) 20:36:21.41 ID:AD9IzDrG0


キリト「エギル…」


美琴とキバオウの仲裁に入ったのは本日の攻略会議の進行役、巨漢の大斧使いエギルだ


エギル「と言うことで、初めていいか?」

キバ「…っち!かまへん。おい!ビーター、皮被りこっちくんなよ!!」ズカズカ

御坂「誰が行くもんですか!!」

キリト「っち…よくツッチー黙ってたな」

土御門「下手に事を荒げないのが大人だぜい?ちなみにささやかな仕返しはしたぜお」

キリト「仕返し?」


よーく見るとキバオウが仲間に声を掛けられてる、一見普通の光景。
しかし、その仲間の顔を見ると笑いを我慢してるように見える、何故だ

128: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/03/30(土) 20:40:31.80 ID:AD9IzDrG0

「キバオウさん」

キバ「なんや?」

「とんかつ食いたくないっすか?」

キバ「おお、食いたいな!SAOあるんか?」

「キバオウさん、ここに」ス

キバ「おお、これやこれ!きつね色で今くらいの大きさで2折に出来て……これとんかつちゃう!!茶色い皮財布や!!」

「キバオウさん」

キバ「なんや?」

「これ終わったら新宿に飲みに行きましょうよ!」

キバ「新宿?SAOにあるんか?」

「目の前に」


キバ「なに?…おお、あれやあれ!でっかい黄色い看板があってNPCがぎょーさん酒飲んでて、そうあれこそ新宿……んな訳あるか!!
あれ看板にでっかい文字で『ニューホテル』って書いてあるだけやん!!新宿ってそういうこと!?」


「「「www」」」

キバ「なんやジブンらさっきから!?何で俺をいじるんや!?」


普通に見ればキバオウがいじられてるに過ぎない。だが


キリト「…っく!」プルプル

御坂「…っぷ!」プルプル

エギル「oh…」

土御門「に!」ドヤァ

129: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/03/30(土) 20:42:34.34 ID:AD9IzDrG0

キリトと美琴が笑いを堪えてる。
これはただキバオウの反応が面白いからではない、それはキバオウの鎧にある。
彼の鎧には背中にデカデカと書いてある落書きに反応してるのだ、内容は『とんかつ・新宿・サボテン』と書いてある。
どっかのチェーン店の名前だ、土御門の言う仕返しはこうゆう事だった


土御門「いやー、気付かれないように、と《隠蔽》の練習になったぜい」

エギル「いいセンスしてるな」

土御門「学校帰りによく食ったぜい」

キリト・御坂「「…」」プルプル

エギル「さて、そろそろ始めるとするか」

キリト・御坂「「…」」コクコクプルプル

土御門「御2人さん。噴き出すなよ?」

キリト「…ちょっとトイレ」プルプル

御坂「…私も」プルプル


土御門はSAOにトイレなんかあったっけ?と心の中で思いながらもあえて言わず2人を見送った。
その後笑い疲れた顔になって2が帰ってくると攻略会議は始まった


130: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/03/30(土) 20:46:47.18 ID:AD9IzDrG0


セコイア・広場


第3回・第5層ボス攻略会議



エギル「それでは、これから始めさせていただく」


エギル低く通る声の挨拶と共に軽い拍手があり会議が始まる。
会議も何回もこなしてくると皆慣れ、特に荒れることは無く進む。
それだけこの会議の重要性が皆認識できたのだろう、無駄口を話すのも居ない。
1部を除いて


土御門「よー随分げっそりした顔での帰りだにゃ~お2人さん」ニヤ

御坂「誰のせいよ…」

キリト「あっち側は見ないようにしよう…見るだけで吹きそうだ」



エギル「早速だが!前回、課題になったボスの風と言うか…《ブレス》に対しての攻略法は何か案を持ってきてくれただろうか?」



なかなか手を上げる者もいない。
それもそうだ、前回でいい妙案が出尽くしてしまい今回は【あれば出してね】ぐらいの感じだった



エギル「…同じようだな。ないならこの辺で」


ウィーッスと気の抜けた声と共にその場は締まる。
大体、攻略会議が終わると皆仲の良い者と酒場に行ったり、残るメンバーに報告しにそそくさと帰る。
キリト達は後者、1番早く出て行った


キバ「なんやあいつ等。あんなはよう出ていきおって?」

((そりゃこんなん書いてあったらな))ップ


彼が落書きに気付いたのは宿に着いてからでした


キバ「なんじゃぁぁぁぁこりゃぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」


131: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/03/30(土) 20:50:05.64 ID:AD9IzDrG0



セコイア・カフェ


土御門「で、逃げる様にここに来たけど…」

御坂「」ハアハア

キリト「」ハアハア

土御門「笑い終えたか?」

御坂「うるさい!だまれ」

キリト「マジで壺ったかも…ってか、どうするこのあと?」

土御門「まあ、うちらでも《盾》装備を出さざるおえんだろ?だから訓練かにゃ~」

御坂「《盾》ねぇ~…うちらで使えるのって」

土御門「俺と浜面ぜお…キリトは?」

キリト「使えるっちゃ使えるけど…ぶっちゃけスタイルが崩れるからやなんだなー…」

御坂「それは私も同感。…ってか、あいつを片手剣に戻して装備させるのは?確か第2層のボスの時に使ってたよね?」

キリト「上条か?…そんなホイホイ装備を変えるのはよくないぞ、スタイルとか崩れるし」

御坂「ダメか…じゃあ私が!?」

キリト「付け焼刃だからやめとけって…」

土御門「まあ、なんにせよ。あともう少しでみんな『取材』が終わって来るからまとうぜい」

御坂「…『取材』?」

132: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/03/30(土) 20:51:43.30 ID:AD9IzDrG0


土御門「おう!」

キリト「『取材』って、なんのだよ?」

土御門「新聞の」

御坂「ってか、何で取材受けてんのよあいつら!?多分襲われた時の事聞かれてると思うけど、何であいつらが襲われたって解るのよ!?」

キリト「そー言えば『パブ』に入って初めの方でツッチーが「明日の新聞に載る」って、さらっと言ってたけどあれと関係あるのか?」

土御門「おおアリだぜい!だって『アインクラッド新聞』を発行してるのは滝壺と初春、アルゴと俺ぜよ」

御坂「へーそうなんd」


キリト・御坂「「えええええええええええええええええええええええええ!!!!!????」」


土御門が言ったことに驚愕する2人、それもそうだ。
『アイングラッド新聞』ゲームの中で娯楽と言うのもなんだが、この世界で数少ない娯楽の1つ。
SAOが始まってから2週間経ったときに発行された新聞、最初は学級新聞に近かったが最近では読者投稿の話題や写真がメインの1つ。
その発行された速さや記事の信憑性から現在この世界でもっとも読まれてる新聞の1つ、もちろんキリトや美琴も読んでる。
記者の所在は不明なのもこの新聞の特徴の1つだったが、まさか身近に居たとは


土御門「おっと、このことは秘密なので他言は無用に」

御坂「え!?えぇ…」

キリト「まさかお前らだったとはな~…」

土御門「いや俺が参加したのは第3層からで、アルゴも参加したのは第2層って言ってたっけな?」

133: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/03/30(土) 20:52:45.50 ID:AD9IzDrG0

御坂「まさか2人がねー…そう言えばアルゴさんとやたら仲がいいと思ってはいたけど…」

土御門「元々2人が【自分たちにも何かできないか?】って思ってやったらしいぜい」

キリト「すごいな」

御坂「そう言えば初春さんが――」


初春『御坂さーん』


御坂『なに?』


初春『《絵》のスキル上げたいのでモデルになってくれませんか?』


御坂『いいわよー』


御坂「――なんてやり取りがあったような」

土御門「あいかわらず策士だにゃ~」

キリト「どおりで最近イラストが上手くなってると思ったよ…」

御坂「…こんな時どんな顔したらいいのよ…」

土御門「さーにゃ~…さてそろそろ待ち合わせ場所に行きますか」

134: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/03/30(土) 20:53:39.48 ID:AD9IzDrG0


第2層


東の山・師匠の小屋付近



美琴たち3人は待ち合わせの場所に来た、すでに上条、浜面、アスナも居るが佐天の姿は見えない。


御坂「…やっぱり来なかったんだね」

浜面「俺らも説得したんだけどなー…」

アスナ「カミジョウ君はヒートアップしすぎて空回りしてたけど」

上条「いやだってさ!何とかしたいと思うじゃん普通!!」

御坂「アンタねぇ…っつ!?」

アスナ「はぁー…その気持ちは正しいと思うけど、人には1人になりたいと思う時があるのよ…?」

上条「どした?」


アスナ(あー…)

135: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/03/30(土) 20:56:04.24 ID:AD9IzDrG0

美琴のリアクションに疑問に思う上条と、直ぐに理解するアスナ。
そう、彼女は昨日酔っぱらった時に盛大にやらかしてしまった、いまだに思い人に言えない『スキ』と言う言葉も散々言った。
だがそれは酒が入ってた時、14歳の初恋の告白がこんな居酒屋の飲み会で勢いで行っちゃった大学生みたいなのは正直無い。
しかも言った本人が記憶にないとか完全に無効である。

仮に彼、上条が覚えてたらと思うと―――


アスナ「大丈夫よ」ヒソ

御坂「っへ!?///」

アスナ「カミジョウ君覚えてないって」ヒソ

御坂「でで、でも。もし周りが話したりしたら」ヒソ

アスナ「みんなもあなたに気を使って詮索してないわよ、あのアルゴだって」

御坂「ほ、本当ですか?」

アスナ「うん、だから安心しなって。ちゃんと今度まじめにやるのよ」

御坂「あ、あ、アスナさん!!///」

上条「…何やってんだ」

土御門「取りあえずカミヤンが死ねばいいんだぜい」

キリト・浜面「「うんうん」」

上条「なんでだよ!?」

136: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/03/30(土) 20:57:18.98 ID:AD9IzDrG0


キリト「…マジで鈍感なんだなコイツ」


上条「俺のどこが鈍感だよ!!これでもな、クラスで空気読める男って言われてるんだぞ!?」


御坂・土御門・浜面・キリト・アスナ「「「「「えっ!?」」」」」


上条「なんだよ、その反応!?」

浜面「…おい土御門、あんた確か大将と同じクラスだよな?」

土御門「あ、ああー…」

浜面「どうなの?」

土御門「…カミヤン?」

上条「ん?」

土御門「『皮肉』って言葉知ってるか?」

上条「あのな…いくら馬鹿な上条さんでもその言葉ぐらい知ってんぞ!」ドヤァ

土御門「うん、それならいいんだ…」

土御門「俺らが皮肉を込めて言った言葉を真に受けてるみたいぜい」ヒソ

浜面「大将…」

キリト「ここまでくるとスゲーな…」

上条「その可哀そうな人見る目つきはなんでせう!?やめて」

御坂(なんでこんな奴に惚れちゃったんだろう…)

アスナ(ミコトさん…がんばってね)ポン


137: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/03/30(土) 20:58:23.15 ID:AD9IzDrG0

浜面「ま、まあ大将が馬鹿なのは今に始まったことじゃないけど」

上条「うぉい!!」

浜面「お嬢の事はお嬢自身が納得するまで暖かく見守っていこうや」

土御門「それに、優しさが時には1番辛いものになったりするんだぜい。今はそっとしとくのがベストだにゃ~」

上条「そんなもんなのかなー…」

御坂「大丈夫、いざとなれば私達がいるから」

アスナ「ここは佐天さんを信じましょ。ね」

上条「…そうだな!」

キリト「ふっ…で、どこでレベル上げするんだ?」

土御門「ここだぜい」

アスナ「え?でもここって特に強いモンスターでないわよね?」

浜面「偶にオオカミ型が出るぐらいだろ?」

土御門「そうだぜい」

御坂「じゃあどうやって?」

土御門「こうやる」ス


彼はメニューを表示しアイテム欄からある物を《実体化》する

138: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/03/30(土) 20:59:36.97 ID:AD9IzDrG0


上条「肉?」

土御門「ただの肉じゃないぜい『グリーズ・リー』の肉ぜよ」

御坂「そんなのどうすんのよ?」

土御門「こうやって…ピーィイ!」

キリト「?」


彼が口笛を吹く。
すると何処からか獣の息づかいが聞こえてくる、気付くと付近にモンスターがいると表示される。
それも1匹や2匹じゃない


浜面「え?なにこれ?」

キリト「なんか…『ナイト・ブラック・ウルフ』が団体で来てるんですけど?」

御坂「ちょっと、いくらなんでも多くない!?」

アスナ「50…いえ100匹ぐらいいるんじゃない!?」

上条「土御門!これって!?」


土御門「さーみなさん!!こいつらは全部倒すかこの肉の消える30分後までひたすら襲ってきます!!みんなで頑張って倒しましょう!」


上条「なーにショウタイム風に言ってんだよ!最初に言え!!最初に」

土御門「カミヤン、俺はいつも事後報告だぜい」キリ

上条「ふざけんな馬鹿野郎!!自覚してるなら直せ!!」

土御門「口を動かす前に手を動かそうぜい」

キリト「その方が…よさそうだなっ!!」ザン!!


訓練が始まった


156: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/04/06(土) 22:26:44.08 ID:qp5paN+G0
2時間後


土御門「ふぅ…」


土御門は《安全圏内》の石に腰を掛けてた。
彼は《ダガー》だが今回は《盾》も装備してかなり重要な役回りだ、で今は休憩してる。
現在は同じく《盾》を装備してる浜面を中心に美琴、上条、キリト、アスナによる5人のフォーメーションを試してるところだ


「おにーさン、サボりカ?」


土御門「サボりじゃねーよ。俺が動けなくなった時の訓練だぜよ。鼠」


後ろから掛けられた声はアルゴだった。
どうやら様子を見に来たらしい


アルゴ「別にお前らだけで戦うわけじゃないから、ここまでしなくてもいいんじゃないカ?」

土御門「訓練にやりすぎは無いぜい、ありとあらゆることを想定しとくのがプロだぜい」

アルゴ「ふーん…で、何故オオカミ?」

土御門「巨体でブレスを使うモンスターなんかまだいないからにゃ~。オオカミの大群の突進をブレスに見立てて訓練してるんだぜい」

アルゴ「なるほどナ~」

157: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/04/06(土) 22:27:45.96 ID:qp5paN+G0

彼の言った通りオオカミをブレスに見立てて訓練してるのだが



上条「わりい!!3匹のがした!!」

浜面「またかぁよっ!」グググ

御坂「はあああ!!!」ザン!!

アスナ「レベルが低いのはいいけど!…訓練になってるの!!?」スン!!

キリト「気にしたら…負けだろぉっと!!」ギン!!


確かにオオカミをブレスに見立てるのは無理がある。
しかし、それでも確実に盾を使った戦法は慣れてきてるし、レベルも上がったりしてる。損ではない


アルゴ「…こう見るとキー坊も結構連携撮れるんだナ」


土御門「キリトは元々レベルが高いし好きでボッチやってるだけだからな、
カミヤンも剣の方は8割ぐらいだけど《体術》に関して言えば合格点だぜい。
…俺がびっくりしたのはミコッちゃんとアスナの連携力の高さだな」

158: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/04/06(土) 22:28:48.86 ID:qp5paN+G0

彼の言う通り彼女達2人の連携力は高い


「「「うぉうぅ!!」」」


御坂「せいやああああああ!!!」ブン!!


「「「きゃいいい」」」


御坂「アスナさん!!」

アスナ「はあああああ!!」ズンズンズン


「「「うごぅ…」」」パリーン!


御坂「ナイス!!」

アスナ「そっちこそ!!」


美琴がまずオオカミ3匹を切り上げそれらを宙に舞わせると刹那、アスナの3連撃を加える。
それは見事としか言いようのない連携だった


159: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/04/06(土) 22:30:19.21 ID:qp5paN+G0
アルゴ「ああ、あれはルイも加えて3人で女子会がてらよくトレーニングしてるらしいナ」

土御門「物騒な女子会だなオイ」

アルゴ「…本当はあれに前衛のルイを加えたら完璧なんだがナ」

土御門「そうか…」

アルゴ「…なあ、実際どうなんダ?」

土御門「なにが?」

アルゴ「ルイのことだヨ」

土御門「…」


黙る。確かに問題である。
佐天はこのメンバーの中で前衛も後衛も出来る、かも本人の性格からか攻撃もガンガン行くので正直フォーメーションを組む時にかなり役に立つ。
《ランス》の特性により攻撃力はさほど高くないが、何より数少ないこのメンバーの攻略組


土御門「…正直な、なんて声を掛けたら解んなくってな、男だったら引っ叩くなりなんなり出来るんだがな」

アルゴ「アニキって呼ばれて情でも湧いたカ?」

土御門「それはない!!…とは言い切れないにゃ~」

アルゴ「ツッチーも男ってことだナ!」ケタケタ

土御門「笑うな!…はぁ、こんな事いつもは無かったんだけどにゃ~…」

アルゴ「そりゃこんな世界に来たら普段通りにしてても、無意識に変わっちまうことだってあるサ」

土御門「無意識にか……まだまだ未熟だにゃ~俺自身も」

アルゴ「女も、だロ?」

土御門「ぐうの音も出ないぜい。…女は難しいにゃ~」

160: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/04/06(土) 22:32:22.47 ID:qp5paN+G0

アルゴ「そりゃ男と女の間には川がある、って言うぐらいだからナ」

土御門「俺も解ったつもりでいても、解ってないことがたくさんあるんだにゃ~とおもったぜい」

アルゴ「他人を100%理解するなんて不可能だからナ、でも解ろうとする姿勢はオネーさん評価するヨ」

土御門「あんがとよ…ぶっちゃけどうしたらいいよ?」

アルゴ「んー…」


間が開く


アルゴ「ヨシ!!」

土御門「?」

アルゴ「オネーさんに任せてくれないか?」

土御門「お前に?」

アルゴ「オウ!!」

土御門「まーた金せびるのか?」

アルゴ「それは当然…ま、今回は安くしとくヨ!」

土御門「胡散臭いにゃ~」

アルゴ「お前に言われたくないヨ」

土御門「違えねえ」

アルゴ「じゃ、任せられてモ?」

土御門「おう!お願いするぜお」

161: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/04/06(土) 22:33:30.53 ID:qp5paN+G0

アルゴ「よし、じゃあオレッチは行くからナ!!あと、頼まれた《グリーズ・リー》の肉」ス

土御門「サンキュー。8000コルだっけか?」

アルゴ「おう!」

土御門「…今更だが高くにかにゃ?」

アルゴ「仕方ないだロ!!数が少ないんだからナ!!」

土御門「はあ…俺のなけなしのお金が」

アルゴ「まいどー!!じゃ、いくからナ」

土御門「おう」


そう言ってアルゴは去った


上条「おーい土御門―!」

土御門「なんぜよ?」

上条「あれ、今誰かいなかった?」

土御門「アルゴだぜい。終わったのかにゃ?」

上条「ああ、みんなあっちで休憩してる。次はお前の番だぞ」

土御門「じゃ、行きますか」


そして特訓は深夜遅くまで続き6人は宿には帰らず師匠の小屋がある《安全区域》で睡眠をとることになった




162: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/04/06(土) 22:34:21.96 ID:qp5paN+G0


セコイア・広場


上条「ふぁあああ・・・あ!!」

御坂「だらしない欠伸ねー…」

上条「だって全然寝てないし、しょうがないだろ!?」

浜面「腹減ったー…」

アスナ「後でリコさん達がサンドイッチ持ってきてくれるまで我慢しなさいよ」

キリト「あれ、ツッチーは!?」

浜面「ん?そう言えばさっき、忘れ物があるとかで宿に戻ったぜ」

上条「忘れ物?」


163: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/04/06(土) 22:35:44.37 ID:qp5paN+G0


セコイア・上条達の部屋


滝壺「はいこれ」

土御門「ほいよ」

初春「すみませんね頼んじゃって…」

土御門「別についでだからいいぜい。しっかしにゃ~」

滝壺「?」

土御門「いや、これから彼氏が出陣だのに見送らないんだにゃ~と思ってな」

滝壺「なんか死亡フラグになりそうだからしてないだけ」

土御門「なるほどにゃ~」

初春「古風な所ありますよね、滝壺さんって」

滝壺「ふふん」ドヤァ

土御門「ま、帰ってきたら抱き着くんだろ?」

滝壺「もちろんそのつもり」

初春「あ、土御門さん時間大丈夫なんですか?」

土御門「お、そろそろやばいにゃ~の前に。佐天は?」

初春「佐天さんなら…奥の部屋に」

土御門「じゃあちょっと」トコ

初春「…何するんだろう?」

滝壺「大丈夫、つちみかどは男だよ」

初春「?」

滝壺「任せても大丈夫ってこと」


164: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/04/06(土) 22:37:39.05 ID:qp5paN+G0


宿・奥の寝室


佐天「はぁ…」


日向の椅子に体育座りで座って窓の外を見てる彼女


佐天(みんなそろそろ行く頃か…大丈夫かな?)

佐天(大丈夫だよね…みんな私より強いし…私なんて…)


コンコン


佐天「…はい」

「いるかー?」

佐天「土御門さん!?」

「おう!!」

佐天「すみません今あけm」

「いや扉の近くに来るだけでいい」

佐天「はあ…」


言われた通りに扉の近くに行きその場にしゃがむ佐天


佐天「きましたよー!」

「そんな大声じゃなくても聞こえるぜい」

佐天「え、でも壁って!?」

「いいからやってみるにゃ~」

佐天「…」


彼女が疑問に思った通り。
SAOの壁や扉は普通音漏れはしない、大声を出したり《聞き耳》のスキルを上げないと部屋の中の音は聞こえない。
疑問に思うが普段の音量で問いかける


佐天「…土御門さん?」

「なんぜよ?」

佐天「本当に聞こえた!?」

「だろ?」

佐天「でもなんで?」

「バグじゃないかにゃ?」


165: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/04/06(土) 22:40:27.54 ID:qp5paN+G0


佐天「バグか…」

「ん?」

佐天「いえ…本当にここゲームの世界なんだなと思って…」

「…」

佐天「さっきも、日向であったかいなーって思ってたんですよ…」

「そうだにゃ~この季節は日向はあったかいしにゃ~」

佐天「でもこれって当たり前の事なんですよね?」

「そうだぜい」

佐天「でも一昨日切られたこととか、その傷が跡もなく治ってるとか当たり前じゃないですよね!?…記憶はちゃんとあるのに」

「そうだな…だが、そんなこと言ったらこの世界自体が当たり前じゃないぜお」

佐天「そうですけど…でも…あの時」

「むりに言葉にしなくてもいい。辛かったこと思い出すと余計に鬱になるぞ」

佐天「…すみません……でもなんか」

「仕方がないさ、トラウマってのはそう簡単に消えるもんじゃない。そう簡単に消えない記憶だからトラウマなんだよ」

佐天「…ですよね」

「でもトラウマも悪いことばかりじゃない」

166: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/04/06(土) 22:42:24.68 ID:qp5paN+G0

佐天「え?」


「『トラウマをバネに』…使い古された言葉だが俺はいい言葉だと思ってる。
2度と辛い思いに会いたくない、だから自分を強く、自分をより前に」


佐天「より前に…でも、それで転んだら」

「大丈夫!」

佐天「!?」

「その時は俺が支えてやる!…いや、俺達がな」

佐天「…みんなが」

「おう」

佐天「ありがとう…ございます…」

「ふっ…さて、にーちゃんはそろそろ行くぜい」

佐天「あっ!…にーさん!!」ダッ

「なんにゃ?」

佐天「その…いってらっしゃぃ」

「…いってくるぜい」


扉越しに足音が遠ざかるのが聞こえる。彼女はそのまま壁に寄りかかり天井を見つめる


佐天(…今なら……御坂さんの気持ち解る気がするな………にーさんか)


167: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/04/06(土) 22:45:16.49 ID:qp5paN+G0



宿・玄関


土御門「じゃいってくるわ」

滝壺「行ってらっしゃい」

初春「すみませんね、佐天さん励ましてもらって」

土御門「気にすんなって」

初春「でもあれじゃあ惚れちゃいますよ」

土御門「だよにゃ~…」

滝壺「あれ、つちみかどは自覚してたの?」

土御門「いやー、言ってる途中からこれ立場逆だったら惚れてるだろ!って、自分に突っ込みいれてたぜい」

初春「だったら他に方法g」

土御門「あれしか思いつかなくてにゃ~我ながら情けないぜい」

滝壺「でもかっこよかったよ」

初春「なんか本当の兄妹って感じしました!」

土御門「そうか~?」

初春「はい!」

土御門「ま、部屋から彼女が出てきたらなんか食わせてやってくれないか?」

滝壺「わかった」

土御門「あ、そうだ!これミコッちゃんから彼女に」

初春「はい…なんですか、これ?」

土御門「《転移結晶》後でアルゴが来るだろうからそいつに聞いといてくれ」

初春「わかりました」

土御門「じゃ!」タッ

滝壺「いってらっしゃーい」

初春「お気を付けて―」

168: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/04/06(土) 22:47:08.00 ID:qp5paN+G0

滝壺「…つちみかど」

初春「?」

滝壺「さてんへの呼び名『彼女』になってたね?」

初春「言われてみれば…でも何か関係あるんですか?」

滝壺「いろいろあるんだよ」

初春「ん?」

滝壺「なんでもない。じゃあ、早く原稿まとめちゃお」

初春「は、はい…」




土御門(カミヤンの気持ちが少しわかった気がするにゃ~違うのは無自覚かどうかだぜよ)


169: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/04/06(土) 22:50:11.64 ID:qp5paN+G0

セコイア・広場


土御門が着くとすでに攻略時の分担も済んだようだ。
みな戦闘時どのような行動をとるか各自ミーティングしてる、そして自分の軍団を探すと


「「「「「…」」」」」ズーン


土御門「にゃにゃ!?」


凹んでる。まるでお通夜の様で気のせいか周りの空気が淀んでるように見える


土御門「ど、どうしたんだにゃ!?」

170: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/04/06(土) 22:52:14.33 ID:qp5paN+G0

浜面「お、おう。お前が来る前にな会議で最初の《ブレス》についてなシンカーって奴から新しい情報が入ったんだよ」

土御門「おお、それで」


キリト「最初に扉を開けて約1秒後に直ぐ《ブレス》が来るんだ、
シンカーの偵察組は10人その《ブレス》に耐えられたのはシンカーを含め2人。まあここまでは大体おなじだ」


アスナ「でもね、悪いことに《盾》が効かなかったんだって」

土御門「…っは!?じゃあどうやってそのシンカーって奴は残ったんだ!?」

御坂「なんか、とっさだったからほとんど覚えてないんだって」


上条「で、30秒間《ブレス》耐え抜くと目の前にはボスの《サ・ゼネラル・ジャンボス》が待ち構えてるんだって。
ちなみにそのまま全員吹き飛ばされると扉が閉まってまた最初から」


土御門「なんか使えるような使えない情報だにゃ~…じゃあ先発の奴は危険で尚且つ重要ってことだな」

浜面「そうなんだけど…」

土御門「その先発はどいつらだ?」

御坂「うちら」

土御門「…は?」

171: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/04/06(土) 22:54:20.62 ID:qp5paN+G0

御坂「うちらよ!!このバカがじゃんけんに負けて晴れてうちらが先発になりました!!」

上条「スミマセン」

浜面「昨日考えた作戦がパーだよ」

土御門「oh…」


無理もない。
昨日の訓練では対《ブレス》の他にボスの攻略法を考えてた。
しかしβ時代と違うのでキリトの経験と今までのフロアボスを参考に考えた。
β時代のボス《グリーズ・リー・ザ・アーマー》はこの層に居る《グリーズ・リー》の鎧をきたバージョン。
少しの隙間と露出してる足元と頭を狙うしかなかった。
なので作戦は《ブレス》が来ると浜面、土御門の盾に隠れ治まったらキリト、上条アスナ美琴が飛び出しボスに接近。
接近したらアスナ、美琴が上半身に攻撃を加え、上条、キリトが足元に攻撃を加える。
バランスが崩れたところで総攻撃、の流れだったのだが


キリト「…まぁ、落ち込んでてもしょうがないし、第10層以降は俺も未知の体験になるんだから気を取り直していこうぜ?な」

アスナ「そうね…出たとこ戦法でどうなるか、いい経験になるでしょうし」

浜面「お姫さん言ってんだし、な?大将、姫いい加減元気出そうぜ?」

上条「…そうだな」

御坂「そうね…私喉乾いたから飲み物かってk」

上条「ああ!俺が行くよ」

御坂「え、でも…」

上条「さっきじゃんけんに負けたお詫びもかねて。な?」

御坂「じゃあ早く帰ってきてね」

上条「おう!!」タッ


172: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/04/06(土) 22:55:21.28 ID:qp5paN+G0


広場付近・露店前


上条「やっぱ出発前にみんなアイテム買ったり済んだな、俺の大丈夫だっけ?」


と考えながら元に戻ろうとする。
彼の言った通り多くの人でごった返してる、と言っても攻略組ばかりではなく一般のプレイヤーも多い。
気を付けないとぶつかってしまう


「おっと」ドン

上条「あっすみません!!」


と直ぐにぶつかってしまうのが上条クオリティー


上条「大丈夫ですか!?」

「大丈夫だ…君は」

上条「?」

「確か今回の攻略で先発組になったチームの人だね?」

上条「そうですけど…なんで俺のことを?」

「あんなにオーバーなリアクションを取れば嫌でも目立つさ」

上条「なっ!?」

173: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/04/06(土) 22:56:30.95 ID:qp5paN+G0


確かに上条はじゃんけんに負けた瞬間いつものように不幸だあああ!!と叫んでしまった。
それじゃあ目立つのも仕方がない


上条「不幸だ…」

「はっはっは。そんなに気を落とすこともない、若いときに素直な反応することはいいきとだよ」

上条「そうなんですか…ってか、あの時のことを知ってるってことは」

「ん?ああ、私も攻略組でね。シンカーと共に残ったには私の事さ」

上条「そうなんですか!?じゃあ、何かコツとか!?」

「すまないが私もとっさだったのでね、あまりよく覚えてないのだ」

上条「そうですか…」

「しかし、床の部分が木だった気がする」

上条「!?」

「そんな所かな、私が言えることは」

上条「それって!?」

「すまない、約束があってね。私はこれで…」クル

上条「あの、せめて名前」

「ああ、そうだな――」


174: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/04/06(土) 22:57:42.68 ID:qp5paN+G0


その男はゆっくりと振り返り上条を見る。
灰色の髪を後ろで束ね、髪の束を少し前に垂らす。
その表情はどこか寂しく今を見てない、浮世離れした表情。
この男を上条は、いやSAOに居る全プレイヤーはその後に着く二つ名と共に忘れないことになる




「私は『ヒースクリフ』覚えてくてたまえ、上条君」



「では、また機会があったら」

上条「ああ!また!!」


そう言ってヒースクリフは人ごみに消えた


上条「…あれ?何でパーティ申請も何もしてないのに俺の名前解ったんだ!?」

上条「…っま、いいか」








「アレイスター、君の言ってた少年。なかなか面白そうだな…だが、私も気になる少年を見つけたよ」












195: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/04/13(土) 21:43:56.83 ID:/eMEMo390

セコイア・広場




上条「たでーまー」

御坂「遅い!!」

上条「わりいわりい」


上条が帰ると美琴たちは作戦会議をしてた。
先発組、つまりはボスの部屋に1番最初に入ると言うことだ、
しかし今回は入った途端《ブレス》により吹き飛ばされて大ダメージを喰らうかもしれない。
そもそも『先発組』と言うカテゴリーが今回だけだった、それだけ特殊なボス、と今わなってる。
尤も今後このような事態はあり得るので攻略組にはいい経験になるのだが


御坂「あんたも何か案を出しなさいよ!!」

上条「あぁ…あ、そうだキリト!?」

キリト「ん?」

上条「床が木だとなんかあんのか!?」

キリト「床が木?」

196: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/04/13(土) 21:45:09.05 ID:/eMEMo390


御坂「あんたねぇ…ここだと木が切れないことぐらい知ってるでしょ!?」

上条「あ」

御坂「あのねぇ…」

キリト「床が木か…」

アスナ「…キリト君?」

浜面「どうした?」

キリト「カミジョウ!」

上条「なんだよ?」

キリト「お前って『スピアー・ダウン』出来るか?」

上条「あ?出来るけど、なんで!?」

キリト「いいこと思いついたかも!!」

アスナ「?」

キリト「ちょっとみんな耳貸してくれ!」


そう言って上条たちはキリトを中心に何やら話し始める、そうこうしてると出発の時間になる。
攻略組1同はセコイアの町から第5層のダンジョン奥底のボスの部屋に出発した


197: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/04/13(土) 21:46:31.39 ID:/eMEMo390


第5層・ボスの部屋・扉前



集合する1同《ブレス》を避けるためか扉左右に分かれて攻略組が固まる。
左翼がキバオウを中心に、右翼がシンカーを中心にそれぞれ突撃隊性を構える。
そして1番大事でもあり、1番厄処の上条達が扉の前に


上条「…本当に大丈夫なのか?」

キリト「大丈夫だって!!(多分…)」

土御門「なーに俺達もいるぜよ」

浜面「吹き飛ばされるのは俺達も一緒さ」

アスナ「ここまで来たらやるしかないでしょ?」

御坂「そうね…やるだけやってみましょ!」

キバ「おら!ビーター1同、準備はええか!?」

御坂「いつでも!!」チャキ

シンカー「ではこちらで3カウントしたら扉を開けます。…ご武運を!!」

キリト「ああ!」


キバ「いくで…3!!」


シンカー「2!!」


シンカー・キバ「「1!!」」


バン!!

198: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/04/13(土) 21:47:40.53 ID:/eMEMo390


ボスの部屋の扉が勢いよく開く。そして開いたと同時に


上条「うおおおおおおおおおお!!!」


上条がダッシュで部屋に入る。
正確には彼は2を言い終えると同時に動いてた、それは


上条「ふん!!!!」ザン!!


己の『ストロング・ボウ』を『スピアー・ダウン』を使い床に刺す、剣は弾かれることなく床に刺さる。


上条(できた!!)


その刹那


浜面・土御門「「っしゃあ!!」」バッ


浜面と土御門が上条の前に出て『ストロング・ボウ』に背中を預ける様に《盾》展開する。そして


キリト「押せえええええええええええええええ!!!!!」

御坂・アスナ「「はああああああああああああああああああ!!!!」」


キリト、美琴にアスナが上条の背中を力いっぱい押す。そして


ブゥオン!!


轟音と共に凄まじい風力の《ブレス》が彼らを襲う。
正直、目を開けるのも一杯一杯だ

199: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/04/13(土) 21:49:48.10 ID:/eMEMo390

キバ「あいつ等っ…大丈夫なんやろうなっ!?」

シンカー「吹き飛ばされては…ないようですっ!!!」


扉の近くに居るだけでも解る威力。
前の層よりも強い、この場に居る皆が確信した瞬間である。そして数十秒たった


シンカー「《ブレス》が…治まった?」

キバ「あいつ等は!…!?」


キバオウがそこで見たもの。
それは、上条を中心に前方に《盾》装備の土御門と浜面ががっちりガードし、後方からキリト、美琴にアスナが3人を力いっぱい押してる姿


キリト(上手くいった…?)


発案者のキリトでさえこの反応、出たとこ勝負とはよく言ったものだ


キバ「ビーター!!前!!」


キバオウの声が響く。
目の前には巨大な姿があり今にも右手の剣を振り落とそうとしている


キリト「《盾》ガード!!」

土御門・浜面「「うおおおおおおおおおおお!!!」」


「フン!!」


巨大な体から繰り出される剣撃を彼等2人でガードする、出ないと後ろで剣を床に刺して身動きの取れない上条が危ない。
そして《盾》と剣がぶつかり発生する巨大な音と衝撃


浜面(やっ…やばい!!)

土御門「(抑えるだけでっ…)カミヤン、キリト!!早く!!!」

上条「ふんぬううううう!!」


全身に力を込める上条。
さっきの《ブレス》に耐えられるように深く刺したのが災いしたのか、なかなか抜けない


キリト「っち!…アスナ、ミコト!!仕掛けるぞ!!」

アスナ・御坂「「了解!!」」


キリトの号令と共にジャンプする3人。
ボスをノックバックするためには頭に強攻撃を加えるしかない、この距離なら確実に届くしたわいもないことだったが


「!?」


ボスの表情が変わる。
これは誰もが気づくが理由は解らない、ただ1人をのぞいて


御坂(あいつ…私と目があった時…)


美琴は不振に思う。
彼女はジャンプした時耳を狙ってた、それは《ブレス》を発生させる耳を早く部位破壊したいからだ。
だが、目の付近を通り過ぎるとボスの表情が変わった


「ふんん!!」

200: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/04/13(土) 21:51:28.54 ID:/eMEMo390

そして、ボスはバク中をしながらキリトたちと距離を取る。
巨体に見合わず身軽なのは今までも散々あったので驚きはしないが、距離を取る理由が解らない。
そうこうしてると後発の部隊が部屋に侵入してくる


キバ「おい皮被り!!自分なにしたんや!?」

御坂「知らないわよ!!あいつが勝手に!!」

キバ「ッチ!!…おい、ビーター!!自分はどうなんや!!」

キリト「俺も知らない!!俺だってこいつと戦うのは初めてなんだ!!」


キリトの言った通りこのボスはβ時代と100%違う。
正直なとこキリト知らないことだらけで困惑してる


「…またしても」


!?


この場に居る全員が反応する。
部屋全体に響くドスノ利いた声、一介のプレイヤーの出せる声ではない。誰もが思うその矛先


「またしても…わしに刃向うのか…白金の剣士いいいいいいいいいいいいいいい!!」


御坂「え!私!?」


「わしの右耳を切り裂き、大帝様を葬り去った貴様が…またしてもわしに刃向うのか!!!??」


浜面「…まーた、喋るやつかよ」


そう喋るやつだ。SAOではNPCを除いて喋るモンスターは少ない、だが極稀に喋るのも居る。
前回だと第3層のフロアボスがそうであった、今回は街にあった『白金の剣士』の伝説に基づくセリフらしい


「積年の恨み…今ここに…放したりいいいい!!」


そう言うと第5層フロアボス『ザ・ゼネラル・ジャンボス』はその巨体でこちらに突進してくる

201: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/04/13(土) 21:52:57.93 ID:/eMEMo390

キリト「…おい、指名されてんぞ」

御坂「解ってるわよ…」

キバ「ケッ!!下らん茶番や…キバオウ隊迎え撃つぞ!!」


「「「「おおおおおおおおお!!!!」」」


シンカー「シンカー隊!!私達も行きますよーーー!!!」


「「「「おう!!!」」」


2つの大隊が一斉に『ザ・ゼネラル・ジャンボス』に突撃する


上条「俺達も行こう!!」

キリト「あまり突っ込むなよっ?」タッ

上条「そっちこそ!!」タッ

浜面「俺らも援護に行きますか」

土御門「だにゃ」

アスナ「ミコトさん!?」

御坂「そうね…」


美琴は白金の剣を構え突進の準備をする


御坂「私の指名は…あいつで埋まってるって教えなくっちゃね!!」



ここに

第5層フロアボス、『ザ・ゼネラル・ジャンボス』戦が始まる


202: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/04/13(土) 21:54:14.77 ID:/eMEMo390


セコイア・上条達の宿


初春「そろそろ、ボス戦が始まったころですかね…」

滝壺「だろうね…」

初春「御坂さん達、大丈夫でしょうか今回β時代と全く違うってアルゴさん言ってましたけど…」

滝壺「大丈夫。みんなはちゃんと帰って来るよ」

初春「…そうですよね」


部屋の窓際で話す2人。
攻略組ではない2人ができるのは出発前のサポートか、こうやって祈るぐらいだ。
と言っても、普段は『新聞』の記事を書いてたりするのだが


ガチャリ


初春・滝壺「「!?」」

佐天「おはよー…」

初春「佐天さん!!」


奥の部屋から罰悪そうに出てきたのは佐天だった。

203: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/04/13(土) 21:55:47.74 ID:/eMEMo390

初春「もう大丈夫なんですか!?」

佐天「大丈夫っちゃ大丈夫なんだけど…」

初春「なんだけど?」

佐天「お腹すいちゃって」グウウ

初春「はりゃ」


空腹はSAOで眠気と並ぶ絶対にくる数少ない生理現象。
例えレベルが高かろうが低かろうが皆平等に来るものだ、これはショウガナイ


初春「待っててください直ぐに準備しますね!!」

佐天「軽めでねー…」


張り切ってキッチンに向かう初春。
その様子の見ながら椅子に座る佐天


佐天「はあー…」

滝壺「…顔色がよくなったね」

佐天「へ?」

滝壺「顔色がよくなった、さてん」

佐天「…そうですか?」

滝壺「うん、なにか捕り物が落ちたみたい。あと1歩だね」

佐天「あと1歩、か…」

滝壺「大丈夫。きっと背中を押してくれる人が来るよ」

204: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/04/13(土) 21:59:38.97 ID:/eMEMo390

佐天「背中、っか…」


確かに彼女は誰かと話せるまで回復した。
と言っても普段通り笑顔を振りまくような元気はないが、それでも今までのふさぎ込んでたのよりはいい。
しかし何かが足りない、100%になるには何かが足りない。
まだ彼女は答えを見つけてない、しかし


佐天(多分解ってるんだけどなあー…)


初春「はい…佐天さん」コト

佐天「ありがとう…」


初春がテーブルの上に置いたのはサンドイッチ、野菜とハムの様なものが入ったまあ一般的な物だ。
佐天はそれを口に運ぶ


佐天「おいし…」

初春「よかったー結構苦労したんですよ!」

佐天「えっ!?これ初春が作ったの!?」

初春「皆さんが攻略に行くので頑張って作りました!!」

滝壺「わたしもやった」

佐天「ありがとう…そう言えば朝早いと何時も作ってくれたよね」

初春「ええ…私達に出来ることってこれくらいでしたからね…今は新聞がありますけどね」

佐天「新聞ってこの?」

205: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/04/13(土) 22:01:45.67 ID:/eMEMo390

初春「はいそd」


言葉が詰まった。
彼女が見てるのは明日の新聞の原稿、それは特集である3人を組んでる。
それは一昨日佐天たちを『ヨラバタイ樹』で襲った3人、ご丁寧に似顔絵まで付いてる。
そう、彼女を切り刻んだあの男も


初春(しまった!?)


そう彼女のミスである。
正直、この絵は佐天にとってトラウマでしかない。
これをしまっとかなかったのは初春のミスである


佐天「…」

滝壺「さてん…」

初春「佐天さん…」


心配になって声を掛ける2人。だが


佐天「大丈夫だよ!!」

初春「え!?」

佐天「たかが似顔絵位に泣いたりしないよ!この私が」

初春「でもー…」

滝壺「無理してない!?」

佐天「無理してませんよ滝壺さん!!だってどうせ忘れないんですから!!」

初春「それってトラウm」

佐天「トラウマじゃないよ、これを糧にもっと頑張るって事!!」クル

佐天「そ、忘れられないもんね…」


笑顔で言う彼女を見て初春と滝壺はもう安心だと思った。
しかし、彼女達は振り返った後の顔、いや全身の挙動をよく見とくべきだった。
笑顔ではなくその顔はまさしく憎悪で満ち溢れてたことに



佐天(あいつは私が絶対にコロス…)



206: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/04/13(土) 22:03:22.61 ID:/eMEMo390



「よーっス!!」


勢いよく扉が開くのと同時に元気のいい声。情報屋のアルゴが入ってきた


初春「アルゴさん!!」

滝壺「おはよう」

アルゴ「おう!!なんか飯ねーカ?」

初春「あ!ちょっと待ってくださいね」

アルゴ「お!!やっと出て来たか引きこもり娘!!」

佐天「引きこもり娘って…」

アルゴ「どれ!オネーさんに顔を見してみなさイ」


そう言うと佐天に近づき顔などをジロジロ見るアルゴ。
『《鼠》と5分放すか見られると100コル分の情報を取られる』と言葉がアイングラッドにはある。
正直、佐天は警戒する


佐天「…いくら分の情報が取れました?」

アルゴ「そんなんじゃねーヨ!ただ元気が出たかどうかチェックしただけサ」

佐天「ははっは、そうだったんですか…」

207: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/04/13(土) 22:04:51.92 ID:/eMEMo390

アルゴ「笑いが出るってことはそれなりに何とかなったようだナ!
ま、オネーさん的に診断すると『付き物が落ちて、新たな付き物が着いた』って感じだナ」


佐天「なんですかそれ?」

アルゴ「解らなければいいサ」

佐天「?」

初春「はいどうぞ」

アルゴ「お!あんがト」


礼を言うと食べ始めるアルゴ。
先ほどの佐天と違い勢いよく食べる、よほどお腹が減ってたのだろう。5分も掛からず食べ終える


アルゴ「っぷふーゴッツォウサン!!」

初春「お粗末様です」

アルゴ「お!そうだルイ!!」

佐天「なんですか!?」

アルゴ「これ、返すナ!!」

208: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/04/13(土) 22:07:19.05 ID:/eMEMo390

そう言って彼女はアイテム欄からある物を実体化する。
それは銀色の金属製の長い持得、先頭が3つに分かれた刃『ディダス・ストライク』佐天のランスだ


佐天「それってあたしの!!」

アルゴ「おう!!玄関におきっぱだったから借りてたぜイ!!」

佐天「…でもなんで?」

アルゴ「ちょっとナ。お前の愛しの『オニーサン』から頼まれてナ」

佐天「お、おに!!///」


声が詰まる。
確かに佐天は土御門に対してオニーサンと同意語の『アニキ』と言った。
しかし、それは酒に酔ってた時の事で本心では無い…はずである


初春「あー、言ってましたね寝起きで」

滝壺「はっきり言ってたね」

佐天「うっ…///」

アルゴ「おー普段いじる側だけどいじられるとそうなるのカー、かわいいナー」

佐天「…で、私をいじるために来たんですか?」

アルゴ「だから行ったロ。『オニーサン』から様子を見て来いって頼まれたってナ」

佐天「それが解らないんですよ。…心配ならあのまま残ってくれてもよかったのに」

アルゴ「…まあ、今回はツッチーも役割があるしな!」

佐天「…役割?」

アルゴ「そ!今回はあいつは《盾》のガード隊。前衛ダ!」

佐天「でもオニ…土御門さんって前衛じゃ…」

アルゴ「そうだナ。ツッチーはどちらかと言うと後衛、前に出るタイプじゃないナ」


佐天(私が行かなかったばっかりに…)


そう、土御門は今回佐天のポジションで戦ってる。
確かに今回前衛の《盾》装備の者は少ない、それは《片手剣》装備者が少ないと言うのもあるがこればかりはしょうがない。
しかしそれでも責任を感じてしまうのが佐天


アルゴ「…責任を感じてるのカ?」

佐天「…」

209: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/04/13(土) 22:08:51.81 ID:/eMEMo390

感じてる。
確かにアルゴの言う通りだが、どうにもワザとこのような状況を作ったように見えなくもない


アルゴ「ま!しょうがない、ルイのせいなのは間違いないからナ!」

佐天「…っ!!」

初春「ちょっとアルゴさん!!」

滝壺「言いすぎ」

アルゴ「でも、事実だロ!」


きつい口調の正論に場が静まる。
反論もフォローの言葉もない、それがアルゴの言葉がいかに正論であるか物語ってる


佐天「…でも…私は」

アルゴ「トラウマカ?」

佐天「…」

210: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/04/13(土) 22:12:25.02 ID:/eMEMo390

アルゴ「ふん!!なにがトラウマだ、そんなのトラウマにかこつけてただサボってる引きこもりと同じじゃねーカ!」

初春「アルゴさ――」


あまりの言いっぷりに間に入ろうとする初春だったが思わぬ人物から止められる。
滝壺だ、彼女は目で語りかける「このままアルゴに言わせろと」


アルゴ「力を持っているのに何もしないで引きこもって、誰かに甘えて。そんな自分が恥ずかしくないのカ!!」


アルゴ「悔しくないのカ!?ああ!!?」


これでもかと言うくらいに罵声を浴びせる。
ここまで来ると佐天が可哀そうに見える、案の定俯いて体をプルプル震わせてる。泣いてるのか、違う


佐天「…しいに」

アルゴ「ン?」


佐天「悔しいに決まってるじゃないですか!!
私だって解ってますよ、こんなとこでうじうじしてちゃダメだって!!でもできないんです!!」


アルゴ「なんでダ!!」

佐天「解んないですよ!!自分でも!!でも、でも…」


言葉が無くなる。


アルゴ「…解んないなら」

佐天「?」

アルゴ「今は何も考えないで行動したらいいんじゃないカ?」

佐天「何も考えず…」

211: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/04/13(土) 22:14:37.63 ID:/eMEMo390

アルゴ「そうダ!だって、悪いことしか思いつかないのに考えてばっかだったら、そりゃ悪いことしか思いつかないサ。
そんな時は心の思うがままに行動するのがいいんじゃないか?」


佐天「心の思うがままに…」

アルゴ「例えば体を動かしたりナ!ちなみにオネーさんは落ち込んだ時そうするナ!」

佐天「体を動かす…」


アルゴ「そう!…オネーさんが見た感じな、ルイっていつも元気だけど凹む時は一気に凹むような気がするナ。
まあ、付き合いが短いから何とも言えないガ。ただ、ルイみたいなのはそんな時は体を動かして大声を出すのが1番いいと思うゼ。
そう、これとかナ」


そう言うと彼女は佐天の『ディダス・ストライク』を掴み目の前に出す。
それはつまりこれを使いもう1度戦場に出ろと言うことだ


佐天「でも…」

アルゴ「大丈夫。オレッチが保証する、お前はけっこう強い方だヨ。それに今から行く所はお前を待ってる奴がいるんじゃないカ」

佐天「待ってる奴…」


アルゴ「お前のニーちゃん、ミコトにアーたんそのほかにもいるだろウ?
それに、お前にいつも通り元気になってほしいのは目の前にも居るけどナ」


佐天が前を見る。そこには初春と滝壺がこちらを心配そうに見てる。


佐天(そうだよね…みんなあたしを心配してるんだよね…そうよね)

212: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/04/13(土) 22:17:23.94 ID:/eMEMo390


何かが吹っ切れたような優しい顔で佐天が微笑んだ。
それを見た初春に滝壺にも安堵の顔になる


アルゴ「(決まったようだナ)で、お前はこのランスでどうすル?」

佐天「決まってますよ!」


そう言って彼女はアルゴの手から『ディダス・ストライク』を受け取る。
そしてメニューを開き現在の部屋着から攻略用の装備、服装に一瞬で着替える。そして3人を見て



「今からみんなの所に行きますよ。この、ランサー佐天涙子がね!!」



初春「佐天さん!!」

滝壺「さてん!」

アルゴ「(イイ顔になったじゃねーカ!)そのランス、ちょっと弄らせてもらったゾ」

佐天「そう言えば棒の柄が変わったような…」

アルゴ「そのランスは軽いけど対《ブレス》の属性が付いてル。いわばお前が切札ダ!」

佐天「切札…なんか燃えてきた!!」

アルゴ「いい調子じゃねーカ」

初春「佐天さん!!」

佐天「初春…」


今まで自分を1番心配してた少女。彼女は初春に近づき抱きしめる


佐天「心配かけてごめんね…私大丈夫だから」

初春「その笑顔とその元気…見れただけで大丈夫だと確信してますよ」

滝壺「さてん」

佐天「滝壺さんも…迷惑かけました」

滝壺「大丈夫。はやくみんなの所に行ってあげて」

佐天「はい!!」

アルゴ「おーそうだ。ルイ、これ使えよ」


彼女はアルゴから水色の結晶を貰う。見たこともない物だ




213: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/04/13(土) 22:21:10.11 ID:/eMEMo390

アルゴ「これは《転移結晶》と言ってな、これを使った者が行ったことがある場所に瞬間移動できるんダ。
手に持って『転移・○○』って感じでナ」


佐天「おおー!!白井さんみたい」

アルゴ「お前、迷宮の入り口までは行ったことあるよナ?」

佐天「はい!!…じゃあ」

アルゴ「おっとその前に…こレ」


懐から取り出す。
それは青と白のコントラストの綺麗な帯状の布、鉢巻みたいだ


アルゴ「『ドラモンのポッケ』…まあ、見ての通りポッケじゃないけド。
腰に巻けば運気が上がるらしいヨ。オネーさんからの餞別ダ」


佐天「いいんですか?」

アルゴ「ほら!オネーさんの気が変わらないうちにナ」

佐天「ありがとうございます!!」

アルゴから『ドラモンのポッケ』を貰い腰に巻く。そして

佐天「じゃあ…行ってきます!!」

初春「いってらっしゃい」

滝壺「気を付けて」

アルゴ「ニーちゃんによろしくな!!」

佐天「ハイ!!…転移―――」


214: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/04/13(土) 22:22:43.62 ID:/eMEMo390



初春「…行きましたね」

滝壺「そうだね…」

アルゴ「はあー疲れタ」

初春「アルゴさん…」

アルゴ「憎まれ役も疲れるナー」

滝壺「やっぱり」

初春「途中から何となく解りましたけど…でもなんで?」

アルゴ「あの手の奴は手を出して引っ張るより、後ろから蹴り押す方が速いのサ」

滝壺「蹴り押す…」

初春「でも流石にやりすぎじゃー…」

アルゴ「そう言うと思ったヨ。だからオレッチが言ったんだロ?友達はただ優しいだけじゃ駄目だゼ。
ま、ハルには難しいだろけどナ」

初春「うぐぐ…」

滝壺「でも、さてんこれで大丈夫そうだね」

初春「…そうですね。そうですよね!」

アルゴ「っふ…じゃあ、編集始めんゾ!!」


滝壺・初春「「はーい!!」」


224: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/04/20(土) 20:42:09.52 ID:kKJR/R9G0
第5層・迷宮区


ボスの部屋内




『ザ・ゼネラル・ジャンボス』との戦闘が始まって2時間、相手の残りHPは1本半になってた。
戦闘は攻撃のキバオウ隊、防御のシンカー隊の連携、サポートのキリト達によって1人の死者も出ず順調に進んでる


キリト「…」


だが俺の顔は暗い、何かに引っかかってる様だ。
現在俺とミコト、ツッチーの3人は後ろに下がり回復のPOTしてるところだ。
残り3人は前線で戦ってる


御坂「どうしたのよ、暗い顔しちゃってさ」

キリト「へ!?」

土御門「考え事?」

キリト「ああ…」


順調すぎる、いくら俺が未知の敵とは言えここまで簡単だといささか不安になる。
正直警戒してた《ブレス》も口から出すのではなく『ザ・ゼネラル・ジャンボス』の片耳を扇ぐものなのでパターンが読めやすい、
なので思ってたほどのダメージは無い。
とすると残った攻撃方法は右手に持った剣と、長い鼻やボディアタックになる。
単調な攻撃で気を付けるスキルも今の所無い、なのでここまで来てるのだが


土御門「そろそろ俺らの体力も回復してきたし、カミヤン達と交代すぜよ」

御坂「そうね。ほら、あんたも」

キリト「あ、ああ…」


ミコトの手を借りて立ち上がろうとした時


「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!」

225: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/04/20(土) 20:44:30.99 ID:kKJR/R9G0

部屋全体にボスの『ザ・ゼネラル・ジャンボス』の声が響き渡る。
今までにない大きな絶叫、あまりの事に前衛の攻撃部隊の剣も止まる


「貴様等ーー!!!わしにここまでやらせるとは!やらせるとは!!」


今までに無いセリフを言いだして皆の注目を集める。
俺は気になり奴のHPを見る、するとさっきは半分あった2本目のバーが0になってる。
そして奴のHPはバー1本


御坂「ちょっと…これって!?」

キリト「みんな!!全員後退しろーーー!!!!」


俺はとっさに叫んでいた。前線の方でもキバオウやシンカーが撤退を促してる


キバ「下がれ!!下がるんや!!!」

シンカー「みなさん!!下がってください!!!」


わらわらと蟻の子の様に撤退する。
当の『ザ・ゼネラル・ジャンボス』は蹲り


「やらせはせん!やらせはせんぞ!!やらせはせん!!!」


とブツブツ呟いてる


上条「キリト!!」


前線に出てたカミジョウとハマー、アスナが戻ってきた


アスナ「どう言う事なの!?」

キリト「解らない。とりあえず最初に《ブレス》に耐えた陣形になろう。周りの奴も《ブレス》に備えてくれ!!」


「「「おお!!!」」」


俺はとっさに周りに指示する。
カミジョウが床に剣を刺し最初の陣形になる俺ら、周りも各々防御陣形になって《ブレス》に備えた。
だが思わぬ展開になる

226: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/04/20(土) 20:46:22.00 ID:kKJR/R9G0


「ふん!!」


一瞬力んだ声を出す『ザ・ゼネラル・ジャンボス』すると奴の体がでかくなった。
更に大きくなる、まるで風船に空気を入れてる時みたいにどんどん膨らむ


御坂「…ちょっと」


ミコトが驚愕の声が出る。
それはここに居る者が全員思ったに違いない、もちろん俺だって驚いてる。
しかしそんなのと関係なしに『ザ・ゼネラル・ジャンボス』は膨らみ続ける、
最初『グリーズ・リー』と同じぐらいだったのが2倍、さらに大きくなる。
そして膨らむのが止まる


「踏み潰してくれるわ!!」


そう言って奴はその巨体を動かし始めた。巨大な足が俺達めがけて向かってくる


キリト「みんな逃げろ!!カミジョウ手伝うぞ!!」

上条「サンキューキリト!!せーので行くぞ。せーの」


キリト・上条「「ふん!!」」


俺とカミジョウで床に刺さったカミジョウの剣を抜き、すぐさまその場から離れる。
直後、そこに『ザ・ゼネラル・ジャンボス』の巨大な足が来る。
ズシン!!と重たい音と振動が部屋に響く


キリト「あれに踏まれたら…」

上条「ヤバそうか?」

キリト「考えたくもない…とにかく今は攻撃に専念しよう!!的の方がでかくなったんだ今しかない!!」


「「「おお!!!」」」


全員での総攻撃が始まる。だが

227: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/04/20(土) 20:48:58.40 ID:kKJR/R9G0

土御門「こいつ!!」ザン!!

浜面「全然攻撃が効いてねえ!!」

御坂「そうよコイツって!!」

アスナ「脚部の防御力高いんだった!!」

上条「くっそ!!」


『ザ・ゼネラル・ジャンボス』の脚部の防御力は高い。
なのでさっきまでは頭などの上半身か鎧の部分が少ない背中を狙ってたのだが、今ははるか頭上にあり届かない。
どうする俺!?


キバ「剣がくるで!!」


キバオウが叫ぶ。言った通り『ザ・ゼネラル・ジャンボス』が剣を振り下そうとしてる。


「ぬおおおおおおおおおおお!!!!!!」


ゆっくりとしたモーションだが確実に威力は高いと見れる。
剣が付きそうなポイントから一斉にみんな退避する


上条「キリト!!」


キリト「なんだ!?」


上条「剣が地面に着いた瞬間、奴の腕に飛び乗ろう!!」

キリト「…はあ!?」

上条「だから腕に乗って、そのまま駆け上がったら奴の顔とかに行けるんじゃないか?」

キリト「なるほど…その手はあるな」


最初は驚いたが案外いい案かもしれない。
奴の腕は先ほどの巨大化で3回りほど大きくなってる、『ヨラバタイ樹』まではいかないが十分に人が乗れる大きさはある。
それに剣が地面に振り落とされるってことは垂直ではなく、少しキツイ上り坂程度だろう。
俺はカミジョウの案に乗ることにした

228: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/04/20(土) 20:51:06.05 ID:kKJR/R9G0

浜面「なんかよく解んないけど」

土御門「とりあえず俺達の後ろに隠れるぜよ」


《盾》装備の2人が俺達の前に出る。
2人の後ろに隠れる、そして後ろにミコトとアスナが来たと思ったら


「来るぞーーー!!!」


誰かが叫ぶ。
その刹那『ザ・ゼネラル・ジャンボス』の剣が地面に突き刺さる。
これまでに無い揺れと轟音、経験したことないがもし爆発事件とかあったらこんな感じかもしれない。
俺はタイミングを見計らってツッチーとハマーに


キリト「よし!!ツッチー、ハマー!!そのまま進んでくれ!!」

浜面「はあ!?」

土御門「にゃんだと!?」

上条「早く!!」

御坂「ちょっと!何事!?」

アスナ「キリト君!?」

キリト「説明は走りながら!!」


そう言って俺は走りながらカミジョウ以外の4人に説明する。
かなり支離滅裂な説明だったが解ってくれただろうか?


御坂「無茶苦茶よ!!」

上条「やるしかないんだよ!!」

土御門「おい!!もう着くぞ!!」


目の前に奴の剣が迫る。
先ほどの体型より動作が遅いのは巨大化したからだろうか、だがこちらとしては都合がいい。
この大きさで素早く動かれたらたまったもんじゃない


キリト「ツッチー、ハマー!!カウント5で止まってくれ!!」


土御門・浜面「「わかった!5」」


キリト「カミジョウ!!」

上条「おう!!」

御坂「どうなっても!!」

アスナ「知らないわよ!!」


後方2人の忠告が聞こえるが今はやるしかない


土御門・浜面「「1!!」」


言った通り止まる2人。俺とカミジョウは躊躇なく2人の背中を踏み台にしジャンプする


キリト・上条「「うおおおおおおおおおおおお!!!」」

229: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/04/20(土) 20:51:49.58 ID:kKJR/R9G0

難なく俺達は奴の腕に着地する。少しごつごつしてるが走りにくそうな事はなさそうだ


キリト「カミジョウ!」

上条「大丈夫だ…御坂たちは!?」

キリト「気にしないで走ろう!!とにかく頭部に行くことが先決だ!!」

上条「…ああ!!」


俺達は『ザ・ゼネラル・ジャンボス』の頭部へ向けて走り出した


230: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/04/20(土) 20:53:21.26 ID:kKJR/R9G0


御坂「アスナさん!!私達も!!」

アスナ「ええ!!」

土御門「まて!!」

浜面「動き出したぞ!?」


奴の腕がゆっくり動き出す。
このままでは距離が離れてしまう


御坂「っちい!!土御門さん浜面さん!!早く!!」

土御門「ああ!!」

浜面「解った」


もう一回踏み台になる2人


御坂「アスナさん!!」

アスナ「ええ!!ミコトさん!!」


アイコンタクトを取る。そして深呼吸をすると


御坂・アスナ「「はああああああああああああ!!!」」


走り出す彼女達。

231: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/04/20(土) 20:55:11.97 ID:kKJR/R9G0
土御門と浜面を踏み台にし、先ほどのキリトと上条の様にジャンプをする。だが


御坂(まずい!)

アスナ(腕が!?)


『ザ・ゼネラル・ジャンボス』の腕が動きだし先ほど位置よりも高くなってる。
これでは飛び移るのは無理だ


御坂「なら!」

アスナ「腕に攻撃ぐらいは!!」


剣を構える。
美琴は3連撃の『シャープネイル』をアスナも3連撃の『ウィッシュ・スター』をそれぞれ奴の腕に加える。
だが大したダメージにはなっていない


浜面「あまり喰らってない…か」

土御門「あの2人は!?」

232: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/04/20(土) 20:56:32.31 ID:kKJR/R9G0


キリト「走れええええええええ!!」

上条「うおおおおおおおおおおおおおお!!!」


ひたすら『ザ・ゼネラル・ジャンボス』の腕を駆け上がる俺達。
奴が腕を動かしたのか勾配がゆるくなる、正直ありがたいが俺の中である疑問が浮かぶ。
それをカミジョウにぶつけてみることにした、もちろん走りながら


キリト「なあカミジョウ!!」

上条「なんだ!?」

キリト「これってさ!!こいつが動いてるから勾配がゆるくなってるんだよな!?」

上条「多分、そうだと思う!!」

キリト「って事はこいつが腕を上にあげたら下り坂になるよな!?ってかなってるよね!?現在進行形で」

上条「やっぱ俺の気のせいじゃない!?」

キリト「…」

上条「…」


上条・キリト「「止まらねーーーーー!!!!」」

233: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/04/20(土) 20:58:44.94 ID:kKJR/R9G0

さっきまでの上り坂から一気に下りになる。
正直転びそうだし、足を踏み外して落ちそうだ。
この高さから落ちた時のダメージとか…考えたくもない。
プラスに考えよう、足が止まらないのは事実だが、逆に今までよりもスピードが増しどんどん顔に近づいてきてる。
もう少しで耳に着く。

…『耳』


キリト「カミジョウ!」

上条「なんだ!?」

キリト「このまま『耳』を切ろう!!」

上条「なんで!?」

キリト「元から強力だった奴の《ブレス》がこんな巨体になってるんだぞ!!威力だって増大されてるに違いない!!」

上条「それは言えてるな!!だけどどうやって!?」

キリト「ここからジャンプすれば届くはずだ!!」

上条「じゃあ3つ数えたらな!!3,2,1」


キリト・上条「「うおおおおおおおおおおおおお!!!」」


腕から飛び出し耳まで飛ぶ俺達。だがこれに『ジャンボス』が反応する


「小賢しい!!」


耳を動かす。
どう考えても《ブレス》を発動させるつもりだ、空中では身動きが取れない。
身構える俺とカミジョウだったが


「ふん!!」


力み声と共に来たのは横向きではない上昇気流。
《ブレス》スキルの1つ『アップ・ドラフト』名前の通り凄まじい上昇気流を生み出し敵を宙に吹き飛ばすスキル。
俺達はなすすべもなく上に吹き飛ばされ


キリト「なっ!!」

上条「うっ!!」


天井に叩きつけられる。
そのまま落ちて大ダメージかと思ったが、幸い天井にびっしり生えてた蔦に絡まり落下は防げたが


キリト「大丈夫か?」

上条「ああ…でも、身動きが取れない」

キリト「同じく…」


派手に絡まったらしく身動きがと出ない。
しかもこの高さ『ヨラバタイ樹』ぐらいの高さがあるんじゃないか?…どうしよう

234: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/04/20(土) 20:59:57.69 ID:kKJR/R9G0


土御門「カーミヤーーーン!!」

アスナ「キリトくーーーん!!!!」

御坂「見えますか?」

浜面「多分…天井に居るチッコイノかな?」


地上で心配をする4人。
ここからだと浜面が言った通り、キリトと上条がコメ粒ぐらいの大きさでやっと見えるぐらいだ。
しかしそれも『ザ・ゼネラル・ジャンボス』の姿で見えなくなる。
ちなみに彼らは先ほどの『アップ・ドラフト』のダメージはそれほど受けてない。
どうやら『ザ・ゼネラル・ジャンボス』を中心部ではそこまで風は吹いてなかったようだ。
云わば台風の目だ


御坂「さて、こいつを倒したいけど」

浜面「さっきからの飽和攻撃がねー…」


勿論、現在に至るまで足元の攻撃は続いてる。
しかし巨大化してから防御力の高い脚部しか攻撃できず、HPも最後のバー1本になってるが2割程度しか減ってない。
せめて、ここから近い背中付近の鎧の隙間に攻撃出来たら大ダメージを喰らわすことが出来るのだが


アスナ「ここでちまちまやってくしかなさそうね…」

土御門「だにゃ…とりあえず俺達はPOTに入ったから回復…!?」

235: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/04/20(土) 21:00:49.63 ID:kKJR/R9G0

土御門が異変に気付いた時それはおこった


「ふん!!」


またしても『ジャンボス』の力んだ声。そして


御坂「きゃああああああああああ」

アスナ「いやああああああああああ」

土御門「にゃあああああああああああああ」

浜面「おおおおおおおおおおおおおおお」


彼女ら4人は『アップ・ドラフト』の上昇気流に巻き込まれ中に吹き飛ばされてしまう。
他の者は風が飛ばされてない、おそらく一定の間隔で風の壁があるのだろう。
そのエリアに居なければ『アップ・ドラフト』には引っかからないらしい


キバ「皮被り!!」

エギル「くっそ、このまま落ちたらやばいぞ!!」

シンカー「くっ!!みなさん、彼らが落ちそうな所を助けますよ!!」


「「「「おお!!!」」」」


エギル「全員風に注意しろ!!じゃないと吹き飛ばされるぞ!!」

236: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/04/20(土) 21:01:33.07 ID:kKJR/R9G0


御坂「アスナさん!!みんなっ…大丈夫!?」


風に飛ばされながらも安否確認する美琴。
自身も宙に浮いたままで身動きが取れない


アスナ「ハマーさん…達が!!」

御坂「…っえ!?」


見ると離れたところ、美琴達よりも若干下の位置に居る。
手を振って無事そうだが


御坂・アスナ「「上、上!!」」

237: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/04/20(土) 21:02:49.45 ID:kKJR/R9G0


離れたところに居る野郎2人


土御門「とりあえず無事操舵にゃ~」

浜面「さっきから何言ってるんだ?」


全身を使って何か言ってる美琴とアスナ。
風の音で何を言ってるか聞こえない


浜面「…!?土御門!!」

土御門「!?」


気付くと目の前に『ジャンボス』の巨大な鼻が迫ってくる。
その動作は何かを叩き落とすかのごとく、つまり


ドン!!


鈍い衝突音が響く。
動作は遅かったがその威力は重く、何よりも強かった。すなわち


土御門「ぐわあああああああああああああ!!!」

浜面「ああああああああああああああ!!!!!」


弾き落とされる土御門と浜面。
落下スピードは砲弾のごとく速い


土御門「くッ!!」

浜面「これまでかっ!!」


このスピードで落下して唯で済むはずがない。
しかも彼らは吹き飛ばされる直前に回復しようとしてたが出来なかった、なので彼らは残り6割のHPしかない


ドゴン!!


238: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/04/20(土) 21:04:15.57 ID:kKJR/R9G0


轟音を立て地面に墜落する2人。
だが思ったよりダメージは少ない、HPもレッドだが何とかある。いったいなぜ


シンカー「大丈夫ですか!?」

土御門「あ、ああ(誰だっけこいつ…)」

シンカー(なんか失礼な事思われてるような気が…)

エギル「いい衝撃だったぜ、にーちゃん」

浜面「エギル!!」


どうやら、エギルやシンカーたちが下で支えてクッション代わりになってくれたようだ


キバ「ええからはよ降りいや。重いっちゅーねん!」

浜面・土御門「「あ、いたんだ」」

キバ「なんでワイだけそんな反応なんや!!」

エギル「…で、嬢ちゃんたちは!?」

浜面「そうだ!!まだ上に!」

キバ「っちい!!キバオウ隊!!もう1回落ちてくるで!!」


「「「おう!!」」」


シンカー「シンカー隊も、行きますよ!!」


「「「はっ!!」」」


エギル「お前らはそこで回復してろよ」

浜面「ういーっす」

土御門「わるいにゃ~」


そして2人は回復薬に手を出し飲み干す。
しかし未だに『アップ・ドラフト』は終わらない、おそらくこいつを倒すまで続くのだろう


浜面「っぷは…大丈夫か姫たち」

土御門「ここからだと何も見えないからにゃ~何とも言えないぜよ」

浜面「まあ、リスト見た感じ無事そうなにはするな…うお!またコイツ動いたぞ!?」

土御門「今度は剣か!?」

浜面「でもなん…おい!?」

土御門「なん…あれは」

239: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/04/20(土) 21:05:21.28 ID:kKJR/R9G0



話は土御門たちが叩き落とされたところまでもどる


アスナ「ツッチーーーさあーーーんーーー!!ハマーーーさーーーん!!」


落ちた2人を心配するアスナ


御坂「アスナさん!!」

アスナ「何!?」

御坂「あれ!!」


美琴が指差す。
それは先ほど土御門と浜面を吹き飛ばした『ジャンボス』の鼻


アスナ「鼻がどうしたの!?」

御坂「ここから移動して鼻に攻撃できないかしら!?」

アスナ「でもどうやって!?」

御坂「こうやって泳いで…」


と言って美琴はその場でバタフライのジェスチャーをした


240: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/04/20(土) 21:06:37.28 ID:kKJR/R9G0


アスナ「はぁ…ミコトさん、漫画じゃないんだから」

御坂「でも、ゲームでしょここは」ニ


アスナの意見に冗談交じりの意見で返す美琴。しかし


アスナ「でも、やってみるのもいいかもね」


納得したようだ。


アスナ「じゃあ鼻の方は私が行くわ、ミコトさんは耳の方お願い!」

御坂「解った!!」


そう言ってアスナはその場から泳ぐように移動する。
しかし、移動できたと言ってもほんのわずか、更に下の方に行くのは困難だ


アスナ(…だったら!!)


意を決しアスナは自分の居る風の壁から飛び出る。
出た途端ものすごい速さで落下し始める、だがこのままでは地面に追突してしまう


アスナ「…っく!(できるかな?)」


そこで彼女はまた風の壁に戻る。
こうすることによって下る時への距離を稼げる、細かいがそれが速い。そして


アスナ(見えた!!…『ジャンボス』の鼻!)


そして彼女は自身の武器『レイピア・ボウ』でスキル『リニア』を発動させる


アスナ「はああああああああああ!!」


雄叫びと共に風の壁から飛び出し、一直線に『ジャンボス』の鼻に跳ぶ。
そして彼女の剣が鼻に突き刺さる


アスナ(できた…)


彼女は『ジャンボス』の鼻に突き刺すことによって微笑であるがダメージと、バランスを取ろうとしてた。
何せ鼻は『ジャンボス』自体がゾウの獣人であるためよく動く、弾き飛ばされてしまうかもしれない。
体勢を立直し頭部へ向かおうとした時


アスナ「っく!!」


突然『ザ・ゼネラル・ジャンボス』の体が大きく揺れる。
慌ててアスナは自身の剣をもう一回刺し堪える。
揺れが収まり何が起きたか確認の為に上を見るとある物が目に入る


アスナ「あれは…」

241: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/04/20(土) 21:07:55.54 ID:kKJR/R9G0


御坂(アスナさんが行った…)


アスナと別れた直後の美琴。
彼女は『ジャンボス』の耳を目指す、と言っても彼女は風に乗り上を目指すだけ。
そしてアスナと同じように適当なところで風の壁から飛び出るだけでいい


御坂(きた!!)


彼女は『ジャンボス』の耳の上に来た。
ここからなら奴の耳を切り裂ける、『ジャンボス』の耳は限界なのかボロボロであと1撃で部位破壊できそうだ


上条・キリト「「御坂(ミコト)!!下!!!」」


上から声が聞こえる、先ほど天井に激突した上条とキリトだ。
下と言ってるが


御坂「っへ?」


下からは『ジャンボス』の巨大な剣が下から向ってくる、直撃コースだ。
このまま串刺しになってしまうのか、美琴は一瞬覚悟を決める。だが


御坂「!?(あのランス…あっ!!)」


剣がずれてる。『ジャンボス』の顔を見る、奴の目には何かが刺さってる。
それにより奴は体制を崩したようだ、そのチャンスを彼女は見逃さない


御坂「はあああああああああああああ!!!!」


彼女は片手剣スキル『バーチカル』で『ジャンボス』の片耳を切り裂く。
そして『ザ・ゼネラル・ジャンボス』の耳は消滅し吹き荒れてた風も止む


御坂「やった!!」


「ミコトさああああああああああああんん!!」


御坂「!?」

242: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/04/20(土) 21:08:54.59 ID:kKJR/R9G0


アスナ「よけてえええええええええ!!!!」

御坂「ええええええええええ!??」


『ジャンボス』の鼻がこちらに向かってくる。
その鼻の上にはアスナがいる、おそらくあまりにも動くので動けないのだろう


御坂「っぶ!!」


無残にも鼻は美琴に直撃し彼女は天井に吹き飛ばされ直撃する。
彼女はとっさに天井に生えてた蔦を掴み落下を防ぐ


御坂「っつ痛てててて…」


ぶつかった衝撃からか、彼女の顔を覆ってたターバンが消滅してる


上条「御坂!!」

キリト「大丈夫か!!!」

御坂「大丈夫よ…」

キリト「よかった…」フウ

上条「…で、さっきのは」

御坂「直ぐにわかるわよ」


上条・キリト「「へ!?」」


御坂「私達の仲間よ」


243: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/04/20(土) 21:10:11.22 ID:kKJR/R9G0


アスナ「くうううううう…」


揺れる鼻にしっかり刺したレイピアにしがみ付くアスナ、揺れがすごすぎて目も開けられない。
ふと気づくと両手て握ってるレイピアに自分以外の手の感触がある、ゆっくり目を開けるとそこには


アスナ「さて―――」

「…」


名を言い終える前にその者はその場からジャンプする。
そして『ジャンボス』の目に向けて飛び込む、そしてその者は目に刺さってたランスを抜き取り華麗に背中の方へ抜ける。
背中に向けるとその者が持ってるランスが光だす、そして柄を短く持ちランス近接用スキル《スラッシュ》が発動し


「はああああああああああああああああああああああああ!!!」


『ザ・ゼネラル・ジャンボス』の背中を切り裂きながら落下していく。
そしてスピードが落ちるとランスを抜き、今度は柄を眺めに持ち別のスキルを発動させる


「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」


素早い回転攻撃が『ジャンボス』を襲う。
『ジャンボス』もぬわああああ!!と悲鳴を上げてる。
そして攻撃が終わるとその者は自身の黒髪を靡かせながら地面に着地する。
1同唖然、何が起きたか解らない者が多い。
だが他者よりも解ってる者がここに6人


浜面は知ってる。あの黒髪を


上条は知ってる。あの度胸の良さを


美琴は知ってる。あのランスを使う人物を


キリトは知ってる。あの回転攻撃のスキルが出来るのはランサーだと今の所1人だけだと


アスナは知ってる。そのランサーは自分よりレベルは低いが技術と度胸で模擬戦で引き分けになったことを


土御門は知ってる。その子はいつもは元気だが実は繊細な事を、最近まで傷ついてたことを。自分の事を『アニキ』と呼んでくれることも


そしてそのランサーはゆっくり立ち上がり、スキル名を言った


「『ランス・サイクロン』…」

244: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/04/20(土) 21:11:02.99 ID:kKJR/R9G0


『ランス・サイクロン』ランス系の回転攻撃で最大攻撃数は【自分のレベル÷5の小数点以下切り捨て】である。
今の所ランサーでこれを使えるのは彼女だけだ


土御門・浜面・御坂・アスナ・上条・キリト「「「「「「佐天(さん)!!!」」」」」」


佐天「待たせたね、アニキ!!みんな!!」


ランサー佐天涙子、凱旋である



252: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/04/27(土) 21:11:11.78 ID:UH0dArAD0
「ぐおおおおおおおお!!」


エギル「倒れるぞーーーー!!!」

キバ「全員退避―――!!!」


怒号の指示で退避するプレイヤー。
先程の佐天の攻撃でダメージを喰らった『ザ・ゼネラル・ジャンボス』。今にも巨体が倒れそうになってる


佐天「アスナさん!御坂さん!!今です!!トドメを!!」

アスナ「っは!?」


我に返るアスナ。
確かに今『ジャンボス』は隙だらけで鼻も激しく動いてない、このまま一気に顔まで行ける


アスナ「おおおおおおおおおおおお!!!」


先ほどの佐天の様に中途なく走り出すアスナ。
右手に愛刀を握りしめ全速力で『ジャンボス』の顔面めがけて進む


御坂「アスナさん!!」

アスナ「!?」


天井に居る美琴からの声


御坂「顔面にいっぱいぶち込んでこいつの口を開けさせてください!!」

アスナ「解った!!」


どういう意図があるか解らないが顔面をいっぱい攻撃しろとの事だ。
言われなくてもぶちかますつもりだ


アスナ「はああああああ!!!」


愛刀『ストロング・ボウ』が光だす。
彼女はそれを『ジャンボス』のこめかみにぶち込んだ、何回もひたすらぶち込む


「ぐああああああああああああああああ!!!」


ついに『ザ・ゼネラル・ジャンボス』の口が大きく開く


御坂「来た!!」


待ってました、と言わんばかりの叫び


御坂「そっちは動ける!?」

キリト「ちょっと」

上条「無理かも…」


蔦が絡まってしまい身動きの取れない上条とキリト。

253: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/04/27(土) 21:13:28.44 ID:UH0dArAD0
に対して美琴は


御坂「っちい!!使えない!!」


上条・キリト「「使えない!?」」ガビン


本音をぶつける。
そして彼女は天井に足を付け


御坂「せいやああああああああああ!!」


勢いよく飛び出した。彼女の『白金の剣』も光りだし、『ザ・ゼネラル・ジャンボス』の口をめがけ勢いよく突っ込むように進む。

その間にもアスナは『ジャンボス』のこめかみに『レイピア・ボウ』をぶち込み続け


アスナ「ふん!!ふん!!」


佐天も迫り来る巨体に臆せず『ランス・サイクロン』でその背中を切り続ける


佐天「はあああああああああ!!!」


そして最後に美琴が『ジャンボス』の口内に突入し


御坂「受けて見よ!!『白金の剣』!!!」


その剣で『ザ・ゼネラル・ジャンボス』の体を貫いた



「ぬああああああああああああ!!!」


凄まじい悲鳴と共に奴の体は光となって消えた。
第5層フロアボス・ゾウの獣人『ザ・ゼネラル・ジャンボス』ここに消滅。第5層はここにクリアした。

254: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/04/27(土) 21:19:38.17 ID:UH0dArAD0



「「「「……」」」」


ここに居る多くのプレイヤーは目を丸くしてる。
自分たちが苦労したボスを最後に少女3人が華麗に倒してしまったからである


浜面「すっげー…」

土御門「ヒュー…」

エギル「ブラボー…」

キバ「なんなんや…」

シンカー「あの顔…」


様々な反応をする。一方彼女たちは


佐天「御坂さん!!」

アスナ「大丈夫!?」

御坂「問題ないわ!!」


見つめ合い。そして


御坂「やったーー!!」


歓声と共に『白金の剣』を振り投げ、宙に回転して落ちてくる剣をキャッチする美琴


佐天「よっしゃああああああああ!!!」


気合を込め『ディダス・ストライク』を振り回し、それを脇に抱えポーズをとる佐天


アスナ「ふふ」


血を払うように『レイピア・ボウ』を振り、納刀するアスナ


まるでRPGゲームで敵を倒した時の様な1シーン、今にもファンファーレが聞こえてきそうだ。その光景を見て誰かわからないがこう呟いた


「女三剣士…」


この時から、アインッグラットに『攻略組の女3剣士』の名が広まった

255: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/04/27(土) 21:21:47.08 ID:UH0dArAD0


上条「すげー」

キリト「アスナ達で倒しちまったよ…」

上条「御坂―!!すげーぞー!!」

キリト「ちょっとカミジョウ、暴れんなって!!」


天井の蔦に絡まったままの上条とキリト。
上条が美琴達に手を振って動くと蔦も動いて揺れるし、何よりも千切れそうである


ぶちぶち


上条「へ?」

キリト「な?」


嫌な音を立ててく蔦。そして


ブチン!!


ひときわ大きな音を立てて千切れる。つまりは


上条「ああああああああああああああああ!!!」

キリト「おおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」


こうなる。彼らはなすすべもなく落下していき


ズドン!!


壮大な音と土煙をぶちまけて地面に激突した


浜面「大将!?」

土御門「キリト!?」

エギル「大丈夫か!?」

シンカー「死んでませんよね!?」

キバ「締まらないやっちゃなー」

御坂「うわー…」

アスナ「なんだかなー…」

佐天「痛そー…」


散々文句と心配の言葉を浴びた男2人は


上条・キリト「「ふ…ふこ…不幸だ…」」チーン


伸びていた


何とも締まらないが、これで第5層はクリア完了した


256: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/04/27(土) 21:24:52.11 ID:UH0dArAD0






第6層


現在夜のアイングラッド、第6層は第5層と違い高い木もなく割と平均的な層だ。
上条達は第6層の転移門のある町フィライドに居る。
と言っても上条とキリトは先ほど盛大に落下して伸びてたので、浜面と土御門がおんぶしてこの街に運んだ。
現在彼らはこの街の『パブ』に居る


浜面「よっこらしょっと」

土御門「はー重かったにゃ~」

佐天「お疲れ様!」

御坂「初春さん達《転移門》が《有効化》したらすぐ来るって」

土御門「ほー。なら俺らだけで先にやっちゃいますか?」

浜面「軽く飲んでるぐらいならありかもな」

アスナ「ちょっと待った!!」

257: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/04/27(土) 21:26:56.35 ID:UH0dArAD0

何事もなく会話が流れてたのに止めるアスナ。しかもちょっと大きめの声で、いったい何に気に障ったのだろう


佐天「どーしたんですか?」

アスナ「いや色々突っ込みたいんだけど、何故に『パブ』!?」

御坂「え?」


そうアスナの言う通りだ。
彼女たちの居るのは『パブ』酒場だ、まあ今更未成年とかいうのは野暮だが彼女達は1回やらかしてる。
いいのだろうかと言いたいのだろう


佐天「いやーなんて言うか、打ち上げ的な?」

アスナ「打ち上げって…」

土御門「これだけ集まったのも久々だからにゃ~」

浜面「それに、一仕事終わった後の酒はうめーからな」

アスナ「おっさんですかあなた達は」

佐天「まあまあ、アスナさんも若干楽しみだったんじゃないですか?」

アスナ「うっ…そうだけど…。それよりも佐天さん!!何か言う事あるでしょ!!」

佐天「おっとそうだった」

258: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/04/27(土) 21:32:14.33 ID:UH0dArAD0
アスナに指摘され彼女は先ほどまで腰を掛けてたテーブルから降りる


佐天「佐天涙子復活しました!!それと…みなさん、ご迷惑をかけてすみませんでした!!」


深々とお辞儀をする。
この場に居る誰もが暖かい顔で彼女を見、そして


御坂「お帰り、佐天さん」

アスナ「心配したわよ」

浜面「お嬢は元気なほうがいいな!」

土御門「付き物が取れたようだな、佐天」

佐天「みんな…アニキ…」


目頭に涙をためる彼女


御坂「ほら、泣かないの」

佐天「だってぇー…」

アスナ「ふふ、今は涙は似合わないわよ」

佐天「ありがとうございます」


やはり、美少女が集まってるのはいいと思ってる土御門


土御門「ふっ・・・」

浜面「どーよ、年下の女の子にアニキって言われるのはどうよ」

土御門「ま、なかなかいい気分ぜよ」

浜面「んだよ、反応わりいな」

土御門「誰でもリアクションがいいとは限らないぜよ」

浜面「ちげーね」

259: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/04/27(土) 21:38:14.50 ID:UH0dArAD0

キリト「…ん」

上条「…あ」


各々喋ってると上条とキリトが目を覚ます。
どうも声の質から喉が渇いてそうな感じだ


土御門「おー起きたかにゃ~?」

キリト「ああ…」

上条「喉かわいた…」

土御門「水貰ってくるぜい」

キリト「頼む…」

浜面「よう大将!眠れたか!?」

上条「眠れたって言うか…喉乾いた」

御坂「あ、あんた目覚ましたも!?」

上条「ああ。そうだ!3人ともスゲーかっこよかったぜ!!」

キリト「見事な連携だったよ」


素直に感想を言う2人。それに対し喜ぶ彼女等


佐天「マジっすか!?」

上条「まじだ。最初の怒涛の流れるようなコンボ、いい物を見させてもらったよ」

キリト「アスナも、よくあんな動く鼻にしがみ付いてからの攻撃だったな。すごいよ」

アスナ「最後の方は誰かさんを見習って度胸で行ったけどね」

佐天「えへへ…」

260: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/04/27(土) 21:41:24.51 ID:UH0dArAD0

御坂「ねえ私は!?」

上条「んー…」


上条の褒めてもらいたくて感想を求める美琴、子どもの様に目をキラキラさせてる。
ちなみにキリトは空気を呼んで上条の様子をうかがってる


上条「剣が下から来たときは俺もあせったけど」


御坂(こいつが心配してくれた!!)


上条「でも最後の口に突っ込んで貫いたところなんかかっこよかったぜ!!」

御坂「本当!!?」


彼の意見に太陽のごとく笑顔になる美琴。
周りも顔でよかったねと言ってる、しかし


上条「ああ!そこらの男より男らしかったぜ!!」

御坂「おとこ!?」


キリト・アスナ・浜面・佐天((((なーんで、余計な事を言うんだろう…))))


と、余計な事を言うのが彼である


土御門「はぁーあ、これがカミヤンだにゃ~」

上条「土御門!?」

土御門「ほいカミヤン、キリト。水」

キリト「サンキュー」

上条「あんがと」

土御門「…さて」

261: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/04/27(土) 21:46:12.36 ID:UH0dArAD0



御坂「おとこ…おと」

佐天「み、御坂さん」

アスナ「落ち着こう、ね?」

浜面「大将も悪気が無かったと思うからよ。な?」


男と言われてショックで体をプルプルさせ、今にも『白金の剣』で切りかかろうとしてる美琴。それをなだめてる3人


土御門「大丈夫だぜいミコっちゃん」

御坂「あ!?」

土御門「そう睨むなって。もう罰は与えたぜよ」

浜面「罰って…マジであれやったの!?」

土御門「おう!!」


御坂・アスナ・佐天「「「!?」」」


土御門の言う罰の意味が解った浜面と、解らない3人。その内容とは


キリト・上条「「ぶううううううううう!!」」


御坂・アスナ・佐天「「「えええ!!!何!?」」」


浜面「あーーーあ…」

上条「土御門おぉぉぉぉ…」

キリト「これ…酒じゃねーか!?」

土御門「正解だにゃ~『スピリタス』世界でも有数の高アルコール度数の酒だぜい」


彼の言ってた罰。それは水と言って酒を飲ますわりとよくある物だった、と言ってもやられる方にとっては堪ったもんじゃないが
(作者もやられましたが、喧嘩になりそうでした)


浜面「大将、キリト。チェイサー」


見かねた浜面が机の上にあったオレンジ色の飲み物を差し出す


キリト「あんがと…」ゴクゴク

上条「土御門…覚えてるよ…」ゴクゴク

土御門「ほいほい…で、ミコッちゃん。腹の虫はおさまったかにゃ~?」

御坂「治まったって…」


ドン引きしてる美琴


土御門「ま!罰はまだ続いてるんだけどにゃ~」


御坂「え!?」

キリト「このオレンジジュース…」フラフラ

上条「なんか水っぺーぞ」フラフラ


若干ふらつきながら文句を言う2人

262: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/04/27(土) 21:48:40.05 ID:UH0dArAD0

土御門「そうだぜい。君らの飲んでるのは『スクリュードライバー』、別名『レディー・キラーカクテル』の別名を持つれっきとした酒だぜい」

キリト「まじかー」

上条「そるぅあつえーあ」


既に出来上がったっぽい2人


浜面「流石にやり過ぎじゃね?」

土御門「まあまあ細かいことは気にしないにゃ~」

御坂「でも…」

上条「おーいみさかー」

御坂「ふぁっ!?」

キリト「何してんだよー早く一緒にのモーゼ―」

御坂「えっ!?でも…」

上条「2人とも酒を頼みに行ったぜー?」

御坂「うそ!?」


と言ってカウンターの方を見ると


佐天「私『サイダー』!!」

アスナ「じゃあ私『エール』!!」

「サイズは?」


アスナ・佐天「「パイントでー!!」」


元気よく注文する2人の姿があった。
おそらく酒癖の悪い2人が飲んでしまったので、自分たちも飲んだ側に行った方が得だろうと考えたのだろう。実にあざとい


御坂「はやっ!?」

浜面「お!お嬢たちははえーな。土御門おめえどうする?」

土御門「俺は『サイダー』だにゃ~」

浜面「じゃあ、俺は『ビール』っと。姫は?」

御坂「え!じゃあ私も『サイダー』で!!」

浜面「大将たちは?」

上条・キリト「「なんでもーー!!」」

浜面「へいへい…(しっかし、こいつら出来上がるのはえーな)」

御坂(こうなったら私も早くあっち側に行こう!!)

土御門(楽しいパーチーの始まりだにゃ~)


こうして、彼らの打ち上げは始まった

263: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/04/27(土) 21:50:06.81 ID:UH0dArAD0

アルゴ「で。どうしてこうなってるんダ?」

土御門「それがー」

浜面「ものの数十分でこんな感じに…」

滝壺「みんな楽しそう」

初春「いい写真がとれそうですー」


1時間ぐらいしてアルゴ達が着いた。で、どうなってるかと言うと


キリト「山手線ゲーム!!」

上条・御坂・アスナ・佐天「「「「いえーー!!!」」」」

上条「お題は!?」

御坂「今まで戦ったモンスターの名前!!」

佐天「いきまーす!!」


「「「「「せーの!!」」」」」


パンパン!!


アスナ「コボルド!!」



264: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/04/27(土) 21:51:47.69 ID:UH0dArAD0



アルゴ「なあ、まじであいつ等何やってんノ!?」

土御門「俺がさっき教えた山手線ゲームだにゃ~」

アルゴ「そう言う意味じゃねーヨ!!」

浜面「まあ、そのなんだ。…楽しんでようだからいいんじゃねーか?」

滝壺「はまづら達は酔ってないね」

浜面「結構飲んだんだけどなー」

土御門「お前らが来るからこっちで飲んでたんだぜい」

滝壺「はまづらは強いけどつちみかども強いんだね」

初春「滝壺さんも飲んだことあるんですか!?」

滝壺「うん。前にはまづらの友達が働いてるお店で」

アルゴ「そんな事より!ツッチー、ハマー!!外に客人がいル」

土御門「客人!?」

アルゴ「こいつらはオネーさんが相手するから早く様子まして来イ」

滝壺「はい、その人達用の『ビール』」

浜面「サンキュー…。こいつ等任せてもいいか?」

滝壺「大丈夫。問題ない」キリ

初春「任せてください!!」

土御門「じゃあ、行ってくるか」


そう言って浜面と土御門はその客人のと自分たちの『ビール』グラスを持って外に出た


外には意外な人物がいた


265: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/04/27(土) 21:54:42.82 ID:UH0dArAD0
シンカー「どうも」

キバ「なんやジブンら、えらい派手に騒いでるな」

シンカー「あなたもあんな感じですよ…」


キバオウとシンカーが外のテーブルにいた。
ちなみにここからだと中の様子は声しかわからない、いわゆるテラス席だ


土御門「なんでお前らがここに?」

浜面「本当だよ。そだ、これ」


浜面と土御門が手渡したグラスを受け取る2人


シンカー「ありがとうございます」

キバ「おおきに…ま、色々言いたいこともあるだろうがとりあえず乾杯しようや」

シンカー「そうですねでは―」


「「「「乾杯!!」」」」

266: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/04/27(土) 21:56:23.91 ID:UH0dArAD0

土御門「ゴクゴク…っぷはー…で、どうしてここまで来た。あんた等は第1層を拠点にしてるのに」

浜面「それにさっきの言葉を聞くとあんた等も打ち上げとかやってるんだろ?」

シンカー「はい私達も打ち上げやってるんですけどね」

キバ「そんなことはええんや。自分ら新聞何読んどる!?」

浜面「新聞?何って、『アイングラッド新聞』だけど…」

シンカー「まあ攻略組の方ならそうですよね」

キバ「じゃあこれ知っとるか」


そう言いながら机の上に一紙の新聞を無造作に出す


土御門「なんだ?…『SAOタイムス』?」

シンカー「最近、第1層や2層で発行されてる新聞です。読者層は主に低流から中流、などの方々ですね」

キバ「特徴としては結構過激な論調と低価格やな、だが割と飛ばし記事も多くてな。攻略組で読んどる奴はまずおらん」

浜面「へー、だから聞いたことなかったのか」

土御門「…おい」

シンカー「あ、そのページに行きました?」

浜面「どれどれ…これって!?」


そこの記事にはこんなことがでかでかと書かれてる


「攻略組の覆面剣士!正体は学園都市の超能力者!?」


「SAO事件の背景には学園都市関与か!?」


さて、深く読んでいく

267: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/04/27(土) 21:58:48.23 ID:UH0dArAD0


 今日、第5層が攻略され第6層に行けるようになった素晴らしい日だ。
だが、我々は見過ごせない事態を発見した。右の写真をご覧いただきたい。
これは筆者が攻略組の者から手に入れた画像である。ボスを倒した3人の少女、これなら『女3剣士』参上!と美談で終わるだろう。
しかし、3人の中の片手剣の剣士に注目していただきたい。
テレビで拝見した人も多いのではないだろうか、筆者もその1人だ。
彼女はおそらく『学園都市の超能力者、御坂美琴』ではないではなかろうか。
しかしこれでは推測になってしまう、だが彼女のネームは『ミコト』と言うらしい。
現にこの画像を提供してくれた人物に問うと「確かに仲間から『ミコト』と呼ばれてました。
それどころか『ミサカ』とも呼ばれてました」と言ってる。アイングラットでは通常、キャラネームでお互いに名前を呼ぶ。
筆者もそうだ。しかし仲間内からキャラネーム以外で呼ばれるのは、お互いに仲が知れてるからではなかろうか。
現在およそ7000人いるアイングラッドの中で、偶然名前が『ミコト』で仲間内からは『ミサカ』とも呼ばれる。
偶然にしては出来過ぎではないだろうか。
そして、筆者の手に入れた情報によると学園都市でも50個のSAO、ナーヴギアが発売されたそうだ。
これは偶然なのだろうか。筆者はこれからも精力的に取材をし、皆様に真実をお届けしていきたい。

268: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/04/27(土) 22:00:48.53 ID:UH0dArAD0

浜面「なんだよコレ…」

土御門「…」


浜面が手をプルプルさせて新聞を持ち、土御門は「まずいな…」と顔で言いながら右手を口に添える


シンカー「その反応だと」

キバ「当たりのようやな」

土御門「…ああ」

浜面「(おちつけ…落ち着くんだ!!)…で、どうするんだ!?」

シンカー「いえ、彼女やあなた達を責める訳じゃありません」

キバ「ワイらが知りたいのは、ホンマにあいつが御坂美琴かっちゅうことや?」

土御門「それを知ってどうする!?」

シンカー「特に意味は無いんです。ただ…」

浜面「ただ?」

キバ「下層ではこのことでいろいろ言われてるんや。もちろん、俺達はこれを鎮静化さ線やけどな」

土御門「意外だな…あんたならゴチャゴチャ言ってくるかと思ったんだけどな」

キバ「あいつが超能力者かどうかここでは関係あらへん。俺はこのゲームの事しか頭にないからな」

シンカー「それに現実の事を話すのはタブーですからね、私達はむしろ自制を促してる方です。特にキバオウさんなんかね」

浜面「アンタ以外にいい奴なんだな」

キバ「ふん!俺があいつを嫌いなのは態度だけや。…後、聞きたいんやけど。自分らβじゃないんやろうな?」

土御門「んなこと言ったら、俺ら学園都市組は全員βになるな」

269: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/04/27(土) 22:03:13.90 ID:UH0dArAD0


キバ「なんやと!!!?」

浜面「さっきの記事にも書いてあったけど。学園都市で発売された50個はこっちのβに相当するんだよ、だから俺らもビーター」

シンカー「ですが、私達と同じ日に初ログインしたのならばビーターではありませんね」

キバ「…せやな」

シンカー「ふふ…で、彼女は現在能力を使えるんでえすか?」

土御門「使えないな」

浜面「姫がその気になったら、今生き残ってる奴ら全員ログアウトさせてるよ」

キバ「じゃあ自分らは今能力使えなくて、ワイらと同じなんやな?」

土御門「ああ!」

浜面「俺らもちゃんと戦闘してレベル上げたんだよ。姫なんか特に努力してるよ」

土御門「俺達もあんた等と同じ土俵だよ」

キバ「なら…ええ!!」


そう言って席を離れる


浜面「おい!」

キバ「大丈夫や。俺らからも言っとく!せやから心配すんな」

シンカー「だそうなので私もこれで…あ、『ビール』ありがとうございました」

浜面「あ、ああ…」

シンカー「では」


彼も席を離れて行った

270: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/04/27(土) 22:04:57.38 ID:UH0dArAD0


浜面「…どうするよ?」

土御門「当の本人がにゃ~」




御坂「イエエエエエエエエエエエエエエエエガアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!」




浜面「外まで聞こえるよ…」

土御門「戻るか…」

浜面「そうだな…」


中に戻る2人。だが、そこで見た光景は

271: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/04/27(土) 22:06:14.49 ID:UH0dArAD0


御坂「はーいアスナさんのまーけーー!!」


キリト「いやっほーーーーー!!!」


アスナ「うそーー!!だって知らないわよーゾイドなんて!!」


佐天「何飲みますか?アスナさん」


上条「イヤーさっき俺に飲ませた奴でいいでしょ!!」


アスナ「えーーやだーー!!」




土御門・浜面「「oh…」」


アルゴ「やっと帰ってきたかオマエラ」


そこには何か悔しそうにするアスナ、それを囲み笑ってる4人。
傍からマイペースに見てる初春と滝壺、そして何故か黄色い電気鼠の着ぐるみを着てるアルゴの姿だった


土御門「お、おう…なかなか濃い場面だにゃ~…」

浜面「なんかデジャヴの気分の様な…」

滝壺「私が色々教えた。はまづら」

浜面「ですよねー…」

272: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/04/27(土) 22:08:09.12 ID:UH0dArAD0

初春「いやー色々いい写真が取れましたよ」

浜面「…ちなみに聞きたいけど、その写真何に使うの?まさか…記事に使うのか!?」

初春「違いますよー、これで色々交渉出来るじゃないですか。ね?」


土御門・浜面((黒!?))


土御門「そ、そう言えば3人は飲まないのかにゃ~?」

アルゴ「オレッチは飲めねえんだヨ!!この2人は飲んでるけどナ!」

初春「へへへ」

滝壺「ぶい」


2人の手にはパイントグラスがあった。
飲み物の様子から大体の奴が飲んでる『サイダー』であろう、しかしこの2人酔ってる様子は無い


土御門「2人とも結構酒強いんだにゃ~」

浜面「滝壺は前に俺と飲んだ時も大丈夫そうだったし、ザル何じゃねーか?」

滝壺「いざとなったら酔ったふりも出来るよ?」

浜面「ははは、そうっすか…(俺の彼女でよかったー…)」

初春「私も本物のお酒は飲んだことないんですけど、なんか大丈夫でしたね」

土御門「おお、それは将来楽しみだぜい」

アルゴ「楽しみじゃねーヨ!!ってか、さっきの会話の内容教えロ!!」

土御門「教えろっても」

浜面「これじゃあなぁ…」

273: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/04/27(土) 22:09:51.66 ID:UH0dArAD0

アスナ「ぶっふぉ!!」


そこには一気飲みした後盛大に噴き出すアスナの姿があった。
グラスに入ってた物の色からおそらくスコッチでも一気飲みしたのであろう


佐天「アスナさん何やってんですかー」

アスナ「だって…これ強くない?」

上条「ふん!さっき上条さんにおもっきし飲ませたくせに」

御坂「でも、一気飲みした当麻かっこよかったよーー」

上条「マジでか!?なら今度は美琴さんからの口移しで!!」

御坂「えー。だって、当麻私より弱いしー」

キリト「じゃあ俺、オレオレ!!俺お前より強いよな!?」

アスナ「キリト君には私がするしー」

御坂「あー、アスナさん超惚気てるしー」

アスナ「へへへ///」

キリト「だれでもいいーー俺にチュウをくれーー!!」

上条「じゃあ俺がくれてやるーーー!!」

佐天「おーー男同士いいねーー!!」

274: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/04/27(土) 22:12:39.71 ID:UH0dArAD0


アルゴ「うわ…」

土御門「な?」

初春「確かにこの状態で話すのはよくないですね」

浜面「とりま今日は飲もうぜ!?な」

滝壺「賛成」

アルゴ「はぁ…オネーさんも付き合うヨ。弱めの奴ナ」

土御門「へいへい」


こうして、彼らの夜は更けていった。この後はアルゴがこう語った


アルゴ「マジで大変だっタ」


だそうだ。この後も攻略は続く

275: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/04/27(土) 22:13:22.55 ID:UH0dArAD0



第2層・某所


「ヘッド!!この前の奴」

「わかってる…」

「ザザの奴、いい記事書くぜ!」

「今は奴は『SAOタイムス』の記者だ。このくらいしてくれないとな」

「ですよねー!!」


謎の2人組の声が辺りに響く。
周りを見ると道具や装備品が転がってる、彼らに襲われたプレイヤーの物だ。
プレイヤーの姿が見えない、確認するには《黒鉄球》を確認するしかないだろう


「まあ、これから御坂美琴を追い詰めるさ…ふふ、ふうはっはっはっはっはーー」


リーダ核の笑い声が辺りに響いた

288: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/05/03(金) 01:38:59.55 ID:Ov7G7JfH0


学園都市・SAO事件発生から約4か月


お久しぶりです、白井黒子ですの。
あれから色々ありましても、わたくしはめげずに頑張って生きています。
黒子がしょげてたらお姉様や初春、佐天さんが心配しますものね。
最近は春上さんや婚后光子(あのしゃべり方何とかしてほしいですの!!)お姉様たちのお見舞いが日課ですの。
お見舞いと言えば、この前


固法「この人が御坂さんが惚れてる人だっけ?」

白井「なっ!?違っっっいますの!!!こいつはただのレベル0の類人猿ですの!!」

固法「ふーん。でも案外顔、悪くないのね」

白井「なっ!?」

固法「ジョーダンよ。さ、かえって仕事仕事」


まさか、寝顔だけで固法先輩にフラグを立てるとは…
やはり今寝てる時に止めを刺さなければお姉様が、お姉様が!!んfごsjdjdshl


固法「白井さん!!」パシーン

白井「ふべ!!」ゴン

固法「仕事中に何机にヘトバンかましてるのよ…」

白井「ここは…」

固法「あなた…仕事場も忘れたつもり?」

289: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/05/03(金) 01:40:49.92 ID:Ov7G7JfH0


先程まで盛大にトリップしてて先輩に突っ込まれる彼女。
白井黒子は現在、自身の職場の『風紀委員』第177支部に居る。
もちろん仕事中だ


固法「元気出たのはいいけど、ちゃんと仕事はやってよね?」

白井「ハイですの…」

固法「よろしい!で、この報告書なんだけど…」


彼女が報告書の事を黒子に問おうとした時


「すみませーん!この子が落し物拾ったんですけどー」


人が2名入ってくる。
1人はこの支部に所属する『風紀委員』、もう1人は財布を拾った学生と思われる。
どこかの女学生であろう、制服を着てる


固法「あら、またあなた?よく拾うわねー」

「いえ、なんか私そう言う星の下に生まれたみたいで、超よく拾うんですよねー」

固法「まさか、スリをしたりしてるんじゃないわよね~」

「ち、超違いますよ」


意地悪な顔で固法が女学生を問いただす。
別にイジってるわけではない、こうやって些細な表情で嘘を見抜いてるのだ


固法「ジョーダンよ、冗談。あなたみたいな子がやるわけないものね」

「うぅ…超人が悪いです」

固法「あらかわいい」

「じゃあいつも通りこちらにサインをお願いします」

「あ、はい」


『風紀委員』の1人が持ってきた書類に書いてく女学生。
手慣れたようでサラサラと書いてく


白井「」カキカキ


黒子も淡々と書類を片づけてる。
数分して書類を書き終えると


「超失礼しました」


女学生は支部を後にした


固法「…前から思うけどあの子変わった喋り方するわよね」

「そうですよね~」

290: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/05/03(金) 01:41:50.66 ID:Ov7G7JfH0


それぞれ女学生への感想を言ってると


白井「そろそろパトロールの時間なので行ってきますわ。先輩」

固法「あれ、白井さん。さっきの書類は?」

白井「そこにありますの。では、行ってまいりますわ」

固法「行ってらっしゃーい。…さて、牛乳牛乳」

「牛乳好きですねー、本当」


291: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/05/03(金) 01:43:58.13 ID:Ov7G7JfH0



「」スス


先程の177支部から少し離れたコンビニの前、先ほどの女学生がいる。
しかし先ほどのちゃんと着こなしてた制服は、スカートは短くなっていてジャケットも腰で巻かれローファーはサンダルの様に踏まれてる。
少しやんちゃな学生風になってダルそうにスマホをいじってる


白井「お待たせしましたの」ヒュン!!

「うお!超びっくしたー!!」

白井「いちいちリアクションが大きいですわよ。絹旗さん」

絹旗「いえ、ですけど…」


この女学生、もとい絹旗最愛。
別に学生ではなく『アイテム』と言う名の暗部組織の構成員のレベル4だ。
普段はニット素材のショート丈のワンピースで、制服なのは白井以外の風紀委員の目をごまかす為。
実は先ほどのやり取りが彼女等『アイテム』と、白井のコンタクトの仕方である。
と言っても現在『アイテム』は特別編成なのだが


絹旗「やっぱいつになっても超慣れませんって。テレポート」

白井「まあいいですけど…そのスカート丈の長さと言い、そう少しおしとやかにできませんの?
私服もそうでしたけど、下着が見えてしまいますわよ」


絹旗「これは計算され尽くされた長さなので超大丈夫です」ドヤァ

292: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/05/03(金) 01:44:59.28 ID:Ov7G7JfH0

白井「…まあご本人がいいのでしたら構いませんが。で、今日の要件は?」

絹旗「おお、そうでした。実は麦野が白井に超合わせたい人がいるとか」

白井「合わせたい人?」

絹旗「はい、なんでも超知り合いらしいですよ?」

白井「知り合い…ですの?」


彼女は困惑した。
暗部方面の知り合い何て絹旗を含め病院に居る4人ぐらいしか知らない、なので知り合いと言われても困るだけだ


絹旗「まあ、暗部では超無いそうなので…やべ、時間が。白井、とりあえず続きは本人に会ってからで!!」

白井「はあ…でも何でそんなに慌ててらっしゃるのですか?」

絹旗「麦野今日2日目なんですよ!!」

白井「あーなるほど…では、行きましょう。場所は?」

絹旗「7学区中央駅前の喫茶店です」

白井「わかりました、では飛びますわよ!?」

絹旗「え!?」ヒュン!!

293: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/05/03(金) 01:47:02.95 ID:Ov7G7JfH0



第7学区・中央駅前喫茶店


中央駅はその名と通り第7学区の中心的な駅で、JR、モノレール、地下鉄が乗り入れている。
周りも賑やかで色々な商業ビルが立ち並んでる、その一角のビルの2階にその喫茶店はある


白井「着きましたの!!」ヒュン!!

絹旗「」

白井「で、麦野さんh」

絹旗「すみません…ちょっとトイレ」


千鳥足でお手洗いに向かう絹旗。
おそらくテレポート酔いでもしたのだろう、顔色が真っ青だ


「おーい、こっちだー」


日の当たる席から呼ぶ声が聞こえる。
声の主は麦野沈利、学園都市のレベル5第4位だ。
向かいには新聞を読んでる人物がいる、顔は解らないが透けて見えるシルエットから女性であろう


白井「で、わたくしに会いたいと言うのは」

麦野「ああ、この人だ。おいアンタ」

「ん、ああ…すまない」


黒子は声の時点で分かった。
その人物が読んでた新聞を畳む、髪はぼさぼさで目にはクマがある。
おそらく研究者であろう、服装は黒いパンツスタイルのスーツ。
木山春生。かつて『レベルアッパー事件』を起こし、『置き去り』の件で共に戦った大脳生理学の学者である


白井「木山先生!!」

木山「久しいな…」

麦野「やっぱ知り合いだったんだな…」

白井「ええ…何度か…。で、木山先生が何の用で」

木山「何って、…この事件に関係あることだよ」

294: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/05/03(金) 01:49:02.81 ID:Ov7G7JfH0

そう言いながら彼女は先ほどまで読んでた新聞を指差す。
そこには『SAO事件。捜査難航!?』と書かれてる。
確かに彼女は脳に関する学者、関わってない方がおかしい


白井「まさか…子供たちが!?」

木山「いや、全員無事だよ。君と違ってね」

白井「…っ」

麦野「おい!とっとと話を始めろ。時間、ないんだろ!?」

木山「おお、そうだったな…その前に。ここは暑いな…」シュル

麦野「そうか?」

白井(不味いですの!?)

麦野「冷房でも入れてもらって…は!?」


そこには暑いと言いながら淡々と服を脱がす木山の姿があった。
彼女には脱ぎ癖があり所構わず脱いでしまう癖がある、しかもそれを溜めらなわずやってしまうからたちが悪い。いいぞもっとやれ


麦野「な、な、何やってんだテメェェェは!?」

木山「何って…暑いから脱いだのだが?」

麦野「TPO弁えろ!!」

白井「そうですわよ木山先生!!早くお召し物を」

木山「しかし君たちも暑かったら脱ぐのだろ?」

麦野・白井「「そこまで脱がねーよ!!(ぎませんわ!!)」」

絹旗「ちょと何事ですかーーー!?」


お手洗いに行ってた絹旗が戻ってきた、あまりの状況に彼女もパニックになってる。
ちなみに店内には客はおらず、マスターも奥で惰眠をむさぼってる


絹旗「この人はなに脱いでるんですか?超露出狂ですか!?」

白井「さあ、木山先生!!」

麦野「おらババア、早く着ろ!!見てるこっちが恥ずかしいわ!!」

木山「ババアとは失礼な、君と同い年っぐらいだぞ」


白井・絹旗「「えっ!?」」

295: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/05/03(金) 01:50:30.57 ID:Ov7G7JfH0


麦野「嘘つくな!!ってか、テメーがいくつだよ!!」

木山「わたしか?私はにじゅう――」


ブチン!!


血管か何かが切れる音が聞こえた。音源は麦野だ


麦野「あたしはまだ十代だあああああああああああああああ!!!」


激怒した麦野が木山に襲いかかろうとする。
そりゃ実年齢より上に見られたら大抵の女性は怒る、しかも老けてるのを気にしてる麦野だったらなおさらだ


絹旗「麦野、超落ち着いて!!」

白井「そうですわよ麦野さん!!」


暴れる麦野を抑えようとする黒子と絹旗。
しかしただでさえ馬鹿力の麦野が暴れてるのだ、抑えられない


麦野「そこに直りやがれえええええええええええ!!!」

白井「ですから落ち着いて!!」

絹旗「そうです。麦野が超老けて見えるなんて超今更なんですから!!」


絹旗が発言した瞬間麦野がピタリと止まる。
そして彼女の方をゆっくりと向き


麦野「絹旗ちゃーーん。今何て言ったぁ?」

絹旗「(ヤベ!!)な、にゃ、にゃにも言ってませんよ」

麦野「そう…しぃぃらあぁぁいいい、このバカさっき何て言ったぁ?」

白井「よ、よく聞こえませんでしたの。おほほほほ」

麦野「そう…」

白井・絹旗((ほっ…))

麦野「じゃぁあ――」


お・し・お・き・か・く・て・い・ね


この後、絹旗への無慈悲な鉄拳制裁が始まる。何故か黒子も巻き込まれた


296: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/05/03(金) 01:52:57.83 ID:Ov7G7JfH0



麦野「あーすっきりした」

白井(何故わたくしまで…)ボロ

絹旗「」チーン


周りは嵐が過ぎ去ったかの如くイスやテーブルが散乱し荒れ果ててる。
そしてマスターは奥で惰眠を貪ってる


木山「…随分派手に暴れたね」

麦野「誰のせいだと思ってんだ」

木山「しかし、君が暴れまわったおかげで時間が無くなってな…」


麦野・白井「「誰の制だと思ってんだ!!誰の!?」」


木山「とりあえず、これを君に渡しとこう」


そう言ながら木山は鞄の中から茶封筒を取り出し、黒子に手渡した


白井「これは…」

木山「中には外出するのに必要な書類と切符が入ってる、切符に書かれた駅に書かれた電車が出発する30分前には来てほしい」

白井「は、今何と!?外出?切符?」

木山「明日は早いからな、夜更かしせぬように…」

白井「は!?ちょっ!?」

木山「では、行こうか」

麦野「はぁぁぁ…おい、白井!そこどけ」

白井「え!?はあ…じゃなくって、話に付いていけてないんですけど」

麦野「詳しいことはそこに寝てる馬鹿に聞け、お前は書かれた駅に30分前に行けばいいんだよ。あ、その馬鹿の介抱もたのむわ」

絹旗「」チーン

白井「っちょ!?」

木山「君。早く…」

麦野「じゃーなー」ヒラヒラ


後ろ向きに手を振りながら麦野と木山は喫茶店を出た。そして残された黒子は


白井「ど、どーしろと…」


辺りの惨状を見ながら考え


白井「とりあえず絹旗さんの介抱もあるのでっ」ヒュン!!


その場を後にした


数分後


「なんじゃこりゃあああああああああああああああああ」


惰眠から目を覚ましたマスターの悲痛な叫びが木霊した

297: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/05/03(金) 01:54:04.73 ID:Ov7G7JfH0



7学区中央駅・コンコースのカフェ


絹旗「つたたったた…」

白井「大丈夫ですの?」

絹旗「超なんとか…」

白井「で。なんですけど」


茶封筒に入ってた書類や切符などを目に通しながら言う


白井「この書類が本物のだと言う事は解りましたが、この切符の意味が…」

絹旗「そのままの意味ですよ。そこに書いてある駅、新横浜に8時までに超集合です」

白井「でも、なんでわざわざ外部の。しかも新幹線の駅なんですか?大阪方面なら学園都市内にあるリニアの方が速いのでは?」

絹旗「さあ、京都ならこっちの方が超速いんじゃないですか?」

白井「しかし何故京都…」

298: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/05/03(金) 01:54:56.64 ID:Ov7G7JfH0


絹旗「解りません。ですが行ったら何か超解るんじゃないんですか?」

白井「そうなんですかね…」

絹旗「そうなんですよ!あ、服はこちらで用意しますので持ち物は下着など超最低限にしてください」

白井「服…ですか?」

絹旗「ハイ、一応超極秘なので。常盤台の制服だと目立ってしまいますからね。明日の朝こちらの車で迎えに行きます」

白井「解りました…でわ、わたくしは書類などを提出するのでこれにて」

絹旗「はい、また」


そしてその場からテレポートで黒子は去った


絹旗「さーて、フレメアでも超迎えに行きますか…ん?」


その時絹旗の目にある物が目に入る


絹旗「あのツインテ金払わずに行きやがったよ…しかも、紅茶2つで2400円って超高過ぎだろ…」

307: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/05/06(月) 09:37:05.02 ID:2SVB+aYW0

木山春生の車内にて


青いランボルギーニ・ガラルドが学園都市の道を軽快に飛ばす。
学園都市が人口の8割が学生の町であり、車も教員か大学生、研究者に限られバスもこの時間なら少ない。
信号に引っかからなければ運転はしやすい。
その中に運転している木山春生と護衛の麦野沈利


麦野「…」

木山「…機嫌が悪そうだな」

麦野「誰のせいだと思ってんだよ…」

木山「?…まあいい」

麦野「おい!?」

木山「しかし、君たちには感謝してるよ、おかげで彼女に会えた」

麦野「私達は上から『ナーヴギア』を手に入れろと言われただけだ。それであんたに依頼されただけだ」

木山「その割に結構割安で引き受けてくれたな…」

麦野「ふん。こっちは2人連れてかれてるし、早く解決しねーとうちのガキが悲しむんだよ」

木山「あの子か…前に病院で見た時は顔色悪かったが、どうだ?」

麦野「うちの馬鹿のダチに面倒見てもらったりしてるよ。面子丸つぶれじゃねーかチキショウ…」

木山「だが、それであの子に笑顔が戻ったのだろう?完全ではないがな」

麦野「…」

木山「何かを成し遂げるには例え能力者でも1人ではできないのだよ。それは私自身がよく知ってる」

麦野「…そうか」

308: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/05/06(月) 09:38:55.33 ID:2SVB+aYW0

木山「だから今回はチャンスなんだよ、我々が外部に出る機会は少ない。
君の様な高能力者なら尚更ね、だからやれることはやっとこうじゃないか」


麦野「なら何故京都かぐらい教えろ!」

木山「なら、君たちが請け負ってるもう1つの任務を聞こうじゃないか」

麦野「…」

木山「理由は同じだよ…さ、そろそろ着くぞ。君の護衛はここまでのはずだが、この後どうするのかね?」
麦野「帰って明日の準備をするよ。それに、ガキの飯を作んなくっちゃいけねーからな」


木山の車が彼女の現在在籍してる研究所の前に着いた。すると警備員が出迎える、下車し彼にキーを投げる


木山「何時もの所に入れといてくれたまえ」

「解りました!」


マフラーから低い排気音を出しながら走り出す車を2人で見送る


麦野「…じゃあ、私はこれで行くよ」

木山「ああ、護衛御苦労。明日、新幹線の車内でゆっくり話そう」

麦野「はいはーい」ヒラヒラ


309: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/05/06(月) 09:39:46.79 ID:2SVB+aYW0

さて、彼女の今いる場所は結構不便な場所である。
駅には遠く、バスも通勤時間帯を除いて1時間に1本だ。そして次のバスは48分後


麦野「っち!…迎えでも呼ぶか」


そう言って彼女はスマホをいじり電話を掛けるがなかなか出ない


麦野「んだよ、何出ねーんだよ!!」


怒鳴りながら画面を見て気づく


麦野「あ…」


電話をかけてた相手は浜面だった。
いつもの癖で掛けてしまったが、そりゃ出る訳がない


麦野「…歩くか」


彼女は駅へ歩き出した

310: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/05/06(月) 09:41:59.06 ID:2SVB+aYW0



しばらく歩くと商店街に出た。と言っても7学区あるようなきれいな所ではない


麦野(こんな所もあるんだな)


彼女が思うのも無理はない。
その商店街は30年以上前から時が止まったかのような雰囲気がある、彼女が生まれる前にあった当たり前の光景だ。
『昭和』と言う言葉がまさにぴったりの場所だった


「まいどー!!」

「おっちゃんありがとう!!」


元気な声が聞こえる、と思った瞬間


麦野「イッタ!」ドン

「あ、すんません」

麦野「てんめ、どこ見て歩いてんだゴルア!!」

「ひいいいい、すんません!!って、なんだ…ネーさんか」

麦野「あ!?…んだよ、半蔵かよ」


そこに居たのは黒尽くめのスキルアウト風の男。服部半蔵。
浜面のスキルアウト時代の友達であり、今では時々フレメアの面倒をみてくれる


麦野「あにしてんだよ、こんな所で」

半蔵「買い出しだよ。ネーさんこそ何でこんなとこに」

麦野「仕事帰りだよ…お前、その荷物の量ってことは車か?」

半蔵「へ?」


彼の前には台車いっぱいの荷物がある。主に酒瓶のようだが


半蔵「そうだけど…なんだ、送ってほしいのか?」

麦野「話が解るじゃねーか、家まで送ってくれ」

半蔵「まあ、時間があるしイイか。こっちだ」

麦野「はいよ…(ラッキー♪)」

311: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/05/06(月) 09:43:57.82 ID:2SVB+aYW0

彼が乗ってきた車は軽のバンだった。
半蔵は荷台に荷物を詰め込み、麦野は助手席に乗車して彼が積み終わるのを待つ


半蔵「ふう…」ガチャリ

麦野「おせーよ」

半蔵「いや1人であの量乗せたんだぞ!?ってか、手伝うぐらいしてくれよ!!」

麦野「あれー君はかよわい女の子にあんな大荷物を持たせるのかにゃ~ん!?」

半蔵「(ネーさんが…かよわい女の子?)…だ、だよな!悪い待たせて!!」

麦野「(ンだよ今の間)解ったらさっさと出せ」

半蔵「へい」


ブロロロロ


麦野「…このバン。テメエのか?」

半蔵「違えよ。俺の働いてる店の上にある車屋の奴だ、そこのジーさんに借りたんだよ」

麦野「へー、てっきりパクった奴かと思ったよ」

半蔵「俺は浜面みたいにそんな技術ねーよ。それにそこのジーさんうちの店のオーナーだしな」

麦野「…ってか、お前の店なんなんだ。荷物見ると飲食店か?それにしては酒ばっかだけどよ」

半蔵「会員制のバーだよ。と言ってもクラブみてーなもんだけどな、それこそこの前浜面とその彼女が来たぜ」

麦野「あの2人がねー…。おい」

半蔵「ん?」

麦野「行先変更だ、テメエの働いてるバーに案内しろ」

半蔵「は!?何でだ――」

麦野「グダグダ言わずにさっさとしろ!!」ガッ

半蔵「って、アクセル踏むなよアブねえええよ!!!」

312: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/05/06(月) 09:48:32.77 ID:2SVB+aYW0


少し乱暴な運転だったが無事目的地に着いた。
以外にも場所は7学区でとある高校の学生寮の近くにある、で地上は先ほど半蔵が言った通り車屋だ。
どちらかと言うと修理を専門にしてるプチ工場の雰囲気だ


麦野「へー、案外普通な所にあるんだな」

半蔵「そうそう。おーいおやっさーん!!車あんがとな」


半蔵が叫ぶとひょこっと顔を出す


「おう、そこにキー刺したまんま置いといてくれ、クソッタレ!!」


ガラの悪そうなジジイがこっちを見て、ガラ声で答えた。
麦野が目に入ると目をキラ付かせてウィンクをしてきた、正直ドン引きしてる


麦野「んだ、あのジジイ…」

半蔵「あれでもいい人なんだよ…さて、行きますか」

麦野「ああ…」


半蔵が両手に持てるだけ荷物を持つと麦野を案内した、ジジイの求愛行動はまだ続いてた。
彼が案内したバーの入り口には特に看板もなく、ただ地下に続く階段だけがある。
階段を下りるとちょっとしたスぺースに金網で覆われた受付らしき小窓と、コインロッカーに扉があった。
受付にはまだだれも居らず、扉を開け中に入る


半蔵「おーい!上に荷物があるからみんな運んでくれー!それでこの人は俺の客人だから」


「「「「ういーっす!!」」」」


半蔵が声を掛けると、さっきまで掃除をしてたスキルアウト風の男たちがキビキビと外に出てく。
麦野にすれ違いざまに「ども!!」と声かけてく


麦野「野球部かよ!?」

半蔵「ま。挨拶は接客業の基本だからな、徹底的に叩き込んだのさ」

麦野「お前、いい経営者になりそうだな」

半蔵「へへっ。そこのカウンターに座れよ、なんか飲み物だすからよ」

麦野「んー」


半蔵に案内されるがままに席に着く麦野。
彼はカウンターの反対側に行って両手に持った荷物をてきぱきと冷蔵庫や棚に入れていった


半蔵「で、何にする?」

麦野「とりまビールかな?」

半蔵「かっこいいもん飲むねー、ネーさんは」

麦野「だろ!?」ドヤァ

半蔵(皮肉で言ったつもりなんだけどなー…)


と思いながらもジョッキを出しビールを注ぐ半蔵。手際がいい



313: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/05/06(月) 09:49:46.53 ID:2SVB+aYW0


麦野(こいつ、飲食向いてるんだなー…)

半蔵「ほい、ビール」ゴト

麦野「お、陶器製で蓋付きとか現物はじめてみたわ」

半蔵「シュタインって言うんだぜ、サイズは大ぐらいだな。俺も1杯と」

麦野「じゃ」


「「かんぱーい!!」」ゴン


麦野「ゴキゴク…っかああああああ。仕事終わりはこれだよなー!!」

半蔵「(おっさんかよ!!)…ってか、こんな早く飲んで大丈夫なのかよ?」

麦野「早い時間から飲んでるのは仕事が早く終わらせる奴の証拠で、江戸時代じゃ粋だって流行ったんだよ」

半蔵「(粋って…コイツマジでおっさんじゃねーのか!?)…つーか、お前酒大丈夫なのか?」

麦野「へーきへーき私強いからぁん!!」

半蔵(本当かよ…)

麦野「そうだ、悪いけど2,3日ガキを預かってくれないか?」

半蔵「ああいいぜ」

314: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/05/06(月) 09:52:05.07 ID:2SVB+aYW0


麦野「あんがとな…にしても、ここ良い雰囲気ね気に入ったわ」

半蔵「それは何より」


ここでこのクラブのを説明しよう。
彼女等がいるのは地下2階のメインホールで、カウンターの他に背の高めのテーブルが数個ある。
またDJブースとダンスエリアもある。
カウンター横の階段を上がるとロフト状の2階席(地下1階)があって、奥にはVIPルームがある。
その下は少しウッドテイストで少し明るめののテーブル席がある。
外部のクラブの盛んなエリアでは一般的だが、学園都市でここまでの設備は珍しい


麦野「ってか、ここセキュリティーとかどうしてるんだ?…目の前学生寮だろ」


半蔵「だから会員制なんだよ。それに外にも看板出さないし、一切宣伝はしない。って言う条件でOK貰ったらしいぜ。
あと、なんかここ特殊な工法らしくて外に音漏れとか音による振動も一切カットしてるんだってさ」


麦野「でも未成年OKなんだろ?浜面と滝壺来たし」

半蔵「そのための会員制だよ。年齢確認して15以上なら誰でも会員になれるんだよ、ただし誰かの紹介が必要だけどな」

麦野「いやだから二十歳未満…ま、いいか。私も10代だからな」ア、カラッポニナッタ

半蔵「そう言う事。ってか、飲むのはえーよネーさん!?」


315: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/05/06(月) 09:53:50.29 ID:2SVB+aYW0


麦野「だから強いって言ったろ」

半蔵「はあー…で、何飲む?」

麦野「んー…あ、この前浜面と滝壺何飲んだ?」

半蔵「え、あいつら!?えーっと確か…浜面はビールとジンリッキーで彼女さんがカシスオレンジとジントニックだったかな」

麦野「さっきビールは飲んだしカシオレはゲロの味するしー…」

半蔵(ゲロの味って…まあ確かにそうだけど!!)

麦野「ジントニックとジンリッキーってどんな奴なんだ?」

半蔵「あれ、ネーさん知らねーのか」

麦野「知らねー」

半蔵「んー…じゃあ2つ作るから飲む比べて見ろよ」


そう言って彼は冷蔵庫からライムを切り冷凍庫からジンを出して注ぎ、
2つのグラスにそれぞれトニックウォータとソーダをてきぱきと注ぎそれらをステアし


半蔵「はい。ジントニックとジンリッキーお待ち」

麦野「ん、じゃあジントニックの方から…」ゴクゴク


半蔵(何このカクテルの審査みたいな空気!?めっさ緊張するんですけど!?)


麦野「なかなか良いじゃん。爽やかで飲みやすくて、少し甘いんだな」

半蔵「(ほっ…)そう、その少し甘いのがトニックウォーター。安い居酒屋とかだと使わないけどな」

316: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/05/06(月) 09:55:11.03 ID:2SVB+aYW0


麦野「へー…で、こっちがジンリッキーか」

半蔵「おう!下に沈んだライムをそのマドラーで潰しながら飲んでくれ」

麦野「ん…」ゴクゴク


半蔵(何なんだよ、このおいしんぼみたいな空気!?)


麦野「…こっちも爽やかなんだな。ただジントニックと違うのは甘くなくって、自分でっライムの量を調節できるところだな」

半蔵「(心臓にわりーよ!!)そう、それがリッキースタイルの特徴で他にもテキーラとかでもあるんだぜ。トニックの方も種類あるよ」

麦野「へー…ってか、私がちょっと海原勇山みたいなオーラ出したら緊張しやがって。へたれか!?」

半蔵「へた!?…ってか、さっきの雰囲気ワザとかよ!!心臓にわりーよ!!」

麦野「半蔵だけに?」

半蔵「やかましい!!」

麦野「ってか、そんなチキンだからあの『警備員』に告白できないんだよ!」

半蔵「は!?」

麦野「それともギャル忍者の方がいいか?年も近いしなー」

半蔵「ちょっと待て!!なんでお前が黄泉川や郭のこと知ってんの!?」

麦野「前に家で飲んだ時、浜面に誘導尋問掛けたらポロっと喋ったよ」

半蔵「あの馬鹿ぁぁぁぁぁぁ」

麦野「で、どうなんだ?」

317: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/05/06(月) 09:57:21.80 ID:2SVB+aYW0

半蔵「いや…あの…」


彼女がカウンター越しに迫ってくる。正直麦野も巨乳の方だ


麦野「こういう時、目を閉じて思い浮かんだ方に惚れてるらしいよぉ」


更に腕を寄せて胸を強調する


半蔵「あのー…そうやって胸を強調されると、どうしてもあっちの方になっちゃいますよね?やめて」

麦野「あ。お前女忍者の方がいいんだ」

半蔵「は!?」


麦野「いやさっきみたいに、どちらか一方を意識させるようなそぶりをやって、黙り込んだら意識させた方を意識してる。
逆に否定したらその反対って事よ、私はさっき胸を強調したからつまりは…」


半蔵「あ、ありえねー…」ズーン

麦野「あっはっはー図星だったようねぇーー!!」

半蔵「まじか、まじでか…」

麦野「で、きっかけは何?お姉さんに言って御覧なさぃ。もしかして、手だしちゃったり!?」

半蔵「…」

麦野「なに黙ってるんだよ!酒の肴に聞かせろよー」

半蔵「…」

麦野「…おい」

半蔵「…」

麦野「…」

半蔵「…」


麦野「…マジでか?」

318: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/05/06(月) 10:00:35.44 ID:2SVB+aYW0


半蔵「知らねーよ!!この前浜面とかと飲んだ時気づいたら朝で、お互い俺の部屋のベットの上で裸でいたんだよ!!
しかも謝ろうとしたら笑顔で「私は気にしませんよ、半蔵様」っていうしよー!!こっちが気にするっつーの!!」ビエーン


過ちを犯した男のあっぱれな男泣きである。これに対して麦野は


麦野(まじかよ…)


ドン引きプラス内心焦ってる。
正直さっき言ってた誘導尋問も実はでたらめで、ただ半蔵を弄ろうとしただけだった。
だが現実は爆釣れである


麦野「なんだ…そのー…な。飲もうな!な!?」

半蔵「酔った勢いとか最低すぎるだろ俺…」

麦野「いや、相手だって気にしてないって言ったんだろ?だから大丈夫だって」

半蔵「せめて告白してからの方がよかったーーーーー!!!」ギャー!!

麦野「…どーすんだよコレ」


その後、半蔵の鳴き声を聞いたスタッフが来て事情を説明し、彼女はその場を後にした


麦野「泣き上戸とか初めて見たよ…」



その頃


フレ「きぬはたー大体早くにゃ~」

絹旗「はいはい超待ってください!!(麦野ぉ今日晩御飯、麦野が当番ですよ~)」



319: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/05/06(月) 10:03:43.27 ID:2SVB+aYW0


同日・深夜


半蔵「はあ…」

「気にすることないっすよ!半蔵さん!!」


先程男泣きを披露した半蔵は何とか治まって、スタッフにフォローされながらカウンターに立ってる。
ちなみに今現在店の様子は、研究員や大学生がちらほら居るぐらいで空いてる


「俺もそんな経験ありますけど、何とかなってますよ!!」

半蔵「俺はお前みたいに恋愛経験豊富じゃねーの…」

「あはははは…(凹み過ぎだろ…)」

半蔵「何ともなかったら連絡無いのはなんでだよ…」

「まあ…色々あるんじゃないっすか!?そうだ!今俺が適当にアドバイスしましょうか!?」

半蔵「本当か?…」

「一応、半蔵さんより経験ありますよ!!」

半蔵「じゃあ――」

「じゃーーん!!半蔵、元気にしてたじゃんか!?」

半蔵「あ…」

(このタイミングで来るかよ巨乳『警備員』!!)


そこには半蔵が惚れてた巨乳の『警備員』こと黄泉川愛穂と

320: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/05/06(月) 10:05:11.73 ID:2SVB+aYW0

「ちょっと愛穂うるさいわよ!!」


出来上がってる黄泉川を担いでる女性、芳川桔梗


黄泉川「うせえじゃん!!私の酒が飲めないじゃんか!?」


「ですけど、明日から連休だからって黄泉川先生の飲み過ぎなのです!!」


それを心配そうに見る、見た目は子供頭脳は大人を地で行く女性。月詠小萌の3人がご来店した


「いらっしゃいませー、いつものでいいですか?」

黄泉川「おう!!じゃんじゃん持ってくるじゃんよ!!」

芳川「これのは弱めにしてね」

小萌「逆に先生のは強めで!!後灰皿下さい」

「うーっす!!」

半蔵「はー…」

黄泉川「どうした半蔵!元気ないじゃんよ!?」

芳川「さしずめ恋煩いって所ね」

半蔵「恋煩いねー…」

小萌「どうしたんですか?先生が相談に乗るんですよー」

「(いや無理だろ…)はいどうぞ」

黄泉川「ありがとじゃん!!ゴクゴク…っぷはー、酒の肴に聞いてやるじゃん!!」

(いや、だから無理だって…)

半蔵「…じゃあ、いいっすか?」

(まじか!?)

黄泉川「おう!!じゃんじゃん聞かせるじゃん!」

芳川「出来る限り答えるわよ」

小萌「さあ話すのです!」

半蔵「実は――」


そう言って彼は話し始める。もちろん名前は伏せてだが、それでも詳細に話した

321: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/05/06(月) 10:07:29.38 ID:2SVB+aYW0



黄泉川「ほう…」

小萌「ふぁー///」

芳川「また随分とヘビーな内容ね」

黄泉川「にしても悪がきのお前を一目ぼれさせるとか、すごい『警備員』がいるじゃんよ!!」

芳川(いや、あなたでしょ…)

小萌(黄泉川先生ですよー…)

半蔵(あなたですよ…)

「(こいつじゃねえの!?)…そう言えば黄泉川さん達って、確か小さい子供がいるとか言ってませんでしたっけ?」

小萌「黄泉川先生のとこのアホ毛ちゃんなら、先生の生徒ちゃんとシスターちゃん同士でお泊り会があるのでそっちに居るのです」

「あー、なるほど」

黄泉川「で、どうしたいじゃんか?お前は」

半蔵「俺は…」


黄泉川「経験ないのは解る、だけどそれで先延ばしにするのは駄目じゃん。
片方はお前の片思いだけど、もう片方は手を出してるじゃん。それはお前が決着着けないといけないじゃん。半蔵、お前はどうなりたい」


半蔵「どうって…」

黄泉川「ま、こんな時は1回合って話すのが手っ取りはやいじゃ…っぶ!?」


なんかいいこと言ってる時、急に黄泉川の雰囲気が変わる。
酒飲んでた時に来るあれである


芳川「さっきの店で飲み過ぎよ…」

小萌「よ、黄泉川先生!?」

「あーあ。おーい!!この人、トイレまで案外してくれ!!」

「了解です!!」

小萌「先生も着いていくのです」

黄泉川「気持ち悪いじゃん…」ズザー

芳川「無様ねー…」


半蔵「…」

322: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/05/06(月) 10:09:26.34 ID:2SVB+aYW0


芳川「…ま、愛穂が言ってたけど直接会うのが1番いいわよ」

半蔵「そうなんですか?」

芳川「ええ、メールや電話じゃ相手の顔が見えないから平気で喧嘩になっちゃったりするけど。
でも、相手の顔を見ると何故か落ち着くものなのよ」


「それは解りますわ」

芳川「ほら、ここにも経験者が1人。…だから今度ここに来たとき話してみなさい」

半蔵「意外と経験あるんですね…」

芳川「今の言い方は心外だけど。…伊達に女を何年もやってる訳じゃないわよ。それに、その子って偶にいるあの派手な子でしょ?」

半蔵「え!?…何で知ってるんすか」

「やべ!」

芳川「確かあなたが上の車屋のおじさんに飲まされまくって潰されてる時、代わりにここに立ってるわよね」

半蔵「は!?」

「半蔵さん。これは…そのー…」

半蔵「なんだよ!なんで俺に言わなかったんだよ!!」

「…郭さんに言われたんすよ!!「自分の口で伝えたいから半蔵様には私が来たこと教えないで」って、
その後寝てる半蔵さんに毛布掛けていつも帰ってますよ!」


半蔵「いつも!?」

芳川「君は随分間と言うか、タイミングが悪いんだね」

半蔵「うおー…」

芳川「それに、その様子ならまた来るんじゃないか?現にほら」


半蔵「え!?」

323: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/05/06(月) 10:10:51.86 ID:2SVB+aYW0


芳川が後ろを指すので見る半蔵。
そこにはよく見る派手な浴衣ではなく、このクラブのスタッフTシャツに少し大きめの黒のパーカー、ショーパンと言う姿だ。
そして罰悪そうに


郭「お久しぶりです…半蔵氏」


右手を顔付近に持って着て挨拶をする郭の姿があった


芳川「ここからは2人の世界ね」

「カウンターの奥の方空いてますんでどうぞ」

郭「あ…うん」

半蔵「…ちょっとここ頼むわ」

「はい!!」


半蔵はスタッフに指示を指すと奥の方に向かった


芳川「なんか、少しだけど安心したっぽいわね」

「そうっすね、郭さん見てからあからさま表情が違いますもんね」

芳川「ね、言ったでしょ。会うと変わるって」

「ですね!」


少しぎこちない感じだが、そこには険悪な空気は無かった

324: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/05/06(月) 10:13:09.74 ID:2SVB+aYW0



暫くして黄泉川と小萌がトイレから帰ってきた


黄泉川「いやーたっぷり出したじゃん」

芳川「随分すっきりした顔ね」

黄泉川「おう!これからまたじゃんじゃん飲むじゃん!!」

芳川「あきれた…」

小萌「大丈夫ですかー?」

黄泉川「大丈夫じゃん!!あれ、半蔵は?」

芳川「彼ならあそこ」





郭「で、その第三位に似た子がねー」

半蔵「まじかwww」


そこには微笑ましく話す2人の姿があった





黄泉川「あら」

小萌「ひょっとしてあの子が?」

芳川「そうみたいね。それに顔をみなさい」

黄泉川「どれどれ…お。なんか元気が出た顔してんじゃん!」

芳川「お互い体を知ってる男女の雰囲気ね」

黄泉川「あれ~まさかの桔梗さんからそんな言葉が出るとは思わなかったじゃん」

芳川「…最近見たしね」

黄泉川「うそー、どこで見たじゃん!?」

芳川「あなたねー…本当にそっち方面は鈍いのね」

黄泉川「?」

小萌「鈍いと言えば、上条ちゃん元気でしょうか…」

黄泉川「あのガキなら大丈夫じゃんよ!!ほれ、あいつも元気になったし飲み直すじゃんよ」


こうして夜は更けてく


331: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/05/18(土) 21:52:53.40 ID:T3136dpe0




新横浜・新幹線改札前


人々が目まぐるしく行きかうコンコース。
皆これから会議や部活の朝練、出張など理由は様々だが一概に眠そうである。そんな中


麦野「遅い」

木山「…」


朝から機嫌が悪い麦野。
別に朝だから低血圧だから、と言うわけではない。
現在7時55分そう集合時間まであと5分、絹旗と白井がなかなか来ないのでいらだってるのだ


木山「そう焦るな…外部の電車は学園都市より込むからな。朝は遅れることはよくある」

麦野「でもなあ!!」

木山「だから発車の30分前に集合時間にしたのだよ」

麦野「…」

木山「もう少し余裕を持とうではないか」

麦野「…わあったよ」

332: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/05/18(土) 21:54:55.60 ID:T3136dpe0

それから20分後


白井「すみませーん」

絹旗「超遅れましたー!!」


チビコンビ2人が走ってくる


麦野「おせーよ!!」

白井「申し訳ございません電車が遅れまして…」ゼエゼエ

絹旗「だから…超私達の制ではありません…」ゼエゼエ

麦野「言い訳するな!!」スパーン!!

絹旗「あだ!!」パコーン!!

木山「…あまり時間もないから、朝食は中で適当に買って社内で食べよう」


彼女等は改札を通り売店でご飯を買いホームに上がった、ホームにはすでに沢山の人で溢れている。
大体がサラリーマンでこれから出張なのだろう、皆スーツケースやパソコンケースを手に持ってる


麦野「案外多いんだな」

白井「そうですわね…リニアが出来たから空いてるかと思ったんですが」

木山「確かに名古屋や大阪方面に行くのはリニアがいいが、我々の行く京都や静岡方面はこっちの方が速いのだよ」

白井「なるほど」

絹旗「」キョロキョロ

麦野「どうした絹旗、落ち着きねーな」

絹旗「いえ、新幹線ってものが初めてなので超楽しみなんです」

麦野「遊びに行くんじゃねーんだよ…」

白井「でも絹旗さんの御恰好を見るとご旅行に行く方に見えますわね」クスクス

絹旗「…それを言ったら白井もですよ」

白井「うぐ!?」

333: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/05/18(土) 21:57:09.10 ID:T3136dpe0


現在、絹旗の格好はいつものニット時のワンピースだが黒いファー付のモッズコート、
黒子は大きめの黒いパーカーでラメのビーズの刺繍がありデニムのショーパンでカーキ色のファー付のモッズコート。
さながらギャル仲良し2人組だ。一方麦野と木山は黒いパンツスタイルのスーツ、出張に行くOL2人組だ。
そして1人1個のトランクと木山はアタッシュケースを持ってる


白井「こんなラフな格好…わたくしのガラじゃありませんの」

麦野「いいじゃねーか、似合ってるぞ」

絹旗「そうです、超似合ってますよ!!」

白井「ありがとうございますの…」

木山「そろそろ列車が来るぞ」


彼女が言うと列車が入線すると言う趣旨の放送が流れる。
ベルが鳴り響く中、白い車体にブルーのラインが入ったの列車が滑り込んでくる。
彼女たちが乗る7号車の扉が近づいてくる、扉の横にグリーン車のマークと車体形式を表す大きなエンブレムが見える。
ホームドアが開き列車のドアが開く、そしてどの扉からも整然と客が乗車する。
彼女達も周りに合わせて静かに乗車する、扉をくぐるとポーンポーンと言う音が聞こえた。
彼女たちが乗ったのは7号車の個室車両、4人用で結構しっかりした作りになってる

334: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/05/18(土) 21:59:22.61 ID:T3136dpe0

「――本日は線路内、人の立ち入りにより列車が遅れまして――」


絹旗「ほーこれが新幹線の車内ですか!」

白井「個室なんてありましたのね」

木山「電車がスピードに乗ってから話そう…君たち、朝食なら今のうちに食べちゃいなさい」

絹旗・白井「「はーい!!」」


袋から各々かったご飯を出す。
木山はおにぎりとお茶、麦野はミックスサンドとコーヒー、黒子は幕の内弁当とお茶、絹旗は


白井「焼売弁当ですか?」

絹旗「はい!この駅の超名物らしいので!!」

白井「ほー2重になっていて2段目が焼飯とは、またボリュームのあるお弁当です事」

絹旗「で、1段目が焼売です!!」


楽しそうに弁当を開ける彼女。しかし


絹旗「…へ?」

白井「焼売が…1個も…ない!?」


そこには空の容器だけで焼売は1個も入ってなかった


絹旗「ええぇー…」

白井「まさか、販売元のミスで全部ないのでは!?」

麦野「…」

絹旗「そんなぁー…」ウルウル

白井「き、絹旗さん!そんな涙目にならなくても!!」オロオロ

木山「…」

絹旗「だって焼売超食べたかったんですよ!!」

白井「わ、解ってますとも」

麦野「絹旗」

絹旗「むぎにょー…」ウルウル

麦野「ふた」


絹旗・白井「「ふたぁ?」」


麦野に指摘された通りふたを見る。
そこにはびっしりくっついた焼売があった


絹旗「ぬお!?こんなとこに!!」

白井「なるほど、ふたの裏側にくっ付いてしまってたんですね。これは盲点でした」

木山(懐かしいネタだな…)

絹旗「この絹旗様をだますとは超生意気です!私が超おいしく食ってやりましょう!!」

白井「ふふふっ」

麦野(やかましく飯を食う奴だなぁ・・・)

絹旗「いただきまーす!!」

335: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/05/18(土) 22:01:26.93 ID:T3136dpe0


食事後


絹旗「はあー、おいしかった!」

白井「値段の割に美味しかったですの」

木山(この子は確か4000円ぐらいのを食べてたよな…)

麦野「さて、話してもらおうか」

木山「おお、そうだったな…」

絹旗「その前に、ここでいいんですか?学園都市内で話さなかったのは盗聴の心配があるからですよね!?」

木山「この車両の壁は防音でね、一応企業同士のちょっとした会議にも使われるのさ」

白井「それなら学園都市の会議室を使った方が…失礼ですけど外部よりかはもっと防音設備が整ってるのでは?」

麦野「その腕時計の効果忘れたのかよ…」

白井「あ…」


彼女の腕には携帯式キャパシティダウンが着いてる、もちろん自分で外すことが出来ない。
ちなみにこれは麦野と絹旗にもついていない


木山「そのことなんだが…白井君、それの付いた腕を」

白井「はあ…」


黒子が腕を木山に見せると


木山「…うん大丈夫そうだ」


そう言うと無造作にそれを外した


白井・絹旗・麦野「「「えええええええええええええ!!!!」」」


これには絹旗と麦野もビックリしてる。
自分たちがどうやっても外せなく、もがいた物があっさりとこの女が外した


木山「白井君!これを早く車外に飛ばしてくれ。早く!!」

白井「は、はい!!」


言われるがままに彼女はそれを外にテレポートさせた


木山「これで大丈夫であろう…」


麦野・絹旗・白井「「「…」」」ポカーン

336: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/05/18(土) 22:03:12.30 ID:T3136dpe0

木山「?…どうしたのかね」

白井「いえ、何て言うかですね」

絹旗「今の行動が超訳が分からなくて…」

麦野「とりあえず、全部説明しろ」

木山「ああ、そうだな…」


そう言いながら彼女はバッグからタブレットを取り出す


木山「君はさっきのブレスレット、どのような効果があると聞いた?」

白井「何って…妙な真似をしたら装置が発動して、演算できなくなると。そうですわよね、む・ぎ・の・さ・ん!?」

麦野(まだ恨んでるのかよ…)


彼女はあれを付けられられた時、麦野に殴るけるの暴行を加えられたのでけっこう恨んでる。
もちろん、今更どうこう言うつもりは無いが


麦野「…そうだな。私のスマホのスイッチ1つで装置が作動する、そうじゃねーのか?」

木山「そうだな、白井君は御坂君の側近。しかも彼女の為なら何をやるか解らない、監視の意味も込めて着けた首輪だった…」

白井「だった?」


木山「そう…だが、欠点があってな本当はさっきのブレスレットで盗聴するはずだった。
しかしできなかった、おそらく急増品で装置の1つが故障したのだろう」


麦野「盗聴までするつもりだったのかよ…」

絹旗「でも、私達は普通に行動が超筒抜けだったじゃないですか?」

白井(わたくしのプライバシーは何処へ行ったのですの……って!?)

白井「筒抜けだったのですか!?」

麦野「は?」

絹旗「何をいまさら」


驚愕する黒子に対し、2人は「何驚いてるの?」みたいな反応だ

338: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/05/18(土) 22:06:24.79 ID:T3136dpe0

絹旗「監視対象に気付かれず盗聴するぐらい暗部なら超朝飯前ですよ」

白井「て…あ…」

麦野「わるいな、こっちも仕事なんだ。あと」

白井「ひ!?」


麦野「寂しいのは解るが『お姉様成分』と称して第3位の下着をしゃぶるのは良くないと思うぞ」


麦野「後、『マッサージ』と称して寝てる第3位を裸にして、胸をもみくちゃに舐め回すのもどうかと思うぞ」


絹旗「初めて知った時、超ドン引きしました…」

白井「NOOOOOOOOOOOOOOOOO!!!!!」


公開処刑であった。彼女は美琴のお見舞いに毎日行ってる、もちろん佐天や初春にも会いに行ってる。
最初は花を取り替えたり看護士が体を拭くのを手伝うぐらいだった、しかし体を拭いてるうちに彼女はこう思った
「どうせならヤれることヤっちゃえばイインジャネ?」
こうなると彼女の行動は早い。まず美琴の体を拭くのは私がやると言って、看護士に許可を貰い自分でやり始めた。
最初は濡れタオル、次第に手、現在は舌で洗ってる。
もちろん胸も丁寧に『マッサージ』してる、その影響か美琴の胸は少し大きくなってる。
念のために付け加えとくが、彼女の貞操は無事である。
ちなみに寝たきりの場合点滴だけなので普通は痩せていくが、学園都市の場合は冥土帰しの特製の点滴薬で通常と同じ体を保ち。
更には成長期の患者なら成長作用まである、若干反則じみた薬になってる


木山「随分君は変態なのだな…」

麦野「突然脱ぎだすアンタも十分変態だよ」

絹旗「だ、大丈夫ですよ白井!最近もっとすごいの見たから変態耐性のレベル超上がってますので!私」

白井「フォローになってませんの…だから最近まで距離を置いた感でしたのね…」

絹旗「あはははは…」

木山「君の言ってた変態はあれか。入院してる少年に逆レイプしようとした」

麦野「あんだその物騒に盛んな変態」

339: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/05/18(土) 22:08:46.95 ID:T3136dpe0


絹旗「ああ、麦野その場にいませんでしたよね。あの特別レベルの超警護対象になってるレベル0いるじゃないですか」

麦野「ああ、居たなそんな奴」


絹旗「で、そのレベル0にイギリスからお見舞いに来た人だったんですよ。
まあ格好から変なメイド服の超変態だったんですけどね。
それで規則通り私と結標で付いてったんですよ、そしたらその超変態2人がいきなりパンツ脱ぎだしたんですよ」


麦野「は!?」


絹旗「私達もポカーンとしちゃって…そしたらその超変態がレベル0に馬乗りしそうになったんですよ。
流石に超止めようとしてその2人をとっ捕まえたんですけど、すごい馬鹿力でして。麦野といい勝負ですよ」


麦野「…今のは聞き流してやる。続けろ」


絹旗「これ以上は耐えられないので結標に外の『警備員』のとこまで超飛ばしてもらったのですよ。
それで私達も外に出たら案の定超取り押さえられてるんですけど、十数人の男に超抵抗してるんです」


白井(何で公開処刑されて、変態の話を聞かされてるのですの。わたくし…)


絹旗「しかも意味不明な事言ってて
『放して下さい!!教皇代理が言ってたんです!!』
『学園都市ではこう言うスタイルのお見舞いが流行ってると!!』
その場の全員で「「「んな訳あるか!!」」」って超突っ込んじゃいましたけどね」


麦野「相当な馬鹿だったんだな…冷静になれば解るだろ」


絹旗「それを聞いた2人はポカーンとした顔になって俯いたから、ああこれで超理解したんだな、と思ってたら
『教皇代理…』
『叩き斬る…』
って鬼のような形相になって超飛んで帰りましたね」


白井「飛んで帰るって…」


絹旗「いえ、比喩でも無くて超マジなんです。その場にいた全員ぽかーんとした顔になりましたよ。あ、ちなみにその超変態が履いてたパンツは超気持ちが悪いので、結標に頼んで超地下深くに埋めてもらいました」


麦野「…朝からヘビーな話聞いたな、おい」

白井「世界は広いですの。わたくしも見習って今後は――」

麦野「見習うな」ペシ!!

白井「あご!!」

340: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/05/18(土) 22:12:35.02 ID:T3136dpe0


絹旗「あれ、何の話してたんですっけ?」

木山「あれだ。同程度の布面積なのに何故下着だと――」

麦野「ちげーよ、こいつに付いてたブレスレットの話だよ」

木山「ああ、それかそれなら直ぐに結果として現れる」

白井「結果とし…!?」


異変に気付く。列車の速度が落ち始めたのだ、まだ次の停車駅まで距離がある。
そして車掌の冷静なアナウンスが車内に響く


「お客様にお知らせします。只今三島、新富士間の沿線にて爆発事故がありました。
このため東海道新幹線は、一時運転を見合わせいたします。当列車は最寄りの掛川に臨時停車いたします。
安全の確認が取れ次第運転を再開しますが、大幅な遅れが見込まれます。お客様には大変ご迷惑をおかけします。なお――」


白井「爆発…って、まさか!?」

木山「そう、あのブレスレットだよ」


黒子の顔が青ざめる。威力は解らないが新幹線を止めるほどの爆発、もし付けたまんまだったら腕が吹き飛ばされるか最悪死に至る。
こんな物に恐怖を感じない奴の方が少ない


麦野「…腑に落ちねえ」

木山「何がだね…」

麦野「何でこいつだけそんな大がかりな首輪を付けたんだ…言っちゃなんだが消えても何ら問題の無いやつだろ?」

白井「…」


特に反論は無い。
いや、あるにはあるがここで反論して話を逸らすのは得策ではないと判断したからだ


木山「彼女の能力が目障りなのだよ…きっと外部のナーヴギアなら彼女の能力で外すことが出来るのだろう。
もちろん学園都市に出回ってるのは無理だがな」

白井「やはりですの…」

麦野「んだお前。気づいてたのか?」

341: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/05/18(土) 22:15:05.92 ID:T3136dpe0

白井「薄々ですけど…あなた達が話をまとめたらそんな結論になりますの。それに、非合法な方法で学園都市を出たら気づきますの」

絹旗「非合法な方法…ですか?」

白井「学園都市を出る場合体内にマイクロチップみたいなものを埋め込まれますの、わたくしは実家に帰るとき何回も経験してますからね。
今回それが無かった、まあ今回の京都の件も十分特殊ですけどね」


麦野「なんだ解ってるじゃねーか。じゃあ私達が一緒なのは何でか解るか?」

白井「不穏な動き、まあ能力でナーヴギアを勝手に外したりでもしたら殺すと」

麦野「正解♪流石『風紀委員』ってとこだな」

絹旗「…ごめんなさい白井」


意地悪そうな顔で答える麦野に対し申し訳なさそうな顔をする絹旗、本心であろう。
しかし、黒子も悟ってたようで


白井「いえ、それぐらい何となく思っていましたから」

麦野「じゃあ。この後、私が聞こうとしたことも解るかにゃ~ん?」


意地悪そうな顔で聞く


白井「…何故、そんな重石を付けてるのに我々の行動を阻害しないのか。
今回みたいに派手に動いてるのに、街を出るときはむしろ協力すらする。上の考えが読めない…こんな事ですかね」


麦野「100点だ」


木山「…私の推測だが、上層部は今2つの意見に分かれてるのだろう。
1つはこのまま見守る派、いや邪魔されたくない者たち。
もう1つは一刻も早く解決したい派、レベル5が捕まってるのだ当然と言えば当然だ。
しかもこの事は外部の捜査組織に知れてるからな、捜査組織から言われた要望は知っておるだろ?」


麦野「レベル5が捕まってるのをばらされたくなかったら、手を出すな。だろ?」

木山「そうだ」

342: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/05/18(土) 22:17:46.79 ID:T3136dpe0


麦野「それも腑に落ちねえ。学園都市なら世界大戦みたいに外部の言う事を聞かず、勝手に捜査しちまうだろ。
なのに今回は外部に言われたことを「はいそうですか」みたいにキッチリ守ってる。なんでだ」


木山「…今年度の学園都市の入学者年齢比率を知ってるか?」

麦野「…知ってるか?」

白井「さあ」

絹旗「全く」

木山「未学習児童は大幅に増えたが、それ以外は減ってる。何故だかわかるか」

麦野「…」


木山「世界大戦、全世界での反学園都市デモ。
これが大々的に報道されてる中、まともな親なら学園都市などに入れはしないだろう、そうでなくても子供の方が嫌がる。
それどころか外部の地方自治体の中では、公立の学校からのこちらへの入学を禁止する条例が可決されたところもある。
主に日本海側の地域だがね。そして、現時点で学園都市では出生率がとにかく低い、子どもが来なければ学園都市は立ち行かなくなる。
ではどうするか、絹旗君。わかるか?」


絹旗「…」

麦野「おい!!」

絹旗「いいんです、麦野。…私みたいな『置き去り』に頼るしかない」


木山「そうだ。もしくは児童虐待されてる子供を学園都市に招待する。
…君たちは知っているか、学園都市の入学金が数年前から条件次第で実質ただに近いことを」


白井「初耳ですの…」


木山「そうだろうな、私も最初聞いた時たちの悪いジョークだと思った。だが現実だ。
…話を戻すぞ、実質入学金が無料になった結果、育児放棄してる親などがこぞって学園都市に子供を入学させた」


絹旗「つまりは捨てたと…」

343: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/05/18(土) 22:21:13.30 ID:T3136dpe0


木山「言葉は悪いがそうなるな。
…で、外部の児童虐待件数は大幅に減った、そして学園都市の人口は増える。
外部の児童虐待防止用の予算も学園都市に回してもらう、一応学園都市はこの国の1都市と言うのが公での扱いだからね。
その予算のおかげで学生たちの奨学金や補助金などを捻出、もしくは都市の運営費に使える。
捜査機関も内心事件数が減って喜んだそうだ、児童虐待は難しい案件だそうだからね。
こんなあからさまな人身売買だがお互いに損は無いからな、外部の捜査機関も黙認してた。
しかし、今回の事件で強気なれたのはタイミングと外部の国民感情だよ」


白井「国民感情、ですの?」

木山「ああ、例えば君が暮らしてるマンションの隣の部屋の住人が、すぐに喧嘩するような訳の分からない者だったら、どう思う」

白井「どうって、いやに決まってますの」


木山「そうだな。つまりはそう言う事さ。
ここ最近の学園都市内での事故、事件、そして世界大戦。
元々言う事を聞かず煮え湯を飲まされ続けてた外部が、今回の事件で元通りの1実験都市、自分の手中に戻したいのだろう。
さっき述べた案件が明るみになっただけでも、学園都市の立場は一気に危うくなる。
もちろん外部もただではすまないだろうが、それも覚悟しての事だろう」


麦野「…なるほどな。勝手に世界大戦起こすようなキチガイが自分のすぐ隣、いや家の中に居たら追い出すか消そうとするな。
私も外部の住人だったらそう思うな」


白井「それでこの『SAO事件』を最大限に使い、一気に問題を片づけようとする。
嫌ですが素晴らしくグッドなタイミングで起きた事件なのですね」


絹旗「その人身売買まがいの事をカードに、元の自分たちの手駒に戻す。
外部からしたら超悪くないシナリオですね、肉を切らせて骨を断つとは超いい言葉があったもんです」


木山「さらに弱体化、もしくは転覆を目指すだろうね…だから今回の事件は口を挟まないのだよ」


全員無言になる。運転を再開したのか個室のは列車の走行音しか聞こえない

344: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/05/18(土) 22:23:32.22 ID:T3136dpe0


白井「でも…そんなの」

木山「ん?」

白井「そんなのっておかしいですの!!ただメンツだけで何も手立てをしないなんて!!」

麦野「おちつけ白井」


白井「落ち着けませんの!!だって、今生き残り何人だとおもいます!?
半分の25人ですよ!!このままだとお姉様達だって!!って言うか、何で麦野さんはそんな落ち着いていられますの!?」


麦野「内心落ち着いてねーよ、冷静を装ってるだけだ…」


木山「皮肉なことに相手の危機は最大のチャンスだからね。
外部の方がこちらより被害者の数では圧倒的に多い、だがこちらは象徴ともいうべき者が捕まってる。
白井君には悪いが御坂君は今回学園都市の最大の足かせだよ」


白井「そんな!お姉様は!!」


木山「気の毒だが今回彼女の意思は関係ないよ…彼女はすでに交渉に最大限に活用されてる。
外交とはそう言うものだ、笑顔で握手し足元で蹴りあう。それが大人だ」


麦野「…おい木山!聞きたいことがある」

345: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/05/18(土) 22:25:13.84 ID:T3136dpe0

木山「…なにかな」

麦野「学園都市とかが、腐ってるのはよく解った。
で、私達をバックアップしてるのは誰だ、ここまでリスクのデカいことをやれるのは数少ないだろ」


絹旗「私も気になります。その説ですと学園都市的にはこのまま傍観の方が、超無難なような気がするんですが」

木山「…親船最中他、数名の統括理事会のメンバー。そして、冥土返し…これで解るかな」


麦野「なるほどな…親船と冥土返しは純粋に助けるため、それ以外はレベル5が捕まってるから面子を保ちたい。
目的は違えど目指す方向は一緒って所か」


木山「そう言う事だ。…話が盛大に脱線してしまったが、ブレスレットの事だが」

麦野「あ、その話だったっけ」

絹旗「なんか頭が超パンクしそうです」

白井「同じく…」


木山「簡単に言えば新幹線のATC、信号設備だな。
それの地上と車両の交信用の信号電波に干渉してしまうのだよ、それに引っかかると少なくとも1時間半は機能が停止する」


絹旗「その前になんかすごい話聞いちゃったから超どうでもいいです…」

白井「本当ですの…」

麦野「で、肝心な事聞いてないんだけど。私達は京都に行って何をするんだ?」

木山「そうだったな…1つはナーヴギア現物の確保、もう1つは学園都市版のナーヴギアの設計図を確保。私からはこれだな」

白井「ナーヴギアを手に入れるんですか?」

346: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/05/18(土) 22:28:16.34 ID:T3136dpe0


木山「そうだ…学園都市のナーヴギアは50個しか無いうえに、それらすべて使用しまってる。
1度人を殺した物は能力封じのシステムを中心に硫酸で融けてしまって使い物にならん、
会社を捜索しようにもアーガス学園都市支社は不審火で全焼。支部に居た社員を含め何も残ってない…」


絹旗「現物を手に入れるのは何故ですか?」


木山「ナーヴギアを研究しようにも現物が無くてな…
取り寄せたいが外部の捜査機関の許可が下りない、そこでアーガスの京都の本社に問い合わせたら数個譲ってくれるらしい」


絹旗「だから京都なんですか」


木山「そうだ、と言ってもアーガスは被害者家族への補償で倒産。今ナーヴギア、SAO関連の権利はレクトと言う会社が所有してる。
レクトは京都で新作ゲームの発表会があるらしくてな、今日なら主任が直々に渡してくれるらしい」


麦野「わざわざ来いとか頭が高えなぁ」

木山「仕方あるまい、こちらが無理を言ってるのだから。…君たちの方はどうなんだ?」

麦野「あんたから聞いて理解したが、情報を集める。それだけだ」

白井「それだけですの?」

麦野「それだけってなぁ…今学園都市に外部の情報はほぼ入ってこないんだよ、理由はさっきの話で分かるだろ」

白井「なるほど、外部が手を出されない為に情報を遮断したと。ジャンルは政治、軍事辺りですかね」

麦野「そうだろうな。詳しくは絹旗から聞け」

絹旗「いえい!」

木山「話はこの程度かな…今名古屋か、京都までは各自自由で。私は寝る」

麦野「絹旗ー飲み物買ってきてくれー…」

絹旗「いえ、私新幹線の車内解りませんよ」

白井「ならわたくしと行きますか?ちょうどお手洗いに行きたかったので」

絹旗「おお新幹線探検ですか!超楽しみです!!」

白井(何か違うような…)


一抹の不安、自分の責任、重く潰されそうな気持になる。しかし、それでも白井黒子は自分の信じた道を進む。それは愛するお姉様、友人たちの為に。そんな思いを乗せ新幹線は京都へ走り抜けた

358: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/05/25(土) 22:01:07.88 ID:i8NVJkYk0


京都駅・烏丸中央口


絹旗「おーーー!!ここが京都ですか!!」

白井「あまり学園都市と変わらないような…」

麦野「くぉら絹旗!!遊びで来てる訳じゃねーぞ!!」

絹旗「おっと、そうでした」

木山「…私と麦野君でレクトの記者会見をやってる場所に行く。君たちは先にホテルに行ってくれ、あと私達のトランクも頼む」

白井「解りましたの」

359: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/05/25(土) 22:02:22.93 ID:i8NVJkYk0


ホテルに移動


絹旗「部屋到着です!!」

白井「で、絹旗さん私達は何をすれば?」

絹旗「おっと、そうでした。超説明しますので自分のトランクを開けてください」

白井「はい」


指示通りトランクを開ける。
中に入ってるのは今朝、寮を出るまで着てた制服と自分の用意した荷物。
そして絹旗達が用意したものだ


絹旗「まず、中に入ってるこっちが用意したバッグを出してください。大体それに道具が超揃ってます」

白井「これですの?」

絹旗「そうそれです!!」


それは女子大生などがよく使うブランドのバッグだが少しばかり大きい。
中には財布スマホなどが入ってる、あと


白井「スクールバッグが入ってるのですが…」

絹旗「それは後で使います。で、そこの水色の袋を超開いてください」


言われるままに開く。そこに入ってた物は


白井「…拳銃ですの?」

絹旗「そうです、一見小さいですが20発弾は入りますよ」

白井「絹旗さん!!いくらなんでも」

絹旗「白井!お願いです!!」


両手で黒子の手を握り真剣な眼差しで話す。彼女も空気を読んで真剣に聞く

360: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/05/25(土) 22:03:42.24 ID:i8NVJkYk0


絹旗「あなたが『風紀委員』でこんなもの使えない、自分のプライドが許せないのも超解ります。
でも、もしかしたら学園都市の組織に襲われる可能性もあるんです。
それだけじゃありません、外部の連中にも。白井…お願いですから…」


白井「…解りましたの。でもわたくし、銃なんか使ったことありませんよ」

絹旗「超大丈夫です。銃口の下から出るレーザーポインターで的を狙えば100発100中です!!」

白井「まあ、いいでしょ…」

絹旗「すみません…本当はこんな事、超させたくないんですけど」

白井「気にしてませんわ。お姉様を助けるためなら身を汚泥に付けてもやり抜く所存です」

絹旗「強いですね、白井は…」

白井「そんな事ありませんわよ…さ、行きますわよ」

361: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/05/25(土) 22:05:11.54 ID:i8NVJkYk0

ホテル外


ここは京都でも有数の繁華街だ。
セブンスミストみたいなショッピングビルもあるが、人が全然違う。
学生ばかりの学園都市と違い、老若男女と言う言葉がまさに似あう雰囲気。
そしてあの街ではなかなか拝めない外人の観光客も多い


白井「はあ…学園都市の人混みとはまた違いますの」


あまりの人の多さにため息が出る。
気を取り直して目的地に行こうと絹旗に声を掛ける


白井「さ、絹旗さんその祇園四条って駅ですけ…き、き絹旗さん!?」


いきなり問題発生、絹旗がいない。

362: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/05/25(土) 22:06:27.39 ID:i8NVJkYk0



で彼女は…


絹旗「うおーーーー!!すげーーーー!!テレビで超見る風景です!!」


めっちゃ観光を楽しんでる


絹旗「あ、カメラカメラ」ゴソゴソ

白井「きーぬーはーたーさーんー!!」


観光気分を楽しんでる彼女の後ろから聞こえるどす黒い声。
ツインテールを逆立てながら白井黒子がそこには立ってた


絹旗「し、白井…や!」

白井「や!じゃねぇぇぇぇですの!!何浮かれてるんですか!?いきなり居なくなってビックリしたんですわよ!!」

絹旗「いや…これは、あのですね…なんかこっちに超イイ風景があるぞ的な感がですね…」

白井「じー…」

絹旗「すんませんでした!!」

白井「以後気を付ける様に」

絹旗「はい…」

白井「…で、この駅行く方法ですけど」

絹旗「…こう行ってこう行って、じゃないですか?」

白井「本当にそうなんですか?」

絹旗「超知らない街なので何とも…」

白井「わたくしも…」


白井・絹旗「「んー…」」


困り果てた2人。そこへ


絹旗「あ!?」


白井「どうしたんですの?」

絹旗「タクシー使っちゃえばいいんですよ!ちょうど前に止まってますし」

白井「ああ、そうですの」

絹旗「すいませーん!『京阪線の祇園四条』まで!」


「『京阪線の祇園四条』ね、」


白井「ちがいますわ絹旗さん。ごめんなさい運転手さん、国立大学まで」


「国立大で、りょーかい!!」


彼女たちは目の前のタクシーで目的地に向かうことにした


363: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/05/25(土) 22:08:35.97 ID:i8NVJkYk0


地下鉄・最後尾車内


木山「彼女達だけで大丈夫だったのか?」

麦野「絹旗は暗部で白井は『風紀委員』だぞ、外部の一般人相手なら十分だろ…」


気怠そうに座る木山とスマホをいじってる麦野。
別にメールを見てるわけではない


木山「で、種まきは順調か?」

麦野「はっ!楽勝過ぎて寝ちまいそうだよ」


彼女の弄ってるスマホ、一見外部でメジャーな物に酷似してるが中身は別物だ。
指定したアンテナから侵入し、そのシステムにアクセスできる代物。
特殊な動作もいらず簡単に、まるでメールを打つように出来る。
元々学園都市でとあるハッカーが作った物で、過去に学園都市の交通をマヒさせた経験がある。
その後学園都市の交通機関系統は対策が施されたが、外部ましてや京都と言う離れた場所では対策が行われてなかった。
しかも彼女たちは案杯を重ね、対策が施されてなさそうな古い車両を選んで乗車してた


木山「結果は…」

364: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/05/25(土) 22:09:45.76 ID:i8NVJkYk0

麦野「市営交通、近鉄、京阪のすべてのメインシステムに種まき成功。あとはこちらで発芽の合図を送ればいいだけだ」

木山「京阪も出来たのか…」

麦野「ああ、さっきの駅に京阪の車両があったんじゃねーのか?よく解らねーけど」

木山「なんにせよ、種は多くばらまけた方に越したことはない。何があるか解らないからね…」

麦野「それって外部の捜査組織に見つかる可能性の事か?」

木山「ああ…」

麦野「大丈夫だろ!!外部だぜ!?そこまで――」

木山「君は、さっきの話を全く聞いてなかったのか?」

麦野「はあぁぁぁ!!聞いてたっつーの!!」

木山「なら、何故外部の捜査機関が御坂美琴君が、SAOに囚われてるのを知ってたのか。疑問に思わなかったのかね?」

麦野「そんなの…!?」

木山「やっと気が付いたか…」

365: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/05/25(土) 22:12:11.50 ID:i8NVJkYk0


そう、まずこの時点で気づくべきだった。
学園都市側がどう考えても、自分が不利になるような情報を話すとは思えない。
それはつまり学園都市側に協力者、もしくはスパイがいる可能性が否定できない


木山「まあ、彼女の場合外部に両親がいるからね。その両親をマークするなりすれば自然と情報は入ってきそうだがな」

麦野「あのじゃじゃ馬娘…どこまで足を引っ張るんだよ」


木山「何回も言ってるがこれは彼女の制ではない。
彼女自身は今意識がないからね…それに聞くところによると、彼女はゲームのレビューを書いてくれと言われてプレイしたそうだね」


麦野「子供かよ…」

木山「私から見たら彼女を含め君も子供に見えるよ…」

麦野「あんだと!!」

木山「そんなところとかね…」

麦野「うぐ!…」


木山「それに…彼女が自由の身だったら彼にとって1番の障害になるだろう。
ひょっとしたら元からこうなる事を予測して、彼女を巻き込んだかも知れないね」


麦野「彼って?」

木山「茅場晶彦。彼は自分の障害になる物はすべて排除するからね…昔からそうだった」

麦野「昔から?」

木山「さ、駅に着くぞ。準備しよう」

麦野「ああ…(こいつ、茅場と何かあったのか?)」


1つの疑問が浮かびながらも彼女は下車の準備を始めた

366: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/05/25(土) 22:13:40.87 ID:i8NVJkYk0



京都府・左京区・ホテル内


記者会見の場所になるホテルの前には多くの報道陣がいた。
あれだけの事件の後での新型VRゲーム機およびソフトの発表、嫌でも注目は集まる。
もしくはそれを計算して発表したのか


木山「…意外とすんなり入れたな」

麦野「暗部の身分証偽造技術も馬鹿に出来ないだろ?」


持ち物、美便検査が終わり中に入る2人。もちろん身分証は偽造だ


木山「あまり褒められないがな…」

麦野「…で、接触ポイントは?」

木山「この公衆電話の前…向こうの方から来るらしい」

麦野「ふぅーん…」


公衆電話を背に待つ2人。
木山は何やらスマホをいじり出し、麦野は腕を組みながら辺りを見回す。
報道陣、警備員関係者が忙しく動く、そして特徴的なのは制服を着た学生が1人も居ないことだ。
学園都市なら警備の『風紀委員』、もしくは学生による報道機関の者が少なくともいる。
だがここには1人もいない、改めてここが外部なのだと実感する


「すみませーん」


スーツを着た30代ぐらいの男が小走りでこちらに来る


木山「あなたは…」

「主任の使いの者です。前のインタビューが長引いてしまったので、遅れてしまって申し訳ありません。案内しますのでこちらに」

木山「すまない…」


麦野「…」


使いに案内され向かう

367: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/05/25(土) 22:16:07.14 ID:i8NVJkYk0



主任がいる部屋の前には多くの記者団などがいた


「一応、インタビューの合間で形になりますので20分ぐらいでお願いします」

木山「わかった…。失礼します」


ドアを開け中に入る。中は応接室になっていて机とソファーがある、一般的な部屋の作りだ。
そしてそのソファーに座る男と後ろに立ってる男


「やあこれは。遠い所はるばるご苦労様です」

木山「こちらこそ、貴重な時間を割いていただきありがとうございます。木山春美と申します…」

「そちらの方は?」

木山「私の助手で…」

麦野「紅月カレンです」

「紅月さんですか。こんなお若くて綺麗な方が助手とは大変羨ましいです」

麦野「いえ、それほどでも(なんだこいつ、いい奴じゃね?)」ホホホ


彼女を内心満足させてる奴。その男は懐から名刺入れを取り出し


「申し遅れました。私が《レクト・プレグロス》フルダイブ研究部門の主任研究員、須郷伸之です」


その男は名刺を木山、麦野に渡し深々とお辞儀をした

368: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/05/25(土) 22:17:44.82 ID:i8NVJkYk0

木山「どうも。すみませんこちらは名刺が無くて…」

須郷「構いませんよ、極秘の会談ですからね。では早速内容に入りましょう、そちらにお掛け下さい」

木山「はい…」


言われるがままにソファーに座る2人


木山「早速ですが、我々が求めたものは…」

須郷「大丈夫ですよ。おい」


彼が後ろに居る部下に声を掛ける。
その部下は部屋の片隅にあった大きめのトランクを持ってくる、その男がトランクを開けると


須郷「こちらでよろしいでしょうか?」


そこにはナーヴギア2つと『ソードアート・オンライン』のソフト3つが入ってた


須郷「こちらでも用意したいのはやまやまなんですが、何分捜査機関が残りのナーヴギアを管理してまして…
一応我社が保管してた物のうちこの2つとソフトは提供できそうです」


木山「2つだけですか…」

須郷「はい…一応紛失した形ですので、あまり多くは…」

木山「そうですか…まあ2つあればこちらで何とかできます。で、学園都市向けのナーヴギアの設計図ですが…」

須郷「すみません…そちらの方ですが全て削除、あるいは紙の物は茅場が持ち出したそうでうちには」

木山「やはりですか…『彼』らしいですね」


思わぬ言葉に麦野、須郷はビックリする

369: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/05/25(土) 22:19:57.28 ID:i8NVJkYk0


須郷「茅場をご存じなのですか!?」

麦野(こいつが電車で言ってた意味そう言う事か!?)

木山「ええ…数年前そこの会議場であった講演会で会いましてね…随分不思議な雰囲気を醸し出してましたよ…全体的にね」

麦野「…」

須郷「これは驚いた。せんぱ…いや茅場がまさか学園都市の学者さんとお知り合いとは…」

木山「彼は凄く優秀でしたのでね…何回もこちらがスカウトしたらしいのですが、断られたようです」

須郷「そうですか…彼は大学時代から変わり者でしたからね。才能面では1流ですが」

木山「あなたも何らかの関係が…」

須郷「大学の先輩でしてね…いやー本当いつも先輩にはいつも勝てませんでしたよ」

麦野「…(こいつ)」

木山「そうなのですか…ですがあなたも『アーガス』を『レクト』と言う形で引き継げてるので優秀ではないでしょうか」

須郷「そうだといいですけどね…おっと、時間になってしまいましたね」

木山「そうですか…ではこちらも要求されたものを」


そう言うと彼女は持って来たアタッシュケースをテーブルの上に出す


木山「そちらの提示された性能は満たしてるはずです…」


麦野(なんだ?)


チラと見える中身。
それは筆箱位の大きさの機械、彼女も何回か見たことあるがこれは学園都市でメジャーな型のルーターだ。しかし最新の物でもない


麦野(何に使うんだ、こいつ?)

木山「…失礼を承知でお聞きしますが、この型番ならこちらでも正規のルートで買えましょうに。何故?」

須郷「すみません。こちらの機密ですので何とも」

麦野「…(こいつ…)」

木山「そうですか…こちらも極秘で来ているのでこれ以上詮索するつもりはありません」

須郷「そうしていただくと、ありがたいです」

木山「では、私達はこれで…」

須郷「はい。またのお機会に…あと言われた通り車を用意しました、キーはこちらに」

木山「どうも…では」

麦野「…失礼します」


370: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/05/25(土) 22:22:16.73 ID:i8NVJkYk0


扉が閉まり数秒立つ


須郷「…っはあぁぁぁぁ、なかなか隙の見せない女だったよ」


先程までの好青年的な態度から変わり、ふんぞり返るようにソファーに座る


「主任…」

須郷「あ!?」

「いいのですか『ナーヴギア』を渡したりして…」

須郷「ふん。構造的にはそう難しくない代物なんだ、どうせ奴らもそれは知ってるはずだ」

「では何故…」

須郷「元々学園都市とのつながりが欲しかったんだけどね、期待したらあんな末端の学者寄こしやがってよ!」


吐き捨てるように言う。『アーガス』と違い『レクト』は学園都市での支社が無く、学園都市での商売ができない。
学園都市では都市内で物を販売するとき、都市内の企業研究機関と合弁の企業を立ち上げなくてはならない。
ちなみに『アーガス』は外部企業では初となる単独で支社を立ち上げた、これは外部企業に衝撃を与えた。
企業はこぞって方法を聞き出したそうだが、茅場が口を開くことは無かった


須郷「もっと地位のある奴が来てほしかったよ!!しかも茅場と繋がりがあるとか嫌がらせか!!」

「そんな事言われましても…」

須郷「くっそ!!動揺しちまったよ!!」

「(茅場コンプレックスありすぎだろ…)…主任、そろそろ次の方が」

須郷「…っち!!まあいい、あいつ等はマークされてるしな!!」


371: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/05/25(土) 22:23:44.43 ID:i8NVJkYk0

ホテル・廊下


木山「すまないな…荷物を持たせてしまって、重いか?」

麦野「こんぐらい大丈夫だよ」

木山「…君はどう思ったかね、あの男」

麦野「小物臭え。お前が茅場のこと言った時あからさまに動揺してたしな」

木山「かつて彼も言ってたが。自分へのコンプレックスが激しいらしいな」

麦野「…なあアンタ」

木山「何かね…」

麦野「どうして茅場と顔見知りの事を隠してた。こっちは1度も聞いてないぞ」

木山「…聞かれなかったから。それでいいかね」

麦野「てっめ!!」


麦野が木山の胸倉を掴み壁に激しく押し付ける。しかし彼女の動揺した雰囲気は見られない

372: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/05/25(土) 22:24:51.13 ID:i8NVJkYk0


木山「放したまえ…こんなことしてる余裕はないだろう」

麦野「ああ!知ってるよ!だがな、1つ聞いとく。てめえらはどんな関係だった!?」

木山「…それを聞いてどうするのだ」

麦野「場合によっちゃあ尋問なり何なりとするよ!もちろん学園都市に帰ってからな!だがな」

木山「…だが?」


麦野「こちとらあんたを警護してるんだよ!
その警護対象がこっちを信用してなくてな、あんたが裏切るような事されると困るんだよ!解ってるのか!!?」


沈黙が走る


木山「…わかった、言わなかった事は謝ろう。放してくれないかね…」

麦野「…っち」バッ


腕を放され身なりを整える彼女


木山「さて…車に向かうか」

麦野「うぉい!!話すんじゃねーのかよ!!」

木山「ここだと目立つしな…それに」

麦野「それに?」

木山「君が大声を出して人が集まりすぎた…」

麦野「…はっ!?」


確かに彼女がさっき木山に問いただした時大声を出した、この結果


ナニアレ?
ドコノキョクダヨ…
ズイブンオッカネーアマダナ


かなりの人が周りに集まっている


木山「行くぞ…」

麦野「…ああ///」

390: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/06/02(日) 00:51:06.63 ID:z+Q3R6UU0



ホテル地下・駐車場


須郷が用意した車はGT-Rだった


木山「なかなか良い車じゃないか…」

麦野「そうなのか?」

木山「ではさっそく…」

麦野「まった!」


乗車しようとする木山を制止する麦野。
何かあるのか?


麦野「消毒する」

木山「消毒?…」


そう言いながら麦野はポッケからマグカップぐらいの大きさの筒を取り出す。
それ引っ張ると間にスマホが入るぐらいのスペースが空く、そこに彼女はスマホを設置すると


麦野「ほいっと…」


その機械を車体の下に抛り込む。
この機械はスマホ(暗部用)をセットし、車などの車体の下に抛る事で爆弾や盗聴器を排除できる。
ちなみに絹旗も所持してる


木山「なるほどな…不審物の有無のチェックか」

麦野「そんなところだ…お、異常なしと。乗れよ」

木山「うむ…運転は君がしてくれるのかな?」

麦野「あまり得意じゃねーけど、やるよ。乗り心地は期待するなよ」

木山「…期待はしないでおくよ」


391: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/06/02(日) 00:53:01.38 ID:z+Q3R6UU0


京都市・宝ヶ池通 車内


乗り心地を期待するなと言う割には安定に運転する麦野。
彼女の横に安心して助手席に座る木山


麦野「で、どこに行くんだ?」

木山「セットする」


手慣れた手つきでナビをセットする彼女。ものの数分で終わる


麦野「…右京区花園?」

木山「そこにはかつて彼の作った会社『アーガス』の旧京都支社。…今では『レクト』のフルダイブ研究部門の京都支部がある」

麦野「で、そこに何があるんだ?」


木山「…『アーガス』の京都支社は、彼が学生の時に開発部長に迎えられたときに本社だった場所だ。
東京に本社が移っても『ナーヴギア』等の開発はこちらで行われてたらしい…」


麦野「なるほどな、奴の拠点は京都と。だからあんたも京都で会ったのか」

木山「そんなところだ…SAOのサーバーは東京だが資料の多くはこちらに残ってるのかもしれない」

麦野「それで潜入して物色すると。あんたも結構大胆だな」

木山「言葉は悪いがそんなところだ…」

麦野「…で」

木山「ん」

麦野「テメエと茅場の関係だよ。正直、ただの顔見知りとは思えねえ」

木山「…証拠は?」


麦野「女の勘って所だな。テメエが茅場の事を言った雰囲気は男女の関係がある奴のオーラが出てたよ。
…これでもそんな奴らを数か月前まで身近で見てたからな」


木山「なるほどな…私もまだまだ未熟だな」

麦野「で、実際の所どうなんだ?」

木山「…男女の仲にはなっていない。…ただ身体の関係はあった」

麦野「セフレか?」

木山「君は本当に言葉が悪いな…そんなところだ」

麦野「なるほどねー…」


彼女自身に恋愛関係になった男、ましては肉体関係を持った事もない。
かつて恋愛感情を抱いた男はいた、しかしその男は現在自分ではない女と恋愛関係にある。
そしてその2人が既に肉体関係があることも知ってる


麦野(あいつ等と違った男女の形か…)


自分の知らない男女の関係に何とも言えない気持ちを抱きながら、彼女の運転するGT-Rは『レクト』京都支社に向かう




392: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/06/02(日) 00:55:35.52 ID:z+Q3R6UU0


京都市・国立大学


絹旗「おー。ここが超大学ですか!?」

白井「別に大学でしたら学園都市にありましてよ」


彼女達の着いた国立大学。
この国で2番目の古さを持つ大学で、学園都市の大学と違い建物や雰囲気に歴史を感じる。
しかし、学生を見ると硬い感じはせずむしろ自由な雰囲気を感じる


白井「にしても建物がひしめき合ってますわねー」

絹旗「まあ教室は何処でもいいので、適当にパソコンにある場所に行きましょう」


そして彼女たちはとある学部のパソコンにある部屋へ移動した


白井「勝手に入ってよろしいんですの?」

絹旗「私達はいまここの学生なので超良いのです」


そう彼女達は今ここの学生、と言うていになってる。
もちろん学生証などは偽造だ


白井「で、何するんですの?」

絹旗「此処のスパコンをハッキングして種をまきます」

白井「種、ですの?…ってかハッキングって!!」

絹旗「えー…今更驚くんですか?」ジトー


白井「いえ、非公式組織ですけどここは外部ですの!!目立つ行動は慎んだ方がいいですの!!
…って言うか、絹旗さんはハッキング出来るんですか!?」


絹旗「いえ、できませんよ」キョトン

白井「おい!!」

絹旗「ですからこれを使うんです!!」


彼女はそう言いながらスマホを取り出した


白井「スマホ…ですか?」

絹旗「ええ、これをここに超刺して」


スマホをコードでパソコンに接続すると


絹旗「これで超OKです!」

白井「?」


黒子には?状態だが、絹旗が特定のアプリを起動させるとすぐに解る。
パソコンの画面が目まぐるしく変わる、その光景はかつて見た初春がハッキングしてる時みたいだ


白井「これは…」


絹旗「まあ簡単に言えばこのスマホがハッカーみたいなものです。
学園都市のセキュリティーには効きませんが外部のこのぐらいの物なら超簡単に侵入できます!」

393: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/06/02(日) 00:57:45.44 ID:z+Q3R6UU0


白井「そうなんですか…で、お時間は?」

絹旗「15分位で出来ます」

白井「そうですの…はぁ」


一息つく


絹旗「…超疲れましたか?」

白井「…どちらかと言うと気疲れですの。こんな工作員紛いの事やったことありませんから」

絹旗「でも、1回どっかの研究所に超カチコミに行きましたよね?」

白井「カチコミって…って言うか、何故そのことをご存じで!・」

絹旗「一応暗部ですからね、そのー超調べさせていただきました」ハハハ

白井「はあー…もう何があっても驚きませんの」

絹旗「ははは…そう言えば白井は『風紀委員』の仕事以外だとどんな事してるんですか?」

白井「仕事以外、ですの?」

絹旗「ええ、私超気になります!」

白井「なら、絹旗さんの事も知りたいですの?」

絹旗「私、ですか?」

白井「ええ、暗部の仕事以外で。例えば麦野さんとの生活とか」

絹旗「いいですよ。お互いの事超話しましょう!」

白井「ふふ。ちょうどいい時間つぶしになりそうですの」


それから少女たちの談笑が始まった。
黒子はみんなでファミレスやカフェで駄弁った事、みんなで買い物行ったこと、何故か自分たちがモデルをやった事。
同じ寮の第5位がうざいから隙を見ては頭上にタライを落としてることなど。
絹旗もファミレスで駄弁ったりしてる事、B級映画を見てる事、みんなで同棲してた事など話まくった。
それで黒子が解ったことが1つあった。彼女達も同じ子供で同じような少女、乙女なのだと。
そして15分ほどの時が過ぎた

394: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/06/02(日) 00:58:32.84 ID:z+Q3R6UU0


絹旗「さて、インストールも終わったことですし超行きますか」

雑にスマホとパソコンを繋いでたコードを抜き、席を立つ彼女。黒子も同じように立ち上がる

白井「で、今度は何処へ?」

絹旗「麦野と合流するので『アーガスの京都支社』に行きます」

白井「で、方法は?」

絹旗「さっきと同じタクシーですかね…ぶっちゃけ、そっちの方が超速いし」

白井「そうですわね」


そう言いながら教室を出た


395: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/06/02(日) 01:01:02.68 ID:z+Q3R6UU0


外に出ると休み時間なのか多くの学生がいた。
そして目につくのはプラカードやチラシを持った学生の多さ、何かのサークルなどの勧誘だろう。
雰囲気も新入生などと違い、どこか垢抜けた感じがある。これがリア充だ


絹旗「なんか超うっとおしいですねー」

白井「仕方ないですわ。この時期にどれだけ新入生を集めてサークルの規模を拡大、または維持するのが宿命らしいですから」

絹旗「なるほどー…」


納得してると


学生1「やあ君ら!」

学生2「自分ら新1年生やろ!?」

学生3「どや?うちらのサークル入らんか!?」


2年せいだろうか、男3人組が2人に声を掛けてきた。
典型的な大学生の風貌で顔もいい方である、持ってる看板には『テニス同好会』と書いてある


絹旗「いえ、超遠慮しときます…」

2「堪忍してやー!」

3「せやで、今日ある新歓で友達いっぱい作ろうや!!」

白井「お誘いは嬉しいのですが…この後予定がございまして…」

1「予定?」

絹旗「(ナイスアシストです白井!!)そうなんですよ!この後花園って所で待ち合わせがあって」

2「なんや自分らラグビーでも見るんか?」

3「ちゃうやろ、映画村やろ?」

2「チャンバラか?」

3「てい!!」

2「ぐあーー!!」


白井・絹旗「「…」」


1「ごめんね。こいつ等いつもそうなんだ…よかったら俺の車で花園駅まで送ろうか?」

絹旗「超マジっすか?」

1「うん。俺も予定があるから送っていくよ

白井「よ、よろしいのですか?」

1「構わないって」

3「あ、先輩ずるいっすよ!!」

2「連れ帰って摘むつもりやろ!?」

1「なんでや!お前らと一緒にすんな!?」

絹旗(なんか…)

白井(本場の関西人に初めて遭遇しましたの…)

396: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/06/02(日) 01:04:20.55 ID:z+Q3R6UU0


1「とにかく、リっちゃんに伝えてこい。俺達上がるって」

2「ういっす!」

1「じゃあ、車こっちだから」

絹旗「あ、どうも…」

3「新入生とドライブとかサイコーや!!」

白井「ついていけませんですの…」


それから自己紹介しながら車まで移動する。
その時、絹旗が名前を弄られたのは別の名話し



大学近く・コインパーキング


先輩の車の車種はブルーのスポーツワゴン、学生が使うにはもってこいの車だ
。絹旗達は既に乗車してた


白井「いいのですか、一番後ろで?」

3「かまへん、かまへん!一番後ろは俺の特等席や!!」

絹旗「なるほど、後輩で弄られ役は超後ろってことですか」

1「そう言う事。お客さんは1番広い真ん中の席ってわけ」プハー


運転席で後輩にフォローを入れながら煙草を吸う先輩。
アメリカのメンソール、学園都市ではよくスキルアウトが吸ってるのと同じやつだ


白井「…失礼ですが。おタバコは体に毒ですわよ」

1「ん?ああ、解っちゃいるんだけどねー。やめられなくって…」

絹旗「煙草を吸う人の典型的ないいわけですね」

3「先輩、律さんにもいわれましたよねー」ニヤニヤ

1「おかげで喧嘩になったりしたけどなー。それが原因で…」

絹旗「お。何やら色恋沙汰の臭いが超します」

3「実はやな…」

1「おし、今日の俺の飲み代お前が払えよ」

3「んな殺生なー!!」

絹旗「うわー超だせー…」

3「ひどい!!」

白井「流石のリアクションですの」クスクス

1「あっはっははは!!」


405: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/06/07(金) 22:50:22.25 ID:iGlOiOHA0


和やかな雰囲気の中、帰ることを伝えに行った後輩が来た


2「うーっす遅くなりました」

1「おう、りっちゃんなんだって」

2「えーっと、「じゃあ、あたしの飲み代払ってね」だそうです」

1「…はっ!?」

絹旗「うおー関西の女、超つえー」

3「やーい!俺に奢らなかった罰やー!!」

1「お前、この前貸した金倍返しな」

3「なんでやーー!?」

白井「あなたが落ち担当なのですね」

1「はあー御託はいいから行くぞ…」カネタリルカナァ…

406: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/06/07(金) 22:52:17.34 ID:iGlOiOHA0




車内


彼女らを乗せた車は軽快に走る。
京都は割と渋滞が起こりやすい地域ではあるが、今日は渋滞に引っかからず順調に河原町丸田町付近を走行してる


2「へー自分ら関東から来たんや」

絹旗「そうなんですよ」

1「でも、何で国立にしたん?」

絹旗「超何となくですね。白井とは予備校で知り合いました」

3「何となくで、国立入れるんかい!!」


白井(そう言う設定ですのね…)


次々と繰り出される質問に答える絹旗に感心する黒子。
もちろん言ってる事はでたらめであるが、内容はしっかりしている。嘘だとはばれないだろう


1「にしても。高校の友達が花園に住んでるのか」

絹旗「はい、お姉さんと同居してるようですよ」

3「なあなあ!その友達美人か?」

白井「まあ…美人ですわよ」

3「うおーー!!頼む紹介してーな!!」

絹旗「やめといた方が超イイと思いますよ」

白井「右に同じく」

3「なっ!?」

2「自分、そないがっつくからモテないんやで」

1「せやで、少しは自重した方がいいぞ」


温かい雰囲気でさないが満たされそうなとき


絹旗「あ、麦野からメール」


の瞬間


うううううぅぅぅぅぅぅ


サイレンの音が後方から聞こえた。
後ろを見る、そこには白と黒のカラーで車上に赤色灯を光らせたパトカーがやって来る

407: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/06/07(金) 22:54:54.95 ID:iGlOiOHA0



3「なんや!?」

2「先輩、スピード出し過ぎたんちゃいます?」

1「んなあほな。さっきから制限速度守ってるで」


「そこの舞鶴ナンバーの青のバン。路肩によりなさい!!」


1「なんで、俺やねん!?」

白井「絹旗さん」ヒソ

絹旗「ヤバいかもしれません」ヒソ


彼女は黒子に自身のメールを見せた。
そこには麦野からのメールだが、内容の書かれてない空メールだった。
別に機械に疎くない彼女がこんな初歩的なミスをするわけがない、何かあった可能性がある。
そうこうしてると車は路肩に止まり、後ろからパトカーから警官2人が出てきた


1「なんですか?」

「ごめんねー、こっちもよく解んないんだけど…」


そのまま熟練そうな警官は車内を見渡すと絹旗と黒子と目が合う。
すると彼は後方で待機してたもう1人の警官に何やら合図を送る


1「ホンマ何なんや!?うちら急いでるんやけど」

2「せやで、お回りはんは善良な市民を捕まえたらアカンとちゃいますか!?」

「オッチャンも仕事やねん。堪忍してや」


急に止められ前席2人は軽く気が立ってる。
一方最後尾の後輩は前の少女たちを気にしてた。警官が来てからやけに静かすぎる、警官にビビってるのか?


3「モアイちゃん、ちょっと隣ええか!?」

絹旗「良いですけど…ってモアイじゃ」

3「大丈夫や」


絹旗の隣に移ってきた後輩が諭すように絹旗に声かける


白井「何がですの?」

3「先輩はああ見えて後輩の為なら身を挺す熱血馬鹿や、安心しとき」

絹旗「はい…ありがとうございます」


だが彼女の内心は全然安心してない。
どう考えても警察の目的は自分たちである、だがどうしてばれた?まさかこの大学生の1人が内通者!?
いやその可能性は低い、外部と連絡を取ってか動きは0だ。なら何故

408: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/06/07(金) 22:55:55.32 ID:iGlOiOHA0


それよりも彼女はこの人たちを巻き込んでしまったことに心の底から後悔してる、それは黒子も同じだ


1「なあ」ヒソ

白井「なんですか?」ヒソ

1「いざとなったら俺達が隙を作る。そのうちに逃げや」

絹旗「ですが、あなた達は超無関係」

1「ここは男にかっこつけさせろや」

2「自分らが何者かは聞かん。だが自分らがええ奴ってことは今までで充分解った、ワイの勘やけどな」

白井「お人よしすぎますわよ…」

3「せやから俺らモテへんのや」ケラケラ


そうこうしてると前にも車が停車する、今度は覆面だ。
中からスーツの男2人が出てきてこちらに近づいてくる、さっきまでの警官と雰囲気とまるで違う。
すると先ほどの警官がその男に敬礼して


「警備局殿!!」


409: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/06/07(金) 22:57:40.93 ID:iGlOiOHA0


と言った。警備局。俗にいう公安、公安警察とも呼ばれる部署。
その任務内容は反社会勢力や工作員などのテロリストの監視、逮捕などがある。
そして7年前に規模を拡大していて現在ではFBIやKGBに近い組織になってる、つい此間も沖縄の反政府組織を軍と共同で制圧してる。
話を戻そう。彼らが追うのは工作員も入ってる、絹旗や黒子は学園都市の工作員。
何も直ぐに能力者と解るわけではないが、彼女たちは持ち物に拳銃がある。
これだけで彼らは彼女達を逮捕できる


「君たち」


物静かそうでこわばった男が声を掛けてくる


「女性2人は外に出てくれるかな」

2「なんで――」

「窓の外を見た方がいいよ」


助手席の彼が外を見る。
そこにはもう1人の男が拳銃を構えてる


1「なっ!?」

「横暴とは言わせないよ…では、いいかね」

白井「…はい」

絹旗「わかりました」

3「モアイちゃん…」


渋々外に出る2人。
外に出ると声を掛けてきた捜査官は何やら道具を操作する、黒子には何やら解らなかったが絹旗には解る


絹旗(なんで…何で携帯能力測定装置があるんですか!?)


携帯能力測定装置。
その名の通り能力の有無を測定する端末、型は古い奴だがこれは学園都市の最高機密。
外部にあるわけのないものだ


絹旗(あの型は測定するのに3分かかる、何とかその間に――)


プワアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアンンンンンンン!!!


突然大音量のクラクションが響く、その影響で近くを走ってたビックスクーターが転倒する。
音源は先ほどまで彼女達が乗ってた車、先輩がさっき言った通り隙を作ってくれたのだ


絹旗「今です白井!!」

白井「ええ!!」


「貴様等!?」

410: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/06/07(金) 22:59:24.01 ID:iGlOiOHA0


その隙を見逃すはずもなく彼女たちは先ほど転倒したビッグに近づく


白井「すみません!!」

絹旗「超お借りします!!」


「ええ!!?」


慣れたようにビッグをかっぱらう2人。
と言っても黒子はただ絹旗を手伝ってるだけで、絹旗は1度浜面と半蔵がやってたことを真似してるだけだ。
そのまま華麗に発車するビック


「くっそ!!」


逃がさないように拳銃を向ける捜査官。しかし


(なんだあれは?)


疑問に思う。
後方に座った黒子が斜め上に何かを掲げる、大きさからしてリレーのバトンぐらいだろう。
すると彼女は下から伸びてたヒモらしきものを抜くと


シュポォォン!!


と乾いた音が響き何かが上空に飛ばされる


「迫撃砲か!?」


違う。
飛ばされた何かは地上20メートルの所で破裂する、特に爆風や破片が飛んで来る訳ではない、では何か。
答えは直ぐに解った


ドゴン!!


何か金属同士がぶつかった音が辺りに響く、後方に止まってた京都府警のパトカーに車が追突したのだ。
他にもさっきまで付いてた店舗の明かりが消えたり、スマホが壊れたと喚く人々、そして信号が点灯してない


「…EMP弾か」


EMP弾。解りやすく言えば膨大な電磁を発生させることによって、周囲の機器を故障または破壊させる物。
作るにしてもその弾はかなり大きくなる、そうある場所製を除いては


「駄目です。こちらの機器カメラなどはすべて使用不能です…」

「だろうな…だが、奴らの出何所ははっきりした」

「学園都市…ですか?」


「可能性としてだがな。だが、確率は十二分に高い。…お前は後ろの制服の安否確認、俺は近くに公衆電話が無いか調べる。
いくらなんでも半径1キロは無いだろうからな」


「了解!!」

411: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/06/07(金) 23:00:21.61 ID:iGlOiOHA0


二条城近く・竹屋町通付近


街中でサイレンが響き渡る中、絹旗達はここまで何とかビックを運転してきた。
しかし、ノーヘルでどう見ても私服の女子中学生が2人乗りしてるのは怪しい、なのでビックはここで放置することにした


絹旗「ここからは超歩きで行きましょう…」

白井「それは解りましたが…場所は大丈夫なんですか!?」

絹旗「それなら、この道を真っ直ぐ行くとJRの高架があるのでそれに沿っていけば花園に着きます。…どちらかと言うと、私の超心配は服ですね」

白井「服、ですか?」

絹旗「ええ。…いくらEMPを使ったとは言えあれの効果は半径500M。
ここまで数キロは走りましたから防犯カメラに写ってる可能性が超あります」


白井「それは否めませんの…」


確かに先ほど捕まりそうになった現場からここまで走ってきたが、いささか目立ち過ぎた。
手配されるのも時間の問題だ

412: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/06/07(金) 23:01:23.38 ID:iGlOiOHA0

白井「服装を変えるにしても、荷物はホテルですし…」

絹旗「うーん…」


悩んで辺りを見渡す絹旗。すると


絹旗「白井!!」

白井「なんですか!?」

絹旗「あそこ!!」


絹旗がある場所を指す。
そこには学校と思わしき建物がある、ご丁寧いに避難場所中学校と看板まである


絹旗「あそこで制服を超拝借しましょう!!」

白井「は!?何言ってるんですか!?」

絹旗「それに今は部活やってるみたいなので制服、超あさり放題ですよ」

白井「絹旗さん!!そんな泥棒じみたことを…ってか、正門から入ったら間違いなく1発でばれますわよ!!」

絹旗「そのための白井じゃないですか」

白井「そのためって…テレポートして中に入れと?」

絹旗「Exactly!!超その通りです!!」

白井「…はぁー。…考えてる暇は無さそうですわね」

絹旗「善は急げです!!超行きましょう!!」


ここに『美少女制服泥棒(工作員)』が誕生した

425: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/06/15(土) 20:34:54.28 ID:CSIw0n5P0



時を少し戻す

レクト・京都支社


麦野と木山は現在支社のある部屋に居た、これと言った物は無いが用があるのはこの部屋にある端末。
その端末はレクト社内ネットワークに繋がってる物で、ハッキング対策で外部のネットワークとは繋がってない。
本来ならIDやパスワードが必要なのだが


麦野「そんなのは、このスマホで解決♪解決♪」


と、意気揚揚に自分のスマホを端末につなげる。
必要なデータは5分位で見つかるだろう


木山「…しかし、そのスマホは本当に便利だな」

麦野「学園都市の暗部をナメんなって事だよ。…ってか、あんたのさっきの言い方だと、茅場は紙で残してそうだな」

木山「だろうな…だが、彼の事だすべて処分。あるいは持ち出してるだろうな」

麦野「はあ!?じゃあなんで此処まで連れて来たんだよ!?」

木山「わずかな希望…そんなとこだ。正直、この事件は彼が首謀と聞いた時、私は負ると思ったよ…」

麦野「てっめ!!」

木山「だが現時点で負けては無い。ナーヴギアを手に入れたのは我々にとっての大きな一歩だ」

麦野「…だといいけどな」


そう言うと麦野は残されてた事務椅子に腰を下ろした。
退屈ついでに車の運転で疲れた腰を伸ばそうと背伸びすると


麦野「にゃああああああ!!!!」ドシン!!

木山「…何をやってるのかね…私も偶にやるが…」


盛大に後ろに転倒してしまう。それと同時に床にたまってた埃が大量に舞った


426: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/06/15(土) 20:35:36.09 ID:CSIw0n5P0



時を少し戻す

レクト・京都支社


麦野と木山は現在支社のある部屋に居た、これと言った物は無いが用があるのはこの部屋にある端末。
その端末はレクト社内ネットワークに繋がってる物で、ハッキング対策で外部のネットワークとは繋がってない。
本来ならIDやパスワードが必要なのだが


麦野「そんなのは、このスマホで解決♪解決♪」


と、意気揚揚に自分のスマホを端末につなげる。
必要なデータは5分位で見つかるだろう


木山「…しかし、そのスマホは本当に便利だな」

麦野「学園都市の暗部をナメんなって事だよ。…ってか、あんたのさっきの言い方だと、茅場は紙で残してそうだな」

木山「だろうな…だが、彼の事だすべて処分。あるいは持ち出してるだろうな」

麦野「はあ!?じゃあなんで此処まで連れて来たんだよ!?」

木山「わずかな希望…そんなとこだ。正直、この事件は彼が首謀と聞いた時、私は負ると思ったよ…」

麦野「てっめ!!」

木山「だが現時点で負けては無い。ナーヴギアを手に入れたのは我々にとっての大きな一歩だ」

麦野「…だといいけどな」


そう言うと麦野は残されてた事務椅子に腰を下ろした。
退屈ついでに車の運転で疲れた腰を伸ばそうと背伸びすると


麦野「にゃああああああ!!!!」ドシン!!

木山「…何をやってるのかね…私も偶にやるが…」


盛大に後ろに転倒してしまう。それと同時に床にたまってた埃が大量に舞った



427: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/06/15(土) 20:38:27.63 ID:CSIw0n5P0


麦野「っつっててててて」

木山「大丈夫かね?」

麦野「ああ、大丈…!?」


ふと書類棚の下の隙間に何か落ちてるのがある。
彼女はそれを拾うと見慣れた名前が目に入る


麦野「『第4新素材研究センター』、って確か」

木山「第2学区にある研究所だな。確か兵器関連で最重要の部分を覆う素材などの研究が主だったような…文面は?」

麦野「唯の挨拶文で内容は次のページからだってよ…いらないから破いたんだろうな」

木山「それを貸してくれないか?」

麦野「ああ」


書類を貰うと彼女はそれを夕日に当てる


木山「…どうやら本物のようだな」


それは書類の紙にびっしり浮かんだ透かし文字、University townと書かれてる。
これは学園都市で機密度が高い書類に使用される紙で、この紙と専用の印刷機がないと使えない仕組みだ。つまりは


麦野「これで、学園都市。しかも深くと関係があるのが証明されたな」

木山「…茅場晶彦がな」

麦野「なんでそうなるんだよ!?ひょっとしたらレクトだって…」


すると木山は胸元から1枚の写真を取り出す


麦野「これは…」

木山「若き日の茅場晶彦だ。そして場所は…」

麦野「この部屋か!?」


そうこの部屋だ。
物や機材がいっぱいあるが、部屋の作り窓の位置など、どう見てもこの部屋に違いない。
プロジェクトチームだろうか、数人の人と共に興味なさげな顔をしてる男


麦野「じゃあここは!?」

木山「かつて『アーガス』のフルダイブ部門の研究室。…ここに来たのは初めてだがな」

麦野「…何で黙ってた?」

木山「先ほども言ったが私もここに来るのは初めてでな、正直な所自信が無かった。…黙ってた事は、悪かった」

麦野「…まあいい。ダウンロードも終わったしな」

木山「結果は?」

麦野「あんたの言った通り何も無し。…期待した自分が馬鹿みたいだよ」

木山「そうか…ならば」

麦野「」ゴクリ


428: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/06/15(土) 20:38:55.91 ID:CSIw0n5P0


木山「学園都市へ帰るか」


麦野「はええよ!!」


木山「こちらの要件はすべて果たしたからな…そちらは?」


麦野「本当にマイペースだな…さっき絹旗が仕掛け終わったみたいだ。こっちも用はねえよ」


木山「ならば行くぞ」


麦野「へいへい…」


429: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/06/15(土) 20:39:58.39 ID:CSIw0n5P0



正面駐車場


彼女等がGT-Rに向かうとそこには警官がいた、何やら車を調べてる様だ。2人は物陰に隠れる


木山「どうする?」

麦野「ただの制服だ。いざとなれば眠ってもらう」

木山「仕方ないがその線で行くか…」


内容が決まり前に出ることにした2人。
一応社員証(偽造)を首から下げる。念のため


麦野「どうしたんですか?」


須郷の時見たいな猫なで声で声を掛ける彼女。
それに反応して振り返る警官2人、新米らしく20代前半だろうと彼女は予測した


「あ、すみません。この車の持ち主ですか?」

麦野「持ち主って訳ではないですね、社用車ですから。何かあったんですか?」


「実は最近、近辺で車の盗難が多発してましてね、見回ってるんですよ。
でも社員さんが乗るのでしたら大丈夫ですね、ご協力ありがとうございます」


木山「とんでもない。見回りご苦労様です」

麦野(やったか!?)


やり過ごしたと思い心の中でガッツポーズをする麦野、木山も安堵した表情になる。しかし


「あ。それとですね」

麦野「はい?(なんだよ)」


爽やかな若い警官の雰囲気が


「公安も制服着るんですよ」


430: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/06/15(土) 20:41:50.44 ID:CSIw0n5P0


麦野・木山「「!?」」


この言葉を話した後急に変わる。彼女達が動くよりも彼らの方が速かった


麦野「がっ!!」ドン!!

木山「うっ!!」ドン!!


すばやく手を掴まれ車に押し付けられ手錠を掛けられる2人。更に麦野には別の変化が


麦野「ぐあああああああああああ!!!!」

木山「どうした!?」

「こいつが効いてるってことは、本当に超能力者なんだな」

「そうみたいですね」


先程の爽やかな声と打って変わって冷徹な声で会話する警官。
彼らのパトカーを見るとそこには、スピーカーが積んである


木山「キャパシティーダウン…」

「そう、出何所は教えられないがこれを使ったら超能力者は動けなくなるんだろ?」

「いい鎮圧兵器だ。…連行する」

麦野「なら…1つ教えてやんよ…」


苦しみに耐え公安を睨みつけるように喋る麦野


麦野「高位能力者なら…少しぐらい…使えんだぜっ!!」


吐き捨てた言葉と共に彼女の『原子崩し』が炸裂する。
威力はそうでもないが人1人殺すぐらいの威力があり、彼女を抑えてた警官の頭を消し炭に変える。
そしてすぐさま手を前に持っていき、懐の拳銃を出す


「うわあああああああああああああああ!!」


もう1人の警官が突然の事に悲鳴を上げる。
その瞬間木山を抑えてた腕の力が一瞬弱くなる


木山「っく!!」ゲシ!!

「おわ!?」


その瞬間木山は警官を蹴って距離を取ると、手錠をしながらも拳銃を構えてた麦野が2発発砲する。
その弾は1発は外れるがもう1発は警官の頭に当たる


木山「直ぐに出るぞ!!」

麦野「その前に!」


彼女は振り返りその拳銃でキャパシティーダウンを撃つ。
これで頭痛はしないし能力も存分に使える


麦野「手を出せ!!」


そう言って手を出させると彼女の能力を使って間の鎖を切断させ車に乗り込む。

431: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/06/15(土) 20:43:03.62 ID:CSIw0n5P0

勢いよくスタートする車、しかし路地から2台のスカイラインが飛び出し追ってくる


麦野「くっそ!!近くにいたか!!」

木山「おかしくはない…それに君の『原子崩し』に銃声、気付かない方がおかしい…」

麦野「っだってよ!!あの場合しょうがねえだろ!?」

木山「…とにかく、今は絹旗君たちに連絡だ」

麦野「ああ」


彼女がスマホを出し宛名に絹旗のアドレスを入れようとした時


ズガアアアアアアンンンンンン!!!!


大きな音と衝撃と共にバランスを失い塀にぶつかるGT-R。
路地から出てきたパトカーが後方にぶつかっていた、大通りに出る前の苦肉の策だろう。
それほど警察(公安)も必至なのだ、もっとも向こうは彼女たちを工作員としか思っていないのだが


「やったか!?」


後ろを付けてたスカイラインの覆面から出てきた捜査員が喋る。
何せGT-Rは中破、死んでは無いだろうが気絶位はしてるだろう


「取り囲め!!」

「ドアを開けろ!!」


怒号の指示で俊敏に動く捜査員。そしてGT-Rのドアがこじ開けられる


これまでか?


しかし、そこで彼らが見たものは


「…いない!?」


空席で更に荷物がない車内だった


「…何が起こった」


場の空気が凍りついた

432: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/06/15(土) 20:44:20.76 ID:CSIw0n5P0



近くのビル屋上


「ったく、あなた達は詰めが甘いのよ」

麦野「ってめえは…」

木山「助かったのか…」


気付いたら屋上に居た麦野達。
そこに居たのはサラシにブレザー、ではなく私服の少女。結標淡希。
学園都市暗部組織『グループ』の構成員。何故彼女がいるのか


麦野「…観光か?」

結標「か…っち、違うわよ!!あなた達を助けに来たのよ!!」

麦野「ふうーん…」

木山「…」

結標「何よ!!私が助けなかったらあなた達とっ捕まってたのよ!?」

木山「…そのことは礼を言おう」

麦野「で、質問なんだが後ろのたくさんの土産物袋はなんだ!?」

結標「のっ!?」


確かに彼女の後ろには土産物袋がある、中身は八つ橋やら漬物やら湯葉など主に食べ物関係だ


結標「し、仕方ないでしょ!!小萌やらインデックスにお土産買わないといろいろ文句言われるのよ!!」

麦野「逆切れかよ!?」

結標「いいじゃない!!」

木山「これこれ…あまり騒ぐとばれてしまうぞ」

結標「ああ、それなら…」

433: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/06/15(土) 20:45:34.29 ID:CSIw0n5P0



GT-R付近


捜査員達は困惑してた、何しろ被疑者が消えてしまったのだから。
彼らの持ってる情報では『学園都市からの工作員が京都市内に潜伏』『能力者の有無は確認できず』だった。
ある程度はこちら側で準備できるところまで準備したが、捜査員2名が殉職。
しかも超能力と思われる殺され方だ。正直、外部では能力者による殺傷事件がほぼ皆無なので対応しようがない。
とその時


「警部!!」

「どうした!?」


現場を仕切ってた捜査員に若手の捜査員が声を掛けてきた。口調から何やら重大な事案のようだが


「はっ!!本部からで第2班からの通信が途絶えたそうです!!」

「通信が途絶えただと!?」

「はい!!工作員らしき少女2名を所轄の警察官が発見。ただちに2班に連絡し急行、その後何かの衝撃音が聞こえてから通信途絶です!」

「2班の安否は!?連絡は取れんのか!?」

「それが付近一帯の通信、電機などのインフラが使用不能で…」

「っち!」


その第2班が巻き込まれた騒動。
それは絹旗と黒子が巻き起こした騒動に他ならなかった


「…第1班グループAは俺と共に第二班と合流するため直ちに急行!!」


「「「「はっ!!!」」」」


「グループBはこの付近の捜査!いいな!?」


「「「「はっ!!」」」」


「グループA乗車!!」


怒号の元グループAと呼ばれる数人は、グループBと呼ばれた4人を残して車に乗車しその場を去った

434: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/06/15(土) 20:47:03.27 ID:CSIw0n5P0

「で、どこら辺を捜索します!?」

「そうだな…」


先程警部に指揮を任された捜査官に別の者が訪ねる、これからどこを操作するのかブリーディングしようと思ったのか


「君たちには眠ってもらおう」


「「「っは!?」」」


班長の意味不明の言葉に疑問を浮かべる3人。
しかしもう遅い、班長は懐から黒い羽根を3枚出しそれを3人の額へ投げつける


「「「!?」」」


「眠りなさい」


彼がそう言うと羽が光る。
するとまるで赤子のごとく彼らは眠ってしまった


「「「zzz」」」


「ふう…」


結標「さすがね海原」

海原「結標さん」


そう。彼は学園都市の暗部の1人にして元アステカの魔術師、海原ことエツァリである。
捜査員の1人に化けていた


海原「いえ、自分でも上手くいきすぎてビックリしてますよ…」

結標「仕事は楽な方がいいのよ」

麦野「すっげーな、お前」

木山「あっという間に寝てしまったな…」


リアクションの無い結標の代わりに驚いてる麦野と木山。
そりゃ羽を付けた人間がいきなり熟睡したらビビル


麦野「…これが魔術って奴か?」

木山「魔術?」

結標「あら」

海原「御存じなのですか!?」

435: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/06/15(土) 20:47:35.79 ID:CSIw0n5P0

「で、どこら辺を捜索します!?」

「そうだな…」


先程警部に指揮を任された捜査官に別の者が訪ねる、これからどこを操作するのかブリーディングしようと思ったのか


「君たちには眠ってもらおう」


「「「っは!?」」」


班長の意味不明の言葉に疑問を浮かべる3人。
しかしもう遅い、班長は懐から黒い羽根を3枚出しそれを3人の額へ投げつける


「「「!?」」」


「眠りなさい」


彼がそう言うと羽が光る。
するとまるで赤子のごとく彼らは眠ってしまった


「「「zzz」」」


「ふう…」


結標「さすがね海原」

海原「結標さん」


そう。彼は学園都市の暗部の1人にして元アステカの魔術師、海原ことエツァリである。
捜査員の1人に化けていた


海原「いえ、自分でも上手くいきすぎてビックリしてますよ…」

結標「仕事は楽な方がいいのよ」

麦野「すっげーな、お前」

木山「あっという間に寝てしまったな…」


リアクションの無い結標の代わりに驚いてる麦野と木山。
そりゃ羽を付けた人間がいきなり熟睡したらビビル


麦野「…これが魔術って奴か?」

木山「魔術?」

結標「あら」

海原「御存じなのですか!?」

436: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/06/15(土) 20:48:40.34 ID:CSIw0n5P0


意外な言葉に実際に使った海原をはじめ、木山や結標も驚く


麦野「いやさ…知り合いが魔術のおかげで女が助かったーとか言ってさ。
私も嘘だと思ったんだけどよ…お前普段と使う能力違うからよ。槍みたいな奴だろ、普段?」


海原「よくご存知ですね…確かに普段は槍ですがこれも同じような物です。
詳細は言えませんが、雌のカラスの羽にトウモロコシの粉を撒いた物です。それで相手に刺し、その土地の言葉で『眠りなさい』と言うと」


麦野「こんな風に寝ちまうと?」

海原「そうです…普通は寝つけない赤子に使う物なんですが」

結標「応用したと?」

海原「結果的には」

木山「(話について行けん…)…とにかく、今はこの場から移動せねば」

海原「それなんですが…」

麦野「…どうしたんだ?」

海原「すでに絹旗さん達の方も襲撃されたようで…現在二条城付近で行方を暗ませたようです」

木山「あの辺りだと…こちらに合流しようとしてるのか?」

海原「そう考えるのが当たりかと…」

結標「とにかく!!今日帰るなら『カーゴ』が使えるわ。早く絹旗さんたちを回収しましょ」

麦野「確かに『カーゴ』を使って帰るのが今の所無難だな」

木山「…『カーゴ』とは?」

海原「暗部の用語ですよ」


437: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/06/15(土) 20:49:55.55 ID:CSIw0n5P0



絹旗・黒子チーム

学校内・とある教室


夕日しか光源のない教室に2つの影がゴソゴソ動く。
絹旗と黒子が制服を漁ってる、文章にするとひどい描写だな…
制服はオーソドックスなセーラーであった


絹旗「まさか制服の無い学校だなんて超知りませんでした…」

白井「本当ですわ。この席の人たちがオシャレ制服を着て来て無かったらどうなるかと…」

絹旗「まあ超怪我の功名ってことで!!」

白井「…絹旗さん!!少しはその行き当たりばったりを治してもらわないと」

絹旗「諸善します…」


そうこうしてると絹旗のスマホが振動する。電話だ


絹旗「お、麦野からです!もしもし」

【無事か!?】

絹旗「超無事です…すみません内容は超メールでいいですか?」

【?…解った】

絹旗「では」ピッ


電話を切ると彼女は教卓の方を睨みつける


絹旗「さっきまで超スルーしてましたがいい加減超出てきたらどうですか?」

438: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/06/15(土) 20:51:28.44 ID:CSIw0n5P0

教卓に向かって話す彼女。
すると教卓は不自然にガタと音を立てて動く、あからさまに中に誰か入ってる


白井「こちらから見ると2名入ってるようですが、そろそろキツクなってきたのではないですか?」


教室両端の扉の鍵を閉めた黒子が教卓に言うと中から「どうする?」「どうしよう…」の声が聞こえてくる。
声からして男女だ


絹旗「3つ数える内に出てきてください。さもなくば命の保証は超ありませんよ?3」


この言葉に応えたのか中から男女2人が出てくる。
歳は絹旗と黒子に近そうだが


白井「へ!?」

絹旗「ひゃ!?///」


その格好に2人は変な声を出してしまう。
男の方はズボンにフォトTシャツだが、何を急いだのかベルトが閉まってないどころか社会の窓からシャツが出てる。
一方女の方はブレザースタイルの制服だがブラウスのボタンが全開で、間から下着が丸見えで涙目でこちらを見てる。
どう見ても放課後の教室でお楽しみ中でした


「いやその…誰か来て慌てて隠れたら知らない奴で、しかもいきなり制服泥棒するし出るタイミング解んなくなっちゃって」

「あのー…どちら様ですか?」

白井「えーっと…」


正直言って先ほど捜査員に追われたばっかりなのでその関係者かと思ったが、蓋を開けたら唯の学生(しかもカップル)だ。
絹旗の方を見ると彼女は冷静なままだ


絹旗「これはお邪魔して超すみませんでした」

「なら」


男女共に晴れやかな顔になる、どう考えてもこの場を出てもいい空気だ。だが


絹旗「しかし」チャ


絹旗は懐から拳銃を出しそれをカップルに向ける。この行動には黒子も驚愕の顔になる


絹旗「このまま返すわけにはいきません。私達と遭遇したことを二度と思い出さないか、もしくは…」


ゆっくりとロックを外し


絹旗「2人の間を永遠に邪魔されない世界に超行ってもらわなければなりません。どちらにしますか?」


439: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/06/15(土) 20:52:39.53 ID:CSIw0n5P0


学校外の路地裏


つかつかと歩く2人


白井「…よく見逃しましたね」

絹旗「…何がですか?」

白井「…あの雰囲気でしたら、そのまま発砲したり何らかの薬を使うかと思ってましたの。なのに何もしないなんて」


そう、彼女は先ほど遭遇したカップルに何もしなかったのだ。
どう考えてもあの雰囲気だと命を奪う、もしくは何らかの処置をしそうなのだが


絹旗「別に何もしなくても超イイと思いましたので…あんな震えた目なら誰にも話さないでしょうし」

白井「そうですか…」


しかし本音は違う、絹旗はあのカップルを見た時ふと懐かしい気分になった。
そう、かつてルームシェアしてた仲間2人、近くに居るのに遠くに行ってしまってる2人。
あのカップルはその2人を中学生にしたらこんなんだろうと思う感じだった


絹旗(あるんですね…超こんな事って)


白井「絹旗さん?」

絹旗「っへ!?」

白井「どうしたんですの、そんな黄昏た顔をして」

絹旗「なんでもありません…さ、超行きますよ。このまま『カーゴ』のある場所まで超南下します」


440: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/06/15(土) 20:54:33.59 ID:CSIw0n5P0



京都市・上京区


府警の本部。そこは慌ただしい雰囲気に包まれてた。
唯でさえ東京からお偉いさんが来てるのに、まさかの工作員が自分たちの管轄に潜入し。
しかも殉職者まで出してしまった


「まだ見つからんのか!!」ドン!!


怒号と拳を机に叩きつける音が響く。
今回の責任者であろう苛立ちと焦りがひしひしと、伝わってくる。
その時若手の女性捜査官が慌てて入ってくる


「報告!内閣総理大臣より今回の事案は現時刻を持ってネガティブリストで対処せよの事です!!」


場がざわめく。
『ネガティブリスト』これはしちゃイケマセンよと言う規定があると言う意味で、どちらかと言うと警察より軍隊に近い捜査になる。
つまり武器の使用などが比較的自由になる


「学園都市が猛反発してますね…」

「何て言ってる?」


「ほとんど前と言ってる事は変わりませんが、『今回、当方は一切関わりがない事を最初に言っとく。
また先方の言う行為能力者の件だが、現在当都市内にてすべて所在しており貴殿方の意見は事実無根である。』だそうですよ」


「何を言っている!!こちらは捜査官2名が殉職してるんだぞ!!」


責任者の男が激高する。すでに事は内戦じみた事になってた


「JNSC本部より通電です!!」

「なんだ!?」

「明野よりOH-1が4機、また八尾からV-22J2機及び特殊作戦群第2師団24名が派遣されました!!」

「特殊作戦群までも来たか…大阪からのSATの方は!?」

「約10分前に鴨川西で降りたと連絡が…」

「緊急!!」


制服の若手が大声と共に入ってくる。声が若干ひっくり返ってるのが事態の大きさを物語ってる


「報告します!市内、上京、中京、下京、南、西京、右京区の1部範囲の信号がすべてダウンしました!!」

「なんだと!?」

「それと市営地下鉄、京阪、阪急の各路線でシステムダウンで運転見合わせになってます!!」

「所轄は!?」

「現在ほぼすべての署員が交通整理に駆り出されてます!!」

「何てことだ…」


441: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/06/15(土) 20:55:40.44 ID:CSIw0n5P0


京都・下京区・『カーゴ』近く


木山「種を全部発芽させたのか?」

麦野「ああ、絹旗が仕掛けた物も発芽させたぜ」


『種』それは彼女達が京都に来たときシステムをハッキングし仕掛けたウィルスの事。
麦野は市営地下鉄、京阪、阪急を。絹旗は国立大学のスパコン経由で警察の信号システムにそれぞれ『種』を仕掛けてた。
これらはどちらかのスマホで起動することが出来る


結標「しかしあなた達も随分派手ねー…これじゃあ内戦じゃないの」

海原「夕方ラッシュ時に信号が消えて鉄道も運休…まるで地震後みたいですね」

木山「しかも、それらによって途方に暮れた人々が電話を掛けることによる回線のパンク…十分すぎるほどの効果だな」

麦野「『種』は発芽後2時間で消滅。ま、完璧には復元できないだろうな」

木山「だが、そうなると我々も絹旗君と連絡が取れなくなるぞ」

麦野「大丈夫だよ!!アイテムなめんな」



442: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/06/15(土) 20:56:35.89 ID:CSIw0n5P0


絹旗「とか言ってそうですよ…」

白井「はあ…」


京都市・四条大宮


2つの鉄道路線が乗り入れており、そこそこ栄えており人が多いのだが今日は違う。
先にも述べた通り現在信号が消えてるので車は渋滞し、2つの路線の内阪急は運転見合わせ、嵐電もダイヤが大幅に乱れている。
そして行き場を失った人で駅前は混沌とした雰囲気だ


絹旗「麦野の奴…絶対『種』使いましたよ」

白井「あなただって、仕掛けた張本人の1人でしょうに」

絹旗「うぐ!…それなら白井だって超共犯ですよ!?」

白井「はいはい。前を見てないとぶつかりますわよ」


現在2人はロータリー付近を歩いてるが人とぶつからない方が難しいぐらいの状況だ、何時来るかわからないバス停には長蛇の列ができてる


「きゃっ!?」

白井「ほやっ!?」


言ってる傍から黒子がぶつかってしまい扱けてしまう

443: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/06/15(土) 20:58:06.20 ID:CSIw0n5P0

白井「いたた…」

「ごめん、大丈夫?」

白井「大丈夫です――」


差し伸べてくれた手に捕まり起き上がろうとした時、彼女は思わず固まってしまう。
そして手を差し伸べてくれた女学生も固まってる


「せんぱーぃいい!?」

「大丈夫ですかーっ!?」


後輩だろうか、2人の女学生も来たがその2人も固まる。
手を伸ばしてくれた学生は凛とした顔立ちで、肩位までの髪で髪留めを付けてる。
後輩の1人は元気そうな雰囲気のロングヘアー、花形の髪留めを付けてる。
もう1人は甘ったるい声のショートカット。自分の友人にすごく似てる。
違いと言えば少し大人びていて高校生ぐらいであろうか


「っは!?」


ここで後輩の1人が彼女もよく知る行為をする


「っせいやー!!」

「っひゃあ!?///」


いきなり甘ったるい声の後輩のスカートをめくったのだ。本当によく見た光景


「何しはるんですか!?///」

「いやー、空気を和ませるのはおまはんのパンツが1番やっちゅーことや」

「しばきますよ!?」


関西弁以外本当によく見た


「ねえ…」


先輩が声を掛けてくる


「じぶんネーちゃんとか、おるか?」

白井「いえ…おりません」

「そうか…」


そう言って俯くと


「ごめんな、急にけったいなこと聞いて。キモイと思ったやろ、うちもそう思ったわ」


笑顔で声を掛けてくるが、その眼には涙がある

444: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/06/15(土) 20:58:54.59 ID:CSIw0n5P0


「自分らいくでー、はよ行かんと予約したカラオケが無駄になってしもうからな」

「ぬっふぇ!?」

「先輩はやすぎやでー!」


そう言い残すと彼女達はその場を去っていった


白井「…」


そして黒子だけが残された


絹旗「あ、見つけました」


タイミングを見計らったかの様に絹旗がきた


絹旗「こんな人ごみなんですから超はぐれない様にしてくださいよ…」ゼエゼエ

白井「ええ…」

絹旗「…泣いているんですか?」

白井「いいえ…さ、行きますわよ」

絹旗「は、はぁ…」

455: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/06/21(金) 00:58:45.72 ID:EIdIbILE0

京都市・東山区・茶碗坂


京都でも1,2を争うとある有名なお寺に行く参道。
そこは毎日のごとく修学旅行生や外人、観光客で溢れかえってる。
しかし今日はいつもと違う、警察官が沿道にこれでもかと言うくらい居る。
東山区は現在被害は少ないが何時標的になるか解らない(もちろん麦野達は狙うつもりはさらさら無い)仮にここで騒ぎになったら洒落にならない。
なので警備が固くなる


「すごい警察官の数だね…」


とある地方から修学旅行で来た中学生グループの1人の少女が呟く


「なんか市街地で騒ぎが起きてるらしいぜ」

「Twittreだと町中がえらいことになってるらしいよ」

「なんか怖い…」


と、呟く。
すると集団の中でも割とイケメンの少年が前に出てきて


「大丈夫!」

「え!?」

「俺がいるから、な?ちか」

「うん///」


顔を赤らめる少女。
そう、この2人は修学旅行前につつきあい始めたカップルだ


((((…爆発しろ))))

456: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/06/21(金) 01:00:09.18 ID:EIdIbILE0


周りがそう心に思ってると、ふわっとした緩い風が吹く。
何処からともなくピンク色の御神籤の紙が飛んで来る


「よっと」


ほんの親切心で少女が風に舞う御神籤を取る。
すると


「「「「「「!?」」」」」」」


近くに居た警察官7人が突然光だす、本人たちが1番驚いてるが周りの人々も驚いてる


「「「「「「ああああああああああああああああああああああ!!!!!!!」」」」」」」



突然警察官たちが苦しみ叫びだす。
人間にこんな声が出るのか、何とも言えない声だ


「bvkfdっふhdscgsふぃdbっふぉうっさふjdjし」


「「「「ちか!?」」」」」


警官たちが叫び始めたと同時に先ほど御神籤を取った少女が、意味不明な言葉を言いながら叫ぶ。
周りの同級生、恋人の彼も心配で彼女の名を呼ぶ。
3分も経たない内7人の警官は倒れ、少女も叫びをやめた


「…」


「…大丈夫?」


気が抜けたように立ち尽く少女に同級生の女子が声をかける、しかし彼女に反応がない。

457: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/06/21(金) 01:03:40.26 ID:EIdIbILE0
しばらくすると彼女はおもむろにポケットからスマホを取り出し、画面を確認すると一言

「…私だけ…半年前に来てしまったか」

「えっ!?」


その声は少女からは1度も聞いたことないような冷徹な声だった


(あれは…)


その時、少女の彼氏が彼女の手に注目する。
その手には黒い金属体、まるで拳銃のようだ。
その答えは当たらずとも遠からず


「…目撃者が多いな」


答えは直ぐに解ったからだ。
一言つぶやいた彼女は機敏な動きでその拳銃の様な物を構える、そして引き金を引いた


パアン!!


何かが破裂したような音。
彼女から数メートル離れた所に居た3人が破裂した音だった、比喩表現抜きで内側から破裂してる。
そして彼女は躊躇なく引き金を引く、躊躇うこともなく。
周りの物はあまりの惨状に無反応だった、最初の悲鳴が聞こえた時辺りには数十の死体が転がっていた


「…」


少女の彼氏はなすすべもなくその場にしゃがみ込んでいた、友人が殺されてもなすすべもなく唯見るしかなかった。

458: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/06/21(金) 01:04:21.12 ID:EIdIbILE0
一通り片づけ終えると彼女は破裂させた同級生の少女の死体に近づき


「やはり処女か…」


そう言うと死体に指を突っ込む。
そして指に着いた血で自身の足に何やら文字を書いていく


「…なんでだよ」

「ん?」

「…なんでこんなことするんだよ」


涙ながらに問う少年を疑問の眼差しで見る少女。
そして彼女は少年に近づき


「お前はこの体の恋人なのだろ?」

「…え!?」

「ならばこれを」


彼女はポッケからスマホを背負ってたスクールバックに居れ、それを少年に渡す


「この時代の女も2人だけの思い出を大切にするのだろ?」

「この…時代?」

「大切にしろよ」


少年に言葉を問いかけると彼女が先ほど書いた血文字が発行する。
そして彼女は何処かへ飛び立つ

「なんなんだよ…」

放心した少年の腕には少女のバッグが抱えられてる。
その後、渋滞に巻き込まれたパトカーや救急車が着いたのは数十分後だった

459: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/06/21(金) 01:05:39.67 ID:EIdIbILE0




京都市・下京区・梅小路公園


絹旗「超くっそぉー…」

白井「あと少しですのに…」


彼女たちは現在公園内の茂みに隠れてる。
この目と鼻の先に『カーゴ』がある、しかし情報が漏れたのかそこにはフル装備の隊員達とOH-1が1機上空を旋回してた


絹旗「うわ、ニンジャがいますよ…」

白井「ニンジャ…ですの?」

絹旗「ヘリです…10年ぐらい前の機体ですが性能は超抜群で、改修されて外部の偵察ヘリの中ではトップクラスの奴です」

白井「だから茂みの中なのにこんなピクニックシートみたいなの被ってるんですわね」

絹旗「超そう言う事です、これで赤外線レーダーなら超ごまかせます。ですが…」
白井「警察犬ですか…」


絹旗「はい」


隊員達と一緒に2頭の警察犬がいる。
正直匂い消しの薬品が無いので臭いを感づかれたらおしまいだ


絹旗「超どうしましょ…」

460: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/06/21(金) 01:06:54.57 ID:EIdIbILE0



京都市・東山区


京都駅からJRで一駅、私鉄の駅も隣接するこの地には寺院や社殿の他に赤十字の病院がある。
普段は閑静な地区だが今は違う、先ほどの絹旗達が潜伏してる場所より明らかに多くの捜査官がいる。
上空には3基のOH-1が飛び赤十字病院の屋上を照らす。
そこには制服姿の女学生が1人居る、だが足には奇怪な血文字片手には拳銃の様な物、
どうやって集めたか考えたくもないがポリタンク2つ分の血液。
少し前に茶碗坂で何十人も殺した少女だ


『目標は現在、赤十字病院屋上に居る。以前動きは見られず!!』

「了解!引き続き監視を続行されたし!」

『了解』


地上の捜査官がヘリの隊員と連絡する。
地上の東大路通は封鎖され今にも機銃が火を噴きそうな雰囲気が漂ってる


「院内生存者、全員退避完了しました」

「そうか…5分後に攻撃を開始する!院内の部隊に連ら――」


『目標が動きました!』


「どうした!?」

461: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/06/21(金) 01:07:46.44 ID:EIdIbILE0


赤十字病院・屋上


「ふんふふ~ん♪」


鼻歌を歌いながら少女はポリタンクに入った血液をぶちまける、適当ではなく何か文字みたいなものを書きながら


(月の位置も良好だし、これならいいね♪)


文字を書き終えたのかポリタンクを無造作に投げ捨てる。
書き終えてみるとそれは円陣にも見える、そして彼女は中心部に行くがヘリを見て一言


「…邪魔だなぁ」


とつぶやく。
すると彼女は拳銃みたいなものを投げ捨て腕を前に突きだす、そして彼女の腕先が光だす。
1秒も経たないうちに太い光線が彼女の腕から放たれる


462: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/06/21(金) 01:08:56.46 ID:EIdIbILE0

京都市・下京区・梅小路公園


白井「こうなったらわたくしのテレポートで一気に」

絹旗「それしかないようですね…」


覚悟を決めたのか突入する事にした2人。
発見される危険性が高いがもうこれしかないと察したのだろう、危険な賭けに出る。
そして次の瞬間


バシュウウウ!!!


太い光の光線がOH-1のローターの端を掠める。
バランスを崩した機体は北西の方向にゆっくりと滑空していく


白井「いったい何が…」

絹旗「麦野ですよ!!」

白井「へ?」

絹旗「麦野ですって!!あれは『原子崩し』の光に超間違いありません!何度も見てきましたから!!」

白井「そう、なんですの?」

絹旗「さあ白井!麦野が隙を作ってくれたいまの内に」

白井「え、えぇ…」


そして彼女達はテレポートした



463: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/06/21(金) 01:09:55.26 ID:EIdIbILE0

京都市・東山区・赤十字病院付近


「何が起こった!?」

『解りません!光線かビームとしか!!』


突然の状況に只々混乱する現場


「隊長!!屋上が」


屋上を見る。赤黒く屋上が光ってる


「屋上、どうした!?」

『解りません。目標の書いた血文字が突然発光しだしました!』


今回の標的、すなわち敵は学園都市の工作員と言う情報は既に降りて来てる。
ならこれも超能力と言う奴なのか、そのような疑問が湧く。
尤も『多重能力』などあり得ないのだが外部の現場職が知るはずもない、なので彼は能力で自爆すると思ってしまったのだろう


「ただちに制圧を開始!!」

『了解!!』


隊長の指示と同時に非常階段で待機してた部隊が屋上に流れ込む。
無言で素早く展開し目標に銃口を向けるが


「バイバイ、過去の人達」


その言葉を残して彼女は消えた、彼女の身ぐるみと拳銃の様な物を残して


「…目標、消失しました…」

464: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/06/21(金) 01:10:58.18 ID:EIdIbILE0


カーゴ・内部


絹旗「よっと」

白井「着きましたわ」

木山「…遅かったな」

海原「お疲れ様です」


『カーゴ』内部にテレポートした2人を迎えたのは木山と海原だった。
彼らは椅子に座りただ暇を潰してたようだ


海原「心配しましたよ」

絹旗「捜査の目が超厳しくって」

木山「まあ一種の執念みたいなものを感じたな…」

白井「本当ですわ。正直外部の捜査機関を舐めてましたの」

海原「でも『カーゴ』まで来たらもう安全ですよ」

465: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/06/21(金) 01:12:13.55 ID:EIdIbILE0


『カーゴ』それは学園都市に出入りする貨物列車にある物で。
暗部の工作員が都市を出入りに使用したり、また外部で何かあった時の待避所になる場所だ。
外観は一般的な貨物コンテナに偽装してるが、中は1カ月は過ごせる仕様になってる


麦野「お、帰ってきたか」

絹旗「むぎにょおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」ガバ


奥の部屋から出てきた麦野に抱き付く絹旗


麦野「っちょ、藪から棒になんだよ!?」

絹旗「超助かりましたーありがとうございますー!!」

麦野「は!?何言って――」

白井「照れなくても結構ですわ。あなたが能力を使ってなかったらわたくしたちは辿り着けていませんでしたの」

麦野「だから何言ってるんだよ」

絹旗「何って、麦野が原子崩しで敵の気を超引いてくれたじゃないですか」

白井「そうですわよ。あれが無かったらわたくしたちは最悪…」

麦野「は?」


絹旗・白井「「え?」」


海原「あのーよろしいでしょうか」

絹旗「どうぞ」

海原「自分たちは2時間ぐらい前に『カーゴ』に入りましたが、それから1回も出てませんよ?」

白井「うそ!?」

絹旗「だってあれは超間違いなく麦野の『原子崩し』でしたよ!?」

麦野「…まじで何言ってんだ。お前ら」

482: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/06/29(土) 20:19:42.23 ID:hGQOH6ms0


3日後


学園都市・17学区・操車場


夕日が差し込むなか広大なヤードを誇る操車場の中に1本の貨物電車が到着した。
その列車は今日の午前中に着く予定だったが、外部での騒ぎで遅れたとか。
そしてその列車の1つのコンテナの前に数台の車と数人立っていた、彼らは列車が停車したのを確認するとおもむろにコンテナに近づき扉を開ける


「やっと着いたよ…」


気怠そうに言葉を吐きながら出てきた女性。
麦野だ、他のメンツも中からわらわら出てくる、彼女達は無事学園都市にたどり着いたのだ


「お帰りなさい、また大変な事をしでかしたねあなた達」


周りの者と明らかに雰囲気の違う少女。
歳は絹旗や黒子とそう変わらなそうなのに、大胆なドレスを身にまとってる。
かつて『スクール』と呼ばれる暗部組織に身を置き『心理定規』と言う名の能力を使用してた少女、つまりは麦野達と対峙させてた相手である。
つまりは


麦野「あんで帰ってきた途端にテメエの面を見なくちゃなんねぇんだよ…」


こう機嫌が悪くなる


心理「仕方ないでしょ。仕事なんだから…で伝令なんだけど」


機嫌の悪い麦野はなんのその、彼女は書類に目を通しながら伝令よ淡々と伝える


心理「木山、麦野、海原の3名は向こうに待機してる車に乗車。なお残り3名は別命あるまで各自待機、異常」

白井「え、わたくしもですの!?」

心理「あなたは暗部の人間じゃないでしょ?まかりなりにも実験に協力するって建前で外に出たのだからね、こっちにも色々あるのよ」

白井「は、はぁ…」

心理「さ、車だすから3人はこちらに」

海原「…解りました」

木山「解った」

麦野「はぁー…たりぃ」


各々の反応をしながら3人は心理定規に連れられ車へ向かう

483: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/06/29(土) 20:21:36.49 ID:hGQOH6ms0

絹旗「で、超どうします?」

結標「私は疲れたから帰るわ…お土産もあるしね」

絹旗「白井は?」

白井「寮には帰れませんですし…お姉様の顔でも見て行こうかと」

絹旗「なら私も超行きますかね…浜面や滝壺さんの顔を見たいですから」

結標「2人がそうなら私もうちの馬鹿2人のアホ面拝みに行こうかしらね」

絹旗「じゃあ超病院で!白井、もしよかったら家に超泊まりませんか?」

白井「え?」

結標「いいじゃない、下手にホテルに泊まるよりお金かからないし」

白井「でも…」

絹旗「部屋なら余ってますから超大丈夫ですよ!それにフレメアが喜びますから」

白井「じゃあお言葉に甘えて」

絹旗「超決定ってことで!お風呂で麦野の漢方風呂に入れば疲れなんか超いちころです!」

結標「漢方風呂って…どこの三十路独身のOLよ」

絹旗「あの外見通り超疲れが溜まりやすい体質なんでゴボロシャ!!」

結標「ドムウウ!!」ズサー


白井「っへ!?」


軽い麦野への嫌味を言ってると何処からともなく飛んできたスーツケースが絹旗に直撃し、更には結標を吹き飛ばす。
もちろん投げ飛ばしたのは


麦野「ゴルア!聞こえてんぞ!!」


彼女であった。
車に乗る直前なのによくもまあスーツケースを投げ飛ばせたもんだ


麦野「おい白井!そこのチビにあたしの服洗濯しとけと言っとけよ!!」

白井「Sir, yes, sir.!!」ビシ!!


鬼教官の様な指令に黒子は新兵の顔負けの背筋を伸ばした敬礼で返す


心理「そろそろ出したいんだけど」


黒塗りのリムジンの中から少女が麦野に言う


麦野「っち!…早く出せ」


彼女が乗車し車は静かに発車する。
そして、その場には黒子たち3人と数人のスタッフが残された。静寂が支配する


「…で、どこに行きます?」


見かねた1人のスタッフが黒子に話しかける


白井「えっと…とりあえず7学区の病院に。あと2人もお願いします」

「解りました」


484: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/06/29(土) 20:23:59.49 ID:hGQOH6ms0


リムジン・車内


心理「あいかわらず第4位さんは」クスクス

麦野「うるせえ!!クレーンで車ごと潰そうとしたお前には言われたくねーよ」


歳相応の悪戯めいた笑みに対しトゲのある言葉で対応する彼女


木山「…まさか、このような場所であなたの様な方に出会えるとは驚きでした」

「一応依頼者ですからね…」


広いリムジンの車内、対面で彼女達の前に座る心理定規と初老の女性。
この女性こそ今回麦野達に京都に行ってくれと要望した一派の1人、親船最中、学園都市統括理事会の1人


親船「本当は一滴の血も流したくは無かったのですが、事態が事態ですので仕方ありませんね…」

麦野「…」

木山「あの状況では仕方ありません…むしろ彼女の機転でこの様にあなたと話せてますから」

親船「そうですね…」

心理「話の途中で悪いけど今回仕事で支給された端末、残した3人のを含めて出してもらえる」

海原「ええ、いいですよ」


彼女に言われる通り海原は6個のスマホを提出する。
貰うや否や彼女はそれらのスマホを自前の端末とリンクさせる


麦野「…仕事が終わると端末を回収するのは解るけどよ、何で今解析するんだ?普段ならどこか施設でやるだろ」

親船「そうなんですが…」

心理「あなた達ここ3日間ずーっと『カーゴ』に居たのでしょ?」

麦野「は?」

木山「…そうだが」

心理「なら今どんなことが起きてるか知らないでしょ?」

海原「確かに『カーゴ』は発見されるのを防ぐために外部との通信などは防止されてますが」

麦野「おかげで暇つぶしは寝るか絹旗の馬鹿が持って来たトランプしか無かったよ。ま、と言っても報告所を作成するので忙しかったけどな」

親船「ならこの事件はご存じないでしょうね」

485: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/06/29(土) 20:26:00.70 ID:hGQOH6ms0


と言いながら彼女はタブレット端末をケースから出す。
そこにはここ3日間のニュースなどが表示される、その中の1つ


麦野「東山区で大量殺人!?」

親船「ええ、犯人は未だ逃走中だそうです」

麦野「少なくともあたし等は関係ねーよ」

海原「そうですね、ここに書いてある事件発生時刻は既に『カーゴ』に居ましたから」

木山「それに白井君たちも『カーゴ』に向かってる時刻。彼女達も関係ないな」

親船「ではこちらの動画を」


彼女が画面を操作しある動画を再生する。
ヘリのプロペラ音が鳴る中夜空に1筋の光が走る


木山「これは…」

親船「この動画はとある動画投稿サイトに投稿されたもので、京都の一般市民が撮影したものです」

麦野「おい…」

親船「あなたの能力によるビームに近いような気がするのですが、いかがですか?」

麦野「ああ、似てるよ。気味が悪いほどにな…(絹旗達が言ってたのはこれか)」

木山「だが、何度も言ってるが…」


心理「東山区には行ってない、でしょ。
ちゃんと記録見たけどあなたは行ってないみたいね、もっとも現場に近づいたのは絹旗最愛、白井黒子の2名ね。事件発生の何時間も前だけども」


親船「そうですか…海原さん」

海原「はい」

親船「あなたはこの模様、ご存知でしょうか?」


再び画面を操作する彼女。
次に出てきたのは病院の屋上で血文字で書かれた謎の模様


親船「以前、あなたが使ったあの秘術に近いような気がするのですが」

木山「…何かの儀式の後みたいだな」

麦野「で、皮被りは知ってるのか?」

海原「皮被りと言わないでください!!…正直、自分はこれに近い物を知ってますが正確には」

親船「そうですか…」


海原「この画像、拝借することはでしますでしょうか。専門の知識を持ってる知り合いがいるので」


親船「いいですが、一応機密ですのであまり広めるのは」

海原「大丈夫です。土御門さんの知り合いですので」

486: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/06/29(土) 20:27:11.99 ID:hGQOH6ms0
親船「では、この件はあなたに一任します」

海原「わかりました」

麦野「で、あたし達は何処に行くんだ!?」

親船「他の依頼者と面会と軽い食事です」

麦野「うげ!」

心理「会食みたいなものだから。第4位さんは少しは着飾ったら?なんなら私のドレスでも貸してあげましょうか?」クスクス

麦野「ご忠告ありがとう!!これでもお前よりも年上だからな!ガキンチョ体系の服は入らねェんだよ!ワ・ル・イ・ナ!!」

海原「ま、まあ麦野さんのスーツ少し汚れてますので着替えた方がいいかもしれませんね」

親船「会食が始まる前にこちらでお召し物をご用意しますから、そちらに着替えてください」

麦野「ケッ!!」

木山「わたしはこのままでいい…」


かくして、彼女達を乗せたリムジンは会食場所のホテルに向かった。
そこで麦野は心理定規の様なキャバ嬢ドレスに着替えさせられ、他の依頼した統括理事会のおっさんの目の保養にされました。
しかし、会食後そのおっさん達が腹痛に襲われたのは別の話


木山「…何かしたのか?」


麦野「シラネ」


海原(怖い怖い)

487: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/06/29(土) 20:28:34.35 ID:hGQOH6ms0



第7学区・冥土返しの病院


夜である病院は何処となく暗く不気味な雰囲気があるが、SAO事件の病棟は煌々と明かりが点いてる。
彼女達がいない間警備の人間は海原の知り合いが担当してるのだが


絹旗・結標((なんだろう…この人達))


その疑問しか浮かばない面子であった。
1人は神父の格好をしてるが、髪は赤く顔面に入れ墨を入れてる。
もう1人は全体的に筋肉質で青い服装、2人とも2Mぐらい身長がある。
そして極めつけは


絹旗「まさかのあの超変態いましたよ」ヒソ

結標「あの人、普段から変態じみてるのね」ヒソヒソ


かつて特別警護対象のレベル0(上条さん)を襲った変態の片割れだった。
彼女は絹旗達と目が合うと大急ぎでどこかに消えた


白井「お待たせしましたの」

絹旗「お、超来ましたね」

結標「遅かったわね」

488: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/06/29(土) 20:30:05.84 ID:hGQOH6ms0

白井「あなた達と違って1人多いですから…そちらの方は?」

絹旗「いつも通り超アホ面で寝てましたよ」

結標「こっちの方も同じようなもんよ。片方なんか寝てると女みたいなんだから…」

白井「そうですか…ってか、先程病室を出たら変なデニムをお召しになった婦人が猛ダッシュで駆け抜けていったのですが」


「ぶっふ!!」


黒子の発言に赤髪の神父が盛大に噴き出す。
思う節があるのだろう


絹旗「ああ、あれが新幹線で話した超変態です」

白井「ほえーあれが…」

結標「もう変態の話は良いでしょ。
ところで今晩うちの晩御飯が関西風すき焼きなんだけど、絹旗さんのフレメアちゃんも呼んでみんなで食べない?」


絹旗「お、超いいですね!!」

白井「いいのですか?いきなりお邪魔しても…」

結標「いいのよ、家主には許可取ってあるわ。元々20人前ぐらいで注文したんだから」

白井「20人前ですか…」

結標「ものすごく食べる子がいるのよ…」


彼女の発言に頭を抱える赤髪の神父。
思う節があるらしい


絹旗「では超決定で!!フレメアに超連絡します!!」

白井「わたくしもお言葉に甘えて」

結標「じゃあ行きましょ!」


そして彼女達は病院を後にした。そして神父が


「今度彼女達にお礼をしよう…」


呟く。後日、結標の居候先に『彼女の食費』と書かれた封筒に入った数十万の現金が届いた


「やったんだよ!!今日はステーキがいいかも!!」


「いやですね、先生は使うわけには…」


結標「いいじゃない、今日ぐらいパーッと使っちゃいましょ」


「にゃ~」

489: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/06/29(土) 20:31:41.82 ID:hGQOH6ms0


3時間後・学園都市・自動運転ハイヤー内


麦野「ッケ!!」

海原「なにか御不満でもありましたか?料理の味もそれほど悪くは無かったでしょうに」

木山「…あれだろ、向こう側の男の目線が気になったのだろう」

麦野「そうだよ!ったく、あれが統括理事会のお偉いさんじゃ無かったら宦官にでもしてたよ!!」

海原「…失礼ですが宦官とは?」

木山「簡単に言えば古代中国で去勢された男子だな。
尤も、詳しい内容は私も知らないので知りたかったら調べることだな…」


海原「いえ、聞いてるだけで嫌になるので結構です…」

麦野「あたしが丁寧いにやってやろうか?」ニヤ

海原「結構ですって!!」

木山「荒れてるなあ…」

麦野「酒でも飲みたい気分だよ!」

海原「お付き合いしましょうか?自分も久々に飲みたいので」

木山「本来なら止めるべきなのだろうが…私も付き合おうか」

麦野「よし!包茎、案内しろ」

海原「包茎じゃないですよ!…まったく」


ブツブツ文句言いながらも海原はナビに目的地の住所を入れる。
彼らの乗ってるハイヤーは聞き耳を防ぐために運転士の居ない自動運転になっており、
目的地をナビに入れると安全に送って行ってくれる車だ。
学園都市では運転代行などは大抵このタイプ

490: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/06/29(土) 20:33:30.51 ID:hGQOH6ms0


第7学区・とある学生寮付近


麦野「んだよ、ここか」

海原「おや、ここを知ってるとは意外です」


海原が案内したのは7学区にある会員制バー、かつて麦野が半蔵に無理やり案内させて訪れた場所だ。
中では盛り上がり始めてるのだろう、かすかに漏れる音楽と共にビートで空気が震えてる


麦野「行くか」


階段を下り窓口に近づくと


「ネーさん、海原さん!コンバワ!!シャーっせ!」


入り口のスキルアウト風の店員が野球部顔負けのキビキビした声で挨拶してくる


麦野(あいかわらず暑苦しいな、ここは)

木山(野球部の集まりか…ここは?)

海原「3人なんですけどカウンター空いてますか?」

「空いてます!ドゾ!」


スタッフが扉を開けると大音量の音楽が流れ込んでくる。
このバーはどちらかと言うとクラブに近く、DJの選曲した音楽が流れてるのだが今日は違った


どん!!


乾いた皮を木鉢で叩く音。
和太鼓の大きな音が流れ込んでくる、ステージには普段露出度の高い服装の女性が普段は踊ってるが今日は違う。
どちらかと言うと和服の人々だ


麦野「…んだこれ?」

「よっ!今日は3人か?」


気さくに声を掛けてくる店員、服部だ。
いつもの帽子とハーパン、そしてここのスタッフ専用のポロシャツを着てる

491: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/06/29(土) 20:34:34.57 ID:hGQOH6ms0

海原「今日はいつもと嗜好が違うんですね」

服部「ああ、今日はウチのDJが大学のダンスサークルが知り合いでそのサークルが出てるんだよ」

木山「なるほどな…みな若いのはその為か」

麦野(そう言えば、前来た時は営業時間前か…)

服部「で、御三方は何を飲むか?」

麦野「あたしは前に飲んだ『ジントニック』」

木山「私は『ハイネケン・エクストラコールド』」

海原「じゃあ自分は『コロナ』で」

服部「おう!少し待っててくれ」

492: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/06/29(土) 20:36:07.89 ID:hGQOH6ms0



麦野「そう言えば、京都であたしらを告げ口したのって須郷だったんだって?」

海原「そうみたいですね…ですがこちら側の密告者は解りませんでしたが」

木山「自分たちの敵対勢力のスパイは、身内になればなるほど解らないもんさ」

麦野「で、あの変達野郎に報復とかしないのか?」

木山「確かに、このままは私としても何もしないのは嫌だな」

海原「それなら先ほど親船さんから連絡がありましたよ」

麦野「なんだって?」

海原「こちらに」


彼が自分のスマホを麦野達に渡す。
それにはPDFで親船最中名義でメッセージがあった。要約すると


『レクト、並びにグループ企業の時価総額を3日で3兆消しました』


と書かれてた


海原「だそうですよ」


木山・麦野「「…」」


海原「…どうしました?」

麦野「これ…マジ?」

海原「ええ、先程確認しましたが事実のようですね」

麦野「えげつねぇ…」

木山「流石『平和な侵略行為』を得意とした人だ…国が違えば戦争ものだぞ」

海原「そうさせない算段も、あの人ならすでに組んでそうですしね。現に『レクトグループ』の株価格は収まってきてますからね」

麦野「あたしが長だったら『レクト』と事業ごと売却して逃げるな。…婚約者も居るっぽいし」

木山「だな…」

服部「お待たせ!!…何、重そうな話してんだ?」

海原「何でもないですよ」

麦野「ってか、なんでお前もスミノフ持ってるんだ?」

服部「とりま一緒に乾杯しようと思ってな」

木山「それもいいかもな…音頭は麦野君で」

麦野「は!?」

海原「いいじゃないですか」

服部「ほら、ねーさん!」

麦野「…はぁっぁぁぁぁ・・・・じゃ」


「「「「かんぱーい!!」」」」


キン!!


493: 1ZIMA” ◆5OdiFuFGeA 2013/06/29(土) 20:37:09.60 ID:hGQOH6ms0


同時刻


学園都市、京都市から離れた愛知県豊橋市の住宅地のアパートの1室。
そこは女子大生が住んでるのかとても可愛らしい部屋になってる。
その部屋でパソコンに向かい何かを調べる女性、パソコンの画面の横には彼氏であろうか2ショットの写真がある。
しかし、写真の女性とパソコンを弄ってる女性はあからさまに違う。
と言うよりパソコンを弄ってるのは少女と言う言葉がふさわしいぐらいの年齢の子、では家主は他に居るのか。
キッチンを見る、料理好きなのか様々な料理器具がある。
その1つであろうミキサーが料理台の上にある、何かを調理したのか中に赤黒いペーストの残りがある。
流しにはそれを流したのかドロッとしたものがある、鉄分臭い。
その匂いは風呂場に行くと更にきつくなる、何があったのか考えたくない


「結構距離があるな…」


パソコンに向かってた少女が呟く。
彼女の着てる服だがここの家主の物であろう、少女には少し大きい


「トランシルヴァニアか…」


そう言い残して少女は立ち上がり部屋を後にした。
1時間後、家主の彼氏が部屋に着くとあまりの臭いで警察に通報する。
そして、犯人は京都で大量殺人した少女と断定されたのは3日も掛からなかった



次→上条「ソードアート・オンラインか、やってみたいな」 美琴「その2!」 その2

上条「ソードアート・オンラインか、やってみたいな」 美琴「その2!」
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1401067246/)